説明

カメラモジュールおよびカメラモジュールの製造方法

【課題】複数の配線が一体化されている端子でレンズ駆動ユニットと基板とが接続されるカメラモジュールにおいて、カメラモジュールの各部材の相対位置を高精度に配置する。
【解決手段】基板上に搭載されたセンサーカバー部8上にレンズ駆動ユニット6を搭載し、まず、光硬化性樹脂15でレンズ駆動ユニット6と基板2とを固着してから、熱硬化性樹脂13でレンズ駆動ユニット6とセンサーカバー部8とを固着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラモジュールおよびカメラモジュールの製造方法に関するものであり、特に、複数の配線が一体化されている端子でレンズ駆動ユニットと基板とが接続されるカメラモジュールおよびカメラモジュールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤー等の端末において、カメラを搭載するモデルが増えてきている。このような端末には小型化・薄型化が求められているため、端末に搭載されるカメラも、小型化・薄型化が要求される。そのため、端末に搭載されるカメラは、レンズおよび撮像素子などの各部材がモジュール化されて構成されているのが一般的である。
【0003】
ここで、従来のカメラモジュールの構成の一例を図5に基づいて説明する。図5は、従来のカメラモジュールの構成の一例を示す分解図である。図5に示すように、カメラモジュール51は、基板52、センサー素子53、センサーカバー部58、レンズ駆動ユニット56、レンズ57を含む。
【0004】
基板52上にセンサー素子53が配置されており、ボンディングワイヤ等で基板52とセンサー素子53とが電気的に接続される。基板52は、センサー素子53から取得した電気信号(画像データ)を、カメラモジュール端子61を介して、例えば、カメラモジュール51を搭載する端末の制御部(不図示)に出力する。
【0005】
センサー素子53は、レンズ57で集光された光を受光し、光信号を電気信号に変換するものである。センサー素子53は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサー素子またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー素子等で構成される。
【0006】
センサーカバー部58は、センサー素子53の上側の基板52上に配置され、センサー素子53を封止するものである。センサーカバー部58を配置することにより、センサーカバー部58、センサー素子53および基板52によって閉じられた空間にゴミ等が入らないようにする。
【0007】
センサーカバー部58は、センサーカバー筐体54と、センサーカバー筐体54の天面側の凹部に嵌合するリッドガラス55とを含む。センサーカバー筐体54は、センサー素子53を衝撃等から保護するものである。リッドガラス55は、赤外カットフィルター機能を有し、レンズ57で集光された光のうち、赤外光を遮断するものである。
【0008】
レンズ駆動ユニット56は、レンズ57を保持すると共に、レンズ57の位置を調整するものである。レンズ57とセンサー素子53とが同一光軸上に位置するように、レンズ駆動ユニット56は、センサーカバー部58上に固定して搭載される。レンズ駆動ユニット56は、レンズ駆動端子62aを備える。レンズ駆動端子62aと基板52のレンズ駆動端子62bとが接続し、レンズ駆動ユニット56と基板52とは電気的に接続される。レンズ駆動ユニット56は、基板52を介して、カメラモジュール51を搭載する端末の制御部から、レンズの駆動を指示する制御信号を受信し、制御信号に基づいてレンズを駆動させる。なお、以下では、レンズ駆動端子62aおよびレンズ駆動端子62bを総称してレンズ駆動端子62と称する。
【0009】
なお、カメラモジュール51は、センサー素子53と同一光軸上にシャッターおよびND(Neutral Density)フィルター等を備えていてもよい。
【0010】
図5に示すカメラモジュール51は、レンズ駆動ユニット56がオートフォーカス(AF)機能のみを有するものである。そのため、レンズ駆動ユニット56と基板52とを接続する端子数が少ない(図5に示す例では、レンズ駆動端子62aおよびレンズ駆動端子62bがそれぞれ3つの端子で構成される)。それゆえ、AF機能のみを有するカメラモジュール51を製造する場合、レンズ駆動端子62aとレンズ駆動端子62bとを直接ハンダで接続することが一般的である。
【0011】
次に、カメラモジュール51の製造工程について図6に基づいて説明する。図6は、従来のカメラモジュール51の製造工程の一例を示す図である。
【0012】
まず、センサー素子53を搭載する基板52上に、センサーカバー部58を配置する。この状態から、図6(a)に示すように、センサーカバー筐体54上に熱硬化性樹脂63を塗布する。次に、図6(b)に示すように、保持運搬手段64によってセンサーカバー部58上にレンズ駆動ユニット56を搭載(マウント)する。そして、図6(c)に示すように、熱硬化性樹脂63に対して熱65を加えて、熱硬化性樹脂63を硬化(キュア)し、センサーカバー部58上にレンズ駆動ユニット58を固定する。その後、レンズ駆動ユニット56のレンズ駆動端子62aと基板52のレンズ駆動端子62bとを直接ハンダ付けする。
【0013】
ところで、通常、レンズ57で集光した光がセンサー素子53で結像するために、レンズ57とセンサー素子53との相対位置の位置合わせを高精度に行わなければならない。そのため、各部材が一体として構成されているカメラモジュール51では、製造時に各部材を高精度に配置することが要求される。そこで、従来、カメラモジュールの各部材を高精度に配置する様々な製造方法が開発されている。
【0014】
例えば、特許文献1には、基板上に撮像素子と、当該撮像素子の表面に対して所定の間隙を保持した状態で固定されている透明板と、管状のカバーとを配置し、レンズを保持する管状のレンズホルダーを、カバーの管内面に嵌挿し、かつ、透明板の表面に当接して配置するカメラモジュールの製造方法が記載されている。このように、各部材を当接して配置しているため、撮像素子とレンズとの相対位置が合うように各部材の形状を予め設計することにより、各部材を高精度に配置することができる。
【0015】
しかしながら、各部材を当接して配置するだけでは、各部材の外形寸法のばらつき等により、各部材の相対位置が適正範囲から外れてしまう場合がある。そこで、樹脂を用いて各部材を接合して、各部材の位置を固定する製造方法がある。
【0016】
例えば、特許文献2には、基板と基板上に搭載された撮像素子と撮像素子を保護するカバーガラスとを含むセンサパッケージと、レンズとIRカットフィルターとこれらを保持すると共にその内部にセンサパッケージを収容するスペースを備えたホルダ部材とを含むレンズ構造体と、を樹脂で接合するカメラモジュールの製造方法が記載されている。より詳細には、特許文献2に記載の製造方法では、まず、レンズ構造体の収容部に光硬化性樹脂を塗布し、センサパッケージをホルダ部材に嵌入して位置決めを行う。次に、レンズ構造体に設けられたUV照射窓からUV光を照射して光硬化性樹脂を硬化させる。そして、センサパッケージとレンズ構造体との間に熱硬化性樹脂を充填して熱処理を行い、熱硬化性樹脂を硬化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2006−148710号公報(2006年6月8日)
【特許文献2】特開2010−045650号公報(2010年2月25日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
昨今、携帯電話機に搭載されるカメラモジュールは、コンパクトデジタルカメラと同等の機能が求められ、カメラモジュールの高性能化、高機能化が要求されている。例えばAF機能に加えて、光学ズームレンズ機能や光学手ブレ補正機能などを備えたカメラモジュールが要求される。
【0019】
このような高性能・高機能のカメラモジュールでは、レンズ駆動ユニットが多様なレンズ駆動を実行可能にするために、レンズ駆動端子の端子数が多くなる。具体的に、高性能・高機能のカメラモジュールでは、レンズ駆動端子は、例えば、数十Pinにもなる。そのため、従来のカメラモジュールと同様に、端子(Pin)同士を直接ハンダ付けして、レンズ駆動ユニットと基板とを接続するという方法は現実的ではない。
【0020】
従来、数十の端子からなるレンズ駆動端子同士を接続するために、複数の配線が一体化されているコネクタ端子またはフレキシブルプリント基板がその接続に使用されている。
【0021】
しかしながら、コネクタ端子またはフレキシブルプリント基板を用いた場合、カメラモジュールの製造過程において、レンズ駆動ユニットの相対位置がずれる虞があるという問題がある。
【0022】
この問題点について、図7に基づいて具体的に説明する。図7は、レンズ駆動ユニットと基板とがコネクタ端子で接続されるカメラモジュールの製造工程の一例を示す図である。
【0023】
まず、センサー素子73を搭載する基板72上に、センサーカバー部78を配置する。この状態から、図7(a)に示すように、センサーカバー筐体74上に熱硬化性樹脂83を塗布する。次に、図7(b)に示すように、保持運搬手段84によってセンサーカバー部78上にレンズ駆動ユニット76を搭載(マウント)する。そして、図7(c)に示すように、熱硬化性樹脂83に対して熱85を加える。その後、コネクタ端子であるレンズ駆動端子82aとレンズ駆動端子82bとを電気的に接続する。
【0024】
このとき、コネクタ端子同士またはコネクタ端子と他の部材との干渉により、レンズ駆動ユニットに外力が働く場合がある。熱硬化性樹脂は完全に硬化するまでに時間がかかるため、この外力によりレンズ駆動ユニットの位置がずれることがある。
【0025】
また、レンズ駆動ユニットと基板とがフレキシブルプリント基板で接続される場合も、フレキシブルプリント基板の曲げ応力に対する反発力などの外力がレンズ駆動ユニットに働く場合がある。
【0026】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の配線が一体化されている端子でレンズ駆動ユニットと基板とが接続されるカメラモジュールであって、各部材の相対位置が高精度に配置されているカメラモジュールおよび当該カメラモジュールの製造方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明に係るカメラモジュールの製造方法は、上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に搭載したセンサー素子と、前記センサー素子を保護し、前記基板上に搭載したセンサーカバー部と、レンズを保持すると共に、レンズを駆動するレンズ駆動ユニットとを含むカメラモジュールであって、前記レンズ駆動ユニットと基板とを複数の配線が一体化された接続部で電気的に接続されるカメラモジュールの製造方法であって、前記センサーカバー部上における前記レンズ駆動ユニットと接合する第1接合部に熱硬化性樹脂を塗布する工程と、前記センサーカバー部上に前記レンズ駆動ユニットを搭載する工程と、前記レンズ駆動ユニットにおける前記基板と接合する第2接合部に光硬化性樹脂を塗布する工程と、前記光硬化性樹脂に光を照射する工程と、前記熱硬化性樹脂に熱を加える工程と、前記レンズ駆動ユニットと前記基板とを前記接続部を介して電気的に接続する工程と、を含むことを特徴としている。
【0028】
上記の構成によれば、前記熱硬化性樹脂に熱を加える工程の前に、前記光硬化性樹脂を硬化して、前記レンズ駆動ユニットと前記基板とを接合する。次に、前記熱硬化性樹脂を硬化して、前記レンズ駆動ユニットと前記センサーカバー部とを接合する。最後に、前記レンズ駆動ユニットと前記基板とを前記接続部を介して電気的に接続する。
【0029】
そのため、前記レンズ駆動ユニットと前記センサーカバー部とが固着する前に、前記接続部を接続したことに起因する外力が前記レンズ駆動ユニットに働いたとしても、前記レンズ駆動ユニットと前記基板とが前記光硬化性樹脂によって固着されているため、前記レンズ駆動ユニットの相対位置がずれることがない。
【0030】
従って、前記レンズ駆動ユニットと基板とを複数の配線が一体化された接続部で電気的に接続されるカメラモジュールを構成する各部材の相対位置を高精度に配置することができるという効果を奏する。
【0031】
また、本発明に係るカメラモジュールの製造方法は、前記接続部は、コネクタ端子であることが好ましい。
【0032】
また、本発明に係るカメラモジュールの製造方法は、前記接続部は、フレキシブル基板であることが好ましい。
【0033】
本発明に係るカメラモジュールは、上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に搭載したセンサー素子と、前記センサー素子を保護し、前記基板上に搭載したセンサーカバー部と、レンズを保持すると共に、レンズを駆動するレンズ駆動ユニットとを含み、前記レンズ駆動ユニットは前記センサーカバー部上に搭載され、前記レンズ駆動ユニットと基板とを複数の配線が一体化された接続部で電気的に接続されるカメラモジュールであって、前記センサーカバー部と前記レンズ駆動ユニットとを熱硬化性樹脂によって接合する第1接合部と、前記レンズ駆動ユニットと前記基板とを光硬化性樹脂によって接合する第2接合部とを備えたことを特徴としている。
【0034】
上記の構成によれば、第1接合部が熱硬化性樹脂によって前記センサーカバー部と前記レンズ駆動ユニットとを接合し、第2接合部が光硬化性樹脂によって前記レンズ駆動ユニットと前記基板と接合する。
【0035】
ここで、一般的に、熱硬化性樹脂は硬化するのに比較的時間がかかり、光硬化性樹脂は、比較的短時間で硬化する。
【0036】
そのため、前記レンズ駆動ユニットと前記センサーカバー部とが固着する前に、前記接続部を接続したことに起因する外力が前記レンズ駆動ユニットに働いたとしても、前記レンズ駆動ユニットと前記基板とが前記光硬化性樹脂によって固着されているため、前記レンズ駆動ユニットの相対位置がずれることがない。
【0037】
従って、前記レンズ駆動ユニットと基板とを複数の配線が一体化された接続部で電気的に接続されるカメラモジュールを構成する各部材の相対位置を高精度に配置することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0038】
以上のように、本発明に係るカメラモジュールの製造方法は、前記センサーカバー部上における前記レンズ駆動ユニットと接合する第1接合部に熱硬化性樹脂を塗布する工程と、前記センサーカバー部上に前記レンズ駆動ユニットを搭載する工程と、前記レンズ駆動ユニットにおける前記基板と接合する第2接合部に光硬化性樹脂を塗布する工程と、前記光硬化性樹脂に光を照射する工程と、前記熱硬化性樹脂に熱を加える工程と、前記レンズ駆動ユニットと前記基板とを前記接続部を介して電気的に接続する工程と、を含む。
【0039】
また、本発明に係るカメラモジュールは、前記センサーカバー部と前記レンズ駆動ユニットとを熱硬化性樹脂によって接合する第1接合部と、前記レンズ駆動ユニットと前記基板とを光硬化性樹脂によって接合する第2接合部とを備えている構成である。
【0040】
従って、前記レンズ駆動ユニットと基板とを複数の配線が一体化された接続部で電気的に接続されるカメラモジュールを構成する各部材の相対位置を高精度に配置することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、カメラモジュールの構成の一例を示す分解図である。
【図2】上記カメラモジュールの構成の他の一例を示す分解図である。
【図3】上記カメラモジュールの製造工程の一例を示す図である。
【図4】上記カメラモジュールの外観図である。
【図5】従来技術を示すものであり、AF機能のみを有するカメラモジュールの構成の一例を示す分解図である。
【図6】従来技術を示すものであり、AF機能のみを有するカメラモジュールの製造工程の一例を示す図である。
【図7】従来技術を示すものであり、高機能のカメラモジュールの製造工程の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明図に過ぎない。
【0043】
〔カメラモジュールの構成〕
まず、本発明に係るカメラモジュールの構成の一例を図1に基づいて説明する。図1は、本発明に係るカメラモジュールの構成の一例を示す分解図である。図1に示すように、カメラモジュール1は、基板2、センサー素子3、センサーカバー部8、レンズ駆動ユニット6、レンズ7を含む。
【0044】
基板2上にセンサー素子3が配置されており、ボンディングワイヤ等で基板2とセンサー素子3とが電気的に接続される。基板2は、センサー素子3から取得した電気信号(画像データ)を、カメラモジュール端子11を介して、例えば、カメラモジュール11を搭載する端末の制御部(不図示)に出力する。
【0045】
なお、本発明に係るカメラモジュール1が搭載される端末は、例えば、携帯電話機、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤー、デジタルカメラ等である。
【0046】
センサー素子3は、レンズ7で集光された光を受光し、光信号を電気信号に変換するものである。センサー素子3は、例えば、CCDセンサー素子またはCMOSセンサー素子等で構成される。
【0047】
センサーカバー部8は、センサー素子3の上側の基板2上に配置され、センサー素子3を封止するものである。センサーカバー部8を配置することにより、センサーカバー部8、センサー素子3および基板2によって閉じられた空間にゴミ等が入らないようにすることができる。
【0048】
センサーカバー部8は、センサーカバー筐体4と、センサーカバー筐体4の天面側の凹部に嵌合するリッドガラス5とを含む。センサーカバー筐体4は、センサー素子3を衝撃等から保護するものである。リッドガラス5は、赤外カットフィルター機能を有し、レンズ7で集光された光のうち、赤外光を遮断するものである。
【0049】
レンズ駆動ユニット6は、レンズ7を保持すると共に、レンズ7の位置を調整するものである。レンズ7とセンサー素子3とが同一光軸上に位置するように、レンズ駆動ユニット6は、センサーカバー部8を内部に収容するようにセンサーカバー部8上に固定して搭載される。レンズ駆動ユニット6は、レンズ駆動端子12aを備える。レンズ駆動端子12aと基板2のレンズ駆動端子12bとが接続し、レンズ駆動ユニット6と基板2とは電気的に接続される。レンズ駆動ユニット6は、基板2を介して、カメラモジュール1を搭載する端末の制御部から、レンズの駆動を指示する制御信号を受信し、制御信号に基づいてレンズ7を駆動させる。なお、以下では、レンズ駆動端子12aおよびレンズ駆動端子12bを総称してレンズ駆動端子(接続部)12と称する。
【0050】
レンズ駆動端子12は、レンズ駆動ユニット6がAF機能だけではなくズーム機能、手ぶれ補正機能等の多種の機能を備えているため、複数の配線が一体化されているコネクタ端子またはフレキシブルプリント基板等で構成される。図1に示す例では、レンズ駆動端子12がコネクタ端子である。すなわち、図1に示すレンズ駆動端子12aがコネクタ端子の雄側であり、レンズ駆動端子12bがコネクタ端子の雌側である。
【0051】
また、レンズ駆動端子12がフレキシブル基板である例を図2に示す。図2に示すカメラモジュール1aは、図1に示すカメラモジュール1とレンズ駆動端子の構成が異なるだけであり、その他の部材は同じである。図2に示すように、レンズ駆動端子10がフレキシブル基板で構成されており、図2に示すレンズ駆動端子10aがフレキシブル基板で構成された雄端子であり、レンズ駆動端子10bがレンズ駆動端子10aが接続される雌端子である。
【0052】
なお、カメラモジュール1は、センサー素子3と同一光軸上にシャッターおよびNDフィルター等を備えていてもよい。
【0053】
また、各部材の位置合わせを容易にするために、各部材が互いに嵌合できるように各部材の形状が設計されていることが望ましい。例えば、レンズ駆動ユニット6およびセンサーカバー部8は、レンズ駆動ユニット6の底面側からセンサーカバー部8が嵌合するように、その形状が設計されていることが望ましい。また、センサーカバー筐体4およびレンズ駆動ユニット6をそれぞれ基板2上に搭載する際の位置決めを容易にするために、基板2の表面上に、センサーカバー筐体4およびレンズ駆動ユニット6それぞれに対応する凹形状または凸形状等の位置決め部(不図示)が設けられていることが望ましい。
【0054】
〔カメラモジュールの製造工程〕
次に、本発明に係るカメラモジュール1の製造工程について図3に基づいて説明する。図3は、本発明に係るカメラモジュール1の製造工程の一例を示す図である。
【0055】
まず、センサー素子3を搭載する基板2上に、センサーカバー部8を配置する。この状態から、図3(a)に示すように、センサーカバー筐体4上であって、レンズ駆動ユニット6と接合する箇所(第1接合部)に熱硬化性樹脂13を塗布する。
【0056】
次に、図3(b)に示すように、センサーカバー部8上に、保持運搬手段14によってセンサーカバー部8を覆うようにレンズ駆動ユニット6を搭載(マウント)する。このとき、保持運搬手段14は、レンズ駆動ユニット6の位置を調整して、レンズ駆動ユニット6と、センサーカバー部8および基板2との相対位置の位置決めを行う。図3(b)に示すように、ここでは、レンズ駆動ユニット6のレンズ駆動端子12aが位置する側面と対向する側面21と、基板2の端面22とが略一致するようにレンズ駆動ユニット6を配置する。
【0057】
レンズ駆動ユニット6の位置決めを行った後、保持運搬手段14によってレンズ駆動ユニット6を押さえた状態で、図3(b)に示すように、レンズ駆動ユニット6の側面21の下部および基板2の端面22に、光硬化性樹脂15を塗布する。
【0058】
次に、図3(c)に示すように、引き続き保持運搬手段14によってレンズ駆動ユニット6を押さえた状態のまま、光硬化性樹脂15に光16を照射して、光硬化性樹脂15を硬化させる。光硬化性樹脂15が硬化したことにより、レンズ駆動ユニット6と、センサーカバー部8および基板2との相対位置が固定される。
【0059】
次に、保持運搬手段14をレンズ駆動ユニット6から外して、図3(d)に示すように、熱硬化性樹脂13に対して熱17を加えて、熱硬化性樹脂13を硬化(キュア)させる。そして、図3(e)に示すように、コネクタ端子であるレンズ駆動端子12aとレンズ駆動端子12bとを電気的に接続する。
【0060】
一般的に携帯電話機等の端末に使用される部品は、落下衝撃に対する強度が必要である。そのため、カメラモジュール1の製造に用いる接着用樹脂には、エポキシ系樹脂等の機械的強度に優れる熱硬化性樹脂が使用されることが多い。本発明においても、衝撃を受けた場合であっても、レンズ駆動ユニット6とセンサーカバー部8との相対位置、つまり、レンズ7とセンサー素子3との相対位置が維持できるように、レンズ駆動ユニット6とセンサーカバー部8とを熱硬化性樹脂13によって接合している。
【0061】
しかしながら、熱硬化性樹脂は、加熱してから完全に硬化するまでに比較的長い時間がかかる。そのため、上述のように、レンズ駆動端子12の接続に起因する外力により、レンズ駆動ユニット6の相対位置がずれる場合がある。そこで、本発明は、熱硬化性樹脂13に加熱する前に、レンズ駆動ユニット6と基板2とを速硬化性である光硬化性樹脂15によって固着する。これにより、仮に熱硬化性樹脂13が完全に硬化する前にレンズ駆動端子12を接続したとしても、上記外力によるレンズ駆動ユニット6の相対位置のずれを防止することができる。
【0062】
なお、光硬化性樹脂15として、例えば、アクリル系樹脂である紫外線(UV)硬化樹脂を適用することができる。この場合、樹脂の特性にもよるが、光硬化性樹脂15にUV光を照射してから数秒〜数十秒で硬化させることができる。また、光硬化性樹脂15は、塗布の工程を簡易にするために、一液性かつ無溶剤である樹脂を用いることが好ましい。
【0063】
なお、本実施形態では、光硬化性樹脂15をレンズ駆動ユニット6の側面21の下部および基板2の端面22に塗布しているが、光硬化性樹脂15を塗布する位置はこれに限るものではない。例えば、レンズ駆動ユニット6の他の側面(例えば、図3の手前の側面)の下部と、基板2の他の端面(例えば、図3の手前の端面)とに塗布してもよい。また、レンズ駆動ユニット6の底面と、当該底面に対向する基板2の表面とに塗布してもよい。換言すると、外力によるレンズ駆動ユニット6の位置ずれを防止することができれば、レンズ駆動ユニット6と基板2との接合箇所(第2接合部)の位置は任意でよい。
【0064】
図4に、以上の製造工程を経て完成したカメラモジュール1を、上方および側面の四方から見た外観図を示す。図4の中央に示すカメラモジュール1upは、カメラモジュール1を上方から見た外観図であり、その周囲に示されているカメラモジュール1sideA、1sideB、1sideCおよび1sideDは、それぞれカメラモジュール1を側面から見た外観図である。
【0065】
なお、本実施形態では、レンズ7とセンサー素子3との光学的な位置関係を高精度に合わせるために、各部材の形状を適宜設計し、各部材が嵌合するように各部材を当接して配置する。また、凹部または凸部等である位置決め部を各部材に適宜設けて、位置決め部を基準として各部材を当接して配置してもよい。これにより、例えば特許文献2に記載の製造方法と比べて、レンズ7およびセンサー素子3の位置合わせを高精度にかつ簡易に行うことができる。
【0066】
また、本実施形態では、熱硬化性樹脂13をセンサーカバー筐体4の上面に塗布する。そのため、特許文献2に記載の製造方法のように、センサパッケージとホルダ部材との間に形成された閉空間に熱硬化性樹脂を充填する方法に比べて、樹脂塗布を容易に行うことができ、また製造工程の工数を削減することができる。
【0067】
さらに、本実施形態では、熱硬化性樹脂13を塗布した後、保持運搬手段14によってレンズ駆動ユニット6を押さえた状態で光硬化性樹脂15を硬化し、光硬化性樹脂15が硬化した後、保持運搬手段14を外して熱硬化性樹脂13を硬化する。一方、特許文献2に記載の製造方法では、光硬化性樹脂を硬化したあと、チップマウンタを外してから熱硬化性樹脂を注入し、硬化する。そのため、樹脂注入工程等において、センサパッケージやホルダ部材等の位置がずれる虞がある。よって、本実施形態における製造工程の方が、各部材の位置を高精度に配置することができる。
【0068】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、小型化・高機能化が要求されるカメラモジュールに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1、1a カメラモジュール
2 基板
3 センサー素子
4 センサーカバー筐体
5 リッドガラス
6 レンズ駆動ユニット
7 レンズ
8 センサーカバー部
10、10a、10b レンズ駆動端子(接続部)
11 カメラモジュール端子
12、12a、12b レンズ駆動端子(接続部)
13 熱硬化性樹脂
14 保持運搬手段
15 光硬化性樹脂
16 光
17 熱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に搭載したセンサー素子と、前記センサー素子を保護し、前記基板上に搭載したセンサーカバー部と、レンズを保持すると共に、レンズを駆動するレンズ駆動ユニットとを含むカメラモジュールであって、前記レンズ駆動ユニットと基板とを複数の配線が一体化された接続部で電気的に接続されるカメラモジュールの製造方法であって、
前記センサーカバー部上における前記レンズ駆動ユニットと接合する第1接合部に熱硬化性樹脂を塗布する工程と、
前記センサーカバー部上に前記レンズ駆動ユニットを搭載する工程と、
前記レンズ駆動ユニットにおける前記基板と接合する第2接合部に光硬化性樹脂を塗布する工程と、
前記光硬化性樹脂に光を照射する工程と、
前記熱硬化性樹脂に熱を加える工程と、
前記レンズ駆動ユニットと前記基板とを前記接続部を介して電気的に接続する工程と、を含むことを特徴とするカメラモジュールの製造方法。
【請求項2】
前記接続部は、コネクタ端子であることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュールの製造方法。
【請求項3】
前記接続部は、フレキシブル基板であることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュールの製造方法。
【請求項4】
基板と、前記基板上に搭載したセンサー素子と、前記センサー素子を保護し、前記基板上に搭載したセンサーカバー部と、レンズを保持すると共に、レンズを駆動するレンズ駆動ユニットとを含み、前記レンズ駆動ユニットは前記センサーカバー部上に搭載され、前記レンズ駆動ユニットと基板とを複数の配線が一体化された接続部で電気的に接続されるカメラモジュールであって、
前記センサーカバー部と前記レンズ駆動ユニットとを熱硬化性樹脂によって接合する第1接合部と、
前記レンズ駆動ユニットと前記基板とを光硬化性樹脂によって接合する第2接合部とを備えたことを特徴とするカメラモジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−88525(P2013−88525A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227256(P2011−227256)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】