説明

カーブ付ストラップ

【課題】 肩や首に掛けてカメラ等の物品を吊り下げるストラップに関し、肩に掛けたときに身体にフィットして肩からずり落ち難く、デザイン上もシンプルで好ましいストラップを提供する。
【解決手段】 ストラップ1は、カメラ等の物品に繋がれる幅細の繋ぎ部材3,3が幅広で帯状のベルト部材2の両端側に連結部材4,4を介してそれぞれ連結固定されており、前記ベルト部材2には肩や首周りに沿うような扇形状の外周側カーブ2bと、外周側カーブに対応した内周側カーブ2aが形成されている。そして、前記外周側カーブ2bの接線と繋ぎ部材3,3同士の中心線とが平行となるような向きで配されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肩や首に掛けてカメラやバッグ等の物品を吊り下げるストラップに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラや携帯情報端末等の携帯電子機器、バッグやポーチ等の小物類など、持ち運んでその場で適宜使用することがある物品は、一般にストラップ(又はショルダーストラップ)と呼称される連結式のベルトが繋がれており、このストラップを肩に掛けて吊り下げたり、首に掛けて吊り下げたりして身に着ける構成となっている。なお、本明細書では、肩や首に掛けて物品を吊り下げる帯やベルト等をストラップと表現する。
【0003】
前記ストラップは身に着けることから、着け心地の良さや柔軟性が求められ、その材質としては、一般に、編物、織物、皮革、合成樹脂等が用いられている。
【0004】
特許文献1は、ショッピングバッグ等を持ち運ぶ際に使用するストラップ(肩掛けベルト)に関し、ストレートなベルトをループ状にして両端側にそれぞれ取付けた係着突起(連結金具)を吊り下げ帯の上端に取付けた接続部に係止させ、吊り下げ帯の下端に取付けた把持具を把持する等して吊り下げ帯の途中にショッピングバッグ等を引っ掛けることが記載されている(請求の範囲、図1等)。
【0005】
特許文献2は、撮像機器用キャリングバッグを持ち運ぶ際に使用するストラップ(肩掛けベルト)に関し、ストレートなベルトをU字状にして両端側にそれぞれ取付けた四角枠状の金具をフックを介してキャリングバッグ両側の掛け金具に取付ける構成が記載されている(請求項5、図3等)。
【0006】
特許文献3は、カメラ用ストラップ(肩掛けベルト)に関し、図7に示すように、カメラに繋がれる幅細の紐状部材200aが幅広の帯状部材200bに連結固定され、一本のストレートなベルト状のストラップ200となっている構成が記載されている(その段落0031等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5−63326号公報
【特許文献2】特開2009−45264号公報
【特許文献3】特開2010−249943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のストラップ(肩掛けベルト)は、主に2通りの構造があり、特許文献1,2記載のような、ストレートな帯状のベルトにベルト金具を取付けて、このベルト金具を中継金具を介してカメラやバッグ等の物品に配された物品金具と連結させることで、カメラやバッグ等が動いても肩や首に掛けたベルトがあまり動かないように自由度を持たせた金具による連結構造となっているか、又は、特許文献3記載のような、カメラやバッグ等に繋がれる幅細の紐状部材が幅広の帯状部材に連結固定され、一本のストレートなベルト状となっている。特許文献1,2記載の構造は重量が比較的大きな物品を吊り下げるのに適しており、特許文献3記載の構造はそれよりも重量が比較的小さな物品を吊り下げるのに適している。
【0009】
しかしながら、特許文献1,2記載の金具による連結構造は、金具同士の動きによっては着衣が噛み込むことがある。また、金具を取付けることで、重くなり、部品点数も多くなってしまう。
また、身体において、肩は傾斜しており、首周りは周回していることから、特許文献3記載のようなストレートで帯状のベルトを肩や首に掛けると、帯状ベルトの首に近い側が肩や首に強く当たり、帯状ベルトの首から遠い側との間で隙間ができてしまうことから、カメラやバッグ等の重量によっては肩周りや首周りが痛くなる。また、帯状ベルトの肩や首との当接部に局所的に力がかかるため帯状ベルトが歪み易くなる。このため、ベルトに肩当てを付設することが一般的となっているが(特許文献1,2)、大掛かりとなってしまい、デザインの自由度も制限される。
そして、市販されているカメラのカタログを見ると、ストラップを身体の片側の肩に掛けて斜め掛けする着け方か(たすき掛けとも称されることがある)、又は、ストラップを首周りに沿わせて掛ける着け方は記載されているが、ストラップを身体の片側の肩に掛けてそのまま真っ直ぐに吊り下げる着け方は記載されておらず、このことは、従来のストラップを身体の片側の肩に掛けてそのまま真っ直ぐに吊り下げる着け方をすると、身体との間で隙間ができてしまい、肩が傾斜していることで、ストラップが肩からずり落ちる虞があるため、あまり好ましい着け方ではないということが一般的になっていることを裏付けているものと考える。
【0010】
図8は、従来のストラップ200をカメラCAに繋いで、片側の肩に掛けてそのまま真っ直ぐに吊り下げる着け方をした場合の使用状態を示す斜視図である。図8(a)は全体的に表した図であり、図8(b)は、点線で囲んだ箇所を拡大して示している。従来のストラップ200はストレート形状であることから、カメラCAを繋いだ状態で従来のストラップ200を身体の片側の肩に掛けてそのまま真っ直ぐに吊り下げる着け方をすると、肩の首から遠い側(腕の付け根側)とストラップ200との間で隙間S1ができてしまい、カメラCAの重量が鉛直よりもやや斜め外側方向(符号F2で示す方向)の外力となってストラップ200にかかるため、ストラップ200が肩からずり落ち易くなる(図8(b))。
【0011】
そこで、本発明の目的は、肩に掛けたときに身体にフィットして肩からずり落ち難く、デザイン上もシンプルで好ましいストラップ(肩掛けベルト)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のカーブ付ストラップは、カメラ等の物品に繋がれる幅細の繋ぎ部材が幅広で帯状のベルト部材に連結固定され、肩や首に掛けてカメラ等の物品を吊り下げるストラップであって、前記ベルト部材には肩や首周りに沿うような扇形状のカーブが形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、肩や首周りに沿うような扇形状のカーブが形成された帯状のベルト部材とすることで、肩や首に掛けたときに前記ベルト部材が身体にフィットし、ベルト部材の歪みもなくなり、肩からずり落ち難くなる。そして、肩周りや首周りが痛くなることが軽減され、着け心地が良好なものとなる。
【0014】
前記繋ぎ部材がカメラやバッグ等の物品に繋がれた状態での、本発明のストラップの着け方としては、3通りの方法が挙げられる。第1の方法は、使用者が前記ベルト部材の外周側を首に近い側として肩に掛けてそのまま真っ直ぐに吊り下げて使用する方法である。本発明によれば、肩に掛けたときの前記ベルト部材の外周側と内周側との傾斜が、肩の傾斜と、概ね一致するので、前記ベルト部材が身体にフィットし、歪みもなくなり、肩からずり落ち難くなる。第2の方法は、使用者が前記ベルト部材の内周側を首に近い側として首周りに沿わせてそのまま真っ直ぐに吊り下げて使用する方法である。本発明によれば、首に掛けたときの前記ベルト部材の内周側から外周側への広がり具合が、首の付け根から肩にかけての広がり具合と、概ね一致するので、前記ベルト部材が身体にフィットし、歪みもなくなり、首の付け根にかかる負担が軽減される。そして、第3の方法は、使用者が前記ベルト部材の内周側を首に近い側として肩に掛けて、斜め掛けして(たすき掛けのようにして)吊り下げて使用する方法である。この場合は、従来のストレート形状のストラップと同様となり、ストラップを斜め掛けしたときの傾斜が肩の傾斜に合うように斜め掛けの角度を適宜調整すればよい。本発明のストラップの着け方としては、使用者が前記ベルト部材の外周側を首に近い側として肩に掛けてそのまま真っ直ぐに吊り下げて使用する方法(第1の方法)において、ストラップが肩からずり落ち難くなる点に大きな特徴がある。
【0015】
前記ベルト部材の材質としては、布(編物や織物)、皮革、合成樹脂、ゴム板等が挙げられる。また、前記繋ぎ部材としては、帯、ベルト、紐、ストラップ等が挙げられ、その材質としては、布(編物や織物)、皮革、合成樹脂等が挙げられる。前記繋ぎ部材の前記ベルト部材への組み付け方法としては、縫製、溶着、カシメ(金具やリベット止め)等が挙げられる。
【0016】
前記カーブの形成方法としては、布(編物や織物)や皮革をカーブ形状に裁断する方法、合成樹脂やゴム板を金型成形する方法、熱可塑性の糸で編成された編物生地を加熱しながら矯正してカーブを形成する方法、が挙げられる。
【0017】
前記繋ぎ部材が紐状のストラップの場合、自由自在に曲がることから、前記繋ぎ部材がカメラやバッグ等の物品に繋がれた状態で、使用者が前記ベルト部材の外周側を首に近い側として肩に掛けて立ったときに、カメラやバッグ等の物品に重力が作用し前記繋ぎ部材の取付け位置が多少傾いていたとしても前記繋ぎ部材が途中から鉛直方向となる。この構成の場合には、前記繋ぎ部材が自由自在に曲がることから、身体の揺れに応じてカメラやバッグ等の物品が大きく揺れる場合がある。
【0018】
そこで本発明では、前記繋ぎ部材が帯状のベルトであり、使用者が前記ベルト部材の外周側を首に近い側として肩に掛けて立ったときに前記繋ぎ部材が鉛直となるような向きで連結固定されていることが好ましい。本発明によれば、前記繋ぎ部材が帯状のベルトであることで、前記繋ぎ部材が曲がる向きが制限され、身体が多少揺れてもカメラやバッグ等の物品が大きく揺れることがない。そして、使用者が前記ベルト部材の外周側を首に近い側として肩に掛けて立ったときに前記繋ぎ部材が鉛直となるような向きで連結固定されていることで、カメラやバッグ等の物品に作用する重力に対して前記繋ぎ部材が最初から素直に鉛直方向となり、前記ベルト部材が身体にフィットした状態でカメラやバッグ等の物品を鉛直に吊り下げることとなる。
なお、ここで、前記繋ぎ部材が鉛直となるような向きで連結固定されているとは、組み付け角度を厳密に規定するということではなく、前記ベルト部材への前記繋ぎ部材の組み付けばらつきの許容範囲内であって、前記ベルト部材を装着させる身体の形状ばらつきの許容範囲内となっていればよしとしている。つまり、鉛直となる角度を90度とすると、本明細書では、前記繋ぎ部材が75度から105度の範囲内であれば、前記繋ぎ部材が鉛直となるような向きで連結固定されているとしている。
【0019】
本発明は、前記カーブの接線と前記繋ぎ部材の中心線とが平行となるような向きで前記繋ぎ部材の一端が前記ベルト部材の一端に連結固定されていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、使用者が前記ベルト部材の外周側を首に近い側として肩に掛けて立ったときに前記繋ぎ部材が素直に鉛直となり、前記ベルト部材が身体にフィットした状態でカメラやバッグ等の物品を鉛直に吊り下げることとなる。
なお、ここで、前記カーブの接線と前記繋ぎ部材の中心線とが平行となるような向きで前記繋ぎ部材の一端が前記ベルト部材の一端に連結固定されているとは、組み付け角度を厳密に規定するということではなく、前記ベルト部材への前記繋ぎ部材の組み付けばらつきの許容範囲内であって、前記ベルト部材を装着させる身体の形状ばらつきの許容範囲内となっていればよしとしている。つまり、平行となる角度を180度とすると、本明細書では、前記カーブの接線と前記繋ぎ部材の中心線とがなす角度が165度から195度の範囲内であれば、前記カーブの接線と前記繋ぎ部材の中心線とが平行となるような向きで前記繋ぎ部材の一端が前記ベルト部材の一端に連結固定されているとしている。
【0021】
本発明は、前記ベルト部材の両端には、それぞれ前記繋ぎ部材が配されており、これら前記繋ぎ部材の中心線同士が一致するように連結固定されていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、前記ベルト部材の両端に、それぞれ前記繋ぎ部材が配されており、これら前記繋ぎ部材の中心線同士が一致するように連結固定されているので、前記繋ぎ部材がカメラやバッグ等の物品に繋がれた状態での重量バランスが良くなり、使用者が前記ベルト部材の外周側を首に近い側として肩に掛けて立ったときに、前記ベルト部材が身体にフィットするフィット感がさらに良好なものとなる。
【0023】
本発明は、前記ベルト部材を二つ折りした場合に前記カーブ並びに前記繋ぎ部材の中心線同士が一致するように形成されていることが好ましい。本発明によれば、面対称形状となるので、前記ベルト部材を肩や首に掛けたときの形状バランスが良くなり、前記ベルト部材が身体にフィットするフィット感がさらに良好なものとなる。
【0024】
本発明は、前記ベルト部材が、所定幅に形成された経編生地であることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、前記ベルト部材が所定幅に形成された経編生地であることで、長手方向の伸縮性に優れたベルト部材となり、肩や首に前記ベルト部材を掛けてカメラやバッグ等の物品を吊り下げて歩行した場合に前記物品が上下に揺れることを経編生地の伸縮性によって吸収し身体への負荷が小さくなる。
【0026】
本発明は、前記ベルト部材と前記繋ぎ部材とが連結部材を介して連結固定されている構成としても良い。前記連結部材を前記ベルト部材に取付けることで、前記ベルト部材と前記繋ぎ部材との連結固定がより確実なものとなり、取付け強度が向上する。前記連結部材としては、布(編物や織物)、皮革、合成樹脂等が挙げられる。前記連結部材の前記ベルト部材への組み付け方法としては、縫製、溶着、カシメ(金具やリベット止め)等が挙げられる。
【0027】
本発明は、前記ベルト部材と前記繋ぎ部材とが連結部材を介して連結固定されており、前記連結部材が布または皮革であることを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、前記ベルト部材と前記繋ぎ部材とが連結部材を介して連結固定されていることで、前記ベルト部材と前記繋ぎ部材との連結固定がより確実なものとなり、取付け強度が向上する。そして、前記連結部材が布(編物や織物)または皮革であることで、さらに見映えが良くなり、その動きもしなやかな動きとなる。
【0029】
本発明は、前記カーブのうち、外周側カーブの周長さが500〜1000mmであり、外周側カーブの周長さが内周側カーブの周長さの1.01〜1.30倍に設定されることを特徴とする。
【0030】
本発明によれば、前記外周側カーブの周長さが500〜1000mmであることで、使用者が前記ベルト部材の外周側を首に近い側として肩や首に掛けて立ったときに、カメラやバッグ等の物品が身体の腰の辺りになるように調節することが容易であり、また、前記外周側カーブの周長さが内周側カーブの周長さの1.01〜1.30倍に設定されることで、使用者が前記ベルト部材の外周側を首に近い側として肩や首に掛けて立ったときに、前記ベルト部材がちょうど身体にフィットした状態となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、肩や首周りに沿うような扇形状のカーブが形成された帯状のベルト部材とすることで、肩や首に掛けたときに前記ベルトが身体にフィットし、歪みもなくなるので肩周りや首周りが痛くなることがなく、着け心地が良好なものとなる。本発明によれば、使用者が前記ベルト部材の外周側を首に近い側として肩に掛けて立ったときに前記繋ぎ部材が素直に鉛直となり、前記ベルト部材が身体にフィットした状態でカメラやバッグ等の物品を鉛直に吊り下げることとなる。
【0032】
本発明によれば、前記ベルト部材が所定幅に形成された経編生地であることで、長手方向の伸縮性に優れたベルト部材となり、肩や首に前記ベルト部材を掛けてカメラやバッグ等の物品を吊り下げて歩行した場合に前記物品が上下に揺れることを経編生地の伸縮性によって吸収し身体への負荷が小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施形態のカーブ付ストラップを示す正面図である。
【図2】上記実施形態のカーブ付ストラップの側面図である。
【図3】上記実施形態のカーブ付ストラップのベルト部材を示す正面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態のカーブ付ストラップを示す正面図である。
【図5】上記実施形態のカーブ付ストラップの側面図である。
【図6】上記第1の実施形態のカーブ付ストラップを肩に掛けた使用状態を示す斜視図である。
【図7】従来のストラップを示す正面図である。
【図8】上記従来のストラップを肩に掛けた使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための形態を図面を引用しながら説明する。
【0035】
(第1の実施の形態)
図1は本発明を適用した第1の実施形態のカーブ付ストラップを示す正面図であり、図2はその側面図である。本実施形態のカーブ付きストラップ1は、カメラ用のストラップであり、幅広で帯状のベルト部材2と、その両端側にそれぞれ配された幅細の繋ぎ部材3,3とを備え、前記ベルト部材2と前記繋ぎ部材3とが連結部材4を介して連結固定されている構成である。
【0036】
前記ベルト部材2は、幅広で帯状のベルト形状となっており、ポリエステルやナイロン等の糸を編成し所定幅W1に形成された経編生地からなり、前記ベルト部材2には肩や首周りに沿うような扇形状のカーブが形成されている(図1、図3)。前記繋ぎ部材3は、ベルト部材2よりも幅細で帯状のベルト形状であり、ポロプロピレンやナイロン、ポリエステル等で編織された生地からなり、その長さを調節するための調節具5(日の字型リング)が付設されている(図1、図2)。前記連結部材は、布または皮革からなるシート状の生地からなり、その生地を上下に2枚重ねるようにして前記ベルト部材2の一端と前記繋ぎ部材3の根元側とを挟み込んで、縫製することで連結固定されて一繋がりの帯状ベルトとなっている。
【0037】
前記ベルト部材2は、熱可塑性の糸で編成された帯状の経編生地を加熱しながら所定のカーブとなるように矯正することで前記扇形状のカーブを形成している(図1、図3)。ベルト部材2の幅W1は、20〜100mmの範囲内に設定され、肩に掛けるのに適正な範囲内としている。前記カーブのうち、外周側カーブ2bの周長さL1は500〜1000mmに設定され、外周側カーブ2bの周長さL1が内周側カーブ2aの周長さL2の1.01〜1.30倍に設定されている(図3)。外周側カーブ2bと内周側カーブ2aとは対応しており、ベルト部材2の幅W1は、一定値となっている。
【0038】
本実施形態によれば、使用者が前記ベルト部材2の外周側2bを首に近い側として肩に掛けて立ったときに、カメラやバッグ等の物品が身体の腰の辺りになるように調節することが容易であり、使用者が前記ベルト部材2の外周側2bを首に近い側として肩に掛けて立ったときに、ベルト部材2がちょうど身体にフィットし、肩との間に隙間のない状態となる(図6)。そして、前記ベルト部材2が所定幅に形成された経編生地であることで、長手方向の伸縮性に優れたベルト部材2となり、肩や首にベルト部材2を掛けてカメラCAを吊り下げて歩行した場合にカメラCAが上下に揺れることを経編生地の伸縮性によって吸収し身体への負荷が小さくなる。
【0039】
本実施形態では、前記繋ぎ部材3,3の中心線同士(符号P1−P1線)が一致するように連結固定されている(図1)。そして、前記外周側カーブ2bの接線(符号P2−P2線)と繋ぎ部材3の中心線とが平行となるような向きで繋ぎ部材3の一端がベルト部材2の一端に連結固定されている(図1)。本実施形態によれば、使用者がベルト部材2の外周側2bを首に近い側として肩に掛けて立ったときに繋ぎ部材3が素直に鉛直となり、ベルト部材2が身体にフィットした状態でカメラCAを鉛直に吊り下げることとなる(図6を参照)。そして、本実施形態のカーブ付きストラップ1は、ベルト部材2を二つ折りした場合に面対称となる面対称形状であるから、ベルト部材2を肩や首に掛けたときの形状バランスが良くなり、ベルト部材2が身体にフィットするフィット感がさらに良好なものとなる。
【0040】
図6は、本実施形態のストラップ1をカメラCAに繋いで、片側の肩に掛けてそのまま真っ直ぐに吊り下げる着け方をした場合の使用状態を示す斜視図である。図6(a)は全体的に表した図であり、図6(b)は、点線で囲んだ箇所を拡大して示している。本実施形態のストラップ1は、ベルト部材2がカーブしていることから、カメラCAを繋いだ状態で使用者がベルト部材2の外周側2bを首に近い側として肩に掛けてそのまま真っ直ぐに吊り下げる着け方をすると、肩に掛けたときの前記ベルト部材の外周側と内周側との傾斜が、肩の傾斜と、概ね一致するので、前記ベルト部材が身体にフィットし、隙間や歪みがなく、カメラCAの重量が鉛直方向(符号F1で示す方向)の外力となってストラップ1にかかるため、ストラップ1が肩からずり落ち難くなる(図6(b))。
【0041】
なお、前記ベルト部材2の材質としては、経編生地に限定されるものではなく、布(編物や織物)、皮革、合成樹脂等を用いることが可能である。また、前記繋ぎ部材3としては、帯、ベルト、紐、ストラップ等を適用することができ、その材質としては、布(編物や織物)、皮革、合成樹脂等が挙げられる。そして、前記連結部材4としては、布(編物や織物)や皮革の他にも、合成樹脂が適用でき、前記繋ぎ部材3のベルト部材2への組み付け方法としては、連結部材4の材質に応じて、縫製、溶着、カシメ(金具やリベット止め)等が適用可能である。さらには、連結部材4を省いて、前記繋ぎ部材3をベルト部材2に直接組み付けることも可能である。
【0042】
(第2の実施の形態)
図4は本発明を適用した第2の実施形態のカーブ付ストラップを示す正面図であり、図5はその側面図である。本実施形態のカーブ付きストラップ1は、カメラ用のストラップであり、幅広で帯状のベルト部材2と、その両端側にそれぞれ配された幅細の繋ぎ部材3,3とを備え、前記ベルト部材2と前記繋ぎ部材3とが連結部材4を介して連結固定されている構成である。前記繋ぎ部材3は、ループ状の繋ぎ紐となっている(図4)。ここで、同一の符号は同じ機能を示しており、その説明を一部省略する。
【0043】
本実施形態のカーブ付ストラップ1は、ベルト部材2の外周側カーブ2bと内周側カーブ2aとに沿うような向きでベルト部材2と連結部材4と繋ぎ紐3とが一繋がりとなっている。
本実施形態では、繋ぎ部材3が紐状であり、自由自在に曲がることから、使用者が前記ベルト部材2の外周側2bを首に近い側として肩に掛けて立ったときに、カメラCAに重力が作用し鉛直方向に吊り下げられることとなる。
【0044】
上述した本発明の実施形態のカーブ付ストラップ1は、カメラ用に限定されるものではなく、帯情報端末等の携帯電子機器、バッグやポーチ等の小物類など、持ち運んでその場で適宜使用することがある物品に広く適用可能である。
【0045】
上述した実施形態では、熱可塑性の糸で編成された経編生地を加熱しながら矯正してカーブを形成するとしたが、この方法に限定されるものではなく、布(編物や織物)や皮革をカーブ形状に裁断する方法や、合成樹脂やゴム板を金型成形する方法を用いることも可能である。上述した実施形態では、ベルト部材2の両側に繋ぎ部材3,3が連結されている構成で説明したが、この構成に限定されるものではなく、ベルト部材2の一方側にのみ繋ぎ部材3を連結し、ベルト部材2の他方側には、ベルト部材2の一方側と係止させる係止具(留め具)を配する構成とすることも可能である。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0046】
1 カーブ付ストラップ、
2 ベルト部材、
2a 内周側カーブ(内周側)、
2b 外周側カーブ(外周側)、
3 繋ぎ部材、
4 連結部材、
CA カメラ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ等の物品に繋がれる幅細の繋ぎ部材が幅広で帯状のベルト部材に連結固定され、肩や首に掛けてカメラ等の物品を吊り下げるストラップであって、前記ベルト部材には肩や首周りに沿うような扇形状のカーブが形成されていることを特徴とするカーブ付ストラップ。
【請求項2】
前記カーブの接線と前記繋ぎ部材の中心線とが平行となるような向きで前記繋ぎ部材の一端が前記ベルト部材の一端に連結固定されていることを特徴とする請求項1記載のカーブ付ストラップ。
【請求項3】
前記ベルト部材の両端には、それぞれ前記繋ぎ部材が配されており、これら前記繋ぎ部材の中心線同士が一致するように連結固定されていることを特徴とする請求項1または2記載のカーブ付ストラップ。
【請求項4】
前記ベルト部材が、所定幅に形成された経編生地であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載のカーブ付ストラップ。
【請求項5】
前記ベルト部材と前記繋ぎ部材とが連結部材を介して連結固定されており、前記連結部材が布または皮革であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のカーブ付ストラップ。
【請求項6】
前記カーブのうち、外周側カーブの周長さが500〜1000mmであり、外周側カーブの周長さが内周側カーブの周長さの1.01〜1.30倍に設定されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載のカーブ付ストラップ。
【請求項7】
前記繋ぎ部材が帯状のベルトであり、使用者が前記ベルト部材の外周側を首に近い側として肩に掛けて立ったときに前記繋ぎ部材が鉛直となるような向きで連結固定されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載のカーブ付ストラップ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−22102(P2013−22102A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157359(P2011−157359)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【特許番号】特許第5112543号(P5112543)
【特許公報発行日】平成25年1月9日(2013.1.9)
【出願人】(503328399)竹中繊維株式会社 (3)
【Fターム(参考)】