説明

カードリーダ・ライタ

【課題】 磁気表示カード等のカードの挿入と方向の判別に係るコストをより削減したカードリーダ・ライタを提供する。
【解決手段】 挿入側端部に形成された識別用画像51、記録部52及び表示部53を有するカード50が挿入されるカード挿入口Aと、カード挿入口Aから挿入されたカード50を搬送するカード搬送機構と、カード挿入口Aに設けられる画像検出センサ2と、画像検出センサ2が検出したカード50の識別用画像51が予め登録してある識別用画像と一致するかどうか判定する判定手段とを備え、判定手段で一致すると判定されたとき、カード搬送機構を作動させ、カード50の表示部53の画像の消去及び書き込みをサーマルプリントヘッド17で行い、記録部52の磁気データの読み取り及び書き込みを磁気ヘッド40で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カードリーダ・ライタで読み取り及び/又は書き込みを行うカードの挿入と方向とを同時に判別することが可能なカードリーダ・ライタに関する。
【背景技術】
【0002】
カードリーダ・ライタで読み取り及び/又は書き込みを行うカードとして、例えば磁気表示カードがある。この磁気表示カードは、データを磁気的に記録する記録部と、この記録部に記録されているデータを磁化によって文字等で表示する表示部とを有するものである。このような磁気表示カードに対してカードリーダ・ライタで読み取り及び/又は書き込みを行うには、カードリーダ・ライタへの磁気表示カードの挿入方向が正しくなければならない。そのため、磁気表示カードの方向判別機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載された方向判別機構は、磁気表示部及び磁気記録部を有する磁気表示カードの到来を検出する第1の検出手段(位置センサ)と、磁気表示カードの磁気記録部の有無を検出する第2の検出手段(方向判別センサ)とを備え、第1の検出手段の検出出力を前提にし、第2の検出手段の検出出力に基づいて磁気表示カードの方向を判別するように構成されている。
【特許文献1】特開平6−176537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の技術では、磁気表示カードがカードリーダ・ライタに挿入されたことを検出する位置センサと、挿入された磁気表示カードの方向を判別する方向判別センサとの2つのセンサを設ける必要があり、コストが上昇する問題点がある。
【0005】
この発明は、そのような問題点に着目してなされたもので、磁気表示カード等のカードの挿入と方向の判別に係るコストをより削減したカードリーダ・ライタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のカードリーダ・ライタは、挿入側端部に識別用画像を有するカードが挿入されるカード挿入口と、カード挿入口から挿入されたカードを搬送するカード搬送機構と、カード挿入口に設けられる画像検出センサと、画像検出センサが検出したカードの識別用画像が予め登録してある識別用画像と一致するかどうか判定する判定手段とを備え、判定手段で一致すると判定されたとき、カード搬送機構を作動させ、カードのリード又はライトの少なくとも一方を行うことを特徴とする。
【0007】
このカードリーダ・ライタでは、画像検出センサが検出したカードの識別用画像が予め登録してある識別用画像と一致するかどうか判定することで、カードの挿入と方向の判別を同時に行っている。
【0008】
このカードリーダ・ライタにおいて、画像検出センサはラインイメージセンサであり、判定手段はラインイメージセンサで読み取られた識別用画像の濃淡に基づき、カードの識別用画像が予め登録してある識別用画像と一致するかどうか判定することが好ましい。
【0009】
また、カードはリライタブル層が形成されており、リライタブル層の形成された面の画像が書き替え可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、1つのセンサ(画像検出センサ)でカードの挿入と方向とを同時に判別することができるので、必要なセンサが1つで済み、カードリーダ・ライタのコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、実施の形態により、この発明を更に詳細に説明する。
【0012】
その実施形態に係るカードリーダ・ライタの構成例のブロック図を図1に示す。このカードリーダ・ライタは、MPU1と、画像検出センサとしてのCCD2と、画像処理回路3と、機構制御回路4と、警告回路9と、ROM12と、RAM13と、インターフェース(I/F)14と、サーマルヘッド駆動回路16とを備え、これら各部がバス18により接続されている。
【0013】
MPU1は、ROM12に記憶されたプログラムに従い、このカードリーダ・ライタを構成する各部を統括制御する。また、MPU1は、後記CCD(画像検出センサ)2が検出したカードの識別用画像が予め登録してある識別用画像と一致するかどうか判定する判定機能と、この判定機能で一致すると判定されたとき、後記カード搬送機構を作動させ、カードのリード及びライトの両方を行う機能を有する。
【0014】
CCD2は、ラインイメージセンサとしてカード50(図3)の挿入側端部に形成された識別用画像51を読み取る。これについては後述するが、ここでは識別用画像51がバーコードであるため、CCD2は、識別用画像51をカード搬送方向と直交する方向に走査して読み取る。なお、画像検出センサとしては、単なる反射型のホトセンサを用いてもよく、反射型のホトセンサの場合は、識別用画像51の濃度だけによる識別が可能である。
【0015】
画像処理回路3は、CCD2が読み取ったカード50の識別用画像51の信号を二値化処理したりする。機構制御回路4は、このカードリーダ・ライタのカード搬送機構を制御する。詳細は後述するが、機構制御回路4は、ソレノイド駆動回路5を介してソレノイド6の励磁・非励磁を制御するとともに、モータ駆動回路7を介してモータ8の回転・逆回転・停止等を制御する。ソレノイド6の励磁・非励磁を行うことで、後記シャッタ35によりカード挿入口Aが開閉され、モータ8の回転・逆回転・停止を行うことで、後記二対の搬送ローラ31,32、41,42によりカード50の移動が制御される。
【0016】
警告回路9は、カードの挿入方向を間違えたり、カードの識別用画像が登録されている識別用画像と異なるとき(双方の識別用画像が一致しないとき)に、ブザー10で警告音を発したり、LED11を点灯又は点滅させる。なお、ブザー10及びLED11は両方ある必要はなく、どちらか一方のみでもよい。
【0017】
ROM12は、このカードリーダ・ライタ全体の動作を制御するためのプログラム等を記憶する。RAM13は、MPU1による制御に必要なデータ及び制御動作時に一時記憶が必要なデータ等を記憶する。また、RAM13は、CCD2が検出したカード50の識別用画像51が正しいものであるか判定するための標準となる識別用画像を予め登録してある。
【0018】
I/F14は、このカードリーダ・ライタをインターネット等を介してホストコンピュータ15と接続するためのもので、ホストコンピュータ15は、カード50の記録部52から読み取られた磁気データを記録したり、ホストコンピュータ15に記憶されている磁気データを受信したり、カード50の表示部53に書き込む画像データを記憶しておくのに使用される。
【0019】
サーマルヘッド駆動回路16は、カード50の表示部53に表示された画像を消去するときや表示部53に画像を書き込むときのサーマルプリントヘッド17のON/OFFを制御する。表示部53の画像の消去や書き込みにサーマルプリントヘッド17を用いるのは、この実施形態では、カード50はリライタブル層を有し、リライタブル層の形成された面の画像が書き替え可能なものであり、そのリライタブル層の書き替えは温度の高低によって行うものであるからである。これについての詳細は後述する。
【0020】
次に、このカードリーダ・ライタのカード挿入口付近の機構部の構成例の概略図を図2に示す。この機構部では、カード50が挿入されるカード挿入口Aの入口に、カード50の識別用画像51を検出する画像検出センサとしてのCCD2と、カード50を照明する光源21と、カード50の識別用画像51をCCD2に結像させるレンズ22とが配置されている。CCD2が検出したカード50の識別用画像51の信号は、前記画像処理回路3に入力される。
【0021】
また、カード挿入口Aの内側には、カード50を挟持して搬送する一対の搬送ローラ31,32が配置され、この搬送ローラ31,32の手前に図示のような形状のシャッタ35がカード挿入口Aを開閉するように配置されている。シャッタ35は、搬送ローラ32の支軸32aに相対的に回転可能に支持され、基端部36に長円状の穴36aを有する。この長円状の穴36aには、ソレノイド6により作動するプランジャ38に設けたピン39が嵌挿されることで、シャッタ35はプランジャ38の作動に連動し、図2に示すカード挿入口Aを閉じる位置と、カード挿入口Aを開ける位置との間を回転する。すなわち、図2に示すカード挿入口Aの閉状態から、ソレノイド6が励磁されて、プランジャ38がソレノイド6側に移動すると、シャッタ35が上昇し、カード挿入口Aが開状態となる。ソレノイド6の励磁が無くなると、プランジャ38は例えばバネ(図示せず)の付勢によりソレノイド6から突出し、シャッタ35が下降し、カード挿入口Aが閉状態となる。
【0022】
搬送ローラ31,32の内側には、サーマルプリントヘッド17と磁気ヘッド40がカード搬送路を挟んで配置されている。サーマルプリントヘッド17は、カード50の表示部53に表示された画像を消去したり、表示部53に別の画像を書き込んだりするためのものである。磁気ヘッド40は、カード50の記録部52に記録された磁気データを読み取ったり、記録部52に別の磁気データを書き込んだりするためのものである。サーマルプリントヘッド17と磁気ヘッド40の更に内側には、カード50を挟持して搬送する別の一対の搬送ローラ41,42が配置されている。ここでは、モータ8、二対の搬送ローラ31,32、41,42等でカード搬送機構が構成される。
【0023】
一方、このカードリーダ・ライタで使用するカード50は、その表面側の平面図を図3に示すように、表面側の挿入側端部に識別用画像51が形成されている。識別用画像51は、ここでは方向と種別を表すバーコードとして示されているが、バーコード以外のものでもよい。カード50の同じく表面側には、挿入方向を示す矢印54が識別用画像51に近接して形成されている。また、カード50の裏面側には記録部52が形成されている。記録部52は、ここではデータを磁気的に記録する磁気ストライプである。
【0024】
このカード50は、表面全体が表示部53になっているが、表示部53は一部のみであってもよい。表示部53には、前記したように画像の書き替えが可能なリライタブル層(図示せず)が設けられており、表示部53の書き替えは温度の高低によって行うものである。具体的には、表示部53に画像が書き込まれていない状態で、サーマルプリントヘッド17により表示部53を急加熱(高温)・急冷却(低温)することで画像を書き込む。すなわち、急加熱により発色状態となり(画像が現れ)、この発色状態が急冷却により保持される(画像が残る)。反対に、表示部53に画像が書き込まれた状態で、サーマルプリントヘッド17により表示部53を中温での長時間加熱・冷却することで画像を消去する。すなわち、発色状態が中温での長時間加熱により消色状態となり(画像が消え)、この消色状態が冷却により保持される。なお、このような特性を持つリライタブル層は既知である。
【0025】
次に、このカードリーダ・ライタでカード50の読み取り及び書き込みを行うときの動作について、図4及び図5のフロー図を参照して説明する。但し、図4及び図5のフロー図では、説明を簡単にするために、カード搬入時に画像(必要な部分のみ)の消去と磁気データの読み取りを行い、カード搬出時に画像(必要な部分のみ)の書き込みと磁気データの書き込みを行うこととしている。
【0026】
ステップST1において、カード挿入口Aがシャッタ35で閉じられた状態で、カード挿入口Aにカード50がシャッタ35に突き当たるまで挿入されると(図2の状態)、カード50の挿入側端部にある識別用画像51をCCD2により検出する。このとき、CCD2により何か画像が検出されたかどうか判定し、何も画像が検出されないときは、挿入されたカードが所定形式のカード50とは異なる場合や、所定形式のカード50であっても挿入方向が間違っている場合が想定されるので、当該処理を終了する。
【0027】
ステップST1において、CCD2が何か画像を検出すると、ステップST2において、検出された画像が予め登録された正しい識別用画像であるか否か判定する。この判定がNOの場合は、検出された画像が正しい識別用画像とは異なる画像であると判断し、ステップST10において、警告回路9を介してのブザー10の鳴動及びLED11の点灯や点滅により、ユーザにその旨を警告し、当該処理を終了する。
【0028】
検出された画像が正しい識別用画像であるときは、ステップST3において、ソレノイド駆動回路5を介してソレノイド6を励磁し、プランジャ38の移動によりシャッタ35を上昇させて、カード挿入口Aを開ける。次いで、ステップST4において、モータ駆動回路7を介してモータ8を正回転させ、二対の搬送ローラ31,32、41,42によりカード50をカード挿入口Aから内部に搬入する。カード50が内部に取り込まれたら、ステップST5において、ソレノイド6を非励磁とし、プランジャ38をバネの付勢により元の位置に復帰させることで、シャッタ35を下降させて、カード挿入口Aを閉じる。
【0029】
続いて、ステップST6において、カード50の表示部53の画像消去(必要な部分のみ消去)を開始するために、前記したように、サーマルヘッド駆動回路16を介してサーマルプリントヘッド17を中温で長時間駆動する。これと併行して、ステップST7において、カード50の記録部52の磁気データの読み取りを磁気ヘッド40により開始する。そして、ステップST8において、読み取った磁気データをI/F14を通じてホストコンピュータ15に転送する。
【0030】
次のステップST9においては、表示部53の画像消去や記録部52の磁気データの読み取りがカード50の端部まで終わったか判定し、まだの場合は画像消去や磁気データの読み取り・転送を続ける。その処理がカード50の端部まで終了すると、ステップST11において、サーマルプリントヘッド17をOFFにするとともに、モータ8の正回転を停止し、二対の搬送ローラ31,32、41,42によるカード50の搬送を止める。その後、ステップST12において、カード50の表示部53に新たに画像を書き込むために、画像データをホストコンピュータ15から受信するとともに、ステップST13において、カード50の記録部52に新たに磁気データを書き込むために、磁気データをホストコンピュータ15から受信する。
【0031】
ステップST14においては、モータ8を逆回転させ、二対の搬送ローラ31,32、41,42によりカード50をカード挿入口Aの方向に搬送する。このとき、ステップST15において、ホストコンピュータ15から取得した画像データをカード50の表示部53に書き込み(必要な部分のみに書き込み)始めるために、前記したようにサーマルプリントヘッド17を高温で短時間駆動する。これと併行して、ステップST16において、ホストコンピュータ15から取得した磁気データをカード50の記録部52に磁気ヘッド40により書き込み始める。
【0032】
次いで、ステップST17において、モータ8が所定回数だけ回転(逆回転)したか判定する。すなわち、モータ8の回転数をチェックすることで、カード50の表示部53への画像データの書き込みや記録部52への磁気データの書き込みが終了したかを判定する。この判定がNOの場合は、画像データや磁気データの書き込みを続ける。判定がYESになると、ステップST18において、サーマルプリントヘッド17をOFFにするとともに、モータ8の逆回転を停止し、二対の搬送ローラ31,32、41,42によるカード50の搬送を止め、当該処理を終了する。この時点で、書き込みが終了したカード50はカード挿入口Aに位置する。
【0033】
なお、上記実施形態では、カード50の表示部53は、サーマルプリントヘッド17による温度制御により画像の消去及び書き込みを行うリライタブル層が形成されたものであるが、磁化によって画像の消去及び書き込みを行うリライタブル層が形成されたものでもよい。
【0034】
また、上記実施形態では、カード50は書き込み可能な表示部53を有するもので、表示部53の画像の消去及び書き込みを行っているが、表示部53が無いものであってもよい。この場合は、記録部52の磁気データの読み取り及び書き込みを磁気ヘッド40により行うだけとなる。更に、磁気ヘッド40による磁気データの読み取りと書き込みは両方行う必要はなく、どちらか一方のみであってもよい。
【0035】
加えて、識別用画像51をカード50の逆端に印字し、矢印54を反対方向に印字することにより、カードリーダ・ライタに逆向けに挿入して使用することが可能となる。その際、記録部52も今まで使われていなかった磁気面が使用されることとなり、カード50の寿命を延ばすことができる。また、正方向と逆方向とを併用することにより、記録部52が2つ形成でき、記録できる情報を2倍とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態に係るカードリーダ・ライタの構成例のブロック図である。
【図2】同カードリーダ・ライタのカード挿入口付近の機構部の構成例の概略図である。
【図3】同カードリーダ・ライタで使用するカードの一例を示す表面側の平面図である。
【図4】同カードリーダ・ライタでカードの読み取り及び書き込みを行うときの動作を説明するフロー図である。
【図5】図4に続くフロー図である。
【符号の説明】
【0037】
1 MPU
2 CCD(画像検出センサ)
6 ソレノイド
8 モータ
15 ホストコンピュータ
17 サーマルプリントヘッド
31,32 搬送ローラ
35 シャッタ
40 磁気ヘッド
41,42 搬送ローラ
A カード挿入口
50 カード
51 識別用画像
52 記録部
53 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入側端部に識別用画像を有するカードが挿入されるカード挿入口と、カード挿入口から挿入されたカードを搬送するカード搬送機構と、カード挿入口に設けられる画像検出センサと、画像検出センサが検出したカードの識別用画像が予め登録してある識別用画像と一致するかどうか判定する判定手段とを備え、判定手段で一致すると判定されたとき、カード搬送機構を作動させ、カードのリード又はライトの少なくとも一方を行うことを特徴とするカードリーダ・ライタ。
【請求項2】
前記画像検出センサはラインイメージセンサであり、前記判定手段はラインイメージセンサで読み取られた識別用画像の濃淡に基づき、カードの識別用画像が予め登録してある識別用画像と一致するかどうか判定することを特徴とする請求項1記載のカードリーダ・ライタ。
【請求項3】
前記カードはリライタブル層が形成されており、リライタブル層の形成された面の画像が書き替え可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のカードリーダ・ライタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−11885(P2006−11885A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189065(P2004−189065)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】