説明

カード処理装置

【課題】自動クリーニング中に動作が停止し、クリーニング媒体収納部以外の場所にクリーニング媒体が残留した場合でも、以降の自動クリーニングを行うことができる。
【解決手段】クリーニング媒体を収納する第1の媒体収納部と、前記第1の媒体収納部に接続し、剛性の低いクリーニング媒体のみが通過可能な屈曲部を有する媒体搬送路と、媒体を保持して回動可能な搬送路切替部と、前記媒体搬送路の直線上であって、前記搬送路切替部を挟んで対向する位置に配設され、装置内に残留したカードを収納する第2の媒体収納部を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内蔵のクリーニング媒体による印字ヘッド等の自動クリーニング機能を備えたカード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多種のカードを処理するカード処理装置において、各カードごとの処理を行うユニットに振り分けて搬送する手前の共通搬送路中に、搬送路切替ガイドを回動可能に設け、その搬送路切替ガイドの周囲に、各ユニットに連続するユニットガイドを放射状に配置した搬送路切替部を設け、搬送路切替ガイドに一時保留したカードを各ユニットガイドに選択的に接続するようにする技術があった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−242435
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の技術では、装置内蔵のクリーニング媒体による印字ヘッド等の自動クリーニング中に動作が停止し、クリーニング媒体収納部以外の場所にクリーニング媒体が残留した場合に、残留した媒体がクリーニング媒体か取引カードかを判別することができないため、動作を再開した際に、残留した媒体を繰り出しができない取り忘れ媒体収納部に収納してしまい、以降の自動クリーニングを行うことができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前述の課題を解決するために次の手段を採用する。取扱カードに比べて剛性の低いクリーニング媒体を用いて印字ヘッド等の自動クリーニングを行うカード処理装置であって、前記クリーニング媒体を収納する第1の媒体収納部と、前記第1の媒体収納部に接続し、剛性の低いクリーニング媒体のみが通過可能な屈曲部を有する媒体搬送路と、媒体を保持して回動可能な搬送路切替部と、前記媒体搬送路の直線上であって、前記搬送路切替部を挟んで対向する位置に配設され、装置内に残留したカードを収納する第2の媒体収納部とを備え、装置内に媒体が残留した状態で動作を開始した際に、残留した媒体を前記搬送路切替部へ搬送して保持し、前記媒体搬送路に対向する位置まで回動し、残留した媒体がクリーニング媒体の場合には、前記媒体搬送路の屈曲部を通過して前記第1の媒体収納部に収納し、クリーニング媒体以外の場合には前記媒体搬送路の屈曲部を通過できずに手前で停止し、前記第2の媒体収納部へ搬送して収納するようにした。
【発明の効果】
【0005】
本発明のカード処理装置によれば、取扱カードに比べて剛性の低いクリーニング媒体を用いて印字ヘッド等の自動クリーニングを行うカード処理装置であって、
前記クリーニング媒体を収納する第1の媒体収納部と、前記第1の媒体収納部に接続し、剛性の低いクリーニング媒体のみが通過可能な屈曲部を有する媒体搬送路と、媒体を保持して回動可能な搬送路切替部と、前記媒体搬送路の直線上であって、前記搬送路切替部を挟んで対向する位置に配設され、装置内に残留したカードを収納する第2の媒体収納部とを備え、装置内に媒体が残留した状態で動作を開始した際に、残留した媒体を前記搬送路切替部へ搬送して保持し、前記媒体搬送路に対向する位置まで回動し、残留した媒体がクリーニング媒体の場合には、前記媒体搬送路の屈曲部を通過して前記第1の媒体収納部に収納し、クリーニング媒体以外の場合には前記媒体搬送路の屈曲部を通過できずに手前で停止し、前記第2の媒体収納部へ搬送して収納するようにしたので、装置内蔵のクリーニング媒体による印字ヘッド等の自動クリーニング中に動作が停止し、クリーニング媒体収納部以外の場所にクリーニング媒体が残留した場合でも、以降の自動クリーニングを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明に係る実施形態例を、図面を用いて説明する。なお図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0007】
(構成)
図1は実施例1におけるカード処理装置1の側面説明図である。
【0008】
図1に示すように、カード処理装置1は図示しない媒体挿入排出口から挿入されたICカード20を挿入排出するローラ対2と、ICカード20の厚みを検出するカード厚み検知ローラ3と、ICカード20を保持し、図示しない駆動源に連結した回転軸4aによって矢印方向に回動可能な搬送路切替部4と、ICカード20への読み取り/書き込みを行うICカードリーダライタ部5と、ICカード20の券面部分に印字を行う印字ヘッド部6と、ICカード20の券面部分の印字消去を行う消去ヘッド部7と、通常はクリーニング媒体21を収納し、自動クリーニング時には媒体繰り出しが可能なクリーニング媒体収納部8と、クリーニング媒体21の収納を検知するセンサ部9と、クリーニング媒体収納部8に接続され、クリーニング媒体21のみが通過可能な屈曲部を有する媒体搬送路10と、媒体搬送路10の直線上であって、前記搬送路切替部4を挟んで対向設置され、取り忘れや装置内に残留した媒体を収納し、媒体繰り出しができない取り忘れ媒体収納部11とから構成される。
【0009】
なお、本実施例では、カード処理装置1の取扱う媒体は、厚さが0.76mmのICカード20とクリーニング媒体21のみとし、これ以下の厚さの媒体は厚み検知ローラ3にて厚さを検出し、図示しない媒体挿入排出口に返却されるものとする。
【0010】
また、一般に、厚さが0.76mmの媒体類は曲げ剛性が高い物性を有するために屈曲した搬送路を通過することができないが、クリーニング媒体21は曲げ剛性が低い物性を有しており、屈曲した搬送路を通過することが可能である。
【0011】
(動作)
以上の構成により実施例1のカード処理装置1は、以下のように動作する。この動作を、図2〜9を用いて、Sで示すステップごとに以下詳細に説明する。
【0012】
S1:オペレータの介入操作により、カード処理装置1は動作を停止し、搬送路上に媒体残留が発生する(図3)。
【0013】
S2:カード処理装置1は、動作を再開すると、図示しないセンサで媒体残留を検知し、媒体を搬送路切替部4まで搬送し、保持する(図4)。
【0014】
S3:搬送路切替部4は媒体を保持したまま、媒体搬送路10に対向する位置まで回動する(図5)。
【0015】
S4:媒体を搬送路切替部4から媒体搬送路10へ搬送し、クリーニング媒体21の場合には屈曲部を通過し(図6)、クリーニング媒体収納部8に収納し(図7)、クリーニング媒体21以外の場合には屈曲部を通過できずに手前で停止する(図8)。
【0016】
S5:センサ部9にて所定時間内に媒体が収納されるかを監視する。
【0017】
S6:センサ部9にて所定時間内に媒体収納が検知されない場合には、取り忘れ媒体収納部11に媒体を収納する(図9)。
【0018】
(実施例1の効果)
以上のように、実施例1のカード処理装置によれば、装置内に媒体が残留した状態で動作を開始した際に、残留した媒体を搬送路切替部4へ搬送して保持し、媒体搬送路10に対向する位置まで回動し、残留した媒体がクリーニング媒体21の場合には媒体搬送路10の屈曲部を通過してクリーニング媒体収納部8に収納し、クリーニング媒体21以外の場合には媒体搬送路10の屈曲部を通過できずに手前で停止し、取り忘れ媒体収納部11へ搬送して収納するようにしたので、装置内蔵のクリーニング媒体21による印字ヘッド等の自動クリーニング中に動作が停止し、クリーニング媒体収納部8以外の場所にクリーニング媒体21が残留した場合でも、以降の自動クリーニングを行うことができる。
【0019】
《その他の変形例》
以上の実施例の説明では、取引媒体とクリーニング媒体とを判別する例を説明したが、誤って混入した低剛性の異種媒体を、屈曲部を利用して選別し、クリーニング媒体収納部8に収納するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
以上述べたように、本発明は、装置内蔵のクリーニング媒体による印字ヘッド等の自動クリーニング機能を備えたカード処理装置として広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1におけるカード処理装置1の側面図である。
【図2】実施例1におけるカード処理装置1の動作フローチャートである。
【図3】実施例1における動作ステップ1の状態図である。
【図4】実施例1における動作ステップ2の状態図である。
【図5】実施例1における動作ステップ3の状態図である。
【図6】実施例1における動作ステップ4の屈曲部通過の状態図である。
【図7】実施例1における動作ステップ4の媒体収納の状態図である。
【図8】実施例1における動作ステップ4の屈曲部停止の状態図である。
【図9】実施例1における動作ステップ6の状態図である。
【符号の説明】
【0022】
1 カード処理装置
4 搬送路切替部
8 クリーニング媒体収納部
9 センサ部
10 媒体搬送路
11 取り忘れ媒体収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取扱カードに比べて剛性の低いクリーニング媒体を用いて印字ヘッド等の自動クリーニングを行うカード処理装置であって、
前記クリーニング媒体を収納する第1の媒体収納部と、
前記第1の媒体収納部に接続し、剛性の低いクリーニング媒体のみが通過可能な屈曲部を有する媒体搬送路と、
媒体を保持して回動可能な搬送路切替部と、
前記媒体搬送路の直線上であって、前記搬送路切替部を挟んで対向する位置に配設され、装置内に残留したカードを収納する第2の媒体収納部と、
を備え、装置内に媒体が残留した状態で動作を開始した際に、残留した媒体を前記搬送路切替部へ搬送して保持し、前記媒体搬送路に対向する位置まで回動し、残留した媒体がクリーニング媒体の場合には、前記媒体搬送路の屈曲部を通過して前記第1の媒体収納部に収納し、クリーニング媒体以外の場合には前記媒体搬送路の屈曲部を通過できずに手前で停止し、前記第2の媒体収納部へ搬送して収納することを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
前記媒体収納部に媒体が収納されたことを検知する媒体検知手段を設け、
前記媒体検知手段が所定時間を経過しても媒体を検知しない場合には、前記第1の媒体収納部への媒体の搬送を中止し、前記第2の媒体収納部へ搬送して収納することを特徴とする請求項1記載のカード処理装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−79606(P2010−79606A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247216(P2008−247216)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】