説明

カード発行機

【課題】カード収納部とカードリーダ部とを有するカード発行機に適した筐体を備えるカード発行機を提供すること。
【解決手段】カード発行機1の筐体5は、カード発行機1の前面や側面の一部を構成する第1ケース体21と、発行前のカードが積層されて収納されるカード収納部15の上方を覆う第2ケース体22と、カードリーダ部3の上方を覆う第3ケース体23とを備えている。第3ケース体23は、第1ケース体21から、上下両側、左右両側および前端側に第3ケース体23が外れないように第1ケース体21と係合するとともに、第1ケース体21から後端側に第3ケース体23が外れないように第2ケース体22と係合している。閉状態にある筐体5が開かないように筐体5をロックするロック機構24は、第1ケース体21に対して第2ケース体22が開かないように、第2ケース体22をロックしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に収納されたカードを発行するカード発行機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に収納されたカードを発行するカード発行機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のカード発行機は、発行前のカードが積層されて収納されるカード収納部と、カードに記録された情報の再生やカードへの情報の記録を行うカードリーダ部とを備えている。
【0003】
【特許文献1】特開2008−165483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のカード発行機は、一般的に、ディスプレイやレシートプリンタ等を備える上位装置に搭載されており、上位装置の筐体の中に収納されている。そのため、カード収納部とカードリーダ部とを有するカード発行機用の筐体はこれまでのところ提案されていない。
【0005】
そこで、本発明の課題は、カード収納部とカードリーダ部とを有するカード発行機に適した筐体を備えるカード発行機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は、内部に収納されたカードを発行するカード発行機において、発行前のカードが積層されて収納されるカード収納部と、カードに記録された情報の再生および/またはカードへの情報の記録を行うカードリーダ部と、カード収納部およびカードリーダ部を収容する筐体と、閉状態にある筐体が開かないように筐体をロックするロック機構とを備え、カード収納部とカードリーダ部とは、カードが排出されるカード排出口に向かってカード収納部から搬出されるカードがカードリーダ部を通過するように配置され、筐体は、カード排出口が形成されるカード発行機の前面とカード発行機の側面の一部とを少なくとも構成する第1ケース体と、カード収納部の上方を覆う第2ケース体と、カードリーダ部の上方を覆う第3ケース体とを備え、第3ケース体は、第1ケース体から、カード発行機の両側面側、カード発行機の前面側および上下両側に第3ケース体が外れないように第1ケース体と係合するとともに、第1ケース体からカード発行機の後面側に第3ケース体が外れないように第2ケース体と係合し、ロック機構は、第1ケース体に対して第2ケース体が開かないように、第2ケース体をロックすることを特徴とする。
【0007】
本発明のカード発行機では、第3ケース体は、第1ケース体から、カード発行機の両側面側、カード発行機の前面側および上下両側に第3ケース体が外れないように第1ケース体と係合するとともに、第1ケース体からカード発行機の後面側に第3ケース体が外れないように第2ケース体と係合している。また、ロック機構は、第1ケース体に対して第2ケース体が開かないように、第2ケース体をロックしている。
【0008】
そのため、ロック機構を解除して第2ケース体を開き、第3ケース体をカード発行機の後面側に移動させないと、第3ケース体を第1ケース体から取り外すことができない。すなわち、第1ケース体から第3ケース体が外れないように第3ケース体をロックするロック機構を別途設けなくても、第2ケース体を開かなければ、第3ケース体を第1ケース体から取り外すことができない。したがって、第3ケース体をロックするためのロック機構が不要となり、カード発行機の構成を簡素化することができる。
【0009】
また、カード収納部では、カードの補充等を行う必要があるため、第2ケース体の開閉頻度は高いが、カードリーダ部でカード詰まり等の不具合が発生しない限り、第3ケース体を第1ケース体から取り外す必要はない。本発明では、ロック機構を解除すれば、第3ケース体を第1ケース体に取り付けた状態で、開閉頻度の高い第2ケース体のみを開閉することができる。したがって、本発明では、筐体の開閉作業が容易になる。
【0010】
本発明において、第1ケース体は、カード発行機の前面側におけるカードリーダ部の上方の一部を覆う上面カバー部を備え、第1ケース体には、カード発行機の前後方向と上下方向とに直交する左右方向の内側から第3ケース体に当接可能な第1当接面が形成され、上面カバー部には、第3ケース体に下側から当接可能な第2当接面とカード発行機の前面側から第3ケース体に当接可能な第3当接面とが形成され、第3ケース体には、上面カバー部の下面に係合する係合突起が形成されていることが好ましい。このように構成すると、第1ケース体に形成される第1当接面、第2当接面および第3当接面と、第3ケース体に形成される係合突起とによって、第1ケース体から、カード発行機の両側面側、カード発行機の前面側および上下両側に第3ケース体が外れないように、第1ケース体と第3ケース体とを係合させることができる。
【0011】
本発明において、第3ケース体には、第2ケース体に下側から当接可能な第4当接面とカード発行機の前面側から第2ケース体に当接可能な第5当接面とが形成されていることが好ましい。このように構成すると、第3ケース体に形成される第4当接面および第5当接面によって、第1ケース体から、カード発行機の後面側および上側に第3ケース体が外れないように第2ケース体と第3ケース体とを係合させることができる。
【0012】
本発明において、第1ケース体または第3ケース体のいずれか一方には、カード発行機の前面側に向かって第3ケース体をスライドさせるためのスライド溝が形成され、第1ケース体または第3ケース体のいずれか他方には、スライド溝に係合するスライド突起が形成されていることが好ましい。このように構成すると、第1ケース体に対する第3ケース体の位置決めが容易になる。
【0013】
本発明において、カード発行機は、第1ケース体に対する第2ケース体の開閉を行うためのヒンジを備え、ヒンジは、カード発行機の後面側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、第1ケース体に対する第2ケース体の開閉動作を行いやすくなり、作業性が向上する。また、開閉動作のたびに第2ケース体がカード発行機から取り外される場合と比較して、第2ケース体の取り扱いが容易になる。さらに、カード補充やメンテナンス等のカード収納部での作業をカード発行機の前面側から行うことが可能になる。
【0014】
本発明において、カード発行機は、カードを回収するためのカード回収庫をカード収納部の下方に備え、カード回収庫の側面には、回収されたカードの取出口が形成され、第2ケース体は、カード発行機の側面の一部を構成するとともに取出口を覆う側面カバー部を備えることが好ましい。このように構成すると、筐体に、カード回収庫用の開閉部を別途設けなくても、第2ケース体を開ければ、カード回収庫に回収されたカードを取り出すことができる。したがって、カード回収庫用の開閉部を筐体に設ける必要がなくなり、筐体の構成を簡素化することができる。
【0015】
本発明において、カード発行機は、カードを回収するためのカード回収庫をカード収納部の下方に備えるとともに、カードリーダ部の下方に配置される電源および/または制御用基板を備えることが好ましい。このように構成すると、カードリーダ部の下方に形成される(すなわち、カード回収庫の側方に形成される)空間を利用して、電源や制御用基板を配置することができる。したがって、カード発行機を小型化することが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明では、第3ケース体をロックするためのロック機構が不要となり、カード発行機の構成を簡素化することができる。また、第3ケース体を第1ケース体に取り付けた状態で、開閉頻度の高い第2ケース体のみを開閉することができるため、筐体の開閉作業が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(カード発行機の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカード発行機1の斜視図である。図2は、図1のカード発行機1から筐体5の一部を取り外した状態を示す斜視図である。図3は、図1のカード発行機1の内部の構成を示す側面図である。図4は、図1のカード発行機1の底面図である。
【0019】
なお、以下の説明では、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とするとともに、図1等のX1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Y1方向側を「前」側、Y2方向側を「後(後ろ)」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0020】
本形態のカード発行機1は、内部に収納されたカード2を発行する機能を備えており、たとえば、ホテルのフロントやコンビニエンスストアのレジカウンタ等に設置されて使用される。また、本形態のカード発行機1は、不要、使用済みあるいはエラーとなったカード2(以下、「不要なカード2」とする。)を回収する機能も備えている。
【0021】
このカード発行機1は、図1〜図3に示すように、カード2に記録された情報の再生および/またはカード2への情報の記録を行うカードリーダ部3と、収納されたカード2を発行するとともに不要なカード2を回収するカード発行回収部4と、カードリーダ部3およびカード発行回収部4を収容する筐体5とを備えている。
【0022】
また、カード発行機1は、カードリーダ部3やカード発行回収部4等に電力を供給するための電源6と、カードリーダ部3やカード発行回収部4等を制御するための制御用基板7とを備えている。カード発行機1の後端側の底面には、図4に示すように、電源スイッチ8と、電源用端子9と、電子計算機(パーソナルコンピュータ)用端子10とが配置されている。また、カード発行機1の底面の四隅には、ゴム足11が取り付けられている。
【0023】
カード2は、たとえば、ホテルのルームキーとして、あるいは、コンビニエンスストア等で利用されるプリペードカードとして使用される。このカード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。カード2の表面には、たとえば、磁気情報が記録される磁気ストライプが形成されている。また、たとえば、カード2の表面には、ICチップが固定されている。なお、カード2には、通信用のアンテナが内蔵されても良い。また、カード2の表面には、感熱方式によって印字が行われる印字部が形成されても良い。また、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0024】
カードリーダ部3は、図3に示すように、カード2を挿入、排出するための挿入排出部14を備えている。また、カードリーダ部3は、カードリーダ部3内でカード2を搬送するためのカード搬送機構と、磁気ヘッド、IC接点および/または通信用アンテナ等の情報の記録や再生を行うための記録再生手段とを備えている。
【0025】
カード発行回収部4は、発行前の複数のカード2が積層されて収納されるカード収納部15と、不要なカード2を回収するためのカード回収庫16とを備えている。図3に示すように、カード収納部15とカード回収庫16とは、上下方向で重なるように配置されている。また、カード発行回収部4は、カード収納部15とカード回収庫16との間に、カード収納部15に収納された複数のカード2の中で一番下に収納されているカード2をカードリーダ部3に向かって送り出すカード送出機構(図示省略)を備えている。
【0026】
カード収納部15は、上面が開口する直方体の箱状に形成されている。また、図2に示すように、カード収納部15の右側面の前側および前側面の右側は切り欠かれている。カード送出機構は、カード収納部15に収納されたカード2に係合してカード収納部15からカード2を1枚ずつ送り出す送出爪、この送出爪が固定されるチェーンおよびこのチェーンの駆動機構等を備えている。
【0027】
カード回収庫16は、上面が開口する直方体の箱状に形成されている。このカード回収庫16の右側面には、カード回収庫16内に回収されたカード2を取り出すための取出口16aが形成されている。取出口16aの後端側は、カバー17で覆われている。カバー17は、下端側に配置される軸18に回動可能に支持されるとともに、バネ(図示省略)によって、カード回収庫16の右側面に向かって付勢されている。また、カード回収庫16の上端側には、不要なカード2をカード回収庫16へ案内するためのガイド部材(図示省略)が配置されている。
【0028】
図3に示すように、本形態では、カードリーダ部3およびカード発行回収部4が、カード発行機1の前端側からこの順番で互いに接するように配置されている。具体的には、カードリーダ部3は、カード収納部15の前方に配置されている。すなわち、カードリーダ部3は、カード2が排出される後述のカード排出口21fに向かってカード収納部15から搬出されるカード2が通過するように配置されている。また、カードリーダ部3は、上下方向では、カード回収庫16よりも上側に配置されている。さらに、カード収納部15の上端側は、カードリーダ部3の上面よりも上側に突出している。
【0029】
カードリーダ部3の下方、かつ、カード回収庫16の前方には、電源6と制御用基板7とが配置されている。具体的には、電源6がカード発行機1の底面側に配置され、制御用基板7が電源6の上方に配置されている。
【0030】
本形態では、カード2の発行時には、まず、カード送出機構がカード収納部15に収納されたカード2をカードリーダ部3に向かって送り出す。カード収納部15から送り出されたカード2を受け取ったカードリーダ部3では、たとえば、カード2に所定の情報が記録される。また、情報が記録されたカード2は、カード発行機1から排出される(発行される)。
【0031】
また、たとえば、カード発行機1に挿入されて、カードリーダ部3で情報の再生が行われた結果、回収が必要であると判断されたカード2は、カードリーダ部3からカード発行回収部4に向かって排出される。カードリーダ部3から排出されるカード2は、ガイド部材によってカード回収庫16へ案内されて回収される。なお、カード回収庫16は、カードリーダ部3よりも下側に配置されているため、カードリーダ部3から排出されるカード2は、自重でカード回収庫16の中に落下する。
【0032】
(筐体の構成)
図5は、図1に示す筐体5を開いた状態を示す側面図である。図6は、図5に示す第1ケース体21の前端側を示す拡大斜視図である。図7は、図6のE部の拡大図である。図8は、図6のF部の拡大図である。図9は、図5に示す第3ケース体23を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は第3ケース体23に形成されたスライド突起23jの側面図、(D)は(C)のG−G方向からスライド突起23jを示す図である。図10は、図5に示す第2ケース体22の一部を示す拡大斜視図である。図11は、図5に示す第1ケース体21から第3ケース体23を取り外すときの第3ケース体23の動きを説明するための図である。
【0033】
筐体5は、樹脂で形成されており、図5に示すように、カード発行機1の左右両側面の一部、前面および後面を構成する第1ケース体21と、カード収納部15の上方を覆う第2ケース体22と、カードリーダ部3の上方を覆う第3ケース体23とを備えている。上述のように、カード収納部15の上端側は、カードリーダ部3の上面よりも上側に突出している。そのため、図1に示すように、第2ケース体22の上端側は、第3ケース体23の上面よりも上側に突出している。
【0034】
本形態では、第2ケース体22は、カード発行機1の後面側に配置されるヒンジ(図示省略)によって、第1ケース体21に対して開閉可能となっている。一方、第3ケース体23は、第1ケース体21から取外し可能となっている。また、本形態の筐体5は、閉状態にある筐体5が開かないように、ロック機構24(図2参照)によってロック可能となっている。
【0035】
第1ケース体21は、カード発行機1の前面を構成する前面部21aと、カード発行機1の後面を構成する後面部21bと、カード発行機1の右側面の下側を構成する右側面部21cと、カード発行機1の左側面の下側を構成する左側面部21dとを備えている。この第1ケース体21は、カードリーダ部3およびカード発行回収部4等に固定されている。また、第1ケース体21は、カードリーダ部3の前端側(具体的には、挿入排出部14)の上方を覆う上面カバー部21eを備えている。また、前面部21aには、カード2が排出されるカード排出口21fが形成されている。
【0036】
右側面部21cの後端側には、右側面部21cの上端から略半円弧状に窪む切欠き部21gが形成されている。切欠き部21gは、カード回収庫16内に回収されたカード2を取出口16aから右方向に向かって取り出すことができるように、取出口16aの右方に形成されている。また、右側面部21cには、ロック機構24を構成する後述のシリンダ29が配置される配置孔21hが形成されている。
【0037】
右側面部21cの上端には、左右方向の内側(すなわち、左側)から第3ケース体23に当接可能な第1当接面としての当接面21sと、第3ケース体23に下側から当接可能な当接面21tとが形成されている。具体的には、右側面部21cの上端には、左方向へ一段下がった段差部に形成されており、この段差部の右方向を向く面が当接面21sとなり、上方向を向く面が当接面21tとなっている。
【0038】
また、右側面部21cの前端側の上端には、第3ケース体23を前側に向かってスライドさせるためのスライド溝21jが前後方向に所定の間隔をあけた状態で2箇所に形成されている。具体的には、切欠き部21gの前端側の縁部の近傍と、右側面部21cと上面カバー部21eと境界部分の近傍との2箇所に、スライド溝21jが当接面21sから窪むように形成されている。図7に示すように、スライド溝21jの後端側の上端は開口しており、この開口を利用して、第3ケース体23に形成される後述のスライド突起23jがスライド溝21jに嵌め込まれ、また、スライド突起23jがスライド溝21jから外される。
【0039】
同様に、左側面部21dの上端にも、左右方向の内側(すなわち、右側)から第3ケース体23に当接可能な第1当接面としての当接面(図示省略)と、第3ケース体23に下側から当接可能な当接面(図示省略)とが形成されている。また、左側面部21dの前端側の上端には、第3ケース体23を前側に向かってスライドさせるためのスライド溝(図示省略)が前後方向に所定の間隔をあけた状態で2箇所に形成されている。なお、図5に示すように、左側面部21dには、切欠き部21gに相当する切欠き部は形成されていない。
【0040】
上面カバー部21eは、上側に向かって膨らむ曲面状に形成されている。また、上面カバー部21eは、前面部21aの上端と、右側面部21cおよび左側面部21dの前端側の上端とに繋がるように形成されている。上面カバー部21eの後端には、図5に示すように、第3ケース体23に下側から当接可能な第2当接面としての当接面21kと、第3ケース体23に前側から当接可能な第3当接面としての当接面21mとが形成されている。具体的には、上面カバー部21eの後端には、下方向へ一段下がった段差部に形成されており、この段差部の上方向を向く面が当接面21kとなり、後ろ方向を向く面が当接面21mとなっている。
【0041】
当接面21kの頂点部分には、切欠き部21nが形成されている。また、上面カバー部21eの下面には、図8に示すように、第3ケース体23に形成される後述の係合突起23dの先端が係合する係合凹部21pが切欠き部21nの形成位置に対応するように形成されている。
【0042】
前面部21aと上面カバー部21eとの境界部分には、図6等に示すように、発光部21qが形成されている。この発光部21qの内側には、LED(Light Emitting Diode)等の発光手段が配置されている。
【0043】
第3ケース体23は、図9に示すように、上側に向かって膨らむ曲面状に形成された上面部23aと、カード発行機1の右側面の上端側の一部を構成する右側面部23bと、カード発行機1の左側面の上端側の一部を構成する左側面部23cとを備えている。この第3ケース体23は、第1ケース体21に着脱可能に取り付けられている。
【0044】
上面部23aの前端面23mは、第1ケース体21の当接面21mに当接可能となっている。また、上面部23aの前端側の下面は、第1ケース体21の当接面21kに当接可能となっている。上面部23aの前端には、前側に向かって突出する係合突起23dが形成されている。この係合突起23dは、第1ケース体21の切欠き部21nに対応する位置に形成されており、係合突起23dの先端は、第1ケース体21の係合凹部21pに係合している。すなわち、係合突起23dは、上面カバー部21eの下面に係合している。
【0045】
上面部23aの後端には、第2ケース体22に下側から当接可能な第4当接面としての当接面23eと、第2ケース体22に前側から当接可能な第5当接面としての当接面23fとが形成されている。具体的には、上面部23aの後端には、下方向へ一段下がった段差部に形成されており、この段差部の上方向を向く面が当接面23eとなり、後ろ方向を向く面が当接面23fとなっている。
【0046】
なお、右側面部23bにも、第2ケース体22に前側から当接可能な第4当接面としての当接面23gが形成されている(図9(A)、(B)参照)。具体的には、右側面部23bの後端には、左方向へ一段下がった段差部に形成されており、この段差部の後ろ方向を向く面が当接面23gとなっている。また、右側面部23cにも同様に、第2ケース体22に前側から当接可能な第4当接面としての当接面23hが形成されている(図9(A)参照)。
【0047】
左右方向における右側面部23bの内側面(すなわち、左側面)の下端側は、第1ケース体21の右側面部21cに形成された当接面21sに当接可能となっている。また、右側面部23bの下端は、第1ケース体21の右側面部21cに形成された当接面21tに当接可能となっている。同様に、左右方向における左側面部23cの内側面(すなわち、右側面)の下端側および右側面部23bの下端は、第1ケース体21の左側面部21dに形成された当接面に当接可能となっている。
【0048】
また、左右方向における右側面部23bおよび左側面部23cの内側面の下端側には、第1ケース体21のスライド溝21jに係合するスライド突起23jが形成されている(図9(C)、(D)参照)。本形態では、2箇所に形成されたスライド溝21jに対応するように、前後方向に所定の間隔をあけた状態で、2個のスライド突起23jが右側面部23bおよび左側面部23cに形成されている。
【0049】
第2ケース体22は、図5、図10に示すように、球面の一部とほぼ同様の曲面状に形成される上面部22aと、カード発行機1の右側面の上端側の一部を構成する右側面部22bと、カード発行機1の左側面の上端側の一部を構成する左側面部22cとを備えている。この第2ケース体22は、上述のように、カード発行機1の後面側に配置されるヒンジによって、第1ケース体21に対して開閉可能となっている。ヒンジは、たとえば、カード発行回収部4の後面側に固定される支点シャフトを備えており、第2ケース体22は、この支点シャフトに回動可能に支持されている。
【0050】
上面部22aの一端面(図5の上側に配置される端面)22dは、第3ケース体23の当接面23f〜23hに当接可能となっている。また、上面部22aの一端側の内側面は、第3ケース体23の当接面23eに当接可能となっている。
【0051】
右側面部22bは、図5に示すように、略円形状に形成されている。具体的には、図1に示すように、第2ケース体22が閉じた状態で、第1ケース体21の右側面部21cに形成された切欠き部21gの全域に右側面部22bの下端側が配置されるように、右側面部22bは略円形状に形成されている。すなわち、第2ケース体22が閉じた状態で、カード回収庫16の取出口16aを覆うように右側面部22bが形成されている。本形態の右側面部22bは、カード発行機1の側面の一部を構成するとともに取出口16aを覆う側面カバー部である。
【0052】
なお、左側面部22cは、略半円形状に形成されており、第2ケース体22が閉じた状態における左側面部22cの下端は、第1ケース体21の左側面部21dの後端側の上端に当接している。
【0053】
ロック機構24は、図2に示すように、カードリーダ部3の後端側の上面に取り付けられるロック用シャフト27と、ロック用シャフト27に係合するロック部28と、図示を省略する鍵が差し込まれるシリンダ29とを備えている。ロック部28は、図10に示すように、第2ケース体22の一端側に取り付けられている。また、シリンダ29は、カードリーダ部3の右側面に取り付けられ、その一部は、第1ケース体21の配置孔21hの中に配置されている。
【0054】
本形態では、ロック用シャフト27とロック部28とが係合している状態が筐体5の閉状態である。また、筐体5が閉状態であって、かつ、シリンダ29から鍵が取り外された状態が、図1に示すように、閉状態にある筐体5が開かないようにロックされたロック状態となる。
【0055】
このロック状態で、シリンダ29に鍵を差し込むと、筐体5を開けることが可能な状態となる。すなわち、シリンダ29に鍵を差し込んで一方向へ回転させると、ロック用シャフト27とロック部28との係合が外れるため、ヒンジを中心にして第2ケース体22を回動させることが可能になる。また、ロック用シャフト27とロック部28との係合が外れた状態で、ヒンジを中心にして第2ケース体22を回動させて、ロック用シャフト27とロック部28とを係合させると、上述のように、筐体5は閉状態となる。この状態で、鍵を他方向へ回転させてシリンダ29から鍵を抜き取ると、筐体5はロック状態となる。
【0056】
このように、ロック機構24は、ヒンジを中心にして第2ケース体22が回動しないように、第2ケース体22をロックしている。すなわち、ロック機構24は、第1ケース体21に対して第2ケース体22が開かないように、第2ケース体22をロックしている。
【0057】
上述のように、第3ケース体23の前端面23mは、第1ケース体21の当接面21mに当接可能となっており、かつ、第3ケース体23の上面部23aの前端側の下面は、第1ケース体21の当接面21kに当接可能となっている。また、左右方向における右側面部23bの内側面および左側面部23cの内周面は、第1ケース体21の当接面21s等に当接可能となっており、かつ、右側面部23bの下端および左側面部23cの下端は、第1ケース体21の当接面21t等に当接可能となっている。さらに、第3ケース体23の係合突起23dは、第1ケース体21の上面カバー部21eの下面に係合している。また、第3ケース体23のスライド突起23jは、第1ケース体21のスライド溝21jに係合している。すなわち、本形態では、第3ケース体23は、第1ケース体21から、左右両側、上下両側および前側に第3ケース体23が外れないように第1ケース体21と係合している。
【0058】
また、筐体5が閉状態であるときには、第2ケース体22の一端面22dは、第3ケース体23の当接面23f〜23hに当接可能となっており、かつ、第2ケース体22の上面部22aの一端側の内側面は、第3ケース体23の当接面23eに当接可能となっている。すなわち、本形態では、筐体5が閉状態であるときには、第3ケース体23は、第1ケース体21から第3ケース体23が後ろ側に外れないように第2ケース体22と係合している。
【0059】
このように、本形態では、筐体5が閉状態であるときには、第3ケース体23は、第1ケース体21から、左右両側、上下両側および前側に第3ケース体23が外れないように第1ケース体21と係合しているとともに、第1ケース体21から第3ケース体23が後ろ側に外れないように第2ケース体22と係合している。そのため、筐体5が閉状態にあるときには、第1ケース体21から第3ケース体23を取り外すことができない。したがって、本形態では、第1ケース体21から第3ケース体23を取り外す場合には、ロック機構24による筐体5のロック状態を解除してから、第3ケース体23を取り外す。
【0060】
具体的には、まず、シリンダ29に鍵を差し込んで一方向へ回転させて、ロック機構24による筐体5のロック状態を解除してから、図11(A)に示すように、ヒンジを中心にして、第2ケース体22を後ろ側に回動させる。その後、図11(B)に示すように、第3ケース体23を後ろ側にスライドさせる。具体的には、スライド突起23jの後端がスライド溝21jの後端に当接するまで、第3ケース体23を後ろ側へスライドさせる。このとき、第3ケース体23の係合突起23dは、上面カバー部21eの下面から外れる。
【0061】
その後、図11(C)に示すように、第3ケース体23を上方へ移動させて、第1ケース体21から第3ケース体23を取り外す。このとき、スライド突起23jは、スライド溝21jの後端側の上端に形成された開口を通過する。
【0062】
なお、第1ケース体21に第3ケース体23を取り付ける場合には、スライド突起23jが、スライド溝21jの上端の開口を通過するように、第3ケース体23を下降させた後に、係合突起23dが上面カバー部21eの下面に係合するまで、第3ケース体23を前側へ移動させる。
【0063】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、筐体5が閉状態であるときには、第3ケース体23は、第1ケース体21から、左右両側、上下両側および前側に第3ケース体23が外れないように第1ケース体21と係合するとともに、第1ケース体21から第3ケース体23が後ろ側に外れないように第2ケース体22と係合している。また、ロック機構24は、第1ケース体21に対して第2ケース体22が開かないように、第2ケース体22をロックしている。そのため、ロック機構24を解除して第2ケース体22を上側に持ち上げないと第3ケース体23を第1ケース体21から取り外すことができない。すなわち、第1ケース体21から第3ケース体23が外れないように第3ケース体23をロックするロック機構を別途設けなくても、第2ケース体22を持ち上げなければ、第3ケース体23を第1ケース体21から取り外すことができない。したがって、本形態では、第3ケース体23をロックするためのロック機構が不要となり、カード発行機1の構成を簡素化することができる。
【0064】
また、カード収納部15では、カード2の補充等を行う必要があるため、第2ケース体22の開閉頻度は高いが、カードリーダ部3でカード詰まり等の不具合が発生しない限り、第3ケース体23を第1ケース体21から取り外す必要はなく、第1ケース体21の取り外しの頻度は低い。本形態では、ロック機構24を解除すれば、第3ケース体23を第1ケース体21に取り付けた状態で、開閉頻度の高い第2ケース体22のみを開閉することができる。したがって、本形態では、筐体5の開閉作業が容易になる。
【0065】
本形態では、第1ケース体21に、第3ケース体23を前側に向かってスライドさせるためのスライド溝21jが形成され、第3ケース体23に、スライド溝21jに係合するスライド突起23jが形成されている。そのため、第1ケース体21に対する第3ケース体23の位置決めが容易になる。
【0066】
本形態では、第2ケース体22の開閉を行うためのヒンジがカード発行機1の後面側に配置されている。そのため、第2ケース体22の開閉動作を行いやすくなり、作業性が向上する。また、第2ケース体22の開閉を行うたびに、第2ケース体22がカード発行機1から取り外される場合と比較して、第2ケース体22の取り扱いが容易になる。さらに、カード2の補充やメンテナンス等のカード収納部15での作業をカード発行機1の前側から行うことができる。ユーザはカード発行機1の前側からカード2を挿入するため、カード発行機1の前側には、必ず所定のスペースがある。したがって、カード収納部15での作業をカード発行機1の前側から行うことができると、カード収納部15での作業がやりやすくなる。
【0067】
本形態では、カード回収庫16の側面に形成された取出口16aは、第2ケース体22の右側面部22bによって覆われている。そのため、筐体5に、カード回収庫16用の開閉部を別途設けなくても、第2ケース体22を開ければ、カード回収庫16に回収されたカード2を取り出すことができる。したがって、筐体5に、カード回収庫16用の開閉部を設ける必要がなくなり、筐体5の構成を簡素化することができる。
【0068】
本形態では、カードリーダ部3の下方に電源6および制御用基板7が配置されている。そのため、カード回収庫16の前方となるカードリーダ部3の下方に形成されるデッドスペースを利用して、電源6や制御用基板7を配置することができる。したがって、カード発行機1を小型化することが可能になる。
【0069】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0070】
上述した形態では、第1ケース体21にスライド溝21jが形成され、第3ケース体23にスライド突起23jが形成されている。この他にもたとえば、第1ケース体21にスライド突起23jに相当するスライド突起が形成され、第3ケース体23のスライド溝21jに相当するスライド溝が形成されても良い。また、スライド溝21jおよびスライド突起23jは形成されていなくても良い。
【0071】
上述した形態では、第2ケース体22の開閉を行うためのヒンジがカード発行機1の後面側に配置されている。この他にもたとえば、第2ケース体22の前端側に第2ケース体22の開閉を行うためのヒンジが配置されても良い。また、第2ケース体22は、第3ケース体23と同様に取り外し可能であっても良い。すなわち、第2ケース体22は、ヒンジに取り付けられずに、上側に持ち上げて取り外せるように構成されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態にかかるカード発行機の斜視図である。
【図2】図1のカード発行機から筐体の一部を取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】図1のカード発行機の内部の構成を示す側面図である。
【図4】図1のカード発行機の底面図である。
【図5】図1に示す筐体を開いた状態を示す側面図である。
【図6】図5に示す第1ケース体の前端側を示す拡大斜視図である。
【図7】図6のE部の拡大図である。
【図8】図6のF部の拡大図である。
【図9】図5に示す第3ケース体を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は第3ケース体に形成されたスライド突起の側面図、(D)は(C)のG−G方向からスライド突起を示す図である。
【図10】図5に示す第2ケース体の一部を示す拡大斜視図である。
【図11】図5に示す第1ケース体から第3ケース体を取り外すときの第3ケース体の動きを説明するための図である。
【符号の説明】
【0073】
1 カード発行機
2 カード
3 カードリーダ部
5 筐体
6 電源
7 制御用基板
15 カード収納部
16 カード回収庫
16a 取出口
21 第1ケース体
21e 上面カバー部
21f カード排出口
21j スライド溝
21k 当接面(第2当接面)
21m 当接面(第3当接面)
21s 当接面(第1当接面)
22 第2ケース体
22b 右側面部(側面カバー部)
23 第3ケース体
23d 係合突起
23e 当接面(第4当接面)
23f〜23h 当接面(第5当接面)
23j スライド突起
24 ロック機構
X 左右方向
Y 前後方向
Z 上下方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納されたカードを発行するカード発行機において、
発行前の前記カードが積層されて収納されるカード収納部と、前記カードに記録された情報の再生および/または前記カードへの情報の記録を行うカードリーダ部と、前記カード収納部および前記カードリーダ部を収容する筐体と、閉状態にある前記筐体が開かないように前記筐体をロックするロック機構とを備え、
前記カード収納部と前記カードリーダ部とは、前記カードが排出されるカード排出口に向かって前記カード収納部から搬出される前記カードが前記カードリーダ部を通過するように配置され、
前記筐体は、前記カード排出口が形成される前記カード発行機の前面と前記カード発行機の側面の一部とを少なくとも構成する第1ケース体と、前記カード収納部の上方を覆う第2ケース体と、前記カードリーダ部の上方を覆う第3ケース体とを備え、
前記第3ケース体は、前記第1ケース体から、前記カード発行機の両側面側、前記カード発行機の前面側および上下両側に前記第3ケース体が外れないように前記第1ケース体と係合するとともに、前記第1ケース体から前記カード発行機の後面側に前記第3ケース体が外れないように前記第2ケース体と係合し、
前記ロック機構は、前記第1ケース体に対して前記第2ケース体が開かないように、前記第2ケース体をロックすることを特徴とするカード発行機。
【請求項2】
前記第1ケース体は、前記カード発行機の前面側における前記カードリーダ部の上方の一部を覆う上面カバー部を備え、
前記第1ケース体には、前記カード発行機の前後方向と上下方向とに直交する左右方向の内側から前記第3ケース体に当接可能な第1当接面が形成され、
前記上面カバー部には、前記第3ケース体に下側から当接可能な第2当接面と前記カード発行機の前面側から前記第3ケース体に当接可能な第3当接面とが形成され、
前記第3ケース体には、前記上面カバー部の下面に係合する係合突起が形成されていることを特徴とする請求項1記載のカード発行機。
【請求項3】
前記第3ケース体には、前記第2ケース体に下側から当接可能な第4当接面と前記カード発行機の前面側から前記第2ケース体に当接可能な第5当接面とが形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のカード発行機。
【請求項4】
前記第1ケース体または前記第3ケース体のいずれか一方には、前記カード発行機の前面側に向かって前記第3ケース体をスライドさせるためのスライド溝が形成され、
前記第1ケース体または前記第3ケース体のいずれか他方には、前記スライド溝に係合するスライド突起が形成されていることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載のカード発行機。
【請求項5】
前記第1ケース体に対する前記第2ケース体の開閉を行うためのヒンジを備え、
前記ヒンジは、前記カード発行機の後面側に配置されていることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載のカード発行機。
【請求項6】
前記カードを回収するためのカード回収庫を前記カード収納部の下方に備え、
前記カード回収庫の側面には、回収された前記カードの取出口が形成され、
前記第2ケース体は、前記カード発行機の側面の一部を構成するとともに前記取出口を覆う側面カバー部を備えることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載のカード発行機。
【請求項7】
前記カードを回収するためのカード回収庫を前記カード収納部の下方に備えるとともに、前記カードリーダ部の下方に配置される電源および/または制御用基板を備えることを特徴とする請求項1から6いずれかに記載のカード発行機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−128781(P2010−128781A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302647(P2008−302647)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】