説明

カメラモジュール、カメラモジュールの製造方法、及びカメラモジュールの異物除去方法

【課題】撮像センサーチップ上の異物を除去し得るカメラモジュール、カメラモジュールの製造方法、及びカメラモジュールの異物除去方法を提供する。
【解決手段】カメラモジュール10は、基板1と、基板1上に設けられた撮像センサーチップ2と、撮像センサーチップ2に入射光を集光させるためのレンズ4aと、レンズ4aを固定するためのホルダ3とを備えている。ホルダ3の側面には、撮像センサーチップ2上に載っている異物を除去する少なくとも空気又は水を流通させるホルダ穴3a・3bが少なくとも2箇所に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュール、カメラモジュールの製造方法、及びカメラモジュールの異物除去方法に関するものであり、特に、携帯電話及びその他の電子情報機器に搭載される固定焦点型カメラモジュールの内部に侵入した異物を除去し、画質の劣化を防ぐための手法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子と撮像用レンズとが一体化されているカメラモジュールは、携帯電話を始めとした電子情報機器やデジタルカメラ等、様々な分野の電子装置に搭載されている。
【0003】
固定焦点型カメラモジュールは、ネジ構造の集光レンズを搭載したレンズバレルを基板上のホルダにねじ込み、接着剤にて固定した構造となっている。そのため、カメラモジュールの製造工程において、基板とホルダとによって密閉された空間に異物が混入すると、該異物が撮像センサーチップ上に載り、画質に悪影響を与える。
【0004】
ここで、撮像センサーチップが搭載された基板に、集光レンズバレルが一旦搭載されると、カメラモジュール内は密閉された空間となる。カメラモジュール製造工程において、なんらかの異物が発生すると、この密閉された空間内に異物が侵入するということになる。この異物は、撮像センサーチップ上になければ、映し出される画像には映り込まない。しかし、異物が撮像センサーチップ上又はIR(Infrared radiation:赤外線)カットフィルタ上に存在すると、この異物が影となり撮像結果に映り込んでしまう。
【0005】
また、仮に撮像センサーチップ上に異物はなく、撮像センサーチップ外であっても密閉された空間内に異物があれば、それは可動異物となり、いつ撮像センサーチップ上に異物が移動するとも限らない。つまり、密閉されたカメラモジュール内に異物が存在すると、いずれは撮像結果に悪影響を与えかねない。
【0006】
これまでの技術では、カメラモジュール内に異物があり、その異物が出荷前の撮像テストで発見されると、そのカメラモジュールは不良品となり、出荷されずに歩留まりに影響を与えていた。また、出荷前の撮像テストにおいて、良品として出荷されたカメラモジュールでも、可動異物が存在すると、なんらかの衝撃で異物が撮像センサーチップ上に移動し、それが撮像結果に映り込み、ユーザのクレームに繋がることがあった。
【0007】
異物の発生やユーザのクレームを防ぐため、カメラモジュールにおける製造後の出荷前に加振試験を実施し、可動異物を発見し、不良品を出荷しないようにしている。しかし、異物発見の可能性を上げるために複数回の加振試験を実施すると、工程数の増加を招く。
【0008】
また、製造工程においては、撮像センサーチップの基板への搭載後、又は基板のホルダ搭載前に洗浄やエアーブローを実施している。しかし、エアーブロー時の気流に乗り、異物がカメラモジュール内に付着した場合には、後から異物を除去できない。
【0009】
そこで、このような問題を解決するために、例えば、特許文献1に開示されたカメラモジュール100では、図6に示すように、基板101と、基板101上に設けられた撮像センサーチップ101aと、撮像センサーチップ101a上に入射光を集光させる集光レンズ102と、基板101に撮像センサーチップ101aを覆うよう取り付けられ、かつ集光レンズ102を収容するホルダ部材103・104とを備え、ホルダ部材104の採光用開口部104aからホルダ部材103・104の内部に流入した気流を排出する少なくとも1つの通気孔105を有する構造としている。
【0010】
これにより、カメラモジュール100の製造時に侵入した異物を、エアーブローの実施により確実に粘着剤106と接触させて捕捉することができ、異物が粘着剤106と接触する確率を上げるための加振工程による工数増大を招くことなく、画質劣化につながる異物の撮像領域への到達を防止することができるカメラモジュール100を得るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011−155414号公報(2011年8月11日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来の特許文献1に開示されたカメラモジュール100では、IRカットフィルタ107上の異物は除去できても、撮像センサーチップ101a上の異物は除去できないという問題点を有している。
【0013】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、撮像センサーチップ上の異物を除去し得るカメラモジュール、カメラモジュールの製造方法、及びカメラモジュールの異物除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のカメラモジュールは、上記課題を解決するために、基板と、該基板上に設けられた撮像センサーチップと、該撮像センサーチップに入射光を集光させるための集光レンズと、該集光レンズを固定するためのホルダとを備えたカメラモジュールにおいて、上記ホルダの側面には、上記撮像センサーチップ上に載っている異物を除去する少なくとも空気又は水を流通させる穴が少なくとも2箇所に設けられていることを特徴としている。
【0015】
本発明のカメラモジュールの製造方法は、上記課題を解決するために、基板と、該基板上に設けられた撮像センサーチップと、該撮像センサーチップに入射光を集光させるための集光レンズと、該集光レンズを固定するためのホルダとを備えたカメラモジュールの製造方法において、上記ホルダの側面に、上記撮像センサーチップ上に載っている異物を除去する少なくとも空気又は水を流通させる穴を少なくとも2箇所に設けることを特徴としている。
【0016】
本発明のカメラモジュールの異物除去方法は、上記課題を解決するために、基板と、該基板上に設けられた撮像センサーチップと、該撮像センサーチップに入射光を集光させるための集光レンズと、該集光レンズを固定するためのホルダとを備えたカメラモジュールの異物除去方法において、上記撮像センサーチップ上に載っている異物を、上記ホルダの側面における少なくとも2箇所に設けた穴から少なくとも空気又は水を流通させて除去することを特徴としている。
【0017】
上記の発明によれば、ホルダの側面には、撮像センサーチップ上に載っている異物を除去する少なくとも空気又は水を流通させる穴が少なくとも2箇所に設けられている。このため、撮像センサーチップ上に載っている異物を除去するときには、ホルダの側面における少なくとも2箇所に設けた穴から少なくとも空気又は水を流通させて除去する。
【0018】
このため、カメラモジュールの組み立て後に、撮像センサーチップ上に載っている異物を清掃することができる。
【0019】
したがって、撮像センサーチップ上の異物を除去し得るカメラモジュール、カメラモジュールの製造方法、及びカメラモジュールの異物除去方法を提供することができる。また、これにより、撮像画質の低下を防ぐと共に、カメラモジュールにおける不良品のユーザへの流出を防ぎ、歩留まり向上に繋がる。
【0020】
本発明のカメラモジュールでは、前記少なくとも2箇所の穴は、前記ホルダの側面における互いの対向位置に設けられていることが好ましい。
【0021】
これにより、少なくとも1箇所の穴から流入される少なくとも空気又は水は、該穴の対向位置に設けられている少なくとも1箇所の穴から流出される。このように、空気又は水の入口と出口とが一直線上に配置されているので、乱流が起こることのなく効率よくカメラモジュール内における撮像センサーチップ上を清掃することができる。
【0022】
本発明のカメラモジュールでは、前記ホルダの側面に設けられた少なくとも1箇所の穴の高さは、前記撮像センサーチップの表面の高さと同じであることが好ましい。
【0023】
これにより、少なくとも空気又は水の入口側における穴の高さを撮像センサーチップの表面の高さと同じにすることができる。
【0024】
この結果、入口側における穴の高さが撮像センサーチップの表面上に載っている異物の高さと同じになるので、入口側における穴から流入した少なくとも空気又は水は、乱流を生じさせずに、そのまま異物に当たり、効率よく該異物を除去することができる。
【0025】
本発明のカメラモジュールでは、前記ホルダの側面に設けられた少なくとも2箇所の穴の高さは、前記撮像センサーチップの表面の高さと同じであることが好ましい。
【0026】
これにより、少なくとも空気又は水の入口側及び出口側における穴の高さを撮像センサーチップの表面の高さと同じにすることができる。
【0027】
この結果、入口側と出口側との両方における穴の高さが撮像センサーチップの表面上に載っている異物の高さと同じになるので、入口側における穴から流入した少なくとも空気又は水は、乱流を生じさせずにそのまま異物に当たり、その後、乱流を生じさせずにそのまま異物を出口から排出することができる。このため、容易に排出することができるので、さらに効率よく該異物を除去することができる。
【0028】
本発明のカメラモジュールでは、前記ホルダの側面に設けられた少なくとも1箇所の穴には、異物の侵入を防止するフィルタが設けられていることが好ましい。
【0029】
すなわち、ホルダの側面に設けられた穴から少なくとも空気又は水を流入させる場合に、該空気又は水と一緒に新たな異物が外部から侵入する可能性がある。これに対して、本発明では、前記ホルダの側面に設けられた少なくとも1箇所の穴には、異物の侵入を防止するフィルタが設けられている。このため、異物の除去作業中に、他の異物が侵入するのを防止することができる。
【0030】
本発明のカメラモジュールでは、前記基板には、凹部が形成されていると共に、上記凹部には、撮像センサーチップの表面と基板の表面とが同一面となるように該撮像センサーチップが収容されていることが好ましい。
【0031】
これにより、撮像センサーチップは、撮像センサーチップの表面と基板の表面とが同一面となるように基板の凹部に収容されている。このため、撮像センサーチップと基板との間に段差がないので、カメラモジュールの内部において、ホルダの穴から流入した少なくとも空気又は水は、乱流を起こすことなく、出口側の穴まで流通する。
【0032】
したがって、撮像センサーチップ上の異物を効率よく除去することができると共に、基板上の異物をも効率よく除去することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明のカメラモジュールは、以上のように、ホルダの側面には、撮像センサーチップ上に載っている異物を除去する少なくとも空気又は水を流通させる穴が少なくとも2箇所に設けられているものである。
【0034】
本発明のカメラモジュールの製造方法は、以上のように、ホルダの側面に、撮像センサーチップ上に載っている異物を除去する少なくとも空気又は水を流通させる穴を少なくとも2箇所に設ける方法である。
【0035】
本発明のカメラモジュールの異物除去方法は、以上のように、撮像センサーチップ上に載っている異物を、上記ホルダの側面における少なくとも2箇所に設けた穴から少なくとも空気又は水を流通させて除去する方法である。
【0036】
それゆえ、撮像センサーチップ上の異物を除去し得るカメラモジュール、カメラモジュールの製造方法、及びカメラモジュールの異物除去方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明におけるカメラモジュールの実施の一形態を示すものであって、上記カメラモジュールの構成を示す断面図である。
【図2】上記カメラモジュールの全体構成を示す斜視図である。
【図3】本発明におけるカメラモジュールの他の実施の形態を示すものであって、上記カメラモジュールの構成を示す断面図である。
【図4】上記カメラモジュールにおける撮像センサーチップ埋め込み型の基板を示す斜視図である。
【図5】上記撮像センサーチップ埋め込み型の基板における異物の位置を示す平面図である。
【図6】従来のカメラモジュールの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1及び図2に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0039】
(カメラモジュールの構成)
本実施の形態のカメラモジュールの構成について、図1及び図2に基づいて説明する。図1は本実施の形態のカメラモジュールの構成を示す断面図であり、図2は本実施の形態のカメラモジュールの全体構成を示す斜視図である。尚、本実施の形態で説明するカメラモジュールは、レンズバレルが固定されている固定焦点型のカメラモジュールを表している。ただし、必ずしもこれに限らず、自動焦点型のカメラモジュールでもよい。
【0040】
本実施の形態のカメラモジュール10は、図1に示すように、基板1と、該基板1に実装された撮像センサーチップ2と、基板1上に入射光を集光するための集光レンズとしてのレンズ4a…を擁したレンズバレル4と、赤外線をカットするためのIR(Infrared radiation:赤外線)カットフィルタ5とを搭載したホルダ3を備えている。
【0041】
上記カメラモジュール10のホルダ3の側面には、カメラモジュール10内部の異物を除去するための少なくとも空気又は水を通す穴としてのホルダ穴3a・3bが穿設されており、エアーパス11によって撮像センサーチップ2上の表面に載った異物を除去することができるようになっている。上記ホルダ穴3aとホルダ穴3bとは、エアーパス11が一直線上に配置されるように、ホルダ3の互いに対向する側面位置に設けられている。ただし、本発明においては、必ずしもこれに限らず、ホルダ穴3aとホルダ穴3bとが対向していなくてもよい。
【0042】
ここで、本実施の形態のカメラモジュール10における外部においては、図2に示すように、上記空気又は水を通す入口側のホルダ穴3aに異物侵入防止用のフィルタとしてのメッシュ部材12が貼られている。このメッシュ部材12におけるメッシュの穴の大きさは、空気又は水の流れを妨げないように、かつ異物の侵入を防止するように、例えば5μm〜20μm程度が望ましい。
【0043】
また、本実施の形態では、ホルダ穴3a・3bには、異物侵入を防ぐためのテープ13・13がさらに貼られている。すなわち、異物除去後に、異物除去用のエアーパス11を通すためのホルダ穴3a・3bを開けることは、他の異物侵入に繋がる。そこで、本実施の形態では、他の異物の侵入を防ぐテープ13・13が貼られている。
【0044】
(カメラモジュールの異物除去方法)
上記構成のカメラモジュール10における異物除去方法について説明する。
【0045】
まず、カメラモジュール10の製造後に、撮像センサーチップ2上に異物が発見された場合、本実施の形態では、図1に示すように、ホルダ3における入口側のホルダ穴3aから例えば空気を流入させる。尚、本発明においては、必ずしも空気に限らず、他の窒素等の気体であってよく、又は水若しくはアルコール等の液体であってもよい。すなわち、少なくとも空気又は水であればよい。
【0046】
ここで、ホルダ穴3aから例えば空気を流入させる場合、本実施の形態では、図2に示すように、ホルダ穴3aにメッシュ部材12が貼られているので、空気の流入時に新たな異物がカメラモジュール10の内部に浸入することはない。
【0047】
また、本実施の形態では、ホルダ穴3a・3bと撮像センサーチップ2の表面との高さ位置が同じになっているので、エアーパス11においては乱流及び対流を起こすことがない。したがって、撮像センサーチップ2の表面に存在する異物を効率よくかつ容易に除去することができる。
【0048】
異物の除去後においては、例えば、出口側のホルダ穴3bにもメッシュ部材12を貼り、その後、メッシュ部材12・12の上からテープ13・13を貼る。これにより、製品の出荷後においても、カメラモジュール10の内部に異物が浸入することはない。
【0049】
ここで、入口側のホルダ穴3aを残しておく理由、及び出口側のホルダ穴3bにもメッシュ部材12を貼る理由について説明する。すなわち、異物の除去後においてもホルダ穴3a・3bを開口状態に放置した場合には、他の異物が撮像センサーチップ2の表面上に侵入する虞がある。そこで、これを防止するために、ホルダ穴3a・3bの外側を覆うテープ13・13等の閉塞部材を貼る必要がある。しかし、その場合、テープ13・13を剥がした時に、ホルダ穴3a・3bから他の異物が侵入する虞がある。
【0050】
そこで、本実施の形態では、ホルダ穴3a・3bには、異物の除去後に他の異物の侵入を防止するメッシュ部材12等のフィルタを残している。この結果、ホルダ穴3a・3bの外側をテープ13・13等で塞ぎ、そのテープ13・13等を剥がしたときにおいても、他の異物が撮像センサーチップ2の表面上に侵入することはない。
【0051】
このように、本実施の形態のカメラモジュール10の異物除去方法では、空気を通すときの少なくとも入口側のホルダ穴3aの高さは撮像センサーチップ2と同じ高さとしているので、空気が対流することはなく、効率よく異物を除去することができる。また、エアーパス11を通る、異物を除去するための手段は、空気又は水とし、可動異物又は撮像センサーチップ2上に固着した異物も除去することが可能である。
【0052】
以上のように、本実施の形態のカメラモジュール10は、基板1と、該基板1上に設けられた撮像センサーチップ2と、該撮像センサーチップ2に入射光を集光させるためのレンズ4aと、該レンズ4aを固定するためのホルダ3とを備えている。そして、ホルダ3の側面には、撮像センサーチップ2上に載っている異物を除去する少なくとも空気又は水を流通させるホルダ穴3a・3bが少なくとも2箇所に設けられている。
【0053】
また、本実施の形態のカメラモジュール10の製造方法は、基板1と、該基板1上に設けられた撮像センサーチップ2と、該撮像センサーチップ2に入射光を集光させるためのレンズ4aと、該レンズ4aを固定するためのホルダ3とを備えたカメラモジュール10の製造方法において、ホルダ3の側面に、撮像センサーチップ2上に載っている異物を除去する少なくとも空気又は水を流通させるホルダ穴3a・3bを少なくとも2箇所に設ける。
【0054】
また、本実施の形態のカメラモジュール10の異物除去方法は、基板1と、該基板1上に設けられた撮像センサーチップ2と、該撮像センサーチップ2に入射光を集光させるためのレンズ4aと、該レンズ4aを固定するためのホルダ3とを備えたカメラモジュール10の異物除去方法において、撮像センサーチップ2上に載っている異物を、ホルダ3の側面における少なくとも2箇所に設けたホルダ穴3a・3bから少なくとも空気又は水を流通させて除去する。
【0055】
上記の構成によれば、ホルダ3の側面には、撮像センサーチップ2上に載っている異物を除去する少なくとも空気又は水を流通させる穴が少なくとも2箇所に設けられている。このため、撮像センサーチップ2上に載っている異物を除去するときには、ホルダ3の側面における少なくとも2箇所に設けたホルダ穴3a・3bから少なくとも空気又は水を流通させて除去する。
【0056】
このため、カメラモジュール10の組み立て後に、撮像センサーチップ2上に載っている異物を清掃することができる。
【0057】
したがって、撮像センサーチップ2上の異物を除去し得るカメラモジュール10、カメラモジュール10の製造方法、及びカメラモジュール10の異物除去方法を提供することができる。また、これにより、撮像画質の低下を防ぐと共に、カメラモジュール10における不良品のユーザへの流出を防ぎ、歩留まり向上に繋がる。
【0058】
また、本実施の形態のカメラモジュール10では、少なくとも2箇所のホルダ穴3a・3bは、ホルダ3の側面における互いの対向位置に設けられている。これにより、少なくとも1箇所のホルダ穴3aから流入される少なくとも空気又は水は、該ホルダ穴3aの対向位置に設けられている少なくとも1箇所のホルダ穴3bから流出される。このように、空気又は水の入口と出口とが一直線上に配置されているので、乱流が起こることのなく効率よくカメラモジュール10内における撮像センサーチップ2上を清掃することができる。
【0059】
また、本実施の形態のカメラモジュール10では、ホルダ3の側面に設けられた少なくとも1箇所のホルダ穴3aの高さは、撮像センサーチップ2の表面の高さと同じである。これにより、少なくとも空気又は水の入口側におけるホルダ穴3aの高さを撮像センサーチップ2の表面の高さと同じにすることができる。
【0060】
この結果、入口側におけるホルダ穴3aの高さが撮像センサーチップ2の表面上に載っている異物の高さと同じになるので、入口側におけるホルダ穴3aから流入した少なくとも空気又は水は、乱流を生じさせずに、そのまま異物に当たり、効率よく該異物を除去することができる。
【0061】
また、本実施の形態のカメラモジュール10は、ホルダ3の側面に設けられた少なくとも2箇所のホルダ穴3a・3bの高さは、撮像センサーチップ2の表面の高さと同じである。これにより、少なくとも空気又は水の入口側及び出口側におけるホルダ穴3a・3b高さを撮像センサーチップ2の表面の高さと同じにすることができる。
【0062】
この結果、入口側と出口側との両方におけるホルダ穴3a・3bの高さが撮像センサーチップ2の表面上に載っている異物の高さと同じになるので、入口側におけるホルダ穴3aから流入した少なくとも空気又は水は、乱流を生じさせずにそのまま異物に当たり、その後、乱流を生じさせずにそのまま異物を出口であるホルダ穴3bから排出することができる。このため、容易に排出することができるので、さらに効率よく該異物を除去することができる。
【0063】
また、本実施の形態のカメラモジュール10では、ホルダ3の側面に設けられた少なくとも1箇所のホルダ穴3aには、異物の侵入を防止するメッシュ部材12が設けられている。
【0064】
すなわち、ホルダ3の側面に設けられたホルダ穴3aから少なくとも空気又は水を流入させる場合に、該空気又は水と一緒に新たな異物が外部から侵入する可能性がある。これに対して、本実施の形態では、ホルダ3の側面に設けられた少なくとも1箇所のホルダ穴3aには、異物の侵入を防止するメッシュ部材12が設けられている。このため、異物の除去作業中に、他の異物が侵入するのを防止することができる。
【0065】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図3〜図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
本実施の形態のカメラモジュール20は、前記実施の形態1のカメラモジュール10の構成に加えて、基板には凹部が形成されており、撮像センサーチップ2がこの凹部に収容されている点が異なっている。
【0067】
(カメラモジュールの構成)
本実施の形態のカメラモジュール20の構成について、図3及び図4に基づいて説明する。図3は上記カメラモジュール20の構成を示す断面図であり、図4は撮像センサーチップ2が凹部21aに収容された基板21を示す斜視図である。
【0068】
すなわち、前記実施の形態1におけるカメラモジュール10では、撮像センサーチップ2上の異物を除去することを目的としていたが、可動異物は撮像センサーチップ2上に存在するとは限らない。例えば、異物が基板1上に存在する場合もあり、この場合には、撮像センサーチップ2の高さと基板1の高さとを同じとすることが望ましい。
【0069】
そこで、本実施の形態のカメラモジュール20では、図3及び図4に示すように、基板21には凹部21aが形成されており、撮像センサーチップ2を、この凹部21aに、撮像センサーチップ2の表面と基板21の表面とが同一面となるように、嵌合状態に収容している。
【0070】
また、図3に示すように、ホルダ23のホルダ穴23a・23bの高さは、撮像センサーチップ2の表面の高さと同じであると共に、基板21の表面の高さと同じとなっている。
【0071】
その他の構成は、実施の形態1のカメラモジュール10の構成と同じである。例えば、カメラモジュール20は、基板21上に入射光を集光するためのレンズ4aを擁したレンズバレル4と、赤外線をカットするためのIRカットフィルタ5を搭載したホルダ23を搭載している。また、エアーパス11を通すためのホルダ穴23a・23bは、互いに一直線上に配置されるよう、ホルダ23の側面において互いに対向する位置に設けられている。
【0072】
(カメラモジュールの異物除去方法)
上記構成のカメラモジュール20における異物除去方法について、図5に基づいて説明する。図5は撮像センサーチップ2が凹部21aに収容された基板21の異物D1・D2を示す平面図である。
【0073】
すなわち、図5に示すように、基板21に撮像センサーチップ2が実装されているとき、異物D1・D2が存在したとする。この場合、異物D1は、撮像センサーチップ2の上にあるため、レンズバレル4を通った光は異物D1を映しだし、異物D1がキズに見えたり、画質の劣化に繋がったりする。したがって、撮像センサーチップ2上の異物D1の除去は必須である。
【0074】
一方、異物D2は撮像センサーチップ2上に存在せず、前記レンズ4aを擁する前記レンズバレル4を通った光は、異物D1を通ることなく、撮像センサーチップ2に届くため、画質に影響を与えない。このように、異物D2は、直接画質の劣化には繋がらないが、可動異物であった場合、何らかの衝撃によって異物D2が撮像センサーチップ2上に載ることも考えられ、除去が必要である。
【0075】
そこで、本実施の形態のカメラモジュール20では、入口側のホルダ穴23aから、少なくとも空気又は水を流入する。これにより、空気又は水はエアーパス11を通り、ホルダ穴23bから排出される。ここで、本実施の形態のカメラモジュール20では、撮像センサーチップ2は、撮像センサーチップ2の表面と基板21の表面とが同一面となるように基板21の凹部21aに収容されている。このため、撮像センサーチップ2と基板21との間に段差がないので、カメラモジュール20の内部において、ホルダ穴23aから流入した少なくとも空気又は水は、乱流を起こすことなく、出口側のホルダ穴23b穴まで流通する。
【0076】
このように、前記実施の形態1のカメラモジュール10では、基板1上に撮像センサーチップ2が搭載されていたため、対流が起こる可能性があった。しかし、本実施の形態のカメラモジュール20では、基板21には、凹部21aが形成されていると共に、凹部21aには、撮像センサーチップ2の表面と基板21の表面とが同一面となるように該撮像センサーチップ2が収容されている。このため、障害物がないので、エアーパス11が一直線上に通り、対流が起こらない。
【0077】
したがって、撮像センサーチップ2上の異物D1を効率よく除去することができると共に、基板21上の異物D2をも効率よく除去することができる。
【0078】
尚、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、カメラモジュール、カメラモジュールの製造方法、及びカメラモジュールの異物除去方法に関するものであり、例えば、デジタルカメラ、並びに携帯電話及びその他の電子情報機器に搭載されるカメラモジュールに適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 基板
2 撮像センサーチップ
3 ホルダ
3a・3b ホルダ穴(穴)
4 レンズバレル
4a レンズ(集光レンズ)
5 IRカットフィルタ
10 カメラモジュール
11 エアーパス
12 メッシュ部材
13 テープ
20 カメラモジュール
21 基板
21a 凹部
23 ホルダ
23a・23b ホルダ穴(穴)
D1・D2 異物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板上に設けられた撮像センサーチップと、該撮像センサーチップに入射光を集光させるための集光レンズと、該集光レンズを固定するためのホルダとを備えたカメラモジュールにおいて、
上記ホルダの側面には、上記撮像センサーチップ上に載っている異物を除去する少なくとも空気又は水を流通させる穴が少なくとも2箇所に設けられていることを特徴とするカメラモジュール。
【請求項2】
前記少なくとも2箇所の穴は、前記ホルダの側面における互いの対向位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記ホルダの側面に設けられた少なくとも1箇所の穴の高さは、前記撮像センサーチップの表面の高さと同じであることを特徴とする請求項1又は2記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記ホルダの側面に設けられた少なくとも2箇所の穴の高さは、前記撮像センサーチップの表面の高さと同じであることを特徴とする請求項1,2又は3記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記ホルダの側面に設けられた少なくとも1箇所の穴には、異物の侵入を防止するフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記基板には、凹部が形成されていると共に、
上記凹部には、撮像センサーチップの表面と基板の表面とが同一面となるように該撮像センサーチップが収容されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカメラモジュール。
【請求項7】
基板と、該基板上に設けられた撮像センサーチップと、該撮像センサーチップに入射光を集光させるための集光レンズと、該集光レンズを固定するためのホルダとを備えたカメラモジュールの製造方法において、
上記ホルダの側面に、上記撮像センサーチップ上に載っている異物を除去する少なくとも空気又は水を流通させる穴を少なくとも2箇所に設けることを特徴とするカメラモジュールの製造方法。
【請求項8】
基板と、該基板上に設けられた撮像センサーチップと、該撮像センサーチップに入射光を集光させるための集光レンズと、該集光レンズを固定するためのホルダとを備えたカメラモジュールの異物除去方法において、
上記撮像センサーチップ上に載っている異物を、上記ホルダの側面における少なくとも2箇所に設けた穴から少なくとも空気又は水を流通させて除去することを特徴とするカメラモジュールの異物除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−97333(P2013−97333A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242837(P2011−242837)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】