説明

カウンター取付構造

【課題】従来に比べ短時間で施工できるようにする。
【解決手段】取付け配置された支持具3と、支持具3に支持されて壁面Waから手前へ張り出して左右方向へ延びるカウンター2と、前後方向で係合してカウンターを手前へ移動させない第1係止手段4と、上下方向で係合してカウンターを上方へ移動させない第2係止手段5とを備え、カウンター2の下面に併合具12が取付け固定され、第1係止手段は、支持具3に設けられた第1係止具8cと、併合具12に設けられ第1係止具8cと係合する第1係止片12b−1を備え、第2係止手段5は、併合具12に設けられた第2係止具12cと、支持具3に設けられ第2係止具12cと係合する第2係止片8b−1を備え、支持具にカウンター2を支持させた状態で、カウンター2を他方又は一方へ移動させることで、第1係止手段及4び第2係止手段5を係合状態又は非係合状態となるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面からカウンターを張出すように取付けるカウンター取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カウンター取付構造51には、取付け後の状態を示す図7(A)及び取付け前の状態を示す同図(B)に示す如く、カウンター52の奥側の端縁52aに、切欠部53,53を有する垂下部54,54が設けられると共に、カウンター52の奥側に面した壁面Waに、各切欠部53に上方から挿脱自在に挿入されてカウンター52の奥側に面した壁面Waと直交する方向にカウンター52を係止する第1の係止具55,55が固定され、カウンター52を支持する支持具56,57の各々に、水平方向(矢符H方向)に向けて突出する突出片58が設けられると共に、カウンター52の裏側に、各突出片58に上方から挿脱自在に係合してカウンター52を支持具56,57に係止する第2の係止具59,59が固定されたものがある(特許文献1)。更に、カウンター取付構造51は、支持具60に、カウンター52の側端縁52bに接離自在に当接してカウンター52の水平方向(矢符H方向)への移動を阻止する阻止具61が設けられている。
【特許文献1】特開平7−4081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のカウンター取付構造51は、壁面Waと直交する方向にカウンター52を係止する垂下部54及び第1の係止具55からなる第1係止手段62と、上下方向にカウンター52を係止する突出片58及び第2の係止具59からなる第2係止手段63と、カウンター52の水平方向への移動を阻止する阻止具61からなる阻止手段64が個別に設けられている。そのため、従来のカウンター取付構造51は、カウンター52及び壁面Waに、第1係止手段62の構成部材等と、第2係止手段63の構成部材等とを個別に設けるのに多くの手間を必要とし、施工に長時間を要する問題がある。また、従来のカウンター取付構造51は、阻止手段64を設けるとき、第1係止手段62及び第2係止手段63と別個に設ける必要があるため、更に多くの手間を必要とする。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するために、従来に比べ短時間で施工できるカウンター取付構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来に比べ短時間で施工できるようにするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、壁部又は床部に取付け配置された支持具と、支持具に支持されて壁面から手前へ張り出して左右方向へ延びるカウンターと、前後方向で係合してカウンターを手前へ移動させない第1係止手段と、上下方向で係合してカウンターを上方へ移動させない第2係止手段とを備えたカウンター取付構造において、前記カウンターの下面に併合具が取付け固定され、前記第1係止手段は、前記支持具に設けられ左右方向の何れか一方へ延びる第1係止具と、上記併合具に設けられ左右方向の他方へ延びて第1係止具と係合する第1係止片を備え、前記第2係止手段は、上記併合具に設けられ上記他方へ延びる第2係止具と、前記支持具に設けられ上記一方へ延びて第2係止具と係合する第2係止片を備え、前記支持具に前記カウンターを支持させた状態で、カウンターを他方又は一方へ移動させることで、第1係止手段及び第2係止手段を係合状態又は非係合状態となるようにしたことを特徴とするカウンター取付構造である。
【0006】
カウンターの水平方向への移動を阻止する阻止手段を簡単に得るために請求項2記載の本発明が採用した手段は、前記第2係止具にネジ挿通孔を設けると共に前記第2係止片に雌ねじを設け、前記第2係止手段が係合状態のときに、ネジ挿通孔を介してを雌ねじに雄ネジを螺着脱できるようにした請求項1記載のカウンター取付構造である。なお、螺着した雄ネジが第2係止片からカウンター側へ突出するときには、カウンターの下面に雄ネジ逃がし用の凹部を予め設けておくとよい。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の本発明に係るカウンター取付構造は、支持具を取付け配置すると共にカウンターの下面に併合具を取付け固定するたけで、第1係止手段及び第2係止手段を得ることができるので、従来に比べて短時間で第1係止手段及び第2係止手段を得ることが可能となり、施工時間を短縮することができる。
【0008】
請求項2記載の本発明に係るカウンター取付構造は、第2係止手段に雄ネジを螺着するだけで、カウンターの水平方向への移動を阻止する阻止手段を簡単に得ることができるので、従来に比べて施工時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係るカウンター取付構造(以下、「本発明取付構造」と言う。)を図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1乃至図6は本発明の実施の形態を示すものであり、図1(A)は施工後の状態を示すものであつて、カバー14の一部を破断した正面図、同図(B)は支持具3にカウンター2を載置する前の状態を示す正面図である。図2は図1のII−II線で断面して拡大した左側面図、図3(A)は第1係止手段4及び第2係止手段5の係合状態を示す拡大した正面図、同図(B)は同図(A)のb−b線で断面した第1係止手段4の平面図である。図4は壁部Wに取付け配置する支持具3を示す斜視図であって、図(A)は支持具3を構成する取付具7と支持具本体8とを分離した状態を示し、図(B)は壁部Wに取付け配置した状態を示すものである。図5は併合具12を示す斜視図であって、図(A)は併合具12及び雄ネジ13,13を示し、図(B)はカウンター2の下面(裏面)に取付け固定した状態においてカウンター2を破断して示すものである。図6は第1係止手段4及び第2係止手段5を示す斜視図であって、図(A)は支持具3にカウンター2を載置したときの両係止手段4,5の非係合状態を示し、図(B)は両係止手段4,5の係合状態においてカウンター2を左右方向に沿って断面して示すものである。
【0010】
本実施の形態に係る本発明構造1は、図1に示す如く、壁部Wに取付け配置された複数個(本例は3個)の支持具3と、支持具3に支持されて壁面Waから手前へ張り出して左右方向へ延びるカウンター2と、前後方向で係合してカウンター2を手前へ移動させない第1係止手段4と、上下方向で係合してカウンター2を上方へ移動させない第2係止手段5と、カウンター2を左右方向へ移動させない阻止手段6とを備えている。
【0011】
前記支持具3は、図4に示す如く、鋼等の金属片を折曲げ加工する等して成形され、壁部Wにビス等の接合具9で取付け固定した取付具7と、取付具7に係合した支持具本体8とからなる。取付具7は、壁用取付片7aと、壁用取付片7aの上端縁から手前へ水平に延びる水平支持片7bとからなり、壁用取付片7aの途中に段部7a−1を形成するように上半部を手前に折曲起立させて壁面Waとの間に上端開口の挿入間隙Dを形成すると共に、壁用取付片7aの下端縁から係止片7cを起立させて係止溝7dを設けてある。支持具本体8は、取付具7に係合する起立片部8aと、起立片部8aの上端縁から手前へ水平に延びる水平支持片8bと、起立片部8aの一方(本例では、左方)の側縁から一方へ延設した第1係止具8cと、水平支持片8bの他方(本例では、右方)の側縁から下方へ延設した補強片8dとからなり、起立片部8aに開設した開口部8a−3の上下に上縁部8a−1及び係止片部8a−2が形成されていると共に、水平支持片8bの一方(本例では、左方)の側縁寄りに一方へ延びる第2係止片8b−1が形成され、更に第2係止片8b−1に雌ネジ8fが設けられている。第1係止具8cは、図4(B)に示す如く、壁面Waとの間に係合用隙間Fを形成するようにしてあり、また、一方縁に案内用折曲片8c−1を形成して後述する併合具12の第1係止片部12b−1との係合(図6及び図3参照)をし易くしてある。
【0012】
前記支持具3は、支持具本体8の開口部8a−3へ取付具7の水平支持片7bを差し込ませて、壁面aWと取付具7の間に形成されている挿入間隙Dへ支持具本体8の開口上縁部8a−1を係合させると共に、取付具7の係止溝7bへ支持具本体8の係止片部8a−2を差込んで係止片7cと係合させて前後方向へ移動させないようにして、取付具7の水平支持片7bに支持具本体8の水平支持片8bを重ね合わせられる。更に、支持具3は、取付具7に係合した支持具本体8が上方へ離脱しないように、支持具本体8の挿通孔8eへ挿通したボルト等の接合具10を取付具7の雌ねじ7eに螺着して、取付具7と支持具本体8を接合して組立てられる。なお、支持具3は、図示は省略したが、取付具7を用いることなく、壁部Wに支持具本体8を直接に取付ける態様も可能である。
【0013】
前記カウンター2は、図2及び図5(B)に示す如く、合成樹脂素材等から成形され、下面(裏面)側に左右方向へ延びる凸条部2a,2a及び凹部2b,2b,2bを設け、前記支持具3に凸条部2a,2aを載置して支持させると共に、凹部2bに前記支持具3の接合具10の頭部や、後述する阻止手段6を構成する雄ネジ11の先端を突入させるようにしてある。カウンター2は、各凸条部2aにナットを埋込む等して雌ネジ部2cを設けてある。
【0014】
前記カウンター2は、図5に示す如く、下面に併合具12を取付け固定してある。併合具12は、鋼等の金属片を折曲げ加工する等して成形され、水平取付部12aと、水平取付部12aの後端縁から下方へ延びる起立取付片12bと、水平取付部12aの他方(本例では右方)側縁から他方へ延びる第2係止具12cとからなり、起立取付片12bの他方の縁側寄りに他方へ延びる第1係止片12b−1が形成され、水平取付部12aに挿通孔12d,12dが設けられていると共に、第2係止具12cにネジ挿通孔12eが設けられている。併合具12は、各挿通孔12dへ挿通した雄ネジ13をカウンター2に設けた雌ネジ部2cに螺着することで、カウンター2に取付け固定される(図2参照)。第2係止具12cは、図5(B)に示す如く、カウンター2の凸条部2aとの間に係合用隙間Eを形成するようにしてあり、また、他方縁に案内用折曲片12c−1を形成して前記支持具3の第2係止片部8b−1との係合(図6及び図3(A)参照)をし易くしてある。
【0015】
前記第1係止手段4は、図6及び図3に示す如く、前記支持具3に形成した第1係止具8cと、前記併合具12に形成した第1係止片12b−1とからなり、第1係止具8cに第1係止片12b−1を前後方向で係合させてカウンター2を手前へ移動させないようにしてある。第1係止手段4は、係合状態において、第1係止具8cがその反発弾性力で第1係止片12b−1を後方へ押圧することで、第1係止片12b−1と一体のカウンター2を壁面Waへ押し付けてカウンター2の前後方向のガタ付きを生じさせないようにしてある。第1係止具8cの反発弾性力による押圧力は、壁部Wから受ける反力で相殺されることになる。
【0016】
前記第2係止手段5は、図6及び図3(A)に示す如く、前記支持具3に形成した第2係止片8b−1と、前記併合具12に形成した第2係止具12cとからなり、第2係止具12cに第2係止片8b−1を上下方向で係合させてカウンター2を上方へ移動させないようにしてある。第2係止手段5は、係合状態において、第2係止具12cがその反発弾性力で第2係止片8b−1を上方へ押圧することで、第2係止具12cと一体のカウンター2を支持具3へ押し付けてカウンター2の上下方向のガタ付きを生じさせないようにしてある。
【0017】
前記阻止手段6は、図6に示す如く、前記併合具12に設けたネジ挿通孔12eと、前記支持具3に設けた雌ネジ8fと、雄ネジ11とからなり、前記第2係止手段5の第2係止具12cと第2係止片8b−1が係合状態のときに、雄ネジ11をネジ挿通孔12eへ挿通して雌ネジ8fに螺着(図3(A)参照)することで、カウンター2の左右方向への移動を阻止するようにしてある。
【0018】
次に、本実施の形態に係る本発明構造1の施工手順を説明する。
先ず、図1(A)に示す如く、カウンター2の下面の所定位置に、左右方向に沿って一定間隔P毎に併合具12の複数個(本例では、3個)を取付け固定すると共に、壁面Waの所定位置に左右方向に沿って一定間隔P毎に支持具3の複数個(本例では、3個)を取付けて配置する。
【0019】
次に、カウンター2を複数個の支持具3に載置して支持させつつ左右方向へ沿って他方(本例では、右方)へ移動させ、第1係止手段4及び第2手段5の各々を並行して係合させる。
最後に、少なくとも一つの阻止手段6の雄ネジ11を螺着すると共に、カウンター2の下方にカバー14を取付け配置して完了する。なお、カバー14は、支持具3の支持具本体8の補強片8dに連結するか、またはカウンター2に連結する等して取付けられる。
【0020】
本発明構造1は、図1に示す如く、壁部Wに複数個の支持具3を取付け配置すると共にカウンター2の下面に複数個の併合具12を取付け固定するたけで、第1係止手段4及び第2係止手段5を得ることができるので、従来に比べて短時間で第1係止手段4及び第2係止手段5を得ることが可能となり、施工時間を短縮することができる。更に、本発明構造1は、第2係止手段5の第2係止片8b−1に雄ネジ11を螺着するだけで、カウンター2の水平方向への移動を阻止する阻止構造を簡単に得ることができるので、従来に比べて施工時間を短縮することができる。
【0021】
本発明構造1は、図1に示す本実施の形態の如く、一方を左にすると共に他方を右にしているが、逆に一方を右にすると共に他方を左にすることも可能であり、また、複数個の支持具3の取付け固定を本実施の形態のように壁部Wに対して行う以外に、図示は省略しが、床部に対して複数個の支持具3を取付け固定して壁面Waに沿って起立させる態様も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明構造1は、浴室の壁部Wに施工する以外に、洗面室等の壁部等に沿って施工することもある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態を示すものであり、図(A)は施工後の状態を示すものであつて、カバーの一部を破断した正面図、図(B)は支持具にカウンターを載置する前の状態を示す正面図である。
【図2】図1のII−II線で断面して拡大した左側面図である。
【図3】図(A)は同実施の形態における第1係止手段及び第2係止手段の係合状態を示す拡大した正面図、図(B)は図(A)のb−b線で断面した平面図である。
【図4】同実施の形態において、壁部に取付け固定する支持具を示す斜視図であって、図(A)は取付具と支持具本体とを分離した状態を示し、図(B)は壁部に取付け固定した状態を示すものである。
【図5】同実施の形態における併合具を示す斜視図であって、図(A)は併合具及び雄ネジを示し、図(B)はカウンターの下面(裏面)に取付け固定した状態においてカウンターを破断して示すものである。
【図6】同実施の形態における第1係止手段及び第2係止手段を示す斜視図であって、図(A)は支持具にカウンターを載置したときの両係止手段の非係合状態を示し、図(B)は両係止手段の係合状態においてカウンターを左右方向に沿って断面して示すものである。
【図7】従来のカウンター取付構造を示す正面図であって、図(A)は取付け後の状態を示し、図(B)取付け前の状態を示すものである。
【符号の説明】
【0024】
2…カウンター、3…支持具、4…第1係止手段、5…第2係止手段、6…阻止手段、7…取付具、8…支持具本体、8b−1…第2係止片、8c…第1係止具、12…併合具、12b−1…第1係止片、12c…第2係止具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部又は床部に取付け配置された支持具と、支持具に支持されて壁面から手前へ張り出して左右方向へ延びるカウンターと、前後方向で係合してカウンターを手前へ移動させない第1係止手段と、上下方向で係合してカウンターを上方へ移動させない第2係止手段とを備えたカウンター取付構造において、前記カウンターの下面に併合具が取付け固定され、前記第1係止手段は、前記支持具に設けられ左右方向の何れか一方へ延びる第1係止具と、上記併合具に設けられ左右方向の他方へ延びて第1係止具と係合する第1係止片を備え、前記第2係止手段は、上記併合具に設けられ上記他方へ延びる第2係止具と、前記支持具に設けられ上記一方へ延びて第2係止具と係合する第2係止片を備え、前記支持具に前記カウンターを支持させた状態で、カウンターを他方又は一方へ移動させることで、第1係止手段及び第2係止手段を係合状態又は非係合状態となるようにしたことを特徴とするカウンター取付構造。
【請求項2】
前記第2係止具にネジ挿通孔を設けると共に前記第2係止片に雌ねじを設け、前記第2係止手段が係合状態のときに、ネジ挿通孔を介してを雌ねじに雄ネジを螺着脱できるようにした請求項1記載のカウンター取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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