説明

カード抜き防止方法及びカード抜き防止装置

【課題】 従来技術は、PCカードへのアクセスが中止されてしまうので、操作者は、もう一度、電源をオンにしてPCカードにアクセスする操作を行わなければならず面倒であるなどの課題があった。
【解決手段】 ロック状態検出手段の検出結果がロック状態解除であり、かつ、PCカードが電源供給状態である場合、警報手段を動作させるステップと、ロック状態検出手段の検出結果がロック状態であるか、または、PCカードが電源停止状態である場合、警報手段を停止させるステップとを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アクセス中のPCカードが不用意にPCカードスロットから抜かれるのを防止するカード抜き防止方法及びカード抜き防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、ほとんどのノート型パソコンが、PCカードを挿入するためのPCカードスロットを備えており、また、PDA(Personal Digital Assistants ;個人向け携帯用情報端末)やハンディターミナル(メモリ機能や計算機能などの必要最小限の機能だけをコンパクトにまとめた携帯用端末)、デスクトップ型パソコンにもPCカードスロットを備えた機種がある。
【0003】このようなパソコンやハンディターミナルなどが、PCカードスロット内に挿入されたPCカードとアクセスしている際に、このPCカードをPCカードスロットから抜いてしまうと、PCカード内のデータ書き込み中のファイルを破壊してしまうため、アクセス中にPCカードスロットからPCカードが抜かれるのを防止する必要がある。そこで、従来より、アクセス中のPCカード抜きを防止する手段が種々提案されており、例えば、従来技術として、特開平7−105324号公報及び特開平9−161468号公報があげられる。
【0004】特開平7−105324号公報には、PCカード(ここでは、情報カードと呼ばれている)の掃出時において、PCカードの掃出準備状態を検出し、その検出結果に基づいて、データ処理手段の電源をオフ状態にする技術が開示されている。
【0005】また、特開平9−161468号公報には、機器本体のカード挿脱用開口に設けられたPCカード(ここでは、メモリカードと呼ばれている)を保護するカード蓋の着脱操作によって、電源のオン・オフを行うようにした技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような従来技術は、PCカードを引き抜く前に、PCカードの引き抜きを検出して電源を自動的にオフにするので、PCカードへのアクセスが中止されて、データ書き込み中のファイルの破壊が発生することはないが、操作者がPCカードへのアクセスを中止するつもりでなく不用意にPCカードを引き抜こうとした場合であっても、PCカードへのアクセスが中止されてしまうので、操作者は、もう一度、電源をオンにしてPCカードにアクセスする操作を行わなければならず面倒であるという課題があった。
【0007】この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、PCカードへのアクセスを中止することなく、PCカードスロットからPCカードが抜かれるのを確実に防止することができるカード抜き防止方法及びカード抜き防止装置を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係るカード抜き防止方法は、カードスロットがロック解除状態になっったときに、PCカードへの電源供給が行われていると警報出力し、カードスロットがロック状態であるか、または、PCカードへの電源供給が停止している状態では警報出力を停止するように構成される。
【0009】請求項2記載の発明に係るカード抜き防止装置は、PCカードへの電源供給状態を検知する電源状態検知手段と、PCカードスロットのロック状態を検出するロック状態検出手段と、操作者に注意を喚起する警報手段と、ロック状態検出手段がロック状態の解除を検出したときに電源状態検知手段が電源供給状態であると判断した場合に、警報手段を動作させる制御手段とを備える。
【0010】請求項3記載の発明に係るカード抜き防止装置は、電源状態検知手段が電源供給状態でないと判断した場合には、制御手段が警報手段の動作を停止するように構成される。また、請求項4記載の発明に係るカード抜き防止装置は、ロック状態検出手段がカードスロットを覆うカバーの開閉状態を検出するように構成される。そして、請求項5記載の発明に係るカード抜き防止装置は、警報手段が警報ブザーで構成される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を説明する。図1は、PCカードスロットの構成を示す断面図である。図1に示すPCカードスロット10は、パソコンやハンディターミナルなどの機器の側面に形成されている。このPCカードスロット10は、PCカード20を収納するためのカード収納部11と、このカード収納部11の奥面に設けられた、PCカード20と接続するためのコネクタ部12と、カード収納部11の開口部に設けられた、矢印方向(上下方向)にスライド移動可能に開閉カバー13とから構成されている。
【0012】尚、PCカードスロット10は、カード収納部11内にPCカード20全体を収納することができるように構成されている(点線で図示したPCカードスロット10内に収納されたPCカード20を参照)。従って、PCカード20がPCカードスロット10内に収納(挿入)されている際には、開閉カバー13はPCカード20を覆うように閉じているので、操作者がPCカード20をPCカードスロット10から抜く場合、開閉カバー13を一旦開ける必要がある。従って、操作者が開閉カバー13を開けるか否かによって、PCカード20を抜こうとしているか否か判断できる。
【0013】開閉状態検出部(ロック状態検出手段)1は、開閉カバー13の開閉状態を検出するものである。PCカード20は、クレジットカード大の大きさである。また、このPCカード20は、メモリとして機能するものだけでなく、モデムやハードディスクなどとして機能するものもある。
【0014】尚、図1には示していないが、PCカードスロット10には、挿入したPCカード20を押し出して抜くための押し出しレバーが設けられている。
【0015】図2は、この発明の実施の形態によるカード抜き防止装置を示す構成図である。図において、開閉状態検出部1は、上記図1で説明したように、開閉カバー13の開閉状態を検出するものであり、その検出結果に応じて、制御部6と接地レベルとの間に接続されたスイッチ(ロック状態検出手段)2を開閉する。尚、本実施の形態においては、開閉カバー13が開いている場合には、スイッチ2も開いており、一方、開閉カバー13が閉じている場合には、スイッチ2も閉じているものとする。
【0016】システム電源3は、パソコンやハンディターミナルなどの機器本体の電源である。このシステム電源3は、抵抗4を介してスイッチ2と制御部6との間に接続される一方、トランジスタ5のコレクタに接続されている。トランジスタ5は、PCカード電源制御信号に応じてオン・オフすることによって、コレクタに接続されたシステム電源3とエミッタに接続されたPCカード電源との間を導通・遮断し、PCカード20への電源供給を制御するというスイッチング手段として機能する。
【0017】尚、本実施の形態においては、PCカード電源制御信号の電圧レベルがLレベルのとき、トランジスタ5がオンしてシステム電源3側からPCカード電源側への電源供給が行われ、一方、PCカード電源制御信号の電圧レベルがHレベルのとき、トランジスタ5がオフしてシステム電源3側からPCカード電源側への電源供給が停止される。
【0018】PCカード電源制御信号の電圧レベルの変化に応じてトランジスタ5がオン・オフすることによって、PCカード電源の供給が制御される。また、制御部6は、スイッチ2側の電圧レベルとPCカード電源制御信号の電圧レベルとに基づいて、開閉カバー13の開閉状態及びPCカード電源の供給状態を判断し、警報ブザー(警報手段)7の鳴動または停止を制御する。制御部6は、機器のCPUにおよびカード抜き検出プログラムで構成される。また、PCカード電源の供給制御を含む機器全体の制御は、機器全体を制御するシステム制御部(図示せず)によって行われる。システム制御部は、例えば、パワーセーブモード等において、PCカード電源の供給を停止する。
【0019】次に動作について説明する。図3は、この発明の実施の形態によるカード抜き防止装置の動作(即ち、カード抜き防止方法)を説明するためのフローチャートである。図3を参照すると、制御部6は、スイッチ2の開閉状態を監視することにより、開閉カバー13の開閉状態を常時監視する(ステップST1)。
【0020】制御部6は、スイッチ2の開閉状態をスイッチ2側の電圧レベルにより判断する。即ち、スイッチ2側の電圧レベルがLレベルのとき、制御部6は、スイッチ2が閉じられた結果、スイッチ2側の電圧レベルがグランドと略同電位となってLレベルになったと判断する。一方、スイッチ2側の電圧レベルがHレベルのとき、制御部6は、スイッチ2が開かれた結果、スイッチ2側の電圧レベルがシステム電源3と略同電位となってHレベルになったと判断する。従って、制御部6は、スイッチ2側の電圧レベルがLレベルの場合は、スイッチ2が閉じられているので開閉カバー13も閉じられていると判断し、スイッチ2側の電圧レベルがHレベルの場合は、スイッチ2が開かれているので開閉カバー13も開かれていると判断する。
【0021】このような判断の結果、制御部6は、PCカードスロット10がロック状態である(開閉カバー13が閉じている状態)と判断すると(ステップST2)、そのまま警報ブザー7を鳴動させずに停止させておく(ステップST6)。そして、制御部6が開閉カバー13の開閉状態を監視する処理(ステップST1)に戻る。
【0022】一方、制御部6は、PCカードスロット10がロック状態でない(開閉カバー13が開いている状態)と判断すると(ステップST2)、次に、PCカード電源の状態を確認する(ステップST3)。制御部6は、PCカード電源制御信号の電圧レベルにより、PCカード電源の状態を確認する。即ち、上記したように、制御部6は、PCカード電源制御信号の電圧レベルがLレベルのとき、トランジスタ5がオンしてシステム電源3側からPCカード電源側への電源供給が行われていると判断し、PCカード電源制御信号の電圧レベルがHレベルのとき、トランジスタ5がオフしてシステム電源3側からPCカード電源側への電源供給が停止していると判断する。
【0023】このような判断の結果、制御部6は、PCカード電源がオンでない判断すると(ステップST4)、PCカード20に対するアクセスが行われていないと判断し、警報ブザー7を鳴動させずに停止させておく(ステップST6)。そして、制御部6が開閉カバー13の開閉状態を監視する処理(ステップST1)に戻る。
【0024】一方、制御部6は、PCカード電源がオンである判断すると(ステップST4)、PCカード20に対するアクセスが行われている可能性があると判断し、警報ブザー7を鳴動させ(ステップST5)、操作者にアクセス中のPCカード20をPCカードスロット10から抜かないように注意を与える。そして、制御部6が開閉カバー13の開閉状態を監視する処理(ステップST1)に戻る。
【0025】警報ブザー7が鳴動した状態において、操作者によって開閉カバー13が閉められると、制御部6は、PCカードスロット10がロック状態であると判断し(ステップST2)、警報ブザー7の鳴動を停止させる。(ステップST6)。また、警報ブザー7が鳴動した状態において、PCカード電源の供給が停止した場合も、制御部6は、PCカード電源がオフであると判断し(ステップST4)、警報ブザー7の鳴動を停止させる。(ステップST6)。
【0026】尚、上記実施の形態において、開閉カバー13が開いている場合には、スイッチ2も開いており、開閉カバー13が閉じている場合には、スイッチ2も閉じているものとしたが、これに限る必要はなく、制御部6の設定を逆にすることにより、開閉カバー13とスイッチ2の開閉状態の対応関係を逆にしても構わない。
【0027】また、PCカード電源制御信号の電圧レベルとトランジスタのオン・オフ状態の対応関係についても、上記したものに限らず、制御部6の設定を逆にすることにより、対応関係も逆にしても構わない。
【0028】また、上記実施の形態において、PCカードスロット10は、PCカード20全体を収納可能に構成したが、これに限るものではなく、PCカード20の後端部がPCカードスロット10から突出するような構成であっても構わない。但し、この場合、PCカードスロット10のロック状態は、開閉カバー13の開閉状態によって判断できなくなるので、別の手段によってPCカードスロット10のロック状態を判断する必要がある。例えば、所定のボタンを押さないとPCカード20を抜けないように構成しておき、そのボタンが押されたことにより、PCカードスロット10のロック状態が解除されたと判断するような手段である。
【0029】また、上記実施の形態において、警報ブザー7を用いているが、これに限るものではなく、操作者に注意を喚起する手段、例えば、ランプの点灯などであっても構わない。
【0030】以上のように、この実施の形態によれば、操作者がPCカード20を抜こうとしていることをPCカードスロット10の開閉カバー13の開閉状態により事前に検出し、その際、PCカード20の電源供給が行われている場合には、警報ブザー7を鳴動させるように構成したので、アクセス中のPCカード20を抜こうとする行為を事前に操作者に報知することができ、従って、PCカードスロット10からPCカード20が抜かれるのを確実に防止することができるとともに、PCカード20へのアクセスを中止する必要もなくなる。その結果、PCカード20の書き込み中のファイルが破壊されることが防止されるとともに、再度PCカード20にアクセスするといった煩わしい操作を行う必要がなくなる。
【0031】また、PCカード20へのアクセスが完了し、PCカード20を抜いても問題ないような、PCカード20の電源供給が停止した後であれば、警報ブザー7を鳴動させないように構成したので、PCカード20の書き込み中のファイルが破壊されるおそれのない場合の不要な警報ブザー7の鳴動を防止することができる。
【0032】さらに、報知ブザー7を鳴動させることによりPCカード20を抜こうとする操作者に知らせるので、操作者に対して確実に注意を喚起することができ、その結果、PCカード抜きを一層確実に防止することができる。
【0033】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明によれば、カード抜き防止方法が、カードスロットがロック解除状態になったときに、PCカードへの電源供給が行われている状態である場合に警報出力し、カードスロットがロック状態であるか、または、PCカードへの電源供給が停止している状態では警報出力を停止するように構成されているので、アクセス中にPCカードを抜こうとする行為を事前に操作者に報知することができ、その結果、PCカードスロットからPCカードが抜かれるのを確実に防止することができるとともに、PCカードへのアクセスを中止する必要もなくなるという効果を奏する。
【0034】請求項2記載の発明によれば、カード抜き防止装置が、ロック状態検出手段がロック状態の解除を検出したときに電源状態検知手段が電源供給状態であると判断した場合に、警報手段を動作させるように構成されているので、アクセス中にPCカードを抜こうとする行為を事前に操作者に報知することができ、その結果、PCカードスロットからPCカードが抜かれるのを確実に防止することができるとともに、PCカードへのアクセスを中止する必要もなくなるという効果を奏する。
【0035】請求項3記載の発明によれば、電源状態検知手段が電源供給状態でないと判断した場合には、制御手段が警報手段の動作を停止するように構成されているので、不要な警報出力は防止される。
【0036】また、請求項4記載の発明によれば、ロック状態検出手段がカードスロットを覆うカバーの開閉状態を検出するように構成されているので、簡易な構成によってアクセス中にPCカード抜きを防止できる。
【0037】そして、請求項5記載の発明によれば、警報手段を警報ブザーとしたので、操作者に対して確実に注意を喚起することができ、その結果、PCカード抜きを一層確実に防止することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 PCカードスロットの構成を示す断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態によるカード抜き防止装置を示す構成図である。
【図3】 この発明の実施の形態によるカード抜き防止装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 開閉状態検出部(ロック状態検出手段)
2 スイッチ(ロック状態検出手段)
6 制御部(制御手段,電源状態検知手段)
7 警報ブザー(警報手段)
10 PCカードスロット
20 PCカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】 カードスロットがロック解除状態となったときに、PCカードへの電源供給が行われていると警報出力し、カードスロットがロック状態であるか、または、PCカードへの電源供給が停止している状態では警報出力を停止するカード抜き防止方法。
【請求項2】 PCカードへの電源供給状態を検知する電源状態検知手段と、PCカードスロットのロック状態を検出するロック状態検出手段と、操作者に注意を喚起する警報手段と、ロック状態検出手段がロック解除状態を検出したときに、電源状態検知手段が電源供給状態であると判断した場合に、上記警報手段を動作させる制御手段とを備えたカード抜き防止装置。
【請求項3】 制御手段は、電源状態検知手段が電源供給状態でないと判断した場合には警報手段の動作を停止する請求項2記載のカード抜き防止装置。
【請求項4】 ロック状態検出手段は、カードスロットを覆うカバーの開閉状態を検出する請求項2または請求項3記載のカード抜き防止装置。
【請求項5】 警報手段は警報ブザーである請求項2、3または4記載のカード抜き防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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