説明

カード課金システム

【課題】 各カードに記録された個人の識別情報に基づく管理サーバでのポイント管理という従来のポイントシステムに比べ、より簡易な態様によるポイントバック処理を実現する。
【解決手段】 減算機(課金装置)Aは、課金対象の機器Tであるテレビの視聴状況に応じて、課金処理部15により患者用ICカードCaの残高ポイント値を減じると共に当該課金対象の種別の対象課金ポイント値を加算しており、所定のタイミングで、返還ポイント算出部16によりポイントバック処理対象となる全ての種別の対象課金ポイント値の合計値に応じたポイント値を算出し、返還ポイント更新部17により当該ポイント値に応じて患者用ICカードCaの残高ポイント値を増やすと共に当該ポイント値の算出に用いられた分だけ対象課金ポイントから減らす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、課金可能な残高額に相当する値を示す残高ポイント値が記憶された利用者カードを用いた課金対象の利用状況に応じて、当該利用者カードに記憶された残高ポイント値を課金装置により減じることでその利用に対する課金を行うカード課金システムにおいて、特に、課金状況に応じたポイントバック処理を行うカード課金システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各病院には、テレビ、冷蔵庫、電話、洗濯機、乾燥機といった様々な機器が設けられており、その病院の入院患者等により利用されている。
これらの機器には、例えば特許文献1に示されるように、事前入金額を示す情報が記録されたプリペイド形式の患者用カードにより、当該機器の利用状況(例えばテレビの視聴時間)に応じた課金を行う課金装置が付設され、入院患者は、当該患者用カードに対する事前入金額の範囲内で各機器を利用することができる。
【特許文献1】特開2006−295407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、病院の職員による院内の売店、食堂、自動販売機等の利用に対する料金の支払いを、各職員の識別情報及び事前入金額を示す情報を記録したプリペイド形式の職員用カードにより行い、その課金額(支払額)に応じたポイントを当該職員に対してポイントバックし、当該ポイントに応じた景品との交換や、当該ポイントにより売店等における支払いを行えるようにするポイントシステムがある。
【0004】
このようなポイントシステムでは、例えば売店に設置されたPOSレジ等により職員用カードから記録情報(職員の識別情報及び事前入金額を示す情報)を読み取り、その入金額(残高)から料金を差し引いて課金すると共に、その課金額に応じたポイントを算出して職員の識別情報と共に管理サーバに送信し、管理サーバにて管理されている各職員毎の蓄積ポイントに加算する、というような処理が行われている。
つまり、従来のポイントシステムは、各カードに個人の識別情報を記録させておき、この識別情報に基づいて管理サーバにてポイント管理を行うものであった。
【0005】
ここで、病院の入院患者等がカード販売機にて購入できるプリペイド形式の患者用カードにより、上述したような入院生活におけるテレビ、冷蔵庫、電話、洗濯機、乾燥機等の機器の利用に対する料金の支払の他、院内の売店、食堂、自動販売機等の利用に対する支払を行えるようにし、更に、退院後の通院時においてもこれら院内設備の利用に対する支払を行えるようなカード課金システムが実現されている。
【0006】
このカード課金システムにおいては、カード入金機により患者用カードに対する追加入金を行って入金額(残高)を補充できるため、共通の患者用カードを用いて継続的に院内設備を利用することが可能となっており、このような患者用カードの継続利用の実情に鑑みて、患者用カードについても上記ポイントシステムを適用することが望まれている。
【0007】
しかしながら、患者用カードに上記ポイントシステムを適用するには、患者用カードによる課金対象となる病室内の各テレビ、冷蔵庫、電話等のそれぞれの機器についても管理サーバと通信可能とする必要があるが、そのような通信システムの構築には多くの費用を要すると共に、システム構成が複雑になってしまう。また、上記ポイントシステムに必要な患者の識別情報を患者用カードに記録させるために、患者用カードを購入する際にその購入者に各種情報を入力させる必要があるが、その入力作業を購入者に負わせることになり、入院患者にとっては作業負担が大きく、その入力作業は継続的な患者用カードの利用予定が無い者にとっては無駄な作業となる。
【0008】
本発明は、上記従来の事情に鑑みなされたものであり、各カードに記録された個人の識別情報に基づく管理サーバでのポイント管理という従来のポイントシステムに比べ、より簡易な態様によるポイントバック処理を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、課金可能な残高額に相当する値を示す残高ポイント値が記憶された利用者カードと、当該利用者カードを用いた課金対象の利用状況に応じて当該利用者カードに記憶された残高ポイント値を減じることでその利用に対する課金を行う課金装置と、を具備するカード課金システムにより実現される。
【0010】
本発明に係るカード課金システムでは、利用者カードは、課金装置により課金された額であってポイントバック処理対象となる額の合計に相当する値を示す対象課金ポイント値を課金対象の種別毎に記憶しており、課金装置は、ポイントバック処理対象となる全ての種別の対象課金ポイント値の合計値に応じてポイントバックするポイント値の割合の情報を記憶する記憶手段と、利用者カードを用いた課金対象の利用状況に応じて、当該利用者カードに記憶された残高ポイント値及び当該課金対象の種別の対象課金ポイント値を更新する課金手段と、課金対象の利用に用いられている利用者カードについて、ポイントバック処理対象となる全ての種別の対象課金ポイント値を合計し、その合計値に応じたポイント値を前記記憶手段の記憶内容に基づいて算出する算出手段と、当該算出されたポイント値に基づいて利用者カードの記憶内容を更新する更新手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
つまり、本発明に係るカード課金システムによると、利用者カードを用いた課金対象の利用状況に応じて当該利用者カードに記憶された残高ポイント値及び当該課金対象の種別の対象課金ポイント値を更新する課金装置が、ポイントバック処理対象となる全ての種別の対象課金ポイント値の合計値に応じたポイント値を算出し、当該ポイント値に基づいて利用者カードの記憶内容を更新してポイントバックを行うことから、従来のポイントシステムのように管理サーバを用意して各課金装置をネットワーク接続させる必要が無く、また、各カードに個人の識別情報を記憶させる必要も無いため、従来に比べて簡易な態様によりポイントバック処理することができる。
【0012】
本発明に係るカード課金システムによるポイントバック処理の一態様としては、更新手段は、算出手段により算出されたポイント値に応じて利用者カードに記憶された残高ポイント値を増やすと共に、当該ポイント値の算出に用いられた分だけ当該利用者カードに記憶された対象課金ポイント値から減らす。
この場合、利用者カードに記憶された残高ポイント値にポイントバックされるため、利用者は、そのポイント値を各種料金の支払に充てることができる。
【0013】
本発明に係るカード課金システムによるポイントバック処理の他の態様としては、利用者カードは、ポイントバックされたポイント値を合計した値であるポイント合計値を記憶し、更新手段は、算出手段により算出されたポイント値に応じて利用者カードに記憶されたポイント合計値を増やすと共に、当該ポイント値の算出に用いられた分だけ当該利用者カードに記憶された対象課金ポイント値を減らす。
【0014】
この場合、利用者カードに記憶されたポイント合計値に応じた情報を表示する紙を出力する出力手段、又は、利用者カードに記憶されたポイント合計値に応じた返金を行う返金手段の一方又は両方を備えた返金処理装置をカード課金システムに設けることで、利用者は、前記出力された紙(換金用紙)を窓口(例えば売店の店員)に提示して払い戻しを受けることができ、又は、返金処理装置から直接払い戻しを受けることができる。
なお、返金処理装置としては、例えば、利用者カードに対する追加入金を行うためのカード入金機や、利用者カードを回収して残りの入金額(残高)やカードの保証金を払い戻すためのカード精算機等により実現することができる。
【0015】
なお、課金装置は、記憶手段に、ポイントバック処理対象となる全ての種別の対象課金ポイント値の合計値に応じてポイントバックするポイント値の割合の情報と共に、課金に関する他の条件の情報を記憶させておき、その記憶内容に基づいて算出手段がポイント値を算出するようにしてもよい。他の条件としては、例えば、ポイントバック処理対象の種別や期間を限定する条件、或る種別や期間についてポイントバックする割合を増やす条件などがある。
【0016】
また、カード課金システムは、課金装置に対する設定を行うための設定情報を記憶した設定カードを具備し、課金装置は、設定カードに記憶された設定情報を読み取る読取手段と、読取手段により読み取られた設定情報に基づいて記憶手段に情報を設定する設定手段と、を更に備えるようにしてもよく、これにより、ポイントバックするポイント値の割合や上記条件の設定を容易に行うことが可能となる。
【0017】
また、利用者カードに、課金対象の種別毎の対象課金ポイント値と共に、現在までに前記課金装置により課金された額の合計に相当する値を示す課金ポイント合計値を課金対象の種別毎に記憶させるようにしてもよい。
つまり、ポイントバックするポイント値の計算に用いる対象課金ポイント値とは別に利用者カードに記憶させた課金ポイント合計値によって、テレビや洗濯機等の各機器のレンタル業者に支払うレンタル料金をその利用状況に応じて算出することができる。なお、各利用者カードに記憶された課金ポイント合計値は、カード入金機やカード精算機等により収集して課金対象の種別毎に集計すればよい。
【0018】
ここで、本発明に係るカード課金システムの典型的な態様としては、カード課金システムは病院に設置され、利用者カードは当該病院を利用する患者により用いられ、課金装置による課金対象として、テレビ、電話、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、自動販売機、駐車料金精算機のうちの1つ以上に適用される。
【0019】
本発明は、上記のようなカード課金システムとして実現されるほか、当該カード課金システムにより実現される方法、当該カード課金システムを構成する課金装置、当該課金装置をコンピュータにより実現するためのプログラム、当該プログラムを記憶した記憶媒体、等の種々の態様により実現することもできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るカード課金システムによると、従来のポイントシステムのように管理サーバを用意して各課金装置をネットワーク接続させる必要が無く、また、各カードに個人の識別情報を記憶させる必要も無いため、従来に比べて簡易な態様によりポイントバック処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を、図に示す一実施形態に基づいて具体的に説明する。
ここで、本発明に係るカード課金システムにおいては、利用者カードとして、当該カードのメモリに対するデータアクセス(情報の書込み及び読出し)が課金装置との接触通信により行われる接触式カードを用いてもよく、非接触通信により行われる非接触式カードを用いてもよい。また、例えばRFIDタグを設けたカードを用いてもよく、種々の形式のカードを採用することができる。本例では、病院の患者に利用されるプリペイド形式の接触式ICカードを利用者カードとして用いており、以下の説明では患者用ICカードと記す。
【0022】
図1には、本発明の実施形態の一例として、病院に設置されたカード課金システムの概要を示してある。
本例のカード課金システムには、患者用ICカードCaを販売するカード販売機Ma、患者用ICカードCaに対する追加入金を行うカード入金機Mb、患者用ICカードCaを回収して残金及び保証金の払い戻しを行うカード精算機Mcが設けられている。
そして、本例のカード課金システムの利用者(例えば入院患者)は、課金対象の機器Tとして各病室に設置されたテレビ・電話・冷蔵庫、及び共有スペースに設置された洗濯機・乾燥機を、患者用ICカードCaに対する事前入金額(残高)の範囲内で利用することができる。なお、これらの機器Tには減算機(課金装置)Aが付設されており、各減算機Aにより、そのカード挿入スロットに装填された患者用ICカードCaに対して各機器Tの利用状況(利用時間や利用回数)に応じた課金が行われる。
【0023】
また、本例のカード課金システムには、駐車場の利用時間に応じて患者用ICカードCaから課金を行う減算機Aを内蔵した駐車料金精算機や、購入対象の商品に応じて患者用ICカードCaから課金を行う減算機Aを内蔵した自動販売機が、課金対象の機器Tとして更に設置されており、利用者(例えば通院患者)の利用に供されている。
また、患者用ICカードCaは、売店における商品の購入、食堂や喫茶店における飲食、理髪店における調髪、等に対する料金の支払にも用いることができ、各店舗に設けられたPOSレジ(課金装置)Rにより課金される。
このように、本例のカード課金システムの利用者は、1枚の患者用ICカードCaにより病院の各設備(課金対象)を複合的且つ継続的に利用することができる。
【0024】
図2は、本例に係る患者用ICカードCaの機能ブロック図を示している。
本例の患者用ICカードCaは、各種情報を記憶するメモリ22、当該メモリに対するデータアクセス(情報の書込み及び読出し)のインターフェースである入出力I/F21、を備えている。
【0025】
患者用ICカードCaのメモリ22には、課金可能な残高額に相当する値を示す残高ポイント、課金装置(減算機A及びPOSレジR)により課金された額に相当する値を示す課金ポイント、が記憶される。
なお、本例では、メモリ22の記憶内容を図6に例示するように、課金ポイントは、現在までに課金装置により課金された額の合計に相当する値を示す課金ポイント合計値(図6における「合計値」)と、課金装置により課金された額であってポイントバック処理対象となる額の合計に相当する値を示す対象課金ポイント(図6における「処理対象値」)とにより構成され、各課金ポイントは課金対象の種別毎に記憶されている。
【0026】
図3は、本発明に係る課金装置の一例として、テレビに付設された減算機(タイマー)Aの機能ブロック図を示している。
本例の減算機Aは、カード挿入スロットに装填された患者用ICカードCaのメモリ22(及び後述する設定用ICカードCbのメモリ32)に対するデータアクセスを行うカードアクセス部13、ポイントバック処理に用いるポイントバックデータを記憶するポイントレートメモリ11、テレビの電源状態(オン又はオフ)の監視及び制御を行う電源制御部12、各種データ処理を行うデータ処理部13、を備えている。
【0027】
ポイントレートメモリ11は、その記憶内容を図4に例示するように、ポイントバック処理対象となる全ての種別の対象課金ポイントの合計値に応じてポイントバックする値の割合を示すポイントレート、ポイントバック処理を行う合計値の単位を示す処理単位、の各データ項目からなるポイントレートデータが記憶されている。
【0028】
同図では、ポイントレートとして“0.05”、処理単位として“200p”が設定されており、つまり、テレビ視聴に用いられている(カード挿入スロットに装填されている)患者用ICカードCaにおける対象課金ポイントの合計について200p単位で5%(10p)ずつポイントバック(本例では残高ポイントに加算)が行われることになる。なお、処理単位のデータ項目を設けない構成としてもよく、その場合にはポイントバックする値に端数が生じるが、端数の切り上げ、切り捨て、四捨五入、等の所定の算術演算により調整すればよい。
【0029】
データ処理部13は、課金処理部15、返還ポイント算出部16、返還ポイント更新部17、ポイントレート設定部18、を備えている。
課金処理部15は、該減算機Aが付設された機器Tの利用時間を計時し、一定時間の経過毎に、患者用ICカードCaに記憶されている残高ポイント及び課金対象の種別の課金ポイント(課金ポイント合計値及び対象課金ポイント)を更新する更新処理を行う。つまり、本例では、テレビ視聴の時間に応じて残高ポイントを減ずると共に、種別が“テレビ”の課金ポイント合計値及び対象課金ポイントを増やす。
【0030】
なお、課金処理部15は、電源制御部12によるテレビの電源状態の監視結果に基づいて電源の投入から切断までの時間を計時し、テレビの視聴時間を算出している。また、本例の課金処理部15は、患者用ICカードCaの排出指示がなされたときや、患者用ICカードCaの残高ポイントが“0”のときに、電源制御部12によりテレビの電源を切断させて、テレビ視聴を終了させる処理も行う。
【0031】
返還ポイント算出部16は、課金対象の利用(本例ではテレビ視聴)に用いられている患者用ICカードCaについて、ポイントバック処理対象となる全ての種別の対象課金ポイントを合計し、その合計値に応じたポイント値をポイントレートメモリ11の記憶内容に基づいて算出する返還ポイント算出処理を行う。
【0032】
返還ポイント更新部17は、返還ポイント算出部16により算出されたポイント値に応じて患者用ICカードCaに記憶された残高ポイントを増やすと共に、当該ポイント値の算出に用いられた分だけ患者用ICカードCaに記憶された対象課金ポイントから減らす返還ポイント更新処理を行う。
【0033】
ポイントレート設定部18は、設定用ICカードCbの記憶内容に基づいてポイントレートメモリ11の設定を行う。
ここで、設定用ICカードCbは、図5に機能ブロック図を示すように、ポイントレートメモリ11に設定される設定データを記憶するメモリ32、当該メモリに対するデータアクセス(情報の書込み及び読出し)のインターフェースである入出力I/F31、を備えている。この設定データは、図4に示したようなポイントレートメモリ11に記憶されるポイントレートデータと同様なデータ項目で構成されており、ポイントレート設定部18の制御の下、カードアクセス部13により読み出されてポイントレートメモリ11に設定される。
つまり、設定用ICカードCbの挿入という簡単な操作によってポイントレートの設定を変更することができる。
【0034】
なお、ポイントレートメモリ11に、例えば、ポイントレートデータが適用される課金対象の種別や期間を限定する条件を設定するようにしてもよく、或る種別や期間についてポイントバックする割合を増やす条件を設定するようにしてもよく、これらの場合にも、設定用ICカードCbによってその設定を容易に変更することができる。また、その設定内容によっては、課金対象の種別が1つのみとなっても構わない。
【0035】
図6は、患者用ICカードCaのメモリ22の記憶内容を例示している。
同図によると、残高ポイントが“4000p”であり、種別が“テレビ”に係る課金ポイントの合計値(課金ポイント合計値)が“630p”、処理対象値(対象課金ポイント)が“30p”であり、種別が“電話”に係る課金ポイントの合計値が“200p”、処理対象値が“0p”であり、種別が“冷蔵庫”に係る課金ポイントの合計値が“150p”、処理対象値が“50p”であり、種別が“売店”に係る課金ポイントの合計値が“440p”、処理対象値が“40p”である。
なお、本例では、残高ポイントとして、残高額を一定の比率で変換した値を用いているが、残高額そのものを用いてもよい。また、課金ポイント(合計値及び処理対象値)として、課金額を一定の比率で変換した値を用いているが、課金額そのものを用いてもよい。
【0036】
患者用ICカードCaのメモリ22は、以下に例示するような手順で減算機Aにより更新される。
例えば、一定時間(本例では10分)のテレビ視聴がなされる毎に、残高ポイントから視聴に応じた分(本例では10p)ずつ残高ポイントが減算されると共に、種別が“テレビ”に係る課金ポイント(合計値及び処理対象値)が加算される。つまり、図6のデータが記憶された患者用ICカードCaを用いて80分のテレビ視聴がなされた場合には、残高ポイントから“80p”減算されて“3920p”となり、種別が“テレビ”に係る課金ポイントの合計値及び処理対象値にそれぞれ“80p”加算されて、合計値“710p”、処理対象値“110p”となる。このとき、各種別の処理対象値を合計すると“200p”となり、ポイントレートメモリ11の処理単位“200p”に至ったため、ポイントレート“0.05”(5%)に応じた“10p”がポイントバック(本例では残高ポイントに加算)されて残高ポイントが“3930p”となり、各種別の処理対象値がそれぞれ減ぜられる(“0p”にリセットされる)。
【0037】
次に、本例の減算機Aによる課金処理及びポイントバック処理の一例を、図7に示す処理フロー図を参照して説明する。
テレビ(課金対象の機器T)に付設された減算機Aは、利用者によりカード挿入スロットに患者用ICカードCaが装填されて視聴指示を受け付けると、電源制御部12によりテレビの電源を投入させてテレビ視聴を開始させる(ステップS1)。
【0038】
減算機Aでは、課金処理部12によりテレビ視聴の時間を計時しており、一定時間(例えば10分)の経過毎に(ステップS2)、課金処理(ステップS4)、返還ポイント算出処理(ステップS5)、返還ポイント更新処理(ステップS6)を行い、テレビ視聴の終了指示(電源の切断指示やカードの排出指示など)がなされた場合(ステップS3)、又は、患者用ICカードCaの残高ポイントが“0”となった場合(ステップS7)に、電源制御部12によりテレビの電源を切断させてテレビ視聴を終了させると共に、患者用ICカードCaを排出する。
【0039】
なお、図7の処理フロー図では、返還ポイント算出処理及び返還ポイント更新処理からなるポイントバック処理を課金処理の都度行っているが、一連の課金処理の終了時(例えば、テレビの電源が切断されたとき、患者用ICカードCaの排出指示がなされたとき、患者用ICカードCaの残高ポイントが“0”となったとき)に行ってもよく、或いは、課金処理の都度、返還ポイント算出処理を行っておき、一連の課金処理の終了時に返還ポイント更新処理を行ってもよい。
【0040】
ここで、上記説明はテレビに付設された減算機Aに関するものであるが、課金対象である他の各機器Tに付設又は内蔵された減算機A及び売店等の店舗に設置されたPOSレジRも、上記課金処理及びポイントバック処理と同様な機能を有しており、その説明については割愛する。また、テレビ(例えば、チューナー付液晶モニタ)の一般的な用途はテレビ視聴であるが、例えば、食事の注文、売店等への商品の注文、インターネットの利用を行う際の表示部としても用いてもよく、この場合は、当該テレビに付設された減算機Aにより、これら課金対象の種別(例えば、テレビ視聴、食事注文、商品注文、インターネット利用)毎に課金処理及びポイントバック処理を行うようにしてもよい。
【0041】
また、上記説明においては、患者用ICカードCaの残高ポイントへのポイントバックについて説明したが、図2に破線で示すように、患者用ICカードCaのメモリ22に返還ポイントの格納域を設け、当該返還ポイントへのポイントバックを行うようにし、カード入金機Mbやカード精算機Mcにより当該返還ポイントに基づく払い戻し等を行うようにしてもよい。
この場合における減算機Aの返還ポイント更新部17の処理としては、返還ポイント算出部16により算出されたポイント値に応じて患者用ICカードCaに記憶された返還ポイントを増やすと共に、当該ポイント値の算出に用いられた分だけ患者用ICカードCaに記憶された対象課金ポイントから減らす。
【0042】
図7は、上記返還ポイントへのポイントバックに対応した処理を行うカード精算機Mcの機能ブロック図が示してある。
本例のカード精算機Mcは、患者用ICカードCaのメモリ22に対するデータアクセスを行うカードアクセス部42、課金ポイントの合計値を課金対象の種別毎に蓄積するデータベース(DB)41、各種データ処理を行うデータ処理部43、を備えている。なお、DB41に蓄積された課金対象の種別毎の課金ポイントの合計値は、課金対象の機器T(テレビや洗濯機等)のレンタル業者に支払うレンタル料金をその利用状況に応じて算出する用途などに用いられる。
【0043】
データ処理部43は、カード挿入スロットに装填された患者用ICカードCaから課金対象の種別毎の課金ポイントの合計値を収集してDB41に蓄積させるデータ収集部44、当該患者用ICカードCaの返還ポイント分を残高ポイントに加算して返還ポイントを減ずる(“0p”にリセットする)返還ポイント処理部45、当該患者用ICカードCaを回収して残高ポイントに相当する金額及び保証金を払い戻す精算処理部46を備えている。
【0044】
なお、返還ポイント処理部45により返還ポイントを残高ポイントに加算する処理のみを行ってもよく、又は、その処理を行った上で精算処理部46により払い戻しを行ってもよく、本例では、カード精算機Mcの筐体に設けられたボタンにより利用者が指示することができる。
また、返還ポイント処理部45は、残高ポイントに対する返還ポイントの加算に代えて、返還ポイントに応じた情報(ポイント値又はこれに相当する金額)を表示する換金用紙を印字出力し、これを窓口(例えば売店の店員)へ提示させて払い戻しさせるようにしてもよく、又は、当該カード精算機Mcにより直接払い戻しさせるようにしてもよい。
【0045】
ここで、本例の課金装置(減算機A及びPOSレジR)は、各種演算処理を行うCPU、その作業領域となるRAM、本発明に係る各機能を実現するためプログラムを記憶するROM、等のハードウェア資源を有するコンピュータで構成されており、当該プログラムを各ハードウェア資源を用いて実行することで、本発明に係る各機能手段を課金装置のコンピュータに実現している。
【0046】
なお、上記プログラムは、例えば、当該プログラムを記憶したCD−ROM等の記憶媒体を配布する形式や、ネットワークを介して配信する形式で、本発明の実施者に提供される。また、課金装置の各機能手段は、本例のようなソフトウェア構成により実現する態様に限られず、それぞれ専用のハードウエアモジュールで構成してもよい。また、各機能手段は、本例のように1台のコンピュータに設ける態様に限られず、複数台のコンピュータに分散して設けてもよい。
【0047】
また、本例では、病院の各設備の利用について適用されたカード課金システムについて説明したが、例えば、ホテル、旅館、養護老人ホーム等の各施設における設備の利用について本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係るカード課金システムの概要を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る患者用ICカードの機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る減算機の機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る減算機のポイントレートメモリのデータ例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る設定用ICカードの機能ブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る患者用ICカードのメモリのデータ例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るポイントバック処理の処理フロー図を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るカード精算機の機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
Ca:患者用ICカード、 Cb:設定用ICカード、 A:減算機、 T:課金対象機器、 R:POSレジ、 Ma:カード販売機、 Mb:カード入金機、 Mc:カード精算機、 11:ポイントレートメモリ、 12:電源制御部、 13:カードアクセス部、 14:データ処理部、 15:課金処理部、 16:返還ポイント算出部、 17:返還ポイント更新部、 18:ポイントレート設定部、 21、31:入出力I/F、 22、32:カードメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
課金可能な残高額に相当する値を示す残高ポイント値が記憶された利用者カードと、当該利用者カードを用いた課金対象の利用状況に応じて当該利用者カードに記憶された残高ポイント値を減じることでその利用に対する課金を行う課金装置と、を具備するカード課金システムにおいて、
前記利用者カードは、前記課金装置により課金された額であってポイントバック処理対象となる額の合計に相当する値を示す対象課金ポイント値を課金対象の種別毎に記憶しており、
前記課金装置は、
ポイントバック処理対象となる全ての種別の対象課金ポイント値の合計値に応じてポイントバックするポイント値の割合の情報を記憶する記憶手段と、
前記利用者カードを用いた課金対象の利用状況に応じて、当該利用者カードに記憶された残高ポイント値及び当該課金対象の種別の対象課金ポイント値を更新する課金手段と、
課金対象の利用に用いられている利用者カードについて、ポイントバック処理対象となる全ての種別の対象課金ポイント値を合計し、その合計値に応じたポイント値を前記記憶手段の記憶内容に基づいて算出する算出手段と、
前記算出手段により算出されたポイント値に基づいて前記利用者カードの記憶内容を更新する更新手段と、
を備えたことを特徴とするカード課金システム。
【請求項2】
請求項1に記載のカード課金システムにおいて、
前記更新手段は、前記算出手段により算出されたポイント値に応じて前記利用者カードに記憶された残高ポイント値を増やすと共に、当該ポイント値の算出に用いられた分だけ当該利用者カードに記憶された対象課金ポイント値から減らすことを特徴とするカード課金システム。
【請求項3】
請求項1に記載のカード課金システムにおいて、
前記利用者カードは、ポイントバックされたポイント値を合計した値であるポイント合計値を記憶し、
前記更新手段は、前記算出手段により算出されたポイント値に応じて前記利用者カードに記憶されたポイント合計値を増やすと共に、当該ポイント値の算出に用いられた分だけ当該利用者カードに記憶された対象課金ポイント値を減らすことを特徴とするカード課金システム。
【請求項4】
請求項3に記載のカード課金システムにおいて、
前記利用者カードに記憶されたポイント合計値に応じた情報を表示する紙を出力する出力手段、又は、前記利用者カードに記憶されたポイント合計値に応じた返金を行う返金手段の一方又は両方を備えた返金処理装置を具備することを特徴とするカード課金システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のカード課金システムにおいて、
前記記憶手段には、ポイントバック処理対象となる全ての種別の対象課金ポイント値の合計値に応じてポイントバックするポイント値の割合の情報と共に、課金に関する他の条件の情報が記憶されており、
前記算出手段は、前記記憶手段の記憶内容に基づいてポイント値を算出することを特徴とするカード課金システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のカード課金システムにおいて、
前記課金装置に対する設定を行うための設定情報を記憶した設定カードを具備し、
前記課金装置は、
前記設定カードに記憶された設定情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた設定情報に基づいて前記記憶手段に情報を設定する設定手段と、
を備えたことを特徴とするカード課金システム。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のカード課金システムにおいて、
前記利用者カードは、課金対象の種別毎の対象課金ポイント値と共に、現在までに前記課金装置により課金された額の合計に相当する値を示す課金ポイント合計値を課金対象の種別毎に記憶することを特徴とするカード課金システム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のカード課金システムにおいて、
前記カード課金システムは病院に設置され、
前記利用者カードは当該病院を利用する患者により用いられ、
前記課金装置による課金対象として、テレビ、電話、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、自動販売機、駐車料金精算機のうちの1つ以上に適用されることを特徴とするカード課金システム。
【請求項9】
課金可能な残高額に相当する値を示す残高ポイント値が記憶された利用者カードを用いた課金対象の利用状況に応じて、当該利用者カードに記憶された残高ポイント値を減じることでその利用に対する課金を行う課金装置において、
前記利用者カードは、前記課金装置により課金された額であってポイントバック処理対象となる額の合計に相当する値を示す対象課金ポイント値を課金対象の種別毎に記憶しており、
前記課金装置は、
ポイントバック処理対象となる全ての種別の対象課金ポイント値の合計値に応じてポイントバックするポイント値の割合の情報を記憶する記憶手段と、
前記利用者カードを用いた課金対象の利用状況に応じて、当該利用者カードに記憶された残高ポイント値及び当該課金対象の種別の対象課金ポイント値を更新する課金手段と、
課金対象の利用に用いられている利用者カードについて、ポイントバック処理対象となる全ての種別の対象課金ポイント値を合計し、その合計値に応じたポイント値を前記記憶手段の記憶内容に基づいて算出する算出手段と、
前記算出手段により算出されたポイント値に基づいて前記利用者カードの記憶内容を更新する更新手段と、
を備えたことを特徴とする課金装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−140120(P2009−140120A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314249(P2007−314249)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(590003308)株式会社アメニコ (5)