説明

ガス切断装置

【課題】ワークを回転させて予め設定された箇所を切断できるガス切断装置を提供する。
【解決手段】ガス切断装置1は、テーブル10と、テーブル10を回転中心軸線Lが上下に延在するように支持する支持台20と、支持台20に支持されたテーブル10を回転させる回転駆動手段と、支持台20の側方位置で切断火口40をワークWに対向させるガス切断器とを備える。支持台20は、回転中心軸線Lを中心として一定の角度間隔を有して互いに隣り合う複数本の支柱21と、回転中心軸線Lを間に介して対向する位置に立設された支柱21の上端部間に架設されて放射状に延在する複数本の交差梁22と、交差梁22の長手方向中央位置に設けられてテーブル10を支持する回転支持手段15、16と、互いに隣り合う支柱21の上端部間に架設される複数本の連結梁23と、連結梁23の長手方向中央位置に設けられてテーブル10の下面に当接する補助ローラ25とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス切断装置に関し、例えば鋳鋼品の本体部分から押湯部分を切断するガス切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワークを回転させながらガス切断するガス切断装置が種々提案されている。
【0003】
例えば、水平にかつ回転可能に支持された2本の平行軸のそれぞれ一端側に固定管受ローラを固定し、各平行軸のそれぞれ他端側に移動管受ローラを軸方向に移動可能に取り付けた管回転支持部と、平行軸の一軸を回転させる駆動部と、管回転支持部に支持された管の壁面からの高さを一定に保つ切断火口を有するガス切断器とを有する切断装置がある(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
この切断装置は、ワークである管を、平行軸の上方から各固定管受ローラの間及び各移動管受ローラの間に載せて、駆動部の回転により管を回転させながら、ガス切断器の切断火口を管の壁面に接近させて管の軸心を結ぶ直線に対して直交する方向に管を切断する。
【0005】
【特許文献1】特開平6−304749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の装置では、平行軸の上方から各固定管受ローラの間及び各移動管受ローラの間に管を載せて、駆動部の回転により平行軸の一軸を回転させ、その平行軸の一軸と一体に回転する固定管受ローラ及び移動管受ローラによって管を回転させる構成を採用する。
【0007】
したがって、ワークの外形が円筒状或いは円柱状であることが必須の条件となり、ワークの外周面に突起物が存在する場合や、ワークの外形が立方体の場合には、ワークを回転させることができず切断ができないという問題を有する。
【0008】
また、ワークが超重量物である場合、平行軸に撓みが生じてワークを安定して回転させることが困難で、ワークの予め設定された箇所を切断できずに、切断面の後加工が煩雑になるおそれがある。
【0009】
本発明は、これらの問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワークを回転させて予め設定された箇所を切断できるガス切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する請求項1に記載の発明によるガス切断装置は、ワークが載せられるテーブルと、テーブルの下方に設けられ、テーブルを回転中心軸線が上下に延在するように回転自在に支持する支持台と、支持台に設けられ、テーブルを回転させる回転駆動手段と、支持台の側方位置に設けられ、切断火口がテーブルに載せられたワークと対向するガス切断器とを備える。
【0011】
そして、支持台は、テーブルの回転中心軸線から径方向に離間し、回転中心軸線を中心として一定の角度間隔を有して互いに隣り合う位置に立設された複数本の支柱と、複数の支柱のうち、回転中心軸線を間に介して対向する位置に立設された支柱の上端部間に架設され、長手方向中央位置で互いに交差結合されて放射状に延在する複数本の交差梁と、交差梁の長手方向中央位置に設けられ、回転中心軸線を中心としてテーブルを回転自在に支持する回転支持手段と、複数の支柱のうち、互いに隣り合う支柱の上端部間に架設され、テーブルの下面に対向する枠体を形成する複数本の連結梁と、連結梁の長手方向中央位置に設けられ、テーブルの下面に当接してテーブルの回転に応じて回転可能に支持された補助ローラとを有することを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、ワークをテーブルに載せて、そのテーブルを上下に延在する回転中心軸線を中心として回転させ、ガス切断器の切断火口をワークの予め設定された切断予定箇所に対向させることにより、ワークを回転させながら切断することができる。したがって、ワークの外形が円筒状或いは円柱状でなくても、ワークを回転させることができ、ワークの予め設定された切断予定箇所を切断することができる。
【0013】
また、テーブルは、交差梁の長手方向中央位置に設けられた回転支持手段によってテーブルの中央位置が支持され、連結梁の長手方向中央位置に設けられた補助ローラによってテーブルの径方向外側位置が支持されている。
【0014】
したがって、テーブルを複数箇所で支持することができ、ワークを載せてテーブルを回転させた際に、テーブルと一体にワークを安定して回転させることができる。したがって、ガス切断器の切断火口をワークの予め設定された切断予定箇所に正確に対向させて切断予定箇所を切断することができ、切断面の後加工を容易なものにすることができる。
【0015】
特に、回転支持手段は、両端が支柱によって支持されて最大撓みが発生する交差梁の長手方向中央位置に設けられ、補助ローラは、両端が支柱によって支持されて最大撓みが発生する連結梁の長手方向中央位置に設けられている。
【0016】
したがって、ワークをテーブルに載せた際に生ずる衝撃エネルギを、テーブルから回転支持手段と補助ローラを介して交差梁と連結梁に分散し、交差梁の撓みと連結梁の撓みによって適切に吸収することができる。したがって、回転支持手段と補助ローラにおける衝撃エネルギの吸収量を低減でき、回転支持手段と補助ローラの長寿命化を図ることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のガス切断装置において、補助ローラは、補助ローラの回転中心軸線がテーブルの回転中心軸線と交差し、補助ローラの外周面がテーブルの下面に接面し、テーブルの回転中心軸線に向かって移行するにしたがって漸次縮径するテーパ形状を有することを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、補助ローラは、その回転中心軸線がテーブルの回転中心軸線と交差し、外周面がテーブルの下面に接面し、テーブルの回転中心軸線に向かって移行するにしたがって漸次縮径するテーパ形状を有する。
【0019】
したがって、テーブルの回転に応じて補助ローラが回転する際に、テーブルの下面と補助ローラの外周面との間に摺動が生じるのを抑制し、テーブルが円滑に回転できるように支持できる。
【0020】
したがって、ワークを載せてテーブルを回転させた際に、テーブルと一体にワークを安定して回転させることができ、ガス切断器の切断火口をワークの予め設定された切断予定箇所に確実に対向させて切断することができる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によると、ワークの外形が円筒状或いは円柱状でなくても、ワークを回転させることができ、ワークの予め設定された切断予定箇所を切断することができる。
【0022】
また、交差梁の長手方向中央位置に設けられた回転支持手段によってテーブルの中央位置を支持し、連結梁の長手方向中央位置に設けられた補助ローラによってテーブルの径方向外側位置を支持して、テーブルを複数箇所で支持するので、ワークを載せてテーブルを回転させた際に、テーブルと一体にワークを安定して回転させることができ、ワークの予め設定された切断予定箇所を正確に切断して、切断面の後加工を容易なものにすることができる。
【0023】
請求項2の発明によると、補助ローラをテーパ形状とすることにより、テーブルの回転に応じて補助ローラが回転する際に、テーブルの下面と補助ローラの外周面との間に摺動が生じるのを抑制し、テーブルが円滑に回転できるように支持できる。したがって、ワークを載せてテーブルを回転させた際に、テーブルと一体にワークを安定して回転させることができ、ガス切断器の切断火口をワークの予め設定された切断予定箇所に確実に対向させて切断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態におけるガス切断装置1の使用状態を示す図、図2は、テーブル10の一部を断面により示した回転テーブル手段2の平面図、図3は、図2のI−I線断面図、図4は、回転テーブル手段2を図2のII−II線断面で矢視した図、図5は、補助ローラの構成を説明する図である。
【0026】
ガス切断装置1は、ワークWを載せて回転させる回転テーブル手段2と、回転テーブル手段2によって回転されるワークWをガス切断するガス切断手段3とを備えている。
【0027】
ガス切断装置1の回転テーブル手段2は、図2に示すように、ワークWが載せられる円盤状のテーブル10と、そのテーブル10の下方でテーブル10を上下に延在する回転中心軸線Lを中心として回転自在に支持する支持台20と、支持台20に支持されたテーブル10を回転させる回転駆動手段30とを有する。
【0028】
テーブル10は、所定の板厚を有する鋳鋼品からなり、図3及び図4に示すように、上面11及び下面12が互いに平行に延在する平面状に形成されている。テーブル10の中心箇所には、開孔部13が形成されており、シャフト部14が挿入されて固定されている。
【0029】
シャフト部14は、テーブル10への固定により、開孔部13を閉塞して上面がテーブル10の上面11と面一に広がる平板部14aと、平板部14aの下面から垂直に突出して中心軸線がテーブル10の回転中心軸線Lと同軸上に延在するボス軸部14bとを有している。
【0030】
ボス軸部14bは、基端側から先端側に向かって2つの段差部を介して縮径する形状を有しており、基端側の太軸部分には回転軸受15が外嵌され、先端側の細軸部分にはスラスト軸受16が外嵌される寸法に設定されている。平板部14aの下面には、回転駆動手段30のピニオンギヤ32と噛合する外歯スプロケット17が取り付けられて、ボス軸部14bと同軸上に位置している。
【0031】
支持台20は、テーブル10が床面Fよりも若干上方の位置で水平に延在するように、基礎工事により床面Fから掘り下げて形成された基礎穴S内に設置されている。基礎穴Sは、図2〜図4に示すように、テーブル10の外径よりも若干小さい内径を有し、予め設定された深さ位置に底面である設置面S1が水平に延在するように形成されている。支持台20は、テーブル10の回転中心軸線Lが基礎穴Sの基礎中心に一致するように設置される。
【0032】
支持台20は、複数本の支柱21、交差梁22、連結梁23によって構成されている。支柱21は、回転中心軸線Lからテーブル10の径方向に離間し、回転中心軸線Lを中心として一定の角度間隔を有して互いに隣り合う位置に立設されている。
【0033】
本実施の形態では、図2に示すように、合計で6本の支柱21を有しており、基礎穴S内で基礎穴Sの基礎中心から基礎穴Sの径方向に一定距離だけ離間し、基礎中心を中心として約60度の角度間隔を有して互いに隣り合う位置に立設されている。支柱21は、下端が基礎穴Sの設置面S1にアンカーボルト(図示せず)で固定されることにより、上端が床面Fよりも若干突出する一定長さの円筒状部材によって構成されている。
【0034】
交差梁22は、上記複数本の支柱21のうち、回転中心軸線Lを間に介して対向する位置に立設された支柱21の上端部間に架設されて水平に延在し、複数本が互いに長手方向中央位置で交差して一体に結合され、全体として放射状に形成されている。
【0035】
本実施の形態では、合計で3本の交差梁22を有しており、各交差梁22は、図2及び図3に示すように、基端が支柱21の上端部に固定され、基端から回転中心軸線Lに向かって水平に延出し、先端がハウジング24に固定された梁部材22aによって構成されている。各梁部材22aは、互いに対向して平行に延在する一対の帯板部分を有する、いわゆるH型鋼材によって構成されており、各々が回転中心軸線Lを中心として約60度の角度間隔を有して互いに隣り合うように配置されている。
【0036】
交差梁22の長手方向中央位置には、ハウジング24が設けられている。ハウジング24は、回転中心軸線Lと同軸上に延在する円柱形状を有しており、その中心には、テーブル10のボス軸部14bを上方から挿入可能な軸支孔24aが穿設されている。軸支孔24aには、回転軸受15とスラスト軸受16とを受ける凹部が形成されている。このハウジング24内の回転軸受15とスラスト軸受16によって、テーブル10を回転中心軸線Lを中心として回転自在に支持する回転支持手段が構成される。
【0037】
連結梁23は、上記複数本の支柱21のうち、互いに隣り合う支柱21の上端部間に架設されて水平に延在し、テーブル10の下面12に対向する枠体を形成する。本実施の形態では、図2に示すように、合計で6本の連結梁23が設けられており、各連結梁23によって正6角形の枠体を形成している。
【0038】
各連結梁23は、いわゆるH型鋼材によって構成されており、一対の帯板部分が上下に離間してそれぞれ上面部23aと下面部23bとを形成するように、各支柱21の上端部間に亘って架設されている。
【0039】
各連結梁23の長手方向中央位置には、補助ローラ25が設けられている。補助ローラ25は、テーブル10の下面12に当接してテーブル10の回転に応じて回転し、テーブル10を下方から支持するものであり、図2に示すように、本実施の形態では、合計で6個の補助ローラ25が設けられている。
【0040】
補助ローラ25は、図5に示すように、軸方向一端側から他端側に向かって移行するにしたがって、漸次縮径するテーパ形状を有している。補助ローラ25には、補助ローラ25の回転中心軸線に沿って貫通する貫通孔25aが穿設されており、その貫通孔25aに挿着された支持軸26によって回転自在に支持されている。
【0041】
支持軸26は、補助ローラ25から突出する軸方向長さを有しており、その軸方向両端部が支持ブラケット27によって支持されている。支持ブラケット27は、連結梁23の長手方向中央位置で、連結梁23の上面部23aに設けられており、間に補助ローラ25を介在させることができる間隔を有して互いに離間する一対の対向壁部27aを有している。
【0042】
支持ブラケット27は、一対の対向壁部27aの間で、補助ローラ25の回転中心軸線がテーブル10の回転中心軸線Lと交差し、補助ローラ25の外周面がテーブル10の下面12に接面する姿勢状態に補助ローラ25を支持している。
【0043】
補助ローラ25のテーパ角度は、補助ローラ25の回転中心軸線が、テーブル10の下面23とテーブル10の回転中心軸線Lとの交差点を通過しかつ補助ローラ25の外周面がテーブル10の下面23に接面するように設定されている。
【0044】
回転駆動手段30は、減速機付きモータ31とピニオンギヤ32を有している。減速機付きモータ31は、連結梁23に突設された取付架台33に、出力軸31aが上方に向かって突出する姿勢状態で取り付けられている。ピニオンギヤ32は、出力軸31aに一体に取り付けられて同軸上に支持されており、外歯スプロケット17と噛合している。
【0045】
減速機付きモータ31は、制御装置(図示せず)によって制御され、電源の供給を受けることにより所定の回転速度で出力軸31aを回転させ、ピニオンギヤ32から外歯スプロケット17に伝達される駆動力によってテーブル10を所定の回転速度で回転させることができる。
【0046】
テーブル10の回転速度は、0rpm〜1rpmの間で調整でき、ワークWの切断予定箇所の切断厚さや切断長さ等に応じて適切な値に設定できるようになっている。また、急な回転開始や回転停止を防ぐために、0rpm〜1rpmまでの加速時間が5秒、1rpm〜0rpmまでの減速時間が5秒に設定されている。
【0047】
ガス切断手段3は、図1に示すように、回転テーブル手段2の側方位置に設けられており、切断火口40を有するガス切断器(図示せず)と、切断火口40を回転テーブル手段2に対して、予め設定されたX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の三方向に移動させる移動装置41とを有している。
【0048】
移動装置41は、前後方向であるX軸方向に移動する走行台車42と、走行台車42に設けられて上下方向であるZ軸方向に移動する上下移動手段43と、上下移動手段43に設けられて左右方向であるY軸方向に移動する左右移動手段44とを有する。
【0049】
回転テーブル手段2のテーブル10の側方位置には、一対の走行レールRが床面Fに沿って互いに平行に敷設されており、走行台車42は、その一対の走行レールR上を走行してX軸方向に移動自在に案内され、所定速度で移動して予め設定された前後位置に停止できる。
【0050】
上下移動手段43は、走行台車42の上部に立設された昇降レール43aによってZ軸方向に移動自在に案内されて、所定速度で移動して予め設定された高さ位置に停止できる。
【0051】
左右移動手段44は、左右方向に延在する棒状の移動部44aを有している。移動部44aは、上下移動手段43にY軸方向に移動自在に支持されており、所定速度で移動して予め設定された左右位置に停止できる。
【0052】
ガス切断器の切断火口40は、左右移動手段44の移動部44aに取り付けられており、ガスをテーブル10の回転中心軸線L1に向かって直交する方向に噴射でき、更に、ガスの噴射方向を所定の角度範囲内で変更できるようになっている。
【0053】
上記ガス切断手段3は、制御装置によって走行台車42、上下移動手段43、左右移動手段44を制御することにより、切断火口40を予め設定された位置に固定した状態でワークWの切断予定箇所を切断し、或いは、切断火口40を予め設定された移動軌跡に沿って移動させながらワークWの切断予定箇所を切断することができる。また、切断中におけるワークWと切断火口40との離間距離を一定に保つように制御することもできる。
【0054】
次に、上記構成を有するガス切断装置1を用いたワークWのガス切断方法について説明する。
【0055】
本実施の形態におけるワークWは、例えば、重量が8トン〜10トンの鋳鋼品であり、具体的にはタイヤモールド用下型ジャケットである。タイヤモールド用下型ジャケットは、車両用タイヤ金型の下型用外径部を構成するものであり、このタイヤモールド用下型ジャケットの内側にタイヤ形状の金型が一体に取り付けられて、車両用タイヤ金型が形成され、冷却機能を持つ金型となる。
【0056】
ワークWは、図1に示すように、軸方向長さよりも径方向長さの方が長い、いわゆる短軸で厚肉円筒状の本体部W1と、本体部W1の上端面から突出する押湯部W2とを有している。押湯部W2は、上端面の周方向に所定間隔をおいて互いに隣り合うように複数個が設けられている。本体部W1の上端面と押湯部W2との連結部分が、ガス切断装置1によって切断される切断予定箇所として設定されている。
【0057】
まず、ガス切断手段3が待避位置に待避した状態で、回転テーブル手段2のテーブル10の上に、ワークWが載せられる。ワークWは、ホイストクレーン等で吊り下げられて搬送され、テーブル10の上方から載せられ、本体部W1の中心軸がテーブル10の回転中心軸線Lと一致するように位置合わせがなされる。
【0058】
次いで、ガス切断手段3の移動装置41によってガス切断器の切断火口40を移動させて、ワークWの径方向外側から切断予定箇所に対向させ、ガスの噴射方向がテーブル10の回転中心軸線Lに向かって直交する方向となるように設定する。
【0059】
そして、切断火口40からのガスの噴射を開始し、回転テーブル手段2のテーブル10を所定の回転速度で回転させる。これにより、切断火口40がワークWの切断予定箇所に沿って移動するようにワークWが回転され、切断火口40から噴射するガスによりワークWの切断予定箇所がガス切断され、本体部W1から押湯部W2が切り離される。
【0060】
上記構成を有するガス切断装置1によれば、ワークWを回転させながら切断することができる。したがって、ワークWの外形が円筒状や円柱状でない場合、或いはワークWの外周面に突起部W3が突設されている場合であってもワークWを回転させることができ、ワークWの予め設定された切断予定箇所を切断することができる。
【0061】
また、テーブル10は、ハウジング24内の回転軸受15とスラスト軸受16によってテーブル10の中央位置にあるボス軸部14bが回転自在に支持され、補助ローラ25によってテーブル10の径方向外側位置が支持されている。
【0062】
したがって、テーブル10を複数箇所で支持することができ、ワークWを載せてテーブル10を回転させた際に、テーブル10と一体にワークWを安定して回転させることができる。したがって、ガス切断器の切断火口40をワークWの予め設定された切断予定箇所に正確に対向させて切断予定箇所を切断することができ、切断面の後加工を容易なものにすることができる。
【0063】
また、本実施の形態におけるガス切断装置1によれば、交差梁22の長手方向中央位置に回転支持手段である回転軸受15とスラスト軸受16が設けられ、連結梁23の長手方向中央位置に補助ローラ25が設けられている。
【0064】
ここで、テーブル10を安定して支持するとの立場からすれば、支柱21の上部に補助ローラ25を設けた方が、テーブル10の回転中心軸線Lからの離間距離が大きくとれるので好ましいと考えることもできる。
【0065】
しかしながら、特に本実施の形態のように、ワークWが大型の鋳鋼品などの超重量物の場合には、ワークWをテーブル10に載置した際に過大な衝撃荷重が補助ローラ25に作用し、そのような衝撃荷重に耐えることができる大きさに、補助ローラ25や支持ブラケット27の大きさを設定する必要があり、サイズが大きくなり、装置全体が大型化するおそれがある。
【0066】
一方、本実施の形態におけるガス切断装置1では、両端が支柱21によって支持されて最大撓みが発生する交差梁22の長手方向中央位置に、回転支持手段である回転軸受15とスラスト軸受16が設けられ、両端が支柱21によって支持されて最大撓みが発生する連結梁23の長手方向中央位置に、補助ローラ25が設けられている。
【0067】
したがって、ワークWをテーブル10に載せた際に生ずる衝撃エネルギを、テーブル10からハウジング24と補助ローラ25を介して交差梁22と連結梁23に分散し、交差梁22の撓みと連結梁23の撓みによって適切に吸収することができる。したがって、ハウジング24内の回転軸受15とスラスト軸受16、及び補助ローラ25による衝撃エネルギの吸収量を低減でき、回転軸受15とスラスト軸受16、及び補助ローラ25の長寿命化を図ることができる。
【0068】
また、本実施の形態におけるガス切断装置1によれば、補助ローラ25は、その回転中心軸線がテーブル10の回転中心軸線Lと交差し、外周面がテーブル10の下面12に接面し、テーブル10の回転中心軸線Lに向かって移行するにしたがって漸次縮径するテーパ形状を有するので、テーブル10の回転に応じて補助ローラ25が回転する際に、テーブル10の下面12と補助ローラ25の外周面との間に摺動が生じるのを抑制し、テーブル10が円滑に回転できるように支持できる。
【0069】
したがって、ワークWを載せてテーブル10を回転させた際に、テーブル10と一体にワークWを安定して回転させることができ、ガス切断器の切断火口40をワークWの予め設定された切断予定箇所に正確に対向させて切断することができ、切断面の後加工を容易なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施の形態におけるガス切断装置の使用状態を示す図である。
【図2】テーブルの一部を断面により示した回転テーブル手段の平面図である。
【図3】図2のI−I線断面図である。
【図4】回転テーブル手段を図2のII−II線断面で矢視した図である。
【図5】補助ローラの構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0071】
1 ガス切断装置
2 回転テーブル手段
3 ガス切断手段
10 テーブル
15 回転軸受(回転支持手段)
16 スラスト軸受(回転支持手段)
20 支持台
21 支柱
22 交差梁
23 連結梁
25 補助ローラ
30 回転駆動手段
40 切断火口
41 移動装置
L 回転中心軸線
W ワーク
W1 本体部
W2 押湯部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが載せられるテーブルと、
該テーブルの下方に設けられ、前記テーブルを回転中心軸線が上下に延在するように回転自在に支持する支持台と、
該支持台に設けられ、前記テーブルを回転させる回転駆動手段と、
前記支持台の側方位置に設けられ、切断火口が前記テーブルに載せられたワークと対向するガス切断器と、を備え、
前記支持台は、
前記テーブルの回転中心軸線から径方向に離間し、前記回転中心軸線を中心として一定の角度間隔を有して互いに隣り合う位置に立設された複数本の支柱と、
該複数の支柱のうち、前記回転中心軸線を間に介して対向する位置に立設された支柱の上端部間に架設され、長手方向中央位置で互いに交差結合されて放射状に延在する複数本の交差梁と、
該交差梁の長手方向中央位置に設けられ、前記回転中心軸線を中心として前記テーブルを回転自在に支持する回転支持手段と、
前記複数の支柱のうち、互いに隣り合う支柱の上端部間に架設され、前記テーブルの下面に対向する枠体を形成する複数本の連結梁と、
該連結梁の長手方向中央位置に設けられ、前記テーブルの下面に当接して前記テーブルの回転に応じて回転可能に支持された補助ローラと、
を有することを特徴とするガス切断装置。
【請求項2】
前記補助ローラは、
該補助ローラの回転中心軸線が前記テーブルの回転中心軸線と交差し、前記補助ローラの外周面が前記テーブルの下面に接面し、前記テーブルの回転中心軸線に向かって移行するにしたがって漸次縮径するテーパ形状を有することを特徴とする請求項1に記載のガス切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−302365(P2008−302365A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148748(P2007−148748)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(396003320)株式会社小月製鋼所 (4)