説明

カメラユニットおよびカメラユニットの組み立て方法

【課題】接着剤を用いずにレンズバレルとセンサ部とをフォーカス調整しながら組み立てる。
【解決手段】レンズ24を収容するレンズバレル20と、撮像用センサ14が搭載され、レンズバレル20を保持するセンサ部10とが、レンズバレル20とセンサ部10のうちのいずれか一方が、レンズ24と撮像用センサ14とのフォーカス位置において、他方との接触部のうちの少なくとも一部を変形させた状態で、嵌合するカメラユニット50であって、レンズバレル20またはセンサ部10の接触部のうちいずれか一方にはネジ部12,22が形成されていて、ネジ部12,22が形成されていないセンサ部10またはレンズバレル20の接触部には、ネジ部12,22の径寸法よりも小径または大径に形成された異径寸法部が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話等の撮像装置におけるカメラユニットおよびカメラユニットの組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
受光レンズのフォーカス調整をおこなう作業においては、非常に精密に受光レンズの位置を調整しなければならないため、煩雑であることが多い。また、フォーカスポイント付近における微調整を誤ると、フォーカス調整が不可能になってしまう場合があり、レンズユニットの組み立ての歩留まりが悪くなる場合があった。
そこで受光レンズのフォーカス調整作業はなるべく手数がかからず、フォーカス調整の自由度が高いレンズユニットの組立方法が提案されている。
【0003】
特許文献1記載のカメラモジュールは、レンズを保持するバレルと固体撮像素子が搭載されたカメラモジュール本体とを組み立てる際のフォーカス調整用のネジ部を省略したものである。具体的には、バレル下面に環状突起を設け、カメラモジュール本体の上面に環状溝を形成し、接着剤を注入した環状溝に環状突起を挿入し、バレルとカメラモジュール本体との相対的な位置を調整することでフォーカス調整した後に接着剤を硬化させて固定したものである。
【特許文献1】特開2007−36393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バレルとカメラモジュール本体を組み立ててなるカメラユニットは携帯電話やデジタルカメラ等に搭載される。携帯電話やデジタルカメラは日常生活で用いられる前提で製造されているが、過酷な使用条件下であっても故障は許されない。したがってバレルとカメラモジュール本体を組み立てる際には耐久性の高い接着剤が適用されているものの、実際に使用を続けると接着剤が劣化してしまうといった課題や、接着剤が脱落してしまうといった課題がある。
また、バレルとカメラモジュールの組み立てに接着剤を用いたことにより、接着剤または接着剤から発生したガスによりレンズや撮像用センサの一部が汚れてしまうおそれがあるといった課題がある。
【0005】
そこで本願発明は、フォーカス調整が必要なカメラユニットを組み立てする際において、カメラユニットの出来栄えを左右する要因のひとつである接着剤を用いずにレンズバレルとセンサ部とを組み立てることにより、耐久性および組み立て作業における歩留りを向上させることが可能なカメラユニットおよびカメラユニットの組み立て方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、レンズを収容するレンズバレルと、撮像用センサが搭載され、レンズバレルを保持するセンサ部とが、前記レンズバレルと前記センサ部のうちのいずれか一方が、前記レンズと前記撮像用センサとのフォーカス位置において、他方との接触部のうちの少なくとも一部を変形させた状態で、嵌合するカメラユニットであって、前記レンズバレルまたは前記センサ部の接触部のうちいずれか一方にはネジ部が形成されていて、ネジ部が形成されていない前記センサ部または前記レンズバレルの接触部には、前記ネジ部の径寸法よりも小径または大径に形成された異径寸法部が設けられていることを特徴とするカメラユニットである。
【0007】
また、前記異径寸法部が設けられている範囲内に前記レンズと前記撮像用センサのフォーカス位置が存在していることを特徴とする。この構成を採用することにより、レンズバレルをセンサ部に組み付ける際に、レンズと撮像用センサのフォーカス調整を厳密におこなうべきポイントを明確にすることができる。
【0008】
また、撮像用センサが搭載されたセンサ部に、レンズを収容するレンズバレルを組み立てする際において、前記レンズバレルまたは前記センサ部の接触部のうちいずれか一方にはネジ部が形成されていて、ネジ部が形成されていない前記センサ部または前記レンズバレルの接触部には、前記レンズ部と前記撮像用センサとのフォーカス位置を含む範囲に前記ネジ部の径寸法よりも小径または大径に形成された異径寸法部が設けられていて、前記ネジ部により前記ネジ部と前記異径寸法部との接触部を変形させることにより、前記センサ部と前記レンズバレルとを嵌合させることを特徴とするカメラユニットの組み立て方法の発明もある。
【0009】
また、前記センサ部が受信した信号に基づいて画像処理手段が画像を生成させ、画像表示手段に表示された画像により前記センサ部と前記レンズバレルとのフォーカス状態を確認しながら、前記センサ部と前記レンズバレルとを組み立てることがさらに好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかるカメラユニットおよびカメラユニットの組み立て方法によれば、接着剤を用いずにレンズバレルとセンサ部を組み立てることにより、接着剤の耐久性によりカメラユニットの耐久性が制限されることがなくなるためカメラユニットの歩留りを向上させることができる。また、接着剤を用いていないので、接着剤の塗布工程や接着剤硬化工程を省略することができ、カメラユニットの組立作業が簡略化され、効率的な生産が可能になると共に、接着剤に起因するレンズまたは撮像用センサの汚染を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明にかかるカメラユニットについて、図面に基づいて説明する。
【0012】
第1参考実施形態)
図1は、第1参考実施形態におけるカメラユニットのセンサ部の構成を示す説明図である。図2は、第1参考実施形態におけるカメラユニットのレンズバレルの構成を示す説明図である。本参考実施形態においては、撮像用センサ14としてCMOSやCCD等が用いられたセンサ部10と、レンズバレル20の両者にネジ部12,22を形成して、両者を螺着することにより、センサ部10に対するレンズユニット25のフォーカス調整をおこないながらセンサ部10にレンズバレル20を組み付ける形態について説明する。
【0013】
図1に示すように、センサ部10は、撮像用センサ14と、撮像用センサ14を保持する本体部16により構成されている。撮像用センサ14は公知の方法により本体部16に取り付けられている。本体部16の撮像用センサ14の上側部分には、撮像用センサ14から離反する方向に延出して上方側が開口する筒状部18が形成されている。筒状部18の内周面には筒状部18の高さ方向にわたって一定ピッチのネジ部12が形成されている。本実施形態における本体部16は図示しない樹脂成形金型により形成される。
【0014】
レンズバレル20は図2に示すように、スペーサ23を介して配設された2枚のレンズ24A,24Bにより構成されるレンズユニット25と、レンズユニット25を保持する本体部26により構成されている。本体部26は下面側が開口する筒状に形成されている。本体部26の上面側の中央部分にはレンズ用開口部28が形成されている。本体部26の外周面には本体部26の高さ方向にわたってネジ部22が形成されている。ネジ部22は、本体部26の上端側部分におけるネジピッチP2が本体部分26の他の部分のネジピッチP1と比較して短ピッチに形成されている。レンズバレル20もまた樹脂成形金型により形成されている。本実施形態は、レンズバレル20に2枚のレンズ24A,24Bからなるレンズユニット25を保持させた例であるが、レンズバレル20に保持させるレンズの枚数は特に限定されるものではない。要は、収差が調節された状態でレンズまたはレンズユニットが保持されていれば良い。
【0015】
レンズバレル20のネジ部22は、センサ部10のネジ部12にレンズバレル20のネジ部22螺着させた状態において、短いネジピッチP2に形成されている部分がネジ部12に進入したときに、撮像用センサ14とレンズユニット25の焦点が定まる位置(いわゆるフォーカス位置)を含むように形成されている。撮像用センサ14に対するレンズユニット25の焦点距離は、カメラユニットに用いられている撮像用センサ14とレンズユニット25の組み合わせにより概略値を予め知ることが可能であるので、ネジピッチP1の部分とネジピッチP2の部分の範囲を、レンズバレル20を樹脂成形する際の樹脂成形金型に設定しておくことができる。また本実施形態においては、センサ部10よりもレンズバレル20の方が硬くなるように樹脂成形を行っている。
【0016】
次に、本参考実施形態におけるカメラユニットの組み立て方法について説明する。図3は、第1参考実施形態におけるカメラユニットの組み立て状況を示す説明図である。図4は、第1参考実施形態におけるレンズバレルがフォーカス調整をした状態でセンサ部に組み立てられた状態を示す説明図である。図5は図4内におけるA部分の拡大図である。
まず、図3に示すように、撮像用センサ14が搭載されているセンサ部10のネジ部12に、レンズユニット25が組み込まれているレンズバレル20のネジ部22を図中の矢印Z方向に回転させることにより螺入する。センサ部10にレンズバレル20を組み付ける際には、撮像用センサ14のセンシング結果に基づいた画像を表示することができるように、画像データ処理手段と画像表示手段(共に図示せず)がセンサ部10の撮像用センサ14に接続される。画像表示手段に表示する画像により撮像用センサ14に対するレンズユニット25のフォーカス状態がオペレータの目視により確認することができるように、撮像用センサ14、レンズユニット25、確認用画像(図示せず)の順にそれぞれを配列しておけば好適である。
【0017】
レンズバレル20のセンサ部10へねじ込む側のネジピッチP1は、センサ部10のネジ部12のネジピッチに等しく形成されているので、組み付け開始後しばらくの間は単なるネジ止め処理をすれば良いことになる。この状態においてはレンズバレル20のレンズユニット25はネジピッチに従ってセンサ部10の撮像用センサ14との距離が短縮する。撮像用センサ14とレンズユニット25が所定の離間距離となると、撮像用センサ14のセンシング結果による画像が画像表示手段に表示される。オペレータは、画像表示手段に表示される画像を見ながらセンサ部10にレンズバレル20を組み付けることができる。
【0018】
撮像用センサ14とレンズユニット25のフォーカス距離が近づくと、画像表示手段に表示される画像が鮮明になることはもちろんであるが、レンズ部20に形成されたネジ部22のネジピッチがP1からP2に切り替わり、センサ部10に形成されているネジピッチとあわなくなる。本参考実施形態においては図4,図5に示すように、レンズバレル20に形成したネジ部22がセンサ部10のネジ部12を変形させながら、レンズバレル20のネジ部22がセンサ部10のネジ部12に食い込んでいくことになる。これにより、レンズバレル20をセンサ部10に組み付けする際に要する回転トルクが急激に増加するので、オペレータは画像表示手段を確認しなくても、撮像用センサ14とレンズユニット25のフォーカス距離に近づいてきていることを理解することができる。
【0019】
また、この状態においては、レンズバレル20のネジ部22のネジピッチP2がそれまでのネジピッチP1に比べて短いネジピッチに形成されているため、レンズバレル20の回転角度に対する撮像用センサ14に対するレンズユニット25の接近量が少なくなる。すなわちレンズバレル20の回転角度に対するレンズユニット25と撮像用センサ14の離間距離の変化が徐々になされるため、撮像用センサ14とレンズユニット25のフォーカス調整を精密に行うことができる。最終的には、画像表示手段に表示されている画像をオペレータが確認し、画像表示手段に示されている画像のフォーカスが合っていると判断した際に、センサ部10へのレンズバレル20のねじ込みをやめれば良い。このようしてセンサ部10にレンズバレル20をフォーカス調整した状態で組みつけることでカメラユニット50を得ることができる。
【0020】
先にも説明したとおり、レンズバレル20に形成したネジ部22は、撮像用センサ14とレンズユニット25のフォーカス位置を含む範囲内でネジピッチが短ピッチとなるように変更されていることに加え、センサ部10よりもレンズバレル20の方が硬い材料により形成されているので、撮像用センサ14とレンズユニット25のフォーカス位置においては、図4,図5に示すようにセンサ部10のネジ部12にレンズバレル20のネジ部22の一部が食い込んだ状態になる。これにより、単にセンサ部10とレンズバレル20を螺合させた場合の摺動抵抗に比べて大きな摺動抵抗を得ることができるため、接着剤を用いずとも、センサ部10とレンズバレル20の嵌合状態が解除されるおそれがなく、耐久試験に適用してもカメラユニット50のフォーカス状態が好適に維持されることになる。
【0021】
第1実施形態)
次に、第1実施形態について説明する。
図6は第1実施形態におけるセンサ部の構造を示す説明図である。図7は第1実施形態におけるレンズバレルの構造を示す説明図である。図6と図7に示されているとおり、本実施形態においては、センサ部10にネジ部が形成されていない点と、レンズバレル20に形成されているネジ部22のネジピッチがネジ部22の全域にわたって一定ピッチに形成されている点で第1参考実施形態と異なっている。本実施形態においては、第1参考実施形態と同様の構成を有する部分には、第1参考実施形態と同じ番号を付与することにより詳細な説明を省略している。
【0022】
センサ部10は図6に示すように、本体部16の筒状部18にネジ部が形成されていない代わりに、筒状部18の内径が2種類の径寸法に形成されている。具体的には、筒状部18の上側(開口側)の内径寸法D1に比べて筒状部18の下側の内径寸法D2が小さくなるように形成されている。内径寸法D1は、レンズバレル20の外径寸法以上の寸法に形成されている。内径寸法D2は、レンズバレル20の外径寸法よりも小さい径寸法に形成されている。撮像用センサ14の上面位置から筒状部18の径寸法がD1からD2に変わる位置までの距離Hは、撮像用センサ14とレンズバレル20に保持されているレンズユニット25のフォーカス距離よりも大きくなるように設定されている。すなわち、本実施形態においては、センサ部10の筒状部18内にレンズバレル20のネジ部22を進入させた場合において、撮像用センサ14とレンズユニット25の焦点が合う部分は、筒状部18の内径寸法がD2に形成されている部分にレンズバレル20の先端部が進入した状態のときとなる。
【0023】
一方、レンズバレル20は図7に示すように、本体部26の外周に本体部26の高さ方向全域に一定のネジピッチでネジ部22が形成されている。本実施形態においても、センサ部10よりもレンズバレル20が硬くなるように樹脂成形材料が選択されている。
【0024】
第1実施形態におけるカメラユニットの組み立て方法について説明する。図8は第1実施形態におけるカメラユニットの組み立て状況を示す説明図である。図9は、第1実施形態におけるレンズバレルがフォーカス調整をした状態でセンサ部に組み立てられた状態を示す説明図である。図10は図9中のB部分における拡大図である。本実施形態におけるセンサ部10とレンズバレル20の組立作業時においても、センサ部10の撮像用センサ14が受信した信号に基づいて画像処理手段が画像を生成して、画像表示手段に表示させ、オペレータが画像表示手段に表示された画像を確認しながらセンサ部10とレンズバレル20の組み立てをおこなっているものとする。
【0025】
まず、図8に示すように、センサ部10の筒状部18における上方側の開口部からレンズバレル20のネジ部22を挿入する。センサ部10の筒状部18の開口部側の内径寸法D1は、レンズバレル20の外径寸法と等しく形成されているため、レンズバレル20は筒状部18の上方側の内周壁にガイドされた状態で筒状部18の中に挿入されることになるため、レンズバレル20またはセンサ部10に加えるべき回転トルクはゼロであっても良い。
【0026】
レンズバレル20のネジ部22の先端位置が筒状部18の内径寸法がD2に形成されている位置(ここではこの小径部18Aが異径寸法部に該当する)に到達すると、筒状部18内へのレンズバレル20の進入量が規制される。レンズバレル20をさらに筒状部18に進入させる場合には、ネジ部22が筒状部18の内周面を変形させながら進入(嵌入)させる必要があるため、レンズバレル20またはセンサ部10に所定の回転トルクが必要になる。筒状部18の内径寸法が大径(D1)から小径(D2)に切りかえられている位置は、センサ部10にレンズバレル20を組み立てた状態において撮像用センサ14とレンズユニット25のフォーカス位置の直前部分であるから、オペレータは筒状部18へのレンズバレル20の組み付け作業を慎重にすべきタイミングを知ることができる。
【0027】
オペレータは、筒状部18にレンズバレル20を組みつける際に、所定の回転トルクが必要になった直後から、画像表示手段に表示された画像の状態を確認して、筒状部18へのレンズバレル20の嵌入量を調整し、画像表示手段に表示されている画像が所定の画像状態になったと判断した時点でレンズバレル20またはセンサ部10への回転トルクの付与をやめる。
【0028】
本実施形態においても、レンズバレル20のネジ部22がセンサ部10の筒状部18の内周面の一部を変形させながら嵌入した状態になるため、単にレンズバレル20のネジ部22をセンサ部10の筒状部18のネジ部10に単純に螺着させた場合よりもはるかに大きな摺動抵抗を得ることができるので、センサ部10にレンズバレル20をフォーカス調整した状態で組み付けた後に接着剤を用いてフォーカス調整状態を維持する必要がなく、接着剤塗布工程の省略や、接着剤によるレンズの汚染をなくすことができる。
【0029】
以上の第1参考実施形態および第1実施形態においては、センサ部10における筒状部18の内径空間にレンズバレル20の外周面を嵌合させる形態について説明したが、本願発明は、センサ部10における筒状部18の外周面にレンズバレル20のネジ部22を嵌合させる形態にも適用することももちろん可能である。
以下に、レンズバレル20の本体部26の下面側に筒状の延出部29を形成し、延出部29の内周面にネジ部22が形成されている形態例について説明をする。
【0030】
第2参考実施形態)
図11は、第2参考実施形態におけるカメラユニットの組立状態を示す説明図である。本参考実施形態は、センサ部10における筒状部18の外周面とレンズバレル20における延出部29の内周面側のそれぞれにネジ部12,22を形成した形態である。筒状部18に形成されているネジ部12は一定のネジピッチで形成されている。これに対して、レンズバレル20の延出部29の内周面に形成されているネジ部22は、本体部26側の所要範囲にわたって筒状部18に形成されているネジ部12のネジピッチよりも短ピッチのネジピッチで形成されている。
この構成により、レンズバレル20(延出部29)のネジ部22をセンサ部10(筒状部18)のネジ部12に螺入させると、最初は通常の螺入状態となり、レンズバレル20に与える回転トルクは通常のネジ締めに要する回転トルクと同程度である。さらにレンズバレル20の螺入をすすめて、撮像用センサ14とレンズユニット25とのフォーカス位置が近づくと、レンズバレル20を筒状部18に螺入させる際の回転トルクがそれまでの回転トルクに比べて大幅に増大する。これにより、オペレータに注意喚起を与えることができる等、先の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。撮像用センサ14とレンズユニット25の最終的なフォーカス状態を設定する調整方法は、先の実施形態で説明した方法と同様にして行うことができる。
【0031】
第2実施形態)
図12は、第2実施形態におけるカメラユニットの組立状態を示す説明図である。本実施形態は、センサ部10における筒状部18がレンズバレル20に入り込む側と本体部16側とで異なる径寸法に形成されている。レンズバレル20に入り込む側が小径部18Aに形成され、本体部16側が大径部18Bに形成されていて、小径部18Aから大径部18Aにかけては小径部18A側から大径部18B側に向けて徐々に拡径するテーパー部19が形成されている。
【0032】
レンズバレル20の延出部29の内周面を、筒状部18の小径部18Aの外周面をガイドにしながらレンズバレル20を筒状部18に被せていくと、延出部29の下端部分が筒状部18の中途部分に形成されたテーパー部19に当接する。延出部29の内周面には延出部29の下端部からネジ部22が形成されているので、レンズバレル20をテーパー部19に押し付けながら回転させると、ネジ部22がテーパー部19の外表面に沿いながら筒状部18のさらに下方側(大径部18B側)に進入していく。テーパー部19は筒状部18の高さ方向にわずかな距離しかなく、大径部18Bの径寸法も、ネジ部22が螺入可能な径寸法に形成されているので、ネジ部22は大径部18Bの外表面を変形させながら螺入する。レンズバレル20のネジ部22が筒状部18の大径部18Bに螺入すると、通常のネジを螺入させるときに要する回転トルクに比べ、大幅に大きい回転トルクを必要とするため、オペレータの注意喚起させることができる等、先の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、本実施形態においては大径部18Bが異径寸法部に相当している。本実施形態においても、撮像用センサ14とレンズユニット25の最終的なフォーカス状態を設定する調整方法は、先の実施形態で説明した方法と同様にして行うことができる。
【0033】
以上に、本願発明について実施形態に基づいて詳細に説明してきたが、本願発明は以上に示した実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲において各種改変を施したとしても、本願発明の技術的範囲に属することはもちろんである。例えば、第1実施形態においては、レンズバレル2に形成されたネジ部22によりセンサ部10の筒状部18の内周面の一部を変形させながら嵌合させることにより、摺動抵抗を得て撮像用センサ14とレンズユニット25のフォーカス調整状態を維持する形態となっているが、センサ部10の筒状部18の内周面にネジ部12を形成し、本体部26が大径部と小径部を有する形状に形成されたレンズバレル20をセンサ部10のネジ部12に嵌入させる形態であっても良い。この場合、レンズバレル20よりもセンサ部10を硬く形成し、センサ部10のネジ部12がレンズバレル20の大径部を変形させながら嵌入させればよい。また、レンズバレル20の嵌入側端部から径寸法が変更する位置までの距離は、撮像用センサ14とレンズユニット25のフォーカス距離よりも小さくなるように設定されているのはもちろんである。
【0034】
さらにまた、センサ部10またはレンズバレル20のいずれか一方のみにネジ部を形成し、ネジ部を形成したセンサ部10またはレンズバレル20をレンズバレル20またはセンサ部10に食い込ませる場合は、撮像用センサ14に対するレンズユニット25のフォーカス位置の直前においてネジ部が相手の部材に食い込むようにすればよい。食い込まれる側の部材の内径部分は第1実施形態で説明したような大径部分と小径部分を有する形状の他、テーパー形状等を採用することも可能である。
【0035】
また、第2実施形態における筒状部18は、レンズバレル20に入り込む側が小径部18Aに形成され、本体部16側が大径部18Bに形成されていて、小径部18Aから大径部18Aにかけては小径部18A側から大径部18B側に向けて徐々に拡径するテーパー部19が形成されていて、レンズバレル20の延出部29にネジ部22が形成されている形態について説明しているが、筒状部18の外径寸法は筒状部18全体にわたって同一径寸法に形成し、レンズバレル20における延出部29の内径寸法を、筒状部18に進入させる側を大径部に、レンズユニット25側を小径部に形成し、大径部と小径部との径寸法の差を徐々に減らすテーパー部を形成した形態としても良い。この構成によっても第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0036】
また、第1実施形態や第2実施形態のように、一方の部材のみにネジ部を形成し、形成したネジ部によりネジ部を有しない他方の部材を変形させながら嵌合させる場合には、嵌合部位外にもネジ部を形成した形態について説明しているが、このような場合には、相手側と嵌合して、相手側の部材を変形させる部分のみにネジ部を形成するだけであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1参考実施形態におけるカメラユニットのセンサ部の構成を示す説明図である。
【図2】第1参考実施形態におけるカメラユニットのレンズバレルの構成を示す説明図である。
【図3】第1参考実施形態におけるカメラユニットの組み立て状況を示す説明図である。
【図4】第1参考実施形態におけるレンズバレルがフォーカス調整をした状態でセンサ部に組み立てられた状態を示す説明図である。
【図5】図4内のA部分における拡大図である。
【図6】第1実施形態におけるセンサ部の構造を示す説明図である。
【図7】第1実施形態におけるレンズバレルの構造を示す説明図である。
【図8】第1実施形態におけるカメラユニットの組み立て状況を示す説明図である。
【図9】第1実施形態におけるレンズバレルがフォーカス調整をした状態でセンサ部に組み立てられた状態を示す説明図である。
【図10】図9中のB部分における拡大図である。
【図11】第2参考実施形態におけるカメラユニットの組立状態を示す説明図である。
【図12】第2実施形態におけるカメラユニットの組立状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0038】
10 センサ部
12 ネジ部
14 撮像用センサ
16 本体部
18 筒状部
18A 小径部
18B 大径部
19 テーパー部
20 レンズバレル
22 ネジ部
23 スペーサ
24A,24B レンズ
25 レンズユニット
26 本体部
28 レンズ用開口部
29 延出部
50 カメラユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを収容するレンズバレルと、撮像用センサが搭載され、レンズバレルを保持するセンサ部とが、前記レンズバレルと前記センサ部のうちのいずれか一方が、前記レンズと前記撮像用センサとのフォーカス位置において、他方との接触部のうちの少なくとも一部を変形させた状態で、嵌合するカメラユニットであって、
前記レンズバレルまたは前記センサ部の接触部のうちいずれか一方にはネジ部が形成されていて、
ネジ部が形成されていない前記センサ部または前記レンズバレルの接触部には、前記ネジ部の径寸法よりも小径または大径に形成された異径寸法部が設けられていることを特徴とするカメラユニット。
【請求項2】
前記異径寸法部が設けられている範囲内に前記レンズと前記撮像用センサのフォーカス位置が存在していることを特徴とする請求項1記載のカメラユニット。
【請求項3】
撮像用センサが搭載されたセンサ部に、レンズを収容するレンズバレルを組み立てする際において、
前記レンズバレルまたは前記センサ部の接触部のうちいずれか一方にはネジ部が形成されていて、
ネジ部が形成されていない前記センサ部または前記レンズバレルの接触部には、前記レンズ部と前記撮像用センサとのフォーカス位置を含む範囲に前記ネジ部の径寸法よりも小径または大径に形成された異径寸法部が設けられていて、
前記ネジ部により前記ネジ部と前記異径寸法部との接触部を変形させることにより、前記センサ部と前記レンズバレルとを嵌合させることを特徴とするカメラユニットの組み立て方法。
【請求項4】
前記センサ部が受信した信号に基づいて画像処理手段が画像を生成させ、
画像表示手段に表示された画像により前記センサ部と前記レンズバレルとのフォーカス状態を確認しながら、前記センサ部と前記レンズバレルとを組み立てることを特徴とする請求項記載のカメラユニットの組み立て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−190051(P2012−190051A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−141895(P2012−141895)
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【分割の表示】特願2007−154810(P2007−154810)の分割
【原出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】