説明

カラビナ

【課題】 簡易な構成で、揺動体を常に本体に確実に嵌合させることができ、良好な使用状態で長く使用できるカラビナを提供する。
【解決手段】 略C字形の本体1と、本体1の一端にピン12によって回動自在に軸支された揺動体2と、本体1の他端に設けた揺動体2のストッパ13とからなるカラビナにおいて、前記揺動体2の軸支側と反対側の自由端に前記ストッパ13が嵌合する開口部22を設けると共に、前記自由端の両側に突起部24を設け、揺動体2が閉じるときに突起部24がストッパ13に当たることによって、揺動体2の回動を規制するカラビナ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成が簡易で確実な開閉作動が行えるカラビナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラビナは、従来より登山用品や荷役作業においてロープを掛ける道具として使用されていた。
【0003】
従来のカラビナは、特許文献に示すように、登山用や洞窟探検用に使用されるもので、破断強度に優れ、大きな引張りに耐えることができるように製作されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−47150号公報
【0005】
最近では、カラビナは上述のような使用態様のほかに、日用品として使用されている。例えば、キーホルダー代わりに使用したりリュックサックに小物類を吊り下げるのに利用されている。カラビナをこのような用途で使用する際には、強度はそれほど要求されないため、デザインを重視した軽量な材質で作っていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近では上記のような用途でカラビナを製作する際にデザインを重視した軽量な材質で作っていたが、その構成は従来と同一であるため、次のような問題点が生じていた。
【0007】
図6、図7に示す従来例は、C字形の本体80の一端に設けたピン固定部81に、ピン83で揺動体90が回動自在に軸支されている。
揺動体90の閉塞時には、揺動体90は内部のスプリングの弾発力により、図6のA位置から矢印方向に回動し、先端の開口部93が本体80のストッパ82に嵌合して回動が止まり、図6のB位置になる。
【0008】
しかし、長期間の使用などによってピン83が緩み、揺動体80が変形したり傾いたりしてきた。そのため図7に示すように、揺動体90の閉塞時に、開口部93がストッパ82に嵌合せずに外れて、本体80から外側に飛び出して図6のC位置になることがあった。
このため揺動体90が壊れてしまうこともあり、また内部のスプリングの弾発力に抗して揺動体90を元の位置に戻すことは困難であった。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、揺動体の開口部が常にストッパと嵌合して、良好な使用状態が長く保たれるカラビナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の要旨とするところは、略C字形の本体と、前記本体の一端にピンによって回動自在に軸支された揺動体と、前記本体の他端に設けた揺動体のストッパとからなるカラビナにおいて、前記揺動体の軸支側と反対側の自由端に前記ストッパと嵌合する開口部を設けると共に、前記自由端の両側に突起部を設け、揺動体の閉塞時に、前記開口部がストッパと嵌合しない場合に、突起部がストッパに当接することによって揺動体の回動を規制するカラビナである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、カラビナの使用状態によって軸が緩んだりして揺動体が傾いた場合でも、揺動体の閉塞時に突起部がストッパに当接することでストッパから外れることが防止されるため、開口部は常にストッパと嵌合して良好な使用状態が長く保たれるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のカラビナ全体の斜視図
【図2】本発明の揺動体の斜視図
【図3】本発明の揺動体の平面図
【図4】本発明の揺動体の作動状態を示す正面図
【図5】図4のA−A矢視端面図
【図6】従来例の作動説明図
【図7】従来例の作動説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態は、カラビナを略C字形の本体と揺動体によって構成し、前記本体の一端にピンによって揺動体を軸支し、他端には揺動体のストッパを構成し、前記揺動体のピン側と反対側の自由端に前記ストッパが嵌合する開口部を設けると共に自由端の上部両側に突起部を設けたカラビナである。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の一実施例を図に基づいて説明する。
図1はカラビナ全体の斜視図、図2は揺動体の斜視図、図3は揺動体の平面図、図4は揺動体の作動状態を示す正面図及び図5は図4のA−A矢視端面図である。
【0015】
図1に示すように、本発明のカラビナは、円柱状の金属あるいは合成樹脂からなる長径4〜5cm程度の変形した楕円形状であり、略C字形の本体1と、その一端部に取り付けた揺動体2からなる。
【0016】
前記本体1の一端部(図中下側)を平板状にしてピン固定部11を構成する。このピン固定部11に、ピン12によって揺動体2の端部を回動自在に軸支するのである。
一方、本体1の他端部には平板状のストッパ13を構成してある。このストッパ13は、本体1の内側(図中左側)に向かって斜面を形成して係合部13aを構成している。
【0017】
前記揺動体2の下端部に、前記ピン固定部11が嵌合する開口部21を構成すると共に、上端部に上記ストッパ13が嵌合する開口部22を設けている。この開口部22の底面22aは、前記係合部13aと対応して、本体1の外側に向かった斜面が形成されている。
【0018】
さらに、前記揺動体2の上部で開口部22付近の両側をそれぞれ外側に張り出した突起部24,24を構成する。
本実施例では、図3に示すように、揺動体2の直径D2を6mmとし、突起部24,24の両端部の間隔D1を8mmとした。突起部24の長さ、幅、形状等は本実施例に限らず任意に決定できる。
【0019】
次に、本実施例の作用について説明する。
図1の揺動体2の閉塞状態から、揺動体2を本体1の内側に押してカラビナを開き、小物やキーなどを差し込む。その後、揺動体2が回動して開口部22が本体1のストッパ13に嵌合して閉塞する。
揺動体2の内部には、図示しないスプリングが装着されており、このスプリングによって揺動体2は常に閉塞位置方向に付勢されている。
【0020】
長年の使用などの原因でピン12が緩むなどして、図4の仮想線で示すように揺動体2が本体1に対して傾斜していると、揺動体2が回動したときに開口部22がずれて、ストッパ13と嵌合しないことがある。
【0021】
この状態は、図5に示すように、仮想線で示す突起部24が図の上方から矢印方向に回動してストッパ13に当接した状態であり、これによって揺動体2の回動は規制されるから、揺動体2は従来のようにストッパ13を乗り越えて本体1の外側まで回動することはない。
【0022】
このようにして、揺動体2の突起部24がストッパ13と当接して止まったら、手で揺動体2をずらしてストッパ13に嵌合させれば良い。
このようにして、本実施例では揺動体2を常に本体1に嵌合させることができるため、カラビナを良好な状態で長く使用できるのである。
【符号の説明】
【0023】
1 本体
2 揺動体
11 ピン固定部
12 ピン
13 ストッパ
13a 係合部
21 開口部
22 開口部
24 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略C字形の本体と、前記本体の一端にピンによって回動自在に軸支された揺動体と、前記本体の他端に設けた揺動体のストッパとからなるカラビナにおいて、
前記揺動体の軸支側と反対側の自由端に前記ストッパと嵌合する開口部を設けると共に、前記自由端の両側に突起部を設け、揺動体の閉塞時に、前記開口部がストッパと嵌合しない場合に、突起部がストッパに当接することによって揺動体の回動を規制することを特徴とするカラビナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−50689(P2011−50689A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204844(P2009−204844)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(509249209)株式会社ガジェット (2)