カスタマイズリポートに基づく航空機性能検出方法
【課題】カスタマイズリポートに基づく航空機性能検出方法を提供する。
【解決手段】カスタマイズリポートに基づく航空機性能検出方法に関し、航空機稼動状態を反映するデータを収集すること120と、収集した前記データに基づき、航空機稼動状態に関する一つまたは複数の主パラメータを含むよう特注されたカスタマイズリポートを生成すること140と、前記カスタマイズリポートを、格納または転送すること160と、前記カスタマイズリポートに基づき、前記航空機の性能を検出すること180と、を含む。
【解決手段】カスタマイズリポートに基づく航空機性能検出方法に関し、航空機稼動状態を反映するデータを収集すること120と、収集した前記データに基づき、航空機稼動状態に関する一つまたは複数の主パラメータを含むよう特注されたカスタマイズリポートを生成すること140と、前記カスタマイズリポートを、格納または転送すること160と、前記カスタマイズリポートに基づき、前記航空機の性能を検出すること180と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機性能検出の方法に関し、特に、カスタマイズリポートに基づく航空機性能検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機は、現代社会における重要な交通手段である。日々大勢の人々が航空機に乗って旅行している。航空機の飛行の安全性は必ず保証されなければならない。航空機のある部材が故障し、飛行条件に適合しないのであれば、航空機は、故障が排除されるまで、飛行を停止してメンテナンスを行わなければならない。したがって、航空機のある部材が故障すると、航空機の遅延、ひいては飛行中止につながる可能性が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、航空機のメンテナンスの方法としては、主に、事後のメンテナンスまたは定期メンテナンス方式が採用されている。上述したように、事後のメンテナンスでは、航空機の遅延や飛行中止が避けがたい。航空機のある部材をメンテナンスすることは長い時間を要するからである。場合によっては、価格の高騰や、備品を使い切ってしまったといった理由により、飛行場に取り替え可能な備品がないと、直接航空機の飛行停止につながる。定期メンテナンス方式では、ある一定の時間を経てから航空機のある部材に対してメンテナンスまたは交換を行う。これは、航空機の遅延または飛行中止をある程度は避けることができるものの、コストが非常に高いことが欠点である。特に、価格が高騰しているある部材について、定期メンテナンスおよび交換時に性能が依然として良好である可能性があり、この場合膨大な浪費につながってしまう。また、ある特殊な状況に対して、航空機上のある部材の性能がすぐに劣化する可能性がある。この場合、定期メンテナンス方式では、航空機の遅延および飛行中止を完全には避けることができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従来技術に存在する一つまたは複数の技術的課題に対して、本発明の一つの局面では、カスタマイズリポートに基づく航空機性能検出方法を提供し、当該航空機性能検出方法は、航空機稼動状態を反映するデータを収集することと、収集した前記データに基づき、航空機稼動状態に関する一つまたは複数の主パラメータを含むよう特注されたカスタマイズリポートを生成することと、前記カスタマイズリポートを、格納または転送することと、前記カスタマイズリポートに基づき、前記航空機の性能を検出することと、を含む。
【0005】
本発明の別の局面では、前記方法により、航空機の性能を検出することと、航空機の性能の故障に応じて、航空機にメンテナンスを行うこと、または、航空機の性能の衰退に応じて、適切なタイミングでの航空機に対するメンテナンスを手配することとを含む、航空機のメンテナンス方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に基づく、カスタマイズリポートに基づく航空機性能検出方法のフローチャートである。
【図2】図2は、ユニット酸素システムの性能変化曲線の模式図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に基づく、ユニット酸素システム性能を検出する方法のフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に基づくカスタマイズユニット酸素リポートの実例である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に基づく、ユニット酸素システムの酸素ボンベの酸素の標準状態圧力と測定時間との関係の模式図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に基づく、ユニット酸素システムの酸素ボンベの酸素の標準状態圧力と測定時間との関係の模式図である。
【図7】図7は、図6に記載の実施形態に基づく、ユニット酸素システムの24時間3日間の移動平均漏洩率と測定時間との関係の模式図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に基づく、航空機ユニット酸素システムに対するメンテナンス方法のフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の一実施形態に基づく航空機着陸の検出方法のフローチャートである。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に基づく、航空機ACMSシステムにより着陸リポートを生成する方法のフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の一実施形態に基づき、ACMSシステムにおいて、着陸ショートリポートを生成するトリガーの関係模式図である。
【図12】図12は、本発明の別の一実施形態に基づく、航空機ACMSシステムにより着陸リポートを生成する方法のフローチャートである。
【図13】図13は、本発明の一実施形態に基づく、ACMSシステムにおいて着陸ロングリポートを生成するトリガーの関係模式図である。
【図14】図14は、本発明の一実施形態に基づく、カスタマイズ着陸ショートリポートの例示である。
【図15】図15は、本発明の別の一実施形態に基づく、カスタマイズ着陸ロングリポートの例示である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図を参照して、本発明の好ましい実施の形態についてさらに詳細な説明を行う。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態に基づく、カスタマイズリポートに基づく航空機性能検出方法のフローチャートである。図1に示すように、前記方法100は、ステップ120において、航空機稼動状態を反映するデータを収集することを含む。本発明の一実施形態によれば、航空機データシステムを利用して、航空機稼動状態のデータの収集を行う。航空機システムが複雑になればなるほど、航空機データシステムは、大きく発展してきた。例えば、エアバスの飛行状態監視システムAircraft Condition Monitoring System(ACMS)システムおよびボーイング社の飛行健全監視システムAircraft Heath Monitor(AHM)システムがある。
【0009】
エアバスのACMSシステムを例に取ると、ACMSシステムは、エンジン、乗組員、空中補助動力装置Airborne Auxiliary Power Unit(APU)および客室を含む、航空機上の複数の重要部材の性能を監視する。ACMSシステムはさらに、重要飛行機性能監視(Aircraft Performance Monitoring)、データ記録(Date Recording)、特別調査・故障検索(Special Investigation & Trouble Shooting)などの機能を備える。ACMSシステムは、リアルタイムに13,000超の項目の飛行データを測定する。
【0010】
図1に示すように、前記方法100はさらに、ステップ140において、収集した前記データに基づき、カスタマイズリポートを生成することを含む。このステップも同様に、飛行データシステムを利用して行われる。ACMSシステムおよびAHMシステムの一つの機能として、一定のトリガー条件を満たす場合に、リアルタイムに監視されたデータに基づき、特定データを含むリポートを自動生成することが可能である。本発明の一実施形態に基づき、ACMSシステムまたはAHMシステムを利用して、カスタマイズリポートを生成する。
【0011】
エアバスのACMSシステムを例に取ると、ACMSシステムは、飛行総合データシステムAircraft Integrated Data System(AIDS)を含む。そして、データ管理ユニットData Management Unit(DMU)は、AIDSシステムの核心である。DMUは、次の非常に重要な2つの機能を備える。
【0012】
ブラックボックスからのデータを含む、航空機上の多数のパラメータを収集、処理、記録する。これらパラメータは、DMU内部の不揮発性メモリ、または外部レコーダ、例えばAIDSデジタルレコーダDigital AIDS Recorder(DAR)に保存される。
【0013】
システムリポートを生成する。航空機の状態またはシステムパラメータがリポートのトリガー条件を満足する場合、特定リポートの生成を引き起こす。
【0014】
図1に示すとおり、前記方法100はさらに、ステップ160において、前記カスタマイズリポートを格納または転送することを含む。本発明の一実施形態によれば、カスタマイズリポートは、DMUの不揮発性メモリに格納することができる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、カスタマイズリポートは、航空機通信アドレス指定および報告システムAircraft Communication Addressing and Reporting System(ACARS)により転送することができる。ACARSは、航空機と、地上のステーションとの間で、無線または衛星によりリポート(すなわちショートメッセージ)を伝送するデジタルデータ連鎖システムであり、航空会社の空中・地上、地上・地上の大容量データ通信のためにサービスを提供しており、各種情報の交換を行う。
【0016】
ACARSシステムは、ACARS管理ユニット(MU)と称する航空電子コンピュータと、制御表示装置ユニットControl Display Unit(CDU)とから構成される。MUは、地上からの超短波無線デジタルリポートを送受信するためのものである。地上において、ACARSシステムは、無線送受信機構を備える地上ワークステーション410が構成するネットワークよりなり、リポート(データリンクメッセージ)を送受信可能である。これら地上ワークステーションは一般的に、各サービスブロバイダにより所有され、受信したリポートをネットワーク上の異なる航空公司のサーバ上に配布する。
【0017】
一方、ACARSは、飛行する航空機が、乗組員の関与なしに、航空会社の地上ワークステーションに自動で飛行の動向、エンジンパラメータ等のリアルタイムデータ情報を提供するようにさせることが可能であり、同時に、そのほかの各種情報を地上に伝送して、航空会社稼働制御センターに、自身の応用システムにおいて、航空機のリアルタイムの絶え間ない大量飛行データおよび関連情報を取得させ、適時会社の航空機の動向を把握させて、航空機に対するリアルタイム監視を実現し、航空業務、運営、機械業務等各関連部門管理の要求を満たすことができる。また、地上から、上空を飛行中の航空機に対して気象情報、航路状況、上空緊急故障対応措置等の複数のサービスを提供して、飛行安全保障能力および旅客に対するサービスのレベルを高めることができる。通常用いられるVHF地上・上空通信チャンネルが日増しに飽和し、情報伝送量少が少なく、速度が遅い状況において、こうした双方向のデータ通信システムは、地上、上空の通信の保障能力を明らかに改善し、高めることができる。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、カスタマイズリポートは、航空通信網Aviation Telecommunication Network(ATN)の通信装置またはシステムに基づき、転送することもできる。
【0019】
図1に示すように、前記方法100はさらに、ステップ180において、前記カスタマイズリポートに基づき、前記航空機の性能を検出することを含む。カスタマイズリポートにより、航空機稼動状態を反映したパラメータの数値を取得することができる。これらパラメータの数値は、航空機の性能を検出可能であり、航空機の「状況による」メンテナンスを実現する。
【0020】
「状況による」メンテナンスの概念は、すでに何年も前から提案されている。しかしながら、航空機性能の検出および航空機メンテナンスにおいては、今まで適切な応用がなされていなかった。その原因を突き詰めてみると、重要な一面は、飛行データの復号コストが高騰しており、日常メンテナンスの方法として行うことができない点にある。これに対して、本発明は、カスタマイズされた特注リポートにより、この課題を解決し、航空機の状態のリアルタイム監視を可能とした。本発明は、航空機データシステムが航空機稼動状態データを取得する機能を利用して、必要に応じて柔軟にカスタマイズリポートを生成することができ、リポートは、保存、転送された後、航空機性能の検出に役立てることが可能である。
【0021】
より正確に航空機の状態を反映したものを取得するために、直接取得したパラメータ数値を修正する必要がある。本発明の一実施形態によれば、カスタマイズリポートには、航空機の状態を直接反映した主パラメータと、主パラメータを修正するための補助パラメータとが含まれる。
【0022】
飛行状態のデータを取得する場合、航空機の状態を最も反映する時刻を選んで、カスタマイズリポートの主パラメータまたは補助パラメータの数値を取得する必要がある。さらに、ある特定の時刻に対して、より正確な結果を取得するために、複数回測定して平均値を取得する方式で、同一パラメータを測定してもよい。または,ある一定時間内の最大値および最小値を記録して、主パラメータまたは補助パラメータの限界値を反映させる。こうして、一つまたは複数のトリガー条件に応じて、前記一つまたは複数の時刻における前記主パラメータおよび補助パラメータの数値を取得する。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、航空機性能の検出に役立つように、前記主パラメータおよび補助パラメータの数値を指定状態下の数値に換算する。
【0024】
多数の航空機の状態のパラメータから適切な主パラメータをいかに選択して、カスタマイズリポートを生成するかは、特に比較的複雑なシステムについて、選択可能なパラメータが多い状況では難題である。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、前記航空機稼働状態と相関する複数のパラメータを取得してから、前記複数のパラメータが表す物理的意味に基づき、複数の主パラメータを確定する。複数の主パラメータを取得した後、主パラメータ間で、高度に相関する場合がある。こうした状況では、一つの主パラメータの変化が、別の主パラメータの変化を表す可能性がある。したがって、相関度をチェックすることにより、高い相関部分の主パラメータを取り除くことができる。本発明の一実施形態によれば、複数の主パラメータ間の相関度を計算する。また、複数の主パラメータ間の相関度に基づき、複数の主パラメータのうちの一つまたは複数を取り除く。このステップにより、当該航空機部材の稼働状態を反映した、比較的独立した複数の主パラメータが取得される。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、以前の、当該航空機部材の故障事件が発生した際前記航空機の状態と相関した複数のパラメータのデータを利用し、データマイニングにより、どのパラメータと当該航空機の故障事件が高度に相関するかを判断して、これによって、主パラメータを確定することができる。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、前記複数のパラメータのデータ変化と前記航空機部材の前記故障事件との関連度を計算する。故障事件は、あるパラメータの悪化に直接影響する。例えば、ユニット酸素システムに漏洩が生じた場合、ユニット酸素圧力パラメータが急速に降下する。エンジンが故障した場合、エンジンの回転数が急速に降下する。前記航空機の状態と相関するパラメータと、故障事件を表すパラメータとの関連度を計算すれば、このパラメータと故障事件との関連度を反映することができる。本発明の一実施形態によれば、偏相関(Partial Correlation)法により、前記航空機の状態と相関するパラメータと、故障事件を表すパラメータとの関連度を計算する。統計学における複数種類の偏相関分析法はいずれも本実施形態に応用可能である。計算により、当該パラメータと故障事件との関連度がある閾値より大きいことが判明した場合、当該パラメータを一つの主パラメータとする。この方法により前記航空機の状態と相関する全てのパラメータを検証すれば、航空機の状態を反映する主パラメータを取得することができる。
【0028】
閾値の取り得る値によって、最終的な主パラメータの数が確定し、また、性能検出の正確さの程度も確定する。パラメータが多ければ、当然検出がより正確なものとなるが、この検出方法を実施するコストも高くなる。航空機部材の性能が複数のパラメータと相関し、各パラメータの相関度がいずれも高くない場合は、より多くのパラメータを取り入れるために閾値を下げる必要がある。本発明の一実施形態によれば、閾値の取得値の範囲は0.3〜0.5である。航空機部材の性能が少数のパラメータと相関し、かついずれかのパラメータとの相関度が高い場合、不要な検出を減らすために閾値を引き上げることができる。本発明の一実施形態によれば、閾値の取得値の範囲は0.6〜0.8である。
【0029】
したがって、カスタマイズリポートの前記主パラメータは、以下のステップにより確定できる。すなわち、前記航空機稼働状態と相関する複数のパラメータを取得し、前記複数のパラメータと航空機故障事件とを関連付けて、データマイニングにより前記複数のパラメータと航空機故障事件との相関度を計算することにより、複数の主パラメータを確定する。同様に、複数の主パラメータ間の相関度を計算可能である。その後、複数の主パラメータ間の相関度に基づき、複数の主パラメータのうちの一つまたは複数を取り除く。
【0030】
以下、一つの具体な実例により、このようなカスタマイズリポートの主パラメータと補助パラメータを確定する形態を説明する。
【0031】
空中補助動力装置(Airborne Auxiliary Power Unit)とは、補助動力装置APUと簡単に呼ばれ、機体後部に取り付けられる小型タービンエンジンのことである。APUは、主要な機能として、電源および空気を供給することであり、また、一部のAPUは、航空機に付加的な駆動力を与えることも可能である。具体的には、航空機は、地上を離陸する前に、地上の電力、空気供給車ではなく、APUによる電力供給によって主エンジンを駆動させ、航空機を発動する。地上では、APUはさらに、電力および圧縮空気を提供して、客室およびコックピット内の照明、空調を保証している。航空機が離陸する際には、APUがバックアップ電源として使用可能である。航空機着陸後も、APUにより照明、空調に電力が供給される。
【0032】
APUの機能によって、その動作の安定性が決まるが、これは、航空機の運航コストおよびサービスの質に直接関係するものである。又、地上電源および空気供給源が確保できない場合、APUに故障が生じると、航空機の運航不能に直結してしまう。現在、APUの故障の排除およびメンテナンスは、ほとんど事後処理である。しかしながら、航空機設備において、APUは、メンテナンス費用が高い設備である。そして、APU全体の部材の価格が高く、予備の部材を保持するコストも高く、故障後の修理に、4〜5ヶ月を要する。事後処理のメンテナンス方式では、APUの安定的な動作は保証できない。又、APUを修理に出した後時間がかかることから、航空機の遅延ひいては欠航に直結する。
【0033】
本発明の一実施例によれば、カスタマイズAPUリポートを生成させることによって、APUの動作状態を検出することができる。カスタマイズAPUリポートの主パラメータを確定する場合に、APUシステムが相対的に繁雑であるため、APU動作状況に関するパラメータが多い。例えば、エンジンを駆動して動作させる段階におけるパラメータには、EGT温度と、IGV開口角度と、空気圧縮機入口圧力と、負荷空気圧縮機入口温度と、吸気流量と、吸気圧力と、潤滑油温度と、APU発電機負荷とが含まれる。APU駆動時のパラメータには、駆動時間と、EGTピークと、EGTピーク時の回転数と、負荷空気圧縮機入口温度とが含まれる。
【0034】
エンジンからすれば、熱機関への影響は、主に、使用時間と、排気温度EGTという二つの指標がある。APUに故障が発生した時、APUの排気温度が上昇し、限界値に近づく。従って、この二つのパラメータに注目して有利の情報を絞り出す。本実例では、偏相関の方法によって、外部環境、例えば海抜、全温、発電機負荷、吸気流量、入口圧力、負荷空気圧縮機入口温度の影響を除去する。APUの実データの解析によって、以下の結果が得る。
【0035】
【表1】
【0036】
本実例では、相関性rは三段に分け、その中、|r| < 0.4が低度リニア相関であり、0.4≦|r|<0.7が有意性相関であり、0.7≦|r|<1が高度リニア相関である。
【0037】
解析結果によると、使用時間TSR、駆動時間STA、エンジン排気温度EGT、吸気圧力PT間がお互いに弱相関であるが、入口ガイド羽根角度IGV及び潤滑油温度(OTA)と、使用時間TSR、駆動時間STA、エンジン排気温度EGT、吸気圧力PTとは強相関であることが分る。
【0038】
このことから、APUの各部材が正常に動作する場合に、入口ガイド羽根角度IGVと潤滑油温度OTAが、使用時間TSR、駆動時間STA、エンジン排気温度EGT、吸気圧力PTで示してもいいと分る。他方、使用時間TSR、駆動時間STA、エンジン排気温度EGT、吸気圧力PTというパラメータは比較的独立なものであり、あるAPUの動作特性をそれぞれ表現する。この四つのパラメータ特性を利用し、それらの組合せによって、APUの全体の性能状況を反映させることができる。
【0039】
カスタマイズリポートは特注により生成されてもよい。本発明の一実施例によれば、まず、航空機のデータシステムに前記トリガー条件が満足されたか否かを監視するための第一プロセスを開始し、トリガー条件が満足された場合、カスタマイズリポートに関する処理を完成するように、航空機のデータシステムがカスタマイズリポートのタスク処理状態に移行する。このような工夫の利点は、非トリガー状態では、航空機のデータシステムがカスタマイズリポートのタスクを監視する必要がなく、システムリソースを節約するようになることがその一つである。トリガー条件が満足されれば、カスタマイズリポートへの処理のタスクが開始する。
【0040】
本発明の一実施例によれば、第一プロセスは、カスタマイズリポートを生成する条件が満足されたか否かを監視するための第二プロセスとカスタマイズリポートが要求する前記主パラメータおよび前記補助パラメータの数値を収集するための第三プロセスを開始させる。そして、第二プロセスがカスタマイズリポートを生成する条件が満足されたと確定した場合に、前記第三プロセスで収集された前記主パラメータおよび前記補助パラメータの数値を利用して、カスタマイズリポートを生成する。このようにして、カスタマイズリポートの生成条件を柔軟に制御することができ、そして、所定の条件が満足される限り、カスタマイズリポートが生成される。
【0041】
以下、一つの具体の実例によって、このようなカスタマイズリポートの生成形態を説明する。
【0042】
エンジンにおける吸気システムは、航空機の空調、加圧、翼防氷、液圧等のシステムが安全的かつ確実に作動することを保証する前提である。しかし、高い発生率と、高い再発率と、長い排除時間と、高い難しさは、長い間に航空業務のメンテナンスを困らせる課題になっている。現在、従来の方法では、データを時間通りに正確に処理することができなく、故障の排除が時間通りに行かず、飛行中断になってしまう恐れがあり、ひいては飛行中の重大安全事故にまで及ぶ。
【0043】
本発明の形態によれば、カスタマイズ吸気リポートを生成することにより、エンジンの吸気システムを検出することができる。エンジンにおける吸気システムの性能を反映させるには、左・右エンジン予冷器の出口温度を検出する必要がある。温度が高すぎたり低すぎたりする場合、エンジンの吸気システムに故障があると示す。従って、カスタマイズ吸気リポートは、主パラメータが左・右エンジン予冷器の出口温度が220度より高かったり155度より低かったりする持続時間と、該持続時間における左・右エンジン予冷器の出口温度と、該持続時間における左・右エンジン予冷器の出口温度の最大値或いは最小値により構成される。前記カスタマイズ吸気リポートの補助パラメータは航空機の高度と外部温度とを含んでも良い。
【0044】
本発明の一実施例によれば、航空機のシステムに、航空機が離陸、上昇または降下段階のいずれかにあるかを判断するように、第一プロセスを開始する。航空機が離陸、上昇または降下段階にあると判断する場合に、左・右エンジン予冷器の出口温度が220度より高かったり、155度より低かったりし、かつ持続時間が5秒以上であるか否かを判断する第二プロセスと、左・右エンジン予冷器の一秒毎の出口温度と、航空機の高度と、外部温度とを収集する第三プロセスとを開始させる。
【0045】
左・右エンジン予冷器の出口温度は、220度より高かったり、155度より低かったりし、かつ持続時間が5秒以上である場合には、第三プロセスで収集された左・右エンジン予冷器の出口温度と、航空機の高度と、外部温度と、及び関する持続時間の情報に応じて、カスタマイズ吸気リポートを生成する。
【0046】
カスタマイズ吸気リポートは、乗組員や整備員が観察したりプリントしたりするように、DMUに格納されても良い。カスタマイズ吸気リポートはACARSシステムに介して航空会社のサーバに転送されても良く、それにより、航空機の吸気システムの性能をリアルタイムに監視することができる。地上の航空会社は、検出されたエンジン吸気システムの性能によって、航空機に対して着陸メンテナンスをリクエストするまでも、対策を決めてもよく。
【0047】
本発明の一実施例によれば、カスタマイズリポートの前記トリガー条件や前記リポート生成条件は変更することができる。例えば、カスタマイズリポートのトリガー条件は、航空機が飛行の度にカスタマイズリポートを生成するようにセットされている。多数の選択された飛行データを容易に取得できるからである。多くの性能検出やメンテナンスモデルについて、トレーニングやラーニングのための実データが多く求められる。カスタマイズリポートは、これらトレーニング用データの提供に最適である。
【0048】
何回もの飛行のカスタマイズリポートを収集すれば、何回もの飛行のカスタマイズリポートにより提供される飛行状態データによって、実際の物理モデル、特徴進化モデル、又は知能モデルに基づき、航空機の性能を検出することができる。
【0049】
実際の物理モデルとは、航空機部材の実際物理特性により作成されるモデルである。該モデルは、航空機性能の真実の状況を実際的に反映することができる。
【0050】
特徴進化モデルとは、航空機性能の衰退率により航空機性能の状況を反映するモデルである。該モデルは、既存の故障モードによって作成されるモデルであり、基本的に、航空機の性能を真実に反映することができる。
【0051】
知能モデルとは、精確の数学と物理モデルによらずに、多量のデータのラーニングやトレーニングによって形成される“知能”モデルである。神経回路網モデルは通常の知能モデルである。
【0052】
航空機の異なる部材に対して、これら部材の状態を反映するように、異なるモデルを作成することができる。カスタマイズリポートは、これらモデルの作成に寄与するものである。そして、これらモデルに基づき、カスタマイズリポートのデータを判断することにより、航空機性能への検出を図る。
【0053】
本発明の一実施例によれば、本発明における上記の実施例の航空機状態の検出方法により、航空機の性能を検出した場合に、航空機の性能に故障があると検出すれば、直ちに航空機のメンテナンスを行うことができる。航空機の性能が衰退期に入ったに過ぎないと検出すれば、適切なタイミングで航空機に対するメンテナンスの実施を手配することによって、航空機の“場合による”メンテナンスを実現することができる。
【0054】
以下、三つの具体の実例によって、さらに本発明のカスタマイズリポートに基づく航空機性能の検出方法を説明する。
【0055】
乗員用酸素システムの応用実例:
図2は、乗員用酸素システムの性能変化曲線の模式図である。全ての酸素システムは、ガス漏れが少量存在するため、温度が固定の場合、異なる時間でΔPの圧力差を生成する。ガス漏れ率は、PL=ΔP/tで示される。ガス漏れ率PLが安定な場合に、乗員用酸素システムの性能は安定期にあるが、ガス漏れ率PLが漸次に増大する場合、乗員用酸素システムの性能は減衰期に入り、ガス漏れ率PLは一つの閾値PLgよりも大きい場合、乗員用酸素システムの性能は故障期に入り、故障が現れる可能性があり、飛行安全性に悪影響を与えるとともに、計画でないメンテナンスを生じさせ易く、航空機の遅延や欠航をもたらす。従来の技術では、乗員用酸素システムが減衰期に入ったか否かを検出する手段がない。本発明の一実施例では、このような検出を実現することができる。
【0056】
乗員用酸素システムとしては、主パラメータが比較的に取得しやすい。乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧は、乗員用酸素システム性能の反映に最適な主パラメータである。乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧が温度と関係があるので、酸素圧の取得の同時に、同期に酸素ボンベの酸素の温度を取得する必要がある。しかし、酸素システムに温度センサーを取り付けないことが一般的である。このため、その他の計測できる温度によって、酸素ボンベにおける酸素の温度を計算する必要がある。
【0057】
乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの位置を考慮すると、本発明の一実施例では、下記式により酸素ボンベにおける酸素の温度を算出できる。
【数1】
【0058】
但し、Tatは大気温度又は機体外温度を示し、Tcは操縦室温度を示し、k1とk2は調整パラメータであり、かつ、k1+k2=2を満たす。本発明の一実例では、k1>k2である。即ち、酸素温度Tは、大気温度Tatと操縦室温度Tcに関連し、かつ、大気温度による影響はより大きい。当然ながら、その他の平均値式を用いて酸素温度を算出してもよい。
【0059】
本発明の一実例では、k1=k2である。即ち、式(14)は以下の通り書き直すことができる。
【数2】
【0060】
但し、kは調整パラメータである。本発明の一実例では、kは数値1に比較的に近接する数である。k、k1及びk2は、いずれも実際の測定により得られても良く、統計分析により得られてもよい。
【0061】
本発明の一実施例では、k=1を取っても良い。式(2)は以下の通り書き直すことができる。
【数3】
【0062】
このように算出された酸素温度は、式(1)と(3)により算出された値ほど正確ではないが、本発明の乗員用酸素システムの性能を検出する実施例からすれば十分である。
【0063】
酸素温度を取得した後、異なる温度で測定された乗員用酸素の圧力は、比較及び漏れ率の算出を行うように、標準温度での標準状態圧力に変換されることができる。標準状態圧力は、下記式により算出することができる。
【数4】
【0064】
但し、Psは標準状態圧力、Tsは標準温度、Pは測定された酸素圧、Tは測定時の酸素の温度である。標準温度は25℃を取っても良い。当然ながら、その他の温度を採用することができる。
【0065】
図3は本発明の一実施例による乗員用酸素システムの性能への検出の方法のフローチャートである。図3に示す乗員用酸素システムの性能への検出の方法300において、ステップ310で、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。ステップ320で、取得された乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度に基づいて乗員用酸素リポートを生成する。
【0066】
ステップ330で、生成された乗員用酸素リポートを乗員用酸素リポートを処理するためのサーバに伝送する。ステップ340で、大気温度と操縦室温度に基づいて、サーバは乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧を標準温度での標準状態圧力に変換する。標準温度は、25℃を取っても良い。当然ながら、その他の温度を採用してもよい。
【0067】
図3に示すように、ステップ350で、ステップ310〜340の方式に従って、異なる時間での乗員用酸素システムの標準状態圧力データを複数組取得する。異なる時間での乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準温度における標準状態圧力を複数組取得した後、これらデータに対する処理と評価によって乗員用酸素システムの性能を確定することができる。図4は、本発明の一実施例のカスタマイズ乗員用酸素リポートの実例である。
【0068】
ステップ360で、異なる時間での複数組の標準状態圧力データを分析することにより、乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定する。又は、ステップ370で、異なる時間での複数組の標準状態圧力データを一サンプルとして、同一類型の航空機の他の組の標準状態圧力データの他の一サンプルと比較することにより、乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定する。
【0069】
本発明の一実施例では、飛行区間漏れ率により乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定する。乗員用酸素システムの飛行区間漏れ率は、下記式により算出することができる。
【数5】
【0070】
但し、t1は航空機の離陸時間、t2は航空機の着陸時間、Ps1は航空機離陸時の乗員用酸素標準状態圧力、Ps2は航空機着陸後の乗員用酸素標準状態圧力である。これにより、離陸前と着陸後の乗員用酸素標準状態圧力の変化ΔPsに基づいて乗員用酸素システムの性能を確定することができる。例えば、ΔPs=Ps1−Ps2は100 PSIよりも大きい場合は、機上酸素システムの性能が劣化した。
【0071】
また、飛行区間漏れ率に基づいて乗員用酸素システムの性能を確定してもよい。例えば、飛行区間漏れ率PL=ΔPS/t=(PS1−PS2)/(t2−t1)は48 PSI/日よりも大きい場合は、機上酸素システムの性能が劣化した。
【0072】
算出された飛行区間漏れ率に基づいて、さらにある温度での乗員用酸素システムの圧力の示度を推定する。これにより、冬季で飛行後の航空機とクール状態の飛行機との大きい温度変化による飛行前の計画でない酸素ボンベの交換を大きく減少することができる。
【0073】
本発明の一実施例では、乗員用酸素システムの酸素標準状態圧力Psと乗員用酸素システムの酸素ボンベの取付時間toと対する統計関係に基づいて、フィットカーブ(fit curve)の傾きの検出によって乗員用酸素システムの性能を確定する。
【0074】
Psとtoとの関係は、下記式に該当する。
Ps = β1 + β2 * to + μ (6)
【0075】
但し、Psは標準状態圧力、toは乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの取付時間、β1は、飛行時間に関する切片項目、β2は、酸素システムの気密性を表す傾き項目、μは、Psとtoとの間の不確定性を表すランダム摂動項目である。
【0076】
toの平均値は、以下の通りに示しても良い。
【数6】
【0077】
但し、nは計算に関与するサンプルデータポイントの個数を示す。
【0078】
Psの平均値は、以下の通りに示しても良い。
【数7】
【0079】
但し、nは計算に関与するサンプルデータポイントの個数を示す。
【0080】
式(6)〜(8)によって、β2は下記式により算出することができる。
【数8】
【0081】
β2は負値である。β2の値が小さいほど乗員用酸素システムの気密性が悪くなることを示す。傾き項目であるβ2の変化を検出することにより、乗員用酸素システムの性能を確定することもできる。異なる航空機間の傾き項目β2を比較することにより、これら航空機の乗員用酸素システムの性能を知ることもできる。
【0082】
上記の傾き検出方法により乗員用酸素システムの性能を検出する場合、計算に関与するデータポイントで示される時間内には、酸素ボンベ交換又は酸素投与などの事象がないほうが好ましい。
【0083】
本発明の一実施例では、漏れ率の互いに独立したサンプルTテスト(Independent Sample Test)の方法により、乗員用酸素システムの性能が劣化したと確定する。
【0084】
飛行区間の時間間隔が短いので、システム圧力の変化が小さい可能性があり、外部温度フィット精度と圧力センサ検知精度により影響され易いため、計算により得られた標準状態圧力の波動は大きい場合がある。外部温度精度と圧力センサ精度による影響を減少させるために、本発明の一実施例では、飛行区間漏れ率の代わりに、間隔が24時間よりも大きい2つのポイントを用いて圧力比較を行い、即ち24時間間隔での漏れ率PL24を用いる。当然ながら、その他の時間間隔、例えば12又は36時間よりも大きい時間間隔を用いてもよい。同時に、サンプリングの問題によるデータ欠点の影響を解消するために、PL24について3日移動平均を用いることができ、その意味としては、3日内の全てのPL24の平均値を算出することである。3日は例として挙げたに過ぎず、その他の日数、例えば2〜4日を用いてもよい。これは、データの状況によるものである。
【0085】
本発明の一実施例では、下記式により、乗員用酸素システムの性能特性を反映する24時間3日移動平均漏れ率PL−avg24を算出する。
【数9】
【0086】
但し、nは3日内のデータポイントの個数を示す。
【0087】
本発明の一実例では、ある期間内に乗員用酸素性能が変化したか否かを確定したい場合、当該期間内の一組のデータを一組のサンプルとして取り、同時に、同一類型の航空機の他の一組のデータを一組のサンプルとして取ってもよい。二組のデータサンプルのPL−avg24を比較し、統計学確率によって二組のデータが顕著な変化が発生したか否かを確定することにより、乗員用酸素システムの性能の劣化期間と劣化度合を判定する。
【0088】
本発明の一実例では、まず、二組のデータのPL−avg24を算出するとともにPL−avg24の分散を算出する。S12は第1組のPL−avg24(n項のデータを含む)の分散であり、S22は第2組のPL−avg24(m項のデータを含む)の分散であると仮定した。S12/S22はF (n−1、m−1) の分布に従うべきであるので、差でF分布表を調査することによりFナンバーを確定する。Fナンバーによって、二組のデータは明らかな相違を有するか否かを判定することができる。テストによって二組のデータが同一の分布に属する確率が2.5%未満である場合は、二組のデータは明らかな相違を有すると考えられる。
【0089】
その他の独立したサンプルTテスト方法により二組のデータは明らかな相違を有するか否かを確定してもよい。このような相違は明らかである場合は、乗員用酸素システムの性能は明らかな変化が存在していることを示す。乗員用酸素システムの性能は明らかな変化が存在していると判定した場合は、漏れ率の平均値に基づいてどの組のデータが示す乗員用酸素システムの性能が劣化したかを容易に判定することができる。
【0090】
平均漏れ率の独立したサンプルテスト法は、同一の航空機の異なる期間のデータを用いてもよいし、同一類型の異なる航空機のデータを用いてもよい。そのため、このような方法は比較的に柔軟である。又、このようなテスト方式は、酸素ボンベ交換と酸素投与か否かに制限されず、酸素ボンベ交換と酸素投与の前後の乗員用酸素システムの性能は明らかな変化が発生したか否かを比較するのに用いられる。
【0091】
以下、実例によってどのように本発明の方法により乗員用酸素システムの性能が明らかに変化したか否かを検出するかを説明する。
【0092】
図5は本発明の一実施例に係る乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準状態圧力と測定時間との関係の模式図である。図5では、折れ線はそれぞれ実際のサンプリング変換の標準状態圧力を示し、直線は、酸素の標準状態圧力と測定時間から回帰した直線を示す。傾き検出法の式(9)により検出を行うと、乗員用酸素システムの漏れ率が大きすぎ、傾きが−0.024929であり、正常な傾き−0.015よりも遥かに小さいことを発見した。これは、乗員用酸素システムの性能が劣化し、減衰期に入ったことを反映する。
【0093】
図6は本発明の一実施例に係る乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準状態圧力と測定時間との関係の模式図である。同図では、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベを一回交換する過程を示した。図6では、点は実際のサンプリング変換の標準状態圧力を示す。図7は図6に示す実施例に係る乗員用酸素システムの24時間3日の移動平均漏れ率と測定時間との関係の模式図である。酸素ボンベの交換の前後の二組のデータを2つのサンプルとし、独立したサンプルTテスト方法により両者が同一か否かをテストする。計算によると、酸素ボンベの交換の前後の二組のデータが同一である可能性が全くないことを表明した。乗員用酸素システムの性能が劣化し、平均漏れ率は元よりも2倍になる。乗員用酸素システムの性能は減衰期に入った。
【0094】
図5〜図7の実施例から分かるように、本発明に係る乗員用酸素システムの性能検出方法としては、乗員用酸素リポートから取得された乗員用酸素システムの酸素圧データと温度データに対する処理と分析に基づいて、傾きの算出又は独立したサンプルTテストなどの方法により、乗員用酸素システムの性能が劣化によって、さらに減衰期又は故障期に入るか否かを取得することができる。
【0095】
図8は本発明の一実施例に係る、航空機乗員用酸素システムのメンテナンス方法のフローチャートである。図7に示す航空機の乗員用酸素システムのメンテナンス方法800において、ステップ810で、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。ステップ820で、取得された乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度に基づいて乗員用酸素リポートを生成する。ステップ830で、生成された乗員用酸素リポートをサーバに伝送する。ステップ840で、サーバは乗員用酸素リポートを処理して、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準温度における標準状態圧力を取得する。ステップ850で、異なる時間での複数組の標準状態圧力データに基づいて、乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定する。ステップ860で、乗員用酸素システムの性能が劣化したら、適当な時機で乗員用酸素システムのメンテナンスを手配する。
【0096】
航空機の着陸品質の検知応用実例
“へビーランディング(Heavy Landing)”、又は“ハードランディング(Hard Landing)”とは、航空機の着陸時における垂直方向のスピードや加速度が限界値を超えた降下のことである。その中、へビーランディングは、航空機着陸重量が最大着陸重量より大きい時に限界を超え、ハードランディングは、航空機着陸重量が最大着陸重量以下の時に、限界を超えるといい、へビーランディングやハードランディングは、航空機の構造、特に翼と、着陸装置と、エンジンなど大きい荷重が加わる航空機部材に衝撃や振動を与え、航空機の構造に破損を発生させる。そのため、一旦へビーランディングを起こした場合、航空会社は、航行の安全のため、航空機の安全検査を厳しく行う必要がある。
【0097】
航空機メーカーによると、航空機のへビーランディングやハードランディング事件が乗組員により報告される制度が決まっている。しかし、乗組員によるへビーランディングやハードランディング事件の報告には、大きい不確定性がある。乗組員によるへビーランディングやハードランディング事件の報告について、殆ど最終処理結果として“へビーランディングやハードランディング未発生”にする。但し、処理の全体の流れにより、航空機の動作の中断と大きいメンテナンスリソースの消耗になってしまう。
【0098】
従って、従来の技術では、乗組員が一旦へビーランディングやハードランディング事件を報告すれば、整備員は、初期の飛行データを航空機のメーカーに提供して分析させなければならない。このようにすれば、コストが高いだけではなく、待ち時間も長く、航空機の正常飛行に影響を与える。
【0099】
本発明の一実施例によれば、カスタマイズ着陸リポートは、航空機のへビーランディング事件を検出することができる。カスタマイズ着陸リポートにおける着陸データは、以下のデータ
1. 航空機が接地する1秒前のRALT(電波高度ft)、RALR(垂直速度ft/sec)、PTCH(ピッチ角deg)、PTCR(ピッチスピードdeg/sec)、ROLL(ローリング角deg)、ROLR(ローリングスピードdeg/sec)、YAW(ヨーレートdeg/sec)の値と、
2. 航空機が接地する時のRALT(電波高度ft)、RALR(垂直速度ft/sec)、PTCH(ピッチ角deg)、PTCR(ピッチスピードdeg/sec)、ROLL(ローリング角deg)、ROLR(ローリングスピードdeg/sec)、YAW(ヨーレートdeg/sec)の値と、
3. 接地する1秒前から接地する期間のVRTA(垂直荷重)、LONA(縦方向荷重)、LATA(横方向荷重)の最大値と最小値と、
4. 接地する1秒前から接地した3秒内のVRTA(垂直荷重)、LONA(縦方向荷重)、LATA(横方向荷重)の最大値と最小値と、
からなる。
【0100】
ACMSシステムの取得したデータは、実時間で測定しデータバッファメモリに格納することができることを説明しなければならない。セットされているトリガー条件がトリガされた場合に、データバッファメモリからトリガー条件前の関するデータを完全に取得が可能で、かつ実現ができる。
【0101】
図9は、本発明の一実施例による航空機の着陸品質の検出方法のフローチャートである。図に示すように、本実施例の航空機の着陸品質の検出方法900は、航空機が接地する時の垂直速度が予定値を超えるか否かを判断するステップ910を備える。予定値を超えていない場合に、ステップ920で着陸リポートを生成する必要がない。
【0102】
ステップ920で適当の垂直速度の予定値を設定することによって、全ての擬似へビーランディングやハードランディング事件のデータの記録を確保することができる。本発明の一実施例では、垂直速度の予定値の絶対値が0.5ft/s(フィート/秒)以下とする。該垂直速度の予定値は、設定により航空機の着陸の度に生成した着陸リポートを収集することができ、即ち、この時の航空機を正常に着陸させることができる。
【0103】
垂直速度の予定値の設定による利点は、着陸リポートを生成するトリガー条件を柔軟的に変更できることがその一つであり、使用者が、へビーランディングやハードランディングに関するデータを収集して記録したり、航空機の着陸の度にデータを収集して記録したりするではなく、必要に応じて、航空機の着陸状態を収集して記録してよい。例えば、垂直速度の予定値を、例えば垂直速度の限界値よりも20%〜40%下げることにより、着陸が少し重くなれば、データを収集して記録し、着陸リポートを生成する。
【0104】
着陸時の垂直速度が予定値を超えれば、ステップ930で、着陸データを収集する。そして、ステップ940では、収集された着陸データに基づき着陸リポートを生成する。ステップ930では、航空機のACMSシステムで着陸データを収集する。ACMSシステムのDMUは、所定のトリガー条件に基づき、応じる着陸データの収集の流れを開始させる。データの収集が完了すれば、ステップ940で、収集した着陸データに応じて、着陸リポートを生成する。
【0105】
ステップ950では、着陸リポートを格納したり転送したりする。ステップ960では、着陸リポートにおける着陸データを応じて、着陸時に航空機がへビーランディングやハードランディングを発生したか否かを確定する。
【0106】
本発明の一実施例によれば、着陸時に航空機の垂直方向のスピード又は加速度が限界値を超えることによって、へビーランディングやハードランディングが発生したか否かを判断する。航空機の構造強度の限界から考えると、航空機の垂直速度の限界値が航空機の着陸重量に関する。垂直速度(RALR)が限界を超えるか否かの判断には、航空機の着陸重量に応じてそれぞれ比較をする必要がある。本発明の一実施例では、航空機の着陸重量が最大着陸重量以下の場合に、規制値が-9フィート/秒になる。航空機の着陸重量が最大着陸重量以上の場合に、規制値が-6フィート/秒になる。以上、例に過ぎなく、異なる航空機は、着陸重量が最大着陸重量よりも大きかったり小さかったりする時の限界値が違う可能性がある。
【0107】
垂直速度の限界以上の判断ロジックと同じく、垂直荷重VRTAが限界を超えるか否かの判断には、航空機の垂直荷重の限界値も航空機の着陸重量と関する。本発明の一実施例では、航空機の着陸重量が最大着陸重量以下の場合に、限界値が2.6Gになるが、航空機の着陸重量が最大着陸重量以上の場合に、限界値が1.7Gになる。以上、一つの例に過ぎなく、異なる航空機は、着陸重量が最大着陸重量よりも大きかったり小さかったりする時の限界値が違う可能性がある。
【0108】
航空機が着陸する時の垂直速度と垂直加速度が限界値を超えたり近接したりするか否かを総合して考えると、へビーランディングやハードランディングが発生したか否かを直接に判断することができることが多い。直接に判断できなくても、航空機が着陸する時にへビーランディングやハードランディングが発生したか否かに有意義な参考を提供することができ、乗組員による報告と、他の要因を合わせれば、初期データを航空会社に送信して処理させることがなく、着陸時の航空機にへビーランディングやハードランディングが発生したか否かを確定することができる。
【0109】
図10は、本発明の一実施例による航空機のACMSシステムにより着陸リポートを生成する方法のフローチャートである。図に示すように、本実施例の着陸データの収集方法1000、は、航空機が接地するか否かを判断するステップ1010を含有する。本発明の一実施例では、航空機の左の主着陸装置の緩衝支柱及び/又は右の主着陸装置緩衝支柱が伸び状態から圧縮状態に変換したか否かを検出することによって、航空機が既に接地したか否かを判断する。
【0110】
航空機が既に接地すれば、ステップ1020で、着陸時の航空機の垂直速度と垂直加速度が閾値を超えるか否かを判断する。同時に、ステップ1030では、航空機が接地する1秒前と航空機が接地する時の着陸データ、及び接地する1秒前から接地した3秒以内の着陸データを収集する。ステップ1040では、垂直速度と垂直加速度の何れかが閾値を越えた場合に、収集された着陸データを全部フォーマット化し、着陸短リポートを生成する。それ以外の場合に、着陸リポートを生成しない。
【0111】
図11は、本発明の一実施例によるACMSシステムに着陸短リポートを生成するトリガー関係の模式図。図11に示したトリガーは、図9に示した方法に応用が可能である。図11に示すように、DMUでは、トップサービスTOPSERVがシステムに保存したトリガーであり、プロセッサのメインスレッド又はオペレーティングシステムにおけるベースサービスに該当する。その他のトリガーは、全てTOPSERVにより開始されたり有効化されたりする。航空機が着陸する直前、スラットの開きが5度以上、飛行高度が10000フィート以下のFINAL APPR段階に、DMUにおけるTOPSERVがトリガーLAND1を有効化させることにより、航空機が既に接地するか否かを監視する。
【0112】
LAND1は、何れかの左・右の主着陸装置における圧縮がスイッチに近づく状態が変化したと検知した場合、“航空機接地”とマークする。同時に、LAND1がトリガーLAND2やLAND2Bと、LAND3やLAND4を有効化させる。その中、LAND2とLAND2Bは何れも航空機が接地する垂直速度(RALR)と垂直加速度(VRTA)が閾値を超えるか否かを判断するために用いる。LAND1により有効化されるLAND3とLAND4が着陸データを記録する。
【0113】
LAND4による実行の後、短リポートにおいて、全てのパラメータの収集が完了し、その後、プリントと読み出しをしやすいように、パラメータのフォーマットを変換し、最終的に着陸短リポートを生成する。
【0114】
本発明の一実施例によれば、LAND1による航空機の着陸の判断中において、LAND1が動作して左・右の主着陸装置の緩衝支柱がスイッチに近づく位置状態を読み取る。検出頻度は、1/32秒以内に変化したか否かを検出するように、32回/秒になっている。位置状態を示すパラメータ値は0kら1に変わった場合、緩衝支柱の何れかが伸び箇所から圧縮箇所に戻ったことを示す。これにより、航空機が既に着陸したと判断する。この時、航空機が着陸している時点の始点になっている。
【0115】
本発明の一実施例によれば、LAND2、LAND2Bは、以下のように、航空機が接地する垂直速度(RALR)と垂直加速度(VRTA)が閾値を超えるか否かを判断する。航空機の着陸状態をより正しく反映するために、着陸時点前後の0.5秒以内のRALRとVRTAが閾値を超えるか否かを判断する必要がある。
【0116】
本実施例では、まず、LAND2を有効化させる。LAND1は、0〜32間の整数である一つの着陸時間値T0を入力する。LAND2は、T0と0〜5間の範囲に微調整される一つのパラメータCHKを比較し、T0/2-CHK<0になる場合、接地する時点とパラメータの測定時点が近づき過ぎると示し、接地によるデータの変化が測定されるパラメータに反映されない恐れがあるので、LAND2Bは有効化により、着陸時点の次の一秒内のRALRとVRTAが閾値を超えるか否かを判断し、LAND2を終える。T0/2-CHK>0の場合、LAND2が着陸時点のRALRとVRTAが閾値を超えるか否かを判断する。閾値を越えていない場合に、LAND2は、T0と16を比較し、T0-16>0になるか否かを判断する。T0-16<0になる場合に、航空機の着陸の様子をより正しく反映するため、着陸時点の次の一秒内のRALRとVRTAが閾値を超えるか否かを判断するように、LAND2Bを有効化させ、LAND2を終える。LAND2とLAND2Bに対して、何れかの一回の比較により着陸時点のRALRとVRTAが閾値を超えるか否かを発見すれば、航空機の着陸が着陸リポートの生成に合致する。
【0117】
本実施例では、二つのトリガーが異なる時間帯で動作することによって、接地点の時点の前後の0.5秒の範囲における着陸のRALRとVRTAの限界超えの有無への正確の判断を確保する。
【0118】
本発明の一実施例によれば、垂直荷重、即ち垂直加速度VRTAの限界超えの有無への判断は条件付きなものである。前の垂直速度RALRが限界を超えていない場合に、さらにトリガーが垂直荷重VRTAの限界超えを判断する。垂直速度RALRが既に限界を超えたと判明すれば、垂直荷重(VRTA)の限界超えへの判断を省略し、着陸短リポートを直接に生成する。
【0119】
本発明の一実施例によれば、LAND2とLAND2Bには、以下のようにして垂直速度(RALR)を算出する。航空機において、RALRのサンプリングレートが16回/秒である。真実のRALRをより正しく反映するため、測定されたRALRを補正する必要があり、即ち、ADIRU(大气データと慣性ナビゲーションコンピューター)にて検知される垂直速度-IVVを元に、航空機のピッチと、ローリング姿勢と、三軸の加速度と、定数に基づき補正する必要がある。
【0120】
本発明の一実施例は、如下のプログラムセグメントによってRALRを算出することもできる。
IVV = IVV actual sample n (垂直速度の現在値)
IVV1 = IVV previous sample n-1 (垂直速度の一つ前のサンプル値)
PTCHACC = PTCHACC actual sample n (ピッチ加速度の現在値、中間変数)
PTCHACC1 = PTCHACC previous sample n-1 (ピッチ加速度の一つ前のサンプル値、中間変数)
PTCHACC2 = PTCHACC previous sample n-2 (ピッチ加速度の二つ前のサンプル値、中間変数)
PTCR:ピッチスピード
PTCR1:ピッチスピードの一つ前のサンプル値
PTCHRAW:ピッチ(中間変数)
PTCHRAW1:ピッチの一つ前のサンプル値(中間変数)
VACC:垂直加速度(慣性ナビゲーションから)
RALT:電波高度
PTCH:ピッチ
【0121】
Constants(常量):
D geometrical correction factor for ROLR ft/deg (ローリングスピード幾何補正値、デフォルトは“0”)
DX lever arm correction (x-axis) for R/A RALT ft (高度X軸アクチュエーティングアーム 補正、321航空機:28.8 / 320航空機:18 / 319航空機:18.5 / 318航空機:16.8)
DZ lever arm correction (z-axis) for R/A RALT ft (高度Z軸アクチュエーティングアーム 補正、321航空機:7.8 / 320航空機:7.1 / 319航空機:7.2 / 318航空機:7.6)
DXTPIR lever arm correction (x-axis) for PTCH ft (ピッチX軸アクチュエーティングアーム 補正、321航空機:53.1 / 320航空機:39 / 319航空機:33.8 / 318航空機:29.5)
FC filter frequency Hz (フィルター周波数、デフォルトは“0.3”)
K1 filter constant (フィルター定数、デフォルトは“5.2”)
K2 filter constant (フィルター定数、デフォルトは“25”)
K3 filter constant (フィルター定数、デフォルトは“5”)
THETA0 average PTCH at touchdown deg (接地時ピッチ平均値、321航空機:4.5 / 320航空機:6 / 319航空機:2 / 318航空機:6)
【0122】
パラメータ初期化:
PTCHRAW1 = 0.0
PTCHACC1 = 0.0
PTCHACC2 = 0.0
PTCR1 = 0.0
EN1 = 0.0
VZN1 = IVV/60.0
ZN1 = RALT
【0123】
PTCHRAW = (PTCR-PTCR1)/T (T = 1/16)
PTCHACC = PTCHACC1+T*(2*PI*FC)*(PTCHRAW+PTCHRAW1-PTCHACCI-PTCHACC2)/2 (PI=3.14159265)
NZTCOR = VACC*9.81/0.3048-DXTPIR*PTCHACC/57.3*cos(PTCH/57.3)
HRACOR=RALT+DX*(sin(PTCH/57.3)-sin(THEATA0/57.3))-DZ*(cos(PTCH/57.3)-cos(THEATA0/57.3))
EPSN = ZN1-HRACOR
EN = EN1+T*( K3*EPSN)
VZN = VZN1+T*( ZTCOR-EN-*EPSN)
VZNU = VZN-D*ABS (ROLR)
RALR = VZNU
ZN = ZN1 + T*(VZN - K1 * EPSN)
【0124】
以上、一つのRALRサンプル値の算出の流れであり、残りのサンプル値が一つ目のサンプルの算出の後、ループの繰り返し方法で計算し、一つ目のサンプルの算出の後に、繰り返し方法が以下の通りになる。
【0125】
EN1 = EN
VZN1 = VZN
ZN1 = ZN
PTCHACC2 = PTCHACC1
PTCHACC1 = PTCHACC
PTCHRAW1 = PTCHRAW
PTCR1 = PTCR
【0126】
本発明の一実施例によれば、LAND2とLAND2Bに、垂直加速度に対して、直接ACMSシステムから取得した垂直荷重から取得することができる。
【0127】
本発明の一実施例によれば、LAND3は、以下の役割
a) 着陸点の1秒前のRALT、RALR、PTCH、PTCR、ROLL、ROLR、YAWの値の記録、
b) 着陸点のRALT、RALR、PTCH、PTCR、ROLL、ROLR、YAWの値の記録
を実現することができる。
【0128】
本発明の一実施例によれば、LAND4の動作時間は4秒であり、着陸点の1秒前から着陸点の3秒内のVRTA、LONA、LATA、RALRの最大と最小値を記録する。
【0129】
図12は、本発明の別の実施例による航空機ACMSシステムで着陸リポートを生成する方法のフローチャートである。航空機が着陸した場合に、地上の反発力によって航空機を跳ね返し、その後、航空機が再びに地上に落ち付く。これは、航空機の“跳ね返り”と称する。このような航空機の着陸の跳ね返りは一回でも、何回でも発生することがある。航空機の着陸の跳ね返りはへビーランディング又はハードランディングである可能性があるため、それを検出する必要がある。このような航空機の着陸の跳ね返りに関する着陸リポートは、着陸長リポートであり、普通の着陸リポートは、着陸短リポートである。
【0130】
図12に示すように、本実施例の着陸長リポートの生成方法は、航空機が既に接地したか否かを判断するステップ1210と、航空機が接地する1秒前と航空機が接地する時の着陸データ、及び接地する1秒前から接地した3秒以内の着陸データを収集するステップ1220と、航空機が着陸時に跳ね返りを発生したか否かを判断するステップ1230とからなる。跳ね返りが発生しないと、ステップ1240で、着陸時の航空機の垂直速度と垂直加速度が予定値を超えるか否かを判断し、超えた場合に、ステップ1250で、着陸短リポートを生成し、超えていない場合、着陸リポートを生成しない。
【0131】
航空機が跳ね返りを発生した場合に、ステップ1260では、航空機が再び接地する1秒前と着陸した3秒以内の航空機の着陸データを収集すると同時に、ステップ1270では、再び接地する時の垂直加速度が閾値よりも大きくなるか否かを確定し、限界を超えた場合、ステップ1280では、規制値と、限界超えの時の最大値と、トリガーコードと、トリガー原因とを記録する。ステップ1290では、二回の着陸データをフォーマット化させ、着陸長リポートを生成する。
【0132】
本発明の一実施例によれば、二つの主着陸装置が既に圧縮され、且つ、十分な時間を維持したか否か、又、左・右の主着陸装置が改めて伸び状態にあるか否かを判断することによって、航空機が着陸の時に跳ね返りを発生したか否かを判断する。さらに、左・右の主着陸装置が改めて伸び状態にある持続時間が10秒よりも短いと判断することによって、再びの接地を確認することができ、さらに、跳ね返りの発生を確認することができる。
【0133】
図13は、本発明の一実施例による、ACMSシステムに着陸長リポートを生成するトリガー関係の模式図である。図13に示したトリガーは、図12に示した方法に応用可能である。図13に示すように、DMUにおいて、トップサービスTOPSERVがシステムが保存するトリガーである。航空機が着陸する直前、スラットの開きが5度以上、飛行高度が10000フィート以下のFINAL APPR段階に、DMU中のTOPSERVがトリガーBOUNCE1とLAND1を有効化させる。BOUNCE1は、二つの主着陸装置が既に圧縮され且つ十分な時間を維持したか否かを検知する。
【0134】
BOUNCE1は、主着陸装置が既に圧縮され且つ十分な時間を維持したか否かを確認した場合に、トリガーBOUNCE2とBOUNCE3を、それぞれ左・右主着陸装置が改めて伸び状態にあるか否かを検知するように有効化させる。そして、BOUNCE2とBOUNCE3は、航空機の飛行状態をされに確認するように、対応するトリガーBOUNCE4やBOUNCE5を有効化させる。BOUNCE4とBOUNCE5は、左・右の着陸装置の緩衝支柱の伸び状態を持続して検知し、所定の条件が満足された場合、航空機における跳ね返りの発生を判断する。
【0135】
BOUNCE4とBOUNCE5は、トリガーBOUNCE6とBOUNCE7を、再び接地する1秒前と着陸した3秒以内の航空機の着陸データをサーチ・比較・収集するように、それぞれ有効化させる。
【0136】
BOUNCE7は、跳ね返り後再び接地する垂直加速度が規制値よりも大きいか否かをサーチ・比較し、限界を超えた場合、リポートに、規制値と、限界超えの時の最大値と、トリガーコードと、トリガー原因を記録する。
【0137】
BOUNCE6とBOUNCE7が着陸データを得る形態は、LAND3とLAND4と類似するので、重複した説明を省略する。
【0138】
LAND1は、航空機が既に接地したか否かを監視するためのものである。既に接地した場合、LAND1は、トリガーBOUNCE8を有効化させる。航空機が着陸の時に跳ね返りを発生したか否かに基づき、BOUNCE8が着陸長リポートと着陸短リポートが何れか生成するかを確定する。最後、リポートに記録した値の読み出しやプリントをし易いように、二回の着陸に対する着陸関連パラメータのフォーマットを変換し、応じる着陸リポートを生成する。
【0139】
本発明の一実施例によれば、以下のようにして、航空機が着陸の時に跳ね返りを発生したか否かを検知する。BOUNCE1は、左・右の主着陸装置の緩衝支柱がスイッチに近づく位置状態を連続に読み取り、その頻度は、1/32秒に変化したか否かを検出するように32回/秒になる。その状態が“0”から“1”に変換した時に、BOUNCE1が一つのカウンタによるカウントを開始する。カウンタが16より大きい限り、BOUNCE1がBOUNCE2とBOUNCE3を有効化させる。これは、二つの主着陸装置が既に圧縮され且つ少なくとも0.5秒維持されたを意味する。条件が不満足の場合、カウンタがクリアして、改めてカウントする。
【0140】
以下、左の主着陸装置を例とし、右の主着陸装置を同じの手段で処理して良い。
【0141】
BOUNCE2は、動作の後、続けて左の主着陸装置への圧縮がスイッチに近づく位置状態を持続して検知し、その頻度は、32回/秒である。パラメータ値が“0”の場合、カウンタがカウントを開始する。カウンタのカウント値が32より大きい限り、BOUNCE4を有効化させる。この時、左の主着陸装置の緩衝支柱が伸び状態にあり、且つ、持続時間が1秒より大きい。条件が不満足の場合、カウンタがクリアして、改めてカウントする。
【0142】
BOUNCE4の検知の原理は、BOUNCE2と類似し、パラメータ値が“0”になる時、カウンタがカウントしていく。パラメータ値が“1”の場合、カウンタのカウント値を判断する。カウンタのカウント値が320より小さい場合、左の主着陸装置が跳ね返りを発生したと判断する。この時、左の主着陸装置の緩衝支柱が伸び状態に保持した時間、即ち滞空時間が、10秒より短い。その後、改めて圧縮状態になる。
【0143】
以上のことを合わせて、本実施例の跳ね返りの判断方法は、
1.左・右の主着陸装置が圧縮状態にあり、且つ0.5秒以上持続したか否かを確定し、
2.左・右の主着陸装置の何れかが改めて伸び状態にあり、且つ1秒以上持続したか否かを確定し、
3.左・右の主着陸装置の何れかが改めて伸び状態にあり、且つ10秒よりも短く持続したか否かを確定する
三つの条件がある。
【0144】
以上の条件が満足した場合、航空機が着陸した過程に跳ね返りを発生したと認める。
【0145】
本発明の一実施例によれば、BOUNCE8が動作した30秒後、BOUNCEDと、LONGLRPTと、BRPTCODEとのパラメータ値に応じて、長リポートと短リポートは何れかが生成するかを判断する。
【0146】
BOUNCED:状態パラメータであり、航空機の跳ね返りの発生を示す。トリガーBOUNCE4或BOUNCE5が跳ね返りを検知した後、エバリュエーションする。
LONGLRPT:状態パラメータであり、長リポートの生成が可能であることを示す。一回目の接地において、垂直荷重の限界超えが発生の場合、トリガーLAND2/2Bにより、垂直荷重の限界超えの時にエバリュエーションする。
BRPTCODE:リポートトリガーコードであり、二回の接地の限界超え時にエバリュエーションし、トリガーBOUNCE7により、限界超えを検知した後エバリュエーションする。
BOUNCE8上述パラメータを呼び出し、長リポートと短リポートの何れかが生成するかを確定する。
【0147】
具体的に、以下のテーブルを参考する。
【表2】
【0148】
図14は、本発明の一実施例によるカスタマイズ着陸短リポートの例である。図に示すように、本回の着陸過程に、垂直速度RALRがただ1.8フィート/秒であると分る。垂直加速度VRTAの1.64Gは、正常の着陸の範囲にある。但し、横方向加速度が0.21Gで少し高い可能性がある。このような場合に、乗組員から略重い着陸の報告があったとしても、着陸短リポートに基づき、本回の着陸が正常であり、へビーランディングやハードランディングが発生していないとすぐに分る。
【0149】
図15は、本発明の別の実施例によるカスタマイズ着陸長リポートの例である。図に示すように、本回の着陸過程に、航空機が跳ね返りを発生したと分る。一回目に接地する過程において、垂直速度RALRが7.2フィート/秒になり、垂直加速度VRTAが2.07Gになる。垂直速度が正常の範囲にあり、垂直加速度も閾値以下にある。二回目に接地する過程において、垂直速度RALRが1.5フィート/秒になり、垂直加速度VRTAが2.65Gになり、いずれも正常の範囲にある。従って、航空機が着陸過程に跳ね返りを発生し、二回目に接地する時に、垂直荷重の限界超えが発生した。
【0150】
航空機の整備員は、DMUの非揮発性メモリから着陸リポートを取得してもいいし、航空機のコックピットに航空機着陸リポートをプリントしてもいいし、又は、性能監視者は、地上ワークステーションにて空地データチェーンにてダウンロードされた着陸リポートを読み取り、航空機の着陸の性能への監視を実現し、時間通りに航空機の着陸性能の異常を正しく発見することを確保する。このように、へビーランディングやハードランディング後、航空機がへビーランディングやハードランディングを発生したか否かを確定するように、多量のデータ処理と検査作業をすることを回避し、航空機のストップ時間を節約し、航空機の利用率を向上すると共に、航空機が安全欠陥がある場合に航空することを回避し、航空機航空の安全欠陥を無くすことができる。記録したデータによって、飛行品質監視部門の乗組員の作業技術品質への評価に寄与する。
【0151】
本発明は、エアバス社のACMSシステムを例としたが、エアバス社の航空機への応用に限定するものではない。本発明は、ボーイング社のAHMシステムによってボーイング社の航空機に応用することができる。
【0152】
以上の実施形態は、本発明を説明するためのものにすぎず、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱しない場合に、各種の変化や変形を行うことができるので、全ての同等な技術内容も本発明に開示された範囲に属するはずである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機性能検出の方法に関し、特に、カスタマイズリポートに基づく航空機性能検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機は、現代社会における重要な交通手段である。日々大勢の人々が航空機に乗って旅行している。航空機の飛行の安全性は必ず保証されなければならない。航空機のある部材が故障し、飛行条件に適合しないのであれば、航空機は、故障が排除されるまで、飛行を停止してメンテナンスを行わなければならない。したがって、航空機のある部材が故障すると、航空機の遅延、ひいては飛行中止につながる可能性が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、航空機のメンテナンスの方法としては、主に、事後のメンテナンスまたは定期メンテナンス方式が採用されている。上述したように、事後のメンテナンスでは、航空機の遅延や飛行中止が避けがたい。航空機のある部材をメンテナンスすることは長い時間を要するからである。場合によっては、価格の高騰や、備品を使い切ってしまったといった理由により、飛行場に取り替え可能な備品がないと、直接航空機の飛行停止につながる。定期メンテナンス方式では、ある一定の時間を経てから航空機のある部材に対してメンテナンスまたは交換を行う。これは、航空機の遅延または飛行中止をある程度は避けることができるものの、コストが非常に高いことが欠点である。特に、価格が高騰しているある部材について、定期メンテナンスおよび交換時に性能が依然として良好である可能性があり、この場合膨大な浪費につながってしまう。また、ある特殊な状況に対して、航空機上のある部材の性能がすぐに劣化する可能性がある。この場合、定期メンテナンス方式では、航空機の遅延および飛行中止を完全には避けることができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従来技術に存在する一つまたは複数の技術的課題に対して、本発明の一つの局面では、カスタマイズリポートに基づく航空機性能検出方法を提供し、当該航空機性能検出方法は、航空機稼動状態を反映するデータを収集することと、収集した前記データに基づき、航空機稼動状態に関する一つまたは複数の主パラメータを含むよう特注されたカスタマイズリポートを生成することと、前記カスタマイズリポートを、格納または転送することと、前記カスタマイズリポートに基づき、前記航空機の性能を検出することと、を含む。
【0005】
本発明の別の局面では、前記方法により、航空機の性能を検出することと、航空機の性能の故障に応じて、航空機にメンテナンスを行うこと、または、航空機の性能の衰退に応じて、適切なタイミングでの航空機に対するメンテナンスを手配することとを含む、航空機のメンテナンス方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に基づく、カスタマイズリポートに基づく航空機性能検出方法のフローチャートである。
【図2】図2は、ユニット酸素システムの性能変化曲線の模式図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に基づく、ユニット酸素システム性能を検出する方法のフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に基づくカスタマイズユニット酸素リポートの実例である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に基づく、ユニット酸素システムの酸素ボンベの酸素の標準状態圧力と測定時間との関係の模式図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に基づく、ユニット酸素システムの酸素ボンベの酸素の標準状態圧力と測定時間との関係の模式図である。
【図7】図7は、図6に記載の実施形態に基づく、ユニット酸素システムの24時間3日間の移動平均漏洩率と測定時間との関係の模式図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に基づく、航空機ユニット酸素システムに対するメンテナンス方法のフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の一実施形態に基づく航空機着陸の検出方法のフローチャートである。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に基づく、航空機ACMSシステムにより着陸リポートを生成する方法のフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の一実施形態に基づき、ACMSシステムにおいて、着陸ショートリポートを生成するトリガーの関係模式図である。
【図12】図12は、本発明の別の一実施形態に基づく、航空機ACMSシステムにより着陸リポートを生成する方法のフローチャートである。
【図13】図13は、本発明の一実施形態に基づく、ACMSシステムにおいて着陸ロングリポートを生成するトリガーの関係模式図である。
【図14】図14は、本発明の一実施形態に基づく、カスタマイズ着陸ショートリポートの例示である。
【図15】図15は、本発明の別の一実施形態に基づく、カスタマイズ着陸ロングリポートの例示である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図を参照して、本発明の好ましい実施の形態についてさらに詳細な説明を行う。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態に基づく、カスタマイズリポートに基づく航空機性能検出方法のフローチャートである。図1に示すように、前記方法100は、ステップ120において、航空機稼動状態を反映するデータを収集することを含む。本発明の一実施形態によれば、航空機データシステムを利用して、航空機稼動状態のデータの収集を行う。航空機システムが複雑になればなるほど、航空機データシステムは、大きく発展してきた。例えば、エアバスの飛行状態監視システムAircraft Condition Monitoring System(ACMS)システムおよびボーイング社の飛行健全監視システムAircraft Heath Monitor(AHM)システムがある。
【0009】
エアバスのACMSシステムを例に取ると、ACMSシステムは、エンジン、乗組員、空中補助動力装置Airborne Auxiliary Power Unit(APU)および客室を含む、航空機上の複数の重要部材の性能を監視する。ACMSシステムはさらに、重要飛行機性能監視(Aircraft Performance Monitoring)、データ記録(Date Recording)、特別調査・故障検索(Special Investigation & Trouble Shooting)などの機能を備える。ACMSシステムは、リアルタイムに13,000超の項目の飛行データを測定する。
【0010】
図1に示すように、前記方法100はさらに、ステップ140において、収集した前記データに基づき、カスタマイズリポートを生成することを含む。このステップも同様に、飛行データシステムを利用して行われる。ACMSシステムおよびAHMシステムの一つの機能として、一定のトリガー条件を満たす場合に、リアルタイムに監視されたデータに基づき、特定データを含むリポートを自動生成することが可能である。本発明の一実施形態に基づき、ACMSシステムまたはAHMシステムを利用して、カスタマイズリポートを生成する。
【0011】
エアバスのACMSシステムを例に取ると、ACMSシステムは、飛行総合データシステムAircraft Integrated Data System(AIDS)を含む。そして、データ管理ユニットData Management Unit(DMU)は、AIDSシステムの核心である。DMUは、次の非常に重要な2つの機能を備える。
【0012】
ブラックボックスからのデータを含む、航空機上の多数のパラメータを収集、処理、記録する。これらパラメータは、DMU内部の不揮発性メモリ、または外部レコーダ、例えばAIDSデジタルレコーダDigital AIDS Recorder(DAR)に保存される。
【0013】
システムリポートを生成する。航空機の状態またはシステムパラメータがリポートのトリガー条件を満足する場合、特定リポートの生成を引き起こす。
【0014】
図1に示すとおり、前記方法100はさらに、ステップ160において、前記カスタマイズリポートを格納または転送することを含む。本発明の一実施形態によれば、カスタマイズリポートは、DMUの不揮発性メモリに格納することができる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、カスタマイズリポートは、航空機通信アドレス指定および報告システムAircraft Communication Addressing and Reporting System(ACARS)により転送することができる。ACARSは、航空機と、地上のステーションとの間で、無線または衛星によりリポート(すなわちショートメッセージ)を伝送するデジタルデータ連鎖システムであり、航空会社の空中・地上、地上・地上の大容量データ通信のためにサービスを提供しており、各種情報の交換を行う。
【0016】
ACARSシステムは、ACARS管理ユニット(MU)と称する航空電子コンピュータと、制御表示装置ユニットControl Display Unit(CDU)とから構成される。MUは、地上からの超短波無線デジタルリポートを送受信するためのものである。地上において、ACARSシステムは、無線送受信機構を備える地上ワークステーション410が構成するネットワークよりなり、リポート(データリンクメッセージ)を送受信可能である。これら地上ワークステーションは一般的に、各サービスブロバイダにより所有され、受信したリポートをネットワーク上の異なる航空公司のサーバ上に配布する。
【0017】
一方、ACARSは、飛行する航空機が、乗組員の関与なしに、航空会社の地上ワークステーションに自動で飛行の動向、エンジンパラメータ等のリアルタイムデータ情報を提供するようにさせることが可能であり、同時に、そのほかの各種情報を地上に伝送して、航空会社稼働制御センターに、自身の応用システムにおいて、航空機のリアルタイムの絶え間ない大量飛行データおよび関連情報を取得させ、適時会社の航空機の動向を把握させて、航空機に対するリアルタイム監視を実現し、航空業務、運営、機械業務等各関連部門管理の要求を満たすことができる。また、地上から、上空を飛行中の航空機に対して気象情報、航路状況、上空緊急故障対応措置等の複数のサービスを提供して、飛行安全保障能力および旅客に対するサービスのレベルを高めることができる。通常用いられるVHF地上・上空通信チャンネルが日増しに飽和し、情報伝送量少が少なく、速度が遅い状況において、こうした双方向のデータ通信システムは、地上、上空の通信の保障能力を明らかに改善し、高めることができる。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、カスタマイズリポートは、航空通信網Aviation Telecommunication Network(ATN)の通信装置またはシステムに基づき、転送することもできる。
【0019】
図1に示すように、前記方法100はさらに、ステップ180において、前記カスタマイズリポートに基づき、前記航空機の性能を検出することを含む。カスタマイズリポートにより、航空機稼動状態を反映したパラメータの数値を取得することができる。これらパラメータの数値は、航空機の性能を検出可能であり、航空機の「状況による」メンテナンスを実現する。
【0020】
「状況による」メンテナンスの概念は、すでに何年も前から提案されている。しかしながら、航空機性能の検出および航空機メンテナンスにおいては、今まで適切な応用がなされていなかった。その原因を突き詰めてみると、重要な一面は、飛行データの復号コストが高騰しており、日常メンテナンスの方法として行うことができない点にある。これに対して、本発明は、カスタマイズされた特注リポートにより、この課題を解決し、航空機の状態のリアルタイム監視を可能とした。本発明は、航空機データシステムが航空機稼動状態データを取得する機能を利用して、必要に応じて柔軟にカスタマイズリポートを生成することができ、リポートは、保存、転送された後、航空機性能の検出に役立てることが可能である。
【0021】
より正確に航空機の状態を反映したものを取得するために、直接取得したパラメータ数値を修正する必要がある。本発明の一実施形態によれば、カスタマイズリポートには、航空機の状態を直接反映した主パラメータと、主パラメータを修正するための補助パラメータとが含まれる。
【0022】
飛行状態のデータを取得する場合、航空機の状態を最も反映する時刻を選んで、カスタマイズリポートの主パラメータまたは補助パラメータの数値を取得する必要がある。さらに、ある特定の時刻に対して、より正確な結果を取得するために、複数回測定して平均値を取得する方式で、同一パラメータを測定してもよい。または,ある一定時間内の最大値および最小値を記録して、主パラメータまたは補助パラメータの限界値を反映させる。こうして、一つまたは複数のトリガー条件に応じて、前記一つまたは複数の時刻における前記主パラメータおよび補助パラメータの数値を取得する。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、航空機性能の検出に役立つように、前記主パラメータおよび補助パラメータの数値を指定状態下の数値に換算する。
【0024】
多数の航空機の状態のパラメータから適切な主パラメータをいかに選択して、カスタマイズリポートを生成するかは、特に比較的複雑なシステムについて、選択可能なパラメータが多い状況では難題である。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、前記航空機稼働状態と相関する複数のパラメータを取得してから、前記複数のパラメータが表す物理的意味に基づき、複数の主パラメータを確定する。複数の主パラメータを取得した後、主パラメータ間で、高度に相関する場合がある。こうした状況では、一つの主パラメータの変化が、別の主パラメータの変化を表す可能性がある。したがって、相関度をチェックすることにより、高い相関部分の主パラメータを取り除くことができる。本発明の一実施形態によれば、複数の主パラメータ間の相関度を計算する。また、複数の主パラメータ間の相関度に基づき、複数の主パラメータのうちの一つまたは複数を取り除く。このステップにより、当該航空機部材の稼働状態を反映した、比較的独立した複数の主パラメータが取得される。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、以前の、当該航空機部材の故障事件が発生した際前記航空機の状態と相関した複数のパラメータのデータを利用し、データマイニングにより、どのパラメータと当該航空機の故障事件が高度に相関するかを判断して、これによって、主パラメータを確定することができる。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、前記複数のパラメータのデータ変化と前記航空機部材の前記故障事件との関連度を計算する。故障事件は、あるパラメータの悪化に直接影響する。例えば、ユニット酸素システムに漏洩が生じた場合、ユニット酸素圧力パラメータが急速に降下する。エンジンが故障した場合、エンジンの回転数が急速に降下する。前記航空機の状態と相関するパラメータと、故障事件を表すパラメータとの関連度を計算すれば、このパラメータと故障事件との関連度を反映することができる。本発明の一実施形態によれば、偏相関(Partial Correlation)法により、前記航空機の状態と相関するパラメータと、故障事件を表すパラメータとの関連度を計算する。統計学における複数種類の偏相関分析法はいずれも本実施形態に応用可能である。計算により、当該パラメータと故障事件との関連度がある閾値より大きいことが判明した場合、当該パラメータを一つの主パラメータとする。この方法により前記航空機の状態と相関する全てのパラメータを検証すれば、航空機の状態を反映する主パラメータを取得することができる。
【0028】
閾値の取り得る値によって、最終的な主パラメータの数が確定し、また、性能検出の正確さの程度も確定する。パラメータが多ければ、当然検出がより正確なものとなるが、この検出方法を実施するコストも高くなる。航空機部材の性能が複数のパラメータと相関し、各パラメータの相関度がいずれも高くない場合は、より多くのパラメータを取り入れるために閾値を下げる必要がある。本発明の一実施形態によれば、閾値の取得値の範囲は0.3〜0.5である。航空機部材の性能が少数のパラメータと相関し、かついずれかのパラメータとの相関度が高い場合、不要な検出を減らすために閾値を引き上げることができる。本発明の一実施形態によれば、閾値の取得値の範囲は0.6〜0.8である。
【0029】
したがって、カスタマイズリポートの前記主パラメータは、以下のステップにより確定できる。すなわち、前記航空機稼働状態と相関する複数のパラメータを取得し、前記複数のパラメータと航空機故障事件とを関連付けて、データマイニングにより前記複数のパラメータと航空機故障事件との相関度を計算することにより、複数の主パラメータを確定する。同様に、複数の主パラメータ間の相関度を計算可能である。その後、複数の主パラメータ間の相関度に基づき、複数の主パラメータのうちの一つまたは複数を取り除く。
【0030】
以下、一つの具体な実例により、このようなカスタマイズリポートの主パラメータと補助パラメータを確定する形態を説明する。
【0031】
空中補助動力装置(Airborne Auxiliary Power Unit)とは、補助動力装置APUと簡単に呼ばれ、機体後部に取り付けられる小型タービンエンジンのことである。APUは、主要な機能として、電源および空気を供給することであり、また、一部のAPUは、航空機に付加的な駆動力を与えることも可能である。具体的には、航空機は、地上を離陸する前に、地上の電力、空気供給車ではなく、APUによる電力供給によって主エンジンを駆動させ、航空機を発動する。地上では、APUはさらに、電力および圧縮空気を提供して、客室およびコックピット内の照明、空調を保証している。航空機が離陸する際には、APUがバックアップ電源として使用可能である。航空機着陸後も、APUにより照明、空調に電力が供給される。
【0032】
APUの機能によって、その動作の安定性が決まるが、これは、航空機の運航コストおよびサービスの質に直接関係するものである。又、地上電源および空気供給源が確保できない場合、APUに故障が生じると、航空機の運航不能に直結してしまう。現在、APUの故障の排除およびメンテナンスは、ほとんど事後処理である。しかしながら、航空機設備において、APUは、メンテナンス費用が高い設備である。そして、APU全体の部材の価格が高く、予備の部材を保持するコストも高く、故障後の修理に、4〜5ヶ月を要する。事後処理のメンテナンス方式では、APUの安定的な動作は保証できない。又、APUを修理に出した後時間がかかることから、航空機の遅延ひいては欠航に直結する。
【0033】
本発明の一実施例によれば、カスタマイズAPUリポートを生成させることによって、APUの動作状態を検出することができる。カスタマイズAPUリポートの主パラメータを確定する場合に、APUシステムが相対的に繁雑であるため、APU動作状況に関するパラメータが多い。例えば、エンジンを駆動して動作させる段階におけるパラメータには、EGT温度と、IGV開口角度と、空気圧縮機入口圧力と、負荷空気圧縮機入口温度と、吸気流量と、吸気圧力と、潤滑油温度と、APU発電機負荷とが含まれる。APU駆動時のパラメータには、駆動時間と、EGTピークと、EGTピーク時の回転数と、負荷空気圧縮機入口温度とが含まれる。
【0034】
エンジンからすれば、熱機関への影響は、主に、使用時間と、排気温度EGTという二つの指標がある。APUに故障が発生した時、APUの排気温度が上昇し、限界値に近づく。従って、この二つのパラメータに注目して有利の情報を絞り出す。本実例では、偏相関の方法によって、外部環境、例えば海抜、全温、発電機負荷、吸気流量、入口圧力、負荷空気圧縮機入口温度の影響を除去する。APUの実データの解析によって、以下の結果が得る。
【0035】
【表1】
【0036】
本実例では、相関性rは三段に分け、その中、|r| < 0.4が低度リニア相関であり、0.4≦|r|<0.7が有意性相関であり、0.7≦|r|<1が高度リニア相関である。
【0037】
解析結果によると、使用時間TSR、駆動時間STA、エンジン排気温度EGT、吸気圧力PT間がお互いに弱相関であるが、入口ガイド羽根角度IGV及び潤滑油温度(OTA)と、使用時間TSR、駆動時間STA、エンジン排気温度EGT、吸気圧力PTとは強相関であることが分る。
【0038】
このことから、APUの各部材が正常に動作する場合に、入口ガイド羽根角度IGVと潤滑油温度OTAが、使用時間TSR、駆動時間STA、エンジン排気温度EGT、吸気圧力PTで示してもいいと分る。他方、使用時間TSR、駆動時間STA、エンジン排気温度EGT、吸気圧力PTというパラメータは比較的独立なものであり、あるAPUの動作特性をそれぞれ表現する。この四つのパラメータ特性を利用し、それらの組合せによって、APUの全体の性能状況を反映させることができる。
【0039】
カスタマイズリポートは特注により生成されてもよい。本発明の一実施例によれば、まず、航空機のデータシステムに前記トリガー条件が満足されたか否かを監視するための第一プロセスを開始し、トリガー条件が満足された場合、カスタマイズリポートに関する処理を完成するように、航空機のデータシステムがカスタマイズリポートのタスク処理状態に移行する。このような工夫の利点は、非トリガー状態では、航空機のデータシステムがカスタマイズリポートのタスクを監視する必要がなく、システムリソースを節約するようになることがその一つである。トリガー条件が満足されれば、カスタマイズリポートへの処理のタスクが開始する。
【0040】
本発明の一実施例によれば、第一プロセスは、カスタマイズリポートを生成する条件が満足されたか否かを監視するための第二プロセスとカスタマイズリポートが要求する前記主パラメータおよび前記補助パラメータの数値を収集するための第三プロセスを開始させる。そして、第二プロセスがカスタマイズリポートを生成する条件が満足されたと確定した場合に、前記第三プロセスで収集された前記主パラメータおよび前記補助パラメータの数値を利用して、カスタマイズリポートを生成する。このようにして、カスタマイズリポートの生成条件を柔軟に制御することができ、そして、所定の条件が満足される限り、カスタマイズリポートが生成される。
【0041】
以下、一つの具体の実例によって、このようなカスタマイズリポートの生成形態を説明する。
【0042】
エンジンにおける吸気システムは、航空機の空調、加圧、翼防氷、液圧等のシステムが安全的かつ確実に作動することを保証する前提である。しかし、高い発生率と、高い再発率と、長い排除時間と、高い難しさは、長い間に航空業務のメンテナンスを困らせる課題になっている。現在、従来の方法では、データを時間通りに正確に処理することができなく、故障の排除が時間通りに行かず、飛行中断になってしまう恐れがあり、ひいては飛行中の重大安全事故にまで及ぶ。
【0043】
本発明の形態によれば、カスタマイズ吸気リポートを生成することにより、エンジンの吸気システムを検出することができる。エンジンにおける吸気システムの性能を反映させるには、左・右エンジン予冷器の出口温度を検出する必要がある。温度が高すぎたり低すぎたりする場合、エンジンの吸気システムに故障があると示す。従って、カスタマイズ吸気リポートは、主パラメータが左・右エンジン予冷器の出口温度が220度より高かったり155度より低かったりする持続時間と、該持続時間における左・右エンジン予冷器の出口温度と、該持続時間における左・右エンジン予冷器の出口温度の最大値或いは最小値により構成される。前記カスタマイズ吸気リポートの補助パラメータは航空機の高度と外部温度とを含んでも良い。
【0044】
本発明の一実施例によれば、航空機のシステムに、航空機が離陸、上昇または降下段階のいずれかにあるかを判断するように、第一プロセスを開始する。航空機が離陸、上昇または降下段階にあると判断する場合に、左・右エンジン予冷器の出口温度が220度より高かったり、155度より低かったりし、かつ持続時間が5秒以上であるか否かを判断する第二プロセスと、左・右エンジン予冷器の一秒毎の出口温度と、航空機の高度と、外部温度とを収集する第三プロセスとを開始させる。
【0045】
左・右エンジン予冷器の出口温度は、220度より高かったり、155度より低かったりし、かつ持続時間が5秒以上である場合には、第三プロセスで収集された左・右エンジン予冷器の出口温度と、航空機の高度と、外部温度と、及び関する持続時間の情報に応じて、カスタマイズ吸気リポートを生成する。
【0046】
カスタマイズ吸気リポートは、乗組員や整備員が観察したりプリントしたりするように、DMUに格納されても良い。カスタマイズ吸気リポートはACARSシステムに介して航空会社のサーバに転送されても良く、それにより、航空機の吸気システムの性能をリアルタイムに監視することができる。地上の航空会社は、検出されたエンジン吸気システムの性能によって、航空機に対して着陸メンテナンスをリクエストするまでも、対策を決めてもよく。
【0047】
本発明の一実施例によれば、カスタマイズリポートの前記トリガー条件や前記リポート生成条件は変更することができる。例えば、カスタマイズリポートのトリガー条件は、航空機が飛行の度にカスタマイズリポートを生成するようにセットされている。多数の選択された飛行データを容易に取得できるからである。多くの性能検出やメンテナンスモデルについて、トレーニングやラーニングのための実データが多く求められる。カスタマイズリポートは、これらトレーニング用データの提供に最適である。
【0048】
何回もの飛行のカスタマイズリポートを収集すれば、何回もの飛行のカスタマイズリポートにより提供される飛行状態データによって、実際の物理モデル、特徴進化モデル、又は知能モデルに基づき、航空機の性能を検出することができる。
【0049】
実際の物理モデルとは、航空機部材の実際物理特性により作成されるモデルである。該モデルは、航空機性能の真実の状況を実際的に反映することができる。
【0050】
特徴進化モデルとは、航空機性能の衰退率により航空機性能の状況を反映するモデルである。該モデルは、既存の故障モードによって作成されるモデルであり、基本的に、航空機の性能を真実に反映することができる。
【0051】
知能モデルとは、精確の数学と物理モデルによらずに、多量のデータのラーニングやトレーニングによって形成される“知能”モデルである。神経回路網モデルは通常の知能モデルである。
【0052】
航空機の異なる部材に対して、これら部材の状態を反映するように、異なるモデルを作成することができる。カスタマイズリポートは、これらモデルの作成に寄与するものである。そして、これらモデルに基づき、カスタマイズリポートのデータを判断することにより、航空機性能への検出を図る。
【0053】
本発明の一実施例によれば、本発明における上記の実施例の航空機状態の検出方法により、航空機の性能を検出した場合に、航空機の性能に故障があると検出すれば、直ちに航空機のメンテナンスを行うことができる。航空機の性能が衰退期に入ったに過ぎないと検出すれば、適切なタイミングで航空機に対するメンテナンスの実施を手配することによって、航空機の“場合による”メンテナンスを実現することができる。
【0054】
以下、三つの具体の実例によって、さらに本発明のカスタマイズリポートに基づく航空機性能の検出方法を説明する。
【0055】
乗員用酸素システムの応用実例:
図2は、乗員用酸素システムの性能変化曲線の模式図である。全ての酸素システムは、ガス漏れが少量存在するため、温度が固定の場合、異なる時間でΔPの圧力差を生成する。ガス漏れ率は、PL=ΔP/tで示される。ガス漏れ率PLが安定な場合に、乗員用酸素システムの性能は安定期にあるが、ガス漏れ率PLが漸次に増大する場合、乗員用酸素システムの性能は減衰期に入り、ガス漏れ率PLは一つの閾値PLgよりも大きい場合、乗員用酸素システムの性能は故障期に入り、故障が現れる可能性があり、飛行安全性に悪影響を与えるとともに、計画でないメンテナンスを生じさせ易く、航空機の遅延や欠航をもたらす。従来の技術では、乗員用酸素システムが減衰期に入ったか否かを検出する手段がない。本発明の一実施例では、このような検出を実現することができる。
【0056】
乗員用酸素システムとしては、主パラメータが比較的に取得しやすい。乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧は、乗員用酸素システム性能の反映に最適な主パラメータである。乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧が温度と関係があるので、酸素圧の取得の同時に、同期に酸素ボンベの酸素の温度を取得する必要がある。しかし、酸素システムに温度センサーを取り付けないことが一般的である。このため、その他の計測できる温度によって、酸素ボンベにおける酸素の温度を計算する必要がある。
【0057】
乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの位置を考慮すると、本発明の一実施例では、下記式により酸素ボンベにおける酸素の温度を算出できる。
【数1】
【0058】
但し、Tatは大気温度又は機体外温度を示し、Tcは操縦室温度を示し、k1とk2は調整パラメータであり、かつ、k1+k2=2を満たす。本発明の一実例では、k1>k2である。即ち、酸素温度Tは、大気温度Tatと操縦室温度Tcに関連し、かつ、大気温度による影響はより大きい。当然ながら、その他の平均値式を用いて酸素温度を算出してもよい。
【0059】
本発明の一実例では、k1=k2である。即ち、式(14)は以下の通り書き直すことができる。
【数2】
【0060】
但し、kは調整パラメータである。本発明の一実例では、kは数値1に比較的に近接する数である。k、k1及びk2は、いずれも実際の測定により得られても良く、統計分析により得られてもよい。
【0061】
本発明の一実施例では、k=1を取っても良い。式(2)は以下の通り書き直すことができる。
【数3】
【0062】
このように算出された酸素温度は、式(1)と(3)により算出された値ほど正確ではないが、本発明の乗員用酸素システムの性能を検出する実施例からすれば十分である。
【0063】
酸素温度を取得した後、異なる温度で測定された乗員用酸素の圧力は、比較及び漏れ率の算出を行うように、標準温度での標準状態圧力に変換されることができる。標準状態圧力は、下記式により算出することができる。
【数4】
【0064】
但し、Psは標準状態圧力、Tsは標準温度、Pは測定された酸素圧、Tは測定時の酸素の温度である。標準温度は25℃を取っても良い。当然ながら、その他の温度を採用することができる。
【0065】
図3は本発明の一実施例による乗員用酸素システムの性能への検出の方法のフローチャートである。図3に示す乗員用酸素システムの性能への検出の方法300において、ステップ310で、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。ステップ320で、取得された乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度に基づいて乗員用酸素リポートを生成する。
【0066】
ステップ330で、生成された乗員用酸素リポートを乗員用酸素リポートを処理するためのサーバに伝送する。ステップ340で、大気温度と操縦室温度に基づいて、サーバは乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧を標準温度での標準状態圧力に変換する。標準温度は、25℃を取っても良い。当然ながら、その他の温度を採用してもよい。
【0067】
図3に示すように、ステップ350で、ステップ310〜340の方式に従って、異なる時間での乗員用酸素システムの標準状態圧力データを複数組取得する。異なる時間での乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準温度における標準状態圧力を複数組取得した後、これらデータに対する処理と評価によって乗員用酸素システムの性能を確定することができる。図4は、本発明の一実施例のカスタマイズ乗員用酸素リポートの実例である。
【0068】
ステップ360で、異なる時間での複数組の標準状態圧力データを分析することにより、乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定する。又は、ステップ370で、異なる時間での複数組の標準状態圧力データを一サンプルとして、同一類型の航空機の他の組の標準状態圧力データの他の一サンプルと比較することにより、乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定する。
【0069】
本発明の一実施例では、飛行区間漏れ率により乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定する。乗員用酸素システムの飛行区間漏れ率は、下記式により算出することができる。
【数5】
【0070】
但し、t1は航空機の離陸時間、t2は航空機の着陸時間、Ps1は航空機離陸時の乗員用酸素標準状態圧力、Ps2は航空機着陸後の乗員用酸素標準状態圧力である。これにより、離陸前と着陸後の乗員用酸素標準状態圧力の変化ΔPsに基づいて乗員用酸素システムの性能を確定することができる。例えば、ΔPs=Ps1−Ps2は100 PSIよりも大きい場合は、機上酸素システムの性能が劣化した。
【0071】
また、飛行区間漏れ率に基づいて乗員用酸素システムの性能を確定してもよい。例えば、飛行区間漏れ率PL=ΔPS/t=(PS1−PS2)/(t2−t1)は48 PSI/日よりも大きい場合は、機上酸素システムの性能が劣化した。
【0072】
算出された飛行区間漏れ率に基づいて、さらにある温度での乗員用酸素システムの圧力の示度を推定する。これにより、冬季で飛行後の航空機とクール状態の飛行機との大きい温度変化による飛行前の計画でない酸素ボンベの交換を大きく減少することができる。
【0073】
本発明の一実施例では、乗員用酸素システムの酸素標準状態圧力Psと乗員用酸素システムの酸素ボンベの取付時間toと対する統計関係に基づいて、フィットカーブ(fit curve)の傾きの検出によって乗員用酸素システムの性能を確定する。
【0074】
Psとtoとの関係は、下記式に該当する。
Ps = β1 + β2 * to + μ (6)
【0075】
但し、Psは標準状態圧力、toは乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの取付時間、β1は、飛行時間に関する切片項目、β2は、酸素システムの気密性を表す傾き項目、μは、Psとtoとの間の不確定性を表すランダム摂動項目である。
【0076】
toの平均値は、以下の通りに示しても良い。
【数6】
【0077】
但し、nは計算に関与するサンプルデータポイントの個数を示す。
【0078】
Psの平均値は、以下の通りに示しても良い。
【数7】
【0079】
但し、nは計算に関与するサンプルデータポイントの個数を示す。
【0080】
式(6)〜(8)によって、β2は下記式により算出することができる。
【数8】
【0081】
β2は負値である。β2の値が小さいほど乗員用酸素システムの気密性が悪くなることを示す。傾き項目であるβ2の変化を検出することにより、乗員用酸素システムの性能を確定することもできる。異なる航空機間の傾き項目β2を比較することにより、これら航空機の乗員用酸素システムの性能を知ることもできる。
【0082】
上記の傾き検出方法により乗員用酸素システムの性能を検出する場合、計算に関与するデータポイントで示される時間内には、酸素ボンベ交換又は酸素投与などの事象がないほうが好ましい。
【0083】
本発明の一実施例では、漏れ率の互いに独立したサンプルTテスト(Independent Sample Test)の方法により、乗員用酸素システムの性能が劣化したと確定する。
【0084】
飛行区間の時間間隔が短いので、システム圧力の変化が小さい可能性があり、外部温度フィット精度と圧力センサ検知精度により影響され易いため、計算により得られた標準状態圧力の波動は大きい場合がある。外部温度精度と圧力センサ精度による影響を減少させるために、本発明の一実施例では、飛行区間漏れ率の代わりに、間隔が24時間よりも大きい2つのポイントを用いて圧力比較を行い、即ち24時間間隔での漏れ率PL24を用いる。当然ながら、その他の時間間隔、例えば12又は36時間よりも大きい時間間隔を用いてもよい。同時に、サンプリングの問題によるデータ欠点の影響を解消するために、PL24について3日移動平均を用いることができ、その意味としては、3日内の全てのPL24の平均値を算出することである。3日は例として挙げたに過ぎず、その他の日数、例えば2〜4日を用いてもよい。これは、データの状況によるものである。
【0085】
本発明の一実施例では、下記式により、乗員用酸素システムの性能特性を反映する24時間3日移動平均漏れ率PL−avg24を算出する。
【数9】
【0086】
但し、nは3日内のデータポイントの個数を示す。
【0087】
本発明の一実例では、ある期間内に乗員用酸素性能が変化したか否かを確定したい場合、当該期間内の一組のデータを一組のサンプルとして取り、同時に、同一類型の航空機の他の一組のデータを一組のサンプルとして取ってもよい。二組のデータサンプルのPL−avg24を比較し、統計学確率によって二組のデータが顕著な変化が発生したか否かを確定することにより、乗員用酸素システムの性能の劣化期間と劣化度合を判定する。
【0088】
本発明の一実例では、まず、二組のデータのPL−avg24を算出するとともにPL−avg24の分散を算出する。S12は第1組のPL−avg24(n項のデータを含む)の分散であり、S22は第2組のPL−avg24(m項のデータを含む)の分散であると仮定した。S12/S22はF (n−1、m−1) の分布に従うべきであるので、差でF分布表を調査することによりFナンバーを確定する。Fナンバーによって、二組のデータは明らかな相違を有するか否かを判定することができる。テストによって二組のデータが同一の分布に属する確率が2.5%未満である場合は、二組のデータは明らかな相違を有すると考えられる。
【0089】
その他の独立したサンプルTテスト方法により二組のデータは明らかな相違を有するか否かを確定してもよい。このような相違は明らかである場合は、乗員用酸素システムの性能は明らかな変化が存在していることを示す。乗員用酸素システムの性能は明らかな変化が存在していると判定した場合は、漏れ率の平均値に基づいてどの組のデータが示す乗員用酸素システムの性能が劣化したかを容易に判定することができる。
【0090】
平均漏れ率の独立したサンプルテスト法は、同一の航空機の異なる期間のデータを用いてもよいし、同一類型の異なる航空機のデータを用いてもよい。そのため、このような方法は比較的に柔軟である。又、このようなテスト方式は、酸素ボンベ交換と酸素投与か否かに制限されず、酸素ボンベ交換と酸素投与の前後の乗員用酸素システムの性能は明らかな変化が発生したか否かを比較するのに用いられる。
【0091】
以下、実例によってどのように本発明の方法により乗員用酸素システムの性能が明らかに変化したか否かを検出するかを説明する。
【0092】
図5は本発明の一実施例に係る乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準状態圧力と測定時間との関係の模式図である。図5では、折れ線はそれぞれ実際のサンプリング変換の標準状態圧力を示し、直線は、酸素の標準状態圧力と測定時間から回帰した直線を示す。傾き検出法の式(9)により検出を行うと、乗員用酸素システムの漏れ率が大きすぎ、傾きが−0.024929であり、正常な傾き−0.015よりも遥かに小さいことを発見した。これは、乗員用酸素システムの性能が劣化し、減衰期に入ったことを反映する。
【0093】
図6は本発明の一実施例に係る乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準状態圧力と測定時間との関係の模式図である。同図では、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベを一回交換する過程を示した。図6では、点は実際のサンプリング変換の標準状態圧力を示す。図7は図6に示す実施例に係る乗員用酸素システムの24時間3日の移動平均漏れ率と測定時間との関係の模式図である。酸素ボンベの交換の前後の二組のデータを2つのサンプルとし、独立したサンプルTテスト方法により両者が同一か否かをテストする。計算によると、酸素ボンベの交換の前後の二組のデータが同一である可能性が全くないことを表明した。乗員用酸素システムの性能が劣化し、平均漏れ率は元よりも2倍になる。乗員用酸素システムの性能は減衰期に入った。
【0094】
図5〜図7の実施例から分かるように、本発明に係る乗員用酸素システムの性能検出方法としては、乗員用酸素リポートから取得された乗員用酸素システムの酸素圧データと温度データに対する処理と分析に基づいて、傾きの算出又は独立したサンプルTテストなどの方法により、乗員用酸素システムの性能が劣化によって、さらに減衰期又は故障期に入るか否かを取得することができる。
【0095】
図8は本発明の一実施例に係る、航空機乗員用酸素システムのメンテナンス方法のフローチャートである。図7に示す航空機の乗員用酸素システムのメンテナンス方法800において、ステップ810で、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。ステップ820で、取得された乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度に基づいて乗員用酸素リポートを生成する。ステップ830で、生成された乗員用酸素リポートをサーバに伝送する。ステップ840で、サーバは乗員用酸素リポートを処理して、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準温度における標準状態圧力を取得する。ステップ850で、異なる時間での複数組の標準状態圧力データに基づいて、乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定する。ステップ860で、乗員用酸素システムの性能が劣化したら、適当な時機で乗員用酸素システムのメンテナンスを手配する。
【0096】
航空機の着陸品質の検知応用実例
“へビーランディング(Heavy Landing)”、又は“ハードランディング(Hard Landing)”とは、航空機の着陸時における垂直方向のスピードや加速度が限界値を超えた降下のことである。その中、へビーランディングは、航空機着陸重量が最大着陸重量より大きい時に限界を超え、ハードランディングは、航空機着陸重量が最大着陸重量以下の時に、限界を超えるといい、へビーランディングやハードランディングは、航空機の構造、特に翼と、着陸装置と、エンジンなど大きい荷重が加わる航空機部材に衝撃や振動を与え、航空機の構造に破損を発生させる。そのため、一旦へビーランディングを起こした場合、航空会社は、航行の安全のため、航空機の安全検査を厳しく行う必要がある。
【0097】
航空機メーカーによると、航空機のへビーランディングやハードランディング事件が乗組員により報告される制度が決まっている。しかし、乗組員によるへビーランディングやハードランディング事件の報告には、大きい不確定性がある。乗組員によるへビーランディングやハードランディング事件の報告について、殆ど最終処理結果として“へビーランディングやハードランディング未発生”にする。但し、処理の全体の流れにより、航空機の動作の中断と大きいメンテナンスリソースの消耗になってしまう。
【0098】
従って、従来の技術では、乗組員が一旦へビーランディングやハードランディング事件を報告すれば、整備員は、初期の飛行データを航空機のメーカーに提供して分析させなければならない。このようにすれば、コストが高いだけではなく、待ち時間も長く、航空機の正常飛行に影響を与える。
【0099】
本発明の一実施例によれば、カスタマイズ着陸リポートは、航空機のへビーランディング事件を検出することができる。カスタマイズ着陸リポートにおける着陸データは、以下のデータ
1. 航空機が接地する1秒前のRALT(電波高度ft)、RALR(垂直速度ft/sec)、PTCH(ピッチ角deg)、PTCR(ピッチスピードdeg/sec)、ROLL(ローリング角deg)、ROLR(ローリングスピードdeg/sec)、YAW(ヨーレートdeg/sec)の値と、
2. 航空機が接地する時のRALT(電波高度ft)、RALR(垂直速度ft/sec)、PTCH(ピッチ角deg)、PTCR(ピッチスピードdeg/sec)、ROLL(ローリング角deg)、ROLR(ローリングスピードdeg/sec)、YAW(ヨーレートdeg/sec)の値と、
3. 接地する1秒前から接地する期間のVRTA(垂直荷重)、LONA(縦方向荷重)、LATA(横方向荷重)の最大値と最小値と、
4. 接地する1秒前から接地した3秒内のVRTA(垂直荷重)、LONA(縦方向荷重)、LATA(横方向荷重)の最大値と最小値と、
からなる。
【0100】
ACMSシステムの取得したデータは、実時間で測定しデータバッファメモリに格納することができることを説明しなければならない。セットされているトリガー条件がトリガされた場合に、データバッファメモリからトリガー条件前の関するデータを完全に取得が可能で、かつ実現ができる。
【0101】
図9は、本発明の一実施例による航空機の着陸品質の検出方法のフローチャートである。図に示すように、本実施例の航空機の着陸品質の検出方法900は、航空機が接地する時の垂直速度が予定値を超えるか否かを判断するステップ910を備える。予定値を超えていない場合に、ステップ920で着陸リポートを生成する必要がない。
【0102】
ステップ920で適当の垂直速度の予定値を設定することによって、全ての擬似へビーランディングやハードランディング事件のデータの記録を確保することができる。本発明の一実施例では、垂直速度の予定値の絶対値が0.5ft/s(フィート/秒)以下とする。該垂直速度の予定値は、設定により航空機の着陸の度に生成した着陸リポートを収集することができ、即ち、この時の航空機を正常に着陸させることができる。
【0103】
垂直速度の予定値の設定による利点は、着陸リポートを生成するトリガー条件を柔軟的に変更できることがその一つであり、使用者が、へビーランディングやハードランディングに関するデータを収集して記録したり、航空機の着陸の度にデータを収集して記録したりするではなく、必要に応じて、航空機の着陸状態を収集して記録してよい。例えば、垂直速度の予定値を、例えば垂直速度の限界値よりも20%〜40%下げることにより、着陸が少し重くなれば、データを収集して記録し、着陸リポートを生成する。
【0104】
着陸時の垂直速度が予定値を超えれば、ステップ930で、着陸データを収集する。そして、ステップ940では、収集された着陸データに基づき着陸リポートを生成する。ステップ930では、航空機のACMSシステムで着陸データを収集する。ACMSシステムのDMUは、所定のトリガー条件に基づき、応じる着陸データの収集の流れを開始させる。データの収集が完了すれば、ステップ940で、収集した着陸データに応じて、着陸リポートを生成する。
【0105】
ステップ950では、着陸リポートを格納したり転送したりする。ステップ960では、着陸リポートにおける着陸データを応じて、着陸時に航空機がへビーランディングやハードランディングを発生したか否かを確定する。
【0106】
本発明の一実施例によれば、着陸時に航空機の垂直方向のスピード又は加速度が限界値を超えることによって、へビーランディングやハードランディングが発生したか否かを判断する。航空機の構造強度の限界から考えると、航空機の垂直速度の限界値が航空機の着陸重量に関する。垂直速度(RALR)が限界を超えるか否かの判断には、航空機の着陸重量に応じてそれぞれ比較をする必要がある。本発明の一実施例では、航空機の着陸重量が最大着陸重量以下の場合に、規制値が-9フィート/秒になる。航空機の着陸重量が最大着陸重量以上の場合に、規制値が-6フィート/秒になる。以上、例に過ぎなく、異なる航空機は、着陸重量が最大着陸重量よりも大きかったり小さかったりする時の限界値が違う可能性がある。
【0107】
垂直速度の限界以上の判断ロジックと同じく、垂直荷重VRTAが限界を超えるか否かの判断には、航空機の垂直荷重の限界値も航空機の着陸重量と関する。本発明の一実施例では、航空機の着陸重量が最大着陸重量以下の場合に、限界値が2.6Gになるが、航空機の着陸重量が最大着陸重量以上の場合に、限界値が1.7Gになる。以上、一つの例に過ぎなく、異なる航空機は、着陸重量が最大着陸重量よりも大きかったり小さかったりする時の限界値が違う可能性がある。
【0108】
航空機が着陸する時の垂直速度と垂直加速度が限界値を超えたり近接したりするか否かを総合して考えると、へビーランディングやハードランディングが発生したか否かを直接に判断することができることが多い。直接に判断できなくても、航空機が着陸する時にへビーランディングやハードランディングが発生したか否かに有意義な参考を提供することができ、乗組員による報告と、他の要因を合わせれば、初期データを航空会社に送信して処理させることがなく、着陸時の航空機にへビーランディングやハードランディングが発生したか否かを確定することができる。
【0109】
図10は、本発明の一実施例による航空機のACMSシステムにより着陸リポートを生成する方法のフローチャートである。図に示すように、本実施例の着陸データの収集方法1000、は、航空機が接地するか否かを判断するステップ1010を含有する。本発明の一実施例では、航空機の左の主着陸装置の緩衝支柱及び/又は右の主着陸装置緩衝支柱が伸び状態から圧縮状態に変換したか否かを検出することによって、航空機が既に接地したか否かを判断する。
【0110】
航空機が既に接地すれば、ステップ1020で、着陸時の航空機の垂直速度と垂直加速度が閾値を超えるか否かを判断する。同時に、ステップ1030では、航空機が接地する1秒前と航空機が接地する時の着陸データ、及び接地する1秒前から接地した3秒以内の着陸データを収集する。ステップ1040では、垂直速度と垂直加速度の何れかが閾値を越えた場合に、収集された着陸データを全部フォーマット化し、着陸短リポートを生成する。それ以外の場合に、着陸リポートを生成しない。
【0111】
図11は、本発明の一実施例によるACMSシステムに着陸短リポートを生成するトリガー関係の模式図。図11に示したトリガーは、図9に示した方法に応用が可能である。図11に示すように、DMUでは、トップサービスTOPSERVがシステムに保存したトリガーであり、プロセッサのメインスレッド又はオペレーティングシステムにおけるベースサービスに該当する。その他のトリガーは、全てTOPSERVにより開始されたり有効化されたりする。航空機が着陸する直前、スラットの開きが5度以上、飛行高度が10000フィート以下のFINAL APPR段階に、DMUにおけるTOPSERVがトリガーLAND1を有効化させることにより、航空機が既に接地するか否かを監視する。
【0112】
LAND1は、何れかの左・右の主着陸装置における圧縮がスイッチに近づく状態が変化したと検知した場合、“航空機接地”とマークする。同時に、LAND1がトリガーLAND2やLAND2Bと、LAND3やLAND4を有効化させる。その中、LAND2とLAND2Bは何れも航空機が接地する垂直速度(RALR)と垂直加速度(VRTA)が閾値を超えるか否かを判断するために用いる。LAND1により有効化されるLAND3とLAND4が着陸データを記録する。
【0113】
LAND4による実行の後、短リポートにおいて、全てのパラメータの収集が完了し、その後、プリントと読み出しをしやすいように、パラメータのフォーマットを変換し、最終的に着陸短リポートを生成する。
【0114】
本発明の一実施例によれば、LAND1による航空機の着陸の判断中において、LAND1が動作して左・右の主着陸装置の緩衝支柱がスイッチに近づく位置状態を読み取る。検出頻度は、1/32秒以内に変化したか否かを検出するように、32回/秒になっている。位置状態を示すパラメータ値は0kら1に変わった場合、緩衝支柱の何れかが伸び箇所から圧縮箇所に戻ったことを示す。これにより、航空機が既に着陸したと判断する。この時、航空機が着陸している時点の始点になっている。
【0115】
本発明の一実施例によれば、LAND2、LAND2Bは、以下のように、航空機が接地する垂直速度(RALR)と垂直加速度(VRTA)が閾値を超えるか否かを判断する。航空機の着陸状態をより正しく反映するために、着陸時点前後の0.5秒以内のRALRとVRTAが閾値を超えるか否かを判断する必要がある。
【0116】
本実施例では、まず、LAND2を有効化させる。LAND1は、0〜32間の整数である一つの着陸時間値T0を入力する。LAND2は、T0と0〜5間の範囲に微調整される一つのパラメータCHKを比較し、T0/2-CHK<0になる場合、接地する時点とパラメータの測定時点が近づき過ぎると示し、接地によるデータの変化が測定されるパラメータに反映されない恐れがあるので、LAND2Bは有効化により、着陸時点の次の一秒内のRALRとVRTAが閾値を超えるか否かを判断し、LAND2を終える。T0/2-CHK>0の場合、LAND2が着陸時点のRALRとVRTAが閾値を超えるか否かを判断する。閾値を越えていない場合に、LAND2は、T0と16を比較し、T0-16>0になるか否かを判断する。T0-16<0になる場合に、航空機の着陸の様子をより正しく反映するため、着陸時点の次の一秒内のRALRとVRTAが閾値を超えるか否かを判断するように、LAND2Bを有効化させ、LAND2を終える。LAND2とLAND2Bに対して、何れかの一回の比較により着陸時点のRALRとVRTAが閾値を超えるか否かを発見すれば、航空機の着陸が着陸リポートの生成に合致する。
【0117】
本実施例では、二つのトリガーが異なる時間帯で動作することによって、接地点の時点の前後の0.5秒の範囲における着陸のRALRとVRTAの限界超えの有無への正確の判断を確保する。
【0118】
本発明の一実施例によれば、垂直荷重、即ち垂直加速度VRTAの限界超えの有無への判断は条件付きなものである。前の垂直速度RALRが限界を超えていない場合に、さらにトリガーが垂直荷重VRTAの限界超えを判断する。垂直速度RALRが既に限界を超えたと判明すれば、垂直荷重(VRTA)の限界超えへの判断を省略し、着陸短リポートを直接に生成する。
【0119】
本発明の一実施例によれば、LAND2とLAND2Bには、以下のようにして垂直速度(RALR)を算出する。航空機において、RALRのサンプリングレートが16回/秒である。真実のRALRをより正しく反映するため、測定されたRALRを補正する必要があり、即ち、ADIRU(大气データと慣性ナビゲーションコンピューター)にて検知される垂直速度-IVVを元に、航空機のピッチと、ローリング姿勢と、三軸の加速度と、定数に基づき補正する必要がある。
【0120】
本発明の一実施例は、如下のプログラムセグメントによってRALRを算出することもできる。
IVV = IVV actual sample n (垂直速度の現在値)
IVV1 = IVV previous sample n-1 (垂直速度の一つ前のサンプル値)
PTCHACC = PTCHACC actual sample n (ピッチ加速度の現在値、中間変数)
PTCHACC1 = PTCHACC previous sample n-1 (ピッチ加速度の一つ前のサンプル値、中間変数)
PTCHACC2 = PTCHACC previous sample n-2 (ピッチ加速度の二つ前のサンプル値、中間変数)
PTCR:ピッチスピード
PTCR1:ピッチスピードの一つ前のサンプル値
PTCHRAW:ピッチ(中間変数)
PTCHRAW1:ピッチの一つ前のサンプル値(中間変数)
VACC:垂直加速度(慣性ナビゲーションから)
RALT:電波高度
PTCH:ピッチ
【0121】
Constants(常量):
D geometrical correction factor for ROLR ft/deg (ローリングスピード幾何補正値、デフォルトは“0”)
DX lever arm correction (x-axis) for R/A RALT ft (高度X軸アクチュエーティングアーム 補正、321航空機:28.8 / 320航空機:18 / 319航空機:18.5 / 318航空機:16.8)
DZ lever arm correction (z-axis) for R/A RALT ft (高度Z軸アクチュエーティングアーム 補正、321航空機:7.8 / 320航空機:7.1 / 319航空機:7.2 / 318航空機:7.6)
DXTPIR lever arm correction (x-axis) for PTCH ft (ピッチX軸アクチュエーティングアーム 補正、321航空機:53.1 / 320航空機:39 / 319航空機:33.8 / 318航空機:29.5)
FC filter frequency Hz (フィルター周波数、デフォルトは“0.3”)
K1 filter constant (フィルター定数、デフォルトは“5.2”)
K2 filter constant (フィルター定数、デフォルトは“25”)
K3 filter constant (フィルター定数、デフォルトは“5”)
THETA0 average PTCH at touchdown deg (接地時ピッチ平均値、321航空機:4.5 / 320航空機:6 / 319航空機:2 / 318航空機:6)
【0122】
パラメータ初期化:
PTCHRAW1 = 0.0
PTCHACC1 = 0.0
PTCHACC2 = 0.0
PTCR1 = 0.0
EN1 = 0.0
VZN1 = IVV/60.0
ZN1 = RALT
【0123】
PTCHRAW = (PTCR-PTCR1)/T (T = 1/16)
PTCHACC = PTCHACC1+T*(2*PI*FC)*(PTCHRAW+PTCHRAW1-PTCHACCI-PTCHACC2)/2 (PI=3.14159265)
NZTCOR = VACC*9.81/0.3048-DXTPIR*PTCHACC/57.3*cos(PTCH/57.3)
HRACOR=RALT+DX*(sin(PTCH/57.3)-sin(THEATA0/57.3))-DZ*(cos(PTCH/57.3)-cos(THEATA0/57.3))
EPSN = ZN1-HRACOR
EN = EN1+T*( K3*EPSN)
VZN = VZN1+T*( ZTCOR-EN-*EPSN)
VZNU = VZN-D*ABS (ROLR)
RALR = VZNU
ZN = ZN1 + T*(VZN - K1 * EPSN)
【0124】
以上、一つのRALRサンプル値の算出の流れであり、残りのサンプル値が一つ目のサンプルの算出の後、ループの繰り返し方法で計算し、一つ目のサンプルの算出の後に、繰り返し方法が以下の通りになる。
【0125】
EN1 = EN
VZN1 = VZN
ZN1 = ZN
PTCHACC2 = PTCHACC1
PTCHACC1 = PTCHACC
PTCHRAW1 = PTCHRAW
PTCR1 = PTCR
【0126】
本発明の一実施例によれば、LAND2とLAND2Bに、垂直加速度に対して、直接ACMSシステムから取得した垂直荷重から取得することができる。
【0127】
本発明の一実施例によれば、LAND3は、以下の役割
a) 着陸点の1秒前のRALT、RALR、PTCH、PTCR、ROLL、ROLR、YAWの値の記録、
b) 着陸点のRALT、RALR、PTCH、PTCR、ROLL、ROLR、YAWの値の記録
を実現することができる。
【0128】
本発明の一実施例によれば、LAND4の動作時間は4秒であり、着陸点の1秒前から着陸点の3秒内のVRTA、LONA、LATA、RALRの最大と最小値を記録する。
【0129】
図12は、本発明の別の実施例による航空機ACMSシステムで着陸リポートを生成する方法のフローチャートである。航空機が着陸した場合に、地上の反発力によって航空機を跳ね返し、その後、航空機が再びに地上に落ち付く。これは、航空機の“跳ね返り”と称する。このような航空機の着陸の跳ね返りは一回でも、何回でも発生することがある。航空機の着陸の跳ね返りはへビーランディング又はハードランディングである可能性があるため、それを検出する必要がある。このような航空機の着陸の跳ね返りに関する着陸リポートは、着陸長リポートであり、普通の着陸リポートは、着陸短リポートである。
【0130】
図12に示すように、本実施例の着陸長リポートの生成方法は、航空機が既に接地したか否かを判断するステップ1210と、航空機が接地する1秒前と航空機が接地する時の着陸データ、及び接地する1秒前から接地した3秒以内の着陸データを収集するステップ1220と、航空機が着陸時に跳ね返りを発生したか否かを判断するステップ1230とからなる。跳ね返りが発生しないと、ステップ1240で、着陸時の航空機の垂直速度と垂直加速度が予定値を超えるか否かを判断し、超えた場合に、ステップ1250で、着陸短リポートを生成し、超えていない場合、着陸リポートを生成しない。
【0131】
航空機が跳ね返りを発生した場合に、ステップ1260では、航空機が再び接地する1秒前と着陸した3秒以内の航空機の着陸データを収集すると同時に、ステップ1270では、再び接地する時の垂直加速度が閾値よりも大きくなるか否かを確定し、限界を超えた場合、ステップ1280では、規制値と、限界超えの時の最大値と、トリガーコードと、トリガー原因とを記録する。ステップ1290では、二回の着陸データをフォーマット化させ、着陸長リポートを生成する。
【0132】
本発明の一実施例によれば、二つの主着陸装置が既に圧縮され、且つ、十分な時間を維持したか否か、又、左・右の主着陸装置が改めて伸び状態にあるか否かを判断することによって、航空機が着陸の時に跳ね返りを発生したか否かを判断する。さらに、左・右の主着陸装置が改めて伸び状態にある持続時間が10秒よりも短いと判断することによって、再びの接地を確認することができ、さらに、跳ね返りの発生を確認することができる。
【0133】
図13は、本発明の一実施例による、ACMSシステムに着陸長リポートを生成するトリガー関係の模式図である。図13に示したトリガーは、図12に示した方法に応用可能である。図13に示すように、DMUにおいて、トップサービスTOPSERVがシステムが保存するトリガーである。航空機が着陸する直前、スラットの開きが5度以上、飛行高度が10000フィート以下のFINAL APPR段階に、DMU中のTOPSERVがトリガーBOUNCE1とLAND1を有効化させる。BOUNCE1は、二つの主着陸装置が既に圧縮され且つ十分な時間を維持したか否かを検知する。
【0134】
BOUNCE1は、主着陸装置が既に圧縮され且つ十分な時間を維持したか否かを確認した場合に、トリガーBOUNCE2とBOUNCE3を、それぞれ左・右主着陸装置が改めて伸び状態にあるか否かを検知するように有効化させる。そして、BOUNCE2とBOUNCE3は、航空機の飛行状態をされに確認するように、対応するトリガーBOUNCE4やBOUNCE5を有効化させる。BOUNCE4とBOUNCE5は、左・右の着陸装置の緩衝支柱の伸び状態を持続して検知し、所定の条件が満足された場合、航空機における跳ね返りの発生を判断する。
【0135】
BOUNCE4とBOUNCE5は、トリガーBOUNCE6とBOUNCE7を、再び接地する1秒前と着陸した3秒以内の航空機の着陸データをサーチ・比較・収集するように、それぞれ有効化させる。
【0136】
BOUNCE7は、跳ね返り後再び接地する垂直加速度が規制値よりも大きいか否かをサーチ・比較し、限界を超えた場合、リポートに、規制値と、限界超えの時の最大値と、トリガーコードと、トリガー原因を記録する。
【0137】
BOUNCE6とBOUNCE7が着陸データを得る形態は、LAND3とLAND4と類似するので、重複した説明を省略する。
【0138】
LAND1は、航空機が既に接地したか否かを監視するためのものである。既に接地した場合、LAND1は、トリガーBOUNCE8を有効化させる。航空機が着陸の時に跳ね返りを発生したか否かに基づき、BOUNCE8が着陸長リポートと着陸短リポートが何れか生成するかを確定する。最後、リポートに記録した値の読み出しやプリントをし易いように、二回の着陸に対する着陸関連パラメータのフォーマットを変換し、応じる着陸リポートを生成する。
【0139】
本発明の一実施例によれば、以下のようにして、航空機が着陸の時に跳ね返りを発生したか否かを検知する。BOUNCE1は、左・右の主着陸装置の緩衝支柱がスイッチに近づく位置状態を連続に読み取り、その頻度は、1/32秒に変化したか否かを検出するように32回/秒になる。その状態が“0”から“1”に変換した時に、BOUNCE1が一つのカウンタによるカウントを開始する。カウンタが16より大きい限り、BOUNCE1がBOUNCE2とBOUNCE3を有効化させる。これは、二つの主着陸装置が既に圧縮され且つ少なくとも0.5秒維持されたを意味する。条件が不満足の場合、カウンタがクリアして、改めてカウントする。
【0140】
以下、左の主着陸装置を例とし、右の主着陸装置を同じの手段で処理して良い。
【0141】
BOUNCE2は、動作の後、続けて左の主着陸装置への圧縮がスイッチに近づく位置状態を持続して検知し、その頻度は、32回/秒である。パラメータ値が“0”の場合、カウンタがカウントを開始する。カウンタのカウント値が32より大きい限り、BOUNCE4を有効化させる。この時、左の主着陸装置の緩衝支柱が伸び状態にあり、且つ、持続時間が1秒より大きい。条件が不満足の場合、カウンタがクリアして、改めてカウントする。
【0142】
BOUNCE4の検知の原理は、BOUNCE2と類似し、パラメータ値が“0”になる時、カウンタがカウントしていく。パラメータ値が“1”の場合、カウンタのカウント値を判断する。カウンタのカウント値が320より小さい場合、左の主着陸装置が跳ね返りを発生したと判断する。この時、左の主着陸装置の緩衝支柱が伸び状態に保持した時間、即ち滞空時間が、10秒より短い。その後、改めて圧縮状態になる。
【0143】
以上のことを合わせて、本実施例の跳ね返りの判断方法は、
1.左・右の主着陸装置が圧縮状態にあり、且つ0.5秒以上持続したか否かを確定し、
2.左・右の主着陸装置の何れかが改めて伸び状態にあり、且つ1秒以上持続したか否かを確定し、
3.左・右の主着陸装置の何れかが改めて伸び状態にあり、且つ10秒よりも短く持続したか否かを確定する
三つの条件がある。
【0144】
以上の条件が満足した場合、航空機が着陸した過程に跳ね返りを発生したと認める。
【0145】
本発明の一実施例によれば、BOUNCE8が動作した30秒後、BOUNCEDと、LONGLRPTと、BRPTCODEとのパラメータ値に応じて、長リポートと短リポートは何れかが生成するかを判断する。
【0146】
BOUNCED:状態パラメータであり、航空機の跳ね返りの発生を示す。トリガーBOUNCE4或BOUNCE5が跳ね返りを検知した後、エバリュエーションする。
LONGLRPT:状態パラメータであり、長リポートの生成が可能であることを示す。一回目の接地において、垂直荷重の限界超えが発生の場合、トリガーLAND2/2Bにより、垂直荷重の限界超えの時にエバリュエーションする。
BRPTCODE:リポートトリガーコードであり、二回の接地の限界超え時にエバリュエーションし、トリガーBOUNCE7により、限界超えを検知した後エバリュエーションする。
BOUNCE8上述パラメータを呼び出し、長リポートと短リポートの何れかが生成するかを確定する。
【0147】
具体的に、以下のテーブルを参考する。
【表2】
【0148】
図14は、本発明の一実施例によるカスタマイズ着陸短リポートの例である。図に示すように、本回の着陸過程に、垂直速度RALRがただ1.8フィート/秒であると分る。垂直加速度VRTAの1.64Gは、正常の着陸の範囲にある。但し、横方向加速度が0.21Gで少し高い可能性がある。このような場合に、乗組員から略重い着陸の報告があったとしても、着陸短リポートに基づき、本回の着陸が正常であり、へビーランディングやハードランディングが発生していないとすぐに分る。
【0149】
図15は、本発明の別の実施例によるカスタマイズ着陸長リポートの例である。図に示すように、本回の着陸過程に、航空機が跳ね返りを発生したと分る。一回目に接地する過程において、垂直速度RALRが7.2フィート/秒になり、垂直加速度VRTAが2.07Gになる。垂直速度が正常の範囲にあり、垂直加速度も閾値以下にある。二回目に接地する過程において、垂直速度RALRが1.5フィート/秒になり、垂直加速度VRTAが2.65Gになり、いずれも正常の範囲にある。従って、航空機が着陸過程に跳ね返りを発生し、二回目に接地する時に、垂直荷重の限界超えが発生した。
【0150】
航空機の整備員は、DMUの非揮発性メモリから着陸リポートを取得してもいいし、航空機のコックピットに航空機着陸リポートをプリントしてもいいし、又は、性能監視者は、地上ワークステーションにて空地データチェーンにてダウンロードされた着陸リポートを読み取り、航空機の着陸の性能への監視を実現し、時間通りに航空機の着陸性能の異常を正しく発見することを確保する。このように、へビーランディングやハードランディング後、航空機がへビーランディングやハードランディングを発生したか否かを確定するように、多量のデータ処理と検査作業をすることを回避し、航空機のストップ時間を節約し、航空機の利用率を向上すると共に、航空機が安全欠陥がある場合に航空することを回避し、航空機航空の安全欠陥を無くすことができる。記録したデータによって、飛行品質監視部門の乗組員の作業技術品質への評価に寄与する。
【0151】
本発明は、エアバス社のACMSシステムを例としたが、エアバス社の航空機への応用に限定するものではない。本発明は、ボーイング社のAHMシステムによってボーイング社の航空機に応用することができる。
【0152】
以上の実施形態は、本発明を説明するためのものにすぎず、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱しない場合に、各種の変化や変形を行うことができるので、全ての同等な技術内容も本発明に開示された範囲に属するはずである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カスタマイズリポートに基づく航空機性能検出方法であって、
航空機稼動状態を反映するデータを収集することと、
収集した前記データに基づき、航空機稼動状態に関する一つまたは複数の主パラメータを含むよう特注されたカスタマイズリポートを生成することと、
前記カスタマイズリポートを格納または転送することと、
前記カスタマイズリポートに基づき、前記航空機の性能を検出することと、
を含む、カスタマイズリポートに基づく航空機性能検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートがさらに、前記主パラメータの修正と相関する一つまたは複数の補助パラメータを含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
収集された前記データに基づき、カスタマイズリポートを生成するステップがさらに、トリガー条件に応じて、前記一つまたは複数の時刻における前記主パラメータおよび補助パラメータの数値を取得することを含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
さらに、前記主パラメータおよび補助パラメータの数値を指定状態下の数値に換算することを含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
さらに、前記補助パラメータの数値に基づき、前記主パラメータの数値を修正することを含む、方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートの前記主パラメータが、
前記航空機稼動状態と相関する複数のパラメータを取得し、
前記複数のパラメータが表す物理的意味に基づき、複数の主パラメータを確定し、
前記複数の主パラメータ間の相関度を計算し、
前記複数の主パラメータ間の相関度に基づき、前記複数の主パラメータのうちの一つまたは複数を取り除く
ステップにより、確定される、方法。
【請求項7】
請求項3に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートの前記主パラメータが、
前記航空機稼働状態と相関する複数のパラメータを取得し、
前記複数のパラメータと航空機故障事件とを関連付けて、複数の主パラメータを確定し、
前記複数の主パラメータ間の相関度を計算し、
前記複数の主パラメータ間の相関度に基づき、前記複数の主パラメータのうちの一つまたは複数を取り除く
ステップにより、確定される、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記複数のパラメータと航空機故障事件とを関連付けるステップが、データマイニングにより前記複数のパラメータと航空機故障事件との相関度を計算することを含む、方法。
【請求項9】
請求項3に記載の方法であって、
さらに、前記トリガー条件が満足されたか否かを監視するための第一プロセスを開始することを含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
さらに、カスタマイズリポートを生成する条件が満足されたか否かを監視するための第二プロセスを開始することと、カスタマイズリポートが要求する前記主パラメータおよび前記補助パラメータの数値を収集するための第三プロセスを開始することと、を含み、
前記第二プロセスが、カスタマイズリポートを生成する条件が満足されたと確定したとき、前記第三プロセスで収集された前記主パラメータおよび前記補助パラメータの数値を利用して、カスタマイズリポートを生成する、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
さらに、前記第一プロセスが、前記第二プロセスと前記第三プロセスとを開始することを含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記第一プロセスが、航空機が離陸、上昇または降下段階にあるか否かを判断するよう割り当てられ、
前記第二プロセスが、左・右エンジン予冷器の出口温度が220度より高いか、または155度より低く、かつ持続時間が5秒以上であるか否かを判断し、
前記第三プロセスが、左・右エンジン予冷器の一秒毎の出口温度を収集する、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
さらに、カスタマイズ吸気リポートを生成することを含み、
前記カスタマイズ吸気リポートの主パラメータが、左・右エンジン予冷器の出口温度が220度より高いかまたは155度より低い持続時間と、左・右エンジン予冷器の出口温度の最大値または最小値と、を含み、
前記カスタマイズ吸気リポートの補助パラメータが、航空機の高度と外部温度と、を含む、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートが、システムリポート以外の特注リポートである、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートが、エアバス社のACMSシステムまたはボーイング社のAHMシステムを利用して生成される、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートを保存または転送するステップが、前記カスタマイズリポートを航空機データシステムの不揮発性メモリに格納するか、またはACARSシステムもしくはATNシステムを利用して転送することを含む、方法。
【請求項17】
請求項10に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートの前記トリガー条件または前記リポートの生成条件は修正可能である、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートのトリガー条件が、航空機のいずれの飛行においてもカスタマイズリポートが生成されるように割り当てられる、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートに基づき、前記航空機の性能を検出することが、
複数の飛行のカスタマイズリポートを収集することと、
複数の飛行のカスタマイズリポートを利用して、実際の物理モデル、特徴進化モデル、または知能モデルに基づき、航空機の性能を検出することと、
を含む、方法。
【請求項20】
航空機のメンテナンス方法であって、
請求項1〜19のいずれかに記載の方法を用いて、航空機の性能を検出することと、
航空機の性能故障に応じて、航空機に対しメンテナンスを行うこと、または航空機の性能衰退に応じて、適切なタイミングで航空機に対するメンテナンスの実施を手配することと、を含む、方法。
【請求項1】
カスタマイズリポートに基づく航空機性能検出方法であって、
航空機稼動状態を反映するデータを収集することと、
収集した前記データに基づき、航空機稼動状態に関する一つまたは複数の主パラメータを含むよう特注されたカスタマイズリポートを生成することと、
前記カスタマイズリポートを格納または転送することと、
前記カスタマイズリポートに基づき、前記航空機の性能を検出することと、
を含む、カスタマイズリポートに基づく航空機性能検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートがさらに、前記主パラメータの修正と相関する一つまたは複数の補助パラメータを含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
収集された前記データに基づき、カスタマイズリポートを生成するステップがさらに、トリガー条件に応じて、前記一つまたは複数の時刻における前記主パラメータおよび補助パラメータの数値を取得することを含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
さらに、前記主パラメータおよび補助パラメータの数値を指定状態下の数値に換算することを含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
さらに、前記補助パラメータの数値に基づき、前記主パラメータの数値を修正することを含む、方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートの前記主パラメータが、
前記航空機稼動状態と相関する複数のパラメータを取得し、
前記複数のパラメータが表す物理的意味に基づき、複数の主パラメータを確定し、
前記複数の主パラメータ間の相関度を計算し、
前記複数の主パラメータ間の相関度に基づき、前記複数の主パラメータのうちの一つまたは複数を取り除く
ステップにより、確定される、方法。
【請求項7】
請求項3に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートの前記主パラメータが、
前記航空機稼働状態と相関する複数のパラメータを取得し、
前記複数のパラメータと航空機故障事件とを関連付けて、複数の主パラメータを確定し、
前記複数の主パラメータ間の相関度を計算し、
前記複数の主パラメータ間の相関度に基づき、前記複数の主パラメータのうちの一つまたは複数を取り除く
ステップにより、確定される、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記複数のパラメータと航空機故障事件とを関連付けるステップが、データマイニングにより前記複数のパラメータと航空機故障事件との相関度を計算することを含む、方法。
【請求項9】
請求項3に記載の方法であって、
さらに、前記トリガー条件が満足されたか否かを監視するための第一プロセスを開始することを含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
さらに、カスタマイズリポートを生成する条件が満足されたか否かを監視するための第二プロセスを開始することと、カスタマイズリポートが要求する前記主パラメータおよび前記補助パラメータの数値を収集するための第三プロセスを開始することと、を含み、
前記第二プロセスが、カスタマイズリポートを生成する条件が満足されたと確定したとき、前記第三プロセスで収集された前記主パラメータおよび前記補助パラメータの数値を利用して、カスタマイズリポートを生成する、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
さらに、前記第一プロセスが、前記第二プロセスと前記第三プロセスとを開始することを含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記第一プロセスが、航空機が離陸、上昇または降下段階にあるか否かを判断するよう割り当てられ、
前記第二プロセスが、左・右エンジン予冷器の出口温度が220度より高いか、または155度より低く、かつ持続時間が5秒以上であるか否かを判断し、
前記第三プロセスが、左・右エンジン予冷器の一秒毎の出口温度を収集する、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
さらに、カスタマイズ吸気リポートを生成することを含み、
前記カスタマイズ吸気リポートの主パラメータが、左・右エンジン予冷器の出口温度が220度より高いかまたは155度より低い持続時間と、左・右エンジン予冷器の出口温度の最大値または最小値と、を含み、
前記カスタマイズ吸気リポートの補助パラメータが、航空機の高度と外部温度と、を含む、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートが、システムリポート以外の特注リポートである、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートが、エアバス社のACMSシステムまたはボーイング社のAHMシステムを利用して生成される、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートを保存または転送するステップが、前記カスタマイズリポートを航空機データシステムの不揮発性メモリに格納するか、またはACARSシステムもしくはATNシステムを利用して転送することを含む、方法。
【請求項17】
請求項10に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートの前記トリガー条件または前記リポートの生成条件は修正可能である、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートのトリガー条件が、航空機のいずれの飛行においてもカスタマイズリポートが生成されるように割り当てられる、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記カスタマイズリポートに基づき、前記航空機の性能を検出することが、
複数の飛行のカスタマイズリポートを収集することと、
複数の飛行のカスタマイズリポートを利用して、実際の物理モデル、特徴進化モデル、または知能モデルに基づき、航空機の性能を検出することと、
を含む、方法。
【請求項20】
航空機のメンテナンス方法であって、
請求項1〜19のいずれかに記載の方法を用いて、航空機の性能を検出することと、
航空機の性能故障に応じて、航空機に対しメンテナンスを行うこと、または航空機の性能衰退に応じて、適切なタイミングで航空機に対するメンテナンスの実施を手配することと、を含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図5】
【公開番号】特開2013−28341(P2013−28341A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−167262(P2012−167262)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【出願人】(512162041)エア チャイナ リミテッド (5)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【出願人】(512162041)エア チャイナ リミテッド (5)
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