説明

カードクリーニング機構

プラスチックカード基材の一方又は双方の側面に施す処理操作の前に、その側面をクリーニングするクリーニング機構。クリーニング機構は、第1クリーニングステーション上にあるクリーニングローラ及び第2クリーニングステーション上にあるクリーニングローラの2つのクリーニングローラが1つのクリーニングテープアセンブリによって同時にクリーニングされるように設計されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、データカード・コーポレーションの名においてPCT国際出願として提出されたものであり、2005年11月10日に出願された、「カードクリーニング機構」という題名の米国仮特許出願第60/735,636号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、プラスチックカード基材の一方又は双方の側面に施す処理操作、例えばパーソナル化処理の前に、その側面をクリーニングするクリーニング機構に関する。
【背景技術】
【0003】
パーソナル化されたカードや他のパーソナル化された識別証を作成するのに用いられるカードパーソナル化システム及び方法は、そのような証を発行する機関により採用されている。そのようなシステム及び方法によりパーソナル化されることが多い識別証としては、金融(例えばクレジットやデビット)カード、運転免許証、国民身分証明書、並びに証を所持するはずの人に固有の情報によってパーソナル化された他のカードや書類などの、プラスチックカード及び複合カードがある。
【0004】
カードを一括して大量に作成するために、機関は、複数のカードを同時に処理し、カードごとの処理時間を全体的に短縮するための複数の処理モジュールを採用したシステムを利用することが多い。そのようなシステムの例としては、米国特許第6,902,107に開示されたシステム、ミネソタ州ミネアポリスのデータカード・コーポレーションから入手可能なデータカード・マックスシズ(MaxSys)9000シリーズのシステム、米国特許第4,825,054に開示されたシステム、並びに米国特許第5,266,781及びその継続に開示されたシステムがある。
【0005】
これらのタイプのシステムのそれぞれに共通なことは、処理されるべき比較的多数のカードを保持することが可能な投入部と、処理操作を実行するために各カードがこれを通して導かれる複数の処理モジュールと、処理済みのカードを保持する出力部である。カードに対して通常実行される処理操作は、カードの磁気ストライプへのデータのプログラミング、単色及び/又はカラー印刷、レーザー加工、カード中の集積回路チップのプログラミング、及び様々なトップコートや保護層の施工を含む。データ情報、並びに投入部、処理ステーション及び出力部を作動させるための命令を転送するために、コントローラが通常採用される。
【0006】
カードの場合、処理操作は、カードの一方又は双方の概ね平らな側面に実行されることが多い。実行される処理操作は、例えば周知の印刷処理を使用する、側面の1つ又は複数に対するデータ及び/又はグラフィック画像の施工のような処理を含む。また、実行される付加的な処理操作は、カード側面へのラミネートやコーティングの施工を含む。
【0007】
多くの場合、カードは、その一方又は双方の概ね平らな側面上に汚染物質を有することがある。カード表面上に通常見られる汚染物質の例としては、塵埃、微粒子、繊維、及びオイルがある。これらの汚染物質は、多くの原因、例えばカードを作成するのに使用されたカード作成法又は不適切な管理及び/又はカード在庫の保管、から生じ得る。平面的なカード表面上の汚染物質が、カード表面に実行される多くの処理操作、例えば単色又は多色の印刷処理に消極的な影響を及ぼすことは知られている。
【0008】
結果として、カードは、汚染物質を取り除くために、処理操作の前に大抵クリーニングされる。カードの一方又は双方の側面をクリーニングするためにクリーニング機構を使用することは知られている。従来のクリーニング機構には、粘着性のある外面を有する一対のクリーニングローラであってそれらの間をカードが通過させられてカードのそれぞれの側の面から汚染物質が取り除かれるクリーニングローラを含んだものがある。汚染物質は、その後、クリーニングローラから汚染物質をはぎ取る又は取り除くためにクリーニングローラに接触させられるクリーニングテープを使用してクリーニングローラから取り除かれる。クリーニングテープは、供給巻回体から通常供給され、ローラの粘着性のある外面から汚染物質をはぎ取った後に、テークアップロールに巻かれる。クリーニング機構の例は、米国特許第5,401,111及び第6,902,107に開示されている。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、カード基材の一方又は双方の側面に施す処理操作の前に、その面をクリーニングするクリーニング機構に関する。
【0010】
このクリーニング機構は、モジュール式カード処理システムの1つのモジュールを構成するクリーニングモジュールの一部であってもよい。あるいは、クリーニング機構は、他のカード処理装置の別の処理モジュールに組み込まれていてもよいし、非モジュール式システムに用いられてもよい。
【0011】
このクリーニング機構は、第1クリーニングステーション上にあるクリーニングローラ及び第2クリーニングステーション上にあるクリーニングローラの2つのクリーニングローラが1つのクリーニングテープアセンブリによって同時にクリーニングされるように設計されている。
【0012】
本発明の一側面では、カードクリーニング機構は、第1及び第2クリーニングローラアッセンブリを含む。各クリーニングローラアッセンブリは、それぞれの縦軸回りに回転するようにタレット体に回転可能に取り付けられた一対のクリーニングローラを含み、各クリーニングローラは、粘着性のある外面を有する。タレット体は、クリーニングローラの縦軸と平行に延びる中心縦軸回りに回転可能になっている。しかも、第1及び第2クリーニングローラアッセンブリの近くにクリーニングテープアッセンブリが配置され、このクリーニングテープアセンブリは、第1及び第2クリーニングローラアッセンブリのそれぞれのクリーニングローラの粘着性のある外面から汚染物質を取り除くように構成されている。
【0013】
本発明の他の側面では、カードクリーニングモジュールは、クリーニングされるべきカードがこれを通じてモジュールへ投入されるカード投入部と、カード投入部に近接し、カード投入部を通ったカードを受け、そのカードをさらにモジュール内へ運ぶ投入部運送機構と、クリーニングされたカードがこれを通じてモジュールから出力されるカード出力部と、カード出力部に近接し、クリーニングされたカードをモジュールの外に運ぶ出力部運送機構と、を含んで設けられている。カード投入部とカード出力部の間には、第1及び第2クリーニングステーションが配置されている。第1及び第2クリーニングステーションは、それぞれの縦軸回りに回転するように回転可能に取り付けられ、それらの間にカードを通過させるニップを形成する一対のクリーニングローラをそれぞれ含む。各クリーニングローラは、粘着性のある外面を有する。しかも、第1及び第2クリーニングステーションの近くにクリーニングテープアッセンブリが配置され、このクリーニングテープアセンブリは、第1及び第2クリーニングステーションのそれぞれのクリーニングローラの粘着性のある外面から汚染物質を取り除くように構成されている。
【0014】
本発明のさらに他の側面では、カードクリーニング機構は、それぞれの縦軸回りに回転するように回転可能に取り付けられ、それらの間にクリーニングのためにカードを通過させるニップを形成する一対のクリーニングローラを有するクリーニングローラアセンブリを含んで設けられている。各クリーニングローラは、粘着性のある外面を有する。しかも、クリーニングテープアッセンブリは、クリーニングローラアッセンブリの近くに配置され、クリーニングローラの粘着性のある外面から汚染物質を取り除くように構成されている。クリーニングテープアッセンブリは、一端及び他端を有する裏当てローラを含み、裏当てローラは、当該裏当てローラの一端と他端の間の略中心でベアリングによって支持されており、裏当てローラは、一端及び他端ではベアリングで支持されていない。
【0015】
この裏当てローラの構成により、裏当てローラは、クリーニングローラの完全なクリーニングに必要な、クリーニングローラの全長に亘った堅実な接触を維持できるようになっている。裏当てローラは、ベアリングにおける角度遊びを使用して2つの平面で別々に回転可能となっている。これが裏当てローラに両クリーニングローラの角度位置にマッチさせるための自由度を与え、裏当てローラが両クリーニングローラに独立して自己調整できるようになる。これは、クリーニングステーションに高い公差の部品を使用する必要性を低減させ、組み立ての時間を節約し、クリーニング機能の信頼性を向上させる。
【0016】
本発明のさらに他の側面では、カードクリーニング機構は、それぞれの縦軸回りに回転するように回転可能に取り付けられ、それらの間にクリーニングのためにカードを通過させるニップを形成する一対のクリーニングローラを有するクリーニングローラアセンブリを含んで設けられている。各クリーニングローラは、粘着性のある外面を有する。しかも、クリーニングテープアッセンブリは、クリーニングローラアッセンブリの近くに配置され、クリーニングローラの粘着性のある外面から汚染物質を取り除くように構成されている。クリーニングテープアッセンブリは、クリーニングテープの供給巻回体と、供給巻回体の表面に乗っかるアイドラローラと、アイドラローラが支持されるアームであって供給巻回体の直径が減少するにつれてアイドラローラが供給巻回体に向かって動けるように旋回可能に取り付けられたアームと、を含み、アームは、供給巻回体から遠ざかるように付勢される。
【0017】
アイドラローラにより、駆動ローラが供給巻回体からクリーニングテープを引き出すにつれて、クリーニングテープが供給巻回体からスムーズに連続的に剥がされる。これは、騒音、及び不安定なセンサの読み込みを招きやすい異常な供給巻回体動作(ジャンピング)を減少させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、カード基材の一方又は双方の側面に施す処理操作の前に、その面をクリーニングするクリーニング機構に関する。ここでは、クリーニング機構を、主要な支給物であるモジュール式カード処理システムの1つのモジュールを構成するクリーニングモジュールの一部であるとして説明する。しかし、クリーニング機構は、他のカード処理装置の別の処理モジュールに組み込まれていてもよいし、非モジュール式システムに用いられてもよい。
【0019】
モジュール式カード処理システム10の例は、図1に概略的に描かれている。システム10は、複数のカードを同時に処理してカードごとの処理時間を全体的に短縮するために複数の処理モジュール12a,12b,12c・・・12nを採用することにより、カードを一括して大量に作成できるように構成されている。システム10に含まれ得る処理モジュール12a,12b,12c・・・12nの例は、カードの磁気ストライプにデータを書き込んだり該ストライプからデータを読み込んだりする磁気ストライプモジュール、カードにエンボス文字を形成するエンボスモジュール、カード上の集積回路チップをプログラミングするスマートカードプログラミングモジュール、単色又は多色の印刷を行う印刷モジュール、カードのレーザーパーソナル化を行うレーザーモジュール、単純なデータや画像をガードに施すグラフィックモジュール、カードをクリーニングする(後述する)クリーニングモジュール、カードにトップコートを施すトッピングモジュール、並びにカードに打ち抜き又は切り欠きにより穴を開ける及び/又はカードを特定の形状に打ち抜くためのカードパンチングモジュールである。また、システム10は、処理されるべき複数のカードを保持する投入モジュールと、処理されたカードを保持する出力モジュールを通常含む。モジュール式カード処理システムの構造及び動作についての更なる情報は、米国特許第6,902,107から入手できる。
【0020】
システム10中のモジュールの1つは本発明に係るクリーニングモジュール20であり、これはカードの両側の側面から汚染物質を取り除くためにカードの両側をクリーニングするよう設計されている。カード両側の側面上の例えば異物、汚れ、オイルなどの汚染物質は、処理作業を妨げ得る。例えば、別のモジュールによって実行されるパーソナル化処理では、汚染物質がパーソナル化の質を低下させ得る。クリーニングモジュール20は、システム10中に、グラフィックモジュール(あれば)、印刷モジュール(あれば)、及びレーザーモジュール(あれば)の前に設置されていることが好ましい。なぜなら、これらのモジュールによって実行される作業は、カード汚染物質に特に影響を受けやすいからである。しかし、クリーニングモジュール20は、システム10においてインプットモジュールから下流のどの位置に設置されてもよい。しかも、システム10は、1つ以上のクリーニングモジュールを利用してもよい。
【0021】
図2及び図5を参照しながら、カードクリーニング機構22を含むクリーニングモジュール20の内部を説明する。モジュール20は、クリーニングされるべきカードがこれを通じてモジュール20へ投入されるカード投入部24と、クリーニングされたカードがこれを通じてモジュール20から出力されるカード出力部26とを含む。
【0022】
一対の投入ローラ28a,28bの形式の投入部運送機構28は、上流のモジュールからカードを受け、そのカードをクリーニング機構22へ運ぶために、カード投入部24の近くに設けられている。上側及び下側投入ガイド30a,30bは、カードをローラ28a,28b間のニップへ案内することを助け、クリーニング機構22へ導くカード経路を形成する上側及び下側カード行路を規定する。一対の出力ローラ32a,32bの形式の出力部運送機構32は、クリーニングされたカードをクリーニングモジュールから次のモジュールに運ぶために、カード出力部26の近くに設けられている。上側カードガイド34a及び下側カードガイド34bは、カードがクリーニングモジュール22から抜け出るようにカードを案内し、モジュール20の出力部26へ導くカード経路を規定する。投入ローラ28a,28b及び出力ローラ32a,32bは、例えばステッピングモータなどの電気モータ36によって、駆動ベルト37及びローラ28a,28b用プーリ38並びに同様の駆動ベルト及びローラ32a,32b用プーリ(図示せず)を介して駆動される。
【0023】
図2及び図5に示すように、図示されたクリーニング機構22は、カード投入部24とカード出力部26の間に配置された第1及び第2カードクリーニングステーション40a,40bを含む。図示された実施形態では、各ステーション40a,40bは、一対のクリーニングローラ42a,42bを有するクリーニングローラアッセンブリを備え、一対のクリーニングローラ42a,42bは、それらの間にクリーニングされるべきカードを通過させるニップを形成する。クリーニング機構22は、例えば第3クリーニングステーション又は第3及び第4クリーニングステーションなどの付加的なクリーニングステーションであって、後述する同じクリーニングテープアッセンブリ及び1つ又は複数の付加的な裏当てローラを利用可能なクリーニングステーションを含んでいてもよい。
【0024】
ステーション40a,40bは、図示された実施形態では、お互いに殆ど同様のものであり、各ステーション40a,40bは、米国特許第6,902,107に開示されたクリーニングローラアッセンブリと同様である。ステーション40aだけは詳細に説明する予定だが、ステーション40bはステーション40aと同様に構成され、動作することが理解される。
【0025】
カードは、クリーニングローラ42a,42bのニップを、ローラ42aがカードの一方に接触し、ローラ42bがカードの他方に接触するように通過する。クリーニングローラ42a,42bの外面は、カード表面上の汚染物質がクリーニングローラによって取り上げられ、クリーニングローラに接着するように、粘着性があるもしくはベトベトしている。粘着性のある外面を有するクリーニングローラの使用は、米国特許第5,401,111に開示されている。各ローラ42a,42bの円周は、カードの長さと略等しくなる又はそれよりも長くなるように選択される。例えば、ローラ42a,42bは、約3.14インチ(約79.76mm)の円周をそれぞれ有していてもよく、カードは、約3.375インチ(約85.725mm)の長さを有していてもよい。これは、カードに接触するローラの外面の部分が一回転してカードに再び接触することを最小限にするか排除する。
【0026】
図2及び図5を参照して、クリーニングローラ42a,42bは、下側タレット板44及び上側タレット板46を有するタレット体に回転のために取り付けられている。各タレット板は、それらの中で、ローラ42a,42bを通って走行する際のカードの上側及び下側エッジを案内するための行路を規定する。ローラを同期して反対回転で駆動するために適切な運送機構がローラ42a,42bと接続されている。好ましくは、クリーニングローラ42a,42bの回転は、投入ローラ28a,28b及び出力ローラ32a,32bの回転と同期させられ、かつそれと同じ回転速度となる。それ故に、カードがインプットローラ28a,28bによってクリーニングローラ28a,28bへ運ばれ、クリーニングローラから出力ローラ32a,32bへ運ばれる際に、カードの円滑な移行が成し遂げられる。
【0027】
上側タレット板46及び下側タレット板44を備えるタレット体は、それらの板の中心を通ってクリーニングローラ42a,42bの縦軸と平行に延びる中心縦軸回りに回転可能となっている。タレット板に回転可能に取り付けられたクリーニングローラ42a,42bは、タレット板と共に回転する。米国特許第6,902,107に開示されているように、タレット体の回転は、駆動輪と動輪の間の駆動接続を解除するため、及びクリーニングローラから汚染物質を取り除くためのクリーニングテープ48によるその後の係合に向けてクリーニングローラ42a,42bを位置させるために用いられる。タレット体は、例えばステッピングモータなどの電動モータによって、ギアのような適切な駆動機構を介して回転させられる。タレット体を回転させる機構の例は、米国特許第5,401,111に開示されている。
【0028】
上側タレット板の下方に配置されたタブは、タレット体のホームポジションを決定するためのセンサによって検知される。ステーション40aのタレット体のホームポジションは、図2に示されている。クリーニングローラ42a,42bからの汚染物質の除去は、ホームポジションからの時計回りか反時計回りのタレット体の回転によってなされる。好ましくは、タレット体は、クリーニングローラ42aから汚染物質を取り除くことができるように第1クリーニングポジションへ回転させられ、クリーニングローラ42bから汚染物質を取り除くために第2クリーニングポジションへ回転させられる。
【0029】
第2ステーション40bは、第1ステーション40aから下流側に配置されており、第1ステーションと殆ど同様の構造となっている。第2ステーション40aのクリーニングローラ42a,42bは、第1ステーションのクリーニングローラを駆動する同一の駆動機構によって駆動させられる。同様に、第2ステーション40bのタレット体は、第1ステーション40aのタレット体を駆動するために用いられる同一のモータ及び駆動機構によって駆動され、第1ステーション40aのタレット体のホームポジションを検知するために用いられる同一の検知機構が、第2ステーション40bのタレット体のホームポジションを検知するために用いられる。従って、第2ステーション40bの動作をサポートするための別途の能動要素は必要ない。
【0030】
図2を参照して、クリーニングテープ48を含む1つのクリーニングテープアッセンブリ50がステーション40a,40bの双方の近くに2つのステーション40a,40bの間で共有されるように配置されていて、ステーション40a,40bのクリーニングローラは、クリーニングテープ48の同一部分を使用してクリーニングされる。図2に概略的に示されるクリーニングテープアッセンブリ50は、米国特許第6,902,107に開示されたクリーニングテープアッセンブリと殆ど同様の構造及び動作となっている。
【0031】
図2及び図3を参照して、クリーニングローラ42a,42bは、堆積した残存物を取り除くためにそれらの外面に接触して走行するクリーニングテープ48によってクリーニングされる。クリーニングテープアッセンブリ50の裏当てローラ52は、クリーニング中、クリーニングテープをローラに押し付ける。
【0032】
完全なクリーニングには、クリーニングローラの全長に亘った堅実な接触が必要である。クリーニングローラと裏当てローラ52の間の隙間は、クリーニングローラ上に残存物を残すことになる。クリーニングテープアッセンブリ50は、ステーション40a上にある1つのクリーニングローラとステーション40b上にある1つのクリーニングローラの、2つのクリーニングローラが同時にクリーニングされ、かつ、クリーニングサイクルの間は裏当てローラ52の各クリーニングローラへの接触が維持されることになるように配置されている。裏当てローラは適所に固定されている(すなわち、裏当てローラはクリーニングローラに近づいたりクリーニングローラから遠ざかったりしない)ので、連続的なテープ接触のために3つのローラ(2つのクリーニングローラと1つの裏当てローラ)の全てがお互いに殆ど平行になっている必要がある。ローラの角度又は形状の変化はローラ間の隙間をもたらすことになる。
【0033】
図3に示すように、裏当てローラ52は、頂部及び底部ではベアリングによって支持されていないが、高さの略中央で1つのベアリング54によって支持されている。この構造によって、裏当てローラ52がベアリングにおける角度遊びを使用して2つの平面で別々に回転できるようになっている。これが裏当てローラ52に両クリーニングローラの角度位置にマッチさせるための自由度を与え、裏当てローラが両クリーニングローラに独立して自己調整できるようになる。これは、ステーション40a,40bに高い公差の部品を使用する必要性を低減させ、組み立ての時間を節約し、クリーニング機能の信頼性を向上させる。
【0034】
図5と共に図4を参照して、クリーニングテープアッセンブリ50は、クリーニングテープ48の供給を抑制する供給巻回体56も有している。供給巻回体50は、非駆動式の回転可能なスピンドル58に設けられており、スピンドル58はクリーニングテープ48が巻回体56から引き出されたときに回転する。供給巻回体の回転を検知し、巻回体に残っているクリーニングテープの量を予測するために、エンコーダがスピンドルシャフトに接続されている。クリーニングテープ48の粘性のために、クリーニングテープ48は、不規則又は断続的に供給巻回体56から剥がされる傾向がある。これは、エンコーダが供給巻回体の回転についての不安定な読み込みを得る原因となり得る。
【0035】
クリーニングテープアッセンブリ50は、巻回体上の接点で供給巻回体からテープをスムーズ若しくは規則的に剥がし、それにより騒音及び不安定なセンサの読み込みを招きやすい異常な供給巻回体動作(ジャンピング)を減少させることを実現する機構を含む。特に、その機構は、図4に示すように供給巻回体56の表面に乗っかるアイドラローラ60を有している。クリーニングテープ48が接点で供給巻回体から剥がされる際に、テープ48はアイドラローラ60の回りを部分的に覆い、その後、ローレット加工された、クリーニング中にクリーニングローラを過ぎたテープ48を進行させる駆動ローラ62に向かって走行する。
【0036】
アイドラローラ60は、旋回アーム64に支持されており、この旋回アーム64は、供給巻回体の直径が減少するにつれてアイドラローラ60が供給巻回体の中心に向かって動けるように取り付けられている。しかも、アーム64は、供給巻回体56から遠ざかるように軽くばね負荷がかけられている。クリーニングテープの張力及びクリーニングテープ48がアイドラローラ60の回りを部分的に覆うことによって、通常動作の間はアイドラローラが供給巻回体56に接触した状態に維持される。タブ66は、アーム64に接続されているとともにそれとともに動き、センサ68は、タブ66の動きを検知する。
【0037】
アイドラローラ60により、駆動ローラ62がテープを引き出すにつれて、テープ48が巻回体56からスムーズに連続的に剥がされる。テープの張力によって、アイドラローラ60が供給巻回体56に接触した状態に維持される。テープが破断するときのようにテープの張力が除去されると、アーム64のばね負荷によってアイドラローラ60が巻回体56から遠ざけられる。もし、アイドラローラ60及びアーム64が巻回体56から十分遠くに動かなければ、タブ66がセンサ68によって検知されることはない。結果的に、アーム64をクリーニングテープ48の破断を検知するために使用することも可能である。
【0038】
次に、クリーニングモジュール20及びクリーニング機構22の動作を説明する。カードが上流側のモジュールからモジュール20へ投入され、その後、投入ローラ28a,28bがそのカードを第1クリーニングステーション40aへ運ぶ。カードは、カードの側面から汚染物質を取り上げるクリーニングローラ42a,42bの間を通過する。次いで、カードは、第2クリーニングステーション40bに入り、カードの側面からさらに汚染物質を取り上げるクリーニングローラ42a,42bの間を通過する。その後、クリーニングされたカードは、次の処理のために、クリーニングモジュール20から隣接する下流側のモジュールへカードを運ぶ出力ローラ32a,32bによって取り出される。
【0039】
カードがクリーニングされた後は、クリーニングステーション40aのタレット体が時計回りの方向に回転される一方、クリーニングステーション40bのタレット体が反時計回りの方向に回転される。これによって、クリーニングローラ駆動機構が切り離され、各クリーニングステーション40a,40bのクリーニングローラ42aがクリーニング準備位置になる。
【0040】
クリーニングテープは、その後、クリーニングローラ42aの外面を横切って引かれる。クリーニングローラ42aの表面がクリーニングされた後は、クリーニングステーションが回転してそれらのホームポジションへ戻り、別のカードがクリーニングのためにローラを通過させられる。2番目のカードがクリーニングされた後は、クリーニングローラ42bをクリーニング用の位置に位置させるために、ステーション40aのタレット体が反時計回りの方向に回転され、ステーション40bのタレット体が時計回りの方向に回転される。この位置でクリーニングテープ48がクリーニングローラ42bの外面に接触し、ローラをクリーニングするためにクリーニングテープがクリーニングローラ42bの外面を横切って引かれる。その後、クリーニングステーションがクリーニングされるべき別のカードの準備のために回転してホームポジションへ戻る。
【0041】
各カードをクリーニングした後の1セットのローラ、すなわちローラ42a又はローラ42bのみのクリーニングは、これがカード間の各タレット体の動き量を最小限にしながらカード処理量を増加させる。同時に、満足できるカードクリーニングが成し遂げられる。必要なら、ローラ42a,42bの両セットがカード間に相次いでクリーニングされてもよい。
【0042】
2つのクリーニングステーションの使用は、安価なクリーニングテープが使用されたときでさえも、第2のクリーニングテープアッセンブリの必要性を避けながら、改良されたカードクリーニングをもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】モジュール式カード処理システムの概略的な描写である。
【図2】本発明に係るカードクリーニング機構を示す。
【図3】カードクリーニング機構のクリーニングテープアッセンブリに使用される裏当てローラの構造を示す。
【図4】カードクリーニング機構のクリーニングテープアッセンブリ中の供給巻回体からのクリーニングテープのはぎ取りを制御するための機構の構造を示す。
【図5】カードクリーニング機構の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各クリーニングローラアッセンブリが、それぞれの縦軸回りに回転できるようにタレット体に回転可能に取り付けられた一対のクリーニングローラを含み、各クリーニングローラが粘着性のある外面を有し、前記タレット体が前記クリーニングローラの縦軸に平行に延びる中心縦軸回りに回転可能とされた、第1及び第2クリーニングローラアッセンブリと、
前記第1及び第2クリーニングローラアッセンブリの近くに配置され、前記第1及び第2クリーニングローラアッセンブリのそれぞれのクリーニングローラの粘着性のある外面から汚染物質を取り除くように構成された、クリーニングテープアッセンブリと、
を備えるカードクリーニング機構。
【請求項2】
各対のクリーニングローラは、それらの間にクリーニングされるカードを通過させるニップを形成する、請求項1に記載のカードクリーニング機構。
【請求項3】
各クリーニングローラは、クリーニングされるカードの長さと略等しい又はそれよりも長い円周を有する、請求項1に記載のカードクリーニング機構。
【請求項4】
前記クリーニングテープアッセンブリが前記第1及び第2クリーニングローラアッセンブリのそれぞれにおける一方のクリーニングローラの粘着性のある外面から汚染物質を同時に取り除くことができるように、前記クリーニングテープアッセンブリが前記第1及び第2クリーニングローラアッセンブリに対して配置されている、請求項1に記載のカードクリーニング機構。
【請求項5】
前記クリーニングテープアッセンブリは、一端及び他端を有する裏当てローラを備え、
前記裏当てローラが、当該裏当てローラの一端と他端の間の略中心でベアリングによって支持されており、前記裏当てローラは、一端及び他端ではベアリングで支持されていない、請求項1に記載のカードクリーニング機構。
【請求項6】
前記クリーニングテープアッセンブリは、クリーニングテープの供給巻回体と、前記供給巻回体の表面に乗っかるアイドラローラを備える、請求項1に記載のカードクリーニング機構。
【請求項7】
前記アイドラローラは、前記供給巻回体の直径が減少するにつれて前記アイドラローラが前記供給巻回体に向かって動けるように旋回可能に取り付けられたアームに支持されており、前記アームは、前記供給巻回体から遠ざかるように付勢されている、請求項6に記載のカードクリーニング機構。
【請求項8】
カードクリーニングモジュールであって、
クリーニングされるべきカードがこれを通じて前記モジュールへ投入されるカード投入部と、
前記カード投入部に近接し、前記カード投入部を通ったカードを受け、そのカードをさらに前記モジュール内へ運ぶ投入部運送機構と、
クリーニングされたカードがこれを通じて前記モジュールから出力されるカード出力部と、
前記カード出力部に近接し、前記クリーニングされたカードを前記モジュールの外に運ぶ出力部運送機構と、
前記カード投入部と前記カード出力部の間に配置された第1及び第2クリーニングステーションであって、第1及び第2クリーニングステーションのそれぞれが、それぞれの縦軸回りに回転するように回転可能に取り付けられ、それらの間にカードを通過させるニップを形成する一対のクリーニングローラを含み、各クリーニングローラが粘着性のある外面を有する、第1及び第2クリーニングステーションと、
前記第1及び第2クリーニングステーションの近くに配置され、前記第1及び第2クリーニングステーションのそれぞれのクリーニングローラの粘着性のある外面から汚染物質を取り除くように構成されたクリーニングテープアセンブリと、
を備える、カードクリーニングモジュール。
【請求項9】
各クリーニングローラは、クリーニングされるカードの長さと略等しい又はそれよりも長い円周を有する、請求項8に記載のカードクリーニングモジュール。
【請求項10】
前記クリーニングテープアッセンブリは、クリーニングテープを備え、前記クリーニングテープが前記第1及び第2クリーニングローラアッセンブリのそれぞれにおける一方のクリーニングローラの粘着性のある外面から汚染物質を同時に取り除くことができるように、前記クリーニングテープアッセンブリが前記第1及び第2クリーニングステーションに対して配置されている、請求項8に記載のカードクリーニングモジュール。
【請求項11】
前記クリーニングテープアッセンブリは、一端及び他端を有する裏当てローラを備え、
前記裏当てローラが、当該裏当てローラの一端と他端の間の略中心でベアリングによって支持されており、前記裏当てローラは、一端及び他端ではベアリングで支持されていない、請求項8に記載のカードクリーニングモジュール。
【請求項12】
前記クリーニングテープアッセンブリは、クリーニングテープの供給巻回体と、前記供給巻回体の表面に乗っかるアイドラローラを備える、請求項8に記載のカードクリーニングモジュール。
【請求項13】
前記アイドラローラは、前記供給巻回体の直径が減少するにつれて前記アイドラローラが前記供給巻回体に向かって動けるように旋回可能に取り付けられたアームに支持されている、請求項12に記載のカードクリーニングモジュール。
【請求項14】
前記アイドラローラは、旋回可能に取り付けられたアームに支持されており、前記アームは、前記供給巻回体から遠ざかるように付勢されている、請求項12に記載のカードクリーニングモジュール。
【請求項15】
それぞれの縦軸回りに回転するように回転可能に取り付けられ、それらの間にクリーニングのためにカードを通過させるニップを形成する一対のクリーニングローラを含み、各クリーニングローラが粘着性のある外面を有する、クリーニングローラアッセンブリと、
前記クリーニングローラアッセンブリの近くに配置され、前記クリーニングローラの粘着性のある外面から汚染物質を取り除くように構成されクリーニングテープアッセンブリと、を備え、
前記クリーニングテープアッセンブリは、一端及び他端を有する裏当てローラを含み、
前記裏当てローラが、当該裏当てローラの一端と他端の間の略中心でベアリングによって支持されており、前記裏当てローラは、一端及び他端ではベアリングで支持されていない、カードクリーニング機構。
【請求項16】
それぞれの縦軸回りに回転するように回転可能に取り付けられ、それらの間にクリーニングのためにカードを通過させるニップを形成する一対のクリーニングローラを含み、各クリーニングローラが粘着性のある外面を有する、クリーニングローラアッセンブリと、
前記クリーニングローラアッセンブリの近くに配置され、前記クリーニングローラの粘着性のある外面から汚染物質を取り除くように構成されクリーニングテープアッセンブリと、を備え、
前記クリーニングテープアッセンブリは、クリーニングテープの供給巻回体と、前記供給巻回体の表面に乗っかるアイドラローラと、前記アイドラローラが支持されるアームであって前記供給巻回体の直径が減少するにつれて前記アイドラローラが前記供給巻回体に向かって動けるように旋回可能に取り付けられたアームと、を含み、
前記アームは、前記供給巻回体から遠ざかるように付勢されている、カードクリーニング機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−516267(P2009−516267A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540350(P2008−540350)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/060741
【国際公開番号】WO2007/059417
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(504012756)データカード・コーポレイシヨン (15)
【Fターム(参考)】