説明

ガス供給管の更新工法

【課題】 ガス供給管の結び替えに要する工数を従来よりも大幅に低減することができるガス供給管の更新工法を提供する。
【解決手段】 既設のガス供給管(第1の供給管)1の途中に装着されかつこのガス供給管に対して斜行する方向にバッグ挿入孔30が設けられた合流継手3に新設のガス供給管(第2の供給管)2を接続する工程と、合流継手30の内部で既設のガス供給管1に穿孔する工程と、バッグ挿入孔30から既設のガス供給管1の内部における第1の所定位置まで第1の流路遮断バッグ4aを挿入する工程と、バッグ挿入孔30から第1の所定位置よりも合流継手3に近い第2の所定位置まで第2の流路遮断バッグ4bを挿入する工程と、第1の所定位置と第2の所定位置との間のガス供給管1を切断する工程と、第1の流路遮断バッグ4a及び第2の流路遮断バッグ4bをガス供給管1から回収する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設の本支管(旧本支管)から分岐されたガス供給管(第1の供給管)の一部を遮断して、新設の本支管(新本支管)から分岐されたガス供給管(第2の供給管)に更新するガス供給管の更新工法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス配管においては、都市ガスや天然ガスなどの燃料ガスは、道路と並行して地中に埋設された本支管とそこから分岐された供給管を経て需要家に供給されている。本支管としては、ガス圧や外圧(土圧など)に強く耐久性が大であり、また穿孔作業により容易に分岐取出しが行えるなどの利点を有する鋳鉄管が使用されてきたが、軽量で施工性に優れまた耐震性にも優れた樹脂管(例えばPE管)への切り替えが増加している。鋳鉄管から樹脂管への切り替えは、例えば、既設の本支管(鋳鉄管等)に接続された供給管の下流側へのガスの供給を遮断し、次いで供給管を切断、分解、撤去した後に、新設された本支管(PE管等)に新規の供給管を接続する作業を行うといった手順で施工される。しかるに、この供給管の結び替え作業が行われると、作業中は需要家でガスを使用できないという不便さを伴う。また結び替え作業完了後も、需要家の施設内に立ち入って点火試験を含む安全確認を行う必要があるので、需要家の都合で結び替え作業が予定通り実施できないことがある。
【0003】
そこで供給管から需要家へのガスの供給を遮断せずに、結び替え作業を行うために、例えばバイパス管と遮断用バッグを用いた活管分岐工法が提案され、実用化されている(特許文献1参照)。この分岐工法は、次の手順で行われる。まず既設供給管の二箇所に各々、2つの分岐口を有する分岐継手を取付け、各分岐継手の一方の分岐口から穿孔装置を挿入して既設供給管にバイパス用分岐孔を穿孔し、各分岐継手の他方の分岐口同士をバイパス管で接続し、これらの分岐口から穿孔装置を挿入して既設供給管に遮断用分岐孔を穿孔し、これらの分岐孔から遮断バッグを挿入してガスを遮断した後、分岐継手で挟まれた区間を切断する。このとき、既設の本支管からはバイパス管を介して需要家にガスが供給されている。次いで新設の本支管から分岐された新設の供給管を遮断区間の下流側(需要家に近い側の上記継手の手前)に接続する。そして上記ガス遮断用バックを供給管から撤去した後にバイパス管及び既設の本支管を撤去して、新設の本支管から需要家へのガスの供給に切り替えられる。
【0004】
また、供給管から需要家へのガスの供給を遮断せずに、結び替え作業を行う活管分岐方法に使用される流体遮断用バッグにコイルスプリングを設けて操作性を向上することが提案されている(特許文献2参照)。特許文献2には、補修工事区間の両端箇所近くのガス管に、穿孔、遮断、仮連絡を行うための穿孔装置を取付けて、その穿孔装置に設けた斜管を通して斜め方向から流体遮断用バッグをガス管内に挿入して、バッグの内部に空気などを封入して膨張させてガス管を気密的に遮断した後、補修工事あるいは取替え工事を行うことが記載されている(図6、7参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−77956号公報(第4〜5頁、図1、図9)
【特許文献2】特開2002−168391号公報(第4頁、図6、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した活管分岐工法によれば、需要家へのガスの供給を停止せずに、また需要家の施設内に立ち入らずに結び替え工事を行うことができるという利点がある。ただ、特許文献1に記載された分岐工法では、2箇所の分岐口を備えた特殊な構造の継手を複数個使用し、また一つの継手に対して供給管に複数(2箇所)の穿孔を行う必要があり、施工コストが増大するという難点がある。また特許文献2に記載された構成でも、工事区間の両端に穿孔し、そこから遮断バッグを挿入するので、施工工数が増大するという問題がある。
【0007】
したがって本発明の目的は上記の問題点を解消して、従来よりも施工工数を短縮できる供給管の更新工法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の供給管の更新工法は、既設のガス供給管の途中に装着されかつこのガス供給管に対して斜行する方向にバッグ挿入孔が設けられた合流継手に新設のガス供給管を接続する工程と、前記合流継手の内部で前記既設のガス供給管に穿孔する工程と、前記バッグ挿入孔から前記既設のガス供給管の内部の第1の所定位置まで第1の流路遮断バッグを挿入する工程と、前記バッグ挿入孔から前記第1の所定位置よりも前記合流継手に近い第2の所定位置まで第2の流路遮断バッグを挿入する工程と、前記第1の所定位置と前記第2の所定位置との間のガス管を切断する工程と、前記第2の流路遮断バッグを前記ガス管から取り出す工程と、この開孔から流体逆流防止機能をもつチューブの先端に装着された第1の遮断バッグを挿入し、前記第ガス管の端部を密閉する工程を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明においては、前記バッグ挿入孔に前記流路遮断バッグが通過するバルブ部を設け、流体供給チューブが着脱自在に接続された前記第1の流路遮断バッグを収容する第1のバッグ収容部を含む第1の操作部材の一端側を前記バルブ部に装着し、前記バルブ部を開弁して前記第1の流路遮断バッグを前記第1の所定位置まで移動させてその位置でガス供給管に密着するまで膨張させた後、前記流体供給チューブを前記第1の流路遮断バッグから分離して前記合流継手から引き出して前記バルブ部を閉弁し、前記バルブ部から前記第1の操作部材を取り外し、流体供給チューブが接続された前記第2の流路遮断バッグを収容する第2のバッグ収容部を含む第2の操作部材の一端側を前記バルブ部に装着し、前記バルブ部を開弁して前記第2の流路遮断バッグを前記第2の所定位置まで移動させてその位置でガス供給管に密着するまで膨張させることが好ましい。
【0010】
また、本発明においては、前記バッグ挿入孔に前記流路遮断バッグが通過するバルブ部を設け、流体供給チューブが着脱自在に接続された前記第1の流路遮断バッグを収容するバッグ収容部を含む操作部材の一端側を前記バルブ部に装着し、前記バルブ部を開弁して前記第1の流路遮断バッグを前記第1の所定位置まで移動させてその位置でガス供給管に密着するまで膨張させた後、前記流体供給チューブを前記第1の流路遮断バッグから分離して前記合流継手から引き出して前記バルブ部を閉弁し、前記バルブ部から前記操作部材を取り外し、前記流体供給チューブに前記第2の流路遮断バッグを着脱自在に装着した後に前記操作部材の一端側を前記バルブ部に再装着し、前記バルブ部を開放して前記第2の流路遮断バッグを前記第2の所定位置まで移動させてその位置でガス供給管に密着するまで膨張させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の供給管の更新工法は、第1の供給管に第2の供給管を接続し、その接続部の上流側で第1の供給管に開孔を設け、その開孔から第1の供給管の内部に、2つの遮断バッグを斜めに挿入後、遮断バッグで挟まれた区間を切り離し、第1の供給管の端部を密閉するだけの作業で、第1の供給管の下流側へのガスの流動を確実に遮断することができる。したがって本発明によれば、従来よりも少ない工数でガス供給管の結び替え工事を行うことができる。
【0012】
特に、本発明においては、供給管が遮断される区間での穿孔が一回で済むので、ガス供給管の結び替えに要する工数を従来よりも大幅に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の詳細を添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態に係わる更新工法の主要工程を模式的に示す図、図2は遮断バッグを挿入するバルブ部が装着された合流継手の断面図、図3は第1の遮断バッグが接続されたバッグ収容部の断面図、図4及び図5は図3の一部を拡大した断面図、図6は第2の遮断バッグが装着されたバッグ収容部の断面図、図7は本発明の実施の形態に係わる更新工法の一部の工程の詳細を模式的に示す図である。
【0014】
[施工手順の概要]
本発明では、需要家へのガスの供給を停止せずに、また需要家の施設内に立ち入らずに結び替え工事(活管分岐遮断工法)を行うために、図1にS1〜S7で示す工程で配管施工を行う。図1においては、ガスの流動方向を矢印で示し、理解を容易にするために、流路遮断バッグ(以下単に遮断バッグという。)は供給管の外部に記載されている。また、図1の工程は供給管の結び替えを行うために必要な大きさのピット(図示を省略)が形成された状態で実行される。既設の本支管10から分岐されたガス供給管(第1の供給管)1の途中に合流継手3を装着し(S1)、合流継手3に新設の本支管11から分岐された新設のガス供給管(第2の供給管)2を、例えば電気融着継手により接続し(S2)、需要家(不図示)へのガスの供給を確保した後に、合流継手3を大気から遮断した状態で、合流継手3に穿孔装置Tを挿入して第1の供給管1に分岐孔(不図示)を穿孔する(S3)。バッグ挿入孔30から操作部材F1の先端に装着した第1の遮断バッグ4aを挿入・膨張させて、第1の供給管1をPで示す位置で遮断する(S4)。操作部材F1(後述する流体供給チューブ(88))と遮断バッグ4aを切り離して、流体供給チューブ88を挿入孔30から引き出し、第1の遮断バッグ4aを第1の供給管1内に残置させる(S5)。合流継手3のバッグ挿入孔30から、操作部材F2の先端に装着した第2の遮断バッグ4bを挿入・膨張させて、第1の供給管1を遮断し、各遮断バッグ4a、4bで挟まれた遮断区間Rの第1の供給管1を切断する(S6)。切断された部分を撤去した後、第1の供給管1から2つの遮断バッグを回収し、各管端に封止部材(例えばキャップ)100、101を装着する(S7)。なお供給管1から回収された遮断バッグ4a、4bは再使用することができる。
【0015】
上記のS1〜S7の工程により、第1の供給管1は新設の本支管11に接続されるので、需要家へのガスの供給を停止せずに、また需要家の施設内に立ち入らずにガス管の結び替え工事を行うことができる。特に、図1に示す工程では、ガス供給管の穿孔が一箇所のみなので(上記のS3参照)、ガス供給管の結び替えに要する工数を従来よりも大幅に低減することができる。
【0016】
上記各工程で使用される主要な配管用部材の詳細を図2〜6により説明する。
【0017】
[合流継手]
工程S1で第1の供給管1に装着される合流継手3は、図2に示すように、第2の供給管2が接続されるチーズ部311を有し、ネック部312にバルブ部5が装着されるバッグ挿入孔30を有する上クランプ31及び下クランプ32とで構成される。上クランプ31及び下クランプ32は、図示を省略するが、例えば可鍛鋳鉄などの鉄鋼材料からなる本体の外面に塩化ビニールなどの耐食性を有する樹脂からなるライニングで被覆して形成される。このチーズ部311は、第2の供給管2と接続される連結管20の端部が挿入される分岐部を有し、そこに挿入された連結管20の端部内面にスティフナー(不図示)が装着された後バルジ加工などの手法で拡径されることにより、連結管20と分岐部が接続されるとともに、連結管20と分岐部との間に介装されたパッキンによってシールが行われる。
【0018】
また一端部が合流継手3に差し込まれた連結管20の他端部は、例えばEF継手(図示を省略)によって第2の供給管2と接続され、第2の供給管2を介して新設の本支管11に接続することができる。EF継手は、ポレエチレンなどの熱可塑性樹脂からなる継手本体の内部に電熱線が埋め込まれ、電熱線に通電することにより、継手本体の内径部と樹脂管(新設管又は連結管2)とが融着して樹脂管の接続が行われるように構成されている。
【0019】
[バルブ部]
合流継手3に組み込まれるバルブ部5は、図2に示すように、挿入孔30を開閉するボール弁54とその両側に接続された短管51、55を有し、短管51の一端側にソケット52が外装され、ソケット52の縮径部はシール部材53が嵌め込まれた状態で挿入孔30に螺合されている。短管55の端部には、後述の操作部材を受け取るために迅速継手であるメスカプラ56が固定されている。
【0020】
[遮断バッグ]
第1の遮断バッグ4aは、図3に示すように、流体(例えば圧縮空気)が流入したときに膨張できるようにするためにゴムなどの弾性体で形成された袋状部材41を有する。袋状部材41は、膨張時に外表面が円周方向に沿ってかつ所定長さだけ供給管の内周面に密着し得るような形状を有するものであればよい。例えば袋状部材は、周方向に所定間隔をおいて形成され膨張前はその襞が周方向に重なり合うようにパラソル状に折りたたまれ、膨張時に楕円球体状に膨らむような形状(パラソル形状)を有する。この袋状部材は、耐圧性及び気密性の点から布引ゴム(例えばナイロン布で補強されたクロロプレンゴム)で形成することが好ましい。またこの袋状部材41は一端がニップル付ソケット42で密閉され、他端にニップルを内蔵したソケット43を介して流体供給第1チューブ(以下単に第1チューブという)44が接続された構成とすることができる。第2の遮断バッグ4bは第1の遮断バッグ4aと同様の構造を有するので、その説明を省略する。
【0021】
[第1の操作部材]
上記第1の遮断バッグ4aを供給管に挿入するために使用される第1の操作部材F1は、図3に示すように第1の遮断バッグ4aが着脱自在に取り付けられるバッグ収容部6aと、第1の遮断バッグ4aへの流体の供給・停止を行う逆止弁部7と、流体供給手段(例えば手押し式エアーポンプ、図示を省略)に接続される流体供給部8を有する。
【0022】
バッグ収容部6aは、短管61aの一端側に非膨張状態の第1の遮断バッグ4aが通過するカプラ62aが固定され、短管61aの他端側にはソケット63aが固定された構造を有する。
【0023】
流体供給部8は、上記ソケット63aの縮径部にねじ込まれる、シール部材82aを内蔵する袋ナット81aとそこに内装される管状のケース83を有する。ケース83の内部には両端部にカプラ84a、89aが装着された流体供給第2チューブ88が挿通されている。ケース83の一端側(逆止弁部7側)の外周部には接続コイル85が固着され、接続コイル85にカプラ84aが内装されている。ケース83の他端側にはケース83の外面をシールするシール部材(不図示)を内蔵するブッシュ86と、第2チューブ88の外面をシールするシール部材(不図示)を内蔵する袋ナット87が装着されている。
【0024】
第1チューブ44a、第2チューブ88およびケース83は、合流継手3を通過後略斜めに折り曲げられて第1の供給管の内部に挿入されるので(図1参照)、可撓性を有する高分子重合体、例えば軟質樹脂{ショアー硬度(D)が30〜70°程度の熱可塑性樹脂(ポリウレタン)又は熱硬化性樹脂(ウレタンエラストマー等)}あるいはエンジニアリングプラスチック(ポリアミド等)で形成することが好ましい。また、ケース83は合流継手3の外部から第1の遮断バッグ4aへ推進力を伝達できるようにするため、例えば、帯状の金属片(例えば数mm幅の炭素鋼)をスパイラル状に巻回することにより形成された金属管の外面を樹脂層で被覆した剛性の大なる可撓管であることが望ましい。
【0025】
逆止弁部7と流体供給部8とを連結する部分の構造を図4(連結前の状態)及び図5(連結後の状態を示す)により説明する。
【0026】
図4に示すように、カプラ84は、接続コイル85の受口に固定された外スリーブ841と、その内面に装着される内スリーブ842と、内スリーブ842の抜け止めを行う止め輪843を有する。内スリーブ842は、先端側(遮断バッグ側)に円周方向に沿って形成された複数の貫通穴に挿入される球体844を有し、その厚さは貫通穴から球体844の一部がはみ出すような寸法に設定されている。球体844を設けることにより、内スリーブ842が軸方向に移動することが阻止される。内スリーブ842は、その後端側に形成された薄肉部842aが接続プラグ845の一端側で、例えばねじ接合により結合されている。接続プラグ845の他端に形成されたタケノコ状のエンド部845aが第2チューブ88に嵌め込まれることにより、流体をカプラ84を経て遮断バッグに供給することが可能となる。
【0027】
内スリーブ842の内径側にはインロー部が形成され、そこに後述する逆止弁部7の先端部を受け取るカラー846のつば部が係止されるとともに、このインロー部にはゴム等の弾性体からなるシールリング847と、有底円筒状の押圧部材848が装着されている。内スリーブ842の薄肉部の内径側には、ガイドリング849が嵌め込まれ、その内周面に沿って押圧部材848が摺動できるようになっている。押圧部材848は、円周方向に沿って複数の連通穴848aと底部外周に形成されたばね座を有し、このばね座と接続リング845の内径側端面との間に圧縮コイルばね851が装着されている。また内スリーブ842の外周と外スリーブ841の内周との間には内スリーブ842を図4で示す位置に保持するために圧縮コイルばね852が介装されている。
【0028】
上記カプラ84に差し込まれる逆止弁部7は、図4に示すように、第1チューブ44aの先端に内装され、弁座として機能するリング状本体71と、これらの間に装着されるリング状スペーサ72と、第1チューブ44aとリング状本体71とを密封するシールリング73と、リング状本体71に着座される弁体74と、弁体74に巻回される圧縮コイルばね75を備えている。
【0029】
この逆止弁部7によれば、流体が第1チューブ44aに供給されたときには、弁体74が遮断バッグ側に移動するので、圧縮コイルばね75が圧縮されて、流体はリング状本体71と弁体74との隙間から第1の遮断バッグ4aに流入するので、第1の遮断バッグ4aが膨張する。流体の供給が停止されると、弁体74は圧縮コイルばね75の復元力により元の位置に復帰して、第1の遮断バッグ4aからの流体の流出(逆流)が阻止され、第1の遮断バッグ4aはその膨張状態が維持される。
【0030】
また逆止弁部7の先端には、流体供給部8に連結できるようにするために、カプラ76が装着されている。このカプラ76は、中央部に第1チューブ44aの端面が当接するフランジ部761を有するプラグ状部材であり、フランジ部761の一方の側には、第1チューブ44aが嵌め込まれるタケノコ状のエンド部762を有する。フランジ部761の他方の側には、カプラ84に差込まれる挿入筒部763を有し、軸方向に沿って第1段差部763a、円弧状断面を有する円周溝763b、山形状断面を有する突状部763c及び第1段差部763aより小径の先端筒部763dが形成されている。
【0031】
カプラ76をカプラ84に向って押し込むことにより、両カプラは次のような動作で図5に示すように連結される。
(a)カプラ76をその端部が押圧部材848の内径側端部(拡径部)に突き当るまでカプラ84に挿入する。
(b)カプラ76をさらに押し込むことにより、押圧部材848は圧縮コイルバネ851が密着する方向に移動する。
(c)このとき、カプラ76の突状部763cによりカラー846が操作部材側に移動するので、球体844の一部が貫通穴848aから内スリーブ842の内径側に飛び出して、カプラ76の円周溝763bに嵌り込む。球体844がこのように移動することにより、内スリーブ842は球体844による拘束状態が解除され、圧縮コイルばね852の復元力により操作部材側に移動し、止め輪843が外スリーブ841の端部内面に形成されたテーパ面に当接する位置で停止する。
【0032】
第1の操作部材F1と第1の遮断バッグ4aが連結された状態で、第1の操作部材F1から遮断バッグ側に流体(例えば圧縮空気)が供給されると、流体は、接続プラグ845を通過し、連通穴848aを経てカプラ84に流入する。ここでシールリング847はカラー846と押圧部材848との間で圧縮されかつ内スリーブ842の内面と先端筒部763dの外面とで圧縮されるので、流体が両カプラの接続部から漏洩することが防止される。次いで流体は、前述したように逆止弁7を通過後第1の遮断バッグ4aに流入するので、この第1の遮断バッグ4aが膨張する。
【0033】
カプラ76とカプラ84との接続を解除する場合(S5参照)は、ケース83を引っ張り(合流継手3から遠ざかる方向に操作)、外スリーブ841を操作部材側に移動させる。その結果、圧縮コイルばね851の復元力により、押圧部材848が遮断バッグ側に移動し、球体844の一部が貫通穴から飛び出して外スリーブ842の端部内面まで移動する。したがってカプラ76の円周溝と球体844による結合が解除されて、カプラ76はカプラ84から取り外すことが可能となる。
【0034】
[第2の操作部材及び第2の遮断バッグ]
第2の遮断バッグ4bを供給管に挿入するために使用される第2の操作部材F2は、図6に示すように第2の遮断バッグ4bが収容されるバッグ収容部6bを有する。第2の遮断バッグ4bは、第1の遮断バッグ4a(図3参照)と同様の構造を有するとともに、第2のバッグ収容部6bの一端側に装着されたカプラ62bに内装された状態で、第2のバッグ収容部6bの他端側に装着されたソケット63bとそこにねじ込まれた、シール部材82bが内蔵された袋ナット81bを挿通する第3チューブ44bの一端側に接続され、第3チューブ44bの他端側はそこに装着されたカプラ89bを介して流体供給手段(不図示)に接続される。したがってこの遮断バッグ4bは、第2の操作部材F2の先端に接続された状態で供給管1の第1の遮断バッグ4aよりも合流継手3に近い側の所定位置まで送り込まれ、その位置で膨張することができる。
【0035】
[施工手順の詳細]
上記の配管部材を使用することにより、図1におけるS4からS6の工程を図6に示す手順で実行することができる。これにより、特にS5〜S6までの工程は従来と大きく異なり、ノーブローバッグを使用せずに実行することができる。図7において、S1、S2及びS7の各工程は図1と同様なので図示を省略し、S3の工程は図1と同様であるが穿孔装置を省略し、S4−1〜S4−3の工程は図1におけるS4の工程に対応し、S6−1、6−2の工程は図1におけるS6の工程に対応する。
【0036】
まず、バッグ挿入孔30にバルブ部5をボール弁54が閉じた状態で設け(S4−1)、一端側に第1の遮断バッグ4aが着脱自在に装着された第1の操作部材F1の一端側をバルブ部5に装着する(S4−2)。次いで、ボール弁54を開弁してから、第1の遮断バッグ4aを第1の供給管1の所定位置まで移動させてその位置でガス供給管1に密着するまで膨張させる(S4−3)。ここでバッグ収容部6の端部(操作部材側)にはシール部材付袋ナット86b(図3参照)が装着されており、ケース83は外面がシールされた状態で摺動され、またケース83の端部はブッシュ86a、袋ナット87aが装着され外部と遮断されるので、ガスが外部に漏洩することが防止される(ノーブローバッグが不要となる)。このとき、流体の供給が停止すると逆止弁部7が作動して、第2チューブ88と第1の遮断バッグ4aとの間の流体の移動が遮断されるので、第1の遮断バッグ4aは流体の供給が停止した後も膨張した状態が保たれる。そして第2チューブ88を第1の遮断バッグ4aから分離して、ケース83とともに合流継手3から引き出し、第1の遮断バッグ4aを第1の供給管1内に残置させてから(S5)、ボール弁54を閉弁し、第1の操作部材F1を第2の操作部材F2に取り替える(S6−1)。ボール弁54を開弁して第2の遮断バッグ4bを第1の供給管1における第2の所定位置まで移動させてその位置で管内面に密着するまで膨張させる(S6−2)。
【0037】
本発明は、上記の実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本実施の形態においては、第1の流路遮断バッグ4a、第2の流路遮断バッグ4bごとに第1の操作部材F1、第2の操作部材F2を設けたが、この方法に限られるものではなく、例えば第1の流路遮断バッグ4aを第1の供給管に残置させた後に、第1の操作部材F1に第2の流路遮断バッグ4bを付け替えてもよく、これにより第2の操作部材F2を省略する(操作部材を共用する)ことができる。
【0038】
また、本実施の形態においては逆止弁部7は第1チューブ44に内装され、端部から圧縮コイルばねの復元力に抗して弁体74を移動させることにより遮断バッグの空気を抜くことができる構造であるがこれに限定されず、例えば逆止弁部を第1チューブ44には組み込まず、第1チューブに着脱自在に別体で設ける構造とすることもできる。この場合、逆止弁部を第1チューブ44から取り外すことで遮断バッグの空気を抜くことができるので、逆止弁部自身に強制的に開弁するための機構を設ける必要が無く簡単な構造にすることができる。例えば、一端に第2チューブと着脱自在なカプラを有し他端に第1チューブに着脱自在なカプラを備える短管の内部に、第2チューブ側に流入口を有し第1チューブ側に虫ゴムが外嵌された弁筒部を有する自転車用などの逆止弁が、密着して装着された逆止弁部材とすることができる。この形態によれば、遮断バッグごとに逆止弁部を備える必要がないので、遮断バッグのコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態に係わる更新工法の主要工程を模式的に示す図である。
【図2】バルブ部を装着した合流継手の断面図である。
【図3】第1の操作部材の断面図である。
【図4】図3の要部を分解して拡大した状態を示す断面図である。
【図5】図3の要部を拡大した状態を示す断面図である。
【図6】第2の操作部材の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係わる更新工法の一部の工程の詳細を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1:第1の供給管、2:第1の供給管、3:合流継手、
4a:第1の遮断バッグ、4b:第2の遮断バッグ、F1:第1の操作部材、F2:第2の操作部材、5:バルブ部、6a:第1のバッグ収容部、6b:第2のバッグ収容部、7:逆止弁部、8:流体供給部、10:旧本支管、11:新本支管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設のガス供給管の途中に装着されかつこのガス供給管に対して斜行する方向にバッグ挿入孔が設けられた合流継手に新設のガス供給管を接続する工程と、前記合流継手の内部で前記既設のガス供給管に穿孔する工程と、前記バッグ挿入孔から前記既設のガス供給管の内部に第1の所定位置まで第1の流路遮断バッグを挿入する工程と、前記バッグ挿入孔から前記第1の所定位置よりも前記合流継手に近い第2の所定位置まで第2の流路遮断バッグを挿入して各位置でガスの流動を遮断する工程と、前記第1の所定位置と前記第2の所定位置との間のガス供給管を切断する工程と、前記第1の流路遮断バッグ及び前記第2の流路遮断バッグを前記ガス供給管から回収する工程と、前記ガス供給管の端部を封止する工程とを含むことを特徴とするガス供給管の更新工法。
【請求項2】
前記バッグ挿入孔に前記流路遮断バッグが通過するバルブ部を設け、流体供給チューブが着脱自在に接続された前記第1の流路遮断バッグを収容する第1のバッグ収容部を含む第1の操作部材の一端側を前記バルブ部に装着し、前記バルブ部を開弁して前記第1の流路遮断バッグを前記第1の所定位置まで移動させてその位置でガス供給管に密着するまで膨張させた後、前記流体供給チューブを前記第1の流路遮断バッグから分離して前記合流継手から引き出して前記バルブ部を閉弁し、前記バルブ部から前記第1の操作部材を取り外し、流体供給チューブが接続された前記第2の流路遮断バッグを収容する第2のバッグ収容部を含む第2の操作部材の一端側を前記バルブ部に装着し、前記バルブ部を開弁して前記第2の流路遮断バッグを前記第2の所定位置まで移動させてその位置でガス供給管に密着するまで膨張させることを特徴とする請求項1に記載のガス供給管の更新工法。
【請求項3】
前記バッグ挿入孔に前記流路遮断バッグが通過するバルブ部を設け、流体供給チューブが着脱自在に接続された前記第1の流路遮断バッグを収容するバッグ収容部を含む操作部材の一端側を前記バルブ部に装着し、前記バルブ部を開弁して前記第1の流路遮断バッグを前記第1の所定位置まで移動させてその位置でガス供給管に密着するまで膨張させた後、前記流体供給チューブを前記第1の流路遮断バッグから分離して前記合流継手から引き出して前記バルブ部を閉弁し、前記バルブ部から前記操作部材を取り外し、前記流体供給チューブに前記第2の流路遮断バッグを着脱自在に装着した後に前記操作部材の一端側を前記バルブ部に再装着し、前記バルブ部を開放して前記第2の流路遮断バッグを前記第2の所定位置まで移動させてその位置でガス供給管に密着するまで膨張させることを特徴とする請求項1に記載のガス供給管の更新工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−127739(P2009−127739A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303227(P2007−303227)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【出願人】(000241902)北海道瓦斯株式会社 (11)
【Fターム(参考)】