説明

カラー陰極線管

【目的】 シャドーマスクのドーミング程度が低減された陰極線管用シャドーマスクフレーム組立体を提供する。
【構成】 パネルとファンネルが結合され1つの真空容器が備えられ、前記パネルの内部にはシャドーマスク21がフレーム22と結合されたシャドーマスクフレーム組立体20が設置され、フレームの支持面22aにシャドーマスクのスカート21cを溶接するための溶接点はシャドーマスクのスカートの4ヶ所のコーナ部位とスカートの長短辺部の各中心から各辺の長さの1/4になる距離内に複数備えられる。
【効果】 これにより、電子ビームの良好なミスランディング補正が可能となって良質の画像を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカラー陰極線管に係り、特にシャドーマスクとフレームの溶接構造が改良されシャドーマスクのドーミング(doming)程度が低減されたカラー陰極線管用シャドーマスクフレーム組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、カラー陰極線管に於て図1に示した通りパネル2とファンネルが結合され1つのバルブが構成され、前記パネル2の内部にはシャドーマスクフレーム組立体10が設置され、シャドーマスク11と対向するパネル2の内面には蛍光膜が形成される。そして、前記ファンネル3のネック3aには電子銃5が内蔵されている。
【0003】前記電子銃5から走査された電子ビームは色選別を行うシャドーマスク11を通過した後、所望の蛍光膜にランディングされることにより1つの画素をなし、これら画素が集まって全体的な1つの画面をなす。
【0004】その際、前記電子銃5から放出された電子ビームはシャドーマスク11を全部でなく一部のみ通過するので前記シャドーマスク11は電子ビームにより加熱される。従って、図2に示した通りフレーム12にそのスカート部11aが溶接結合されたシャドーマスク11は材質の不均一な熱膨張によりドーミング現象が生ずる。 前記シャドーマスク11のドーミング現象はパネル2の蛍光膜側にシャドーマスク11の電子ビーム通過平面が近づく結果を生む。よって、スクリーンに対する電子ビーム通過孔の既に設定された相対位置を外れることにより電子ビームが所望の位置に精密にランディングされなくなる。係る電子ビームのミスランディングによれば、電子ビームが所望の色相の蛍光ストライプに達することができず画面全体に色純度が不良になる。
【0005】このような問題点を解決するために、従来にはシャドーマスクフレーム組立体をパネルに対するバイメタルで懸架して熱膨張時シャドーマスクを画面側に移動させることにより電子ビームのランディング位置を補償する。ひいてはシャドーマスク11を低熱膨張係数の素材、例えばインバール(Invar)で製作したりするが、この際製造のコスト高になる短所があった。
【0006】一方、他の方策として、フレーム12とシャドーマスク11のスカート部11aの溶接部位を除いた他の部位を切除してシャドーマスクの局部的なドーミングを抑制させてきた。しかし、前記シャドーマスク11とフレーム12の溶接位置にによるドーミング量の問題については考慮されずドーミング現象に対する究極的な解決が行われなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前述した問題点を解決するために案出されたもので、その目的はシャドーマスクとフレームの溶接位置を変更して熱電子によるシャドーマスクのドーミング現象が低減されたカラー陰極線管を提供することである。
【0008】本発明の他の目的は電子ビームの安定したランディングを通じて良質の画像が実現できるカラー陰極線管を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために、本発明によるカラー陰極線管はパネルとファンネルが結合され1つの真空容器が備えられ、前記パネルの内部にはシャドーマスクのスカートがフレームの支持面にスポット溶接により固着されることによりシャドーマスクフレーム組立体が設置され、シャドーマスクと対向するパネルの内面には蛍光膜が形成され、かつ前記ファンネルのネックには電子銃が内蔵されたカラー陰極線管に於て、前記フレームの支持面にシャドーマスクのスカートを溶接するための溶接点はシャドーマスクのスカートの4ヶ所のコーナ部位とスカートの長短辺部の各中心から各辺の長さの1/4の距離内に少なくとも2つ以上備えられるところにその特徴がある。
【0010】
【作用】本発明によれば、シャドーマスクとフレームの溶接位置を変更して局部的な過多ドーミングが抑制され全体的に均一なドーミング状態を生じて、よってミスランディング補償手段を通じて安定した電子ビームがランディング可能になる。
【0011】
【実施例】以下、添付した図面に基づき本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明によるカラー陰極線管は従来の技術と共に説明された図1に示したカラー陰極線管と外形的に同様な形態を有する。
【0013】前記シャドーマスクフレーム組立体20は図3Aに示した通り、シャドーマスク21とフレーム22が結合されたものである。前記シャドーマスク21はその縁にスカート21cが所定高さで形成されており、中央部分が複数の電子ビーム通過孔が形成されるビーム通過領域21a(beam passing area)と、これを囲繞する電子ビーム通過孔が形成されていないボーダ領域21b(border area)とに区分される。そして、前記フレーム22はL型の断面を有するもので、前記スカート21cに対応する支持面22aと、その支持面22aに直交し前記シャドーマスクの電子ビーム通過領域と平行した内向フランジ22bとを備え、全体的に四角形の形状をなす。
【0014】前記シャドーマスク21はスカート21cにより前記フレーム22に支持される。前記スカート21cは前記フレーム22の支持面22aにスポット溶接により固着される。シャドーマスクと支持面との溶接位置は図3Aに示した通り、4ヶ所のコーナ部位C1、C2、C3、C4と、長短辺部の各中心P1、P2である。そして、前記各辺の中心P1、P2から各辺長さL1、L2の1/4、即ちL1/4及びL2/4の距離内の複数の離れた位置Q1、Q2にも複数の溶接点が形成される。この際、その変動可能幅はそれぞれL1/20及びL2/20であって各長短辺部に形成される溶接点のうち外郭の両溶接点は基準位置から約5%の範囲内でその位置を調整可能である。特に、前記各辺部に形成される溶接点のうちの1つは各辺部の中央部から各辺長さの5%の範囲内に位置し、もう1つは各辺部の中央から各辺長さの20〜25%離れた距離内に位置する。以上の溶接点はスカート21cの下端部近くに形成され、前記電子ビーム通過領域からできるだけ遠く離れるようにした方が好適である。
【0015】係る本発明に於て、キーポイントは前記溶接点が各辺部の中心から各辺長さの1/4の距離内に2つまたはそれ以上の溶接点が形成されるということである。本発明によれば、シャドーマスクのドーミングによる電子ビームのランディング誤差距離がかなり狭くなる。
【0016】以下本発明のシャドーマスクによる効果を説明する。
【0017】図3Bはコンピュータシミュレーションにより得られたシャドーマスクの歪曲状態を示す。図から分かるように、ドーミング時にはシャドーマスクのビーム通過領域の縁中間部位21a′、21a′′がひどく歪曲している。本発明に於てこのような歪曲を抑制するために歪曲のひどい部位の近くにできるだけ多くの溶接点を備える。しかし、実験によれば歪曲がひどくないシャドーマスクのコーナ部位に多数の溶接点を形成する場合、かえって歪曲が更に深化されることが明らかになった。従って、コーナ部位にはできるだけ溶接点を少なく形成した方が好適である。
【0018】以上のようなシャドーマスクの電子ビーム通過平面の歪曲現象を抑制するために本発明者が種々の例を通じて実験することにより、以下に記述するようなシャドーマスク21とフレーム22の溶接点の数及びシャドーマスク21のドーミング程度との関係に対する結果を得た。
【0019】まず、図4Aに示した通り、前記シャドーマスク21のスカート部21cとフレーム22との溶接をシャドーマスク21の長短辺部の中心P1、P2とコーナ部C1、C2、C3、C4に一点ずつ溶接する場合はシャドーマスク21の中心からその周辺部に行くほど電子ビームのミスランディング量が大幅に増加する。即ち、シャドーマスク21の中心から長辺方向Xに約250乃至300mmの距離以内で電子ビームのランディング誤差量が不均一に現れる。このような結果は、シャドーマスク21の電子ビーム通過領域が局部的に大きくドーミングされたことを示す。
【0020】また、他の例として、前記シャドーマスク21とフレーム22の溶接位置を図5Aに示した通り決定する。即ち、前記フレーム22と溶接されるシャドーマスク21のスカート部21cの長短辺部の基点である中央部P1、P2からそれぞれのコーナ部C1、C2、C3、C4側にそれぞれ2個の溶接点が位置し、前記コーナ部C1、C2、C3、C4に一個の溶接点が存在する。この場合、図5Bに示した通りシャドーマスク21の中央部から周辺部にいくほど蛍光膜にミスランディングされる電子ビームの状態がほぼ均一な比率で増加する。これは前記シャドーマスク21の電子ビーム通過領域のドーミングがシャドーマスク21の中央部から周辺部にいくほど徐々に増加することを示す。
【0021】そして、更に他の例として、図6Aに示した通り前記フレーム22と溶接されるシャドーマスク21のスカート21cの長短辺部の中央から各コーナ部の間に位置する溶接点の個数がそれぞれ3であり、コーナ部C1、C2、C3、C4に1つの溶接点が備えられる。この場合、図6Bに示した通り、ミスランディング量がシャドーマスク21の電子ビーム通過領域の中央部から200乃至300mm離れた地点で大幅に減少されることがわかる。
【0022】以上の結果からわかるように、前記フレーム22と溶接されるシャドーマスク21またはスカート部21cの中央部とコーナ部との間の1/2地点内に2個以上の溶接点が存在する時シャドーマスク21のドーミング程度、即ち蛍光膜にランディングされる電子ビームのミスランディング程度を大幅に減少することができる。
【0023】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、シャドーマスクの局部的な過多ドーミングが抑制され全体的に均一なドーミング状態を示す。このようにドーミングが均一になれば、通常使われるミスランディング補償手段を通じて安定した電子ビームがランディング可能になる。従って、全体的に均一な色調の画質を有する画像が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の技術及び本発明が適用されるカラー陰極線管の概略的断面図である。
【図2】従来のシャドーマスクフレーム組立体の斜視図である。
【図3】図3はAとBからなり、Aは、本発明によるカラー陰極線管のシャドーマスクフレーム組立体の一部切除斜視図であり、Bは、ドーミングによる平面の歪曲を示すコンピュータシミュレーションによるシャドーマスクの斜視図である。
【図4】図4はAとBからなり、Aは、4ヶ所のコーナ部位と長短辺部の各中心とに溶接位置のあるシャドーマスクフレーム組立体の斜視図であり、Bは、Aに示したシャドーマスクから得たシャドーマスクとフレームとの溶接点の数とミスランディング量の関係を表すグラフである。
【図5】図5はAとBからなり、Aは、本発明による第1実施例の斜視図であり、Bは、前記実施例から得たシャドーマスクとフレームとの溶接点の数とミスランディング量の関係を表すグラフである。
【図6】図6はAとBからなり、Aは、本発明による第2実施例の斜視図であり、Bは、前記実施例から得たシャドーマスクとフレームとの溶接点の数とミスランディング量の関係を表すグラフである。
【符号の説明】
1 カラー陰極線管
2 パネル
3 ファンネル
3a ファンネル3のネック
5 電子銃
10 シャドーマスクフレーム組立体
11 シャドーマスク
11a スカート部
12 フレーム
20 シャドーマスクフレーム組立体
21 シャドーマスク
22 フレーム
21a ビーム通過領域
21a′、21a′′ ビーム通過領域の縁中間部位
21b ボーダ領域
21c スカート
22a 支持面
22b 内向フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 パネルとファンネルが結合された1つの真空容器が備えられ、前記パネルの内部にはシャドーマスクのスカートがフレームの支持面にスポット溶接により固着されることによりシャドーマスクフレーム組立体が設置され、シャドーマスクと対向するパネルの内面には蛍光膜が形成され、かつ前記ファンネルのネックには電子銃が内蔵されたカラー陰極線管に於て、前記フレームの支持面にシャドーマスクのスカートを溶接するための溶接点が、シャドーマスクのスカートの4ヶ所のコーナ部位と、スカートの長短辺部の各中心から各辺の長さの1/4の距離内に複数備えられることを特徴とするカラー陰極線管。
【請求項2】 前記各辺部に形成される溶接点のうちそれぞれの1つは各辺部の中心から各辺長さの5%範囲内に位置し、もう1つは各辺部の中心から各辺長さの20〜25%離れた距離に位置することを特徴とする請求項1に記載のカラー陰極線管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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