説明

カラーチェンジャー及び照明装置

【課題】検出手段及び検出片の破損を回避し得るとともに、カラーフィルターの位置検出の誤動作及びカラーフィルターの移動操作時の音の発生を軽減できるカラーチェンジャー及び照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、光源からの光が通過する照射開口2aを有する本体2と、本体2内に収納され、複数色の単位カラーフィルター7が帯状に連続して構成されるとともに、単位カラーフィルター7が前記照射開口2aを覆うように移動可能に設けられたカラーフィルター5と、カラーフィルター5の裏面側に検出部がカラーフィルターから離間するように設けられる位置検出部を有し、この位置検出部が単位カラーフィルター7の下端部及び光源照射部5aを除く領域に対応して本体2に配設された位置検出手段6と、この位置検出手段6に対向してカラーフィルター5に設けられた検出片8とを備えるカラーチェンジャー1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舞台、スタジオ等に用いられるカラー演出照明に係り、その光色を変えることができるカラーチェンジャー及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的に、ロール式のカラーチェンジャーにおいては、モータの駆動を制御してカラーフィルターの移動を停止制御するため、カラーフィルターの下端部にフォトセンサー等の検出手段を設けている。しかも、この検出手段は、カラーフィルターに設けられた検出片(マーカ)を検出するため、カラーフィルターの下端縁をコ字状の表面側の溝で挟み込むように配設されている(例えば、特許文献1参照)。また、カラーフィルターの移動速度に対応して予め定める時間経過後にカラーフィルターの移動を停止させるため、検出手段及び検出片を設けたものがある(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−144504号公報
【特許文献2】実開平4−46303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に示された方式では、検出手段は、カラーフィルターの下端縁をコ字状の溝で挟み込むように配設されているので、カラーフィルターの移動に伴い、カラーフィルターの下端縁が溝から外れてしまったり、カラーフィルターの検出片と検出手段の溝とが接触し、擦れて破損してしまったりして、検出できなくなる恐れが生じる。また、接触によって擦れる音が発生する場合もある。さらに、コ字状の溝に演出等で用いられる紙ふぶきの紙が挟まったり、埃が付着したりすると、検出の誤認識が生じ、誤動作により所望の光色が発現できない等の不都合が生じる。また、特許文献2に示されたものは、検出手段及び検出片がイメージ的に示されてはいるものの、具体的な構成は示されていない。しかも、少なくとも検出手段及び検出片は、カラーフィルターの下端部に設けられているものであり、紙ふぶきの紙等が検出手段と検出片との間に介入する問題は避けることができない。
【0004】
そこで、本発明は、上記問題点を解消すべくなされたもので、検出手段及び検出片の破損を回避し得るとともに、カラーフィルターの位置検出の誤動作及びカラーフィルターの移動操作時の音の発生を軽減できるカラーチェンジャー及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のカラーチェンジャーは、光源からの光が通過する照射開口を有する本体と;本体内に収納され、複数色の単位カラーフィルターが帯状に連続して構成されるとともに、単位カラーフィルターが前記照射開口を覆うように移動可能に設けられたカラーフィルターと;カラーフィルターの裏面側に検出部がカラーフィルターから離間するように設けられる位置検出部を有し、この位置検出部が単位カラーフィルターの下端部及び光源照射部を除く領域に対応して本体に配設された位置検出手段と;この位置検出手段に対向してカラーフィルターに設けられた検出片と;を具備することを特徴とする。
【0006】
「単位カラーフィルターの下端部を除く領域に対応して本体に配設」とは、塵埃又は演出で使用される例えば、紙ふぶきの紙等の有体物等がカラーチェンジャーの実使用時において、本体の単位カラーフィルターと対向する位置に残存する可能性を有する領域には位置検出部を設けないようにしていることを示すものである。そして、位置検出において、前記有体物等の影響により位置検出が行えないことを防止でき、かつ、演出照明に影響がない領域であれば位置検出部の配設箇所は特に限定されないものである。光源照射部は、本体の照射開口と対向する部分であり、光源からの光が本体の照射開口を通じて単位カラーフィルターに照射される照射像をイメージで表したものである。
【0007】
請求項2に記載のカラーチェンジャーは、請求項1記載のカラーチェンジャーにおいて、前記位置検出手段は、単位カラーフィルターの上方隅部の領域に対応して配設されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の照明装置は、器具本体と:器具本体内に配設される光源と;光源へ電力を供給する点灯装置と;を具備する照明器具に請求項1又は請求項2記載のカラーチェンジャーを設けたことを特徴とする。
【0009】
照明器具にカラーチェンジャーを設けるとは、照明器具にカラーチェンジャーを着脱可能に取付けること、一体的に設けること又は照明器具にカラーチェンジャーを内蔵することを含むものである。照明器具にカラーチェンジャーを内蔵する場合は、カラーチェンジャーの本体は、照明器具の本体ケースを構成する部材がカラーチェンジャーの本体を兼用することもある。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、検出手段及び検出片が接触によって擦れて破損するような事態を回避し得るとともに、カラーフィルターの位置検出の誤動作及びカラーフィルターの移動操作時の音の発生を軽減できるカラーチェンジャーを提供することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加え、スペースを有効に利用して検出手段を配設することが可能となる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は請求項2記載のカラーチェンジャーの効果を奏する照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明のカラーチェンジャーの第1の実施形態について図1乃至図4を参照して説明する。図1(a)は、カラーチェンジャーを断面して示す側面図、(b)は同断面して示す正面図、図2は、カラーフィルターと位置検出手段との位置関係を模式的に示す説明図、図3は、カラーフィルターの一部を取出して示す展開図、図4は、位置検出手段の配設位置を示す説明図である。図1において、カラーチェンジャー1は、箱状の本体2と、この本体2内に収納されたカラーフィルター5とを備えている。本体2の後面には、光源からの光が通過する略円形の照射開口2aが形成されている。また、内部両側には回転ドラム3が、その回転軸両端を枢支して設けられており、この回転ドラム3はモータ4に連結されている。さらに、回転ドラム3には、帯状のカラーフィルター5の両端が接続され、モータ4の駆動に応じてカラーフィルター5が回転ドラム3に巻き取られ、巻き戻しされるようになっている。なお、照射開口2aの形状は円形に限定されるものではない。
【0014】
そして、図2の参照を加えて示すように、カラーフィルター5の裏面側の上方に対応する部分には、位置検出手段として反射型のフォトセンサー6が、カラーフィルター5の裏面と所定の間隔をおいて設けられている。この反射型のフォトセンサー6は、位置検出部として発光素子と受光素子を備え、発光素子からの光を検知物に当て反射光を受光素子で受けて検知するものである。なお、位置検出手段は、反射型のフォトセンサーを用いることに限定されるものではなく、例えば、ビームセンサや磁気センサ等を用いてもよい。フォトセンサー6は、具体的には本体2の上面壁から切起こした垂下片2bに取付けられている。このフォトセンサー6の取付け位置は、本体2の上方であり、照射開口2aを避けた位置である。なお、9は、電源線及びホスト制御器との接続ケーブルである。
【0015】
図3において、カラーフィルター5は、着色された透明なフィルムである。長手方向に複数の色が区分けされて単位カラーフィルター7-1、7-2、7-3・・・をなし、この単位カラーフィルター7-1、7-2、7-3・・・が連続してつながって帯状をなしている。単位カラーフィルター7-1、7-2、7-3・・・は、例えば、透過光を赤色にする赤色部、緑色にする緑色部、青色にする青色部及び透過孔をそのまま透過させる透明部等を必要に応じて選択し、本実施形態では24色24枚が連結している。これら、単位カラーフィルター7-1、7-2、7-3・・・相互の境界は、継ぎ目7aによって継ぎ合わされている。そして、回転ドラム3に接続される始端側の単位カラーフィルター7-1、すなわち、第1色目の単位カラーフィルター7-1には、上方に検出片8が設けられている。この検出片8は、上記フォトセンサー6に対向するもの光を遮断するテープが用いられる。また、磁気センサを利用した場合は、アルミ等の金属が蒸着された粘着テープやアルミ箔等が用いられる。
【0016】
以上のように構成されたカラーチェンジャー1においては、本体2の後面側に配置される光源から、照射開口2aを通じてカラーフィルター5の光源照射部5aに光が照射され、所望の光色により被照射体を照らすことができる。光源照射部5aは、光の照射像をイメージで表したものである。これらは、カラーフィルター5をモータ4の駆動により長手方向に移動し、照射開口2aに対応する単位カラーフィルター7-1、7-2、7-3・・・を選択して行われる。本実施形態では、検出片8が設けられた部分がカラーフィルター5の原点位置となっている。したがって、ホスト制御器から所定の色の単位カラーフィルター7-1、7-2、7-3・・・の選択信号がカラーチェンジャー1に送られると、カラーチェンジャー1は、まず、電源投入時等、事前にフォトセンサー6で検出片8の通過を検知し、これを原点位置として記憶する。この原点位置より選択された単位カラーフィルター7-1、7-2、7-3・・・までの位置を計算し、移動距離を算出して、この算出結果に基づいてモータ4を駆動する。そして、モータ4の駆動停止により所定の色の単位カラーフィルター7-1、7-2、7-3・・・が照射開口2aの前面に配置、選択され所望の光色を照射することができる。
【0017】
ここで、図4において、ハッチングした領域で示すように、フォトセンサー6は、本体2に設けられるが、カラーフィルター5の裏面側であって、かつ単位カラーフィルター7-1、7-2、7-3・・・の下端部及び光源照射部5aを除く領域Aに対応して配設されていればよい。なお、図4は、図1(b)に相当するものであり、図1(b)と同一部分には同一符号を付して重複した説明は省略する。本実施形態では、具体的には、本体2の垂下片2bによって、単位カラーフィルター7-1、7-2、7-3・・・の上方隅部の領域に対応する位置に取付けられている。この部分は、照射開口2a、つまり、光源照射部5aを避けた上方の比較的広いデットスペースである。したがって、フォトセンサー6は、光源からの光の照射に障害とならないデットスペースに効果的に取付けられていることとなる。そして、フォトセンサー6は、従来のように、カラーフィルターの下端部に設けられて検出片を挟み込むようなものではないため、フォトセンサー6と検出片8とが擦れて破損したり、接触音が生じたりするようなことはない。また、演出等で用いられる紙ふぶきが、フォトセンサー6と検出片8との間に介在する可能性は少なく、仮に介在しても、下方に自重で落下し、介在したまま滞留することはない。
【0018】
以上のように本実施形態によれば、検出手段としてのフォトセンサー6を光の照射に障害とならずにデットスペースを有効に利用して設けることができる。また、フォトセンサー6及び検出8片の破損を回避し得るとともに、カラーフィルター5の位置検出の誤動作及びカラーフィルターの移動操作時の音の発生を軽減できるカラーチェンジャー1を提供することができる。
【0019】
なお、本実施形態においては、第1色目の単位カラーフィルター7-1に検出片8を設けて、原点位置を決定し、所定の色の単位カラーフィルター7-1、7-2、7-3・・・を選択する方式について説明したが、本発明は、各単位カラーフィルター7-1、7-2、7-3・・・にそれぞれ検出片8を設けて、これを検出して所定の色の単位カラーフィルター7-1、7-2、7-3・・・を選択する方式の場合にも適用可能である。
【0020】
次に、本発明のカラーチェンジャーの第2の実施形態を説明する。図示は省略するが、カラーフィルターの位置検出にICタグ、カラーセンサを適用する形態である。
【0021】
(実施例1)各単位カラーフィルターにそれぞれ検出片を設け、本実施例では、検出片としてICタグを用いる。これは、電波を使った認識技術(RFID(Radio Frequency Identification))を利用したものである。ICタグには、単位カラーフィルターの位置番号情報や色情報等を記録し、このICタグを各単位カラーフィルターに貼着する。一方、ICタグの情報を無線で読取ることができるリ−ダを本体側に設ける。したがって、本発明及び上述の実施形態との対応では、ICタグが検出片に該当し、リーダが位置検出手段に該当する。
【0022】
このような構成によれば、仮に、熱でカラーフィルターが劣化し、伸びたりしても、各単位カラーフィルターのICタグには位置番号情報や色情報等が記録されているので、これら情報により、選択した単位カラーフィルターを正規の位置(照射開口の位置)に移動制御して位置ずれ(色ずれ)を補正することが可能となる。同時に、これら位置ずれが発生したことをホスト制御器に報知することが可能である。また、カラーフィルターの移動を継続させても選択した単位カラーフィルター、すなわち、ICタグが検出できない場合は、カラーフィルターが切断されていることやICタグが単位カラーフィルターから剥がれていること等の原因が考えられ、これらの場合もホスト制御器に報知することができる。したがって、劇場等で使用する本番前に、不具合を修正することができる。なお、ICタグにカラーフィルターの使用時間等の個別管理情報を記録するようにしてもよい。この場合、カラーフィルターの交換時期の目安として効果的である。
【0023】
以上のように、本実施例によれば、上述の実施形態の効果に加え、色ずれの解消、不具合を事前に修正できる等の効果が期待できる。
【0024】
(実施例2)位置検出手段にカラーセンサを用いる。この場合は、単位カラーフィルターの色を検知し、移動制御する。したがって、色に基づく、各単位カラーフィルターの移動制御が可能であり、前記実施例1と同様に、単位カラーフィルターの位置ずれ(色ずれ)を補正することが可能であり、色ずれの解消、不具合を事前に修正できる等の効果が期待できる。また、単位カラーフィルターの色を直接検知するので、検出片を設けないで構成することも可能であり、この場合は、構成の簡素化が期待できる。
【0025】
次に、本発明の照明装置の実施形態を説明する。図5において、舞台用照明器具であるスポットライト10にカラーチェンジャー1を取付けた照明装置の側面図を示す。スポットライト10は筐体の中に光源としてのハロゲン電球及び点灯装置等を備えている。また、10aは、スポットライト吊下げ用ハンドルである。このスポットライト10の前面には、光源から照射される光色を変える外形箱状の本体2からなるカラーチェンジャー1が適宜手段で取付けられている。この照明装置によれば、上記実施形態によるカラーチェンジャー1の効果を奏する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のカラーチェンジャーの実施形態を断面して示す側面図及び正面図である。
【図2】同カラーフィルターと位置検出手段との位置関係を模式的に示す説明図である。
【図3】同カラーフィルターの一部を取出して示す展開図である。
【図4】同位置検出手段の配設位置を示す説明図である。
【図5】本発明の照明装置の実施形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0027】
1・・・カラーチェンジャー、2・・・本体、2a・・・照射開口、
5・・・カラーフィルター、5a・・・光源照射部、
6・・・位置検出手段(フォトセンサー)、7・・・単位カラーフィルター、
8・・・検出片、10・・・照明器具(スポットライト)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光が通過する照射開口を有する本体と;
本体内に収納され、複数色の単位カラーフィルターが帯状に連続して構成されるとともに、単位カラーフィルターが前記照射開口を覆うように移動可能に設けられたカラーフィルターと;
カラーフィルターの裏面側に検出部がカラーフィルターから離間するように設けられる位置検出部を有し、この位置検出部が単位カラーフィルターの下端部及び光源照射部を除く領域に対応して本体に配設された位置検出手段と;
この位置検出手段に対向してカラーフィルターに設けられた検出片と;
を具備することを特徴とするカラーチェンジャー。
【請求項2】
前記位置検出手段は、単位カラーフィルターの上方隅部の領域に対応して配設されていることを特徴とする請求項1記載のカラーチェンジャー。
【請求項3】
器具本体と:
器具本体内に配設される光源と;
光源へ電力を供給する点灯装置と;
を具備する照明器具に請求項1又は請求項2記載のカラーチェンジャーを設けたことを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−181751(P2009−181751A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18274(P2008−18274)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】