説明

カーポート

【課題】 本発明は、2台以上の車両が並列に駐車できるとともに、簡易な屋根構造でソーラーパネルの発電効率を効率化させるカーポートを提供することにある。
【解決手段】 屋根1と桁材2と支柱3と屋根1の上に設置するソーラーパネル4を備えており、屋根1は、折板構造をなし、ソーラーパネル4は、屋根1の折板5の各頂部に固定してあり、屋根1が車両出入口側の一側側から他側側に向けて傾斜していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車やバイクなどを駐車するカーポートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の省エネ志向から、自然エネルギーを活用し、電力会社による電力供給の依存度を下げて家庭内で電力を賄う手段が模索されている。その中にカーポートの屋根の上にソーラーパネルを設置するものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−33502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーポートの屋根上にソーラーパネルを設置する場合、太陽光の照射を考慮すれば、ソーラーパネルを傾けて設置することが一般的である。ところが、上記のようなものでは、カーポートの屋根上にソーラーパネルを傾けるための比較的大型の支持部材を設置し、これに伴う大量の補強金具を要するものであったから、重量が嵩んで屋根に加わる荷重が大きくなることにより、屋根を支える支柱間の寸法を狭めて耐荷重性能を確保しなければならず、駐車スペースの制限やコストアップなど、カーポート本来の機能性や利便性が損なわれる問題点があった。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、2台以上の車両が並列に駐車できるとともに、簡易な屋根構造でソーラーパネルの発電効率を効率化させるカーポートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のうち請求項1記載の発明は、屋根と桁材と支柱と屋根の上に設置するソーラーパネルを備えており、屋根は、折板構造をなし、ソーラーパネルは、屋根の折板の各頂部に固定してあり、屋根が車両出入口側の一側側から他側側に向けて傾斜していることを特徴とする。
【0006】
本発明のうち請求項2記載の発明は、屋根と桁材の間には、屋根を載置する載置部が傾斜する屋根角度調整部材が設けてあることを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項3記載の発明では、屋根は、車両出入口側の支柱芯々間が少なくとも車両2台が並列で駐車できる間隔で配置する各支柱で支持してあり、屋根の折板頂部までの山高さが80mm〜150mmであり、屋根の肉厚が0.8〜1.0mmであり、屋根の傾斜が8°〜30°であることを特徴とする。ここで、車両2台が並列で駐車できる間隔とは、道路運送車両法施行規則で定める全幅1400mm以下の比較的小型の車両や、全幅1700mmを超える比較的大型の車両、あるいは、上記の小型車両と大型車両のそれぞれ1台ずつを並列に2台駐車できる寸法を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のうち請求項1記載の発明によれば、屋根を折板構造とし、その屋根の上にソーラーパネルを載置して固定することにより、屋根を車両出入口側の一側側から他側側に傾斜する状態にして支柱で支持しても、屋根や支柱においてソーラーパネルの重量に対する耐荷重性能が十分に得られることになる。したがって、屋根の傾斜によりソーラーパネルの発電効率を高められるとともに、その勾配を設けるために比較的大型の支持部材や過剰な補強金具等が不要となり、さらに、ソーラーパネルを固定する固定金具を増やす、あるいは桁材や支柱を太くすることなく屋根の構造部品を規定の個数のみでソーラーパネルを支持、固定することから、屋根そのものの軽量化と省コスト化を両立したソーラーパネル対応型のカーポートを提供できる。
【0009】
本発明のうち請求項2記載の発明によれば、桁材と屋根の間に屋根角度調整部材を挟むことにより、屋根角度調整部材の載置面の傾斜角度を変更するだけで屋根の傾斜角度を容易に設定することができ、その屋根の上に設置、固定するソーラーパネルを立地環境にあわせて発電効率のよい状態で傾斜させることができる。
【0010】
本発明のうち請求項3記載の発明によれば、カーポートの車両出入口側の間隔を、2台以上の車両が並列に駐車できるとともに各車両が入れ替えることなく出入りさせるため、その支柱上部間に架設される屋根が、折板構造をなす屋根の折板の各山の谷部から頂部までの山高さを80mm〜150mm、折板の肉厚を0.8mm〜1.0mmとしてあることにより、屋根の車両出入口側の寸法が長大で且つ屋根の上部にソーラーパネルを載置して固定し、さらに、ソーラーパネルによる発電が最も効率的とされる8°〜30°に屋根を傾斜させても、屋根の断面形状が大きくなることで、屋根の重量及びソーラーパネルの荷重に対する十分な耐荷重性能が得られる。このことから、カーポート本来の機能を損ねることなく、広い屋根上面に多数のソーラーパネルを設置、固定でき、ソーラーパネルによる発電量の増加が見込めることになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は、本実施によるカーポートの全体を示す正面図であり、(b)は、側面図である。
【図2】(a)は、図1(a)の一部を拡大して屋根の詳細を示す縦断面図であり、(b)は、図1(b)の一部を拡大して屋根の詳細を示す縦断面図である。
【図3】(a)は、本実施によるカーポートの平面図であり、(b)は、車両出入口側の支柱芯々間と屋根の寸法を示すものであり、(c)は、屋根の折板の山高さを示す拡大縦断面図である。
【図4】本実施によるカーポートの屋根角度調整部材であり、(a)は、図2中Aを拡大して示す側面図であり、(b)は、斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明のカーポートの実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施によるカーポートは、図1(a)(b)のように、屋根1と、屋根1を支持する桁材2と、桁材2を支える支柱3と、屋根1の上面に載置して固定するソーラーパネル4と、屋根1と桁材2の間に挟む屋根角度調整部材8とからなっており、車両Cを2台並列に駐車できるように車両出入口側を広く形成してある。
【0013】
屋根1は、図2(b)のように、折板構造をなしており、複数の折板5と、複数の折板5を嵌合するタイトフレーム6とから構成している。タイトフレーム6は、折板5に沿うように断面がほぼW字型をなしており、そのW字の頂部と谷部がそれぞれ折板5と桁材2との固定のために扁平に形成してあり、タイトフレーム6の頂部には折板5を、また、谷部には桁材2をそれぞれ固定してある。図2(a)中の符号10は、枠材であり、屋根1の正面側と背面側、そして屋根1の正面側と背面側をつなぐ一側側と他側側の四方を囲むように取り付けてある。符号12は、雨樋であり、折板5の谷部をつたって屋根1の勾配の麓側(一側側)に流れてきた雨水を集水し、下方に排水するものである。
【0014】
桁材2は、図2(a)のように、断面ほぼコ字型のアルミ形材を連結して断面ほぼ矩形状をなす中空形材を形成したものであり、このように、複数のアルミ形材を連結して中空形材を太くすることにより、車両を並列に2台駐車できるように長尺に形成した桁材2の耐久性を確保している(中空形材の構造については特許第4503092号公報を参照)。また、この桁材2を屋根1底面の対向する二辺に合わせ、間隔をあけて矩形に2〜3本配置してあり、屋根1の荷重が桁材2に均等に加わるように下支えしている。
【0015】
支柱3は、中空形材で形成してあり、その下部を地中に埋設して強固に固定してあるとともに、屋根1の四角に近い各位置にて桁材2の下部に連結してある。さらに、桁材2と支柱3の連結については、支柱3の中空部に被接合部材7が入っており、その被接合部材7を支柱3側と桁材2側からボルト7a締めすることで桁材2と支柱3を接合してある。
【0016】
ソーラーパネル4は、図3(a)のように、セルと呼ばれる太陽電池を必要な電力が得られる複数枚並列あるいは直列に配列してパネル状としたものであり、折板5の上にブラケット材11を5本配置し、ルーフボルト9で折板5の頂部に固定する。その上に20枚のソーラーパネル4を縦横に配置し、各ソーラーパネル4をブラケット材11にネジで固定してある。
【0017】
また、本実施によるカーポートは、図3(b)のように、車両出入口側の各支柱3芯々間の寸法が5100mmであり、また、屋根1の出入口側の幅寸法が6094mmであり、図3(c)のように、折板5の山高さが150mmであり、折板5の厚みが0.8mmとしてある。これは、各支柱3芯々間が上記の寸法にしてあることにより、全幅1700mm(3ナンバー車と称される)を超える比較的大型の車両を2台並列に駐車でき、これに伴う各支柱3芯々間寸法の長尺化に対しては、折板5の山高さと肉厚をそれぞれ150mm、0.8mmとして耐荷重性を向上させている。
【0018】
屋根角度調整部材8は、図4(a)のように、屋根1の折板5を支持するタイトフレーム6を載置して固定する載置部8bと、桁材2上部に載置して固定する固定片8aとからなっており、図4(b)のように、桁材2の長手方向に沿って連続する長尺な部材である。載置部8bは、一側に向けて片屋根状に傾斜しており、その載置部8bの傾斜については、本実施のものでは8.53°の勾配で傾斜し、そこにタイトフレーム6を固定して折板5を取り付けることにより屋根1もその勾配で固定される。また、屋根角度調整部材8を使用するときは各支柱3の高さ寸法も調整する。これは、屋根角度調整部材8の載置部8bの勾配と、各支柱3の上部間をつなぐ交線の角度が同一となる必要があり、それに対応して支柱3の高さ寸法を設定してある。上記の屋根角度調整部材8を屋根1と桁材2の間に挟み、屋根1のタイトフレーム6を載置部8bに、桁材2の上面を固定片8aにそれぞれ固定することにより、屋根1の上に配置して固定したソーラーパネル4も屋根1の傾斜に沿って傾くので、ソーラーパネル4を発電効率のよい角度に設置することができる。そして、屋根角度調整部材8は、載置部8bの傾斜角度が違うものを使用することにより、屋根1の勾配を自在に設定できるので、カーポートの設置場所や設置する地域性に対応し、ソーラーパネル4を最も発電効率の高い状態とすることができる。
【0019】
本発明のカーポートの車両出入口側の各支柱3芯々間の寸法は、上記実施形態では、全幅1700mmを超える比較的大型の車両を並列に2台駐車できる寸法を想定しているが、例えば、軽四輪車のように、全幅
1400mm(道路運送車両法施行規則で定めるもの)以下の比較的小型の車両を並列に駐車できる寸法としてもよい。また、屋根角度調整部材8の載置部8bの傾斜については、ソーラーパネル4の発電効率や、ソーラーパネル4と屋根の設置バランス等を鑑みれば、8°〜30°の間で設定することが望ましい。傾斜角度が8°よりも緩やかであれば発電効率が悪くなり、また、傾斜角度が30°よりも急になると、タイトフレーム6と屋根角度調整部材8の固定箇所に過度の負荷がかかる。また、桁材2は、本実施のものではアルミ形材を連結して断面ほぼ矩形状をなす中空形材としたものを使用しているが、連結による継目のない中空形材を使用してもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 屋根
2 桁材
3 支柱
4 ソーラーパネル
5 折板
8 屋根角度調整部材
8b 載置部
C 車両


【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根と、桁材と、支柱と、屋根の上に固定するソーラーパネルを備えており、
屋根は、折板構造をなし、ソーラーパネルは、屋根の折板の各頂部に固定してあり、屋根が車両出入口側の一側側から他側側に向けて傾斜していることを特徴とするカーポート。
【請求項2】
屋根と桁材の間には、屋根を載置する載置部が傾斜する屋根角度調整部材が設けてあることを特徴とする請求項1記載のカーポート。
【請求項3】
屋根は、車両出入口側の支柱芯々間が少なくとも車両2台が並列で駐車できる間隔で配置する各支柱で支持してあり、屋根の折板頂部までの山高さが80mm〜150mmであり、屋根の肉厚が0.8〜1.0mmであり、屋根の傾斜が8°〜30°であることを特徴とする請求項1又は2記載のカーポート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−83076(P2013−83076A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222994(P2011−222994)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000112185)ビニフレーム工業株式会社 (53)