説明

カラーフィルタ製造用テストパターン基板

【課題】本発明は、効率よく着色層形成用塗工液の吐出量や、着色層形成用塗工液が塗布された際の色ムラ等を検査することが可能なカラーフィルタ製造用テストパターン基板を提供することを主目的としている。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、撥液性領域中に、インクジェットノズルから着色層形成用塗工液を塗布するための親液性パターンがパターン状に形成されているカラーフィルタ製造用テストパターン基板であって、上記親液性パターンが、製造されるカラーフィルタの着色層の形状と相似形状に2種類以上形成されており、かつ上記親液性パターンがノズルピッチの整数倍に合わせて配置されていることを特徴とするカラーフィルタ製造用テストパターン基板を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタの製造の際に用いられるカラーフィルタ製造用テストパターン基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴い、液晶ディスプレイ、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。しかしながら、このカラー液晶ディスプレイが高価であることから、コストダウンの要求が高まっており、特にコスト的に比重の高いカラーフィルタに対するコストダウンの要求が高い。
【0003】
このようなカラーフィルタにおいては、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備え、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
【0004】
従来より行われているカラーフィルタの一般的な製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBのカラーフィルタ層を形成する。
【0005】
また、他の方法としては顔料分散法が挙げられる。この方法においては、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBのカラーフィルタ層を形成する。
【0006】
しかしながら、上記いずれの方法も、R、G、およびBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、露光や現像等、多数の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。またさらに、現像の際に用いられる薬品等によって、他の部材が劣化してしまう場合がある等の問題もあった。
【0007】
そこで、例えば基材上に、光触媒と、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する材料とを含有する光触媒含有層形成用塗工液を用いて光触媒含有層を形成し、この光触媒含有層をパターン状に露光することにより、特性が変化したパターンを形成し、着色層をインクジェット法により形成するカラーフィルタの製造方法が提案されている(特許文献1)。また例えば、基材上に着色層を形成する着色層形成用塗工液を留めるためのバンクを形成し、このバンクにフッ素化合物を導入ガスとしてプラズマを照射することによりバンクを撥液性として、インクジェット法等により着色層等の機能性部を形成する方法も提案されている(特許文献2)。
【0008】
これらの方法によれば、インクジェット法により着色層形成用塗工液を塗布し、着色層を形成することが可能であることから、複雑な工程を繰り返す必要がなく、製造効率がよいという利点を有している。また現像液等を用いる必要がないことから、部材の劣化等が生じるおそれもないものとすることができる。しかしながら、インクジェット法により、着色層を形成する着色層形成用塗工液を吐出して着色層を形成する場合、各インクジェットノズルから吐出される着色層形成用塗工液の吐出量にはバラつきがある。そのため、各着色層形成用領域に吐出される着色層形成用塗工液の量が均一なものとならず、各着色層の色相等にバラつきが生じ、形成されたカラーフィルタに色ムラが発生する等の問題があった。
【0009】
そこで、例えばノズルピッチに合わせた円形状のパターンを有するテストパターン基板を形成し、このテストパターンに着色層形成用塗工液を塗布して、各インクジェットノズルからの着色層形成用塗工液の吐出量を検査する方法や、製造されるカラーフィルタのパターンと同一のパターンを有するテストパターン基板を形成し、このテストパターンに着色層形成用塗工液を塗布して、各領域における色ムラ等を検査する方法等が用いられている。しかしながらこのようなテストパターン基板においては、各テストを行うために、それぞれ異なるテストパターン基板を作成する必要があり、コストや効率等の面で問題があった。
【0010】
【特許文献1】特開2001−074928号公報
【特許文献2】特開2000−187111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、効率よく着色層形成用塗工液の吐出量や、着色層形成用塗工液が塗布された際の色ムラ等を検査することが可能なカラーフィルタ製造用テストパターン基板の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、撥液性領域中に、インクジェットノズルから着色層形成用塗工液を塗布するための親液性パターンがパターン状に形成されているカラーフィルタ製造用テストパターン基板であって、円形状に形成された上記親液性パターンが、ノズルピッチの整数倍に合わせて配置されている第1パターン、製造されるカラーフィルタの着色層の形状と相似形状に形成された上記親液性パターンが、上記ノズルピッチの整数倍に合わせて配置されている第2パターン、円形状に形成された上記親液性パターンが、製造されるカラーフィルタの着色層のピッチに合わせて配置されている第3パターン、製造されるカラーフィルタの着色層の形状と同一の形状に形成された上記親液性パターンが、製造されるカラーフィルタの着色層のピッチに合わせて配置されている第4パターンからなる群から選択される少なくとも2つのテストパターンを有することを特徴とするカラーフィルタ製造用テストパターン基板を提供する。
【0013】
本発明によれば、上記第1パターン、第2パターン、第3パターン、および第4パターンのうちのいずれか2つ以上のテストパターンを有するカラーフィルタ製造用テストパターン基板とされていることから、複数のカラーフィルタ製造用テストパターン基板をそれぞれ形成する必要がなく、複数の検査を1枚のカラーフィルタ製造用テストパターン基板で行うことが可能となる。したがって、効率よく製造条件を決定することや、カラーフィルタ製造中に検査を行うこと等が可能となる。またコスト面でも好ましいものとすることができる。またさらに、上記テストパターンの組み合わせによっては、例えばインクジェットノズルの設定等を変更することなく、複数の検査を1つの基板で行うことが可能となる、という利点も有している。
【0014】
上記発明においては、上記カラーフィルタ製造用テストパターン基板が、上記第1パターン、上記第2パターン、および上記第3パターンの3つのテストパターンを有するものとすることが好ましい。これにより、3つのテストを1枚の基板で行うことが可能となり、よりコストや効率等の面から好ましいからである。
【0015】
また本発明は、撥液性領域中に、インクジェットノズルから着色層形成用塗工液を塗布するための親液性パターンがパターン状に形成されているカラーフィルタ製造用テストパターン基板であって、上記親液性パターンが、製造されるカラーフィルタの着色層の形状と相似形状に形成されており、かつ上記親液性パターンが上記ノズルピッチの整数倍に合わせて配置されていることを特徴とするカラーフィルタ製造用テストパターン基板を提供する。
【0016】
本発明によれば、上記親液性パターンが、上記形状に形成されており、かつノズルピッチに合わせて配置されていることから、インクジェットノズルの設定等を調整することなく、通常のノズルピッチで、着色層形成用塗工液の塗布分布等を検査することが可能となる。したがって、効率よくカラーフィルタの製造条件等を決定すること等が可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数のカラーフィルタ製造用テストパターン基板をそれぞれ形成することなく、1つのカラーフィルタ製造用テストパターン基板で、複数の検査を行うことが可能である。したがって、効率よく各種検査を行うことができ、またコスト面でも好ましいものとすることができる。またさらに、上記テストパターンの組み合わせによっては、例えばインクジェットノズルの設定等を変更することなく、複数のテストを1つの基板で行うことが可能となる、という効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のカラーフィルタ製造用テストパターン基板を説明するための説明図である。
【図2】本発明のカラーフィルタ製造用テストパターン基板を説明するための説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタの製造の際に用いられるカラーフィルタ製造用テストパターン基板に関するものである。本発明のカラーフィルタ製造用テストパターン基板には、2つの実施態様がある。以下それぞれについてわけて説明する。
【0020】
A.第1実施態様
まず、本発明のカラーフィルタ製造用テストパターン基板の第1実施態様について説明する。本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターン基板は、撥液性領域中に、インクジェットノズルから着色層形成用塗工液を塗布するための親液性パターンがパターン状に形成されているものであって、円形状に形成された上記親液性パターンが、ノズルピッチの整数倍に合わせて配置されている第1パターン、製造されるカラーフィルタの着色層の形状と相似形状に形成された上記親液性パターンが、上記ノズルピッチの整数倍に合わせて配置されている第2パターン、円形状に形成された上記親液性パターンが、製造されるカラーフィルタの着色層のピッチに合わせて配置されている第3パターン、製造されるカラーフィルタの着色層の形状と同一の形状に形成された上記親液性パターンが、製造されるカラーフィルタの着色層のピッチに合わせて配置されている第4パターンからなる群から選択される少なくとも2つのテストパターンを有することを特徴とするものである。
【0021】
本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターン基板は、例えば図1に示すように、撥液性領域1中に、親液性パターン2が形成されているものであり、円形状に形成された親液性パターン2が、ノズルピッチaの整数倍に合わせて配置されている第1パターン2a、製造されるカラーフィルタの着色層の形状と相似形状に形成された上記親液性パターン2が、上記ノズルピッチaの整数倍に合わせて配置されている第2パターン2b、円形状に形成された親液性パターン2が、製造されるカラーフィルタの着色層のピッチbに合わせて配置されている第3パターン2c、製造されるカラーフィルタの着色層と同一の形状に形成された親液性パターン2が、製造されるカラーフィルタの着色層のピッチbに合わせて配置されている第4パターン2dのうちのいずれか2つ以上のテストパターンを有するものとされる。
【0022】
本実施態様によれば、上述した4つのテストパターンのうち、少なくとも2つのテストパターンを有するカラーフィルタ製造用テストパターン基板とされていることから、各テストパターンを有するカラーフィルタ製造用テストパターン基板をそれぞれ形成する必要がなく、また1つのカラーフィルタ製造用テストパターン基板で、複数の検査を行うことが可能となる。したがって、本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターンを用いることによって、効率よくカラーフィルタの製造条件を決定することや、カラーフィルタ製造中に各種検査を行うこと等が可能となる。またコストの面からも好ましいものとすることができる。
【0023】
また、例えば上記テストパターンの組合わせによっては、ノズルの吐出位置等の調整をすることなく、複数のテストを1つの基板で行うことが可能となるという利点も有している。以下、本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターン基板に形成される各テストパターンについて説明する。
【0024】
(カラーフィルタ製造用テストパターン基板に形成される各テストパターン)
本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターン基板は、撥液性領域中に、インクジェットノズルから着色層形成用塗工液を塗布するための親液性パターンがパターン状に形成されているものであって、所定の形状に形成された上記親液性パターンが、所定の領域に配置されている上記4つのテストパターンのうち、少なくとも2つ以上のテストパターンが形成されているものである。
【0025】
ここで、本実施態様において撥液性領域とは、隣接する領域より、液体との接触角が1°以上高い領域をいうこととする。本実施態様においては特に上記撥液性領域の表面張力40mN/mの液体との接触角が、50°以上、中でも70°以上であることが好ましい。また撥液性領域の純水との接触角は90°以上、中でも100°以上であることが好ましい。一方、上記撥液性領域中に形成される上記親液性パターンの表面張力40mN/mの液体との接触角は、9°以下、特に表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下とされることが好ましい。また、純水との接触角は20°以下、中でも10°以下とされることが好ましい。これにより、上記親液性パターンのみに、高精細に着色層形成用塗工液をインクジェットノズルによって塗布することが可能となるからである。なお、上記液体との接触角は、上記表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得られるものである。
【0026】
また本実施態様において、上記親液性パターンを撥液性領域中に形成する方法としては、例えばエネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層を基板表面に形成し、この濡れ性変化層の濡れ性を目的とする領域のみ変化させて、親液性パターンを形成する方法等とすることができる。このような濡れ性変化層を利用して、親液性パターンを形成する方法としては、例えば特開2002−40230公報や、特開2003−105029公報等に記載された方法を用いることができる。
【0027】
また、例えば上記撥液性を有する基板上に、親液性を有する材料を用いて親液性パターンの形状に親液性層を形成する方法や、上記親液性を有する基板上に、撥液性を有する材料を用い、親液性パターン以外の領域に撥液性層を形成する方法等であってもよい。またこれらを組合わせた方法、すなわち基板の親液性パターンを形成する領域には親液性の材料を用いて親液性層を形成し、親液性パターン以外の領域には、撥液性の材料を用いて撥液性層を形成する方法等であってもよい。
【0028】
またさらに、親液性パターン以外の領域に、有機材料からなる層を形成し、この層に対してフッ素化合物を導入ガスとしてプラズマ照射することによって、親液性パターン以外の領域を、撥液性領域とする方法等であってもよい。なおプラズマ照射を行うことにより、撥液性領域中に上記親液性パターンを形成する場合、上記親液性パターンとされる領域の表面は、無機材料が露出、または無機材料によって覆われていることが好ましい。これにより、基板全面にプラズマ照射をした場合であっても、上記親液性パターンとされる領域にはフッ素が導入されず、親液性パターン以外の領域のみにフッ素が導入されるものとすることができるからである。上記プラズマの照射方法は、例えば特開2000−187111号公報に記載されている方法と同様とすることができる。
【0029】
なお、上記親液性パターンの形状や配置は、後述する各テストパターンによって適宜選択される。以下、本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターン基板に形成される4つのテストパターンについてそれぞれわけて説明する。
【0030】
(1)第1パターン
本実施態様における第1パターンは、円形状に形成された上記親液性パターンが、ノズルピッチの整数倍に合わせて配置されているテストパターンである。
【0031】
ここで、上記親液性パターンがノズルピッチの整数倍に合わせて配置されているとは、着色層形成用塗工液の吐出に用いられるインクジェット装置の、隣接するインクジェットノズル間の距離をxとしたとき、隣接する親液性パターン間の距離が、0.85×nx〜1.15×nx(ここで、nは1以上の整数)となるように形成されており、かつ隣接する親液性パターンの間隙が、x未満となるように、各インクジェットノズルの位置と対応するように配置されていることをいう。なお、上記間隙は、0.02x以上とされることが好ましい。ここで、隣接する親液性パターン間の距離とは、円形状の親液性パターンの中心部から、隣接する親液性パターンの中心部までの距離をいうこととする。また各インクジェットノズルの位置と対応するように配置されているとは、隣接する親液性パターンどうしの間隙が、隣接するインクジェットノズルどうしの間隙と対応するように配置されていることをいう。
【0032】
上記第1パターンは、各インクジェットノズルから吐出される各液滴の量の検査に特に有用である。これは、上記親液性パターンが円形とされていることから、上記親液性パターンに塗布された着色層形成用塗工液の塗布量を、親液性パターン上の着色層形成用塗工液の体積等から容易に求めることが可能であり、また上記ノズルピッチの整数倍に合わせて親液性パターンが形成されていることから、インクジェットノズルの位置調整等を行うことなく、容易に親液性パターン上に着色層形成用塗工液を吐出することができることによるものである。
【0033】
上述したように、各インクジェットノズルから吐出される着色層形成用塗工液の量にはバラつきがあり、実際のカラーフィルタ製造時に、上記インクジェットノズルからの着色層形成用塗工液の量のバラつきによって色ムラ等が生じてしまう場合がある。そこで、上記第1パターンを用い、各インクジェットノズルからの着色層形成用塗工液の吐出量を把握することによって、実際に着色層を形成する際の着色層形成用塗工液の吐出条件を決定したり、またカラーフィルタ製造中に不具合が生じた場合等、各インクジェットノズルの状態を確認すること等が可能となる。
【0034】
ここで、上記円形状に形成された親液性パターンの大きさとしては、着色層形成用塗工液を吐出するインクジェットノズルの種類等によって適宜選択されるものであるが、本実施態様においては特に直径が50μm〜500μm程度、中でも100μm〜300μm程度、特に100μm〜200μm程度とされることが好ましい。これにより、インクジェットノズルから吐出された着色層形成用塗工液の各液滴の量を容易に検査することが可能となるからである。
【0035】
また本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターン基板に形成される第1パターンの個数は、インクジェット装置の種類等によって適宜選択されるが、通常、インクジェット装置に用いられるインクジェットノズルの個数より多い数とされる。これにより、全てのインクジェットノズルから吐出される液滴の量を検査することが可能となるからである。
【0036】
(2)第2パターン
次に、本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターン基板に形成される第2パターンについて説明する。上記第2パターンは、製造されるカラーフィルタの着色層の形状と相似形状に形成された上記親液性パターンが、上記ノズルピッチの整数倍に合わせて配置されているテストパターンである。
【0037】
ここで、上記親液性パターンがノズルピッチの整数倍に合わせて配置されているとは、着色層形成用塗工液の吐出に用いられるインクジェット装置の、隣接するインクジェットノズル間の距離をxとしたとき、隣接する親液性パターン間の距離が、0.85×nx〜1.15×nx(ここで、nは1以上の整数)となるように形成されており、かつ隣接する親液性パターンの間隙が、x未満となるように、各インクジェットノズルの位置と対応するように配置されていることをいう。なお、上記間隙は、0.02x以上とされることが好ましい。ここで、隣接する親液性パターン間の距離とは、親液性パターンの中心部から、隣接する親液性パターンの中心部までの距離をいうこととする。また各インクジェットノズルの位置と対応するように配置されているとは、隣接する親液性パターンどうしの間隙が、隣接するインクジェットノズルどうしの間隙と対応するように配置されていることをいう。
【0038】
上記第2パターンは、製造されるカラーフィルタの着色層と相似形状に形成されていることから、実際にカラーフィルタを製造する場合の着色層形成用領域に着色層形成用塗工液を塗布した際、着色層形成用塗工液がどのように濡れ広がるか等の検査に有用である。製造されるカラーフィルタの着色層の形状は、カラーフィルタの種類等によって異なるものとされる。そのため、製造されるカラーフィルタの着色層の形状に、着色層形成用塗工液を塗布した際、着色層形成用塗工液がどのように分布するか等を検査することが一般的に必要である。そこで、例えば上記第2パターンを用いて検査を行うことによって、色ムラや白抜けが生じない製造条件を決定することが可能となる。
【0039】
ここで、本パターンにおける上記親液性パターンの形状は、製造されるカラーフィルタの着色層の形状と相似形であれば特に限定されるものではない。通常、製造されるカラーフィルタの着色層の0.2倍〜5.0倍程度、中でも0.5倍〜2.0倍程度の形状とされる。また本パターンにおける上記親液性パターンの形状は、1種類である必要はなく、例えば2種類以上であってもよい。複数種類の形状の親液性パターンが形成されている場合には、一枚のカラーフィルタ製造用テストパターン基板で、複数種類の着色層の着色層形成用塗工液の分布を一度に検査することが可能となるという利点を有している。
【0040】
また上記各親液性パターンの大きさとしては、着色層形成用塗工液を吐出するインクジェットノズルの種類等によって適宜選択されるものであるが、通常7500μm〜270,000μm程度、中でも30,000μm〜187,500μm程度、特に30,000μm〜120,000μm程度とされることが好ましい。
【0041】
(3)第3パターン
次に、本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターン基板に形成される第3パターンについて説明する。本実施態様における第3パターンは、円形状に形成された上記親液性パターンが、製造されるカラーフィルタの着色層のピッチに合わせて配置されているテストパターンである。上記第3パターンは、実際に上記着色層を形成する際の各着色層形成用領域に吐出される着色層形成用塗工液の量を検査するのに有用である。これは、上記親液性パターンが円形とされていることから、上記親液性パターンに塗布された着色層形成用塗工液の塗布量を、親液性パターン上の着色層形成用塗工液の体積等から容易に求めることが可能であり、また上記親液性パターンが製造されるカラーフィルタの上記着色層のピッチに合わせて配置されていることから、実際に着色層を形成する際と同様の条件によって着色層形成用塗工液を塗布することが可能となることによるものである。
【0042】
上述したように、各インクジェットノズルから吐出される着色層形成用塗工液の量にはバラつきがあるため、各着色層形成用領域に吐出される着色層形成用塗工液の量が均一とならず、形成される着色層に色ムラ等が生じる場合がある。そこで、例えば上記第3パターンを用い、各着色層形成用領域に吐出される着色層形成用塗工液の量を検査することによって、着色層形成用塗工液の量の調整する必要があるか否かを判断することが可能となる。
【0043】
ここで、上記各親液性パターンの大きさとしては、実際に形成する着色層の大きさ等により適宜選択される。このような親液性パターンとしては、通常、実際に着色層を形成する場合と同様の吐出条件により、着色層形成用塗工液を塗布した際に、塗布された着色層形成用塗工液を受容可能な大きさとされる。また、上記第3パターンが、例えばインクジェットノズルから吐出される着色層形成用塗工液の液適量の検査に用いられるものである場合には、例えば上述した第1パターンと同様の直径を有する円形状等とされていてもよい。
【0044】
また、上記親液性パターンが、製造されるカラーフィルタの着色層のピッチに合わせて配置されているとは、隣接して形成される上記着色層間の距離を1としたとき、隣接する上記親液性パターン間の距離が、0.85〜1.15の範囲内となるように、親液性パターンが配置されていることをいう。なお、隣接する親液性パターン間の距離とは、円形状の親液性パターンの中心から、隣接する親液性パターンの中心までの距離をいうこととする。
【0045】
(第4パターン)
次に、本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターン基板に形成される第4パターンについて説明する。本実施態様における第4パターンは、製造されるカラーフィルタの着色層の形状と同一の形状に形成された上記親液性パターンが、製造されるカラーフィルタの着色層のピッチに合わせて配置されているテストパターンである。上記第4パターンは、実際に着色層を形成した際に、形成される着色層に色ムラや白抜け等の不具合が生じるか否かを検査するのに有用である。
【0046】
上記親液性パターンの形状は、製造されるカラーフィルタの着色層の種類等によって適宜選択される。また、上記親液性パターンの形状は、1種類である必要はなく、例えば2種類以上であってもよい。複数種類の形状の親液性パターンが形成されている場合には、一枚のカラーフィルタ製造用テストパターン基板で、複数種類の着色層について、それぞれ色ムラや白抜け等が生じるか否かを、一度に検査を行うことが可能となるという利点を有している。
【0047】
また、上記親液性パターンが、製造されるカラーフィルタの着色層のピッチに合わせて配置されているとは、隣接して形成される上記着色層間の距離を1としたとき、隣接する上記親液性パターン間の距離が、0.85〜1.15の範囲内となるように、親液性パターンが配置されていることをいう。なお、隣接する親液性パターン間の距離とは、親液性パターンの中心から、隣接する親液性パターンの中心までの距離をいうこととする。
【0048】
(カラーフィルタ製造用テストパターン基板)
次に、本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターン基板について説明する。本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターン基板は、上記第1パターン、第2パターン、第3パターン、および第4パターンからなる群から選択される少なくとも2つのテストパターンを有するものであればよく、例えば上記親液性パターン領域以外の領域に、例えばブラックマトリクス等の他の部材が形成されているものであってもよい。なお、このようなブラックマトリクス等の他の部材は、一般的なカラーフィルタ製造用テストパターン基板に形成されるものと同様とすることができる。
【0049】
ここで、本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターン基板が、例えば第1パターンおよび第2パターンを有するものとされている場合には、インクジェットノズルの位置等の設定を変えることなく、各インクジェットノズルから吐出される各液滴の量、および着色層形成用領域に着色層形成用塗工液が塗布された際の着色層形成用塗工液の分布等を検査することが可能なものとすることができる。このようなカラーフィルタ製造用テストパターン基板は、着色層形成用塗工液の吐出条件等を決定する際に、特に効率等の面から有用である。
【0050】
また、例えばカラーフィルタ製造用テストパターン基板が、第1パターンおよび第3パターンを有するものとされている場合には、各インクジェットノズルから吐出される液滴の量、および実際に上記着色層を形成する際に、各着色層形成用領域に吐出される着色層形成用塗工液の量を検査することが可能なカラーフィルタ製造用テストパターン基板とすることができる。このようなカラーフィルタ製造用テストパターン基板は、カラーフィルタの製造条件決定時や、カラーフィルタ製造中に着色層形成用塗工液の塗布量にバラつきが見られた時等、着色層形成用塗工液の塗布量を検査したり調整する際に有用である。
【0051】
また、例えばカラーフィルタ製造用テストパターン基板が、第1パターンおよび第4パターンを有するものとされている場合には、各インクジェットノズルから吐出される液滴の量、および実際に着色層を形成した際に、形成される着色層に色ムラや白抜け等の不具合が生じるか否かを検査することが可能なカラーフィルタ製造用テストパターン基板とすることができる。このようなカラーフィルタ製造用テストパターン基板は、カラーフィルタの製造条件決定時や、カラーフィルタ製造直前の最終検査、製造中に着弾位置不良等が生じたときの検査を行う際に有用である。
【0052】
また、カラーフィルタ製造用テストパターン基板が、第2パターンおよび第3パターンを有するものとされている場合には、着色層形成用領域に着色層形成用塗工液が塗布された際の着色層形成用塗工液の分布、および実際に上記着色層を形成する際に、各着色層形成用領域に吐出される着色層形成用塗工液の量を検査することが可能なカラーフィルタ製造用テストパターン基板とすることができる。このようなカラーフィルタ製造用テストパターン基板は、カラーフィルタの製造条件決定時や、カラーフィルタ製造中に着色層形成用塗工液の塗布量にバラつきが見られた時等、着色層形成用塗工液の塗布量を検査したり調整する際に有用である。
【0053】
また、カラーフィルタ製造用テストパターン基板が、第2パターンおよび第4パターンを有するものとされている場合には、着色層形成用領域に着色層形成用塗工液が塗布された際の着色層形成用塗工液の分布、および実際に着色層を形成した際に、形成される着色層に色ムラや白抜け等の不具合が生じるか否かを検査することが可能なカラーフィルタ製造用テストパターン基板とすることができる。このようなカラーフィルタ製造用テストパターン基板は、カラーフィルタの製造条件決定時や、カラーフィルタ製造直前の最終検査、製造中に着弾位置不良等が生じたときの検査を行う際に有用である。
【0054】
また、カラーフィルタ製造用テストパターン基板が、第3パターンおよび第4パターンを有するものとされている場合には、インクジェットノズルの設定条件等を変えることなく、実際に上記着色層を形成する際に、各着色層形成用領域に吐出される着色層形成用塗工液の量、および実際に着色層を形成した際に、形成される着色層に色ムラや白抜け等の不具合が生じるか否かを検査することが可能なカラーフィルタ製造用テストパターン基板とすることができる。したがって、このようなカラーフィルタ製造用テストパターン基板は、例えばカラーフィルタ製造前の製造条件の最終確認時や、カラーフィルタ製造中に不具合が生じた場合の製造条件調整時等に有用である。
【0055】
また上記カラーフィルタ製造用テストパターン基板が、第1パターン、第2パターン、および第3パターンを有するものとされている場合には、各インクジェットノズルから吐出される液滴の量、着色層形成用領域に着色層形成用塗工液が塗布された際の着色層形成用塗工液の分布、および実際に上記着色層を形成する際に、各着色層形成用領域に吐出される着色層形成用塗工液の量を検査することが可能となる。したがって、着色層形成用塗工液の吐出条件等を決定する際に特に有用である。
【0056】
上記カラーフィルタ製造用テストパターン基板が、第1パターン、第2パターン、および第4パターンを有するものとされている場合には、各インクジェットノズルから吐出される液滴の量、着色層形成用領域に着色層形成用塗工液が塗布された際の着色層形成用塗工液の分布、および実際に着色層を形成した際に、形成される着色層に色ムラや白抜け等の不具合が生じるか否かを検査することが可能なカラーフィルタ製造用テストパターン基板とすることができる。このようなカラーフィルタ製造用テストパターン基板は、カラーフィルタの製造条件決定時や、カラーフィルタ製造直前の最終検査、製造中に着弾位置不良等が生じたときの検査を行う際に有用である。
【0057】
また上記カラーフィルタ製造用テストパターン基板が、第1パターン、第3パターン、および第4パターンを有するものとされている場合には、各インクジェットノズルから吐出される液滴の量、実際に上記着色層を形成する際に、各着色層形成用領域に吐出される着色層形成用塗工液の量、および実際に着色層を形成した際に、形成される着色層に色ムラや白抜け等の不具合が生じるか否かを検査することが可能なカラーフィルタ製造用テストパターン基板とすることができる。このようなカラーフィルタ製造用テストパターン基板は、カラーフィルタの製造条件決定時や、カラーフィルタ製造直前の最終検査、製造中に着弾位置不良等が生じたときの検査を行う際に有用である。
【0058】
また例えばカラーフィルタ製造用テストパターン基板が、第2パターン、第3パターン、および第4パターンを有するものとされている場合には、着色層形成用領域に着色層形成用塗工液が塗布された際の着色層形成用塗工液の分布、実際に上記着色層を形成する際に、各着色層形成用領域に吐出される着色層形成用塗工液の量、および実際に着色層を形成した際に、形成される着色層に色ムラや白抜け等の不具合が生じるか否かを検査することが可能なカラーフィルタ製造用テストパターン基板とすることができる。このようなカラーフィルタ製造用テストパターン基板は、カラーフィルタの製造条件決定時や、カラーフィルタ製造直前の最終検査、製造中に着弾位置不良等が生じたときの検査を行う際に有用である。
【0059】
また例えばカラーフィルタ製造用テストパターン基板が、第1パターン、第2パターン、第3パターン、および第4パターンを有するものとされている場合には、各インクジェットノズルから吐出される液滴の量、着色層形成用領域に着色層形成用塗工液が塗布された際の着色層形成用塗工液の分布、実際に上記着色層を形成する際に、各着色層形成用領域に吐出される着色層形成用塗工液の量、および実際に着色層を形成した際に、形成される着色層に色ムラや白抜け等の不具合が生じるか否かを検査することが可能なカラーフィルタ製造用テストパターン基板とすることができる。
【0060】
なお、本発明においては上記の中でも、特に上記第1パターン、第2パターン、および第3パターンが形成されているカラーフィルタ製造用テストパターン基板とすることが好ましい。これにより、着色層形成用塗工液の吐出条件等を詳細に決定することが可能となり、色ムラ等のない、高品質なカラーフィルタを製造することが可能となるからである。
【0061】
B.第2実施態様
次に、本発明のカラーフィルタ製造用テストパターン基板の第2実施態様について説明する。本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターン基板は、撥液性領域中に、インクジェットノズルから着色層形成用塗工液を塗布するための親液性パターンがパターン状に形成されているカラーフィルタ製造用テストパターン基板であって、上記親液性パターンが、製造されるカラーフィルタの着色層の形状と相似形状に形成されており、かつ上記親液性パターンが上記ノズルピッチに合わせて配置されていることを特徴とするものである。
【0062】
本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターン基板は、例えば図2に示すように、撥液性領域1中に、製造されるカラーフィルタの着色層の形状と相似形状に形成された上記親液性パターン2bが、上記ノズルピッチaに合わせて配置されているものである。
【0063】
本実施態様によれば、上記親液性パターンが、上記形状に形成されており、かつノズルピッチに合わせて配置されていることから、インクジェットノズルの設定等を調整することなく、通常のノズルピッチで、効率よく着色層形成用塗工液の塗布分布等を検査することが可能となる。上述したように、製造されるカラーフィルタの着色層の形状は、カラーフィルタの種類等によって異なるものとされる。そのため、製造されるカラーフィルタの着色層の形状に、着色層形成用塗工液を塗布した際、着色層形成用塗工液がどのように分布するか等を検査することが一般的に必要である。そこで、本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターン基板を用いて検査を行うことによって、色ムラや白抜けが生じない製造条件を決定すること等が可能となる。
【0064】
なお、本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターン基板に形成される親液性パターンの特性や、親液性パターンの形状、親液性パターンの配置等については、上述した第1実施態様の第2パターンで説明したものと同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0065】
また本実施態様のカラーフィルタ製造用テストパターン基板は、上述したような親液性パターンが形成されているものであれば、その構成等は特に限定されるものではなく、例えば上記親液性パターン以外の領域に、ブラックマトリクス等の他の部材が形成されているものであってもよい。なお、このようなブラックマトリクス等の他の部材は、一般的なカラーフィルタ製造用テストパターン基板に形成されるものと同様とすることができる。
【0066】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0067】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
【0068】
[実施例1]
(カラーフィルタ製造用テストパターン基板の作製)
カラーフィルタ用ガラス材として用いられている厚み0.7mm、横370mm、縦470mmのCorning社製EAGLE2000を用意し、このガラス基材上にフォトリソグラフィー法にて樹脂製のブラックマトリクス(膜厚1.5μm)を形成した。ブラックマトリクスを用いて下記の4種類のパターンを形成した。まず、第1パターンとして、開口部を直径120μmの円形とし、この開口部をインクジェットヘッドのノズルピッチである150μmピッチにて横方向に1列に1000個、縦方向に500μmピッチで100列形成した。
続いて、第2パターンとして、開口部を製造されるカラーフィルタの開口部と同様の形状である100μm×300μmとし、これをインクジェットヘッドのノズルピッチである150μmピッチに横方向に1列に1000個配置し、これを縦方向に500μmピッチにて100列形成した。
さらに、第3パターンとして、開口部を直径120μmの円形とし、これを製造されるカラーフィルタの着色層のピッチである横150μm、縦350μmにて横に1000個、縦に100列形成した。
また第4パターンとして、開口部、配列ピッチともに製造されるカラーフィルタと同様の開口部、すなわち開口部の大きさを100μm×300μmとし、これをカラーフィルタの着色層のピッチである横150μm、縦350μmにて横に1000個、縦に100列形成した。
上記カラーフィルタ製造用テストパターン基板に対し、フッ素化合物を導入ガスとしたプラズマ処理を加えることにより、ブラックマトリクスの表面を撥液性に、それ以外の部分(開口部)を親液性とした。このとき表面張力40mN/mの液体との接触角は、ブラックマトリクス上で65°、開口部で10°であった。これにより、撥液性領域中に親液性パターンが形成されたカラーフィルタ形成用パターン基板が得られた。
【0069】
(第1パターンを用いた吐出液滴量の調整)
上記カラーフィルタ製造用テストパターン基板の第1パターンに対し、インクジェットヘッドを用いて着色層形成用塗工液を塗布した。塗工液はカラーフィルタ用顔料と熱硬化型樹脂等からなるRGB各色の顔料分散型インクを用い、第1パターンの1つの親液性パターンあたり130滴にて所望のカラーフィルタの色が表現できるように濃度を設計した。このときのインクジェットヘッドへの印加電圧は75V、パルス幅は6μsであった。インクジェットヘッドは1ヘッドに対し100ノズルを有するものを用い、1色につき1ヘッド、すなわちRGB3色にて3ヘッドを用いた。塗布はブラックマトリクスの1つの開口部(1画素)あたり1ノズルが配置されるように位置決めして行い、かつ着色層形成用塗工液の吐出液滴が上記親液性パターン内に着弾するように行った。この際、ヘッド角度等を調整することなく、容易にノズルと開口部の位置を合わせることができた。
上記手法にて、3枚のカラーフィルタ製造用テストパターン基板に、第1パターンの1つの親液性パターンあたり、100滴、120滴、140滴の着色層形成用塗工液を着弾させた。着色層形成用塗工液は横方向にRGBの順に繰り返し配置し、縦方向には同色が並ぶように配置した。各色の着色層形成用塗工液は親液性パターン全域に塗れ広がり、かつ異なる色同士が混色することは無かった。
その後、上記着色層形成用塗工液を着弾させた基板を120℃のホットプレートに設置し、10分間プリベイクした。プリベイク後の着色層形成用塗工液は、先端の直径が12μmの針で5mgの圧力にて表面を触針しても傷が入らない程度に固化し、混色しない状態であった。
上記着色層形成用塗工液を第1パターン上に塗布した3種類のカラーフィルタ製造用テストパターン基板の、各画素の分光光度を、大塚電子製顕微鏡型分光光度計LCF−seriesにて測定し、測定値より色度Rx、Gy、Byを算出した。各画素すなわちインクジェットヘッドの各ノズルから吐出する吐出液滴数と色度の関係を求め、検量線を作成した。
さらに、上述したカラーフィルタ製造用テストパターン基板を作製し、上記と同様の方法により、第1パターンの各親液性パターンあたり130滴のインク液滴を着弾させ、プリベイクを実施し、これを検量線の作成にて記載した手法と同手法にて各画素の分光光度を測定し、色度分布を算出した。この色度分布に対し、検量線より、各画素の色度の差を無くすために必要な各ノズルからの液滴量を算出した。
【0070】
(第2パターンを用いた着色層形成用塗工液吐出量の微調整)
上記第1パターンを用いて算出された液滴量から、各親液性パターンに必要とされる液滴数を算出し、この液滴数に基づいて、着色層形成用塗工液をカラーフィルタ用テストパターン基板の第2パターンに対して着弾させた。上述した方法と同様の方法により、プリベイク、分光光度測定、および色度の算出を行った。この結果、各親液性パターンにおいて開口部の4隅に白抜けが発生、色度も目標値に対し、Rx、Gy、Byともに0.001〜0.003足りないことがわかった。その後、上記第1パターンを用いて形成した検量線に基づき、必要とされる液滴数を算出し、開口部に白抜けの無い状態とした。
【0071】
(第3パターンを用いたヘッド角度の調整)
次に、インクジェットヘッドのノズルのピッチを、製造されるカラーフィルタの着色層のピッチに合わせるべく、ヘッド角度を調整した。カラーフィルタ製造用テストパターン基板の第3パターンを用い、インクジェットのノズルのピッチと第3パターンの円形状の親液性パターンのピッチが一致するように配置し、上記吐出量の微調整で導出した吐出条件にて着色層形成用塗工液を塗布した。
上記と同様の方法によりプリベイク、分光光度測定、色度の算出を行った結果、色度の分布が無いことを確認した。
【0072】
(第4パターンを用いたカラーフィルタ作製条件最終確認)
カラーフィルタ形成用テストパターン基板の第4パターンに対し、第3パターンと同様の吐出条件にて吐出を実施した。上記と同様の手法にてプリベイク、分光光度測定、色度の算出を行った結果、色度の分布は無く、かつ白抜け等の外観不良も無いことを確認した。
カラーフィルタ作製用条件を整えることができた。
【0073】
(カラーフィルタの作製)
各ノズルより、カラーフィルタ製造用テストパターン基板の第4パターン上に着色層形成用塗工液を塗布した際と同条件にて、実際にカラーフィルタを製造するためのカラーフィルタ形成用基板に着色層形成用塗工液を着弾させ、上記と同様の手法にてプリベイクし、ポストベイクを240℃、30分間行うことにより、色ムラ、輝度ムラの少ないカラーフィルタを作製することができた。
【0074】
(カラーフィルタ作製条件の修正)
カラーフィルタを連続して製造した結果、250枚目において、基板引き抜きによる目視検査により濃淡のムラが検出された。そこで、生産を一時停止し、上記カラーフィルタ製造用テストパターン基板の第4パターンに対し、調整時と同様の吐出条件にて吐出を実施し、上記と同様の手法にてプリベイク、分光光度測定、色度の算出を行い、色度の分布を検出した。この色度分布に対し、上記方法により得られた検量線より、各画素の色度の差を無くすために必要な各ノズルからの液滴量を算出した。各ノズルより算出した液滴数に基づいた液滴数にて、上記第4パターンに、再度着色層形成用塗工液を着弾させ、上記と同様の手法にてプリベイク、分光光度測定、色度の算出を行った。この結果、色度の分布が収束した。
上記方法により導出した条件を用いてカラーフィルタの作製を再開した。カラーフィルタ形成用基板を使用することなく、テストパターンにおいて吐出条件を調整することができた。
【0075】
[実施例2]
(カラーフィルタ製造用テストパターン基板の作製)
カラーフィルタ用ガラス材として用いられている厚み0.7mm、横370mm、縦470mmのCorning社製EAGLE2000を用意し、このガラス基材上にフォトリソグラフィー法にて樹脂製のブラックマトリクス(膜厚1.5μm)を形成した。ブラックマトリクスは下記のパターンとした。開口部をカラーフィルタの開口部(170μm×510μm)と相似形状の100μm×300μmとし、これをインクジェットヘッドのノズルピッチである150μmピッチに横方向に1列に1000個配置し、これを縦方向に500μmピッチにて100列形成した。その後、実施例1と同様に、上記ブラックマトリクス上を撥液性、開口部を親液性とし、本発明のカラーフィルタ製造用テストパターン基板が得られた。
(上記カラーフィルタ製造用テストパターン基板を用いた色度の調整)
上述した第1実施態様と同様の方法により、色度の検量線を作成し、色度による検査および吐出液滴数の調整を行った。これにより得られた調整条件にてカラーフィルタを製造したところ、色度ムラや輝度ムラのない、カラーフィルタとすることができた。
【符号の説明】
【0076】
1 …撥液性領域
2 …親液性パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撥液性領域中に、インクジェットノズルから着色層形成用塗工液を塗布するための親液性パターンがパターン状に形成されているカラーフィルタ製造用テストパターン基板であって、前記親液性パターンが、製造されるカラーフィルタの着色層の形状と相似形状に2種類以上形成されており、かつ前記親液性パターンがノズルピッチの整数倍に合わせて配置されていることを特徴とするカラーフィルタ製造用テストパターン基板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−3275(P2012−3275A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169975(P2011−169975)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【分割の表示】特願2005−380435(P2005−380435)の分割
【原出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】