説明

カードの構造

【課題】寸法安定性にすぐれた針布付きカードトップバーを単純な仕方で得ることができるようにし、より単純かつ迅速な針布交換を可能にすることを目的とする。
【解決手段】カードトップ針布24を有する少なくとも1つのカードトップバー14が設けられた、木綿、合成繊維などのためのカードの構造において、カードトップ針布24がカードトップバー14に締結され、シリンダの針布と向き合うように位置決めされており、少なくともカードトップバー14に面した針布の領域が鉄系製品、特に鋼で作られている。少なくとも1つの磁石部材29がカードトップバー14とカードトップバー14に面した針布の領域の間に存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードトップ針布を有する少なくとも1つのカードトップバーが設けられていて、そのカードトップ針布がカードトップバーに固定され、ローラ、例えばシリンダの針布と向き合うように位置決めされており、少なくともカードトップバーに面した針布の領域が鉄系材料、特に鋼で作られている、木綿、合成繊維などのためのカードの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の装置(特許文献1)では、カードトップバーは、背部と、脚部表面を有するキャリヤ本体(キャリヤ)とからなる。脚部表面(布を収納する部分)には、脚部表面の縦方向に延びる全体鋼の針布または針布ストリップ(たわみ性のある針布)である。全体が鋼の針布は、互いに隣接するように配置された多数の鋸歯ワイヤ部分からなる。針布ストリップは、複数の繊維層からなるキャリヤ部材を包含し、その中に多数の小さなワイヤフック(針布の先端)が固定されている。各々のケースにおいて針の先端から離れているスチール針布の領域は、カードトップバーと結合している。針布ストリップは、キャリヤ本体の長手側に沿って2つのクランプ(ブラケット、クリップ)によって固定されている。クランプは、その一端をもって針布ストリップの縦方向に向けられたエッジ領域を包囲し、他端をもってキャリヤ本体の凹部と噛み合う。実際のところ、クランプは、一方の縦方向エッジが繊維材料に切り込むシートメタルストリップからなる。組み立てると、針布ストリップの繊維材料は、カードトップバーのキャリヤ本体に固定され、かなりの応力のもとで強制的に嵌合させられる。その工程において、クランプは引張力を発揮し、繊維材料が脚部表面から遠ざかる形で凸形に変形し、それで、外向きの針の先端も、望ましくないことに凸面上に配列されたような形になる。非使用時、出来上がった状態のカードトップアセンブリは、高さ精度および平坦度が0.05mmである。使用時、アセンブリの高さの差異は約0.2mmに増大する。針布を機械で鋭利に仕上げても、精度は取るに足らぬほどしか向上しない。約400tの繊維材料を処理した後、カードトップ針布は交換しなければならないほど摩耗している。シートメタルステープルを外すため、カードトップバーをクランプで保持し、強制嵌合をレバーとペンチで解除する。組立と分解の間に生じるかなりの力は、カードトップバーの寸法安定性に悪影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第3151362号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、本発明の課題は、上に挙げた欠点を回避し、寸法安定性にすぐれた針布付きカードトップバーを特に単純な仕方で得ることができるようにし、より単純かつ迅速な針布替え(針布交換)を可能にする、冒頭に挙げた種類のカードの構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴によって解決される。
すなわち1番目の発明においては、カードトップ針布を有する少なくとも1つのカードトップバーが設けられていて、該カードトップ針布がシリンダの針布と向き合うように位置決めされており、少なくともカードトップバーに面したカードトップ針布の領域が鉄系材料、特に鋼で作られている、木綿、合成繊維などのためのカードの構造において、カードトップバー(14)とカードトップ針布(24;241,242)のカードトップバー(14)に面した領域(26')の間に少なくとも1つの磁石部材(29;29a〜29n)が設けられていることを特徴とする構造が提供される。
【0006】
この解決により、針布ストリップ(設定構造に応じて配置されたキャリヤ層とワイヤ)をカードトップバーに簡単に着座させることが可能となり、加えて、いかなる損傷も生じさせることなくその交換を行うことも可能となる。例えば、針布が摩耗したとき、交換すべき針布ストリップを容易に取り外すことができ、本発明による針布が着座した無傷のカードトップバーを新しい針布ストリップのために使用することができる。
【0007】
請求項2〜60は、本発明の有利な発展形態を含む。
2番目の発明によれば、1番目の発明において、磁石部材がカードトップバーに固定されている。
3番目の発明によれば、2番目の発明において、磁石部材が接着剤の層などによって固定されている。
4番目の発明によれば、2番目の発明において、磁石部材がねじなどによって固定されている。
5番目の発明によれば、1番目から4番目のいずれかの発明において、磁石部材が永久磁気材料で作られている。
6番目の発明によれば、1番目から5番目のいずれかの発明において、磁力が、布に作用する力、例えばカーディング力、回転クリーニングローラなどの力より大きい。
7番目の発明によれば、1番目から6番目のいずれかの発明において、針布が磁石部材から取り外し可能である。
8番目の発明によれば、1番目から7番目のいずれかの発明において、針布が固定要素としての磁石部材によってカードトップバーに結合させられている。
9番目の発明によれば、1番目から8番目のいずれかの発明において、針布が磁石部材から可逆的に取り外し可能である。
10番目の発明によれば、1番目から9番目のいずれかの発明において、針布が、裏当て層、例えば繊維層などに設定され、ほぼU字形に曲げられたワイヤなどからなり、該ワイヤがU字形のウェブ部分が裏当て層の裏側に出るように差しこまれている。
11番目の発明によれば、1番目から10番目のいずれかの発明において、補償層がカードトップバーとカードトップ針布の間に存在し、該補償層がカードトップバーとカードトップ針布の間の異なる隙間を補償できるようになっている。
12番目の発明によれば、1番目から11番目のいずれかの発明において、補償層が、カードトップ針布の裏面とカードトップバー脚部表面の間の異なる隙間を補償できるようになっている。
13番目の発明によれば、1番目から12番目のいずれかの発明において、補償層が、カードトップヘッドのすべり面とカードトップバー脚部表面の間の異なる隙間を補償できるようになっている。
14番目の発明によれば、1番目から13番目のいずれかの発明において、補償層が、カードトップヘッドのすべり面と針布の先端によって形成された円の間の異なる隙間を補償できるようになっている。
15番目の発明によれば、1番目から14番目のいずれかの発明において、補償層が、針布の先端によって形成された円とシリンダの針布の先端によって形成された円の間の異なる隙間を補償できるようになっている。
16番目の発明によれば、1番目から15番目のいずれかの発明において、シリンダ針布の上面が、カードトップバーおよびカードトップ針布の方位の基準表面を構成する。
17番目の発明によれば、1番目から16番目のいずれかの発明において、補償層が、裏面と脚部表面の間の局部的に異なる隙間を補償できるようになっている。
18番目の発明によれば、1番目から17番目のいずれかの発明において、カードトップバーが回転するカードトップの一部をなす。
19番目の発明によれば、1番目から17番目のいずれかの発明において、カードトップバーが固定カーディングエレメントである。
20番目の発明によれば、1番目から19番目のいずれかの発明において、可撓性の針布が存在する。
21番目の発明によれば、20番目の発明において、可撓性の針布がキャリヤと、針布チップ、ワイヤ、フックなどとからなる。
22番目の発明によれば、21番目の発明において、キャリヤがストリップ状である。
23番目の発明によれば、1番目から22番目のいずれかの発明において、針布が鋸歯ワイヤストリップ、例えばオールスチールの針布からなる。
24番目の発明によれば、1番目から23番目のいずれかの発明において、針布が脚部表面の領域においてカードトップバーに取り付けられている。
25番目の発明によれば、1番目から24番目のいずれかの発明において、プラスチック材料、人工樹脂、例えばエポキシ樹脂などが補償物質として設けられている。
26番目の発明によれば、1番目から25番目のいずれかの発明において、カードトップバーが軽金属、例えばアルミニウムからなる押出し成形品である。
27番目の発明によれば、26番目の発明において、押出し成形品が中空の形である。
28番目の発明によれば、1番目から27番目のいずれかの発明において、2つのエンドピース(カードトップ頭)がキャリヤ本体と結合している。
29番目の発明によれば、28番目の発明において、エンドピースが焼入鋼などからなるピンである。
30番目の発明によれば、1番目から29番目のいずれかの発明において、キャリヤ部材(織物材料)および補償層が脚部表面(キャリヤ本体)の凹部の中に配置されている。
31番目の発明によれば、30番目の発明において、凹部が、キャリヤ本体の長手側において少なくとも2つの横ウェブなどによって制限されている。
32番目の発明によれば、1番目から31番目のいずれかの発明において、曲げられたワイヤの背骨の部分が位置する針布ストリップの下側が、カードトップバーに固定された磁石によって確実に保持固定されている。
33番目の発明によれば、1番目から32番目のいずれかの発明において、針布ストリップが、例えばカードトップバーに取り付けられたウェブによってキャリヤ層の側面に横から付加的に固定されている。
34番目の発明によれば、1番目から33番目のいずれかの発明において、針布ストリップはすべて、例えば設定構造に関係なく磁石によってフレキシビリティに保持されるように配置され、それで、カードトップバーへの結合が作られる。
35番目の発明によれば、34番目の発明において、結合が、例えばカードトップバーに固定されたシートメタル部材によって機械的に支持される。
36番目の発明によれば、1番目から35番目のいずれかの発明において、針布ストリップが、例えばウェブによって機械的に保持されることによって水平面内で付加的に固定または保持されるようになっている。
37番目の発明によれば、36番目の発明において、2つのウェブが長手方向の側部に存在し、および/または、2つのウェブが横方向の側部に存在する。
38番目の発明によれば、1番目から37番目のいずれかの発明において、カードトップバーの磁石と接触させられたシートメタル部材が接着性の補償層を介して付加的に固定された針布ストリップが収納されている。
39番目の発明によれば、1番目から38番目のいずれかの発明において、垂直方向の結合が機械的に支持される。
40番目の発明によれば、1番目から39番目のいずれかの発明において、針布ストリップが、キャリヤ層があるだけでワイヤが一切埋め込まれていないその外エッジに、例えばワイヤ爪を付加的に付けている。
41番目の発明によれば、1番目から40番目のいずれかの発明において、磁石部材、例えば磁石テープ、磁石ストリップ、磁石バーなどがカードトップバーの縦方向に延びている。
42番目の発明によれば、1番目から41番目のいずれかの発明において、複数の磁石コンポーネントがカードトップバーの縦方向に存在する。
43番目の発明によれば、42番目の発明において、磁石コンポーネントが互いに間隔をあけて配置されている。
44番目の発明によれば、42番目の発明において、磁石コンポーネントが互いに関してオフセットで配置されている。
45番目の発明によれば、44番目の発明において、オフセット配置の向きが動作方向である。
46番目の発明によれば、1番目から45番目のいずれかの発明において、磁石材料から作られたベースがカードトップ針布の裏側に配置されている。
47番目の発明によれば、46番目の発明において、前記ベースが鋼テープ、シートメタル部材などである。
48番目の発明によれば、46番目または47番目の発明において、前記ベースがその側部に、ある角度で曲げられたアタッチメント、ウェブなどを有する。
49番目の発明によれば、1番目から48番目のいずれかの発明において、カードトップ針布が、各々、磁石によって保持された少なくとも2グループの針布を有する。
50番目の発明によれば、49番目の発明において、少なくとも2グループの針布が、各々、シリンダ針布に関して1つのヒールゾーンを有する。
51番目の発明によれば、1番目から50番目のいずれかの発明において、カードトップ針布が、針布付きローラ、例えばシリンダに関して軸方向に配置された多数の純鋼の布ワイヤからなる。
52番目の発明によれば、1番目から51番目のいずれかの発明において、カードトップ針布が、少なくとも1つの磁石部材によってカードトップバーに保持されている。
53番目の発明によれば、1番目から52番目のいずれかの発明において、カードトップバーが繊維強化プラスチック材料からなる。
54番目の発明によれば、53番目の発明において、繊維強化プラスチック材料がガラス繊維強化プラスチック材料である。
55番目の発明によれば、53番目の発明において、繊維強化プラスチック材料が炭素繊維強化プラスチック材料である。
56番目の発明によれば、53番目から55番目のいずれかの発明において、磁石部材が繊維強化プラスチック材料に一体化している。
57番目の発明によれば、1番目から56番目のいずれかの発明において、磁石部材がプラスチックのカードトップバーと一体で鋳造されている。
58番目の発明によれば、1番目から56番目のいずれかの発明において、磁石部材が鋳造またはプレス加工によってプラスチックのカードトップバーに嵌入している。
59番目の発明によれば、1番目から56番目のいずれかの発明において、磁石部材がプラスチックのカードトップバーの製作中に組み込まれる。
60番目の発明によれば、1番目から59番目のいずれかの発明において、縦方向エッジと境を接するエッジ領域のうち少なくとも1つ、好ましくは各々がチップ(26)を付けている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は本発明による構造を包含するカードの図解的側面図である。
【図2】図2はスライドウェイとフレキシブルベンドの破断図を含むカードトップバーの側面図である。
【図3】図3はキャリヤ層と小さなワイヤフックからなる針布のストリップの斜視図である。
【図4】図4は磁石部材とオールスチール針布からなるカードトップバーの詳細な側面図である。
【図5】図5は磁石部材と針布ストリップ(小さなワイヤフックを付けた針布)が組み立てられた状態にある、図4におけると同様のカードトップバーを示す図である。
【図6】図6は針布ストリップが外されている、図5におけると同様のカードトップバーを示す図である。
【図7】図7は2つの凹部を有するカードトップ脚部を示す破断図である。
【図8】図8はカードトップ針布を締結するための付加的な締結部材を有するカードトップバーを示す図である。
【図9】図9はカードトップ針布の反対側に付加的なシートメタルのベース、例えばスチールストリップと補償層を有するカードトップバーを示す図である。
【図10】図10は一体的な磁石部材の平面図である。
【図11】図11は複数の個別磁石からなる磁石部材の平面図である。
【図12】図12は各々がヒールゾーンと2つの磁石を有する2グループの針布を含むカードトップバーを示す図である。
【図13】図13は針布ローラの軸線に平行に配置された多数のオールスチール針布ワイヤを備えたカードトップバーを示す図である。
【図14】図14は一体的な磁性部材を有する繊維強化プラスチックから作られたカードトップバーの側面図である。
【図15】図15はカードトップ針布が磁石に締結された、図14によるカードトップバーの一部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、フィードローラ1、フィードテーブル2、リッカイン3a、3b、3c、シリンダ4、ドッファ5、ストリッパローラ6、ニップローラ7、8、ウェブガイド部材9、ウェブファンネル10、引き出しローラ11、12、カードトップ・デフレクタローラ13a、13bを有するカードトップ13、カードトップバー14、ケンス15、およびケンスコイラ16を含むカード、例えばツリュツラー TC 03カードを示す。ローラの回転方向は、湾曲矢印で表されている。参照文字Mは、シリンダ4の中心(軸線)を表す。参照記号4bは、シリンダ4の回転方向を表す。参照文字Cは、カーディング位置において回転するカードトップ13の回転方向を表し、参照文字Dは、反対側を移動するカードトップバー14の移動方向を表す。
【0010】
図2によれば、複数の調整ねじを備えたフレキシブルベンド17が、機械フレームワークの各側に横からねじで締結されている。フレキシブルベンド17は、凸形外面17aおよび下面17bを有する。フレキシブルベンド17の上方に、例えば褶動可能なプラスチック材料で作られたスライドウェイ20があり、これは凸形外面20aおよび凹形内面20bを有する。凹形内面20bはフレキシブルベンド17の凸形外面17aに載っている。アルミニウムから押し出し成形されたカードトップバー14は、キャリヤ本体14cと、その両端にカードトップ脚部14aを有し、2本のスチール(鋼)ピン18がカードトップ脚部14aに軸方向で締結され、スチールピン18はスライドウェイ20の凸形外面20aの上を矢印Cの方向に褶動する。カードトップ針布24は、カードトップ脚部14aの下面に取り付けられている。参照番号23は、カードトップ針布24の先端によって形成された円を表す。
【0011】
シリンダ4は、その周囲にシリンダ針布4a、例えば鋸歯針布4aを有する。参照番号22は、シリンダ針布4aの先端によって形成された円を表す。カードトップ針布24の先端が形成する円23とシリンド針布4aの先端が形成する円22の間の距離は参照文字aで表され、例えば0.05mm(2/1000”)である。凸形外面20aと円22の間の距離は参照文字bで表される。凸形外面20aの可変半径は参照文字r1で表され、円22の一定半径は参照文字r2で表される。半径r2は、シリンダ4の中心M(図1参照)を通る。参照番号14cは、カードトップバーの背側を表す。参照番号19は、カードトップバーのピン18と噛み合い且つ、カードトップバー14のための駆動ベルト(図示されていない)に接続されたクランプ部材を表す。
【0012】
図3によれば、カードトップ針布24は、針布チップ26(小さなワイヤフック)および繊維材料のキャリヤ部材25からなる。小さなワイヤフック26は、ほぼU字形をなし、かつ、表面25’から押し通すことによってキャリヤエレメント25に固定される。小さなワイヤフック26の丸く曲げられた領域26’は、表面25’の上に突き出る。針布の先端と呼ぶべきワイヤフック26の先端は、自由である。ワイヤフック26はスチールワイヤ(鋼線)で作られている。
【0013】
図4によれば、2つのウェブ14d、14eがカードトップ脚部14aに縦方向で側部に配置されており、脚部表面14b(図7参照)の領域内に、2段凹部14f1、14f2(図6、7参照)が設けられている。その結果、カードトップ針布242は保持され、保護され、埋設される。上方の凹部14f1には磁石部材29、例えば磁石テープ、磁石ストリップ、磁石バーなどが配置され、接着剤層30によって脚部表面14b1に固定されている。下方の凹部14f2には、鋼カセット27によって所定の位置に保持された多数のオールスチールの鋸歯針布ストリップ28からなるカードトップ針布242が配置されている。カードトップ針布242は、針布の自由な布先端(歯先)から遠い側の領域が所定の位置で磁石部材29に固定され、または保持されている。
【0014】
図5および図6に示した実施例では、カードトップ針布241は、小さなワイヤフック26およびキャリヤ部材25からなる(図3参照)。図5は組み立てられた状態のカードトップバー14およびカードトップ針布241を示し、カードトップ針布241またはその丸く曲げられた領域26’が磁石部材29によってしっかりと保持されているので、運転中のカードにおいてカードトップ針布241に作用する力でもってカードトップ針布241を磁石部材29から引き離すことはできないようになっている。図6によれば、カードトップ針布241は、磁石部材29から分離されており、例えばワイヤフック26の摩耗、損傷などの場合に凹部14f2から取り外される。磁石部材29からの分離は、保持磁力を克服できる適当な工具を使って行うことができる。分離はまた、カードの運転中、カードトップバー14が反対側に戻る間に行うこともできる(図1の矢印D1参照)。
【0015】
図7は、脚部表面14b1を有する凹部14f1と、脚部表面14b2を有する凹部14f2とからなる2段凹部の一部分を示す。図4、図5、図6、図7から分かる通り、凹部14f1の幅は凹部14f2の幅より小さい。
【0016】
図8によれば、例えばアルミニウムから作られたシートメタルの2つの部材31a、31bがウェブ14d、14eに長手方向で外側に取り付けられており、この部材31a、31bの自由端領域が、ウェブ14d、14eの下領域を中心として反対方向(31a’反時計回り、31b’時計回り)に直角に曲げられている。図8に示した位置では、向かい合わせに曲げられた領域31a’、31b’が、カードトップ針布241のキャリヤ部材25を付加的に保持する働きをする。カードトップ針布241を磁石部材29から引き離す前に、この端領域は開く方向(31a’時計回り、31b’反時計回り)に90°曲げられる。部材31a、31bはまた、クリップの形の弾性体として形成することもできる。
【0017】
図9は、針布(磁石部材29)の単純化された着座の実施例を示し、ここでは、補償層32を追加的に備え、それによって、より高いカードトップ精度およびより大きい着座面積を得ることができるようになっている。補償層32は、有利には接着剤層であり、シートメタル、例えばシートスチールの部材33が補償層32に固定され、部材33が、磁石29と接触している。磁石部材29は、横向きのねじ34a、34bによってカードトップ脚部14aに固定されている。
【0018】
図10は、長く伸びた帯状の磁石部材29を示す。図11によれば、この磁石部材は、複数または多数の磁石29a〜29nからなる。
【0019】
図12によれば、カードトップ針布24は、それぞれ、2つのキャリヤエレメント251および252を含む2つのグループのワイヤフック261、262に分割されている。このように形成された2つのカードトップ針布のストリップは、それぞれ関連する磁石部材291、292に固定されている。2つのグループのワイヤフックの261、262の先端は、それぞれシリンダ4の針布4aに対して角度α、βで接線方向に配置されている。このようにして、各グループは1つのヒールゾーン(カードトップ針布とシリンダ針布の間の最も狭いポイント)を有する。カードトップ針布は、その最も狭いポイントにそれ自体周知のグラウンドヒール(図示されていない)を有してよい。ヒールゾーンとグラウンドヒールは、本発明の他の実施例において同様の形で存在してよい。
【0020】
図13によれば、多数のオールスチールの針布ワイヤ35が、例えばシリンダ4の軸方向に平行に配置され、磁石部材29によって所定の位置に保持されている。
【0021】
図14、図15は、繊維強化プラスチック材料、例えば炭素繊維強化プラスチックから作られたカードトップバー14を示す。凹部14f1(図7参照)の中にあるテープ状の磁石部材29は、カードトップバー14の製作の時点で組み込まれており、従って、カードトップバー14の一体的なコンポーネントである。カードトップバー14は、例えばプレス加工、引抜き加工、射出成形などによって製作することができる。型(マトリックス)を使用するならば、ストリップ状の磁石部材29を型の中に入れ、同時に鋳造またはプレス加工することができる。図15によれば、カードトップ針布241は他方の凹部14f2(図7参照)に配置され、所定の位置に保持され、テープ状の磁石部材29によって固定されている。
【0022】
本発明は、針布をカードトップバー14に配置させ、加えて、損傷なしに交換できるようにする単純化された構造を提供する。本発明によれば、針布(設定構造に応じて配置されたキャリヤ層とワイヤ)をカードトップバー14に単純な形で配置させることも、損傷なしに交換することも可能となる。例えば針布が摩耗した場合、交換すべき針布のストリップを容易に取り外すことができ、針布を付けた無傷のカードトップバー14を新しい針布のストリップとして使用することができる。曲げられたワイヤの針の背骨が位置する針布のストリップの下側は、カードトップバー14に固定された磁石部材29によって所定の位置に保持され、これで、針布のストリップはカードトップバー14に固定される(図5、6)。針布のストリップは、例えばカードトップバー14に取り付けられたウェブによってキャリヤ層の側面に横から付加的に固定することができ、そうすることによって、針布のストリップは水平運動面内で付加的に固定/保持されることになる。針布のストリップはすべて(設定構造に関係なく)、磁石によってフレキシビリティをもって保持されるように配置され、それで、カードトップバーへの結合が作られる。要求があれば、この結合は、例えばカードトップバーに固定されたシートメタルの部材によって機械的に支持される(図8)。針布のストリップの水平運動面内での付加的な固定/保持は、有利には、例えばウェブ(例えば長手側に2つ、また、任意で幅側に2つ)を介して針布のストリップを機械的に保持することによって可能にされる。有利には、従来技術において知られた針布のストリップの使用に加えて、カードトップバーの磁石と接触させられたシートメタルの部材が接着性の補償層を介して付加的に固定された改良型の針布のストリップを使用することも可能である。その補償層と付加的なシートメタルの部材の有利な点は、カードトップがより高い精度で製作でき、磁気接触の表面積が増大することにある。この実施例では、任意に、垂直方向の結合を機械的に支持する(図8に示す通り)ことも可能である。要求があれば、針布のストリップは、キャリヤ層があるだけでワイヤが一切埋め込まれていないその外エッジに、例えばワイヤ爪を付けるのが好ましい。そうすることによって、針布のストリップの固定は増強される。
【符号の説明】
【0023】
4 シリンダ
4a シリンダ針布
14 カードトップバー
14a カードトップ脚部
24 カードトップ針布
25 キャリヤ部材
26 ワイヤフック
29 磁石部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードトップ針布を有する少なくとも1つのカードトップバーが設けられていて、該カードトップ針布がシリンダの針布と向き合うように位置決めされており、少なくともカードトップバーに面したカードトップ針布の領域が鉄系材料で作られている、カードの構造において、
カードトップバー(14)はシリンダの針布に向かって延びる二つのウェブを含んでおり、
カードトップ針布(24;241,242)は複数の針布チップと、これら針布チップを担持するキャリヤ部材とを含んでおり、
前記複数の針布チップのそれぞれは、前記キャリヤ部材の裏面から差し込まれたU字形のワイヤフックの自由先端であり、前記ワイヤフックの丸く曲げられた領域は前記キャリヤ部材の前記裏面に位置しており、
前記二つのウェブの間に延びる前記カードトップバー(14)の脚部表面と、前記カードトップ針布の前記キャリヤ部材の裏面とは互いに対面しており、
前記カードトップバー(14)の脚部表面と前記キャリヤ部材の裏面(24;241,242)との間に少なくとも1つの磁石部材(29;29a〜29n)が設けられており、該磁石部材がカードトップバーの前記脚部表面に固定されており、前記ワイヤフックの丸く曲げられた領域は前記磁石部材に対面しており、
前記磁石部材および前記キャリヤ部材は前記二つのウェブの間全体にわたってシリンダの回転方向に延びており、
さらに、前記磁石部材に接触していて、前記キャリヤ部材の裏面と二つの側面とに係合する断面U字形状のシートメタルを含むことを特徴とする構造。
【請求項2】
磁石部材が接着剤の層によってカードトップバーの前記脚部表面に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記ウェブを貫通するねじによって前記磁石部材の両側面がカードトップバーに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項4】
磁石部材が永久磁気材料で作られていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の構造。
【請求項5】
磁力が、カーディング力より大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の構造。
【請求項6】
カードトップ針布が磁石部材から取り外し可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の構造。
【請求項7】
カードトップ針布が固定要素としての磁石部材によってカードトップバーに結合させられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の構造。
【請求項8】
カードトップ針布が、裏当て層に部分的に挿入され、U字形に曲げられたワイヤからなり、該ワイヤがU字形のウェブ部分が裏当て層の裏側に出るように差しこまれていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の構造。
【請求項9】
カードトップ針布の裏面とカードトップバー脚部表面の間の異なる隙間を補償する補償層をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の構造。
【請求項10】
カードトップ針布の先端によって形成された円とシリンダの針布の先端によって形成された円の間の異なる隙間を補償する補償層をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の構造。
【請求項11】
キャリヤ部材の裏面とカードトップバーの脚部表面の間の局部的に異なる隙間を補償する補償層をさらに含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の構造。
【請求項12】
カードトップバーが回転するカードトップの一部をなすことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の構造。
【請求項13】
カードトップバーが固定カーディングエレメントであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の構造。
【請求項14】
可撓性のカードトップ針布が存在することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の構造。
【請求項15】
可撓性のカードトップ針布がキャリヤ部材と、ワイヤフックとからなることを特徴とする請求項14に記載の構造。
【請求項16】
キャリヤ部材がストリップ状であることを特徴とする請求項15に記載の構造。
【請求項17】
カードトップ針布が鋸歯ワイヤストリップの針布からなることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の構造。
【請求項18】
カードトップ針布がカードトップバーの脚部表面の領域においてカードトップバーに取り付けられていることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の構造。
【請求項19】
プラスチック材料または人工樹脂が補償層の材料として使用されていることを特徴とする請求項10に記載の構造。
【請求項20】
カードトップバーが軽金属からなる押出し成形品であることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の構造。
【請求項21】
押出し成形品が中空の形であることを特徴とする請求項20に記載の構造。
【請求項22】
磁石部材が互いに間隔をあけて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項23】
磁石部材が互いに関してオフセットで配置されていることを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項24】
磁石部材がカードトップ針布の裏側に配置されていることを特徴とする請求項1〜23のいずれかに記載の構造。
【請求項25】
カードトップ針布が、各々、磁石部材によって保持された少なくとも2グループの針布を有することを特徴とする請求項1〜24のいずれかに記載の構造。
【請求項26】
少なくとも2グループのカードトップ針布が、各々、シリンダ針布に関して1つのヒールゾーンを有することを特徴とする請求項25に記載の構造。
【請求項27】
カードトップ針布が、針布付きローラに関して軸方向に配置された多数の純鋼の布ワイヤからなることを特徴とする請求項1〜26のいずれかに記載の構造。
【請求項28】
カードトップ針布が、少なくとも1つの磁石部材によってカードトップバーに保持されていることを特徴とする請求項1〜27のいずれかに記載の構造。
【請求項29】
カードトップバーが繊維強化プラスチック材料からなることを特徴とする請求項1〜28のいずれかに記載の構造。
【請求項30】
繊維強化プラスチック材料がガラス繊維強化プラスチック材料であることを特徴とする請求項29に記載の構造。
【請求項31】
繊維強化プラスチック材料が炭素繊維強化プラスチック材料であることを特徴とする請求項29に記載の構造。
【請求項32】
磁石部材が繊維強化プラスチック材料に一体化していることを特徴とする請求項29〜31のいずれかに記載の構造。
【請求項33】
磁石部材がプラスチックのカードトップバーと一体で鋳造されていることを特徴とする請求項1〜28のいずれかに記載の構造。
【請求項34】
磁石部材が鋳造またはプレス加工によってプラスチックのカードトップバーに嵌入していることを特徴とする請求項1〜28のいずれかに記載の構造。
【請求項35】
磁石部材がプラスチックのカードトップバーの製作中に組み込まれることを特徴とする請求項1〜28のいずれかに記載の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−80192(P2011−80192A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277047(P2010−277047)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【分割の表示】特願2004−243812(P2004−243812)の分割
【原出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(590002323)ツリュツラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (85)
【Fターム(参考)】