説明

ガス式ヘアードライヤー

【課題】 操作ツマミがONとOFFの位置間に停止しないようにして、ユーザーの不安感或いは誤解を解消したガス式ヘアードライヤーを提供すること。
【解決手段】 吸吐気口を有するケース2と、ファン9を回動させるモータ8と、ガスボンベ26に接続されたガス流路を開閉する開閉弁21と、ガスを燃焼させるバーナー5と、バーナーの点火を行う点火器6と、スライド移動自在な操作ツマミ39と、を備え、操作ツマミを操作することにより操作機構を介してモータ及び開閉弁並びに点火器の一連のON/OFF制御を行うガス式ヘアードライヤー1において、操作ツマミがON/OFF位置の中途にあるときに、操作ツマミをOFF位置へ強制的に復帰させるバネ部材46が操作機構に連係されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型ボンベに充填したガスを熱源とし小型でコードレス化した携帯に好適なガス式ヘアードライヤーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス式ヘアードライヤー(以下、単にドライヤーという)は、種々のタイプのものが開発されて多くの機種が既に市販されている。この種のドライヤーは、通常、小型ガスボンベをドライヤー本体に装着し、使用時にガスボンベから放出されるガスを燃焼させ、これに電池等の電源で駆動するモータによりファンを回転させて、ファンからの風を燃焼ガスに当てて温風を送風させている。
【0003】
この種のドライヤーは、小型ガスボンベに生ガスが封入されているので、その取り扱いに十分な注意が必要となっている。そのために、ガス燃焼時には、ファンを作動させて送風がなされた状態でドライヤー本体内が異常過熱しないようにされ、また着火動作時にはガスボンベから生ガスが放出されるようになっている。
【0004】
しかしながら、これまでのドライヤーは、最初にガスボンベから生ガスを噴出させて空気と混合させ、この混合ガスを所定温度まで加熱(予熱)し、その後、この混合ガスに着火させるようにしているので、着火動作の前段階でガスを噴出させる必要がある。すなわち、ガスの噴出から着火までの間に混合ガスの加熱を行うための時間が必要となる。このため、着火するまでの間はファン(モータ)の回転を止めて置かなければならない。
【0005】
一方、ドライヤー使用時は、通常のドライヤーと同じ感覚で操作ツマミを操作し、この操作によってモータへの電源供給スイッチをON、ガス流路を開路、点火器に高電圧を印加する等の一連の動作を連続して行わなければならないので、この操作は一つの操作ツマミで行うとすると少なくとも3つの操作工程が必要となる。このため、携帯用として使用するためには本体をできるだけ小型化しなければならないところ、この3つの操作工程を実行できる操作ツマミを設けようとすると、操作ストロークが大きく(長く)なり、このような大きなストロークを確保するには自ずと本体ケースの寸法を大きくしなければならない。また、ガス流路を開閉する開閉弁は、ノーマル状態で閉、操作ツマミの操作時に開としなければならないので、開閉弁の機構から閉状態の保持力が強くなっている。その理由は、例えば、着火意思のない時にハンドルを僅かに握っただけで簡単に開閉弁が開状態になれば危険であり、これを回避するために保持力を強くしなければならないからである。したがって、開閉弁を開状態にする場合は、操作ツマミを強く押圧しなければならず、この操作はユーザーにとって煩わしい操作となる。
【0006】
そこで、これまでのドライヤーがこのような課題を有してしていることから、本願の出願人は、操作ストロークを大きくすることなく操作ツマミの一連の操作によってモータへの通電、ガス流路の開放及び着火を連続して行うことができるドライヤーを開発し、特許出願している(下記特許文献1参照)。なお、図6は下記特許文献1に係るドライヤーの操作ツマミ及びこのツマミに連携した部品の側面図、図7は操作ツマミの動作状態を説明する側面図である。なお、各図面に付した番号は、本発明のドライヤーの図面番号と同じものを使用したので連続番号となっていない。
【0007】
このドライヤーは、その全体構成の図示を省略するが、吐風口と吸気口とを有するケース、このケース内に収設されたバーナー、点火器、モータ及びこのモータにより回転するファン、前記ケースに連結されたハンドル、このケース及びハンドル内に収納された電池及びガスボンベ、前記ハンドル内の電池とモータへの通電を行う作動スイッチ22、ガスボンベとバーナーと間のガス流路を開閉する開閉弁21、前記点火器に高電圧を印加する点火装置、スライド自在な操作ツマミ39、この操作ツマミ39に連係して開閉弁21を開閉するアームレバー32、をそれぞれを備えた構成となっている。
【0008】
そして、アームレバー32は、図6に示すように、略「く」の字形に屈曲されて、この屈曲により形成された山形部33が操作ツマミ39に臨ませ、その一端が回動自在に枢支され他端が遊端となって前記開閉弁21に臨ませ、この遊端により開閉弁21が押圧されてガス流路が開放させるように、アームレバー32の枢支部にアームレバー32の長手方向に延びる長孔38が形成された構成となっている。
【0009】
着火操作時は、操作ツマミ39を図6に示す位置から若干上方にスライド移動させて作動スイッチ22をONさせて、モータに電池電源を供給すると共に、この電池電源を応動体28に印加して開閉弁21を開放しガス流路の開放状態を保持して生ガスをバーナーに供給する。この状態では、操作ツマミ39のスライド移動に伴って作動片42が作動レバー31を押して作動スイッチ22をONにすることで電池電源がモータに供給されてこのモータが回転し、ファンにより吸気口から空気を吸い込むと同時に、凸状部43が作動ピン34を押付けて乗り越える時にアームレバー32の係当片35がスピンドル29を押してガス流路を開放する。このとき操作ツマミ39のスライド移動に伴って凸状部43が作動ピン34を押圧するが、操作ツマミ39のスライド方向は凸状部43が作動ピン34を押し上げる方向にも作用する。
【0010】
この作用によってアームレバー32が若干(長孔38の孔径分)上方に移動し長孔38の下側の孔縁が軸ピン45に当った時点でストップする。したがって、アームレバー32の移動後には作動ピン34と軸ピン45間の距離が長くなり、軸ピン45を軸として回動する距離が長くなる。
【0011】
また、凸状部43が作動ピン34を乗り越えた後も操作ツマミ39の一部がアームレバー32の係当片35を押してスピンドル29を没入させガス流路の開放状態を保持している。この保持により、操作ツマミ39の打撃子41が点火装置の押圧子を押圧するが次のスライド動作は1秒以下の僅かの時間となっている。
【0012】
操作ツマミ39をさらに上側に移動させると、操作ツマミ39の作動片42が作動ピン34を押してさらにスピンドル29を押し下げ、このスピンドル29の押し下げに伴いL形杆30を回動させてシャフト27を引き出し、開閉弁21を開放してガス流路を続けて開放させる。この動作と間をおくことなく操作ツマミ39の打撃子41が点火装置(図示省略)の押圧子を押圧し、点火装置内の高電圧発生機構を作動させて点火器に高電圧を印加して生ガスに着火させる。生ガスへの着火が終わると、操作ツマミ39が元の位置に戻り、L形杆30による開閉弁21の開放がなくなると共に、作動スイッチ22もOFFする。しかし、コントロール基板からの電気信号によってモータへの電池電源の供給を続け、応動体28により開閉弁21の開放を継続される。着火が成功した後は、着火検出装置により、安定した燃焼状態であることを検出すると、コントロール基板から電池電源を応動体28に印加してガス流路の開放状態を保持してバーナーでの燃焼が継続される。
【特許文献1】特開平5−137612号公報(段落〔0031〕〜〔0041〕、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このドライヤーによれば、操作ツマミが小型化されしかも操作ストロークが短くなり一連の連続した操作によってモータへの通電、ガス流路の開放及び着火が連続して行われるので操作性が大幅に改善される。この操作ツマミは、人為的な操作によってON/OFFのいずれかに選択されて、ON位置にあってはモータ、ファンが作動して点火器の燃焼動作の安定した状態が継続され、一方、OFF位置ではモータ、ファン及び点火器のOFF状態が保持される。したがって、この操作ツマミは、基本的にONかOFF位置のいずれかが選択されてONとOFF間の中間位置に停止されることがないように設計されている。
【0014】
しかしながら、この操作ツマミ39は何らかの原因によりONとOFF間の中間位置に停止することがある(図7参照)。その原因としては、例えば、操作ツマミ35、この操作ツマミに連結されたスライド機構、アームレバー32及び作動片42等の個々部品のバラツキ、それらの組み立て誤差或いは経年変化等に起因したもの、或いはこの操作ツマミ39は、スライド機構、作動片42、アームレバー32、L型杆30等を介して作動スイッチ22及び開閉弁21を作動させる構造となっているので、このような構造から操作レバーのONとOFFのそれぞれ位置であっても若干の遊びがあり、この遊びに起因したもの等が挙げられる。
【0015】
操作ツマミ39が中間位置で停止すると、操作ツマミ39に連結された作動片42の山形部43が作動ピン34に当接して開閉弁21の先端部を押し続ける。したがって、操作ツマミがONとOFFの中間位置にあるとき、すなわち、図8に示すように、ポインターPがケースに設けたON表示とOFF表示の間にあるときは、通常、モータ(ファン)が回転し、開閉弁が開き点火器が生ガスに点火してON状態のときと同じ燃焼動作が行われる。この状態は、特に異常状態ではなく、これにより点火、爆発、生ガスの発生、電池の消耗を速めるということはない。しかしながら、操作ツマミがONとOFF間の中間位置に停止しているにも拘わらず、モータ(ファン)が回転し、開閉弁が開き点火器が生ガスに点火してON状態と同じ燃焼動作がされていると、ボンベから生ガスが放出され爆発等が起るのでないかという不安感をユーザーに抱かせ、また故障と誤解させてしまう恐れがある。
【0016】
そこで、本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、例えばドライヤーのケースに表示してあるONとOFFの位置間に操作ツマミが中途半端に停止しないようにして、ユーザーの不安感或いは誤解を解消したガス式ヘアードライヤーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本願の請求項1に記載のガス式へアードライヤーの発明は、吸吐気口を有するケースと、ファンを回動させるモータと、ガスボンベに接続されたガス流路を開閉する開閉弁と、ガスを燃焼させるバーナーと、該バーナーの点火を行う点火器と、スライド移動自在な操作ツマミと、を備え、該操作ツマミを操作することにより操作機構を介して前記モータ及び開閉弁並びに点火器の一連のON/OFF制御を行うガス式ヘアードライヤーにおいて、前記操作ツマミがON/OFF位置の中途にあるときに、該操作ツマミをOFF位置へ強制的に復帰させる復帰部材が前記操作機構に連係されていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のガス式へアードライヤーにおいて、前記復帰部材は引っ張り力を有するバネ体からなり、該バネ体が前記操作機構に連結されていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のガス式へアードライヤーにおいて、前記復帰部材は圧縮力を有するバネ部材からなり、該バネ部材が前記開閉弁を開閉するアームレバーに当接する位置に設けられていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のガス式ヘアードライヤーにおいて、前記アームレバーは、くの字形に屈曲形成され、この屈曲の山形部が前記操作ツマミに臨ませたことを特徴とする。
【0021】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のガス式ヘアードライヤーにおいて、前記復帰部材は圧縮力を有するバネ部材からなり、該バネ部材が前記モータを作動させる作動スイッチに設けられた作動レバーに当接する位置に設けられていることを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載のガス式へアードライヤーの発明は、吸吐気口を有するケースと、ファンを回動させるモータと、ガスボンベに接続されたガス流路を開閉する開閉弁と、ガスを燃焼させるバーナーと、該バーナーの点火を行う点火器と、スライド移動自在な操作ツマミと、を備え、該操作ツマミを操作することにより操作機構を介して前記モータ及び開閉弁並びに点火器の一連のON/OFF制御を行うガス式ヘアードライヤーにおいて、前記操作ツマミがON/OFF位置の中途にあるときに、該操作ツマミをON位置へ強制的に移動させる移動部材が前記操作機構に設けられていることを特徴とする。
【0023】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のガス式へアードライヤーにおいて、前記復帰部材は引っ張り力を有するバネ体からなり、該バネ体が前記操作機構に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明は上記構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏するものである。すなわち、請求項1の発明によれば、操作ツマミを強制的にOFF位置へ復帰させる復帰部材を備えているため、操作ツマミがON位置とOFF位置との中間部等で停止してしまうことがなくなるので、ユーザーに不安感を与えることがないガス式ヘアードライヤーを提供することができる。
【0025】
また、請求項2の発明によれば、請求項1に示した効果に加えて、復帰部材として操作機構に連結されたバネ体を採用することにより、簡単な構成で復帰部材を形成できるとともに、バネ部材として汎用品のスプリング等を使用できるので、部材自体が安価であり、またスペースを占有することもないため、全体として小型化が実現できる。
【0026】
また、請求項3の発明によれば、例えばバネ部材として板バネを採用し、この板バネによってアームレバーを押圧することにより、上記請求項1及び2に示した効果を簡単に得ることが可能となる。
【0027】
また、請求項4の発明によれば、アームレバーをくの字状にし、屈曲した山形部が操作ツマミ側にくるように設けることで、ドライヤーのON/OFF動作が円滑に実現できる操作機構を形成することができる。
【0028】
また、請求項5の発明によれば、例えばバネ部材として板バネを採用し、この板バネによって作動レバーを押圧することにより、上記請求項1及び2に示した効果を簡単に得ることが可能となる。
【0029】
また、請求項6の発明によれば、操作ツマミを強制的にON位置へ移動させる移動部材を備えているため、操作ツマミがON位置とOFF位置との中間部等で停止してしまうことがなくなるので、ユーザーに不安感を与えることがないガス式ヘアードライヤーを提供することができる。
【0030】
また、請求項2の発明によれば、請求項1に示した効果に加えて、移動部材として操作機構に連結されたバネ体を採用することにより、簡単な構成で移動部材を形成できるとともに、バネ部材として汎用品のスプリング等を使用できるので、部材自体が安価であり、またスペースを占有することもないため、全体として小型化が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのガス式ヘアードライヤーを例示するものであって、本発明をこのガス式ヘアードライヤーに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0032】
図1は本発明の実施例1に係るガス式ヘアードライヤー全体の縦断面図、図2は図1のA部分の拡大側面図(なお、この図では点火装置23が省略されている)、図3及び図4は図2に対応した操作ツマミの操作状態を説明する拡大側面図である。
【0033】
ガス式ヘアードライヤー(以下、単にドライヤーという)1は、図1に示すように、外形がピストル型をなし、前方に吐風部3及び後方に吸気部4を有し縦方向の断面形状が円筒形又は楕円形のケース2と、この筒形ケーシング内の吐風部3側に近い位置に配設されたバーナー5と、このバーナー5の近くに固定されて生ガスに点火する点火器(スパークプラグ)6と、バーナー5での燃焼に必要な空気を取り込むエジェクター7と、筒形ケース2内の吸気部4側に近い位置に配設されたモータ8と、を有し、ファン9はモータ8で回転駆動されるようになっている。
【0034】
筒状ケース2の後方寄りの下部には、このケース2と一体の膨出部10が形成されて、その内部に空所11が設けられ、この空所11内に不図示のコントロール基板が取り付けられている。このコントロール基板は、バーナー5の燃焼状態を監視しガス流路の開閉や電池電圧を検圧してモータ8の回転を制御する等のコントロールソフトと、バーナー5の異常過熱時やバーナー5での着火ミスの時にガス流路を閉路するセーフティソフトが組み込まれている。
【0035】
側壁に設けられたランプ12は、空所11内に配置し膨出部の外側からモータ8の回転状態及びバーナー5の着火状態をモニターするものである。ケース2の下部には、このケースの外壁面形状に沿って空間収納部13が形成されて、複数本、例えば4本の単3形電池14が弧状に収納されてそれぞれが直列接続されている。
【0036】
バーナー5の近傍には、着火検出手段15が設けられ、この手段により生ガスに着火したかどうかが検出される。本実施例1ではサーミスタが使用されて着火時のバーナーでの温度上昇が検出される。すなわち、一定時間内に所定温度への上昇があれば着火したものと判断され、温度上昇がなければミス着火であると判断される。実際の着火判断は、前述したコントロール基板に組み込んだ回路により行われる。
【0037】
ハンドル16は、図1に示すように、膨出部10に軸17によって折り曲げ(回動)自在に連結された断面が円形、又は楕円形の筒状体となっている。このハンドル16は、仕切り板18によって内部が上下方向に区画されて上部空間部19と下部空間部20となっている。上部空間部19は、ケース2側に近い位置にあり、バーナー5へのガス流路の開閉弁21と、点火器6への高電圧印加及びモータ8への通断電を行う作動スイッチ22と、点火装置23とが収納されている。
【0038】
下部空間部20は、仕切り板18の反対側が開口部24とされて、仕切り板18はハンドル16内に嵌合し確実に固定した状態で取り付けられた上部空間部19側の延設部と、下部空間部20側の係合部とが一体形成されており、この延設部にはガスホース25が連結され、係合部はガスボンベ26のガス供給部の連結部となっている。
【0039】
次に、上部空間部19内に配設される装置及び機能部品を図2を参照して説明する。開閉弁21は、延設部とバーナー5との間を連結するガスホース25の一部に設けられたガス流路の開閉を行うガスバルブであって、常時、ガス流路は閉路されており、シャフト27が引出されることによりガス流路が開放される。
【0040】
応動体28は、図3に示すように、開閉弁21に近接して配設された電磁バルブであって、その一側に摺動自在で且つ常時突出しているスピンドル29を有し、このスピンドル29は、コントロール基板を介して電池14からの電気エネルギーによって没入されて、開閉弁21のガス流路が開放した状態で保持される。開閉弁21と応動体28の近くには、L形杆30が軸支されている。このL形杆30は、その一端が開閉弁21のシャフト27に係止され、他端がスピンドル29に係止され、図2の状態では開閉弁21に内装されたスプリング(図示省略)によってガス流路が閉路されスピンドル29が突出した状態になっている。すなわち、スピンドル29は、没入状態でガス流路を開路し、突出状態でガス流路を閉路するようになっている。
【0041】
したがって、L形杆30が図2に示す矢印方向に回動した時には、その一端がシャフト27を移動させてガス流路を開路し、他端がスピンドル29が没入すると共に移動する。実施例での動作は、スピンドル29を外力により押圧(没入)することによってL形杆30が回動しシャフト27が移動されてガス流路が開路される。
【0042】
作動スイッチ22は、電池14とモータ8との電気回路及びコントロール基板との電気回路を開閉するもので、作動レバー31の回動によってON/OFFが行われる。また、この作動レバー31は、後述する作動片42のスライド方向に沿って延びており、その先端部が自由端となっている。加えて、この作動レバー31は自由端に向かって徐々に作動スイッチから離反する方向に延びている。
【0043】
この作動レバー31には、作動レバー31の自由端に近接した箇所にバネ部材46(復帰部材)が設けられている。このバネ部材46は、操作レバー39がON/OFFの中間位置に停止されたとき、OFF位置へ強制的に復帰させるために設けられたものであって、先端が屈曲された湾曲部46Aをなし、この湾曲部46Aから延設された脚部46Bを有する板状のバネ板で形成されている。このバネ部材46は、操作レバー39がON/OFFの中間位置に停止されたとき、すなわち、作動レバー31が作動片42により過度に回動された状態で停止したときに、作動レバー31の自由端がバネ部材46の湾曲部46Aが圧接されて、この湾曲による復元力(バネ付勢力)により作動レバー31を押し上げて操作ツマミ39をOFF位置に強制的に復帰させる。
【0044】
アームレバー32は、一端が回動自在に枢支され、他端が遊端となり、「く」の字型をなし、屈曲した中間の山形部33には作動ピン34が一体に形成されており、他端には常に応動体28のスピンドル29の先端に向いた係当片35が設けられている。アームレバーの山形部33、は後述する操作ツマミ39に臨ませており、このツマミの操作に連係している。このアームレバー32は、その一端の枢支部37にこのレバーの長手方向に沿って長孔38が形成されている。
【0045】
点火装置23は例えば圧電素子からなり、図3に示すように、押圧子40が押し付けられることにより圧電効果によって高電圧を発生させて点火器6で放電させて生ガスに着火させる。なお、他の点火装置を使用してもよい。
【0046】
操作ツマミ39は、操作ハンドル16の前面壁に沿って上下スライド自在にして取り付けられている。この操作ツマミ39には、作動スイッチ22のON/OFF操作、アームレバー32の作動ピン34を押圧して応動体28のスピンドル29を没入させ同時L形杆30を介してシャフト27を移動させガス流路を開閉する操作するための構成を有しており、押圧子40を作動して高電圧を発生させる打撃子41と、作動スイッチ22に係当する作動片42と、アームレバー32を作動する凸条部43を有し、その前側に一体形成した操作突起44を移動することにより、作動スイッチ22をONにしてモータ8を回転させ、ガス流路を開放して点火器6から高電圧を発生させた後、即時に生ガスに着火しバーナー5で燃焼させる。このように操作ツマミ39の操作によって、作動スイッチ22及び開閉弁21が作動されるが、これらを作動させる作動レバー31、アームレバー32及び凸条部43等が操作機構となっている。
【0047】
次に、バーナーへの着火動作について図1〜図4を参照して説明する。
【0048】
先ず、前述の通り、ガス流路が閉路し、電池からの電源が供給されない図2の状態について述べると、操作ツマミ39の操作突起44は最も下側の位置にあり、操作ツマミ39の作動片42は作動レバー31に当接及び押圧せず、凸条部43は作動ピン34の下側にあり、しかも係当片35はスピンドル29を押していないためL形杆30は会同しておらず、シャフト27は没入した状態となっている。したがって、作動スイッチ22はOFF、開閉弁21及び応動体28は共にガス流路を閉止している。また、この状態では、長孔38が軸ピン45の下方にありアームレバー32の全体が下っている。
【0049】
着火操作は、図3に示すように、操作ツマミ39を若干上方にスライドさせ作動スイッチ22をONにしてモータ8に電池14の電源を供給する。同時に電池の電源を応動体28に印加して開閉弁21の開放状態を保持し生ガスをバーナー5に供給する。
【0050】
この状態では、操作ツマミ39のスライド動作に伴って作動片42が作動レバー31を押して作動スイッチ22をONにすることで電池14の電源がモータ8に供給され、モータが回転しファン9により吸気口4から空気を吸い込む。この吸い込みと同時に、凸条部43が作動ピン34を押し付けて乗り越える時にアームレバー32の係当片35がスピンドル29を押してガス流路を開放する。
【0051】
このとき、作動ピン34が凸条部43を乗り越えられず、途中で停止しまうことがある。この場合は、作動片42より作動レバー31が過度に押圧された状態となっており、作動レバー31の自由端がバネ部材46の湾曲部46Aを圧縮するようになっているため、この圧縮されたバネ部材46の復元力により作動レバー31が押し上げられ、これに伴って作動片42が作動レバー42の上面に沿って下方へ移動され、以って操作ツマミ39がOFF位置に強制的に復帰される。これにより、ユーザーの不安が解消される。
【0052】
一方、操作ツマミ39のスライドに伴って凸条部43が作動ピン34を押圧するわけであるが、操作ツマミ39のスライド方向は凸条部43が作動ピン34を押し上げる方向にも作用する。この作用によってアームレバー32が若干(長孔の孔径)上方に移動し長孔38の下側の孔縁が軸ピン45に当った時点でストップする。
【0053】
従って、アームレバー32の移動後には作動ピン34と軸ピン45間の距離が長くなり、軸ピン45を軸として回動する距離が長くなる。即ち、同じ操作ツマミ39のスライド長さであってもアームレバー32の移動ストロークが長くなる。
【0054】
なお、凸条部43が作動ピン34を乗り越えた後も操作ツマミ39の一部がアームレバー32の係当片35を押してスピンドル29を没入させガス流路の開放状態を保持する。また、操作ツマミ39の打撃子41が点火装置23の押圧子40を押圧するが次のスライド動作は1秒以下の僅かの時間である。
【0055】
操作ツマミ39を
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の位置からさらに上側に移動させると、図4に示すように、操作ツマミ39の作動片42が作動ピン34を押してさらにスピンドル29を押し下げ、このスピンドルの押し下げに伴いL形杆30を回動させてシャフト27を引き出し、開閉弁21を開放してガス流路を続けて開放する。この動作と間をおくことなく操作ツマミ39の打撃子41が点火装置23の押圧子40を押圧し、点火装置23内の高電圧発生機構を作動させて点火器6に高電圧を印加して生ガスに着火される。
【0056】
操作ツマミ39を最も上側にスライドさせた図4の状態から押圧子40を押圧した後は、押圧子自体の復帰力により操作ツマミ39が
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の位置まで押し戻される。
【0057】
一方、生ガスへの着火が終わると、前述のように操作ツマミ39が元の位置に戻り、L形杆30による開閉弁21の開放がなくなると共に、作動スイッチ22もOFFするが、コントロール基板からの電気信号によってモータへの電池電源の供給を続け、応動体28により開閉弁21の開放を継続させる。着火が成功した後は、着火検出装置15により、安定した燃焼状態であることを検出すると、コントロール基板から電池の電源が応動体28に印加されてガス流路の開放状態が保持されてバーナーでの燃焼が継続される。
【実施例2】
【0058】
次に、図5を参照して本発明の実施例2に係るガス式ヘアードライヤーを説明する。なお、図5は操作ツマミ及びこの操作ツマミに連係されて操作機構を示した側面図である。また、実施例2に係るガス式ヘアードライヤーは、実施例1のドライヤーと同じ構成を有しているので、共通する構成には同一の符号を付して重複説明を省き、異なる構成についてのみ詳述する。
【0059】
このドライヤーは、操作ツマミ39のスライド移動方向に所定のバネ力を有するバネ部材を設けた構成を有している。バネ部材は、一対の第1、第2バネ体47A、47Bからなり、第1バネ体47Aは、第2バネ体47Bをより伸張力(引っ張り力)を弱くし、操作ツマミ39がON/OFFの途中で停止したときに、第1バネ体47Aのバネ力によりOFF位置へ強制的に復帰させる。また、第1、第2バネ体のバネ力を逆にして、操作ツマミ39がON/OFFの途中で停止したときに、第2バネ体47Bのバネ力によりON位置へ強制的に移動させることも可能である。なお、バネ部材として一対の第1、第2バネ体を設けたが、いずれか一方のバネ体でもよい。この構成によれば、復帰部材にスプリング状のバネ体を使用できるので、ケース内への収納が簡単にできる。
【0060】
また、上記実施例1及び2において示した構成の他にも復帰部材については種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施例1において示した復帰部材としてのバネ部材46は作動スイッチ22の作動レバー31によって圧縮される構成となっているが、これに代えてアームレバー32を操作ツマミ39側に付勢するようにアームレバー32の作動ピン34に当接するバネ部材を設けても実施例1と同様の効果を奏することが可能である。
【0061】
更にまた、上記実施例1及び2においては、ガス式ヘアードライヤー1をピストル型のものとして説明したが、ピストル型ではなく、より小型化が可能な形状、具体的には本出願人が既に出願している特開2006−25906号公報に開示されているような形状のドライヤーにも当然適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は本発明の実施例1に係るガス式ヘアードライヤー全体の縦断面図である。
【図2】図2は図1のA部分の拡大側面図である。
【図3】図3は操作ツマミの操作状態を説明する側面図である。
【図4】図4は操作ツマミの操作状態を説明する側面図である。
【図5】図5は本発明の実施例2に係るガス式ヘアードライヤー全体の縦断面図である。
【図6】図6は従来技術のドライヤーの操作ツマミ及びこのツマミに連携された部品の側面図である。
【図7】図7は操作ツマミの動作状態を説明する側面図である。
【図8】図8は操作ツマミの表示を示す平面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 ドライヤー
2 ケース
3 吐風口
4 吸気口
5 バーナー
6 点火器
8 モータ
9 ファン
14 電池
16 ハンドル
21 開閉弁
22 作動スイッチ
23 点火装置
26 ガスボンベ
32 アームレバー
33 山形部
37 枢支部
38 長孔
39 操作ツマミ
45 軸ピン
46 バネ部材
47A、47B バネ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸吐気口を有するケースと、ファンを回動させるモータと、ガスボンベに接続されたガス流路を開閉する開閉弁と、ガスを燃焼させるバーナーと、該バーナーの点火を行う点火器と、スライド移動自在な操作ツマミと、を備え、該操作ツマミを操作することにより操作機構を介して前記モータ及び開閉弁並びに点火器の一連のON/OFF制御を行うガス式ヘアードライヤーにおいて、前記操作ツマミがON/OFF位置の中途にあるときに、該操作ツマミをOFF位置へ強制的に復帰させる復帰部材が前記操作機構に連係されていることを特徴とするガス式へアードライヤー。
【請求項2】
前記復帰部材は引っ張り力を有するバネ体からなり、該バネ体が前記操作機構に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のガス式へアードライヤー。
【請求項3】
前記復帰部材は圧縮力を有するバネ部材からなり、該バネ部材が前記開閉弁を開閉するアームレバーに当接する位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガス式へアードライヤー。
【請求項4】
前記アームレバーは、くの字形に屈曲形成され、この屈曲の山形部が前記操作ツマミに臨ませたことを特徴とする請求項3に記載のガス式ヘアードライヤー。
【請求項5】
前記復帰部材は圧縮力を有するバネ部材からなり、該バネ部材が前記モータを作動させる作動スイッチに設けられた作動レバーに当接する位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガス式ヘアードライヤー。
【請求項6】
吸吐気口を有するケースと、ファンを回動させるモータと、ガスボンベに接続されたガス流路を開閉する開閉弁と、ガスを燃焼させるバーナーと、該バーナーの点火を行う点火器と、スライド移動自在な操作ツマミと、を備え、該操作ツマミを操作することにより操作機構を介して前記モータ及び開閉弁並びに点火器の一連のON/OFF制御を行うガス式ヘアードライヤーにおいて、前記操作ツマミがON/OFF位置の中途にあるときに、該操作ツマミをON位置へ強制的に移動させる移動部材が前記操作機構に設けられていることを特徴とするガス式へアードライヤー。
【請求項7】
前記復帰部材は引っ張り力を有するバネ体からなり、該バネ体が前記操作機構に連結されていることを特徴とする請求項6に記載のガス式へアードライヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−119160(P2008−119160A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304786(P2006−304786)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)