説明

ガスライターおよびガスライターの製造方法

ガス分配装置は上壁(5)を備えた貯蔵部(2)と、上壁を貫通した噴出部(6)と、少なくとも部分的に噴出部内に配置され且つ噴出部の内壁に面した外側剛体部(8a)を備えたガス分配デバイス(8)と、を具備している。ガス分配装置は、噴出部(6)内に取り付けられた弾性のチューブ要素(22)を具備している。デバイス(8)の剛体部(8a)はその中に挿入されている。噴出部は、外向きに、且つチューブ要素の停止部(30)がチューブ要素内に挿入されたデバイスの剛体部の動作の下で曲げられることに対抗して延在した端部(34)を備えている。曲げられた下部は環状の隆起を好適に形成し、チューブ要素の噴出部に対する上向きの移動を防止している。簡素化された構造およびアモルファスポリマのような適切な脆性の貯蔵部材料のガスライターが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスライターおよびガスライターの部品を組み立てるための方法に関する。
【0002】
より具体的には、本発明はタバコに火をつけるために特に適切なガスライターに関し、そのようなガスライターは、噴出部が貫通した上壁を備え且つ燃料を収容するように意図された貯蔵部と、噴出部内において少なくとも1つのチューブ要素が設けられたガス分配デバイスと、を具備している。
【背景技術】
【0003】
貯蔵部の噴出部内に分配デバイスのチューブ要素を保持するために、噴出部のネジ切りされた上部内にねじ込まれたネジリングを具備した結合の形成を使用して、チューブ要素とOリングを具備したシール要素を備えた噴出部との間のガスの漏れを防止することは周知であり、特許文献1の図1に図示されている。
【0004】
このタイプの結合の1つの利点は、特にアモルファスポリまで形成された貯蔵部を使用し得ることである。SAN(スチレン−アクリロニトリル)およびABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)を含んだアモルファスポリマは、ガスライターの貯蔵部を製造する場合にいくつかの利点を有する。それらは全体的に使用が容易であり、SANのようなあるアモルファスは透明であり、そのことは貯蔵タンク内に残っている液相の燃料のレベルが見られる利点を有する。しかしながら、これらのアモルファスポリマは室温において比較的脆く、なぜならばその弾性限における伸びが小さく、一般的に5%よりも小さいからである。ネジリングを使用したチューブ要素の結合は、加圧嵌めとは異なり、噴出部の壁内における引張応力を実質的に生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第01/18452号パンフレット
【特許文献2】米国特許第4,496,309号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ネジリングと噴出部のネジ切りされたネジ部とは、比較的複雑なモールド型の使用を必要とし、ストリップ作業が長くなる。それに加えて、ライターを組み立てるときにリングを噴出部にねじ込む作業は比較的困難であり、自動化された製造工程において実行時間が長くなる。さらに、少なくとも1つのシール要素が、チューブ要素周囲の任意のガス漏れを防止するために必要とされる。結果的に、ガスライターの製造コストは顕著に増加する。
【0007】
したがって、簡素化された構造のガスライターが必要とされており、一方で良好なシールを得られ、バルクが減少し、安全に使用でき、非限定的な例であるが、アモルファスポリマのような、可能な限り適切な脆さの材料の貯蔵部を残すことが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、
−燃料を収容することを意図され、且つ上壁を備えた貯蔵部と、
−上壁を貫通した噴出部と、
−少なくとも噴出部に配置されたガス分配デバイスと、を具備し、
噴出部は中心軸に沿って延在し、且つ内壁を備え、
ガス分配デバイスは内壁の少なくとも一部に面した外側剛体部を備えたガスライターにおいて、
ガスライターはさらに少なくとも1つの停止部を備えた弾性のチューブ要素を備え、該チューブ要素は噴出部に組み付けられ、ガス分配デバイスの剛体部はその中に挿入され、噴出部は少なくとも1つの第1端部を備え、第1端部は中心軸から外向きに、且つチューブ要素の停止部が弾性のチューブ要素内に挿入されたガス分配デバイスの剛体部の動作の下で曲げられることに対抗して延在していることを特徴とするガスライターである。
【0009】
この処置の利点によって、貯蔵部の上壁は比較的滑らかな壁を備え、(噴出部内にネジ切り部が無く)製造がより容易である。さらに、貯蔵部へのガス分配デバイスの結合はより容易になる。なぜならば、要求される全ては、弾性のチューブ要素が噴出部内に配置された後、ガス分配デバイスが固定位置に挿入されるときにチューブ要素が固定されることだからである。
【0010】
別の特徴によれば、第1端部は環状である。
【0011】
別の特徴によれば、貯蔵部の内側に向かって向けられている。したがって、チューブ要素は上部から挿入されてもよく、このチューブ要素の上向きの移動が防止されている。
【0012】
別の特徴によれば、第1端部は噴出部の内側端である。この処置は上壁に関する成型作業を容易にしている。
【0013】
別の特徴によれば、噴出部は第1端部に対して反対に向けられた少なくとも1つの第2端部を備え、弾性のチューブ要素は第2端部に対して係合する少なくとも1つの停止部を備えている。
【0014】
別の特徴によれば、第2端部は第1端部に面し、第1端部と第2端部とは噴出部の内壁に凹部を形成し、チューブ要素の停止部は弾性のチューブ要素内に挿入されたガス分配デバイスの剛体部の動作の下で曲げられている。そのような実施形態において、曲げられた部分は上壁内において径方向に拡張され、弾性のチューブ要素は材料を節約するためにより短い長さとし得る。
【0015】
別の特徴によれば、停止部は環状の隆起を形成している。
【0016】
別の特徴によれば、チューブ要素の停止部は組み付けられていない状態において内向きに突出し、外側剛体部は円筒形である。そのような処置を伴って、ガス分配デバイスは円筒形状の標準的な構成であってもよい。
【0017】
別の特徴によれば、外側剛体部は剛体の環状突起を具備している。この処置の1つの利点は、適切な固定位置が弾性のチューブ要素の停止部の滑らかな曲げと共に得られることである。
【0018】
別の特徴によれば、弾性のチューブ要素は噴出部の内壁に面した円筒部を具備し、円筒部は一定の厚さを備えている。弾性のチューブ要素はこれによって容易に製造される。
【0019】
別の特徴によれば、噴出部は内径d1を示す円筒形状を備え、ガス分配デバイスの外側剛体部は外径d2を示す円筒形状を備え、弾性のチューブ要素の停止部は厚さTを与えられて、関係式
2×T+d2>D1
を満たしている。したがって、停止部は外側剛体部によって径方向外向きに押圧され、この停止部は曲げ空間または凹部によって貫通され、その空間は噴出部の全体的に円筒形状に対して径方向に離間されている。
【0020】
別の特徴によれば、弾性のチューブ要素の停止部は噴出部と気密に接触している。このことは付加的なOリング無しに燃料が漏れることを防止している。
【0021】
別の特徴によれば、弾性のチューブ要素は合成エラストマ、好適に熱可塑性ポリエステルエラストマで形成された一部品である。この特別な材料はガス気密性と、(プラスチックのような)十分な強度と、(ゴムのような)良好な弾性と、射出成型の可能性と、引き裂き、曲げ亀裂成長、クリープ、および磨耗に対する強い抵抗性と、を提供する。弾性チューブ要素のこれらの特性とサイズ適合とは、ガス分配デバイスの垂直移動を防止している。
【0022】
本発明の1つの目的は、ガスライター貯蔵部の噴出部内へのガス分配アセンブリの容易な組み付けを提供することでもある。
【0023】
したがって、本発明によりガスライターの組み立ての方法がさらに提案されており、その方法は、
−燃料を収容することを意図され、且つ上壁を備えた貯蔵部と、
−上壁を貫通した噴出部と、
−少なくとも噴出部に配置されたガス分配デバイスと、を具備し、
噴出部は中心軸に沿って延在し、且つ中心軸から外向きに延在した少なくとも1つの第1端部を形成した内壁を備え、
ガス分配デバイスは内壁の少なくとも一部に面した外側剛体部を備えたガスライターを組み立てるための方法において
−噴出部内に弾性のチューブ要素を挿入するステップと、
−噴出部内にガス分配デバイスを挿入するステップと、次に
−ガス分配デバイスの剛体部の動作の下で、第1端部に対してチューブ要素の停止部を曲げるステップと、
−曲げられた停止部を介してチューブ要素を噴出部内に固定するステップと、
を含んでいる。
【0024】
他の特徴および利点は、添付図を参照すると共に非限定的な実施例を使用して与えられた以下の記載により、当業者に明確になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による第1の実施形態の簡略化された垂直断面を示した図であり、ガス分配デバイスの組み付け前の状態である。
【図2】第1の実施形態による組み付けられた状態のガスライターの上部の垂直断面を示した図である。
【図3】本発明による第2の実施形態の簡略化された垂直断面を示した図であり、ガス分配デバイスの組み付け前の状態である。
【図4】第2の実施形態による組み付けられた状態のガスライターの上部の垂直断面を示した図である。
【図5】本発明による第3の実施形態の簡略化された垂直断面を示した図であり、ガス分配デバイスの組み付け前の状態である。
【図6】本発明による第4の実施形態の簡略化された垂直断面を示した図であり、ガス分配デバイスの組み付け前の状態である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
様々な図において、同一の参照符号は同一または類似の要素を指定するために使用されている。
【0027】
本発明の理解を促進する目的のために、言及は図1〜6に示された4つの典型的且つ非限定的な実施形態について行われる。図2および4に示されたように、ガスライターは貯蔵部2を具備し、そこはイソブタンのような加圧され且つ部分的に液相の燃料を収容することを意図されている。
【0028】
図2および4に示されたように、貯蔵部2はボウル3の形状であってもよく、ボウル3は好適にU字断面であり、図2には図示されていないが底壁を備え、底壁から上端4へと上向きに延在した環状の側壁を備えている。
【0029】
上端4は図示された実施例においては上壁5によって閉鎖されており、以下に限定されるものではないが、接着、糊付け、溶接、摩擦接合、圧入を含む当業者に知られた任意の方法によってボウル3に固定された別部品であってもよい。代替的に、上壁5はボウル3と一体化された部品として製造されてもよい。
【0030】
貯蔵部2は好適に少なくとも1つの剛体アモルファスポリマ材料から製造されており、それは例えば、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、SAN(スチレン−アクリロニトリル)等を含むものである。したがって、貯蔵部は射出成型とすることが可能である。代替的に、実施例によれば、ボウル3はSANから製造され、一方で上壁5はABSから製造されており、その逆も可能であり、例えば超音波シール、接着、超音波溶接、糊付けなどの周知の方法において、これらの材料を一体に接合している。
【0031】
そのようなアモルファスポリマの利点は、比較的安価であり且つ使用、処理、製造および部品形成が容易な点である。さらに、SANのようなアモルファスポリマは透明であってもよく、ガスライターに関して、ユーザが貯蔵部内に残存した液体燃料のレベルを見ることを可能にしている。
【0032】
他のアモルファスタイプのポリマが使用されてもよく、その機械的および化学的特性はガスライター内に使用されるのに準拠したものが提供される。
【0033】
貯蔵部の上壁5は噴出部6をさらに備え、図示された実施例においては、それは垂直軸Zに沿って延在しており、有利に環状に対称な円筒形状であってもよい。
【0034】
一般的に言うと、噴出部6はガス分配デバイス8を受容することが可能であり、そのデバイスは貯蔵部2の上にあるライターのヘッド10によって担持された操作デバイス9によって作動される。図示された実施形態において、ヘッド10はヘッド10上のキャッチ11(すなわちスタッド)によって貯蔵部の上壁に対して好適に保持されており、キャッチ11は貯蔵部2の上壁5内に成型された相補的なキャッチ12とスナップフィットまたはクリッピングによって協働する。
【0035】
ヘッド10は点火デバイス14と風防13とを取り付けるための支持部も形成しており、風防13は風または通風に対してスクリーンまたはシールドを形成している。
【0036】
点火デバイス14は一般的に広く知られた技術であり、例えばスパークホイル15と火打石16を具備し、火打石16は、ヘッド12内で円形キャビティ18内に受容されたバネ17によって、スパークホイル15に対して押圧されるように保持されている。相補的なキャビティ19は貯蔵部2の上壁5内に形成されて、ヘッド12のキャビティ18に対応している。しかしながら、圧電デバイスなどの他のタイプの点火デバイスを使用することももちろん可能である。
【0037】
図2および4にさらに示されているように、分配デバイス8はチューブ要素22と接続されており、金属または適切な合金で形成された外側チューブ23を含んでいてもよい。外側チューブ23の下部24はガス流速を調節するための調節デバイスを好適に備え、調節デバイスは例えば微多孔膜25であってもよい。この微多孔膜25は一方向延伸ポリプロピレンを好適に含み、特許文献2に記載されたように細長い形状の小孔を備えている。微多孔膜25は外側チューブ23の内側ショルダ23aに対して好適に保持されており、ショルダ23aは外側チューブ23の下端24の近傍に形成されており、したがって、微多孔膜25がショルダ23aの中心に形成されたオリフィス26をカバーすることを可能にしている。微多孔膜25は剛体リング27によってショルダ23aの底面に対して好適に押圧されており、剛体リング27は、それ自身外側チューブ23の下端24をクリンピングすることによって、外側チューブ23の底部に維持されている。
【0038】
分配デバイス8は、点火デバイス14の近傍に開口したガス流出ダクト41を備えたバルブ40を好適に含んでいる。ダクト41は分配デバイス8の下部に配置されたシャッター42を好適に含んでいる。好適に、シャッター42はエラストマ材料から形成されており、ダクト41がチューブ要素22の長手軸Zに沿って移動するときに、ガス通過オリフィス26を閉鎖するように設計されている。好適に、ダクト41は、外側チューブ23の内部との連通を提供するために、シャッター42の近傍に形成されたスロット43も含んでいる。
【0039】
さらに、操作デバイス9はヘッド12に固定されたピンに対して傾くように組み付けられたフォーク45を含んでいる。フォーク45は第1端部46と第2端部49とを備えている。第1端部46は、外側チューブ23から持ち上がったダクト41の上端に形成された下部ショルダ47および上部ショルダ48と協働し、これによってユーザがフォーク45の第2端部49を押圧したときに、ガス分配デバイス8が持ち上がることを可能にしている。ユーザがフォーク45の第2端部49を押圧したとき、バルブ40が開かれ、貯蔵部2からガスを放出する。
【0040】
好適に、圧縮ばね50がフォーク45の第2端部49の下側と貯蔵部2の上壁5との間に配置されており、これによってフォーク45を上方に付勢し、ライターが使用されないときにバルブを閉位置内に付勢している。
【0041】
図1および2に示された第一の好適な実施形態において、分配デバイス8は弾性チューブ要素22と接続されている。このチューブ要素22は好適に円筒形状であり、噴出部6内において貯蔵部2の上壁5を係合するために環状に対称となっている。チューブ要素22はガスによって劣化されない弾性プラスチック材料から形成されている。好適に、チューブ要素22は熱可塑性ポリエステルエラストマから形成された弾性の単一部品である。例えば、ハイトレル(登録商標)という名称のエラストマは適切な選択である。代替的に、チューブ要素22は、特に高強度且つ適切な可撓性の類似した特性を備えた別のポリマから形成されている。特に図1および5に見られているように、チューブ要素22が最初に噴出部6内に導入され、その後分配デバイス8が挿入されてもよい。分配デバイス8は、金属または適切な合金で形成された外側チューブ23を含んでいる。チューブ要素22の弾性材料は十分な可撓性を提供し、外側チューブ23がチューブ要素22内に滑らかに適合することを可能にしている。
【0042】
図1に示されているように、チューブ要素22は少なくとも3つの部分を具備しており、それは噴出部6の上に好適に配置された第1端部のヘッド28と、噴出部6内に完全に挿入された中間部29と、第2端部の停止部30と、である。停止部30は、分配デバイス8の外側チューブ23によって固定されるように設計されている。中間部29と停止部(下部)30とは柔軟な挿入部品を形成し、その部品は噴出部の内径にほぼ一致した初期外径を好適に備えている。柔軟な挿入部品は噴出部6よりも好適に長い。ヘッド28は追加として考慮されてもよい。
【0043】
ヘッド28に形成された外周リム31は噴出部6の環状の上端32に隣接している。外周リム31はフランジリングまたはそれに類似の保持要素によって形成され、噴出部6に関係したチューブ要素22の下向きの移動を防止している。
【0044】
チューブ要素22の上向の移動を防止するために、好適に環状の突起33がチューブ要素22の停止部30の内面に設けられている。言い換えると、停止部30は内向きに突出している。
【0045】
図1および2に示されているように、チューブ要素22は噴出部6の両側に突出している。環状の突起33は停止部30の内面に形成されており、その高さはチューブ要素22が上壁5の下で貯蔵部2の内部に突出した位置である。
【0046】
中間部29は円筒形であり、その厚さはこの環状の突起33に設けられた停止部30の厚さTよりも薄い。図1に示されているように、チューブ要素22は最初に噴出部6内に取り付けられ、その後分配デバイス8がチューブ要素22内に取り付けられたときに環状の突起33が径方向外側に移動する。図2に示された組み付け状態において、分配デバイス8は噴出部6の内壁に面した外部剛体部8aを提供している。この外部剛体部8aは外側チューブ23と一体にまたは非一体に形成されてもよく、特に環状の突起33と接触していてもよい。
【0047】
図2に示されているように、外側チューブ23は厚さの超過分が設けられた領域において停止部30を圧迫しており、その結果、噴出部6の1つのリムまたは端部34を越えて径方向に停止部30を曲げている。言い換えると、分配デバイス8がチューブ要素22の内部に組み付けられたとき、分配デバイス8は停止部30の拡張を引き起こし、チューブ要素22の固定がこれによって行われ、そのあらゆる上向きの移動が防止される。
【0048】
曲げられた停止部30は外側チューブ34および環状の端部34と密接に接触し、噴出部6の下端に隣接している。チューブ要素22内の外側チューブ23のシールおよび固定は、停止部30を介して得られている。分配デバイス8は、少なくともチューブ要素22の下部開口35と上部開口36との間において、ヘッド28と中間部29とにも接触している。
【0049】
代替の例示的な実施形態において、図5に見られているように、環状突起33は中間部29の内面を形成しており、その高さは噴出部6が内側凹部37を具備している位置である。そのような実施形態において、停止部30はチューブ要素22の中間部であり、この停止部30の一部は径方向に突出して、内側凹部37内に貫通している。チューブ要素22内での外側チューブ23のシールおよび固定は、この場合環状突起33を介しても得られている。2つまたはそれ以上の突起は停止部30の異なった高さにおいて設けられていてもよく、噴出部6の内側凹部37および/または外側凹部に対応して設けられていてもよい。保持摩擦が互いに向き合った2つの端部(34、37a)の間に固定された環状突起33によって全体的に機能しているので、ヘッド28は抑圧されている。第1端部34は貯蔵部2の内部に向けられており、一方で第2端部37aは反対向きに向けられている。
【0050】
別の実施形態に関係した図3および4を参照すると、環状の少なくとも1つの突起38は下部24の高さにおいて外側チューブ23に形成されている。環状突起38は連続的であってもなくてもよい。これによって、分配デバイス8は、上壁5の下の貯蔵部内に突出した位置においてその外径の増加を示している。チューブ要素22の中間部29と停止部30とは好適に同一の厚さTを有する。この場合、厚さの超過分は環状突起38によって提供されている。
【0051】
特に図4に示されているように、チューブ要素22は噴出部6内に最初に導入され、その後分配デバイス8が挿入されてもよい。分配デバイス8がチューブ要素22内に組み付けられたとき、環状突起38の動作はチューブ要素22の停止部30の曲げを発生させる。その結果、分配デバイス8が組み付けられた状態において、停止部30は中間部29に対して径方向外側に拡張し、環状の隆起39を形成している。この環状の隆起39は、チューブ要素22の噴出部6に対する上向きの移動を防止している。さらに、そのような曲げは、チューブ要素22の停止部30が噴出部6と気密に接触することをもたらしている。
【0052】
図6に示されたような代替の例示的な実施形態において、環状突起38は外側チューブ23の中間部に形成されてもよく、その高さは噴出部6が凹部37を具備している位置であってもよい。保持摩擦が環状突起38の動きの下で中間部29内に発生した環状の隆起によって全体的に機能しているので、ヘッド28は抑圧されている。湾曲したプロファイルを備えたこの環状の隆起は、第1端部34と第2端部37aとの間において固定されている。
【0053】
チューブ要素22の曲げられた部分と追加的にヘッド28とは径方向の突起を提供し、噴出部6内の貯蔵部2の上壁5と共にチューブ要素22を固定している。したがって、チューブ要素22と上壁5とはネジ留めすることなくライターを形成するために組み立てられる。チューブ要素22が貯蔵部2の上壁に係合するために必要とされる全ては、チューブ要素22が上壁5の間において噴出部6内に導入され、分配デバイス8が組みつけられるときに部分的に曲げられることであるので、特に組み立てが容易である。さらに、チューブ要素22と貯蔵部の上壁5とはネジを備えていないので、それらは生産割合を高くすることが可能なモールド成型を使用して生産されることが可能である。
【0054】
噴出部6には内径d1を備えた単純な円筒形状が設けられてもよい。外側チューブ23は直径d1よりも小さい最大外径d2を備え、標準的な円筒形部品であってもよい。有利には、チューブ要素22の停止部30の最大厚さTは、
2×T+d2>d1
の関係を満足する。
【0055】
図示された非限定的な実施形態において、係止機構がヘッド28とチューブ要素22の曲げ部とを介して設けられている。簡素な構造およびアモルファスポリマのような適切な脆性の貯蔵部材料のガス装置、および特にガスライター1は、このようにして得られる。
【0056】
本発明は好適な実施形態に関連して記載された。しかしながら、これらの実施形態は単に例示するものであり、本発明はそれらに限定されるものではない。他の変形および改良が添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲内において容易に形成されることが可能であり、したがって本発明は以下の特許請求の範囲によって限定されることを意図しているのみであるということは、当業者によって理解されるだろう。例えば、本発明は分配デバイス8と貯蔵部2とが設けられた任意のガス装置において実施されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
2 ・・・貯蔵部
3 ・・・ボウル
4 ・・・上端
5 ・・・上壁
6 ・・・噴出部
8 ・・・ガス分配デバイス
9 ・・・操作デバイス
10 ・・・ヘッド
13 ・・・風防
14 ・・・点火デバイス
15 ・・・スパークホイル
16 ・・・火打石
22 ・・・チューブ要素
23 ・・・外側チューブ
25 ・・・微多孔膜
26 ・・・オリフィス
27 ・・・剛体リング
29 ・・・中間部
30 ・・・停止部
37 ・・・凹部
38 ・・・環状突起
39 ・・・環状の隆起
40 ・・・バルブ
41 ・・・ガス流出ダクト
42 ・・・シャッター
43 ・・・スロット
45 ・・・フォーク
47 ・・・下部ショルダ
48 ・・・上部ショルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−燃料を収容することを意図され、且つ上壁(5)を備えた貯蔵部(2)と、
−前記上壁(5)を貫通した噴出部(6)と、
−少なくとも該噴出部(6)に配置されたガス分配デバイス(8)と、を具備し、
前記噴出部(6)は中心軸(Z)に沿って延在し、且つ内壁を備え、
前記ガス分配デバイス(8)は前記内壁の少なくとも一部に面した外側剛体部(8a)を備えたガスライター(1)において、
該ガスライター(1)はさらに少なくとも1つの停止部(30)を備えた弾性のチューブ要素(22)を備え、該チューブ要素(22)は前記噴出部(6)に組み付けられ、前記ガス分配デバイス(8)の前記剛体部(8a)はその中に挿入され、前記噴出部(6)は少なくとも1つの第1端部(34)を備え、該第1端部(34)は前記中心軸(Z)から外向きに、且つ前記チューブ要素(22)の前記停止部(30)が前記弾性のチューブ要素(22)内に挿入された前記ガス分配デバイス(8)の前記剛体部(8a)の動作の下で曲げられることに対抗して延在していることを特徴とするガスライター。
【請求項2】
前記第1端部(34)は環状であることを特徴とする請求項1に記載のガスライター。
【請求項3】
前記第1端部(34)は前記貯蔵部(2)の内側に向かって向けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のガスライター。
【請求項4】
前記第1端部(34)は前記噴出部(6)の内側端であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスライター。
【請求項5】
前記噴出部(6)は前記第1端部(34)に対して反対に向けられた少なくとも1つの第2端部(31、37a)を備え、前記弾性のチューブ要素(22)は前記第2端部(31、37a)に対して係合する少なくとも1つの停止部(28、30)を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスライター。
【請求項6】
前記第2端部(37a)は前記第1端部(34)に面し、該第1端部(34)と第2端部(37a)とは前記噴出部(6)の内壁に凹部を形成し、前記チューブ要素(22)の前記停止部(30)は前記弾性のチューブ要素(22)内に挿入された前記ガス分配デバイス(8)の前記剛体部(8a)の動作の下で曲げられていることを特徴とする請求項5に記載のガスライター。
【請求項7】
前記停止部(30)は環状の隆起を形成していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のガスライター。
【請求項8】
前記チューブ要素(22)の前記停止部(30)は組み付けられていない状態において内向きに突出し、前記外側剛体部(8a)は円筒形であることを特徴とする請求項1〜5または7のいずれか一項に記載のガスライター。
【請求項9】
前記外側剛体部(8a)は剛体の環状突起(38)を具備していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のガスライター。
【請求項10】
前記弾性のチューブ要素(22)は前記噴出部(6)の前記内壁に面した円筒部(29、30)を具備し、該円筒部(29、30)は一定の厚さを備えていることを特徴とする請求項9に記載のガスライター。
【請求項11】
前記噴出部(6)は内径d1を示す円筒形状を備え、前記ガス分配デバイス(8)の前記外側剛体部(8a)は外径d2を示す円筒形状を備え、前記弾性のチューブ要素(22)の前記停止部(30)は厚さTを与えられて、関係式
2×T+d2>D1
を満たしていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のガスライター。
【請求項12】
前記弾性のチューブ要素(22)の前記停止部(30)は前記噴出部(6)と気密に接触していることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のガスライター。
【請求項13】
前記弾性のチューブ要素(22)は合成エラストマ、好適に熱可塑性ポリエステルエラストマで形成された一部品であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のガスライター。
【請求項14】
−燃料を収容することを意図され、且つ上壁(5)を備えた貯蔵部(2)と、
−前記上壁(5)を貫通した噴出部(6)と、
−少なくとも該噴出部(6)に配置されたガス分配デバイス(8)と、を具備し、
前記噴出部(6)は中心軸(Z)に沿って延在し、且つ前記中心軸(Z)から外向きに延在した少なくとも1つの第1端部(34)を形成した内壁を備え、
前記ガス分配デバイス(8)は前記内壁の少なくとも一部に面した外側剛体部(8a)を備えたガスライター(1)を組み立てるための方法において
−前記噴出部(6)内に前記弾性のチューブ要素(22)を挿入するステップと、
−前記噴出部(6)内に前記ガス分配デバイス(8)を挿入するステップと、次に
−前記ガス分配デバイス(8)の前記剛体部(8a)の動作の下で、前記第1端部(34)に対して前記チューブ要素(22)の停止部(30)を曲げるステップと、
−曲げられた前記停止部(30)を介して前記チューブ要素(22)を前記噴出部(6)内に固定するステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記チューブ要素(22)は、前記弾性のチューブ要素(22)が前記噴出部(6)内に挿入され、その後、前記ガス分配デバイス(8)が前記噴出部(6)内に挿入されることを特徴とする請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−514961(P2011−514961A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550273(P2010−550273)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052196
【国際公開番号】WO2009/112892
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(501325048)ソシエテ・ビック (24)
【Fターム(参考)】