説明

カラ−画像の形成方法

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明はカラー画像形成方法、特に高輝度の露光用黒白陰極管(CRT)に映された3色分解映像を面順次でカラー感光材料に露光するこによるカラー画像の形成方法に関する。
〔従来の技術〕
最近、電子カメラ(スチル)で磁気デイスク等の磁気記録媒体に録画したり、普通のカメラでカラー写真フイルムに撮影し、現像後これを磁気デイスク等に記録し、CRTに再生して鑑賞することが行われている。また、これに伴い、磁気デイスクに記録されたカラー画像をカラー感光材料にプリントしカラープリントして顧客に渡すサービスも検討されている。
このようなカラープリント、すなわちカラー画像の形成方法の1つとして第1図に示すような方式が行われている。
図示するように、青(B)、緑(G)、及び赤(R)に輝度を有する高輝度の黒白用CRT1に、三色分解されたB、G、Rの画像信号を順次で発光させ(面順次露光)、各映像をレンズ系2によつて、B、G、Rを夫々通すフイルター(B信号に基づく映像の時はBフイルター、G信号に基づく映像の時はGフイルター、R信号に基づく映像の時はRフイルター)を通してカラー感光材料4に露光し、これを現像処理してカラープリントを得る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら上記のプリント方式においては特にB露光に際してカラー感光材料のB感光層のみならずG感光層及び/又はR感光層も感光することに基づく混色が避けられず、特にB領域の彩度が低下するという問題が生じる。本発明はB露光を行なう際に生じるG感光層及び/又はR感光層の感光を防止し、これらの感光に起因する混色の発生を防止あるいは低減せんとするものである。
〔問題点を解決する手段〕
すなわち、本発明は、B(青)、G(緑)、R(赤)に輝度を有する黒白用CRTにB、G、Rの夫々の信号に基づいて面順次で発光させ、B、G、Rの夫々の画像を、それぞれB、G、及びR用のフイルターを通してプリント用ハロゲン化銀カラー感光材料に露光することからなるカラー画像の形成方法において、B画像の露光を、カラー感光材料のハロゲン化銀の固有感度波長のピークをさけた波長域で行うことを特徴とするカラー画像の形成方法である。
〔実施例〕
以下、図面に基いて本発明を更に詳細に説明する。
第1図において、CRT1は例えば第2図及び第3図に示されるようにR、G及びBに発光輝度を有する高輝度(露光用)黒白CRTである。ここに用いられる螢光体としては約600nmより短波長側に輝度分布を有するP45と称される螢光体と、約600nmより長波長側に輝度分布を有するP22と称される螢光体を混合したものが用いられ、第2図はP45及びP22を等量に混合した系を、第3図は、これらの混合比率を1:4とした系をそれぞれ示す。これらの図から明らかな如く、これらの螢光体はBは約360〜480nmの波長域、Gは約540〜555nmの波長域、Rは約620〜640nm(第1ピーク域)と約700〜710nm(第2ピーク域)の波長域にそれぞれ輝度及び輝度ピークを有する分光輝度分布を有している。
CRT1に映像されるB、G、Rの映像信号は、例えばカラー画像が記録された磁気デイスク(フロツピーデイスク)等からB、G、R別に送られてくる三色分解された映像信号であつて、CRT1を面順次で発光させる。
CRT1によつて発光された各々の映像はレンズ2によつて等倍、拡大あるいは縮小されてフイルター3を介してカラー感光材料4に露光される。
ここで第4図及び第5図はそれぞれ本発明に用いられるカラー感光材料(カラーペーパー)の分光感度をそれぞれ示すものである。(Rの分光感度は図面の明確化のために感度を12倍に拡大して表示してある。)すなわちかかるカラー感光材料はB感光層は、前記CRTのB波長域(約360〜480nm)に、G感光層は前記CRTのG波長域(約460〜555nm)に更にR感光層は前記CRTのR波長域の第2のピーク域(約700〜710nm)にそれぞれ感度を有すると共に、B感光層、G感光層及びR感光層はそれぞれ約410nmをピークとするハロゲン化銀の固有感度に基ずく分光感度を有している。
一方、B映像を露光する場合には、B波長域の光のみを透過させるBフイルター、G映像を露光する場合にはG波長域の光のみを透過させるGフイルター、R映像の場合にはR波長域(赤外域を含む)の光のみを透過するRフイルターを用いて露光するのであるが、このためのフイルター3に用いられるBフイルター、Gフイルター及びRフイルターは第6図に示す特性を有している。
従つて、B露光に際して単に第6図に示すBフイルターを用いるのみでは、第2図及び第3図に示す螢光体のB発光ピーク(約410nm)の単波長で露光することとほぼ等価となる。このように約410nmの単波長でB露光を行なうと、第4図の如きカラー感光材料を用いる場合、B層、G層及びR層の感度比はR:G:B=120:22:4(対数値2.08:1.34:0.6)となる。即ち410nmの波長によるB層と層の感度差は(2.08-1.34=)0.64となり、カラー感光材料のガンマ値を2とし、かつ再現濃度レンジを2.0とするとB濃度が(0.64×2=)1.28以上の濃度でG層が発色することとなり混色が生じてしまう。同様に第5図の如きカラー感光材料を用いる場合、B層、G層及びR層の感度比はB:G:R=120:15:6.5(対数値2.08:1.18:0.81)となる。即ち410nmの波長によるB層とG層の感度差は(2.08-1.18=)0.9となり、感光材料のガンマ値及び再現濃度レンジを前述と同様とするとB濃度が(0.9×2=)1.8以上でG層が発色することとなり混色が生じてしまう。
第1図において5は上記の欠点を除去するためにB映像を露光する際に用いられる黄色(Y)フイルターであつて、例えば第6図に示す分光透過率を有しておりハロゲン化銀の固有感度波長のピークをカツトする。Yフイルタ5はB映像の露光の時にのみ用いればよいが、Yフイルターは一般に第6図に示すような透過率を有しているものであるから、G及びR映像の露光の際に存在していても差支えなく、従つて、Yフイルター5は固定フイルターとして設置しておいてもよい。
このように光路中にYフイルターを挿入して例えば第4図R>図に示すカラー感光材料に470nmの波長でB露光を行なうと、B層、G層及びR層の感度比はB:G:R=70:4:0.2(対数値1.85:0.6:−0.7)となり、B層とG層の感度差は(1.85-0.6=)1.25となる。従つて上記と同様な条件のもとでB濃度が2.5以上にならないとG層が発色しないこととなる。従つて上述の如く再現濃度レンジを2.0とすれば、混色は全く発生しないこととなる。同様に第5図の如きカラー感光材料に450nmの波長でB露光を行なうと、B層、G層及びR層の感度比はB:G:R=48:3:1(対数値1.68:0.48:0)となり、B層とG層の感度差は(1.68-0.48)1.2となる。従つて上記と同様な条件のもとでB濃度が2.4以上にならないとG層が発色しないこととなる。従つて上述の如く再現濃度レンジを2.0とすれば、混色は全く発生しないこととなる。
〔発明の効果〕
以上詳細に説明したように本発明によればB画像の露光をカラー感光材料のハロゲン化銀の固有感度波長のピークをさけた波長域で行なうことにより、B露光によつて生じるG感光層及び/又はR感光層の感光を防止し、これらの感光に起因する混色の発生を防止あるいは低減することができる。
更に第4図にJとして示すJ−バンドと称される分光感度ピーク域を有するカラー感光材料にあつては、このJ−バンド域の感度を適当に増感すれば更に効果的に上記した混色の発生を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す概略図、第2図及び第3図3図は本発明に用いられる螢光体の分光感度の一例を示すグラフ。
第4図及び第5図は本発明に用いられるカラー感光材料の分光感度を示すグラフ、第6図は本発明に用いられるB、G、R及びYフイルターの分光透過率を示すグラフである。
1……CRT、2……レンズ,
3……B、G、Rフイルター、4……カラー感光材料、
5……Yフイルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】青(B)、緑(G),及び赤(R)に輝度を有する黒白用CRTに、B,G及びRの夫々の信号に基いて面順次で発光させ、得られたB,G及びRの夫々の画像をそれぞれB,G及びRのフィルターを通して、プリント用ハロゲン化銀カラー感光材料に露光することからなるカラー画像の形成方法において、B画像の露光をカラー感光材料のハロゲン化銀の固有感度波長のピークをさけた波長域で行うことを特徴とするカラー画像の形成方法。
【請求項2】少なくともB画像の露光時にカラー感光材料のハロゲン化銀のBの固有波長のピーク域をカットするフィルターを用いる特許請求の範囲第(1)項に記載のカラー画像の形成方法。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第6図】
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【第4図】
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【第5図】
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