ガイド装置
【課題】容易に組み立てることができるガイド装置を提供する。
【解決手段】ガイド装置10は、搬送装置1に取り付けるベース体11と、物品Wをガイドするガイド体21とを備える。ガイド装置10は、ガイド体21を保持するガイド保持体26と、ガイド保持体26をベース体11に対して固定するための固定ねじとを備える。ガイド保持体26は、固定部31と、この固定部31に設けた対をなす挟持部32とを有する。固定ねじの締付方向への回転操作に基づいてガイド保持体26に回転力が作用し、対をなす挟持部32がガイド体21を固定的に挟持する。
【解決手段】ガイド装置10は、搬送装置1に取り付けるベース体11と、物品Wをガイドするガイド体21とを備える。ガイド装置10は、ガイド体21を保持するガイド保持体26と、ガイド保持体26をベース体11に対して固定するための固定ねじとを備える。ガイド保持体26は、固定部31と、この固定部31に設けた対をなす挟持部32とを有する。固定ねじの締付方向への回転操作に基づいてガイド保持体26に回転力が作用し、対をなす挟持部32がガイド体21を固定的に挟持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易に組み立てることができるガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されたガイド装置が知られている。
【0003】
この従来のガイド装置は、物品を搬送する搬送装置に取り付けられるベース体と、搬送装置にて搬送される物品をガイドする断面円形状の軸状のガイド体と、このガイド体を保持するガイド保持体と、このガイド保持体をベース体に対して固定するための固定ねじとを備えている。
【0004】
また、ガイド保持体は、互いに別体の上下1対の挟持部材と、上側の挟持部材に取り付けられ固定ねじの頭部を覆う蓋部材とを有している。そして、各挟持部材には、ガイド体の外周面の一部に面状圧接する挟持円弧面が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−206125号公報(図6、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のガイド装置では、ガイド保持体が分割構造であって上下1対の挟持部材および蓋部材を有する構成であるため、組立作業に手間取るおそれがある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、容易に組み立てることができるガイド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のガイド装置は、物品を搬送する搬送装置に取り付けられるベース体と、前記搬送装置にて搬送される物品をガイドするガイド体と、このガイド体を保持するガイド保持体と、このガイド保持体を前記ベース体に対して固定するための固定手段とを備え、前記ガイド保持体は、前記固定手段の回転操作によって前記ベース体に対して固定される固定部と、この固定部に設けられた対をなす挟持部とを有し、前記固定部を前記ベース体に対して固定する際に、前記固定手段の締付方向への回転操作に基づいて前記ガイド保持体に回転力が作用することによって、前記ガイド体が前記対をなす挟持部にて固定的に挟持されるものである。
【0009】
請求項2記載のガイド装置は、請求項1記載のガイド装置において、対をなす挟持部のいずれか一方は、固定部の一方側に設けられた一方側挟持板部にて構成され、前記対をなす挟持部のいずれか他方は、前記固定部の他方側に設けられた他方側挟持板部にて構成され、前記一方側挟持板部は、断面円形状の軸状のガイド体の外周面上側に接触する上側接触凸部分を有し、前記他方側挟持板部は、前記ガイド体の外周面下側に接触し前記上側接触凸部分との間で前記ガイド体を固定的に挟持する下側接触凸部分を有するものである。
【0010】
請求項3記載のガイド装置は、請求項2記載のガイド装置において、一方側挟持板部は、斜め下方に向かって開口する斜め下向き切欠部を有し、他方側挟持板部は、斜め上方に向かって開口する斜め上向き切欠部を有し、前記一方側挟持板部のうち前記斜め下向き切欠部に臨んだ長手状の面および前記他方側挟持板部のうち前記斜め上向き切欠部に臨んだ長手状の面は、いずれもガイド体の中心軸線を中心とする円弧面ではなく、長手方向両端側のみで前記ガイド体の外周面と接触可能な円弧面状に形成されているものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、ガイド保持体の固定部をベース体に対して固定する際に固定手段の締付方向への回転操作に基づいてガイド保持体に回転力が作用することによってガイド体が対をなす挟持部にて固定的に挟持されるため、容易に組み立てることができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、一方側挟持板部と他方側挟持板部とによってガイド体を上下から適切に挟持できる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、斜め下向き切欠部を有する一方側挟持板部と斜め上向き切欠部を有する他方側挟持板部とによって、ガイド体を上下からより一層適切に挟持できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係るガイド装置を取り付けた搬送装置の側面視断面図である。
【図2】同上搬送装置の部分正面図である。
【図3】同上ガイド装置の斜視図である。
【図4】同上ガイド装置の斜視図である。
【図5】同上ガイド装置の分解斜視図である。
【図6】ガイド保持体の正面図である。
【図7】同上ガイド保持体の一方側の端面図である。
【図8】同上ガイド保持体の他方側の端面図である。
【図9】ガイド保持体をガイド体に仮装着した状態を示す図である。
【図10】ガイド保持体に作用する回転力を示す図である。
【図11】ガイド保持体にてガイド体が固定的に挟持された状態を示す図である。
【図12】本発明の他の実施の形態に係るガイド装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1および図2において、1は搬送装置で、この搬送装置1は、例えば物品Wを搬送方向に搬送するローラコンベヤ2にて構成されている。
【0017】
ローラコンベヤ2は、搬送方向に沿った方向である前後方向に長手状に形成され互いに離間対向する左右1対のフレームであるコンベヤフレーム3と、これら両コンベヤフレーム3間に回転可能に配設され回転しながら物品Wを搬送方向に搬送する複数の搬送ローラ4と、これら複数の搬送ローラ4を回転させる駆動手段(図示せず)とを備えている。
【0018】
各コンベヤフレーム3は、複数本の支持脚5にて支持されている。また、各コンベヤフレーム3は、外側方に向かって開口する断面略コ字状のもので、鉛直板部6と、この鉛直板部6の上端部から外側方に向かって一体に突出する上側水平板部7と、鉛直板部6の下端部から外側方に向かって一体に突出する下側水平板部8とを有している。
【0019】
また、ローラコンベヤ2の各コンベヤフレーム3には、搬送ローラ4による搬送途中において物品Wの落下防止や姿勢矯正等を行うためのガイド装置10がそれぞれ取り付けられている。
【0020】
なお、正面視左側のコンベヤフレーム3に取り付けられた左側のガイド装置10と正面視右側のコンベヤフレーム3に取り付けられた右側のガイド装置10とは、左右対称の構成であるため、以下、左側のガイド装置10を中心に説明する。
【0021】
ガイド装置10は、搬送装置1であるローラコンベヤ2のコンベヤフレーム3における長手方向に離間した複数箇所、すなわち例えばコンベヤフレーム3の長手方向両端部の2箇所に、固定手段12によってそれぞれ取り付けられたベース体11を備えている。なお、固定手段12は、例えばボルト13、ナット14および座金15である。
【0022】
ベース体11は、図3ないし図5に示されるように、断面略L字状のもので、固定手段12にてコンベヤフレーム3の上側水平板部7の上面に固定される水平板部16と、この水平板部16の外側端部、つまり搬送ローラ4側とは反対側の端部から鉛直板部17とを有している。水平板部16の略中央部には、ボルト13の軸部13aが挿通されるやや長孔状の挿通用孔部18が板厚方向に貫通して形成されている。鉛直板部17の上部には、略円形状の挿通用孔部19が板厚方向に貫通して形成されている。
【0023】
また、ガイド装置10は、ローラコンベヤ2の搬送ローラ4にて搬送される物品Wを、この物品Wが例えば外側方に向かって移動して落下しないようにガイドする搬送方向長手状で断面円形状の軸状のガイドパイプ等のガイド体21を備えている。
【0024】
この丸軸状のガイド体21は、例えば外周面が円筒面である細長円筒形状に形成され、このガイド体21の軸方向両端面の開口はキャップ22にて閉鎖されている。ガイド体21は、このガイド体21の軸方向が搬送方向と一致するように、ローラコンベヤ2の左右両側でローラコンベヤ2の前後方向に沿って水平状に配設されている。
【0025】
さらに、ガイド装置10は、ガイド体21の軸方向に離間した複数箇所(例えば2箇所)にそれぞれ装着されガイド体21を水平状に固定的に保持するガイド保持体26と、このガイド保持体26をベース体11の鉛直板部17に対して固定するための六角ボルト等の固定手段としての雄ねじである固定ねじ(ボルト)27とを備えている。なお、固定ねじ27は、六角柱状の頭部27aと、外周面にねじ溝が形成された軸部27bとを有している。
【0026】
ガイド保持体26は、図5ないし図8にも示されるように、固定ねじ27の締付方向への回転操作によってベース体11の鉛直板部17の上部内面に対して固定される上下方向にやや細長い矩形板状の固定部31と、この固定部31に一体に設けられガイド体21の外周面を上下から固定的に挟持する対をなす板状の挟持部32とを有している。つまり、ガイド保持体26は、固定部31と、互いに離間対向する1対の挟持部32とからなるものである。
【0027】
固定部31の略中央部には、ベース体11の鉛直板部17の挿通用孔部19に挿通された固定ねじ27の軸部27bがねじ込まれるねじ孔部33が板厚方向に貫通して形成されている。
【0028】
対をなす挟持部32のいずれか一方は、固定部31の一方側、すなわち例えば幅方向一端部(図6上、左端部)に折り曲げにより一体に設けられた一方側挟持板部36のみにて構成されている。また、対をなす挟持部32のいずれか他方は、固定部31の他方側、すなわち例えば幅方向他端部(図6上、右端部)に折り曲げにより一体に設けられた他方側挟持板部37のみにて構成されている。
【0029】
そして、一方側挟持板部36は、ガイド体21の外周面上側にこの外周面上側の半分以上を覆うように接触する凸状の挟持突起である上側接触凸部分(長い受け部)41と、この上側接触凸部分41の下方にこの上側接触凸部分41と離間対向して位置しガイド体21の外周面下側にこの外周面下側の半分未満を覆うように接触する凸状の下側接触凸部分(短い受け部)42とを有している。
【0030】
つまり、図7に示すように、固定部31の幅方向一端部にこの固定部31に対して直角状に設けられた矩形状の板部分43の先端面上半部から先細形状の上側接触凸部分41がガイド体21側に向かって一体に突出し、また、その板部分43の先端面下半部から下側接触凸部分42がガイド体21側に向かって一体に突出している。
【0031】
なお、上側接触凸部分41の板部分43からの突出量は下側接触凸部分42の板部分43からの突出量よりも大きく、上側接触凸部分41が下側接触凸部分42よりも長くなっている。上側接触凸部分41の先端面41aは、先端に行くに従って徐々に下方に向かう湾曲面状に形成されている。下側接触凸部分42の先端面42aは、先端に行くに従って徐々に上方に向かう湾曲面状に形成されている。
【0032】
また、他方側挟持板部37は、一方側挟持板部36を上下反対にしたもので、ガイド体21の外周面下側にこの外周面下側の半分以上を覆うように接触する凸状の挟持突起である下側接触凸部分(長い受け部)46と、この下側接触凸部分46の上方にこの下側接触凸部分46と離間対向して位置しガイド体21の外周面上側にこの外周面上側の半分未満を覆うように接触する凸状の上側接触凸部分(短い受け部)47とを有している。
【0033】
つまり、図8に示すように、固定部31の幅方向他端部にこの固定部31に対して直角状に設けられた矩形状の板部分48の先端面下半部から先細形状の下側接触凸部分46がガイド体21側に向かって一体に突出し、また、その板部分48の先端面上半部から上側接触凸部分47がガイド体21側に向かって一体に突出している。
【0034】
なお、下側接触凸部分46の板部分48からの突出量は上側接触凸部分47の板部分48からの突出量よりも大きく、下側接触凸部分46が上側接触凸部分47よりも長くなっている。下側接触凸部分46の先端面46aは、先端に行くに従って徐々に上方に向かう湾曲面状に形成されている。上側接触凸部分47の先端面47aは、先端に行くに従って徐々に下方に向かう湾曲面状に形成されている。
【0035】
また、図7および図8に示されるように、一方の挟持部32である一方側挟持板部36は斜め下方に向かって開口する半円状の斜め下向き切欠部51を有し、他方の挟持部32である他方側挟持板部37は斜め上方に向かって開口する半円状の斜め上向き切欠部52を有している。
【0036】
そして、一方側挟持板部36のうち斜め下向き切欠部51に臨んだ長手状の面53および他方側挟持板部37のうち斜め上向き切欠部52に臨んだ長手状の面54は、いずれもガイド体21の中心軸線Xを中心とする円弧面ではなく、長手方向両端側のみでガイド体21の外周面のうち中心軸線Xを中心とした対称位置に位置する部分と局部的に接触可能な円弧面状(略円弧面)に形成されている。
【0037】
つまり、ガイド保持体26のうち、ガイド体21の外周面と対向する略90度の円弧面状の対向面である面53,54は、ガイド体21の外周面に対応した円弧面ではない。つまり、面53,54と中心軸線Xとの離間距離が、長手方向中央側から長手方向両端側に向かってそれぞれ徐々に減少するようになっている。このため、ガイド保持体26をガイド体21の外周面に仮装着した場合には、面53,54の長手方向両端側のみがガイド体21の外周面に接触し、面53,54の長手方向中央側とガイド体21の外周面との間には若干の隙間55,56が形成される。
【0038】
次に、上記ガイド装置10の作用等を説明する。
【0039】
ガイド装置10の組立作業について説明すると、組立作業者は、固定手段12を用いて、各ベース体11をローラコンベヤ2のコンベヤフレーム3に固定的に取り付ける。
【0040】
また、組立作業者は、各ガイド保持体26をガイド体21の外周面に仮装着する。つまり、図5に示すように、ガイド保持体26をねじ孔部33の中心および固定ねじ27の軸芯を通る軸線(ガイド体21の中心軸線Xに対して直交する線)Yを中心にガイド体21に対して少し回転させながら、ガイド体21の一部をガイド保持体26の切欠部51,52に入り込ませる。
【0041】
すると、図9に示すように、ガイド体21が楔のように切欠部51,52に入り込み、ガイド保持体26は、その円弧面状の面53,54の全体がガイド体21の外周面に接触するのではなく、その面53,54の一部がガイド体21の外周面のうち90度(略90度を含む)間隔の4箇所の部分に局部的に接触した状態となって、ガイド体21の外周面に対して仮装着される。
【0042】
つまり、一方側挟持板部36が有する上側接触凸部分41と下側接触凸部分42とにて、ガイド体21の外周面が水平方向に対して傾斜した一の傾斜方向から挟持されると同時に、他方側挟持板部37が有する上側接触凸部分47と下側接触凸部分46とにて、ガイド体21の外周面が水平方向に対して傾斜し一の傾斜方向と直交する他の傾斜方向(一方側挟持板部36の挟持方向と直交する方向)から挟持される。
【0043】
この仮装着状態時においては、一方側挟持板部36の面53とガイド体21の外周面との間には隙間55が存在し、他方側挟持板部37の面54とガイド体21の外周面との間には隙間56が存在している(図7、図8参照)。
【0044】
そして、このように、ガイド保持体26は、ガイド体21の外周面に4点で支持された状態で仮装着されるため、ガイド体21に対してその中心軸線Xを中心として不用意に回転してしまうことがない。すなわち例えば、ガイド保持体26の仮装着状態時において、組立作業者がガイド保持体26から手を離しても、ガイド保持体26がその自重でガイド体21に対して中心軸線Xを中心に下方へ回転するようなことがない。
【0045】
次いで、組立作業者は、ガイド体21の外周面を把持した状態で、ガイド保持体26をベース体11に接近させることにより、ガイド保持体26の固定部31をベース体11の鉛直板部17に当接させ、固定部31のねじ孔部33と鉛直板部17の挿通用孔部19とを互いに一致させて連通させる。
【0046】
そして、組立作業者は、固定ねじ27および座金28のみで、ガイド保持体26の固定部31をベース体11の被固定部である鉛直板部17に対して固定する。
【0047】
つまり、座金28を固定ねじ27の軸部27bに嵌めてから、その固定ねじ27の軸部27bを鉛直板部17の挿通用孔部19に挿入して固定部31のねじ孔部33にねじ込む。つまり、固定ねじ27を締付方向に回転操作してねじ孔部33に締付螺合する。
【0048】
この際、組立作業者が例えば六角レンチ等の工具を使用して、固定ねじ27をその軸芯を通る軸線Yを中心として締付方向(ねじ締付方向)へ回転操作すると、固定部31がベース体11の鉛直板部17に固定されるとともに、図10に示すように、その固定ねじ27の回転操作に基づいて、ガイド保持体26にこのガイド保持体26全体を軸線Yを中心として回転させようとする方向(図10では、反時計回り)の回転力が作用する。
【0049】
すると、上側接触凸部分41が下方側へ移動しようとしかつ下側接触凸部分46が上方側へ移動しようとするため、図11に示すように、ガイド体21の外周面が、ガイド保持体26の一方側挟持板部36の上側接触凸部分41とガイド保持体26の他方側挟持板部37の下側接触凸部分46との間で、所望の挟持力をもって上下方向から固定的に挟持される。
【0050】
その結果、ガイド保持体26に対するガイド体21の中心軸線Xに沿った移動およびガイド保持体26に対するガイド体21の中心軸線Xを中心とする回転が規制された状態となる。
【0051】
そして、この図11に示す締付完了状態では、ガイド体21およびガイド保持体26の少なくともいずれか一方が若干変形することにより、ガイド体21の外周面とガイド保持体26の面53,54との間の隙間55,56がなくなり、ガイド保持体26の面53,54の全体がガイド体21の外周面に面状接触した状態となっている。
【0052】
こうして、ガイド装置10の組立作業が完了し、左右1対のガイド体21がローラコンベヤ2の左右両側に配設され、これら両ガイド体21によって物品Wの落下等が防止される。
【0053】
そして、このようなガイド装置10によれば、ガイド保持体26の固定部31をベース体11に対して固定する際に固定ねじ27の締付方向への回転操作に基づいてガイド保持体26に所望の回転力が作用することによってガイド体21が対をなす挟持部32,32にて固定的に挟持されるため、従来のようなガイド保持体(ガイドクリップ)が分割構造である構成等に比べて、構成が簡単で、部品点数が少なく、安価であるばかりでなく、短時間で容易に組み立てることができ、またメンテナンスや清掃等も容易である。
【0054】
また、斜め下向き切欠部51を有する一方側挟持板部36と斜め上向き切欠部52を有する他方側挟持板部37とによって、ガイド体21を上下からより一層適切に挟持できる。
【0055】
さらに、ガイド保持体26をガイド体21に仮装着した状態時において、ガイド保持体26がガイド体21に対して中心軸線Xを中心として不用意に回転してしまうことがないため、より一層容易に組み立てることができる。
【0056】
また、従来の構成では、例えば固定ねじを締め付けるときの回転力でガイド保持体(ガイドクリップ)やベース体(アーム)が回転する不具合が発生するおそれがあるが、本実施の形態のガイド装置10の構成では、そのような不具合は発生せず、組立性がきわめて良好である。
【0057】
また、例えば固定ねじ27と固定手段12のボルト13とが同一のねじ部材である場合には、同じ工具を使用して、ベース体11のコンベヤフレーム3に対する固定作業およびガイド保持体26のベース体11に対する固定作業を行うことができる。
【0058】
なお、ガイド保持体26をベース体11に固定するのに、固定ねじ27をねじ孔部33に締付螺合するのではなく、例えば固定部31に挿通用孔部を形成し、その挿通用孔部に挿通した固定ねじ27を締付方向に回転操作して雌ねじであるナットに締付螺合するようにしてもよい。
【0059】
また、ガイド保持体26の仮装着状態(変形前の状態)では隙間55,56があるが、ねじ締付完了状態では、ガイド体21およびガイド保持体26の少なくともいずれか一方が若干変形することにより、隙間55,56がなくなり、ガイド保持体26の面53,54の全体がガイド体21の外周面に面状接触した状態となる構成には限定されず、例えばガイド体21やガイド保持体26の強度等によっては、ガイド体21やガイド保持体26がほとんど変形せず、隙間55,56が残る構成等でもよい。
【0060】
さらに、例えばガイド保持体26の面53,54がガイド体21の中心軸線Xを中心とする円弧面であり、面53,54の全体がガイド体21の外周面に面状接触するようにしてもよい。
【0061】
また、例えばガイド装置10をローラコンベヤ2の左右いずれか一方側のみに配設するようにしてもよい。
【0062】
さらに、ガイド装置10は、例えば図12に示すように、ガイド保持体26の固定部31をベース体11に対して固定する際に、固定手段としての雌ねじである固定ねじ(ナット)61の締付方向への回転操作に基づいてガイド保持体26に回転力が作用することによって、ガイド体21が対をなす挟持部32にて固定的に挟持される構成でもよい。つまり、この構成では、雄ねじであるボルト62がガイド保持体26の固定部31のねじ孔部33に螺合されるとともにベース体11の鉛直板部17の挿通用孔部19に挿通され、このボルト62に対して固定ねじ61が締付螺合されている。図示しないが、座金を用いるのが好ましい。
【0063】
なお、例えばボルト62を固定部31に溶接等により予め固着しておき、このボルト62に固定ねじ61を締付方向に回転操作して締付螺合するようにしてもよく、また例えば雄ねじ部を固定部31に一体的に設け、この雄ねじ部に固定ねじ61を締付方向に回転操作して締付螺合するようにしてもよい。
【0064】
また、ガイド保持体26をベース体11に対して固定するための固定手段は、ねじ以外のものでもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 搬送装置
10 ガイド装置
11 ベース体
21 ガイド体
26 ガイド保持体
27,61 固定手段である固定ねじ
31 固定部
32 挟持部
36 一方側挟持板部
37 他方側挟持板部
41 上側接触凸部分
46 下側接触凸部分
51 斜め下向き切欠部
52 斜め上向き切欠部
W 物品
X 中心軸線
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易に組み立てることができるガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されたガイド装置が知られている。
【0003】
この従来のガイド装置は、物品を搬送する搬送装置に取り付けられるベース体と、搬送装置にて搬送される物品をガイドする断面円形状の軸状のガイド体と、このガイド体を保持するガイド保持体と、このガイド保持体をベース体に対して固定するための固定ねじとを備えている。
【0004】
また、ガイド保持体は、互いに別体の上下1対の挟持部材と、上側の挟持部材に取り付けられ固定ねじの頭部を覆う蓋部材とを有している。そして、各挟持部材には、ガイド体の外周面の一部に面状圧接する挟持円弧面が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−206125号公報(図6、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のガイド装置では、ガイド保持体が分割構造であって上下1対の挟持部材および蓋部材を有する構成であるため、組立作業に手間取るおそれがある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、容易に組み立てることができるガイド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のガイド装置は、物品を搬送する搬送装置に取り付けられるベース体と、前記搬送装置にて搬送される物品をガイドするガイド体と、このガイド体を保持するガイド保持体と、このガイド保持体を前記ベース体に対して固定するための固定手段とを備え、前記ガイド保持体は、前記固定手段の回転操作によって前記ベース体に対して固定される固定部と、この固定部に設けられた対をなす挟持部とを有し、前記固定部を前記ベース体に対して固定する際に、前記固定手段の締付方向への回転操作に基づいて前記ガイド保持体に回転力が作用することによって、前記ガイド体が前記対をなす挟持部にて固定的に挟持されるものである。
【0009】
請求項2記載のガイド装置は、請求項1記載のガイド装置において、対をなす挟持部のいずれか一方は、固定部の一方側に設けられた一方側挟持板部にて構成され、前記対をなす挟持部のいずれか他方は、前記固定部の他方側に設けられた他方側挟持板部にて構成され、前記一方側挟持板部は、断面円形状の軸状のガイド体の外周面上側に接触する上側接触凸部分を有し、前記他方側挟持板部は、前記ガイド体の外周面下側に接触し前記上側接触凸部分との間で前記ガイド体を固定的に挟持する下側接触凸部分を有するものである。
【0010】
請求項3記載のガイド装置は、請求項2記載のガイド装置において、一方側挟持板部は、斜め下方に向かって開口する斜め下向き切欠部を有し、他方側挟持板部は、斜め上方に向かって開口する斜め上向き切欠部を有し、前記一方側挟持板部のうち前記斜め下向き切欠部に臨んだ長手状の面および前記他方側挟持板部のうち前記斜め上向き切欠部に臨んだ長手状の面は、いずれもガイド体の中心軸線を中心とする円弧面ではなく、長手方向両端側のみで前記ガイド体の外周面と接触可能な円弧面状に形成されているものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、ガイド保持体の固定部をベース体に対して固定する際に固定手段の締付方向への回転操作に基づいてガイド保持体に回転力が作用することによってガイド体が対をなす挟持部にて固定的に挟持されるため、容易に組み立てることができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、一方側挟持板部と他方側挟持板部とによってガイド体を上下から適切に挟持できる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、斜め下向き切欠部を有する一方側挟持板部と斜め上向き切欠部を有する他方側挟持板部とによって、ガイド体を上下からより一層適切に挟持できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係るガイド装置を取り付けた搬送装置の側面視断面図である。
【図2】同上搬送装置の部分正面図である。
【図3】同上ガイド装置の斜視図である。
【図4】同上ガイド装置の斜視図である。
【図5】同上ガイド装置の分解斜視図である。
【図6】ガイド保持体の正面図である。
【図7】同上ガイド保持体の一方側の端面図である。
【図8】同上ガイド保持体の他方側の端面図である。
【図9】ガイド保持体をガイド体に仮装着した状態を示す図である。
【図10】ガイド保持体に作用する回転力を示す図である。
【図11】ガイド保持体にてガイド体が固定的に挟持された状態を示す図である。
【図12】本発明の他の実施の形態に係るガイド装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1および図2において、1は搬送装置で、この搬送装置1は、例えば物品Wを搬送方向に搬送するローラコンベヤ2にて構成されている。
【0017】
ローラコンベヤ2は、搬送方向に沿った方向である前後方向に長手状に形成され互いに離間対向する左右1対のフレームであるコンベヤフレーム3と、これら両コンベヤフレーム3間に回転可能に配設され回転しながら物品Wを搬送方向に搬送する複数の搬送ローラ4と、これら複数の搬送ローラ4を回転させる駆動手段(図示せず)とを備えている。
【0018】
各コンベヤフレーム3は、複数本の支持脚5にて支持されている。また、各コンベヤフレーム3は、外側方に向かって開口する断面略コ字状のもので、鉛直板部6と、この鉛直板部6の上端部から外側方に向かって一体に突出する上側水平板部7と、鉛直板部6の下端部から外側方に向かって一体に突出する下側水平板部8とを有している。
【0019】
また、ローラコンベヤ2の各コンベヤフレーム3には、搬送ローラ4による搬送途中において物品Wの落下防止や姿勢矯正等を行うためのガイド装置10がそれぞれ取り付けられている。
【0020】
なお、正面視左側のコンベヤフレーム3に取り付けられた左側のガイド装置10と正面視右側のコンベヤフレーム3に取り付けられた右側のガイド装置10とは、左右対称の構成であるため、以下、左側のガイド装置10を中心に説明する。
【0021】
ガイド装置10は、搬送装置1であるローラコンベヤ2のコンベヤフレーム3における長手方向に離間した複数箇所、すなわち例えばコンベヤフレーム3の長手方向両端部の2箇所に、固定手段12によってそれぞれ取り付けられたベース体11を備えている。なお、固定手段12は、例えばボルト13、ナット14および座金15である。
【0022】
ベース体11は、図3ないし図5に示されるように、断面略L字状のもので、固定手段12にてコンベヤフレーム3の上側水平板部7の上面に固定される水平板部16と、この水平板部16の外側端部、つまり搬送ローラ4側とは反対側の端部から鉛直板部17とを有している。水平板部16の略中央部には、ボルト13の軸部13aが挿通されるやや長孔状の挿通用孔部18が板厚方向に貫通して形成されている。鉛直板部17の上部には、略円形状の挿通用孔部19が板厚方向に貫通して形成されている。
【0023】
また、ガイド装置10は、ローラコンベヤ2の搬送ローラ4にて搬送される物品Wを、この物品Wが例えば外側方に向かって移動して落下しないようにガイドする搬送方向長手状で断面円形状の軸状のガイドパイプ等のガイド体21を備えている。
【0024】
この丸軸状のガイド体21は、例えば外周面が円筒面である細長円筒形状に形成され、このガイド体21の軸方向両端面の開口はキャップ22にて閉鎖されている。ガイド体21は、このガイド体21の軸方向が搬送方向と一致するように、ローラコンベヤ2の左右両側でローラコンベヤ2の前後方向に沿って水平状に配設されている。
【0025】
さらに、ガイド装置10は、ガイド体21の軸方向に離間した複数箇所(例えば2箇所)にそれぞれ装着されガイド体21を水平状に固定的に保持するガイド保持体26と、このガイド保持体26をベース体11の鉛直板部17に対して固定するための六角ボルト等の固定手段としての雄ねじである固定ねじ(ボルト)27とを備えている。なお、固定ねじ27は、六角柱状の頭部27aと、外周面にねじ溝が形成された軸部27bとを有している。
【0026】
ガイド保持体26は、図5ないし図8にも示されるように、固定ねじ27の締付方向への回転操作によってベース体11の鉛直板部17の上部内面に対して固定される上下方向にやや細長い矩形板状の固定部31と、この固定部31に一体に設けられガイド体21の外周面を上下から固定的に挟持する対をなす板状の挟持部32とを有している。つまり、ガイド保持体26は、固定部31と、互いに離間対向する1対の挟持部32とからなるものである。
【0027】
固定部31の略中央部には、ベース体11の鉛直板部17の挿通用孔部19に挿通された固定ねじ27の軸部27bがねじ込まれるねじ孔部33が板厚方向に貫通して形成されている。
【0028】
対をなす挟持部32のいずれか一方は、固定部31の一方側、すなわち例えば幅方向一端部(図6上、左端部)に折り曲げにより一体に設けられた一方側挟持板部36のみにて構成されている。また、対をなす挟持部32のいずれか他方は、固定部31の他方側、すなわち例えば幅方向他端部(図6上、右端部)に折り曲げにより一体に設けられた他方側挟持板部37のみにて構成されている。
【0029】
そして、一方側挟持板部36は、ガイド体21の外周面上側にこの外周面上側の半分以上を覆うように接触する凸状の挟持突起である上側接触凸部分(長い受け部)41と、この上側接触凸部分41の下方にこの上側接触凸部分41と離間対向して位置しガイド体21の外周面下側にこの外周面下側の半分未満を覆うように接触する凸状の下側接触凸部分(短い受け部)42とを有している。
【0030】
つまり、図7に示すように、固定部31の幅方向一端部にこの固定部31に対して直角状に設けられた矩形状の板部分43の先端面上半部から先細形状の上側接触凸部分41がガイド体21側に向かって一体に突出し、また、その板部分43の先端面下半部から下側接触凸部分42がガイド体21側に向かって一体に突出している。
【0031】
なお、上側接触凸部分41の板部分43からの突出量は下側接触凸部分42の板部分43からの突出量よりも大きく、上側接触凸部分41が下側接触凸部分42よりも長くなっている。上側接触凸部分41の先端面41aは、先端に行くに従って徐々に下方に向かう湾曲面状に形成されている。下側接触凸部分42の先端面42aは、先端に行くに従って徐々に上方に向かう湾曲面状に形成されている。
【0032】
また、他方側挟持板部37は、一方側挟持板部36を上下反対にしたもので、ガイド体21の外周面下側にこの外周面下側の半分以上を覆うように接触する凸状の挟持突起である下側接触凸部分(長い受け部)46と、この下側接触凸部分46の上方にこの下側接触凸部分46と離間対向して位置しガイド体21の外周面上側にこの外周面上側の半分未満を覆うように接触する凸状の上側接触凸部分(短い受け部)47とを有している。
【0033】
つまり、図8に示すように、固定部31の幅方向他端部にこの固定部31に対して直角状に設けられた矩形状の板部分48の先端面下半部から先細形状の下側接触凸部分46がガイド体21側に向かって一体に突出し、また、その板部分48の先端面上半部から上側接触凸部分47がガイド体21側に向かって一体に突出している。
【0034】
なお、下側接触凸部分46の板部分48からの突出量は上側接触凸部分47の板部分48からの突出量よりも大きく、下側接触凸部分46が上側接触凸部分47よりも長くなっている。下側接触凸部分46の先端面46aは、先端に行くに従って徐々に上方に向かう湾曲面状に形成されている。上側接触凸部分47の先端面47aは、先端に行くに従って徐々に下方に向かう湾曲面状に形成されている。
【0035】
また、図7および図8に示されるように、一方の挟持部32である一方側挟持板部36は斜め下方に向かって開口する半円状の斜め下向き切欠部51を有し、他方の挟持部32である他方側挟持板部37は斜め上方に向かって開口する半円状の斜め上向き切欠部52を有している。
【0036】
そして、一方側挟持板部36のうち斜め下向き切欠部51に臨んだ長手状の面53および他方側挟持板部37のうち斜め上向き切欠部52に臨んだ長手状の面54は、いずれもガイド体21の中心軸線Xを中心とする円弧面ではなく、長手方向両端側のみでガイド体21の外周面のうち中心軸線Xを中心とした対称位置に位置する部分と局部的に接触可能な円弧面状(略円弧面)に形成されている。
【0037】
つまり、ガイド保持体26のうち、ガイド体21の外周面と対向する略90度の円弧面状の対向面である面53,54は、ガイド体21の外周面に対応した円弧面ではない。つまり、面53,54と中心軸線Xとの離間距離が、長手方向中央側から長手方向両端側に向かってそれぞれ徐々に減少するようになっている。このため、ガイド保持体26をガイド体21の外周面に仮装着した場合には、面53,54の長手方向両端側のみがガイド体21の外周面に接触し、面53,54の長手方向中央側とガイド体21の外周面との間には若干の隙間55,56が形成される。
【0038】
次に、上記ガイド装置10の作用等を説明する。
【0039】
ガイド装置10の組立作業について説明すると、組立作業者は、固定手段12を用いて、各ベース体11をローラコンベヤ2のコンベヤフレーム3に固定的に取り付ける。
【0040】
また、組立作業者は、各ガイド保持体26をガイド体21の外周面に仮装着する。つまり、図5に示すように、ガイド保持体26をねじ孔部33の中心および固定ねじ27の軸芯を通る軸線(ガイド体21の中心軸線Xに対して直交する線)Yを中心にガイド体21に対して少し回転させながら、ガイド体21の一部をガイド保持体26の切欠部51,52に入り込ませる。
【0041】
すると、図9に示すように、ガイド体21が楔のように切欠部51,52に入り込み、ガイド保持体26は、その円弧面状の面53,54の全体がガイド体21の外周面に接触するのではなく、その面53,54の一部がガイド体21の外周面のうち90度(略90度を含む)間隔の4箇所の部分に局部的に接触した状態となって、ガイド体21の外周面に対して仮装着される。
【0042】
つまり、一方側挟持板部36が有する上側接触凸部分41と下側接触凸部分42とにて、ガイド体21の外周面が水平方向に対して傾斜した一の傾斜方向から挟持されると同時に、他方側挟持板部37が有する上側接触凸部分47と下側接触凸部分46とにて、ガイド体21の外周面が水平方向に対して傾斜し一の傾斜方向と直交する他の傾斜方向(一方側挟持板部36の挟持方向と直交する方向)から挟持される。
【0043】
この仮装着状態時においては、一方側挟持板部36の面53とガイド体21の外周面との間には隙間55が存在し、他方側挟持板部37の面54とガイド体21の外周面との間には隙間56が存在している(図7、図8参照)。
【0044】
そして、このように、ガイド保持体26は、ガイド体21の外周面に4点で支持された状態で仮装着されるため、ガイド体21に対してその中心軸線Xを中心として不用意に回転してしまうことがない。すなわち例えば、ガイド保持体26の仮装着状態時において、組立作業者がガイド保持体26から手を離しても、ガイド保持体26がその自重でガイド体21に対して中心軸線Xを中心に下方へ回転するようなことがない。
【0045】
次いで、組立作業者は、ガイド体21の外周面を把持した状態で、ガイド保持体26をベース体11に接近させることにより、ガイド保持体26の固定部31をベース体11の鉛直板部17に当接させ、固定部31のねじ孔部33と鉛直板部17の挿通用孔部19とを互いに一致させて連通させる。
【0046】
そして、組立作業者は、固定ねじ27および座金28のみで、ガイド保持体26の固定部31をベース体11の被固定部である鉛直板部17に対して固定する。
【0047】
つまり、座金28を固定ねじ27の軸部27bに嵌めてから、その固定ねじ27の軸部27bを鉛直板部17の挿通用孔部19に挿入して固定部31のねじ孔部33にねじ込む。つまり、固定ねじ27を締付方向に回転操作してねじ孔部33に締付螺合する。
【0048】
この際、組立作業者が例えば六角レンチ等の工具を使用して、固定ねじ27をその軸芯を通る軸線Yを中心として締付方向(ねじ締付方向)へ回転操作すると、固定部31がベース体11の鉛直板部17に固定されるとともに、図10に示すように、その固定ねじ27の回転操作に基づいて、ガイド保持体26にこのガイド保持体26全体を軸線Yを中心として回転させようとする方向(図10では、反時計回り)の回転力が作用する。
【0049】
すると、上側接触凸部分41が下方側へ移動しようとしかつ下側接触凸部分46が上方側へ移動しようとするため、図11に示すように、ガイド体21の外周面が、ガイド保持体26の一方側挟持板部36の上側接触凸部分41とガイド保持体26の他方側挟持板部37の下側接触凸部分46との間で、所望の挟持力をもって上下方向から固定的に挟持される。
【0050】
その結果、ガイド保持体26に対するガイド体21の中心軸線Xに沿った移動およびガイド保持体26に対するガイド体21の中心軸線Xを中心とする回転が規制された状態となる。
【0051】
そして、この図11に示す締付完了状態では、ガイド体21およびガイド保持体26の少なくともいずれか一方が若干変形することにより、ガイド体21の外周面とガイド保持体26の面53,54との間の隙間55,56がなくなり、ガイド保持体26の面53,54の全体がガイド体21の外周面に面状接触した状態となっている。
【0052】
こうして、ガイド装置10の組立作業が完了し、左右1対のガイド体21がローラコンベヤ2の左右両側に配設され、これら両ガイド体21によって物品Wの落下等が防止される。
【0053】
そして、このようなガイド装置10によれば、ガイド保持体26の固定部31をベース体11に対して固定する際に固定ねじ27の締付方向への回転操作に基づいてガイド保持体26に所望の回転力が作用することによってガイド体21が対をなす挟持部32,32にて固定的に挟持されるため、従来のようなガイド保持体(ガイドクリップ)が分割構造である構成等に比べて、構成が簡単で、部品点数が少なく、安価であるばかりでなく、短時間で容易に組み立てることができ、またメンテナンスや清掃等も容易である。
【0054】
また、斜め下向き切欠部51を有する一方側挟持板部36と斜め上向き切欠部52を有する他方側挟持板部37とによって、ガイド体21を上下からより一層適切に挟持できる。
【0055】
さらに、ガイド保持体26をガイド体21に仮装着した状態時において、ガイド保持体26がガイド体21に対して中心軸線Xを中心として不用意に回転してしまうことがないため、より一層容易に組み立てることができる。
【0056】
また、従来の構成では、例えば固定ねじを締め付けるときの回転力でガイド保持体(ガイドクリップ)やベース体(アーム)が回転する不具合が発生するおそれがあるが、本実施の形態のガイド装置10の構成では、そのような不具合は発生せず、組立性がきわめて良好である。
【0057】
また、例えば固定ねじ27と固定手段12のボルト13とが同一のねじ部材である場合には、同じ工具を使用して、ベース体11のコンベヤフレーム3に対する固定作業およびガイド保持体26のベース体11に対する固定作業を行うことができる。
【0058】
なお、ガイド保持体26をベース体11に固定するのに、固定ねじ27をねじ孔部33に締付螺合するのではなく、例えば固定部31に挿通用孔部を形成し、その挿通用孔部に挿通した固定ねじ27を締付方向に回転操作して雌ねじであるナットに締付螺合するようにしてもよい。
【0059】
また、ガイド保持体26の仮装着状態(変形前の状態)では隙間55,56があるが、ねじ締付完了状態では、ガイド体21およびガイド保持体26の少なくともいずれか一方が若干変形することにより、隙間55,56がなくなり、ガイド保持体26の面53,54の全体がガイド体21の外周面に面状接触した状態となる構成には限定されず、例えばガイド体21やガイド保持体26の強度等によっては、ガイド体21やガイド保持体26がほとんど変形せず、隙間55,56が残る構成等でもよい。
【0060】
さらに、例えばガイド保持体26の面53,54がガイド体21の中心軸線Xを中心とする円弧面であり、面53,54の全体がガイド体21の外周面に面状接触するようにしてもよい。
【0061】
また、例えばガイド装置10をローラコンベヤ2の左右いずれか一方側のみに配設するようにしてもよい。
【0062】
さらに、ガイド装置10は、例えば図12に示すように、ガイド保持体26の固定部31をベース体11に対して固定する際に、固定手段としての雌ねじである固定ねじ(ナット)61の締付方向への回転操作に基づいてガイド保持体26に回転力が作用することによって、ガイド体21が対をなす挟持部32にて固定的に挟持される構成でもよい。つまり、この構成では、雄ねじであるボルト62がガイド保持体26の固定部31のねじ孔部33に螺合されるとともにベース体11の鉛直板部17の挿通用孔部19に挿通され、このボルト62に対して固定ねじ61が締付螺合されている。図示しないが、座金を用いるのが好ましい。
【0063】
なお、例えばボルト62を固定部31に溶接等により予め固着しておき、このボルト62に固定ねじ61を締付方向に回転操作して締付螺合するようにしてもよく、また例えば雄ねじ部を固定部31に一体的に設け、この雄ねじ部に固定ねじ61を締付方向に回転操作して締付螺合するようにしてもよい。
【0064】
また、ガイド保持体26をベース体11に対して固定するための固定手段は、ねじ以外のものでもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 搬送装置
10 ガイド装置
11 ベース体
21 ガイド体
26 ガイド保持体
27,61 固定手段である固定ねじ
31 固定部
32 挟持部
36 一方側挟持板部
37 他方側挟持板部
41 上側接触凸部分
46 下側接触凸部分
51 斜め下向き切欠部
52 斜め上向き切欠部
W 物品
X 中心軸線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送装置に取り付けられるベース体と、
前記搬送装置にて搬送される物品をガイドするガイド体と、
このガイド体を保持するガイド保持体と、
このガイド保持体を前記ベース体に対して固定するための固定手段とを備え、
前記ガイド保持体は、
前記固定手段の回転操作によって前記ベース体に対して固定される固定部と、
この固定部に設けられた対をなす挟持部とを有し、
前記固定部を前記ベース体に対して固定する際に、前記固定手段の締付方向への回転操作に基づいて前記ガイド保持体に回転力が作用することによって、前記ガイド体が前記対をなす挟持部にて固定的に挟持される
ことを特徴とするガイド装置。
【請求項2】
対をなす挟持部のいずれか一方は、固定部の一方側に設けられた一方側挟持板部にて構成され、
前記対をなす挟持部のいずれか他方は、前記固定部の他方側に設けられた他方側挟持板部にて構成され、
前記一方側挟持板部は、断面円形状の軸状のガイド体の外周面上側に接触する上側接触凸部分を有し、
前記他方側挟持板部は、前記ガイド体の外周面下側に接触し前記上側接触凸部分との間で前記ガイド体を固定的に挟持する下側接触凸部分を有する
ことを特徴とする請求項1記載のガイド装置。
【請求項3】
一方側挟持板部は、斜め下方に向かって開口する斜め下向き切欠部を有し、
他方側挟持板部は、斜め上方に向かって開口する斜め上向き切欠部を有し、
前記一方側挟持板部のうち前記斜め下向き切欠部に臨んだ長手状の面および前記他方側挟持板部のうち前記斜め上向き切欠部に臨んだ長手状の面は、いずれもガイド体の中心軸線を中心とする円弧面ではなく、長手方向両端側のみで前記ガイド体の外周面と接触可能な円弧面状に形成されている
ことを特徴とする請求項2記載のガイド装置。
【請求項1】
物品を搬送する搬送装置に取り付けられるベース体と、
前記搬送装置にて搬送される物品をガイドするガイド体と、
このガイド体を保持するガイド保持体と、
このガイド保持体を前記ベース体に対して固定するための固定手段とを備え、
前記ガイド保持体は、
前記固定手段の回転操作によって前記ベース体に対して固定される固定部と、
この固定部に設けられた対をなす挟持部とを有し、
前記固定部を前記ベース体に対して固定する際に、前記固定手段の締付方向への回転操作に基づいて前記ガイド保持体に回転力が作用することによって、前記ガイド体が前記対をなす挟持部にて固定的に挟持される
ことを特徴とするガイド装置。
【請求項2】
対をなす挟持部のいずれか一方は、固定部の一方側に設けられた一方側挟持板部にて構成され、
前記対をなす挟持部のいずれか他方は、前記固定部の他方側に設けられた他方側挟持板部にて構成され、
前記一方側挟持板部は、断面円形状の軸状のガイド体の外周面上側に接触する上側接触凸部分を有し、
前記他方側挟持板部は、前記ガイド体の外周面下側に接触し前記上側接触凸部分との間で前記ガイド体を固定的に挟持する下側接触凸部分を有する
ことを特徴とする請求項1記載のガイド装置。
【請求項3】
一方側挟持板部は、斜め下方に向かって開口する斜め下向き切欠部を有し、
他方側挟持板部は、斜め上方に向かって開口する斜め上向き切欠部を有し、
前記一方側挟持板部のうち前記斜め下向き切欠部に臨んだ長手状の面および前記他方側挟持板部のうち前記斜め上向き切欠部に臨んだ長手状の面は、いずれもガイド体の中心軸線を中心とする円弧面ではなく、長手方向両端側のみで前記ガイド体の外周面と接触可能な円弧面状に形成されている
ことを特徴とする請求項2記載のガイド装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−1297(P2012−1297A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136100(P2010−136100)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】
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