説明

カメラ

【構成】本考案のカメラ1は、背面側が裏蓋4で覆われたカメラ本体2を有する。裏蓋4は、その基端部41が、カメラ本体2のグリップ部3側の側部において、カメラ本体2に対し回動可能に取り付けられている。裏蓋4の基端部41の上部および下部が、それぞれ、フィルム面18より前方の位置で、軸部材5、6により軸支されている。裏蓋4の基端部41の両軸部材5、6の間には、切欠き42が形成されており、カメラ本体2の、裏蓋4を閉じた状態における切欠き42内の位置に、操作部材71よりなる入出力部7が形成されている。
【効果】カメラ本体上でのスペースの有効利用れ、裏蓋の成形性、寸法精度が向上する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、例えば一眼レフカメラ、コンパクトカメラのようなカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
一眼レフカメラ、コンパクトカメラのようなカメラでは、フィルムを出し入れするために、カメラ本体の背面側(後方)に、開閉可能な裏蓋が設置されている。従来、この裏蓋は、カメラ本体に対し、裏蓋の基端部の上部および下部がそれぞれヒンジ構造によりカメラ本体の一方の側部に回動可能に取り付けられていた。
しかしながら、このような取り付け構造では、裏蓋の基端部の上側ヒンジと下側ヒンジとの間にデッドスペースが生じ、無駄であった。
【0003】
また、裏蓋の基端部の上部および下部は、ヒンジの軸部材を挿入し、かつ所定の強度を得るために、その肉厚が厚くなっているが、裏蓋の基端部の上部から下部に至るまで等しい肉厚で成型すると、軸部材の有無の相違から、裏蓋の基端部の上下方向中央部、すなわちヒンジの軸部材が挿入されていない部分に、成形時にヒケ(樹脂の収縮等による変形)が生じるという欠点があった。
【0004】
このヒケを防止するためには、裏蓋の基端部の上下方向中央部に対し、肉抜きをしなければならず、裏蓋を製造するための金型が複雑となり、製造コストの上昇を招いていた。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
本考案の目的は、カメラ本体上でのスペースの有効利用を図り、また、成形性を向上することができるカメラを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(5)の本考案により達成される。
【0007】
(1) 背面側が裏蓋で覆われたカメラ本体を有するカメラであって、 前記裏蓋は、その基端部の上部および下部が、前記カメラ本体の側部のフィルム面より前方の位置において、それぞれ軸部材により前記カメラ本体に対し回動可能に取り付けられており、 前記裏蓋の基端部の前記両軸部材の間に切欠きが形成されており、前記裏蓋を閉じた状態における前記カメラ本体の前記切欠き内の位置に、入出力部が形成されていることを特徴とするカメラ。
【0008】
(2) 前記裏蓋の基端部が前記カメラ本体のグリップ部側の側部に回動可能に取り付けられている上記(1)に記載のカメラ。
【0009】
(3) 前記入出力部は、操作部材で構成されている上記(1)または(2)
に記載のカメラ。
【0010】
(4) 前記入出力部は、入力端子または出力端子で構成されている上記(1)または(2)に記載のカメラ。
【0011】
(5) 前記入出力部は、センサーで構成されている上記(1)または(2)
に記載のカメラ。
【0012】
【実施例】
以下、本考案のカメラを添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本考案のカメラの構成例を示す平面図、図2は、図1に示すカメラの左側面図である。これらの図に示すように、本考案のカメラ1は、カメラ本体2を有し、その一方の側部には、カメラを手で把持するためのグリップ部3が形成されている。カメラ本体2の上部の中央付近には、ストロボ格納部10と、液晶表示部11とが形成され、グリップ部3の上部には、レリーズボタン12、ダイヤル13、14およびスライドスイッチ15が設置され、グリップ部3と反対側のカメラ本体2の上部には、ダイヤル16が設置されている。
【0014】
また、カメラ本体2の正面側(図2中右側)には、図示しないレンズが装着され、カメラ本体2の背面側(図2中左側)には、ファインダー17が設置されている。また、カメラ本体2の背面側のファインダー17より下方は、開閉可能な裏蓋4により覆われている。
【0015】
この裏蓋4は、その基端部41が、カメラ本体2のグリップ部3側の側部において、カメラ本体2に対し回動可能に取り付けられている。この場合、裏蓋4の基端部41の図2中上部および下部が、それぞれ、独立した軸部材(ピン)5、6により、軸支された構造となっている(図5参照)。
【0016】
そして、両軸部材5、6の設置位置(裏蓋4の回動中心)は、フィルム面18より前方(図2中左側)となっている。この設置位置がフィルム面18より後方であると、後述する切欠き42の形成によるフィルム装填室の遮光が困難となるかまたはその遮光構造が複雑となるからである。また、両軸部材5、6の設置位置がフィルム面18より前方であると、グリップ部3のホールディング性の向上やカメラ本体2の小型化が図れる。
【0017】
裏蓋4の基端部41の両軸部材5、6の間には、カメラ本体2の正面側(前方)に解放する切欠き42が形成されている。図示の例では、1つの矩形の切欠き42が形成されているが、切欠きの形状や数はこれに限定されず、例えば、切欠きの形状は、半円形、半楕円形、三角形等であってもよい。また、切欠き42は、後述する操作部材71、端子72、センサー73等の輪郭に添った形状であってもよい。さらに、切欠き42は、その周囲が閉じた矩形、円形、楕円形、三角形等の開口であってもよい。
【0018】
また、図示されていないが、裏蓋4の先端部には、カメラ本体2のグリップ部3と反対側の側部に形成されたロック機構に係止するロック爪が形成されている。裏蓋4を閉じると、このロック爪がカメラ本体2側のロック機構に係止し、ロックの解除操作を行わない限り、裏蓋4が開かないように構成されている。
【0019】
図2に示すように、裏蓋4を閉じた状態において、カメラ本体2の切欠き42内の位置には、所定の信号等をカメラ本体2へ入力しまたは出力する入出力部7が形成されている。この切欠き42内の位置は、本来デッドスペースであったため、ここに入出力部7を設けることにより、カメラ本体2におけるスペースの利用効率が向上する。
【0020】
また、前述したように、従来ヒケが生じ易かった部分が切欠き42により除去されるため、肉抜き等を行うことなく、裏蓋の成形時のヒケが防止され、成形性や寸法精度が向上する。その結果、裏蓋の製造が容易となり、低コストで製造することができる。
【0021】
なお、本考案において、「入出力部」とは、カメラ本体2の内部装置(例えば、回路、演算装置、メモリー、表示部等)に対し、所定の信号(情報)を入力し、またはカメラ本体2の内部装置から所定の信号を出力する機構を有するものを言い、図2に示す実施例では、例えばスイッチ機構を作動させるための1対の操作ボタンよりなる操作部材71で構成されている。なお、操作部材71の形態は、図示の操作ボタンに限らず、例えば、操作レバー、スライドスイッチあるいはダイヤル状のものなど、いかなるものでもよい。
【0022】
操作部材71により作動させるスイッチ機構の機能は、特に限定されず、例えば、撮影モードの設定(選択)、ファンクションの設定、露出補正、シャッター速度、絞り値等の設定、測距範囲の選択、液晶表示部のオン/オフ、ライトのオン/オフ等が挙げられる。図2に示す実施例では、上記各種条件の設定のためのアップ/ダウンスイッチに適用した場合を示す。
【0023】
図3には、入出力部の構成が異なる本考案のカメラの実施例が示されている。
同図に示す実施例における入出力部7は、入力または出力用の端子72で構成されている。この場合、入力端子としては、例えば、外部レリーズ端子、外部ストロボ端子、バッテリーパック電源端子等が挙げられ、出力端子としては、例えば、X接点、パソコンに接続する端子が挙げられる。
【0024】
また、図4には、入出力部の構成がさらに異なる本考案のカメラの実施例が示されている。同図に示す実施例における入出力部7は、センサー73で構成されている。このセンサー73としては、機械的または電気的なタッチセンサー、光センサー、磁気センサー、感熱センサー等、いかなるものでもよい。このようなセンサー73の設置により、例えば、グリップ部3を手で把持している状態か否かを検出することができる。そして、グリップ部3を手で把持したと判断されたら、例えば、カメラ本体2の主電源をオンするような制御を行うこともできる。
また、図示しないが、上記以外の入出力部7の構成としては、例えば発光素子や液晶表示手段などの表示部であってもよい。
【0025】
以上のような入出力部7、特に操作部材71や端子72による入出力部7は、カメラ本体2の側面より突出していないかまたは突出していたとしてもその突出長さが比較的短いもの(例えば、1mm程度)であるのが好ましい。これにより、グリップ部3を手で握ったときに、入出力部7が手のひらに当接して邪魔になるのが抑制されるからである。
【0026】
なお、上記各実施例では、裏蓋4の基端部41がカメラ本体2のグリップ部3側の側部に回動可能に取り付けられている構成であるが、これとは逆に、カメラ本体2の他方の側部(図1中上側)に裏蓋4の基端部41が回動可能に取り付けられている構成であってもよい。
【0027】
【考案の効果】
以上述べたように、本考案のカメラによれば、裏蓋基端部の切欠き内の位置に入出力部が形成されているため、カメラ本体上でのスペースの有効利用が図れ、カメラ本体上部の構成を簡素化することができる。また、切欠きを形成することにより、裏蓋の成形時のヒケが防止され、成形性や寸法精度に優れる裏蓋を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のカメラの構成例を示す平面図である。
【図2】図1に示すカメラの左側面図である。
【図3】本考案のカメラの他の構成例を示す側面図である。
【図4】本考案のカメラの他の構成例を示す側面図である。
【図5】本考案における裏蓋の基端部付近の構成例を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
1 カメラ
2 カメラ本体
3 グリップ部
4 裏蓋
41 基端部
42 切欠き
5、6 軸部材
7 入出力部
71 操作部材
72 端子
73 表示部
10 ストロボ格納部
11 液晶表示部
12 レリーズボタン
13、14 ダイヤル
15 スライドスイッチ
16 ダイヤル
17 ファインダー
18 フィルム面

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 背面側が裏蓋で覆われたカメラ本体を有するカメラであって、前記裏蓋は、その基端部の上部および下部が、前記カメラ本体の側部のフィルム面より前方の位置において、それぞれ軸部材により前記カメラ本体に対し回動可能に取り付けられており、前記裏蓋の基端部の前記両軸部材の間に切欠きが形成されており、前記裏蓋を閉じた状態における前記カメラ本体の前記切欠き内の位置に、入出力部が形成されていることを特徴とするカメラ。
【請求項2】 前記裏蓋の基端部が前記カメラ本体のグリップ部側の側部に回動可能に取り付けられている請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】 前記入出力部は、操作部材で構成されている請求項1または2に記載のカメラ。
【請求項4】 前記入出力部は、入力端子または出力端子で構成されている請求項1または2に記載のカメラ。
【請求項5】 前記入出力部は、センサーで構成されている請求項1または2に記載のカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】実開平7−36146
【公開日】平成7年(1995)7月4日
【考案の名称】カメラ
【国際特許分類】
【出願番号】実願平5−72349
【出願日】平成5年(1993)12月15日
【出願人】(000000527)旭光学工業株式会社 (1,878)