説明

カードホルダー及び該カードホルダーを備えた運搬用容器

【課題】RFIDタグを保持させた場合でも容易に抜き取ることが出来るカードホルダー、及び該カードホルダーを備えた運搬用容器の提供。
【解決手段】(1)取り付け対象となる運搬用容器の壁との間に、RFIDタグ等を保持できる空間を形成するためのカードホルダー本体と、前記壁とRFIDタグ等との間に、RFIDタグ等の抜き取りを容易にする隙間を形成するための隙間形成ピースとからなるカードホルダー。
(2)前記隙間が1〜30mmであることを特徴とする(1)記載のカードホルダー。
(3)(1)又は(2)記載のカードホルダーを備えた運搬用容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の識別、容器に収納されている物品の行き先、物品名、種類、数量等の種々の情報が蓄積されたRFIDタグや帳票等を保持するためのカードホルダー及び該カードホルダーを備えた運搬用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカードは、キャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード;鉄道、バス、ETC等の交通機関;デジタル放送、第三世代携帯電話等の加入者カード;図書館の窓口サービス、学生証、社員証、住民基本台帳カードなどの幅広い業界に導入され、利用者の身近な生活からビジネスまで様々な分野で利用が始まっているが、現在の経済社会活動の高度化に伴い、廃棄物の発生量は増大している。
そこで、従来の大量生産、大量消費、大量廃棄等の経済社会やライフスタイルを見直し、物資の効率的な利用やリサイクルを進めることにより、資源の消費を抑え、環境への負荷が少ない循環型社会を形成することが急務になっている。
例えば、電子情報記録素子(以下、「ICチップモジュール」、「ICチップ」と称することもある)を組み込んだ可逆性感熱記録媒体は、ICチップの内部情報を書き換えると共に、記録されている情報を可視画像として可逆性感熱記録媒体に表示できるため、廃棄物の発生量を減らすことが可能である。
このようなICチップモジュールを組み込んだ可逆性感熱記録媒体は、製造業分野における作業書、部品管理票、工程管理票等の指示書として用いられてきている。具体的には、指示書を丸棒状部品に巻き付けたり、運搬用容器用のカードホルダーに入れて使用したのち、指示書を書き換えることが繰り返し行われている。
【0003】
前記指示書に画像を形成する場合、及び指示書に形成された画像を消去する場合には、該指示書をプリンターのサーマルヘッド、消去バー、消去ローラ、消去板等の加熱装置に押し当てる。このため、指示書を書き換える際に、ICチップモジュールが破損しないようにすると共に、ICチップモジュールと可逆性感熱記録媒体の接着部から接着剤が流出しないようにする必要がある。更に、指示書は、可とう性を有すると共に、画像の品質が良好であることが望まれている。
また、テーブル面上に置いてある状態のタグや、BOX外枠のタグホルダー内に入っている状態からの抜き取り操作時にタグを人手でピックアップ動作する際、把持する形状へ一部の集中的屈曲、折れなく柔軟かつしなやかにタグ形状が対応してハンドリングが容易にできることも望まれている。
更に、その把持後すぐにプリンタへ挿入され、印字・消去されることを前提に把持時の変形形状からフラット形状への形状復元速度が速く時間が掛からないことでプリンタ内でのカール、波うちによるジャム、搬送不良を低減した構成の両立を求められている。
また、できるだけ積載枚数を多くすることで、プリンタへのアクセス回数・時間短縮も現場での作業工数低減のために求められている。
【0004】
従来、ICチップモジュール(電子情報記録素子)を組み込んだICカードなど種々のICカードが提案されている(特許文献1〜5参照)。
しかし、そのようなICチップモジュールを組み込んだ作業書、部品管理票、工程管理票等の指示書類を掴みやすい形態にしたとしても、従来の運搬用容器用のカードホルダーは、ホルダーに保持された紙の帳票等がホルダーから外れたりしないように、運搬用容器の側壁に、帳票等が密着して保持されるように取り付けられている(図1左参照)。そして保持された帳票は手で摘んで抜き取っている。しかし、紙の帳票の替りにRFIDタグ(RFID:電波による固体識別)を保持させた場合には、抜き取りのために摘むと折れてRFID機能を損なう恐れがある。そのため、密着して保持されたRFIDタグは容易に抜き取ることが出来ず、作業効率が低下したり、製造ラインに影響を及ぼしたりするという問題がある。
【0005】
最近の技術としては、ICタグの無線性能への影響を低減させるとともに、ICタグを容易に装着することが可能なICタグホルダーを提供するため、ICタグホルダーにフロント支柱及びリア支柱を設けた発明が提案されている(特許文献6、7)。しかし、構造が複雑であるため運搬用容器の製造コストが上昇するという問題を有する上に、作業効率を低下させないで容易にホルダーから抜き取るという前記問題に対する解決策にはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、RFIDタグを保持させた場合でも容易に抜き取ることが出来るカードホルダー、及び該カードホルダーを備えた運搬用容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、次の1)〜3)の発明によって解決される。
1) 取り付け対象となる運搬用容器の壁との間に、RFIDタグ等を保持できる空間を形成するためのカードホルダー本体と、前記壁とRFIDタグ等との間に、RFIDタグ等の抜き取りを容易にする隙間を形成するための隙間形成ピースとからなるカードホルダー。
2) 前記隙間が1〜30mmであることを特徴とする1)記載のカードホルダー。
3) 1)又は2)記載のカードホルダーを備えた運搬用容器。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、RFIDタグを保持させた場合でも容易に抜き取ることが出来るカードホルダー、及び該カードホルダーを備えた運搬用容器を提供できる。
また、既存のカードホルダーをそのまま用いて隙間形成ピースだけを取り付ければよいので、新たに専用の運搬用容器を製造する必要がなく、非常に効率的かつ安価に運搬用容器の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来技術と本発明技術における、カードホルダー本体とRFIDタグや帳票等が保持された状態の関係を示す図。
【図2】隙間形成ピースの形状の一例を示す図。
【図3】種々の形状の隙間形成ピースを運搬用容器に取り付けた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明は従来の運搬用容器のカードホルダーの改善に係るものであるから、運搬用容器としては従来公知のものを用いればよい。
運搬用容器の一般的な例としては、合成樹脂を用いて射出成形により形成され、スタッキング状態では収容物を収容した複数の容器本体を積み上げることができ、ネスティング状態では空の容器本体を省スペースに積み重ねることができるように構成したものなどが挙げられる。具体的には特許文献8や特許文献9などの形態が用いられるが特に限定されるものではない。
【0011】
本発明のカードホルダーは図1右に一例を示すように、カードホルダー本体と隙間形成ピースとからなる。
カードホルダー本体は運搬用容器と同様に従来公知のものでよく、取り付け対象となる運搬用容器の壁との間にRFIDタグ等を保持できるものであれば、大きさ、形状、構造、材質等は特に限定されない。
カードホルダの一般的な例としては、例えば、特許文献10の図8(a)、(b)に示されるようなものが知られている。すなわち、このカードホルダ71は、ほぼ四角板状に形成された後面板72と、その後面板72の両側縁及び下端縁に沿って前方に突出した側面板73及び底面板74と、これら側面板73及び底面板74の前端部から後面板72と平行に突出した複数の前面板75とから構成されている。前記後面板72は、カードとほぼ同じ形状に形成されているうえ、その両側部、下端部及び左右一対の下部コーナ部には、それぞれ四角孔状の透孔76が貫設されている。また、各前面板75は四角板状に形成され、前記側面板73又は底面板74の前端部において後面板72と僅かな間隔をおいて平行に設けられるとともに、前記透孔76の前面位置に設けられている。
そして、図示しない四角板状のカードを、後面板72の上方からカードホルダ71内へとスライドさせて挿入し、後面板72と前面板75との隙間に配置することによって、カードをカードホルダ71内に収容保持させることができる。
さらに、このカードホルダ71は、複数の前面板75によりカードの端部がめくれ上がらないように構成されており、カードホルダ71内からカードが容易に脱落することがない。
【0012】
本発明の特徴は隙間形成ピースを設けた点にある。
隙間形成ピースは、RFIDタグ等をカードホルダーから容易に抜き取ることができるように、RFIDタグ等とカードホルダー本体を取り付ける運搬用容器の壁との間に隙間を設けるためのものである。
したがって、隙間さえ形成できれば形状は特に限定されない。
例えば、図2(a)に示すような楔状のもの、図2(b)に示すようなRFIDタグなどに接する面をカーブ状としたもの、図2(c)、図3(a)(b)に示すような平板状のもの、図3(c)に示すような直方体形状のもの、図3(d)に示すような直方体の表面を斜めに切り欠いた形状(断面が台形状)のものなどが挙げられる。
【0013】
隙間形成ピースの大きさは、図2(a)(c)を参照しつつ説明すると、隙間形成ピースを運搬用容器の壁に取り付けた状態における壁からの突出高さを「厚みd」として、本発明の効果を奏するのに十分な隙間を形成するためには、厚みdを1〜30mm程度とすることが好ましい。厚みが1mm未満では隙間に手の爪が入らないため本発明の効果を得にくく、30mmを超えるとRFIDタグが曲がり過ぎた状態で保持されることになるため、RFIDが破損して機能を損なうことがあり、また、RFIDタグの表示が見えにくくなるため好ましくない。
また、RFIDタグ等を出し入れする方向(通常は垂直方向)の大きさを「高さh」、該高さhと直交する方向(通常は水平方向)の大きさを「幅w」とすると、高さh、及び幅wは特に限定されず、1mm以上あれば役割を果たせるし、運搬用容器の壁の大きさの範囲内であれば取り付けは可能である。しかし、通常は、高さhを1〜150mm程度、幅wを1〜200mm程度とする。
【0014】
隙間形成ピースの材質は特に限定されず、一般に用いられるプラスチック、紙、ガラス、金属等から適宜選択すればよい。
隙間形成ピースの取り付け手段も特に限定されないが、汎用の接着剤、粘着剤等により貼付する手段が簡便である。
隙間形成ピースの取り付け位置は、対象物の壁との間の隙間を利用してカードホルダーに保持されたRFIDタグなどを簡単に抜き取ることが出来る位置であればよく(図3参照)、中央部でも端部でもよいし、一個所でも二か所以上でもよい。
【0015】
本発明に適用可能なICチップモジュールを組み込んだ作業書、部品管理票、工程管理票等の指示書類としては、特許文献11の<実施例1>、特許文献12の<実施例1>、特許文献13の<実施例1>に記載されたものなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
なお、特許文献11の<実施例1>には、基材の一方の面(表面)に可逆性感熱記録層を設けた可逆性感熱記録シートを用意し、該基材の他方の面(裏面)にシリコーン系材料を厚さ10μm塗工し、その上に電子情報記録部材を貼り合わせ、次いで、裏面側全体を覆うようにシリコーン系材料を厚さ240μm塗工した後、20℃55%RH・24時間の条件下で硬化させて、電子情報記録部材が裏面保護層中に埋め込まれ裏面保護層材料で全体を包まれた状態で設置された可逆性感熱記録媒体を作製したこと、及び可逆性感熱記録シートには、リコー社製RECO−View CRフィルム 630BDを用い、電子情報記録部材には、UPM Rafsec社製HFインレイSC3000835を用い、シリコーン系材料には、東レダウコーニング社製湿気硬化型シリコーン接着剤SE9188RTV(低分子シロキサン成分含有率0.06重量%)を用いたことが記載されている。
【符号の説明】
【0016】
d 厚み
h 高さ
w 幅
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平11−154210号公報
【特許文献2】特開2000−94866号公報
【特許文献3】特開2000−251042号公報
【特許文献4】特開2001−63228号公報
【特許文献5】特開2002−103654号公報
【特許文献6】特開2008−191943号公報
【特許文献7】特開2008−191968号公報
【特許文献8】特開2010−173653号公報
【特許文献9】特開2008−265829号公報
【特許文献10】特開2001−209320号公報
【特許文献11】特開2009−214436号公報
【特許文献12】特開2008−229911号公報
【特許文献13】特開2009−173013号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け対象となる運搬用容器の壁との間に、RFIDタグ等を保持できる空間を形成するためのカードホルダー本体と、前記壁とRFIDタグ等との間に、RFIDタグ等の抜き取りを容易にする隙間を形成するための隙間形成ピースとからなるカードホルダー。
【請求項2】
前記隙間が1〜30mmであることを特徴とする請求項1記載のカードホルダー。
【請求項3】
請求項1又は2記載のカードホルダーを備えた運搬用容器。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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