説明

カメラ内清掃システム、カメラ用塵埃除去ユニットおよび清掃機能付きカメラ

【課題】カメラ内部の光学部品表面に強く付着している塵埃などの汚れでも除去することができるカメラ内清掃システム、カメラ用塵埃除去ユニットおよび清掃機能付きカメラを提供すること。
【解決手段】光学部品24が内蔵されたカメラ本体4と、カメラ本体4のレンズ装着部28に取り外し自在に取り付けられる塵埃除去ユニット6と、を有するカメラ内清掃システムである。カメラ本体4には、光学部品24の表面を振動させる振動子40が設けられている。塵埃除去ユニット6には、当該塵埃除去ユニット6がカメラ本体4のレンズ装着部28に取り付けられた状態で、光学部品24の表面に接触し、振動子40により振動させられている表面の拭き取り動作を行う拭き取り部材30aが具備してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ内清掃システム、カメラ用塵埃除去ユニットおよび清掃機能付きカメラに係り、さらに詳しくは、カメラ内部の光学部品表面に付着している塵埃などの汚れを除去することができるカメラ内清掃システム、カメラ用塵埃除去ユニットおよび清掃機能付きカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばデジタルカメラにおいては、撮像素子の受光面、撮像素子保護用カバーガラスの表面、光学ローパスフィルタの表面など、撮像面から近距離にある光学部品の表面に付着した塵埃は、その付着部分が黒い点となって撮像画像に写り込み、画像品質を低下させ問題となる。
【0003】
特に、いわゆる一眼レフデジタルカメラにおいては、レンズ交換時に外部からの塵埃がカメラ内部の光学部品に付着したり、レリーズ動作時のクイックリターンミラーの駆動により発生した塵埃が付着する場合があり、撮影上の大きな問題となることがある。
【0004】
このような塵埃の問題を解消するために、特許文献1では、カメラの内部にワイパー部材を具備させ、ローパスフィルタなどの光学部品の表面をワイパー部材で拭くように構成したカメラが提案されている。また、特許文献2では、特定のフィルタを振動子で加振することにより、塵埃を除去する構造が提案されている。
【0005】
しかしながら、上記どちらの構成にしても、その光学部品の表面に強く付着している塵埃などの汚れを取り除くことは困難である。
【特許文献1】特開2001−298640号公報
【特許文献2】特開2002−204379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、カメラ内部の光学部品表面に強く付着している塵埃などの汚れでも除去することができるカメラ内清掃システム、カメラ用塵埃除去ユニットおよび清掃機能付きカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るカメラ内清掃システムは、
光学部品が内蔵されたカメラ本体と、
前記カメラ本体のレンズ装着部に取り外し自在に取り付けられる塵埃除去ユニットとを有し、
前記カメラ本体には、前記光学部品の表面を振動させる振動子が設けられ、
前記塵埃除去ユニットには、当該塵埃除去ユニットが前記カメラ本体のレンズ装着部に取り付けられた状態で、前記光学部品の表面に接触し、前記振動子により振動させられている前記表面の拭き取り動作を行う拭き取り部材が設けられる。
【0008】
本発明に係るカメラ内清掃システムは、好ましくは、
前記塵埃除去ユニットが前記カメラ本体のレンズ装着部に取り付けられたことを検出する検出手段と、
前記検出手段で前記塵埃除去ユニットの取付を検出した場合に、前記光学部品の表面の前方に位置するシャッタ部材を開くための開信号を出力すると共に、前記拭き取り部材を前記光学部品の表面に向けて前進させるための信号を出力する制御手段とをさらに有する。
【0009】
本発明に係るカメラ用塵埃除去ユニットは、
光学部品が内蔵されたカメラ本体のレンズ装着部に取り付け可能なマウント部と、
前記マウント部が前記レンズ装着部に取り付けられた状態で、前記カメラ本体の内部に移動して前記光学部品の表面に接触し、前記表面の拭き取り動作を行う拭き取り部材と、
前記拭き取り部材に連動して配置され、前記拭き取り部材が前記光学部品の表面の拭き取り動作を行う際に、前記拭き取り部材および/または前記光学部品の表面を振動させる振動子と、を有する。
【0010】
本発明に係る清掃機能付きカメラは、
撮像光学系と撮像面との間に設けられる光学部品と、
前記光学部品の表面を振動させる振動子と、
前記振動子により振動させられている前記表面の拭き取り動作を行う拭き取り部材と、を有する。
【0011】
好ましくは、前記拭き取り部材は、通常動作時には、撮像用光の通路を妨げない位置に移動し、清掃モード時には、前記光学部品の表面に移動するように制御される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るカメラ内清掃システムの概略構成図、
図2は図1に示す塵埃除去ユニットの概略断面図、
図3は図2に示すIII−III線に沿う折り畳み状態の拭き取り部材の矢視図、
図4は図1に示す光学ローパスフィルタと振動子との配置を示す正面図、
図5(A)〜図5(C)は拭き取り部材の変形例を示す側面図、
図6は図2に示す塵埃除去ユニットをカメラ本体に取り付けた直後の概略図、
図7は本発明の他の実施形態に係る塵埃除去ユニットをカメラ本体に取り付けた状態を示す概略図、
図8は本発明の実施形態に係る清掃機能付きカメラの概略断面図、
図9は図8に示す拭き取り部材の要部斜視図である。
第1実施形態
【0013】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るカメラ内清掃システム2は、カメラ本体(以下、カメラボディという)4と塵埃除去ユニット6とを有する。塵埃除去ユニット6は、カメラボディ4のレンズ装着部(以下、レンズマウントという)28に対して着脱自在に係合するマウント部(以下、ボディマウントという)38を有する。塵埃除去ユニット6がカメラボディ4に装着された状態で、ユニット6のケーシング35に形成してある開口部37と、カメラボディ4のケーシング5に形成してある開口部7とはシールされて連通される。
【0014】
カメラボディ4のケーシング5内部には、接眼レンズ8、ペンタプリズム10、ファインダスクリーン12などのファインダ用光学部品と、撮像ユニット20を構成する撮像素子22の前面に配置してある光学ローパスフィルタ24などで構成される撮像用光学部品とが具備してある。撮像ユニット20の背面には、回路基板26が配置してある。回路基板26には、撮像ユニット20の撮像素子22にて受光した画像信号を処理する回路などが組み込まれている。
【0015】
図6に示すように、光学ローパスフィルタ24の前面には、シャッタ部材16が装着してある。図6はシャッタ部材16が閉じた状態を示し、図1では、シャッタ部材16が開いている。シャッタ部材16の前面には、クイックリターンミラー14が配置してある。クイックリターンミラー14は、カメラボディ4のファインダから被写体観察モードと、撮像素子22へ被写体光を導く撮影モードとを瞬時に切り替えるための光学部品である。
【0016】
図1および図4に示すように、本実施形態では、カメラボディ4の内部において、光学ローパスフィルタ24の背面または前面で、撮影光の通過を邪魔しない位置に、振動子40が配置してある。振動子40は、たとえば圧電素子などで構成され、単数でも複数でも良いが、好ましくは対称位置に複数で配置させることが良い。振動子40の駆動により、光学ローパスフィルタ24の表面が波打つように面振動するようになっている。
【0017】
図2に示すように、カメラボディ4から取り外された状態では、塵埃除去ユニット6の内部には、拭き取り部材30が折り畳まれた状態で収容してある。折り畳まれた状態の拭き取り部材30は、ユニット6のケーシング35の開口部37から外部に飛び出ないようになっている。
【0018】
拭き取り部材30の先端には、ワイパーヘッド31が装着してある。ワイパーヘッド31の長手方向長さ(図1において紙面に垂直方向)は、図4に示す光学ローパスフィルタ24の幅と同程度以上であることが好ましい。ワイパーヘッド31は、たとえばゴム材、発泡樹脂などで構成してあり、例えば、揮発性の洗浄液が塗布してあっても良い。
【0019】
拭き取り部材30の後端は、回動軸33を介してワイパーガイド32に連結してある。拭き取り部材30は、回動軸33を中心として回動し、図2および図6に示す折り畳み状態と、図1に示す清掃状態との間で回動可能になっている。なお、折り畳み状態では、拭き取り部材30は、ガイド32に対して略平行になり、清掃状態では、ガイド32に対して略垂直方向に起立する。
【0020】
図1に示す清掃状態では、ガイド32に対して回動軸33は、ガイド32の平面に沿って矢印A方向に往復移動可能になっている。ガイド32の背面には、駆動ロッド34の先端が連結してある。駆動ロッド34の基端は、駆動源36に連結してある。
【0021】
駆動源36は、たとえばモータなどで構成され、駆動ロッド34を、その長手方向Bに沿って進退移動可能にしてある。図2および図6は、駆動源36に対して駆動ロッド36が最大限に引き込まれた状態を示し、図1は駆動源36に対して駆動ロッド36が最大限に前進した状態を示す。なお、駆動源36による駆動力は、駆動ロッドを介してガイド32まで伝達され、ガイド32の内部に装着してある回動軸33を回動させたり、矢印A方向にスライド移動させたりするように成っている。
【0022】
カメラボディ4またはユニット6には、ユニット6における拭き取り部材30の動きを制御する制御回路50が内蔵してある。カメラボディ4に内蔵する場合には、制御回路50は、たとえば回路基板26の内部に組み込まれる。以下の説明では、制御回路50が回路基板26に組み込まれているとして説明する。
【0023】
制御回路50はカメラボディ4のレンズマウント28に接続してあり、ユニット6におけるボディマウント38がカメラボディ4のレンズマウント28に対して正規位置に装着された場合に、その取付信号を、制御回路50に送信するようになっている。制御回路50は、カメラボディ4内部のシャッタ部材16、クイックリターンミラー14に接続してあると共に、ボディマウント38およびレンズマウント28の接続部を介して駆動源36に接続される。
【0024】
図2に示すように、ユニット6がカメラボディ4に取り付けられる前の状態では、駆動ロッド34は駆動源36に対して最大限に引き込まれた状態であり、しかも、拭き取り部材30は、折り畳まれた状態である。その状態では、ユニット6のケーシング35に形成してある開口部37のボディマウント38には、カバーが取り付けられ、内部の防塵性を保持するようにしてあっても良い。
【0025】
ユニット6をカメラボディ4に取り付ける前には、拭き取り部材30のワイパーヘッド31には、たとえば洗浄液を塗布する。その後、図6に示すように、ユニット6をカメラボディ4に取り付けると、図1に示す制御回路50が、ボディマウント38とレンズマウント28との接続を検出する。
【0026】
その検出信号に基づき、制御回路50は、シャッタ部材16とクイックリターンミラー28に駆動信号を送り、図1に示すように、シャッタ部材16を開かせると共に、クイックリターンミラー14を回動駆動させ、ユニット6からの拭き取り部材30の侵入を許可する。次に、制御回路50は、駆動源36に制御信号を送り、駆動源36から駆動ロッド34を前進移動させ、それと同時に、あるいは、その後に、回動軸33を回動駆動し、拭き取り部材30をガイド32に対して直立状態にする。
【0027】
駆動ロッド34の前進移動は、拭き取り部材30のワイパーヘッド31が光学ローパスフィルタ24の表面に接触する位置で停止するように制御される。ワイパーヘッド31が、光学ローパスフィルタ24の表面に接触すると同時、またはその前後のタイミングで、制御回路50は、振動子40に対して制御信号を送り、光学ローパスフィルタ24の表面を振動させる。
【0028】
光学ローパスフィルタ24の表面が振動している状態で、制御回路50は、駆動源36に制御信号を送り、拭き取り部材30をガイド32に沿って矢印A方向に移動させる。その結果、ヘッド31は、振動しているフィルタ24の全表面を接触しながら移動し、ワイパー動作方式で、フィルタ24の表面の振動拭き取り清掃を行う。
【0029】
ガイド32に沿う拭き取り部材30の移動は、1回に限らず、複数回の移動でも良い。フィルタ24の表面の清掃が終了した後には、制御回路50は、駆動源36、振動子40、シャッタ部材16およびクイックリターンミラー14に制御信号を送り、前述した動作と逆の動作を行わせて、図6に示す状態に戻す。
【0030】
本実施形態に係るカメラ内清掃システム2では、光学ローパスフィルタ24の表面が振動子40により振動させられている状態で、拭き取り部材30のワイパーヘッド31がフィルタ24の表面に接触し、表面の拭き取り動作を行う。そのため、清掃が必要とされるフィルタ24の表面には、振動子40から発生する振動による加速度とワイパーヘッド31による拭き取り動作との重畳作用が生じ、強く付着している塵埃などの汚れであっても、容易に除去される。
【0031】
また本実施形態に係るカメラ内清掃システム2では、カメラボディ4の内部には、振動子40のみを設ければ良く、拭き取り部材30は、レンズマウント28に着脱自在に装着される塵埃除去ユニット内に設けられる。そのため、カメラボディ4のコンパクト化および軽量化を図ることができる。清掃が必要な場合には、交換レンズの代わりに、塵埃除去ユニット6をカメラボディ4に取り付ければよく、その作業も容易である。
【0032】
また、本実施形態では、カメラボディ4に塵埃除去ユニット6の取付を自動的に検出することが可能になる。しかも、その場合に、光学ローパスフィルタ24の表面の前方に位置するシャッタ部材16を自動的に開き、拭き取り部材30のワイパーヘッド31をフィルタ24の表面に向けて自動的に前進させることができる。したがって、手動で行う動作が少なくなり、誰にでも容易にカメラ内の光学部品の清掃作業を行うことが可能になる。
第2実施形態
【0033】
図5(A)〜図5(C)に示すように、拭き取り部材30の先端に具備される清掃具としては、種々の形態が考えられる。たとえば図5(B)に示すように、拭き取り部材の先端に、ローラ31aを具備させても良い。ローラ31aは、たとえば粘着性を有するゴム材あるいは発泡プラスチックなどで構成してあり、回転することにより、その外周面に塵埃などの汚れを付着させることができる。
【0034】
また、図5(C)に示すように、拭き取り部材30bの先端には、清掃ブラシ31bを具備させても良い。清掃ブラシ31bを、振動している光学ローパスフィルタ24の表面に接触させて移動させることで、効果的に塵埃などの汚れを除去することが可能になる。本実施形態におけるその他の構成および作用効果は、前記第1実施形態の場合と同様である。
第3実施形態
【0035】
図7に示すように、本実施形態に係るカメラ内清掃システム2aでは、カメラボディ4aには特徴が無く、塵埃除去ユニット6aに特徴を有する。本実施形態に係る塵埃除去ユニット6aは、第1実施形態に係る塵埃除去ユニット6と異なり、拭き取り部材30aの先端にはローラ31aが具備してあり、しかも、ローラ31aの近くには、振動子40aが装備してある。
【0036】
本実施形態に係る塵埃除去ユニット6aでは、ローラ31aが光学ローパスフィルタ24の表面に接触している状態で、振動子40aがローラ31aを通して、フィルタ24の表面を振動させ、その状態で、ローラ31aがフィルタ24の表面の粘着拭き取り動作を行う。そのため、清掃が必要とされるフィルタ24の表面には、振動子40aから発生する振動による加速度とローラ31aによる粘着拭き取り動作との重畳作用が生じ、強く付着している塵埃などの汚れであっても、容易に除去される。
【0037】
しかも本実施形態に係るカメラ用塵埃除去ユニット6aでは、カメラボディ4aの内部には拭き取り部材30aや振動子40aを常時具備させる必要はなく、その塵埃除去ユニット6aをカメラボディに対して装着した場合にのみ、カメラボディ4a内部の光学部品表面の塵埃除去を行うことができる。したがって、カメラボディ4aとしては、清掃のために何ら部品を追加する必要はなく、カメラボディ4aのコンパクト化および軽量化に寄与する。本実施形態におけるその他の構成および作用効果は、前記第1実施形態の場合と同様である。
第4実施形態
【0038】
図8および図9に示すように、本実施形態に係る清掃機能付きカメラ4bでは、光学ローパスフィルタ24の背面に振動子40が装着してある点では、図1に示すカメラボディ4と同じであるが、拭き取りユニット60を具備させた点が、図1に示すカメラボディ4と異なる。
【0039】
拭き取りユニット60は、フィルタ24の前方であって、シャッタ部材16の後側に配置され、平板ロッド形状の拭き取り部材30cを有する。平板ロッド形状の拭き取り部材30cの側端部には、その長手方向に沿ってワイパーヘッド31cが具備してある。ワイパーヘッド31cは、図1に示すワイパーヘッド31と同様な構成である。
【0040】
図9に示すように、拭き取り部材30cの両端部は、一対の駆動ベルト62の所定位置に固定してあり、ベルト62が駆動ローラ64と従動ローラ65との間でベルト送りされる時に、ベルト62に沿って拭き取り部材30cが移動するようになっている。駆動ローラ64は、モータ66により回転駆動制御される。駆動ローラ64が回転すると、一対のベルト32も同期して移動し、拭き取り部材30cを矢印C方向にベルト送りさせる。
【0041】
その結果、ワイパーヘッド31cは、図8に示すように、振動子40により振動させられている光学ローパスフィルタ24の表面を接触しながら移動し、フィルタ24の全面を拭き取る。一回目の全面拭き取りが終了した後には、図9に示すモータ66を逆回転させることで、ワイパーヘッド31cを矢印Cと反対方向に移動させ、2回目の拭き取り動作を行わせることもできる。
【0042】
あるいは、一回目の全面拭き取りが終了した後には、図9に示すモータ66を同じ方向に回転させ続けることで、ワイパーヘッド31cがベルト62に沿ってループ状に移動し、図9に示す位置に戻り、2回目以降の拭き取り動作を行わせることもできる。
【0043】
本実施形態に係る清掃機能付きカメラ4bでは、光学ローパスフィルタ24の表面が振動子40により振動させられている状態で、拭き取り部材30cのワイパーヘッド31cがフィルタ24の表面に接触し、表面の拭き取り動作を行う。そのため、清掃が必要とされるフィルタ24の表面には、振動子40から発生する振動による加速度とワイパーヘッド31cによる拭き取り動作との重畳作用が生じ、強く付着している塵埃などの汚れであっても、容易に除去される。
【0044】
また、この実施形態に係る清掃機能付きカメラ4bでは、カメラボディの内部に、振動子40および拭き取り部材30cを具備させるために、それらを具備しないものに比較して重量が増大するが、塵埃除去ユニット6,6aを取り付けることなく、カメラ内部の清掃が可能である。
【0045】
拭き取り部材30cおよびワイパーヘッド31cは、通常動作時には、撮像用光の通路を妨げない位置に移動させておく。撮像用光の通路を妨げない位置としては、たとえば図8において、点線で示されたワイパーヘッド31cの位置である。光学ローパスフィルタ24の前方には、拭き取りユニット60を構成する全ての部材が撮像用光の通路を妨げないようになっている。このような構造にすることで、撮像性能を落とすことなく、カメラボディの内部における光学部品表面の清掃が容易になる。本実施形態におけるその他の構成および作用効果は、前記第1実施形態の場合と同様である。
【0046】
なお、上記各実施形態において、清掃の対象となる光学部品としては、ローパスフィルタ以外に、その他のフィルタ、透明板などであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係るカメラ内清掃システムの概略構成図である。
【図2】図2は図1に示す塵埃除去ユニットの概略断面図である。
【図3】図3は図2に示すIII−III線に沿う折り畳み状態の拭き取り部材の矢視図である。
【図4】図4は図1に示す光学ローパスフィルタと振動子との配置を示す正面図である。
【図5】図5(A)〜図5(C)は拭き取り部材の変形例を示す側面図である。
【図6】図6は図2に示す塵埃除去ユニットをカメラ本体(カメラボディ)に取り付けた直後の概略図である。
【図7】図7は本発明の他の実施形態に係る塵埃除去ユニットをカメラ本体(カメラボディ)に取り付けた状態を示す概略図である。
【図8】図8は本発明の実施形態に係る清掃機能付きカメラの概略断面図である。
【図9】図9は図8に示す拭き取り部材の要部斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
2,2a… カメラ内清掃システム
4,4a… カメラ本体(カメラボディ)
4c… 清掃機能付きカメラ
6,6a… 塵埃除去ユニット
14… クイックリターンミラー
16… シャッタ部材
20… 撮像ユニット
22… 撮像素子
24… 光学ローパスフィルタ
28… レンズ装着部(レンズマウント)
30,30a,30b,30c… 拭き取り部材
31,31c… ワイパーヘッド
31a… ローラ
31c… ブラシ
38… マウント部(ボディマウント)
40… 振動子
50… 制御回路
60… 拭き取りユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部品が内蔵されたカメラ本体と、
前記カメラ本体のレンズ装着部に取り外し自在に取り付けられる塵埃除去ユニットとを有し、
前記カメラ本体には、前記光学部品の表面を振動させる振動子が設けられ、
前記塵埃除去ユニットには、当該塵埃除去ユニットが前記カメラ本体のレンズ装着部に取り付けられた状態で、前記光学部品の表面に接触し、前記振動子により振動させられている前記表面の拭き取り動作を行う拭き取り部材が設けられたカメラ内清掃システム。
【請求項2】
前記塵埃除去ユニットが前記カメラ本体のレンズ装着部に取り付けられたことを検出する検出手段と、
前記検出手段で前記塵埃除去ユニットの取付を検出した場合に、前記光学部品の表面の前方に位置するシャッタ部材を開くための開信号を出力すると共に、前記拭き取り部材を前記光学部品の表面に向けて前進させるための信号を出力する制御手段とをさらに有する請求項1に記載のカメラ内清掃システム。
【請求項3】
光学部品が内蔵されたカメラ本体のレンズ装着部に取り付け可能なマウント部と、
前記マウント部が前記レンズ装着部に取り付けられた状態で、前記カメラ本体の内部に移動して前記光学部品の表面に接触し、前記表面の拭き取り動作を行う拭き取り部材と、
前記拭き取り部材に連動して配置され、前記拭き取り部材が前記光学部品の表面の拭き取り動作を行う際に、前記拭き取り部材および/または前記光学部品の表面を振動させる振動子と、
を有するカメラ用塵埃除去ユニット。
【請求項4】
撮像光学系と撮像面との間に設けられる光学部品と、
前記光学部品の表面を振動させる振動子と、
前記振動子により振動させられている前記表面の拭き取り動作を行う拭き取り部材と、
を有する清掃機能付きカメラ。
【請求項5】
前記拭き取り部材は、通常動作時には、撮像用光の通路を妨げない位置に移動し、清掃モード時には、前記光学部品の表面に移動するように制御される請求項4に記載の清掃機能付きカメラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−98926(P2008−98926A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277881(P2006−277881)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】