説明

カップの立体支持リング

【課題】カップの外形と調和しやすく、着心地の良いカップの立体支持リングを提供する。
【解決手段】立体支持リング(1)が半円弧形状に構成され、前記立体支持リングの素材が扁平な線材からなり、前記扁平な線材が、平面下部が内側に傾斜することで、当該扁平な線材の上辺縁(2)が外側に、下辺縁(3)が内側に向く傾斜平面(4)を構成し、前記扁平な線材の傾斜平面(4)が、水平面に対し15°〜80°の傾斜角度をなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラジャー等の下着に設けられるカップの立体支持リングに関する。当該立体支持リングは衣類の付属品分野に属し、特にブラジャーカップの支持部材に適用される。
【背景技術】
【0002】
従来のブラジャー、シェイプアップインナー等の女性用下着は、カップの乳房に対する保持及び支持作用を実現するために、通常はカップ内に支持及び保持作用を有する部材を配置している。従来技術では、当該支持及び保持作用を有する部材として、ほとんどが半円形の金属製リングを採用し、カップの下縁部に配置していた。従来の金属製リングは、大部分が断面円形状のステンレス線材をその作製材料としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来の断面円形状のステンレス線材は、装着性に劣り、カップに凸状の筋ができてしまう。このような筋は、ブラジャー等の下着の外観を損なうだけでなく、着用者にとっても着心地がよくなかった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑み、カップの外形と調和しやすく、着用時に筋が浮き出ず、且つ着心地の良いブラジャーカップの立体支持リングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、下着に設けられるカップの立体支持リングにおいて、当該立体支持リングは半円弧形状に構成され、前記立体支持リングの素材が扁平な線材からなり、前記扁平な線材は、平面下部が内側に傾斜することで、当該扁平な線材の上辺縁が外側に、下辺縁が内側に向く傾斜平面を構成し、前記扁平な線材の傾斜平面が、水平面に対し15°〜80°の傾斜角度をなすことを特徴とするカップの立体支持リングを提供する。
【0006】
本発明において、前記傾斜平面の水平面に対する傾斜角度としては、30°、60°、85°が挙げられる。
【0007】
また、立体支持リングの具体的形状としては、前記扁平な線材の断面形状が台形であって、前記傾斜面の前記水平面に対する傾斜角度が15°に設定されたものが挙げられる。
【0008】
また、前記偏平な線材の断面形状は、楕円形であってもよい。
【0009】
また、前記扁平な線材の具体的な素材としては、ステンレス線材、ポリエステルプラスチック又は樹脂プラスチック線材、シリコンゴム線材又はナイロン線材が挙げられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、この立体支持リングをブラジャーカップ内に組み込んだ状態において、立体支持リングが保持する乳房部位の形状に沿って傾斜するので、ブラジャーカップをよりしっかりと乳房上に嵌め合わせて使用者により快適なフィット感を与えることができるとともに、ブラジャーカップに立体支持リングによる筋が浮き出るのを抑制してブラジャーカップの外表面を滑らかにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施例1の平面構造を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1の図1をB1方向から見た端面傾斜角度を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施例1の図1をA1方向から見た端面傾斜角度を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施例1の図1におけるC1−C1断面部の傾斜角度を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施例1の立体構造を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施例2の平面構造を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施例2の図6をB2方向から見た端面傾斜角度を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施例2の図6をA2方向から見た端面傾斜角度を示す図である。
【図9】図9は、本発明の実施例2の図6におけるC2−C2断面部の傾斜角度を示す図である。
【図10】図10は、本発明の実施例2の立体構造を示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施例3の平面構造を示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施例3の図11をB3方向から見た端面傾斜角度を示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施例3の図11をA3方向から見た端面傾斜角度を示す図である。
【図14】図14は、本発明の実施例3の図11におけるC3−C3断面部の傾斜角度を示す図である。
【図15】図15は、本発明の実施例3の立体構造を示す図である。
【図16】図16は、本発明の実施例4の平面構造を示す図である。
【図17】図17は、本発明の実施例4の図16をB4方向から見た端面傾斜角度を示す図である。
【図18】図18は、本発明の実施例4の図16をA4方向から見た端面傾斜角度を示す図である。
【図19】図19は、本発明の実施例4の図16におけるC4−C4断面部の傾斜角度を示す図である。
【図20】図20は、本発明の実施例4の立体構造を示す図である。
【図21】図21は、本発明の実施例5の立体構造を示す図である。
【図22】図22は、本発明の実施例5における扁平な線材の断面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明について更に説明する。
【0013】
本発明の実施形態に係る立体支持リング1は、図1,図2,図3,図4及び図5等に示すように、ステンレス等の扁平線材を素材とし、半円弧形状に形成されている。本発明の目的を実現するために、前記立体支持リング1の素材は扁平な線材によって構成される。当該扁平な線材は、平面下部が内側に傾斜することで、当該扁平な線材の上辺縁3が外側に、下辺縁2が内側に向く傾斜平面4を構成する。前記扁平な線材の傾斜平面4は、水平面に対し30°〜80°(30度以上80度以下)の傾斜角度をなすのが好ましい。
【0014】
より詳細には、この立体支持リング1を構成する半円弧形状に形成された前記扁平な線材は、その外周縁を構成する下辺縁2が所定の平面P上を延びる形状を有している。また、この扁平な線材は、前記内周縁を構成する下辺縁2が水平面P上に配置された場合に、この下辺縁2から、立体支持リング1の内周縁を構成する前記上辺縁3に向かうに従って、水平面Pから離間する方向に傾斜する形状を有している。これにより、立体支持リング1は、前記下辺縁2が水平面P上に配置された場合には、この水平面Pに対して傾斜する傾斜平面4を形成する。
【0015】
実施例1では、上記のように構成された立体支持リング1の扁平な線材における傾斜平面4が、水平面Pに対し30°の傾斜角度をなす。図2,図3及び図4から明らかなように、扁平な線材における上辺縁3が外側に、下辺縁2が内側に向く傾斜平面4を構成する場合、最終的に形成される立体支持リング1は、A1方向から見た傾斜平面4の水平面Pに対する角度が30°、B1方向から見た傾斜平面4の水平面Pに対する角度が30°、C1−C1断面部から見た傾斜平面4の水平面Pに対する角度が30°となる。
【0016】
よって、実施例1の立体支持リング1をカップ内に組み込んだ場合、傾斜平面4の下辺縁2が内側すなわち後方あるいはカップの裏側に向き、上辺縁3が外側すなわち前方あるいはカップの表側に向き、保持する乳房部位の形状とぴったり調和するので、カップをよりしっかりと乳房上に嵌め合わせることが可能となる。即ち、従来技術のような筋状構造を生じることなく、滑らかな外表面を得ることができ、着用においてもよりフィットして着心地が良い。
【0017】
実施例2では、図6,図7,図8,図9及び図10に示すように、ポリエステルプラスチック又は樹脂プラスチックの扁平線材を本発明の素材とし、半円弧形状の立体支持リング1を作製する。実施例2では、前記立体支持リング1の素材が扁平な線材によって構成される。前記扁平な線材は、平面下部が内側に傾斜することで、当該扁平な線材の上辺縁5が外側に、下辺縁6が内側に向く傾斜平面7を構成する。
【0018】
実施例2では、上記のように構成された立体支持リング1の扁平な線材における傾斜平面7が、水平面Pに対し60°の傾斜角度をなす。図7,図8及び図9から明らかなように、扁平な線材における上辺縁5が外側に、下辺縁6が内側に向く傾斜平面7を構成する場合、最終的に形成される立体支持リング1は、A2方向から見た傾斜平面7の水平面Pに対する角度が60°、B2方向から見た傾斜平面7の水平面Pに対する角度が60°、C2−C2断面部から見た傾斜平面7の水平面Pに対する角度が60°となる。
【0019】
実施例2におけるその他の部分は実施例1と全く同じである。
【0020】
実施例3は、図11,図12,図13,図14及び図15に示すように、シリコンゴム又はナイロンの扁平線材を本発明の素材とし、半円弧形状の立体支持リング1を作製する。実施例3では、前記立体支持リング1の素材が扁平な線材によって構成される。前記扁平な線材は、平面下部が内側に傾斜することで、当該扁平な線材の上辺縁8が外側に、下辺縁9が内側に向く傾斜平面10を構成する。
【0021】
前記傾斜平面10の水平面Pに対する傾斜角度は80°〜85°(80度以上85度以下)であってもよく、実施例3では、上記のように構成された立体支持リング1の扁平な線材における傾斜平面10が、水平面Pに対し85°の傾斜角度をなす。図12,図13及び図14から明らかなように、扁平な線材における上辺縁8が外側に、下辺縁9が内側に向く傾斜平面10を構成する場合、最終的に形成される立体支持リング1は、A3方向から見た傾斜平面10の水平面Pに対する角度が85°、B3方向から見た傾斜平面10の水平面Pに対する角度が85°、C3−C3断面部から見た傾斜平面10の水平面Pに対する角度が85°となる。
【0022】
実施例3におけるその他の部分は実施例1と全く同じである。
【0023】
実施例4では、図16,図17,図18,図19及び図20に示すように、断面が台形であるステンレスの扁平線材を本発明の素材とし、半円弧形状の立体支持リング1を作製する。前記扁平な線材は、平面下部が内側に傾斜することで、当該扁平な線材の上辺縁11が外側に、下辺縁12が内側に向く傾斜平面13を構成する。前記扁平な線材における傾斜平面13は、水平面Pに対し15°〜80°(15度以上80度以下)の傾斜角度をなすのが好ましい。
【0024】
実施例4では、上記のように構成された立体支持リング1の扁平な線材における傾斜平面13が、水平面Pに対し15°の傾斜角度をなす。図17,図18及び図19から明らかなように、扁平な線材における上辺縁11が外側に、下辺縁12が内側に向く傾斜平面13を構成する場合、最終的に形成される立体支持リング1は、A4方向から見た傾斜平面13の水平面Pに対する角度が反時計回りに15°、B4方向から見た傾斜平面13の水平面Pに対する角度が時計回りに15°、C4−C4断面部から見た平面13の水平面Pに対する角度が時計回りに15°となる。
【0025】
実施例5では、図21と図22に示すように、用いられる扁平な線材14の断面形状が楕円形である。当該扁平な線材の素材はポリエステルプラスチック又は樹脂プラスチックである。
【0026】
実施例5におけるその他の部分は実施例1と全く同じである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下着に設けられるカップの立体支持リングにおいて、
当該立体支持リング(1)は半円弧形状に構成され、前記立体支持リングの素材が扁平な線材からなり、
前記扁平な線材は、平面下部が内側に傾斜することで、当該扁平な線材の上辺縁(2)が外側に、下辺縁(3)が内側に向く傾斜平面(4)を構成し、前記扁平な線材の傾斜平面(4)が、水平面に対し15°〜80°の傾斜角度をなすことを特徴とするカップの立体支持リング。
【請求項2】
請求項1に記載のカップの立体支持リングにおいて、
前記立体支持リングを構成する扁平な線材の傾斜平面(4)が、水平面に対し30°の傾斜角度をなすことを特徴とするカップの立体支持リング。
【請求項3】
請求項1に記載のカップの立体支持リングにおいて、
前記立体支持リングを構成する扁平な線材の傾斜平面(7)が、水平面に対し60°の傾斜角度をなすことを特徴とするカップの立体支持リング。
【請求項4】
請求項1に記載のカップの立体支持リングにおいて、
前記立体支持リングを構成する扁平な線材の傾斜平面(10)が、水平面に対し85°の傾斜角度をなすことを特徴とするカップの立体支持リング。
【請求項5】
請求項1に記載のカップの立体支持リングにおいて、
前記立体支持リングを構成する扁平な線材の傾斜平面(12)が、水平面に対し15°の傾斜角度をなし、前記偏平な線材の断面形状が台形であることを特徴とするカップの立体支持リング。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のカップの立体支持リングにおいて、
前記偏平な線材の断面形状が楕円形であることを特徴とするカップの立体支持リング。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のカップの立体支持リングにおいて、
前記立体支持リングを構成する偏平な線材が、ステンレス線材であることを特徴とするカップの立体支持リング。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のカップの立体支持リングにおいて、
前記立体支持リングを構成する偏平な線材が、ポリエステルプラスチック又は樹脂プラスチックの線材であることを特徴とするカップの立体支持リング。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のカップの立体支持リングであって、
前記立体支持リングを構成する偏平な線材がシリコンゴム線材又はナイロン線材であることを特徴とするカップの立体支持リング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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