説明

カード付き帳票

【課題】廉価に製作でき、かつ確実な偽造防止機能を付与できるカード付き帳票を提供すること。
【解決手段】単片帳票40の領域内にミシン目からなる切り取り線51で囲まれたカード片50を形成し、カード片50の少なくとも一辺の切り取り線51に微小カット部53aと微小アンカット部53bとからなる微小ミシン目53を含むようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は単片帳票に切り離し可能なカード片を形成したカード付き帳票に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カード付き帳票については、帳票に形成したカード片の偽造を防止するために印刷やホログラム加工を施す方法が採られていた。例えば、下記の特許文献1には、本出願人が先に出願して特許された隠蔽カードに関する発明が開示されている。
【0003】
特許文献1の隠蔽カードは、カード基材の隠蔽情報表示部の上に粘着剤層を介して接着された第1のフィルム層と、第1のフィルム層上に疑似接着された第2のフィルム層と、隠蔽情報表示部を隠蔽する隠蔽手段とを備え、2つのフィルム層のうち少なくとも第1のフィルム層にホログラムが形成されている。そして、第1のフィルム層と第2のフィルム層の疑似接着面で両者を剥離すると第1のフィルム層側の剥離面にホログラムが出現し、この第1のフィルム層を通して隠蔽情報表示部の表示内容が見えるようになっている。これにより、ホログラム干渉縞による高い意匠効果を付与することができるとともに、偽造防止機能を持たせることもできる。
【0004】
しかしながら、上記の隠蔽カードのようなホログラム加工を施した帳票の場合、偽造防止としての確実性はあるものの、材料費が高価で余分な貼付工程が必要になる等、帳票の作製コストが高くなってしまうという問題があった。また、偽造防止印刷については、スラーや網点などを用いた方式も採用されているが、近年では複写機の解像度の向上によってその偽造防止効果が弱くなっているという問題もある。
【0005】
【特許文献1】特許第2894492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、廉価に製作でき、かつ確実な偽造防止機能を付与できるカード付き帳票を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明のカード付き帳票は、基材シートの裏面に樹脂フィルムが貼付され、樹脂フィルムに対向して剥離可能シートが疑似接着された単片帳票の領域内に切り取り線で囲まれたカード片が形成され、カード片の少なくとも一辺の切り取り線が、カット部とアンカット部からなる通常ミシン目の一部に通常ミシン目のカット部よりも短い微小カット部と通常ミシン目のアンカット部よりも短い微小アンカット部とからなる微小ミシン目を含んでいることを特徴とする。
【0008】
切り取り線とは、基材にカット加工を施してカット部とアンカット部を形成したミシン目のように、カッター等の刃具を使用しなくても基材を切断できるようにした線のことをいう。また、微小ミシン目は、マイクロミシン目とミニピッチミシン目を含む。マイクロミシン目とはカット部とアンカット部の長さがそれぞれ0.5mm以下に設定されたミシン目を意味し、ミニピッチミシン目とはカット部とアンカット部の長さがそれぞれ1.5mm以下に設定されたミシン目を意味し、これに対してカット部とアンカット部の長さがそれぞれ1.5mmを超えるミシン目を通常ミシン目と定義する。
【0009】
本発明において、カード片の少なくとも一辺の一部に微小ミシン目を含むようにした理由は、一辺全体が微小ミシン目の場合には印刷機のミシン刃で簡単にカット加工が可能であるのに対し、部分的な微小ミシン目の場合にはミシン刃を交換しなければならず、カット加工に手間が掛かり正確に偽造することが難しくなるからである。このような構造によれば、単片帳票からカード片を切り離すと、カード片の微小ミシン目を切断した小口に微小な凹凸部が発生するので、この凹凸部の有無やその形状の相違によって正規のカード片であるかどうかの真偽判別を行うことができる。
【0010】
また、本発明は、上記の構成からなるカード付き帳票において、以下のような各種の構造を採用してもよい。
【0011】
例えば、上記微小ミシン目が長さの異なる微小カット部と微小アンカット部を不規則に配置したものであると、切り取ったカード片の切断小口に部分的に不規則な凹凸部ができるので偽造防止効果が高くなる。また、上記カード片の角部がカット部で構成されていると、カード片を切り離すときに角部を起点に裂けてしまうことがなくなる。さらに、カード片の切り離しやすさや切り離したカード片の凹凸部による偽造判断などを考慮すると、上記微小ミシン目の微小アンカット部に対する微小カット部のタイカット比率が1:4以下に設定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明のカード付き帳票によれば、切り取り線を切断して単片帳票からカード片を切り離すと、カード片における微小ミシン目の切断小口に微小な凹凸部が発生し、この凹凸部の有無やその形状の相違によって正規のカード片であるかどうかの真偽判別を行うことが可能になるので、簡単かつ廉価な加工で確実な偽造防止機能を持たせることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は本発明のカード付き帳票の全体図である。
【0015】
図1に示すように、このカード付き帳票10は、連続用紙20を用いて作製された折り畳み可能な連続帳票であり、連続用紙20に複数枚のカード片50,50,…が健康保険被保険者証として設けられている。連続用紙20を構成する基材としては、各種の紙の中からカード片の用途に応じて選択することができるが、折り畳んだときにカード片50の部分で折れ曲がってしまう現象、いわゆる中折れ現象を防ぐため、用紙の腰が強すぎないものがよい。本実施形態では、上質紙(連量:四六判110kg)からなる基材シート21の両側縁部に所定ピッチで送り孔22を開設した連続用紙20を使用している。
【0016】
連続用紙20の長手方向には、所定間隔をあけて複数の折り線41,41,…が設けられており、連続用紙20はこれらの折り線41を介して複数の単片帳票40,40,…に区画されている。折り線41は、基材シート21にカット加工やプレス加工を施して基材シート21の折り位置を明確にするとともに折り曲げやすくした線である。本実施形態では、連続用紙20を山折りする山折り線42と谷折りする谷折り線43が交互に配置されており、山折り線42はカット部42aをアンカット部42bよりも長く設定したプレスミシン目で構成され、谷折り線43は逆にカット部43aをアンカット部43bよりも短く設定したプレスミシン目で構成されている。
【0017】
図2は、カード付き帳票の断面図である。
【0018】
図2に示すように、連続用紙20の裏面にはカード片50よりもひと回り大きな単片状の剥離可能シート30が疑似接着されている。すなわち、各単片帳票40には基材シート21の裏面に粘着剤層23によってPET(ポリエチレンテレフタレート)からなる第1の樹脂フィルム層24が設けられており、この第1の樹脂フィルム層24に対向して、上質紙(連量:四六判45kg)による基材31の表面にPE(ポリエチレン)からなる第2の樹脂フィルム層32を設けた剥離可能シート30が仮着されている。
【0019】
図3は、カード付き帳票におけるカード片付近の拡大図である。
【0020】
図3に示すように、各単片帳票40の領域内には、切り取り線51で囲まれたカード片50が形成されている。切り取り線51は、基材シート21にカット加工を施してカット部とアンカット部を形成し、カッター等の刃具を使用しなくても基材シートを切断できるようにした線である。カード片50の少なくとも一辺の切り取り線51は、カット部52aとアンカット部52bからなる通常ミシン目52の一部に微小ミシン目53を含んでいる。微小ミシン目53を含む切り取り線51は、カード片50における連続用紙20の幅方向に沿った一辺に設けられている。ここで、カード片50の一辺の一部に微小ミシン目53が含まれているのは、部分的な微小ミシン目53にすることによって、カット加工を複雑化して確実に偽造を防止するためである。
【0021】
微小ミシン目53を含む切り取り線51は、本実施形態では隣り合う単片帳票40に対して長手方向の両側に設けられているが、少なくとも山折り線42側に設けられていればよい。その理由は、プリンタの折り畳みユニットで折り畳む際に谷折り線43よりも山折り線42に近い部分で中折れ現象が発生しやすく、山折り線42の手前にあるカード片の切り取り線51部分で発生する中折れ現象を防ぐためである。
【0022】
カード片50の角部は通常ミシン目52のカット部52aで構成されている。カード片50の角部にアンカット部52bがあると、カード片50を剥がす際に裂けやすくなってしまうからである。したがって、アンカット部52bの開始位置をカード片50の角部から少なくとも5mm以上離すことが好ましい。また、本実施形態ではカード片50を摘みやすくするため、4つの角部をすべて湾曲状にカットしたラウンドコーナー部54が形成され、ラウンドコーナー部54からカード片50の外側に向かって延びるスリット55が形成されている。
【0023】
図4は、カード片における微小ミシン目付近の拡大図である。
【0024】
図4に示すように、微小ミシン目53は、通常ミシン目52のカット部52aよりも長さの短い微小カット部53aと、通常ミシン目52のアンカット部52bよりも長さの短い微小アンカット部53bとから構成されている。また、微小ミシン目53は互いに長さの異なる微小カット部53aと微小アンカット部53bを不規則に配置したものであることが好ましい。微小カット部53aと微小アンカット部53bの配置を不規則なパターンにすると、剥がし取ったカード片50の縁部に部分的に不規則な凹凸部56ができ、偽造防止効果が高くなる。
【0025】
本実施形態の微小ミシン目53は、微小カット部53aの長さL1が0.3mm以下、微小アンカット部53bの長さL2が0.2mm以下であり、微小アンカット部53bに対する微小カット部53aのタイカット比率(L2:L1)が1:4以下に設定されたマイクロミシン目である。これは、カード片50の剥がしやすさ、印字時の単片帳票40の中折れ現象防止、さらには剥がしたカード片50の一部の凹凸部56による偽造判断など、総合的なバランスを考慮したことによる。一般にアンカット部が0.3mm以下の刃型を製作するのは困難であり、腐食刃と呼ばれる刃型のように一般の刃型に比べて特殊なカッティング技術が必要となる。なお、本実施形態の微小ミシン目53のサイズは一例であり、微小カット部が0.2mm、微小アンカット部が0.15mmのマイクロミシン目や、微小カット部が0.9mm、微小アンカット部が0.3mmのミニピッチミシン目、あるいは微小カット部が1.2mm、微小アンカット部が0.3mmのミニピッチミシン目等にしてもよい。
【0026】
図5は、連続用紙を折り畳んだ時の状態を示す説明図である。
【0027】
図5に示すように、本実施形態のカード付き帳票10は、上記のように構成されているので、プリンタでカード片50に所定事項(本実施形態では健康保険被保険者証の有効期限、記号、氏名、性別など)を印字した後、折り畳みユニットにおいて、山折り線42での山折り作業と谷折り線43での谷折り作業を繰り返すことによって、連続用紙20をジグザグに折り畳めるようになっている。
【0028】
ここで、谷折り線43は山折り線42に比べて折れにくいプレスミシン目で構成されているため、谷折り線43の折れ山の厚みを山折り線42の折れ山の厚みに揃えることが可能になる。これにより、連続用紙20の折り畳み端部の高さが等しくなるので、折り畳み後のカード付き帳票10の倒れ込みを防ぐことができる。また、単片帳票40には連続用紙20の幅方向に沿って通常ミシン目52のアンカット部52bや微小ミシン目53のアンカット部53bが設けられているため、カード片50の切り取り線51部分で折れにくくなり、折り畳みユニットでの中折れ現象を確実に防止することができる。
【0029】
図6はカード付き帳票からカード片を剥離する時の状態を示す説明図である。
【0030】
図6に示すように、カード片50の4つの角部には外側に向かって延びるスリット55が形成されており、いずれかのスリット55を裂いてラウンドコーナー部54を摘んで剥がすと、カード片50は基材シート裏面の第1の樹脂フィルム層24と剥離可能シート表面の第2の樹脂フィルム層32との間の疑似接着面を介して剥離される。このとき、カード片50の角部分はカット部52aにより構成されているので、剥離時にカード片50の角部が裂けてしまうことがなく、カード片50全体をきれいに剥がし取ることができる。
【0031】
図7は剥離したカード片の状態を示す説明図である。
【0032】
図7に示すように、カード付き帳票10から剥がし取ったカード片50は、その縁部に微小ミシン目53を切断した小口に微小な凹凸部56が発生するので、この凹凸部56の有無、あるいはその形状の相違によって正規のカード片50であるかどうかの真偽判別を行うことができる。また、微小ミシン目53の微小カット部53aと微小アンカット部53bの連続パターンを不規則に配置した場合には、これに伴って切断小口も不規則な凹凸部56になるので、偽造防止効果がより一層高くなるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のカード付き帳票の全体図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】カード付き帳票におけるカード片付近の拡大図。
【図4】カード片における微小ミシン目付近の拡大図。
【図5】連続用紙を折り畳んだ時の状態を示す説明図。
【図6】カード付き帳票からカード片を剥離する時の状態を示す説明図。
【図7】剥離したカード片の状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0034】
10…カード付き帳票
20…連続用紙
21…基材シート
22…送り孔
23…粘着剤層
24…第1の樹脂フィルム層
30…剥離可能シート
31…基材
32…第2の樹脂フィルム層
40…単片帳票
41…折り線
42…山折り線
42a…カット部
42b…アンカット部
43…谷折り線
43a…カット部
43b…アンカット部
50…カード片
51…切り取り線
52…通常ミシン目
52a…カット部
52b…アンカット部
53…微小ミシン目
53a…微小カット部
53b…微小アンカット部
54…ラウンドコーナー部
55…スリット
56…凹凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの裏面に樹脂フィルムが貼付され、樹脂フィルムに対向して剥離可能シートが疑似接着された単片帳票の領域内に切り取り線で囲まれたカード片が形成され、カード片の少なくとも一辺の切り取り線が、カット部とアンカット部からなる通常ミシン目の一部に通常ミシン目のカット部よりも短い微小カット部と通常ミシン目のアンカット部よりも短い微小アンカット部とからなる微小ミシン目を含んでいることを特徴とするカード付き帳票。
【請求項2】
上記微小ミシン目が長さの異なる微小カット部と微小アンカット部を不規則に配置したものであることを特徴とする請求項1に記載のカード付き帳票。
【請求項3】
上記カード片の角部がカット部で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカード付き帳票。
【請求項4】
上記微小ミシン目の微小アンカット部に対する微小カット部のタイカット比率が1:4以下に設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカード付き帳票。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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