説明

ガスケットホルダおよびこれを用いた流体制御装置

【課題】ガスケットを所定に位置に位置決めできるとともに、脱落なども防止できるガスケットホルダおよびこれを用いた流体制御装置を提供する。
【解決手段】第1流路を有する第1部材と、この第1部材に接合され第1流路に連通する第2流路を有する第2部材との接合面間において、第1流路と第2流路との間に配置されるガスケットを保持するガスケットホルダであって、第1部材と第2部材の接合面間において、ガスケット51の外周を保持するガスケット保持片部61と、このガスケット保持片部61の一端に設けられた連結片部65と、この連結片部65を介してガスケット保持片部61と対向して設けられ第2部材を挟持する挟持片部66とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに連通される流路間に介在されるガスケットを保持するガスケットホルダおよびこれを用いた流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造設備などにおいて、ガスなどの流体の供給を制御する装置として、複数の流体制御機器を一列に連結した集積化ガススティックや、この集積化ガススティックをベースプレート上に多数並設した集積化ガスパネルなどが知られている。
【0003】
例えば、取付板上に複数の流体制御機器を一列に配列するとともに、取付板と流体制御機器との間に、隣接する流体制御機器間に跨って流路ブロックを配置し、この流路ブロックを通じて隣接する流体制御機器に流体を流通させるようにした集積弁(集積化ガススティック)が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
このような流体制御機器と流路ブロックとの接合面間には、一般に、ガスケットホルダに保持されたガスケットが配置される。
従来、この種の接合面間に用いられるガスケットホルダは、図6に示すように、平板状で、中央にガスケット51を保持するガスケット保持孔71が形成され、このガスケット保持孔71を挟む両側に締付ボルトが挿通する挿通孔72が形成された構造である(例えば、非特許文献1参照)。挿通孔72の120°間隔位置には、挿通孔72内に突出し、締付ボルトのねじ溝に係合する3つの係合爪73が形成されている。
【0005】
図7に示すように、第1流路81Aを有する第1部材81と、この第1部材81に接合され第1流路81Aに連通する第2流路82Aを有する第2部材82との接合面間において、第1流路81Aと第2流路82Aとの間にガスケットホルダ70に保持されたガスケット51を配置する場合、第2部材82の接合面にガスケット51を保持したガスケットホルダ70を配置するとともに、第2部材82の両側の挿通孔82Bから締付ボルト50を挿通し、この締付ボルト50のねじ溝をガスケットホルダ70の係合爪73に螺合させる。すると、2本の締付ボルト50によってガスケットホルダ70が第2部材82の接合面に保持されるとともに、ガスケット51が第2流路82Aに位置決めされる。
【0006】
この状態において、第2部材82を第1部材81の真上に位置させたのち、締付ボルト50を第1部材81のねじ孔81Bに螺合していくと、第1部材81と第2部材82とが接合されるとともに、これらの接合面間にガスケットホルダ70が保持され、かつ、このガスケットホルダ70に保持されたガスケット51が第1流路81Aと第2流路82Aとの間に保持される。これにより、第1流路81Aと第2流路82Aとの間の隙間がシールされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−65462号公報
【0008】
【非特許文献1】マイクロフレックス テクノロジーズ社(Microflex Technologies) カタログ ’Low Flow Sealing Systems’[online][平成22年6月8日検索]<インターネットURL:http://www.microflexseals.com/products_catalog.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、従来の構造では、組み立て時に、2本の締付ボルト50でガスケットホルダ70を第2部材82の接合面に保持する際、締付ボルト50のねじ溝をガスケットホルダ70の係合爪73に螺合させて保持する構造であるため、ガスケットホルダ70が第2部材82の接合面に対して傾いて保持される場合がある。すると、ガスケット51も第1流路81Aおよび第2流路82Aの位置からずれて位置決めされる結果、リーク不良が発生しやすい。
【0010】
また、メンテナンス時において、2本の締付ボルト50を第1部材81から外して、第2部材82を第1部材81から取り外す際、締付ボルト50を第1部材81のねじ孔81Bから外れる方向に回転させる。締付ボルト50が第1部材81から外れたのち、更に回転させると、締付ボルト50はガスケットホルダ70の係合爪73からも外れてしまうため、ガスケットホルダ70が脱落するという問題がある。
とくに、この種の流体制御機器が集積化された流体制御装置の場合、流体制御機器の間には狭い隙間しかないため、ガスケットホルダ70が脱落してこの隙間に入ると、これを取り出すことが極めて難しい。
【0011】
本発明の目的は、このような従来の課題を解消し、ガスケットを所定に位置に位置決めできるとともに、脱落なども防止できるガスケットホルダおよびこれを用いた流体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のガスケットホルダは、第1流路を有する第1部材と、この第1部材に接合され前記第1流路に連通する第2流路を有する第2部材との接合面間において、前記第1流路と第2流路との間に配置されるガスケットを保持するガスケットホルダであって、前記第1部材と前記第2部材の接合面間において、前記ガスケットの外周を保持するガスケット保持片部と、このガスケット保持片部の一端に設けられた連結片部と、この連結片部を介して前記ガスケット保持片部と対向して設けられ前記第2部材を挟持する挟持片部とを備えた、ことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、ガスケットの外周を保持するガスケット保持片部と、このガスケット保持片部に連結片部を介してガスケット保持片部と対向して設けられた挟持片部とで、第2部材を挟持する構造であるため、ガスケットを第2部材に対して所定の位置、つまり、第2流路位置に正確に位置決めできる。従って、組立時に、互いに連通される第1流路と第2流路との間にガスケットを正確に位置させることができるから、ガスケットの位置がずれてリーク不良が発生する問題を解消できる。
また、メンテナンス時などにおいて、第1部材と第2部材とを分離しても、ガスケット保持片部と、このガスケット保持片部に連結片部を介してガスケット保持片部と対向して設けられた挟持片部とで、第2部材を挟持する構造であるため、ガスケットホルダおよびガスケットが第2部材から脱落するのを防止できる。
【0014】
本発明のガスケットホルダにおいて、前記ガスケット保持片部、前記連結片部および前記挟持片部は、弾性を有する1枚の板材をコ字形に折り曲げて形成されている、ことが好ましい。
この発明によれば、ガスケット保持片部、連結片部および挟持片部が、弾性を有する1枚の板材をコ字形に折り曲げて形成されているから、プレス折り曲げ加工により製造できる。従って、簡単かつ安価に構成できる。
【0015】
本発明のガスケットホルダにおいて、前記ガスケット保持片部の略中央には前記ガスケットを保持するガスケット保持孔が形成され、前記ガスケット保持片部および前記挟持片部には、前記ガスケット保持孔を中心とした両側に前記第1部材および第2部材を固定するための締付ボルトの挿通孔が形成され、前記ガスケット保持片部に形成された挿通孔および前記挟持片部に形成された挿通孔のうち、少なくとも一方の挿通孔の内周面には、前記締付ボルトのねじ溝内に突出し係合する3つの係合爪が形成されている、ことが好ましい。
【0016】
この発明によれば、ガスケット保持片部および挟持片部には、ガスケット保持孔を中心とした両側に締付ボルトの挿通孔が形成されているから、ガスケット保持片部および挟持片部をガスケット保持孔を中心とした両側で第1部材および第2部材に固定することができる。従って、ガスケット保持孔に保持されたガスケットも傾くことなく正しい姿勢に位置させることができる。
また、ガスケット保持片部に形成された挿通孔および挟持片部に形成された挿通孔のうち、少なくとも一方の挿通孔の内周面には、締付ボルトのねじ溝内に突出し係合する3つの係合爪が形成されているから、締付ボルトを基準にガスケット保持片部または挟持片部を位置決めできる。そのため、ガスケットも所定位置に正確に位置決めできる。
【0017】
本発明の流体制御装置は、流体を一列に配列された複数の流体制御機器を通して制御する流体制御装置において、前記流体制御機器の流体流路が形成された面と、この面に接合される部材の面との間に、上記いずれかのガスケットホルダに保持されたガスケットが配置される、ことを特徴とする。
この発明によれば、流体を一列に配列された複数の流体制御機器を通して制御する流体制御装置において、ガスケットを所定位置に位置決めできるとともに、脱落なども防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る流体制御装置の実施形態を示す一部切り欠き正面図。
【図2】同上実施形態の平面図。
【図3】同上実施形態において、マスフローコントローラと流路ブロックとの接合部分を示す断面図。
【図4】同上実施形態のガスケットホルダを示す斜視図。
【図5】図2のV-V線断面図。
【図6】従来のガスケットホルダを示す斜視図。
【図7】従来のガスケットホルダに保持されたガスケットを配置する際の図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施形態は、流体(ガス)を一列に配列された複数の流体制御機器を通して制御する集積化ガススティックに適用した例である。
<集積化ガススティックの説明>
集積化ガススティックは、図1および図2に示すように、ベースプレート1と、このベースプレート1の上に一列に配列された複数の流体制御機器、ここでは、マニュアルバルブ2、エアーバルブ3、マスフローコントローラ4、エアーバルブ5よびマニュアルバルブ6と、これら流体制御機器とベースプレート1との間に隣接する流体制御機器間に跨って配置された複数の流路ブロック11,12,13,14,15,16と、これら流路ブロック11〜16のうち始端側の流路ブロック11に連結され流体を流路ブロック11を介してマニュアルバルブ2に供給する配管17と、流路ブロック11〜16のうち終端側の流路ブロック16に連結されマニュアルバルブ6からの流体を半導体製造設備などに供給する配管18とを備える。
【0020】
マニュアルバルブ2,6は、マニュアルバルブ本体21と、このマニュアルバルブ本体21の下部に設けられた継手部22とを備える。マニュアルバルブ本体21は、手動操作によって弁21Aを後述する弁座24に対して昇降させる構造である。継手部22は、上面中央位置にマニュアルバルブ本体21の下端部を取り付けるための取付穴23および弁座24が形成されているとともに、内部に弁座24を介して互いに連通するとともに継手部22の下面に開口する流体流入用流路25Aおよび流体流出用流路25Bが形成されている。取付穴23の内周面には雌ねじが形成されている。
【0021】
エアーバルブ3,5は、エアーバルブ本体31と、このエアーバルブ本体31の下部に設けられた継手部32とを備える。エアーバルブ本体31は、エアーの供給・遮断を制御することによって弁31Aを後述する弁座34に対して昇降させる構造である。継手部32は、上面中央位置にエアーバルブ本体31の下端部を取り付けるための取付穴33および弁座34が形成されているとともに、内部に弁座34を介して互いに連通するとともに継手部32の下面に開口する流体流入用流路35Aおおよび流体流出用流路35Bが形成されている。
【0022】
マスフローコントローラ4は、マスフローコントローラ本体41と、このマスフローコントローラ本体41に設けられマスフローコントローラ本体41よりも配列前後方向へ突出する突出部42A,42Bを有する継手部42とを備える。マスフローコントローラ本体41は、詳細構造を図示していないが、流体の流量を検出する流量検出部と、この流量検出部で検出された流量と設定された流量とを比較し、検出流量が設定流量になるように流体の流量を制御する制御部とを備える。継手部42は、マスフローコントローラ本体41に連通するとともに、継手部42の突出部42A,42Bの下面に開口する第2流路としての流体流入用流路45Aおよび流体流出用流路45Bを備える。
【0023】
流路ブロック11には、配管17とマニュアルバルブ2の流体流入用流路25Aとを連通させる流路11AがL字状の形成されている。流路ブロック12には、マニュアルバルブ2の流体流出用流路25Bとエアーバルブ3の流体流入用流路35Aとを連通させる流路12AがV字状に形成されている。流路ブロック13には、エアーバルブ3の流体流出用流路35Bとマスフローコントローラ4の流体流入用流路45Aとを連通させる第1流路としての流路13AがV字状に形成されている。流路ブロック14には、マスフローコントローラ4の流体流出用流路45Bとエアーバルブ3の流体流入用流路35Aとを連通させる第1流路としての流路14AがV字状に形成されている。流路ブロック15には、エアーバルブ3の流体流出用流路35Bとマニュアルバルブ2の流体流入用流路25Aとを連通させる流路15AがV字状に形成されている。流路ブロック16には、マニュアルバルブ2の流体流出用流路25Bと配管18とを連通させる流路16AがL字状の形成されている。
【0024】
各流路ブロック11〜16と各流体制御機器(マニュアルバルブ2,エアーバルブ3,マスフローコントローラ4,エアーバルブ5,マニュアルバルブ6)とは、上下に重ね合わされた部分において、2本の締付ボルト50によってベースプレート1に固定さている。
また、各流路ブロック11〜16と各流体制御機器(マニュアルバルブ2,エアーバルブ3,マスフローコントローラ4,エアーバルブ5,マニュアルバルブ6)の接合面間において、互いに連通される流路の間には、ガスケット51が配置されている。ここで、マスフローコントローラ4と流路ブロック13,14との接合面間に配置されるガスケット51については、図3に示すように、ガスケットホルダ60に保持された状態で配置されている。
【0025】
ガスケットホルダ60は、図4に示すように、第1部材としての流路ブロック13,14と第2部材としてのマスフローコントローラ4との接合面間において、ガスケット51の外周を保持するガスケット保持片部61と、このガスケット保持片部61の一端に直角に設けられた連結片部65と、この連結片部65の先端に直角にかつガスケット保持片部61と対向して設けられた挟持片部66とを備えたL字形状に形成されている。具体的には、厚みがガスケット51の厚みよりも十分に薄く、かつ、幅寸法がマスフローコントローラ4の継手部42の幅寸法と略同じ寸法の長方形状で、弾性を有する1枚の板材をコ字形に折り曲げて、ガスケット保持片部61、連結片部65および挟持片部66が形成されている。
【0026】
ガスケット保持片部61は、その略中央にガスケット51を保持するガスケット保持孔62およびこのガスケット保持孔62の120°間隔位置にガスケット保持孔62内に突出する3つの保持爪63を有し、ガスケット保持孔62を中心とした両側に締付ボルト50の挿通孔64を備えている。なお、3つの保持爪63のうち2つの保持爪63の両側にはスリットが形成され、大きく弾性変形ができるようになっている。また、挿通孔64は、ガスケット保持片部61の両側辺に開口された形状に形成されている。
連結片部65は、高さ寸法がマスフローコントローラ4の継手部42の高さ寸法と略同じ寸法に形成されている。
挟持片部66は、両側、つまり、ガスケット保持片部61に形成された挿通孔64を中心とした両側に締付ボルト50の挿通孔67を備えている。挿通孔67の内周面120°間隔位置には、挿通孔67内に突出し締付ボルト50のねじ溝に係合する3つの円弧状の係合爪68が形成されている。
【0027】
<組立、分解方法の説明>
組み立てにあたっては、ベースプレート1の上に流路ブロック11〜16を配置し、これらの流路ブロック11〜16に跨るように流体制御機器、つまり、マニュアルバルブ2、エアーバルブ3、マスフローコントローラ4、エアーバルブ5、マニュアルバルブ6を一列に配列する。
このとき、各流路ブロック11〜16と各流体制御機器(マニュアルバルブ2、エアーバルブ3、マスフローコントローラ4、エアーバルブ5、マニュアルバルブ6)の接合面間において、互いに連通される流路の間には、ガスケット51を配置しておく。
【0028】
また、マスフローコントローラ4と流路ブロック13,14との接合面間に配置されるガスケット51については、初めに、図4に示すように、ガスケットホルダ60のガスケット保持孔62にガスケット51を配置するとともに、3つの保持爪63でガスケット51の外周溝51Aを保持しておく。
この状態のガスケットホルダ60をマスフローコントローラ4の継手部42の突出部42A,42Bに挟持させる。つまり、ガスケットホルダ60のガスケット保持片部61と挟持片部66とで、突出部42A,42Bの上下面を挟持させる。この後、マスフローコントローラ4を流路ブロック13,14の上に重ね合わせる。
【0029】
このようにして、各流路ブロック11〜16に跨って各流体制御機器(マニュアルバルブ2、エアーバルブ3、マスフローコントローラ4、エアーバルブ5、マニュアルバルブ6)を配置したのち、各2本の締付ボルト50を各流体制御機器および流路ブロック11〜16を通してベースプレート1に螺合すると、各流路ブロック11〜16の上面と各流体制御機器(マニュアルバルブ2、エアーバルブ3、マスフローコントローラ4、エアーバルブ5、マニュアルバルブ6)の下面との接合面において、互いに連通される流路の間に挿入されたガスケット51が圧縮されるため、流路間を確実にシールすることができる。
【0030】
このとき、ガスケットホルダ60は、図5に示すように、ガスケット51の厚みよりも十分薄い板材によって構成されているから、マスフローコントローラ4と流路ブロック13,14との間に介在されたガスケット51についても、確実に圧縮することができる。つまり、流路13A,45A間および流路45B,14A間を確実にシールすることができる。
【0031】
一方、メンテナンスなどにあたって、マスフローコントローラ4を取り外す場合、締付ボルト50を緩めてベースプレート1から外すと、流路ブロック13,14に対してマスフローコントローラ4を分離することができる。
このとき、ガスケットホルダ60は、マスフローコントローラ4の継手部42の突出部42A,42Bを挟持しているから、ガスケットホルダ60がマスフローコントローラ4の継手部42から外れることがない。従って、ガスケットホルダ60に保持されたガスケット51が脱落するのを防止できる。
【0032】
<実施形態の効果>
(1)本実施形態のガスケットホルダ60によれば、ガスケット51の外周を保持するガスケット保持片部61と、このガスケット保持片部61に連結片部65を介してガスケット保持片部61と対向して設けられた挟持片部66とで、マスフローコントローラ4の継手部42の突出部42A,42Bを挟持する構造であるため、ガスケット51をマスフローコントローラ4の継手部42に対して所定の位置、つまり、流路45A,45Bの位置に正確に位置決めできる。従って、組立時に、互いに連通される流路13A,45Aおよび流路45B,14Aの間にガスケット51を正確に位置させることができるから、ガスケット51の位置がずれてリーク不良が発生する問題を解消できる。
【0033】
(2)また、メンテナンス時などにおいて、流路ブロック13,14に対してマスフローコントローラ4を分離しても、ガスケット保持片部61と、このガスケット保持片部61に連結片部65を介して連結された挟持片部66とで、マスフローコントローラ4の継手部42の突出部42A,42Bを挟持する構造であるため、ガスケットホルダ60およびガスケット51がマスフローコントローラ4から脱落するのを防止できる。
【0034】
(3)ガスケット保持片部61、連結片部65および挟持片部66が、弾性を有する1枚の板材をコ字形に折り曲げて形成されているから、プレス折り曲げ加工により製造できる。従って、簡単かつ安価に構成できる。
【0035】
(4)ガスケット保持片部61および挟持片部66には、ガスケット保持孔62を中心とした両側に締付ボルト50の挿通孔64,67が形成されているから、ガスケット保持片部61および挟持片部66をガスケット保持孔62を中心とした両側で流路ブロック13,14およびマスフローコントローラ4に固定することができる。従って、ガスケット保持孔62に保持されたガスケット51も傾くことなく正しい姿勢に位置させることができる。
また、挟持片部66に形成された挿通孔67の内周面には、締付ボルト50のねじ溝に係合する3つの係合爪68が形成されているから、締付ボルト50を基準に挟持片部66、つまり、ガスケットホルダ60を位置決めできる。そのため、ガスケット51も所定位置に正確に位置決めできる。
【0036】
<変形例>
本発明は、前述の実施形態に限定されるものでなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれる。
前記実施形態のガスケットホルダ60は、ガスケット保持片部61、連結片部65および挟持片部66がコの字形状に形成されていたが、これに限られない。ガスケット保持片部61と挟持片部66とでマスフローコントローラ4の継手部42を挟持できる形状であればよい。つまり、挟持する部材の形状に適した形に形成すればよい。
【0037】
前記実施形態のガスケットホルダ60においては、挟持片部66の両側に形成した挿通孔67に3つの係合爪68を形成したが、係合爪68については、ガスケット保持片部61の両側に形成した挿通孔64に設けてもよい。あるいは、ガスケット保持片部61および挟持片部66の挿通孔64,67にそれぞれ設けてもよい。
前記実施形態のガスケットホルダ60においては、ガスケット保持片部61の中央にガスケット保持孔62および保持爪63を設け、これにより、ガスケット51を変位可能に保持したが、ガスケット51を変位可能に保持する構造については、これに限られない。例えば、図6に示す構造であってもよい。
【0038】
前記実施形態では、マスフローコントローラ4の継手部42にガスケットホルダ60を挟持する例について説明したが、他の流体制御機器に適用してもよい。あるいは、流路ブロック11〜16側に設けるようにしてもよい。
【0039】
前記実施形態の流体制御装置では、5つの流体制御機器を一列に配列した例に説明したが、流体制御機器の数については、前記実施形態に限られない。例えば、マスフローコントローラ4と、これに隣接して接続される2つのバルブとで構成してもよい。あるいは、複数の流体制御機器を一列に配列した集積化ガススティックを、ベースプレート1の上に複数並設して集積化ガスパネルとしてもよい。
【0040】
前記実施形態では、流体の流量を制御するシステムについて説明したが、これに限らず、流体の圧力を制御する流体制御装置であってもよい。
また、流体としては、ガスに限らず、液体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、例えば、半導体製造設備などにおいて、流体の流量を制御する装置や、流体の圧力を制御する装置などに利用できる。
【符号の説明】
【0042】
2,6…マニュアルバルブ(流体制御機器)、
3,5…エアーバルブ(流体制御機器)、
4…マスフローコントローラ(流体制御機器、第2部材)、
13,14…流路ブロック(第1部材)、
13A,14A…流路(第1流路)、
45A…流体流入用流路(第2流路)、
45B…流体流出用流路(第2流路)、
50…締付ボルト、
51…ガスケット、
60…ガスケットホルダ、
61…ガスケット保持片部、
62…ガスケット保持孔、
63…保持爪、
64…挿通孔、
65…連結片部、
66…挟持片部、
67…挿通孔、
68…係合爪。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流路を有する第1部材と、この第1部材に接合され前記第1流路に連通する第2流路を有する第2部材との接合面間において、前記第1流路と第2流路との間に配置されるガスケットを保持するガスケットホルダであって、
前記第1部材と前記第2部材の接合面間において、前記ガスケットの外周を保持するガスケット保持片部と、
このガスケット保持片部の一端に設けられた連結片部と、
この連結片部を介して前記ガスケット保持片部と対向して設けられ前記第2部材を挟持する挟持片部とを備えた、ことを特徴とするガスケットホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載のガスケットホルダにおいて、
前記ガスケット保持片部、前記連結片部および前記挟持片部は、弾性を有する1枚の板材をコ字形に折り曲げて形成されている、ことを特徴とするガスケットホルダ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のガスケットホルダにおいて、
前記ガスケット保持片部の略中央には前記ガスケットを保持するガスケット保持孔が形成され、
前記ガスケット保持片部および前記挟持片部には、前記ガスケット保持孔を中心とした両側に前記第1部材および第2部材を固定するための締付ボルトの挿通孔が形成され、
前記ガスケット保持片部に形成された挿通孔および前記挟持片部に形成された挿通孔のうち、少なくとも一方の挿通孔の内周面には、前記締付ボルトのねじ溝内に突出し係合する3つの係合爪が形成されている、ことを特徴とするガスケットホルダ。
【請求項4】
流体を一列に配列された複数の流体制御機器を通して制御する流体制御装置において、
前記流体制御機器の流体流路が形成された面と、この面に接合される部材の面との間に、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のガスケットホルダに保持されたガスケットが配置される、ことを特徴とする流体制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−77867(P2012−77867A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224905(P2010−224905)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(594165734)イハラサイエンス株式会社 (40)
【Fターム(参考)】