説明

カメラケース

【課題】 軟質の材料を用いつつ簡易に衝撃に対する強度を補強できるカメラケースを提供する。
【解決手段】 カメラ本体を覆う収納部1を有してなり、収納部1は略凹形状に形成された表部材2と裏部材3とを突き合わせ固定し一辺を開口4として形成され、表部材2と裏部材3はそれぞれ開口4を形成する一辺以外の周縁部12を折り曲げて略凹形状を形成した硬質板10の両面に軟質材11、11を重合状に設けてなり、軟質材11は硬質板10の縁端部の外方まで設けて軟質部13を構成すると共に、軟質部13を表部材2と裏部材3で互いに突き合わせ縫合固定してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラを収納するカメラケースに関し、特にカメラを衝撃から保護することのできるカメラケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カメラを持ち運びしやすいように、またはカメラに傷を付けないようにするために、カメラを収納するカメラケースが用いられている。カメラケースは、カメラ本体に適合するように、また傷を付けないように軟質の材料で形成されることが多く、例えば布材や革材またはビニルなどの軟質樹脂材で形成される。このようなカメラケースとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開平10−327923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年デジタルカメラが普及しており、大型の液晶画面を搭載したものも増加している。このため、カメラに対する衝撃をできるだけ小さくすることが求められている。しかし、従来のカメラケースは軟質の材料で形成されていたために、収納したカメラを衝撃から充分に保護できるものではなかった。カメラケースに硬質の材料を用いることもできるが、意匠性及びコストの点で軟質の材料には劣るものである。
【0004】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、軟質の材料を用いつつ簡易に衝撃に対する強度を補強できるカメラケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係るカメラケースは、カメラ本体を覆う収納部を有してなるカメラケースにおいて、
上記収納部は略凹形状に形成された表部材と裏部材とを突き合わせ固定し一辺を開口として形成され、
上記表部材と裏部材はそれぞれ上記開口を形成する一辺以外の周縁部を折り曲げて略凹形状を形成した硬質板の両面に軟質材を重合状に設けてなり、該軟質材は上記硬質板の縁端部の外方まで設けて軟質部を構成すると共に、該軟質部を上記表部材と裏部材で互いに突き合わせ縫合固定してなることを特徴として構成されている。
【0006】
また、本発明に係るカメラケースは、上記軟質部は上記硬質板の折り曲げられる周縁部の略全長に渡って設けられることを特徴として構成されている。
【0007】
さらに、本発明に係るカメラケースは、上記裏部材の軟質材は上部を短冊状に延設されて蓋部を形成し、該蓋部は上記開口を覆うと共に、上記表部材の前面に着脱自在とされてなることを特徴として構成されている。
【0008】
さらにまた、本発明に係るカメラケースは、上記表部材は上記開口を形成する一辺に上記軟質材を上記硬質板より外方まで設けた上部軟質部を両面に有すると共に、該上部軟質部の両面を縫合してなることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のカメラケースによれば、硬質板の両面に軟質材を重合状に設け、軟質材は硬質板の縁端部の外方まで設けて軟質部を構成すると共に、軟質部を表部材と裏部材で互いに突き合わせ縫合固定してなることにより、軟質材を用いつつ表面及び裏面について簡易に補強することができ、また側面についても軟質部を互いに突き合わせ縫合していることで充分な強度を得ることができる。さらに、硬質板は露出しないので、安価な材料を用いることができて、コストを抑えることができる。
【0010】
また、本発明のカメラケースによれば、軟質部は硬質板の折り曲げられる周縁部の略全長に渡って設けられることにより、表部材と裏部材の突き合わせ部分の略全体に渡って縫合固定することができ、ケースの強度をより高めることができる。
【0011】
さらに、本発明のカメラケースによれば、裏部材の軟質材は上部を短冊状に延設されて蓋部を形成し、蓋部は開口を覆うと共に、表部材の前面に着脱自在とされてなることにより、収納部に納めたカメラを保持できる蓋部を簡易に設けることができる。
【0012】
さらにまた、本発明のカメラケースによれば、表部材は開口を形成する一辺に軟質材を硬質板より外方まで設けた上部軟質部を両面に有すると共に、上部軟質部を縫合してなることにより、側辺及び下辺と合わせて表部材の略全周に渡って両面の軟質材を縫合できるので、硬質板を充分に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態におけるカメラケースの斜視図を示している。この図に示すように、本実施形態におけるカメラケースは、内部にカメラを納める空洞を有した収納部1からなり、収納部1はそれぞれ凹形状に形成された硬質板及び軟質材からなる表部材2と裏部材3とを縁端部で縫合してなり、裏部材3の上部は延設されて開口4を略覆うと共に、固定部6で表部材2に着脱自在な軟質材のみからなる蓋部5を有してなるものである。収納部1の空洞は、略直方体状の物を収納できる形状であり、主に薄型のデジタルカメラを収納できるように形成されている。
【0014】
図2には、カメラケースの正面図を示している。この図に示すように、表部材2は開口4を有した上辺を除く周縁部12を折り曲げて凹形状を形成しており、さらに折り曲げられた左右の側辺及び下辺の縁端部は、略全周に渡って縫合糸14によって裏部材3と縫合されている。裏部材3も左右の側辺及び下辺については略同様に形成されている。
【0015】
図3には、蓋部5を開放した状態のカメラケースの正面図を示している。この図に示すように、表部材2には略中央位置に被固定部7が形成されており、蓋部5の固定部6が被固定部7に対して係脱自在とされている。また、表部材2の開口4を形成する上辺は、その縁端部が両面とも軟質材からなる軟質部13として形成され、両面が縫合糸14で縫合されている。
【0016】
図4には、図2のA−A断面図、すなわちカメラケースの縦断面図を示している。この図に示すように、表部材2と裏部材3は、それぞれ硬質板10の両面に軟質材11、11を重合状に設けてなるものである。硬質板10には、本実施形態ではアルミ板を用いている。ただしこれに限られず、他の金属板や硬質樹脂板などを用いることができる。硬質板10は表に露出しないため、安価な材料を用いることができる。表部材2と裏部材3には、内部に硬質板10が設けられているため、収納部1に納められたカメラを衝撃から保護することができる。
【0017】
表部材2及び裏部材3の軟質材11としては、革材を用いている。ただしこれに限られず、軟質の合成樹脂材や布材であってもよい。表面にはこのように軟質材を用いていることで、意匠性を容易に確保することができる。また、裏部材3には、収納部1を手で持つための把手部8が設けられている。
【0018】
図4に示すように、表部材2と裏部材3を構成する硬質板10の下辺周縁部12、12は、それぞれ内側に向かって屈曲するように折り曲げられている。硬質板10の両面に設けられる軟質材11、11も、同様に周縁部12においてそれぞれ内側に向かって屈曲している。表部材2と裏部材3の両面の軟質材11、11は、硬質板10の下辺の縁端部よりもさらに外方まで設けられて互いに当接し、軟質材11のみからなる軟質部13を形成している。表部材2の軟質部13と裏部材3の軟質部13は、互いに突き合わされて、縫合糸14によって縫合固定される。また、表部材2は開口4を形成する上辺にも軟質部13が形成され、縫合糸14によって両面が縫合される。
【0019】
図5には、表部材2の分解断面図を示している。この図に示すように、硬質板10は予め所定の形状に形成されている。すなわち、下辺及び左右の側辺の周縁部12を折り曲げて略凹形状に形成しておく。その両面に硬質板10よりも一回り大きい軟質材11、11を重合状に設ける。裏部材3についても同様に硬質板10の両面に軟質材11、11を重合状に設ける。裏部材3は硬質板10の上辺から軟質材11、11が上方に延設されて、軟質材11のみからなる蓋部5を形成する。
【0020】
図6には、収納部1の分解断面図を示している。図5のようにして硬質板10の両面に軟質材11を設けた表部材2及び裏部材3は、軟質部13が互いに当接するように突き合わされ、縫合糸14によって縫合固定される。これによって、上方が開放した収納部1を形成する。
【0021】
図7には、図2のB−B断面図、すなわち収納部1の横断面図を示している。この図に示すように、表部材2と裏部材3は、左右の側辺についても下辺と同様の構造で固定されている。硬質板10の左右の周縁部12、12は、それぞれ下辺の周縁部12と同じ方向に屈曲するように折り曲げられ、硬質板10の両面に設けられる軟質材11、11は、硬質板10の縁端部よりも外方まで設けられて互いに当接し、軟質部13を形成する。表部材2の軟質部13と裏部材3の軟質部13は、互いに突き合わされて縫合糸14によって縫合固定される。
【0022】
このように、硬質板10は周縁部12まで設けられて、縁端部については軟質部13を突き合わせて縫合固定することにより、表部材2と裏部材3を容易に形成することができると共に、左右の側辺と下辺についても軟質部13が突き合わされて縫合されているために、充分な強度を確保することができる。
【0023】
蓋部5の表部材2に対する固定部6については、上述のものに限られない。図8には、別の形態の固定部6を有したカメラケースの、蓋部5を開放した状態の正面図を示している。この図に示すカメラケースでは、固定部6として面ファスナを用いている。表部材2には、被固定部7として固定部6と接離自在な面ファスナを設けている。
【0024】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態に限られるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態におけるカメラケースの斜視図である。
【図2】カメラケースの正面図である。
【図3】蓋部を開放した状態のカメラケースの正面図である。
【図4】図2のA−A断面図である。
【図5】表部材の分解図である。
【図6】収納部の分解図である。
【図7】図2のB−B断面図である。
【図8】別の形態の固定部を有したカメラケースの蓋部を開放した状態の正面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 収納部
2 表部材
3 裏部材
4 開口
5 蓋部
6 固定部
7 被固定部
8 把手部
10 硬質板
11 軟質材
12 周縁部
13 軟質部
14 縫合糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体を覆う収納部を有してなるカメラケースにおいて、
上記収納部は略凹形状に形成された表部材と裏部材とを突き合わせ固定し一辺を開口として形成され、
上記表部材と裏部材はそれぞれ上記開口を形成する一辺以外の周縁部を折り曲げて略凹形状を形成した硬質板の両面に軟質材を重合状に設けてなり、該軟質材は上記硬質板の縁端部の外方まで設けて軟質部を構成すると共に、該軟質部を上記表部材と裏部材で互いに突き合わせ縫合固定してなることを特徴とするカメラケース。
【請求項2】
上記軟質部は上記硬質板の折り曲げられる周縁部の略全長に渡って設けられることを特徴とする請求項1記載のカメラケース。
【請求項3】
上記裏部材の軟質材は上部を短冊状に延設されて蓋部を形成し、該蓋部は上記開口を覆うと共に、上記表部材の前面に着脱自在とされてなることを特徴とする請求項1または2記載のカメラケース。
【請求項4】
上記表部材は上記開口を形成する一辺に上記軟質材を上記硬質板より外方まで設けた上部軟質部を両面に有すると共に、該上部軟質部の両面を縫合してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカメラケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−296778(P2006−296778A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123429(P2005−123429)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(390023191)ハクバ写真産業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】