説明

ガイドトラックに沿って移動可能な製品を調整するためのガイド、組立ガイド及び装置

【課題】 従来のガイド及び装置の利点と、衛生状態を良好に制御できるという利点とを有し、ガイドトラックに沿って移動可能な製品を案内するためのガイド及び装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、プラスチック製のガイド片(1)(7)(16)(30)と、ガイド片を支持する支持体(6)(12)(18)(32)とを備える、移動可能な物体を支持するガイドに関し、ガイド片は、少なくとも2つの離れた位置において、支持体により係合され、少なくとも1つの係合位置には、支持体に設けられたガイド片の自由な側方が位置し、ガイド片の自由な側方は、支持体に対して移動できるようになっていることを特徴としている。また、本発明は、ガイドトラック(22)に沿って移動可能な製品を調整する装置(21)にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製のガイド片と、ガイド片を支持する金属製の支持体とを備える、移動可能な物体を支持するためのガイドに関する。また、本発明は、互いに連結された、本発明によるガイド片を複数備える組立ガイドにも関する。さらに、本発明は、ガイドトラックに沿って移動可能な製品を調整する装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
製品を所定位置や加工位置に移動させる場合、製品が、直接的に、またはキャリヤを介して、スライドしうるガイドが通常用いられる。摩擦抵抗及び摩耗を減らすために、従来は、プラスチック製のガイド片により一部が覆われた金属製のガイド片が用いられている。
【0003】
プラスチックにより覆われたこのようなガイドは、相当に高価であり、特に、金属製のガイド片に設けられたプラスチック製のガイド片を清潔にすることはできないという欠点がある。そのため、腐敗しやすい製品の場合には、特に衛生的ではない。
ガイドトラックに沿って移動可能な(食物)製品を調整する装置は、乾燥塔、冷却塔、冷凍塔、燻煙スペース、硬化室、その他の冷却スペースや加熱スペース等を備えている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来のガイド及び装置の利点と衛生状態を良好に制御できるという利点とを有し、ガイドトラックに沿って移動可能な製品を調整するためのガイド及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明は、請求項1のようなガイド片を提供するものである。形状をおおむね保つガイド片は、相当に大きな接触面がなくても、所定位置に保持される。支持体とプラスチックとの接触領域は、最小となり、いくつかの離れた位置で係合することとなる。そのため、両方の部材を清潔にできる。
【0006】
通常は金属で形成されている支持体と、プラスチックとの小さい接触部(領域)のために発生する問題は、支持体とプラスチックとの膨張係数が異なることである。そのため、特に温度が変化した場合、おおむね定位置にある支持体に対して、プラスチック製のガイド片の向きを制御することができなくなる。
しかし、支持体と、プラスチック製のガイド片とは、ごく一部でしか接触しないので、ガイド片の向きを、自由に制御することができる。
【0007】
ガイド片の一側方を支持体に固着すると、ガイド片の向きは、一側方に固定され、支持体に対して発生するガイド片の変形は、自由な側方により補償されるようになっている。自由な側方とは、相対的な方向が固定されていない端のことであり、個々の部材は、相対的に移動できるようになっている。
【0008】
また、ガイド片の向き(特に、ガイド片の軸線方向以外の方向)、及びガイド片が支持体に自由に支持される位置を制御するために、好ましい例では、ガイド片が支持される位置において、ガイド片に3次元形状の被係合部を、また、支持体に3次元形状の係合部を設けてある。一側方または両側方に、3次元形状の被係合部及び係合部を設けることにより、ガイド片と支持体との相対位置を、容易に制御できるようになる。
【0009】
好ましい変形例においては、支持体に設けられたガイド片の自由な側方に、開口部が形成され、この開口部に対して、支持体の係合部は、近接して、かつ移動可能に係合するようになっている。支持体の係合部と係合部から離れた側方に形成された開口部との間には、自由な空間があり、開口部において、係合部は、軸線方向に移動できるようになっている。
【0010】
上述したような構成とすることにより、支持体に対して、プラスチック製のガイド片の長さが変化しても、ガイド片に応力がかからないようになる。寸法が相対的に変化しても、係合部は、ガイド片に位置する。そのため、ガイド片及び支持体の寸法が、相対的に大きく変化した場合でも、プラスチック製のガイド片の向きを制御し続けることができる。
【0011】
ガイド片のガイド面の向きは、ガイドを適切に動作させるために、特に重要である。従って、係合部が開口部を移動可能に形成されている場合、開口部に対する係合部の移動方向が、プラスチック製のガイド片のガイド面と、少なくともおおむね平行であるのが好適である。それにより、ガイド面と平行に、応力が蓄積するのが防止される。
【0012】
本発明によるガイドの他の利点は、支持体の係合部を、ガイド片の開口部に密接して係合させるので、プラスチック製のガイド片における支持体の係合位置での汚染が、全く、または殆んど発生しないことである。
係合部と開口部の内側とにおいて、最大で3mm、好ましくは1mm以下のスロット状の空間(許容部または遊び)を設けるのが好ましい。
【0013】
ガイド片が、高分子ポリエチレンで形成されている場合、僅かなコストでプラスチック製のガイド片を、十分な強度とすることができる。しかし、その場合には、プラスチック製のガイド片を、相当に大きく(例えば梁形状に)する必要がある。支持体を金属で形成してもよい。
【0014】
好ましい実施例においては、支持体の係合部、及び係合部と協動するガイド片の係合孔は、おおむね円筒状である。円筒状に加工(例えば穿孔及び旋削)することは、比較的容易であり、面を清潔にしやすくなり、汚染物が付着しない。
ガイド片を固定するボルトやスクリューのような固定手段は不要となる。ガイド片の両側方に係合部が係合すると、ガイド片は、固定支持される。
【0015】
また、本発明は、上述したようなガイド片を複数、互いに連結した組立ガイドを提供するものである。複数のガイド片は、互いに隙間をもって連結される。ガイド片の間には、自由な空間が設けられ、隣接するガイド片に影響を与えることなく、各ガイド片における長さの変化を補償することができるようになっている。
【0016】
特に、ガイド片が、200mm〜1200mmの長さの高分子ポリエチレンで形成されている場合には、ガイド片と支持体との間の周囲温度における5mm〜35mmの膨張に対して、上述した隙間は、これと対応することができる。
複数のガイド片は、単一の支持体により係合される。それにより、個々のガイド片は、直接的に連結される。
【0017】
組立ガイドの変形例では、螺旋状のガイドトラックを形成する複数のガイド片が設けられている。このような螺旋状のガイドトラックにより、限られた空間内で、長い運搬ルートを実現でき、例えば、タワーとして、相当に長い加工時間にわたって、製品を、冷却、加熱、薫製、調整することができるので好適である。
【0018】
また、本発明は、上述したような組立ガイド、ガイドに沿って調整するために製品を移動させる移動手段、組立ガイド、及び移動手段を少なくとも部分的に収容するハウジング、及びハウジング内の温度を調節するための調節手段とを備え、ガイドトラックに沿って移動可能な製品を調整する装置を提供するものである。調節手段は、例えば温度調節手段を備えている。
【0019】
好適な変形例において、組立ガイドは、垂直方向を向き、ハウジングの周りに設けられた螺旋状のコンベヤトラックを備えており、螺旋状のコンベヤトラックには、回転可能なコアが設けられ、コアの回転により、コンベヤトラックにより保持されたコンベヤベルトは駆動される。
【0020】
このようなガイドトラックは、食肉加工分野に用いて好適であり、組立ガイドと、例えば、金属で形成されたエンドレスコンベヤトラックが設けられる。このようにすると、本発明によるガイドの上述した利点が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
非限定的な実施例を、図面を用いて説明するが、これにより、本発明はより明らかになると思う。
【0022】
図1Aは、ガイド面(2)を備える梁形状でプラスチック製のガイド片(1)を示している。図面では一側方だけが見えているガイド片(1)の端壁(3)には、支持体であるフレーム部(6)により保持された円筒状の係合部であるピン(5)と協動する円筒状の被係合部である係合孔(4)が形成されている。
ガイド片(1)の係合孔(4)は、ピン(5)により係合される深さとなっており、係合孔(4)とピン(5)とが協動するようになっている。図1Bには、ピン(5)を係合孔(4)に係合させた状態を示してある。
【0023】
ガイド片(1)は、ピン(5)により支持されている。係合孔(4)は、ピン(5)に対して、軸方向に十分な空間を有しており、ガイド片(1)の膨張(長くなる)を補償できるようになっている。
また、ピン(5)は、係合孔(4)内に十分に係合しており、ガイド片(1)の収縮(短くなる)を補償できるようになっている。
【0024】
図2は、ガイド面(8)を有するプラスチック製のガイド片(7)の変形例を示し、端壁(9)には、(図1A及び図1Bのピン(5)及び係合孔(4)の関係と同様に)支持体であるフレーム部(12)に連結された係合部であるピン(11)と協動する被係合部である係合孔(10)が形成されている。
【0025】
ガイド片(7)の底面には、スロット状の被係合部である開口部(13)が形成されている。ガイド片(7)の長さの変化に対応し、ガイド片(7)に応力を与えないように、係合部であるピン(14)は、開口部(13)に係合するようになっている。このため、開口部(13)は、ピン(14)に対して軸線方向に延びている。
【0026】
図3は、連続して設けられた複数のガイド片(16)を有する組立ガイド(15)を示している。ガイド片(16)の端壁は、図1A及び図1Bに示したのと同様に、係合部であるピン(17)を有する支持体であるフレーム部(18)に連結されている。
また、ガイド片(16)は、フレーム部(18)に連結されたピン(24)により支持されている。ガイド片(16)は、ガイド面(19)が互いに(自由な隙間をもって)連結するように、連続的に設けられている。
【0027】
ガイド面(19)は、ガイド片(16)の端壁の傾斜している面取り部(20)により、端壁と連通している。面取り部(20)により、ガイド面(19)に設けられた物体(例えば、エンドレスコンベヤベルト)は、ガイド片(16)の端壁により妨害されることがない(図示しない)。
【0028】
図4は、開いた状態のハウジング(23)に設けられた螺旋状のコンベヤトラック(22)を有する塔(21)を示している。コンベヤトラック(22)は、例えば、上述した図面に示されているように、連続して設けられたガイド片により構成されている。
図示する塔(21)は、特に、(半加工)製品を調整する食物加工分野で用いられるものである。
【0029】
図5は、支持体であるねじ(31)により、支持体である支持片(32)の一部に固着されたガイド片(30)を示している。ねじ(31)とは反対側のガイド片(30)の一側方には、被係合部である凹部(33)が形成されている。凹部(33)の上部は、支持部(32)の一部であり、係合部である凸部(34)に係合している。このようにして、ガイド片(30)の凹部(33)は、凸部(34)上をスライドできるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】本発明による支持体の一部、及びガイド片の分解斜視図である。
【図1B】図1Aに示した支持体及びガイド片を組み立てた時の斜視図である。
【図2】本発明による支持体及びガイド片の変形例を示す分解斜視図である。
【図3】本発明による組み立てられたガイドの一部分解斜視図である。
【図4】本発明による塔の斜視図である。
【図5】本発明による支持体及びガイド片の他の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ガイド片
2 ガイド面
3 端壁
4 係合孔
5 ピン
6 フレーム部
7 ガイド片
8 ガイド面
9 端壁
10 係合孔
11 ピン
12 フレーム部
13 開口部
14 ピン
15 組立ガイド
16 ガイド片
17 ピン
18 フレーム部
19 ガイド面
20 面取り部
21 塔(装置)
22 コンベヤトラック
23 ハウジング
30 ガイド片
31 ねじ
32 支持片
33 凹部
34 凸部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
−プラスチック製のガイド片と、
−ガイド片を支持する支持体とを備える、移動可能な物体を支持するガイドにおいて、
ガイド片の少なくとも2つの離れた係合位置において、ガイド片を支持体により支持し、かつ少なくとも1つの係合位置に、支持体に対して移動できるようにして、支持体に支持されているガイド片の自由な側方を設けたことを特徴とするガイド。
【請求項2】
ガイド片の一側方を、支持体に固着したことを特徴とする、請求項1記載のガイド。
【請求項3】
ガイド片に3次元形状の被係合部を設け、支持体は、被係合部を自由に支持することを特徴とする、請求項1または2記載のガイド。
【請求項4】
支持体に、ガイド片を自由に支持しうる3次元形状の係合部を設けたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のガイド。
【請求項5】
支持体に支持されたガイド片の自由な側方に、支持体の係合部を近接して、かつ移動可能に係合させるようにした被係合部を形成したことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のガイド。
【請求項6】
支持体の係合部と係合部から離れて形成された被係合部との間に自由な空間を設け、被係合部において、係合部を軸線方向に移動可能としてあることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のガイド。
【請求項7】
ガイド片に、ガイド面と、係合部と係合する被係合部とを設け、係合部は、被係合部に対して、ガイド面と少なくともおおむね平行に移動しうるようになっている、請求項1〜6のいずれかに記載のガイド。
【請求項8】
支持体の係合部を、ガイド片の被係合部に密接して取り付けることにより、係合部と被係合部との間に、最大で3mmの、好ましくは1mm以下のスロット状の自由な空間を形成してあることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のガイド。
【請求項9】
ガイド片を、高分子ポリエチレンで形成してあることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のガイド。
【請求項10】
支持体を、金属で形成してあることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のガイド。
【請求項11】
支持体の係合部と、係合部と協動するようにして、ガイド片に形成された被係合部とは、おおむね円筒形状であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のガイド。
【請求項12】
ガイド片の両端に、係合部を設けたことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のガイド。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載のガイド片を、互いに隙間をもって複数連結してなる組立ガイド。
【請求項14】
大気圧下の常温において、ガイド片間の隙間は、5mm〜35mmであることを特徴とする、請求項13記載の組立ガイド。
【請求項15】
複数のガイド片を、単一の支持体により係合したことを特徴とする、請求項13または14記載の組立ガイド。
【請求項16】
複数のガイド片により、螺旋状のコンベヤトラックを形成してなることを特徴とする、請求項13〜15のいずれかに記載の組立ガイド。
【請求項17】
コンベヤトラックに沿って移動可能な製品を調整する装置であって、
−請求項13〜16のいずれかに記載の組立ガイドと、
−組立ガイドに沿って調整するために、製品を移動させる移動手段と、
−組立ガイド及び移動手段を少なくとも部分的に覆うハウジングと、
−ハウジング内の温度を調節する調節手段とを備えてなる装置。
【請求項18】
調節手段は、温度調節手段を備えていることを特徴とする、請求項17記載の装置。
【請求項19】
組立ガイドは、垂直方向を向き、ハウジングの周りに設けられた螺旋状のコンベヤトラックを備えていることを特徴とする、請求項17または18記載の装置。
【請求項20】
螺旋状のコンベヤトラックに回転可能なコアを設けてあることを特徴とする、請求項19記載の装置。
【請求項21】
移動手段は、従動型のエンドレスコンベヤトラックであることを特徴とする、請求項17〜20のいずれかに記載の装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−521214(P2007−521214A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516973(P2006−516973)
【出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000126
【国際公開番号】WO2004/113203
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(504158227)ストーク タウンゼント ベスローテン フェンノートシャップ (14)
【氏名又は名称原語表記】STORK TOWNSEND B.V.