説明

カメラ付きモバイルコンピューティングを用いた空き家、空き地等の清掃ビジネスシステム

【課題】
自分の故郷に空家、空地、墓地を持っている人、団地内に土地のみ買ったが遠隔地に赴任したため当分は空地にする人等は、近隣に迷惑を掛けないようにしたいが、時間的にも費用的にも年間に何回も清掃のために現地に行けないのが課題であった。清掃、整地、草取り、樹木の剪定等を確実に代行してくれる所を求めていた。
【解決手段】
遠隔地の清掃、整地、草取り、樹木の剪定等をビジュアルに見てもらいながら作業を進め、完了を確認できる方法として、カメラ付きの携帯電話又はモバイルコンピューティングによる作業確認の即時性を生かし、新しいビジネスモデルを確立した。依頼者の要望は、現地で聞きながら作業をする事ができ、逆に不明の時には写真で問合せることにより間違いのない作業ができる。携帯電話のレンズの分解能が向上しパソコン通信や写真の送付に比べて同じレベルの情報が即刻送信できることから本発明のビジネスシステムが確立できた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空き家、空き地、里山、墓地等の清掃と整地を行うビジネスに関して、カメラ付きの携帯電話又はモバイルコンピューティングを活用して実施する新しいビジネスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
総務省データによると、単身世帯を含む携帯電話の普及は、1993年の3.2%から2003年の93.9%と国民に広く普及した。カメラ付き携帯電話は、2001年に登場以来、レンズの高精度化と共に、その普及は著しい(非特許文献1)。レンズの分解能が100万画素を超え、インスタントカメラと同じ利用が可能になり、平成15年度の国内出荷は4500万台に達している。最近では、コンパクトフラッシュ(登録商標)に保存して、コンビニエンスストアやDPEショップ、家庭でのプリント、パソコンへの転送技術等によって、その利用方法は多岐にわたってきた(非特許文献2)。さらに、コンピューターが小型化し、モバイルコンピューティングが進展し、カメラ付きのものが屋外で使えるようになってきた。
【0003】
一方、バブル崩壊後に工場建設が進んでいない工業団地、土地購入後の転勤により遠隔地となった未建設住宅地、過疎化による里山の未整備地、核家族の高齢化によって増加した空き家、共働きの多忙な家庭の広い庭、転勤により遠隔地にある故郷の空き家と土地或いは墓地等において、清掃、整地、草取り、植木の剪定、不要物の廃棄等、所有者が求めているサービスは非常に多くなった。近隣に住宅がある場合には、放置しておく事による周辺への迷惑が発生することも多い。墓所に関しては、全国的に掃除代行サービス業者が現れている(非特許文献3)。また、パソコンによる仮想店舗方式の通信ネットワークを介して接続された端末を通して依頼する墓所の管理サービスビジネスシステムが、出願されている(特許文献1)。しかし、空き地、空き家、里山等については、組織的なサービスビジネスシステムは確立されていない。
【0004】
【非特許文献1】総務省情報通信政策局 通信利用動向調査報告書世帯編
【非特許文献2】I−ODATAプレスリリース
【非特許文献3】朝日新聞(大阪本社版) 2004年7月29日
【特許文献1】特開2002−236764
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1遠隔地にあるため自分の土地家屋の管理が出来ない。2遠隔地の土地家屋が現在どのような状態かわからない。3高い交通費を使って、自分が清掃、整地に行っても廃棄物の持ち帰りや現地での焼却処理ができない。4空き地を何年間も放置していると迷惑しているとの連絡が、その団地から入ることがある。5墓地では、数年間放置すると転売されるところがある。6高齢化し、歩行が不自由になり清掃作業が自分では出来ない高齢者も多くなった。7携帯電話は使用しているがパソコンは、使えない人が多い。8故郷の空き家・空き地の場合、親戚に依頼していたがその人も高齢化して頼めない。これらの課題により自分の財産でありながら管理ができず、空き家、空き地、里山、墓地等で放置されている所が多くなった。
【0006】
通常の加入電話或いは一般のパソコンのメールによる受注の場合には、情報交換が十分にできなく、遠隔地の依頼案件の特定、境界の確定、作業内容の打ち合わせ、現場の状況を見ながらの両者納得できる費用の見積りと決定、剪定作業における質問等が、現場を見ながら即時的に出来ない課題が存在していた。本発明は、これまでのビジネスの非効率という課題を、解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
新聞やテレビによるサービス提供の広告或いはネット上にホームページを開設してサービス内容を知らせる時に、カメラ付きの携帯電話の番号或いはモバイルコンピューティングのアドレスを知らせ、依頼を受け付ける。携帯電話の場合には、内蔵したメモリー以外にも外部メモリーも使用するのがよい。受注案件に関して、見易いカラー映像として現場から送信し、案件の特定を行う。ついで、作業範囲を決定するために境界の撮影を行い、依頼者との連絡を取って確定する。その後、作業面積の計算と作業内容の打ち合わせに入る。予め決定している面積当たりの標準価格に対して、作業の難易度により費用の加減をして、見積価格を提示する。意見交換をしながら発注者の了解をもらい改めて発注のメールを受け取る。これらはメモリーに記録し、後でパソコンに保存する。剪定作業のような場合、或いは草か保存する草木かの判定に当たっては、途中でカメラ付きの携帯電話又はモバイルコンピューティングで、写真送信によって問い合わせて、間違いを避ける努力をする。作業完了後の写真は、複数枚送信し、完了報告とした後、顧客の希望する方法で支払いを受け決済する。
【発明の効果】
【0008】
携帯電話は、高齢者も使う人が多く、携帯電話とモバイルコンピューティングを比較すると、カメラ付きの携帯電話の方が、多くの人に対応できる。将来的には、中高年以上のほとんどがカメラ付き携帯電話を使用すると考えられる。本発明のシステムに関するホームページを息子が見て、足腰の弱った親に、携帯電話を使用して、空き地や庭の清掃の依頼を勧めることでの受注が多い。親元を離れて遠隔地で就職し、家を建てている家族も多く、年間何回も帰郷して本人が清掃作業することは、時間的にも、交通費等の費用的にも困難であり、代わりに発注するケースもある。体力の弱った高齢者の支援をする仕事が実行でき、今後、広く普及するビジネスシステムであると期待している。
【0009】
一般の加入電話の場合には、話し合ったことを聞き漏らすことも多く、ビジネスツールとしては不適である。一般のパソコンの場合には、メールは一方的なものであり、時間差のある情報交換となり、時間のかかる交渉となる。それに対して、本発明のカメラ付きの携帯電話又はモバイルコンピューティングのビジネスシステムでは、口と耳に目が加わった三官による情報交換が、現地で時間的にも早く実施でき、現場に行けない人でもビジュアルに折衝が可能となった。本発明の即時とは即刻の意味であり短時間の意味である。容量の少ない携帯電話のメモリーに関しては、容量の大きいパソコンに転送してデータの保存と加工をすることにより折衝記録を保存する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1により最良の形態について説明する。1はサービス提供会社であり、パソコンと多数のカメラ付きの携帯電話又はモバイルコンピューティングを保有している。2は広告媒体であり、新聞やテレビ或いはネット上のホームページを開設できる。広告には、カメラ付きの携帯電話の番号を掲載して知らせる。3は顧客であり、携帯電話を持っている人が多い。4は顧客の財産であり、空き家、空き地、広い庭等である。顧客3は、2の広告を見て、サービス提供会社1の情報が6によって入る。そこで、
顧客3は、7によりサービス会社1に連絡を取り、自分が保有し放置している空き地、空き家の存在を告げて、その清掃や整地を相談する。1は7により地名、番地等の場所に関する情報を聞く。発注内容が、町内共有の里山の整備や、足腰の弱った高齢者の先祖の墓地の清掃、空き地の草取り等、色々の要望を受け付ける。これが受注のやり方である。
【0011】
サービス提供会社1は、8でカメラ付きの携帯電話又はモバイルコンピューティングを持って、4の現場に行き、サービス対象物件の写真を撮影し、9によってメール配信して、物件の特定をする。作業範囲を決定するために境界付近の写真を送り、顧客よりの連絡10によって隣接地との境を確定する。現地では、引き続き9と10により作業面積の計算と作業内容の打ち合わせを行う。作業内容により見積り価格を提示し意見交換をして、標準価格に対する費用の加減を行い合意を得る。改めて発注のメールを送信してもらうことにより受注を確定した後、作業に入る。その後も境界が不明の時や草取り時の判別し難い草木の場合は、9によって確認しながら作業を進める。カメラ付きの携帯電話又はモバイルコンピューティングが大いに働く場面の一つであって、即時に発注者の目でみて、決定の指示が出ることは作業効率上において、最大のメリットである。これらのやり取りは、取りあえずメモリーに保存しておき、11により事務所のパソコンに、整理して保存する。作業終了後には、複数枚の写真を送信して、完了報告をする。支払いは、12により銀行振込でも、コンビニエントストアでの振込みでも、顧客の希望により決済して完了とする。
【実施例1】
【0012】
住宅団地の中に土地を求めた後、遠隔地の子会社への出向となり、定年まで自宅建設を延期せざるを得なくなった。自分の土地の周辺では、住宅の建設が進み多くの人は住んでいる。自分の土地のみが空き地として取り残された。毎年、ひえのような草、秋のススキ、せいたかあわだちそうが繁茂して、近隣に種を撒き散らし、団地住民から苦情電話が入る事態が続いていた。本発明者のホームページを見て、携帯電話に草取りサービスの相談が入った。
【0013】
早速、カメラ付きの携帯電話を持って、その団地に行き、聞いていた番地で見当をつけ、写真撮影して相談物件の特定をした。カメラ付きの携帯で、近隣のカラー写真を送ることにより物件の場所は、簡単に特定でき、隣との境界は明瞭であった。宅地の面積を測定し、作業としては草の抜き取りのみとし、ほぼ標準価格での見積りを送信した。発注のメールをもらい、草取り作業と若干の整地作業をした。作業終了は、5枚の写真の送信により行い完了報告とし、発注者も了解した。支払いについては、会社の銀行口座をメールにより知らせて、銀行振込とした。仕事の誠実な遂行を評価してもらい、以降年間3回の定期的除草作業を受託した。
【実施例2】
【0014】
家に介護を要する高齢者がおり、長時間家を空けられないため、毎回、盆や彼岸に先祖のお墓の掃除ができない家庭があり、携帯電話でお墓の掃除依頼が入った。墓地の大よその場所は電話で聞いたが、現地に行ってカメラ付きの携帯電話で連絡を取りながら場所を特定し、墓石の撮影写真を送り確認した。現状を報告し、清掃内容の希望を聞くと、草取り、雨によって跳ね上げた砂の除去、背後の崖に下りている蔓草の除去、鳥の糞の除去、前回の墓参時の廃棄物処理等の注文が出た。掃除と墓参を兼ねてお参りしてもゴミの焼却場もなく、電車で持ち帰りもできないで困っていたらしい。希望通りの清掃をして、しきみのお供えをして、携帯電話で清掃後の状況を写真送信し、満足してもらった。支払いは近くの郵便局を希望されたので、用紙を送り決済した。この場合も丁寧な仕事振りから以後の
リピート受注となった。このビジネスは毎年数回の繰り返しの作業が必要であるが、信用をいただく
と、2回目からは、場所の確認や作業内容の打ち合わせは必要なく、清掃前後の写真送信のみで簡略化できる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
色々の清掃ビジネスが現れているが、本発明は、カメラ付きの携帯電話又はモバイルコンピューティングを活用したビジネスモデルの発明であり、清掃ビジネスには利用可能性が高い。最も効果のあることは、利用者の多いカメラ付きの携帯電話で通信をしながら、受注交渉、清掃、整地作業が、現地で実行できるシステムが構築できた事である。当面、空き地、空き家、里山の清掃、整地、草取りからビジネス化するが、遠隔地の庭の樹木の剪定を携帯電話で指示できることから剪定事業にも大いに利用できる。お墓についても先行特許の仮想店舗を開設して行うビジネスシステムに比べて、即時性があり、はるかに簡単な仕組みで仕事が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のカメラ付きの携帯電話又はモバイルコンピューティングを活用した清掃ビジネスシステムの模式図である。
【符号の説明】
【0017】
1サービス提供企業
2新聞、テレビ、ネット上のホームページ等の広告媒体
3清掃、整地、草取り等の発注者であり、顧客である。
4顧客の財産である空き地、空き家等の現地物件
5サービス提供者が広告媒体へ広告を出す
6広告によって1のサービス情報が顧客に伝わる
7求めていたサービスをカメラ付きの携帯電話によりサービス企業に伝え、発注物件の情報交換をする。
8サービス企業はカメラ付きの携帯電話又はモバイルコンピューティングを持って現地に行き物件を特定し、受注活動に入る。
9物件の特定、現状報告、境界の確認、作業内容、見積り、不明の時の問合せ、完了報告
10現地の状況把握、意見交換、作業指示、正式発注連絡、作業完了確認
11通信記録の整理保存
12サービス費用の振込み決済


【特許請求の範囲】
【請求項1】
空き家、空き地、里山、墓地の清掃、整地、草取り、植木の剪定、廃棄物処理を受注し、清掃、整地、草取り、剪定、廃棄作業を実行するに当たり、カメラ付きの携帯電話又はモバイルコンピューティングにより作業前後の写真をメール送信し、発注者が写真を見て納得した上で、作業費用を決済する受注から作業完了までを即時的に行うビジネスシステム
【請求項2】
作業依頼をカメラ付きの携帯電話又はモバイルコンピューティングにより受付け、現地において写真撮影と送信による依頼案件の特定、境界の確定と作業面積の測定、作業内容の打ち合わせ、標準価格に対する費用加減を行い、見積り価格を決定し、その場で合意の下に発注のメールを受け取る。疑問がある場合には、作業中にも指示を受け、作業後の写真をメール送信し、依頼完了の了解を取り、顧客の希望する方法により決済する請求項1のビジネスシステム


【図1】
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【公開番号】特開2006−134122(P2006−134122A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323105(P2004−323105)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(300066368)株式会社テクノブレインズ (3)