説明

カリウム塩またはカリウム塩含有飲食品の呈味改善剤

【課題】
カリウム塩の有する塩味に悪影響を与えることなく、カリウム塩特有の不快味を改善すること。また、飲食品の塩味を低減させることなく、ナトリウム含量を低減させる方法、および、ナトリウム含量を低減させた飲食品を提供すること。
【解決手段】
フタライド類を有効成分とするカリウム塩またはカリウム塩含有飲食品の呈味改善剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呈味改善剤に関し、さらに詳しくは、カリウム塩またはカリウム塩含有飲食品の持つ塩味を低減させることなく、また飲食物本来の風味の特性を変えることなく、カリウム塩由来の金属味やエグ味などの不快な呈味を軽減することのできる呈味改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
塩味は飲食品のおいしさにとって重要な五原味の1つであり、通常、塩化ナトリウム(食塩)によってもたらされる。また、食塩は飲食品の保存性や物性の向上などに係わる重要な素材である。しかしながら、食塩の過剰摂取は生活習慣病との関わりが問題となっている。食塩を継続的に過剰摂取することにより体内にナトリウムが多くたまり、血管の水分量が増加し、その結果血圧が上昇すると考えられている。このように、高血圧の発症原因と食塩の過剰摂取の習慣が密接に結びついていることは今日では常識となっており、さらに他の合併症(心臓疾患、腎臓疾患など)を引き起こす原因としても懸念されており、近年、世界的に食塩摂取量を減らそうという動きがある。国民栄養調査の結果によれば、日本人は、食塩を1日に約11g〜14g摂取していると報告されているが、厚生労働省は、一日当りの食塩摂取量を10g以下とするように勧告している。また、欧米では1日の目標摂取量を6gと推奨しており、日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」では、WHOや欧米の基準を受けて食塩摂取量は1日6g以下にする方が、より望ましいとしている。
【0003】
そこで、近年、飲食品中の食塩含有量を減らす提案、すなわち、塩味を増強させることにより、使用する食塩の量を低減させるさまざまな試みが提案されている。飲食物本来の風味に悪影響をおよぼさずに塩味を増強させる方法としては、例えば、スピラントールを含有する組成物により塩味を増強する方法(特許文献1)などが知られている。しかしながらこの方法では、塩味をある程度増強させることはできるが、ナトリウム含量を減少させたことで生じる全体の呈味不足を十分補完できるものとまではいえなかった。
【0004】
一方、飲食物のナトリウム量を減少させる方法としては、食塩中のナトリウムの一部を
塩味を有する塩化カリウムや苦汁(塩化マグネシウムや塩化カルシウムなどの混合物)に置き換え、ナトリウム量を相対的に減量する方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、塩化カリウムや苦汁は、金属味、えぐみ、苦味など、独特の不快味を有しており、塩化ナトリウムの代替として用いた場合、その不快味も飲食品に付与されてしまうため、その使用量、使用分野は大きく制限されるものとなってしまう。
【0005】
そこで、塩化カリウムの呈味性を改良する目的で、塩化カリウムに有機酸、調味料、甘味料などを配合する試みも数多くなされている。塩化カリウムの不快味を改良する成分として、糖アルコール(特許文献3)、ソーマチン(特許文献4)、有機酸のカルシウム塩または有機酸のマグネシウム塩(特許文献5)、カラギーナン(特許文献6)、昆布エキス(特許文献7)、砂糖製造時に得られる非糖成分濃縮物またはその処理物(特許文献8)、塩基性アミノ酸または塩基性ペプチド(特許文献9)、キナ酸、スピラントールまたはアリウム属植物抽出物(特許文献10)などが提案されている。しかしながら、これらの方法においても、その改善効果が十分ではなく、まだ独特の不快味を有しており、さらなる改善が強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭48−35465号公報
【特許文献2】特開昭59−198953号公報
【特許文献3】特開昭62−32855号公報
【特許文献4】特開昭63−137657号公報
【特許文献5】特開平4−108358号公報
【特許文献6】特開平4−262758号公報
【特許文献7】特開平6−7111号公報
【特許文献8】特開平6−14742号公報
【特許文献9】国際公開第2006/114918号
【特許文献10】特開2010−4767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、カリウム塩の有する塩味に悪影響を与えることなく、カリウム塩特有の不快味を改善することにより、カリウム塩の食塩代替品としての価値を高めることにある。また、さらには、飲食品の塩味を低減させることなく、ナトリウム含量を低減させる方法、および、ナトリウム含量を低減させた飲食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究した結果、フタライド類をカリウム塩またはカリウム塩含有飲食品に含有させることにより、カリウム塩特有のエグ味や金属味などの不快味が改善され、自然な塩味を感じさせるものとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
かくして本発明は、以下のものを提供する。
(1)フタライド類を有効成分とするカリウム塩またはカリウム塩含有飲食品の呈味改善剤。
(2)フタライド類がセダノライド、セダネノライド、3−ブチリデンフタライドおよび3−n−ブチルフタライドから選ばれる1種以上であることを特徴とする(1)に記載のカリウム塩またはカリウム塩含有飲食品の呈味改善剤。
(3)フタライド類がセリ科植物抽出物由来であることを特徴とする(1)または(2)に記載のカリウム塩またはカリウム塩含有飲食品の呈味改善剤。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の呈味改善剤を、フタライド類として10ppb〜1%含有することを特徴とするカリウム塩またはカリウム塩含有飲食品の呈味改善剤組成物。
(5)(1)〜(3)のいずれかに記載の呈味改善剤をフタライド類として0.01ppb〜10ppm添加することを特徴とするカリウム塩またはカリウム塩含有飲食品の呈味改善方法。
(6)(4)の呈味改善剤組成物をフタライド類として0.01ppb〜10ppm添加することを特徴とするカリウム塩またはカリウム塩含有飲食品の呈味改善方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の呈味改善剤はカリウム塩特有のエグ味や金属味などの不快味を改善し、自然な塩味を感じさせるものとすることができるので、カリウム塩を塩化ナトリウムの代替品とすることができ、減塩食品へ応用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明で用いるフタライド類は、セリ科植物の精油中に特徴的に存在する独特のスパイシーな生薬臭を有する一群の化合物類で、フタライド骨格を有する化合物を意味する。具体的には、セダネノライド、セダノライド、3−n−ブチルフタライド、3−ブチリデンフタライド、リグスチライド、クニジライド、イソクニジライド、ネオクニジライド、メチルセダノエート、3−ブチルヘキサヒドロフタライドなどを指す。これらの化合物のうち、特に好ましいものとして、セダネノライド、セダノライド、3−n−ブチルフタライドおよび3−ブチリデンフタライドを例示することができる。これらのフタライド類は合成品を使用しても良く、また、セリ科植物から水または溶剤抽出あるいは水蒸気蒸留などにより抽出物または精油を得て、それらから各種の公知手段などにより精製することもできる。
【0012】
また、これらの化合物は、単独で使用しても良く、また、いくつかを組み合わせて使用しても良い。さらにまた、これらの化合物を含むセンキュウ、トウキ、ロベージ、セロリなどのセリ科植物の精油やオレオレジンなどの抽出物をそのまま、あるいは調合香料の一部として配合した形態として使用することもできる。
【0013】
一方、セリ科植物の精油やオレオレジンは、天然原料であり、安全、安心面から、本発明の呈味改善剤として好ましいが、精油やオレオレジンには、前記のフタライド類の他、リモネン、ミルセン、β−カリオフィレン、α−セリネン、β−セリネン、γ−セリネンなどの炭化水素類などが含まれており、独特の青っぽい香気を有する。これらの、青っぽい香気は、通常の香料用途などのようにセリ科植物の風味を付与する目的で使用する場合は、好ましい風味であるが、本発明の呈味改善剤として使用する場合には、不必要に青っぽい風味を付与してしまうため、低減または除去することが好ましい。特にセリネン類はセリ科植物に特有の青っぽい香気が強いため、できるだけ低減または除去することが望ましい。これら炭化水素類のうちリモネン(沸点:176℃;大気圧)のように沸点の比較的低い物質は、通常の精留塔などを用いた蒸留(温度:50℃〜70℃、圧力:500Pa〜1000Pa)により留出させて低減させることが容易であるが、セスキテルペン炭化水素であるセリネン類(β―セリネン:沸点:260℃;大気圧)およびフタライド類(セダネノライド:沸点:367℃;大気圧)はいずれも香料化合物としては比較的沸点が高い部類に属し、通常の精留塔などを用いた蒸留では、いずれの化合物も釜残に残ってしまい、分離が困難である。したがって、簡便でコストのかからない方法によりセリ科植物の精油やオレオレジンから、セリネン類を除く方法が必要となる。
【0014】
セリ科植物の精油やオレオレジンからセリネンを含む炭化水素類を低減または除去する方法としては、各種クロマトグラフィーなども採用し得るが、簡便で、かつ、工業的に実施可能な方法として分子蒸留を挙げることができる。分子蒸留とは、高真空条件下での蒸留であって、蒸発した分子が他の分子と衝突を起こさず冷却面へ到達して凝縮するような蒸留による精製方法をいう。使用される装置あるいは器具については、かかる方法が適用できる装置であれば、特にその種類は問わないが、一般的に回分式または連続式分子蒸留装置があり、形式により流下薄膜式分子蒸留装置、遠心薄膜式分子蒸留装置に分類される。これらの装置の中でも安定した薄膜状態を形成できる観点から遠心薄膜式分子蒸留装置、特に連続式遠心薄膜式分子蒸留装置を使用することが好ましい。
【0015】
遠心薄膜式分子蒸留装置を使用し、炭化水素類を除くための条件としては温度90℃〜110℃、圧力10Pa〜30Paを例示することができる。この条件により、リモネンのような軽沸点の炭化水素類はもちろんのこと、セスキテルペン炭化水素であるセリネンも留去することができ、釜残としてフタライド類を得ることができる。分子蒸留に供する原料が精油である場合は、一回の分子蒸留で前記の釜残としてフタライド類を60%以上含有する本発明の呈味改善剤とすることができる。さらにまた、原料がオレオレジンなどの不揮発性成分を含む場合には、前記条件で、炭化水素類を除いた後、フタライド類を含む釜残を、再度分子蒸留に供し、温度140℃〜160℃、圧力10Pa〜30Paの条件でフタライド類を留出させ、留出部としてフタライド類を60%以上含有する本発明の呈味改善剤とすることができる。
【0016】
なお、かかる分子蒸留法それ自体は、一般に油脂などの精製に用いられる他、オレンジなどの精油の脱テルペン分画に用いられているが、セリ科植物の精油またはオレオレジンから、リモネンやセリネン類などの不必要な成分を低減または除去して呈味改善剤を精製するために適用されることは知られていない。
【0017】
本発明は、これらのフタライド類を有効成分とするカリウム塩またはカリウム塩含有飲食品の呈味改善剤に関し、これらのフタライド類をフタライド類特有のスパイシーな生薬臭を感じさせないレベルの低含量でカリウム塩またはカリウム塩含有飲食品に含有させることで、カリウム塩特有のエグ味や金属味などの不快味を改善し、自然な塩味を感じさせるものとすることができる。
【0018】
本発明の呈味改善剤はカリウム塩や、カリウム塩含有飲食品に添加して使用することができるが、フタライド類は油溶性であり、そのままでは水への分散性が悪く、カリウム塩や飲食品に添加しづらいため、フタライド類を含有する組成物として使用することが好ましい。このような組成物としては、フタライド類を水混和性有機溶剤に溶解した溶液、乳化製剤、粉末製剤などを例示することができる。
【0019】
フタライド類を溶解するための水混和性有機溶剤としては、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、2−メチルエチルケトン、2−プロパノール、メチルエチルケトン、グリセリン、プロピレングリコールなどを例示することができる。これらのうち、飲食品への使用の観点から、エタノールまたはグリセリンが特に好ましい。
【0020】
また、乳化製剤とするためには、フタライド類を乳化剤と共に乳化して得ることができる。フタライド類の乳化方法としては特に制限されるものではなく、従来から飲食品等に用いられている各種の乳化剤、例えば、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、化工でん粉、ソルビタン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、アラビアガム、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸及びその塩類、カラギーナン、ゼラチン、カゼインなどを使用してホモミキサー、コロイドミル、回転円盤型ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いて乳化処理することにより安定性の優れた乳化液を得ることができる。これら乳化剤の使用量は厳密に制限されるものではなく、使用する乳化剤の種類などに応じて広い範囲にわたり変えることができるが、通常、本発明のフタライド類1質量部に対約0.01〜約100重量部、好ましくは約0.1〜約50重量部の範囲内が適当である。また、乳化を安定させるため、かかる水溶性溶液は水の他に例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、ショ糖、グルコース、トレハロース、糖液、還元水飴などの多価アルコール類の1種または2種以上の混合物を配合することができる。
【0021】
また、かくして得られた乳化液は、所望により乾燥することにより粉末製剤とすることができる。粉末化に際して、さらに必要に応じて、トレハロース、デキストリン、砂糖、乳糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴等の糖類を適宜配合することもできる。これらの使用量は粉末製剤に望まれる特性等に応じて適宜に選択することができる。
【0022】
本発明における、上記呈味改善剤組成物中のフタライド類の濃度は、特に制限はないが、フタライド類として10ppb〜1%、好ましくは100ppb〜0.1%、より好ましくは1ppm〜0.1%を例示することができる。
【0023】
また、本発明のカリウム塩またはカリウム塩含有飲食品の呈味改善剤組成物中には、その他の成分を任意に組み合わせることもできる。組み合わせるこのとのできる成分としては特に制限はなく、また、各種の香料成分、油溶性色素類、ビタミン類、機能性物質などを例示することができる。香料成分としては、各種天然精油、エキストラクト、オレオレジン、レジノイドなどの天然物の抽出物、合成香料化合物、またはこれらを調合した調合香料のいずれであっても使用することができる。天然精油としては、例えば、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツなどの柑橘類精油、花精油、ペパーミント油、スペアミント油、スパイス油などの植物精油が挙げられ、天然物の抽出物としては、例えば、コーラナッツエキストラクト、コーヒーエキストラクト、ワニラエキストラクト、ココアエキストラクト、紅茶エキストラクト、スパイス類エキストラクトなどの油性のエキストラクト、レジノイドおよびこれらのオレオレジン類などが挙げられ、合成香料化合物としては、例えば、”日本における食品香料化合物の使用実態調査”(平成12年度 厚生科学研究報告書;日本香料工業会 平成13年3月発行)、”合成香料 化学と商品知識”(2005年3月22日増補改訂版発行 印藤元一著 化学工業日報社)等に記載のエステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、炭化水素類、含窒素及び/または含硫化合物類、酸類の群から選ばれる少なくとも1種以上の合成香料などが挙げられる。また、油溶性色素類としては、例えば、β−カロチン、パプリカ色素、アナトー色素及びクロロフィルなどの油溶性天然色素類が挙げられ、油溶性ビタミン類としては、例えば、肝油、ビタミンA、ビタミンA油、ビタミンD3、ビタミンB2酪酸エステル、ビタミンE、ビタミンFなどが挙げられ、機能性物質としては、例えば、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、DHAおよび/またはEPA含有魚油、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸、月見草油、ボラージ油、レシチン、オクタコサノール、ローズマリー抽出物、セージ抽出物、γ−オリザノール、β−カロチン、パームカロチン、シソ油などを挙げることができる。
【0024】
本発明の呈味改善剤または呈味改善剤組成物はカリウム塩や、カリウム塩含有飲食品に制限なく使用することができ、特に食塩代替品として広く用いられている塩化カリウムの呈味改善に好適である。
【0025】
本発明の呈味改善剤をカリウム塩そのものに添加し、呈味の改善されたカリウム塩とする場合は、前記のフタライド類を含有する水混和性有機溶剤溶液をカリウム塩に噴霧した後乾燥する方法、前記のフタライド類を含有する乳化組成物をカリウム塩に噴霧した後乾燥する方法、あるいは、前記フタライド類を含有する粉末組成物をカリウム塩と粉体混合する方法などを採用することができる。
【0026】
本発明の呈味改善剤または呈味改善剤組成物のカリウム塩への添加量は、塩化カリウム等による食塩の代替率、カリウム塩の添加濃度、他の食品原材料等に応じて適宜設定すればよく、特に制限はないが、例えば、カリウム塩に対するフタライド類の量として、カリウム塩の質量を基準として、1ppb〜1000ppm、好ましくは10ppb〜100ppm、より好ましくは0.1ppm〜100ppmの添加量が適当である。
【0027】
また、本発明の呈味改善剤または呈味改善剤組成物をカリウム塩を使用した減塩食品などのカリウム塩含有飲食品に使用する場合は、当該飲食品の製造過程において適宜、本発明の呈味改善剤または呈味改善剤組成物を添加することができ、既にカリウム塩を含有している飲食品に本発明の呈味改善剤を添加してもよく、上記の本発明の呈味改善剤とカリウム塩を混合した組成物を飲食品に添加してカリウム塩含有飲食品としてもよい。
その際の、カリウム塩含有飲食品におけるフタライド類の配合割合は、最終製品である飲食品に対して0.01ppb〜10ppm、好ましくは0.1ppb〜1ppm、より好ましくは1ppb〜1ppmを例示できる。また、これらのフタライド類は、前記の通り、実質上は呈味改善剤組成物中に配合して、製剤を最終製品に添加する場合が多い。その場合、呈味改善剤組成物中の最終製品への添加量はおおよそ0.01%〜1%程度と考えられるため、呈味改善剤組成物中のフタライド類の配合量としては10ppb〜1%、好ましくは100ppb〜1000ppm程度が好ましい。
【0028】
以上の配合割合により、カリウム塩含有飲食品は、カリウム塩特有の金属味やエグ味などの不快な呈味を軽減することができ、自然な塩味を感じさせるものとなる。
【0029】
本発明の呈味改善剤の添加量が多くなると呈味改善剤自体のスパイシーな香気が感じられるようになるため、一般的にはそれ以下の添加量で使用するが、呈味改善剤自体の香味が問題にならないような場合は、上記添加量を超えて使用しても差し支えない。
【0030】
また、本発明の呈味改善剤は塩化カリウム等の食塩代替品として使用されるカリウム塩の他、グルタミン酸カリウム、クエン酸カリウム等を含有する飲食品に添加し、カリウム化合物の金属味やエグ味などの不快味を軽減し、呈味性を改善することもできる。
【0031】
本発明の呈味改善剤を添加する対象飲食品は、カリウム塩を含有する飲食品であれば特に限定はなく、呈味性の改善を求めるすべての飲食品へ添加することができる。これらの飲食品としては、例えば、せんべい、あられ、おこし、餅類、饅頭、ういろう、あん類、羊かん、水羊かん、錦玉、ゼリー、カステラ、ビスケット、クラッカー、ポテトチップス、クッキー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンディー、ピーナッツペーストなどのペースト類などの菓子類;パン、うどん、ラーメン、すし、五目飯、チャーハン、ピラフ、餃子の皮、シューマイの皮、お好み焼き、たこ焼き、などのパン類、麺類、ご飯類;糠漬け、梅干、福神漬け、べったら漬け、千枚漬け、らっきょう、味噌漬け、たくあん漬け、及び、それらの漬物の素などの漬物類;サバ、イワシ、サンマ、サケ、マグロ、カツオ、クジラ、カレイ、イカナゴ、アユなどの魚類、スルメイカ、ヤリイカ、紋甲イカ、ホタルイカなどのイカ類、マダコ、イイダコなどのタコ類、クルマエビ、ボタンエビ、イセエビ、ブラックタイガーなどのエビ類、タラバガニ、ズワイガニ、ワタリガニ、ケガニなどのカニ類、アサリ、ハマグリ、ホタテ、カキ、ムール貝などの貝類、などの魚介類の缶詰、煮魚、塩干物、佃煮、魚醤、すり身、水産練り製品(ちくわ、蒲鉾、あげ蒲鉾、カニ足蒲鉾など)、フライ、天ぷら、などの魚介類の水産加工品類;鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉、馬肉などの畜肉類などを用いたカレー、シチュー、ビーフシチュー、ハヤシライスの具、ミートソース、マーボ豆腐、ハンバーグ、餃子、ハム、肉団子、角煮、缶詰などの畜肉加工品類;食卓塩、調味塩、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、ふりかけ、お茶漬けの素、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、麺つゆ、ソース、ケチャップ、焼肉のタレ、カレールー、シチューの素、スープの素、釜飯の素、だしの素、複合調味料、新みりん、唐揚げ粉・たこ焼き粉などのミックス粉、などの調味料類;その他、チーズ、バターなどの乳製品、筑前煮、おでん、鍋物などの煮物類、持ち帰り弁当の具や惣菜類、トマトジュース、スポーツ飲料などを例示できる。
【0032】
本発明の呈味改善剤は、特に減塩の目的で食塩の塩化カリウムによる代替率を高めたいにも関わらず、塩化カリウムのエグ味等の呈味性の点で代替率が制限されているような飲食品に好適であり、上記飲食品の中でも特に、かまぼこ、ハム、パン、塩干物、漬物、梅干、醤油、だしの素、魚醤、みそ、ソース、スープ、バター、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、調味食品、スナック菓子等への使用が好ましい。
【0033】
なお、本発明の呈味改善剤を使用すると、塩化カリウムに限らず、カリウム含有飲食品、例えば、グルタミン酸カリウム、クエン酸カリウム等が含有されている飲食品であっても、それらの金属味やエグ味などの不快味を軽減し、呈味性を改善することができる。
【0034】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【実施例】
【0035】
(実施例1)呈味改善剤パウダー(1)の調製
セダネノライド1gに中鎖脂肪酸トリグリセライド19.0gおよびSAIB30gを混合溶解し油相部とした。他方、軟水680gにパインデックス(登録商標)No.2(松谷化学工業社製)を900gおよびHLB15のショ糖脂肪酸エステル50gを加えて溶解し、85℃で15分間加熱殺菌した。この溶液を約40℃に冷却後、TK−ホモミキサー(特殊機化工業製)で攪拌混合しながら先に調製した油相部50gを注加し、更に5000回転/分で5分間攪拌混合して乳化処理し、乳化液1690gを得た。この乳化液を噴霧乾燥機(NIRO社製:モービルマイナー(登録商標))を用いて送風温度150℃、排風温度80℃で乾燥し、呈味改善剤パウダー950gを得た(本発明品1:セダネノライド0.1%含有)。
【0036】
(実施例2)塩化カリウムの呈味改善(1)
塩化カリウム1%水溶液に本発明品1を添加し、水溶液中のセダネノライド濃度を表1に示す濃度とし、訓練されたパネラー10名により本発明品添加および無添加の塩化カリウム水溶液について香味比較評価を行った。その結果を表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
表1に示した通り、1%塩化カリウム水溶液に対し、セダネノライドを0.01ppb〜10ppm添加することにより、塩化カリウムの金属味・エグ味が低減し、塩味の質が食塩の塩味に近づくことが示された。セダネノライドの添加量としては0.1ppb〜1ppm程度が特に良好であった。なお、10ppm添加では金属味・エグ味は低減したが、多少スパイシーな香気も感じられた。また、0.01ppbという低濃度でも金属味・エグ味が若干低減したと感じたパネラーもおり、低濃度でも塩化カリウムの金属味・エグ味の低減効果があることが判明した。
【0039】
(実施例3)呈味改善剤パウダー(2)の調製
3−n−ブチルフタライド1gに中鎖脂肪酸トリグリセライド19.0gおよびSAIB30gを混合溶解し油相部とした。他方、軟水680gにパインデックスNo.2を900g及びHLB15のショ糖脂肪酸エステル50gを加えて溶解し、85℃で15分間加熱殺菌した。この溶液を約40℃に冷却後、TK−ホモミキサー(特殊機化工業製)で攪拌混合しながら先に調製した油相部50gを注加し、更に5000回転/分で5分間攪拌混合して乳化処理し、乳化液1690gを得た。この乳化液を、噴霧乾燥機(NIRO社製:モービルマイナー)を用いて送風温度150℃、排風温度80℃で乾燥し、呈味改善剤パウダー950gを得た(本発明品2:3−n−ブチルフタライド0.1%含有)。
【0040】
(実施例4)塩化カリウムの呈味改善(2)
塩化カリウム1%水溶液に本発明品2を添加し、水溶液中の3−n−ブチルフタライド濃度を表2に示す濃度とし、訓練されたパネラー10名により本発明品添加および無添加の塩化カリウム水溶液について香味比較評価を行った。その結果を表2に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
表2に示した通り、n−3−ブチルフタライドについてもセダネノライドとほぼ同様の結果であった。すなわち、1%塩化カリウム水溶液に対し、n−3−ブチルフタライドを0.01ppb〜10ppm添加することにより、塩化カリウムの金属味・エグ味が低減し、塩味の質が食塩の塩味に近づくことが示された。n−3−ブチルフタライドの添加量としては0.1ppb〜1ppm程度が特に良好であった。なお、10ppm添加では金属味・エグ味は低減したが、多少スパイシーな香気も感じられた。また、0.01ppbという低濃度でも金属味・エグ味が若干低減したと感じたパネラーもおり、低濃度でも塩化カリウムの金属味・エグ味の低減効果があることが判明した。
【0043】
(実施例5)呈味改善剤パウダー(3)の調製
セダノライド1gに中鎖脂肪酸トリグリセライド19.0gおよびSAIB30gを混合溶解し油相部とした。他方、軟水680gにパインデックスNo.2を900g及びHLB15のショ糖脂肪酸エステル50gを加えて溶解し、85℃で15分間加熱殺菌した。この溶液を約40℃に冷却後、TK−ホモミキサー(特殊機化工業製)で攪拌混合しながら先に調製した油相部50gを注加し、更に5000回転/分で5分間攪拌混合して乳化処理し、乳化液1690gを得た。この乳化液を噴霧乾燥機(NIRO社製:モービルマイナー)を用いて送風温度150℃、排風温度80℃で乾燥し、呈味改善剤パウダー950gを得た(本発明品3:セダノライド0.1%含有)。
【0044】
(実施例6)塩化カリウムの呈味改善(3)
塩化カリウム1%水溶液に本発明品3を添加し、水溶液中のセダノライド濃度を表3に示す濃度とし、訓練されたパネラー10名により本発明品添加および無添加の塩化カリウム水溶液について香味比較評価を行った。その結果を表3に示す。
【0045】
【表3】

【0046】
表3に示した通り、セダノライドについても、セダネノライドおよびn−3−ブチルフタライドとほぼ同様の結果であった。すなわち、1%塩化カリウム水溶液に対し、セダノライドを0.01ppb〜10ppm添加することにより、塩化カリウムの金属味・エグ味が低減し、塩味の質が食塩の塩味に近づくことが示された。セダノライドの添加量としては0.1ppb〜1ppm程度が特に良好であった。なお、10ppm添加では金属味・エグ味は低減したが、多少スパイシーな香気も感じられた。また、0.01ppbという低濃度でも金属味・エグ味が若干低減したと感じたパネラーもおり、低濃度でも塩化カリウムの金属味・エグ味の低減効果があることが判明した。
【0047】
(実施例7)呈味改善剤パウダー(4)の調製
セリ科植物抽出物(セリ科植物精油を蒸留などの手段により精製して得たもの:フタライド類として3−n−ブチルフタライド8.0%、セダネノライド65.5%、セダノライド3.5%含有)1.3gに中鎖脂肪酸トリグリセライド18.7gおよびSAIB30gを混合溶解し油相部とした。他方、軟水680gにパインデックスNo.2を900g及びHLB15のショ糖脂肪酸エステル50gを加えて溶解し、85℃で15分間加熱殺菌した。この溶液を約40℃に冷却後、TK−ホモミキサー(特殊機化工業製)で攪拌混合しながら先に調製した油相部50gを注加し、更に5000回転/分で5分間攪拌混合して乳化処理し、乳化液1690gを得た。この乳化液を噴霧乾燥機(NIRO社製:モービルマイナー)を用いて送風温度150℃、排風温度80℃で乾燥し、呈味改善剤パウダー950gを得た(本発明品4:フタライド類として0.1%含有)。
【0048】
(実施例8)塩化カリウムの呈味改善(4)
塩化カリウム1%水溶液に本発明品を添加し、フタライド類の濃度を表4に示す濃度とし、訓練されたパネラー10名により本発明品添加および無添加の塩化カリウム水溶液について香味比較評価を行った。その結果を表4に示す。
【0049】
【表4】

【0050】
表4に示した通り、1%塩化カリウム水溶液に対し、セリ科抽出物をフタライド類として0.01ppb〜10ppm添加することにより、塩化カリウムの金属味・エグ味が低減し、塩味の質が食塩の塩味に近づくことが示された。フタライド類の添加量としては0.1ppb〜1ppm程度が特に良好であった。なお、10ppm添加では金属味・エグ味は低減したが、多少スパイシーな香気も感じられた。また、0.01ppbという低濃度でも金属味・エグ味が若干低減した感じたパネラーもおり、低濃度でも塩化カリウムの金属味・エグ味の低減効果があることが判明した。
【0051】
(実施例9)食塩・塩化カリウム組成物
食塩280gおよび塩化カリウム120gを水4kgに添加して完全溶解させた後、さらに、セリ科植物抽出物(セリ科植物精油を蒸留などの手段により精製して得たもの:フタライド類として3−n−ブチルフタライド8.0%、セダネノライド65.5%、セダノライド3.5%含有)の0.1%エタノール溶液を0.52g加えて、フタライド類含有組成物を含む食塩と塩化カリウムの混合水溶液を調製した。その水溶液を入口温度120℃、出口温度80℃で噴霧乾燥して塩化カリウムと食塩の混合粉末380gを得た(本発明品5:フラタイド類として1ppm含有)。一方、セリ科植物抽出物を添加しない以外は、本発明品5と全く同様の操作を行い、フタライド類無添加の塩化カリウムと食塩の混合粉末380gを得た(比較品1)。
【0052】
本発明品5と比較品1を目玉焼き(卵1個分)に対し、それぞれ0.3gずつふりかけ、10名の訓練されたパネラーが食して呈味の評価を行った。その結果、8名のパネラーが、本発明品5は比較品1に比べ、塩化カリウム特有の金属味・エグ味が低減し、食塩の自然な塩味を有していると認め、本発明の呈味改善効果を認識した。また本発明品由来の異味異臭を感じたパネラーは0名であった。
【0053】
(実施例10)ラーメンスープ(醤油味)
表5の処方により通常のラーメンスープまたは減塩ラーメンスープを調製し、減塩ラーメンスープに本発明品1または本発明品4の呈味改善剤を、セダネノライド(本発明品1)またはフタライド類(本発明品4)のラーメンスープ中の含量がそれぞれ表6に記載した値となるよう添加し、呈味改善剤無添加品を対照として、訓練されたパネラー10名により官能評価を行った。その平均的な評価結果を表6に示す。
【0054】
【表5】

【0055】
【表6】

【0056】
表6に示したとおり、減塩ラーメンスープに本発明の呈味改善剤であるフタライド類を添加すると塩化カリウム特有の金属味の呈味改善効果がみられ、また塩味増強効果もみられた。一方、ラーメンスープ本来の風味である畜肉、魚介類、野菜、スパイスなどの風味には悪影響を及ぼすことは見られなかった。また本発明品に由来する異味異臭を感じたパネラーはいなかった。
【0057】
(実施例11)浅漬けの素
市販の減塩浅漬けの素(液状、食塩3.5%および塩化カリウム2.5%含有)100mlに本発明品2の呈味改善剤組成物を3−n−ブチルフタライドとして表7に記載した値となるよう添加し、3−n−ブチルフタライド添加および無添加の減塩浅漬けの素を調製した。一方、キュウリをよく水洗いし、2〜3mmに切り、200gずつ小分けし、ポリエチレン袋に入れた。それぞれの減塩浅漬けの素を裁断したキュウリの入ったポリエチレン袋に加え、よく攪拌し、袋の上から手もみし、十分脱気して冷蔵庫で3時間保管した後、よく水洗したそれぞれの浅漬けキュウリについて、無添加品をコントロールとして訓練された10名のパネラーによる香味比較評価を行った。その結果を表7に示す。
【0058】
【表7】

【0059】
表7に示したとおり、3−n−ブチルフタライドを0.01ppb〜10ppm添加することにより、減塩浅漬けの素により漬けられたキュウリの金属味・エグ味が低減し、自然な塩味となっていることが示された。3−n−ブチルフタライドの添加量としては1ppb〜1ppm程度が特に良好であった。なお、10ppm添加では金属味・エグ味が低減していたが、多少スパイシーな香気が感じられた。また、0.01ppbという低濃度でも金属味・エグ味が低減したと感じたパネラーもおり、低濃度でも金属味・エグ味の低減効果があることが認められた。
【0060】
(実施例12)減塩イカ塩辛
市販の減塩イカ塩辛(食塩3%および塩化カリウム3%含有)に本発明品3の呈味改善剤組成物をセダノライドとして表8に記載した値となるよう添加し、セダノライド添加および無添加の減塩イカ塩辛を作製した。それぞれの減塩イカ塩辛について、無添加品をコントロールとして10名のパネラーによる香味比較評価を行った。その結果を表8に示す。
【0061】
【表8】

【0062】
表8に示したとおり、セダノライドを0.01ppb〜10ppm添加することにより、減塩イカ塩辛の金属味・エグ味が低減し、自然な塩味となっていることが示された。セダノライドの添加量としては1ppb〜1ppm程度が特に良好であった。なお、10ppm添加では金属味・エグ味が低減していたが、多少スパイシーな香気が感じられた。また、0.01ppbという低濃度でも金属味・エグ味が低減したと感じたパネラーもおり、低濃度でも金属味・エグ味の低減効果があることが認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フタライド類を有効成分とするカリウム塩またはカリウム塩含有飲食品の呈味改善剤。
【請求項2】
フタライド類がセダノライド、セダネノライド、3−ブチリデンフタライドおよび3−n−ブチルフタライドから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のカリウム塩またはカリウム塩含有飲食品の呈味改善剤。
【請求項3】
フタライド類がセリ科植物抽出物由来であることを特徴とする請求項1または2に記載のカリウム塩またはカリウム塩含有飲食品の呈味改善剤。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の呈味改善剤を、フタライド類として10ppb〜1%含有することを特徴とするカリウム塩またはカリウム塩含有飲食品の呈味改善剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の呈味改善剤をフタライド類として0.01ppb〜10ppm添加することを特徴とするカリウム塩またはカリウム塩含有飲食品の呈味改善方法。
【請求項6】
請求項4の呈味改善剤組成物をフタライド類として0.01ppb〜10ppm添加することを特徴とするカリウム塩またはカリウム塩含有飲食品の呈味改善方法。

【公開番号】特開2012−80778(P2012−80778A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226817(P2010−226817)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000214537)長谷川香料株式会社 (176)
【Fターム(参考)】