ガス放電管および表示装置
【課題】表示用のガス放電管に関し、特に、端部における発光低下を抑制した表示用ガス放電管を提供する。
【解決手段】ガス放電管11は、細管の内部に電子放出膜5及び蛍光体層4が形成されかつ放電ガスが封入され、表示面側に複数対の表示電極が配置され、背面側に信号電極が配置される。細管の内部に長手方向に伸びる細長い支持部材6が挿入されている。支持部材は内側に放電空間を形成するように湾曲した形状を有し、支持部材はその長手方向に伸びる両端縁6teを有し、支持部材の内面に蛍光体層4が形成されている。支持部材はその長手方向の両端部にそれぞれ端部壁602を有し、端部壁および湾曲した形状によって支持部材の内側に細長い凹所が形成される。
【解決手段】ガス放電管11は、細管の内部に電子放出膜5及び蛍光体層4が形成されかつ放電ガスが封入され、表示面側に複数対の表示電極が配置され、背面側に信号電極が配置される。細管の内部に長手方向に伸びる細長い支持部材6が挿入されている。支持部材は内側に放電空間を形成するように湾曲した形状を有し、支持部材はその長手方向に伸びる両端縁6teを有し、支持部材の内面に蛍光体層4が形成されている。支持部材はその長手方向の両端部にそれぞれ端部壁602を有し、端部壁および湾曲した形状によって支持部材の内側に細長い凹所が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示用のガス放電管に関し、特に、端部における発光低下を抑制した表示用ガス放電管に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)は、縦横の多数の小セルの閉じた放電空間内でプラズマ放電を生じさせ、放電プラズマから放出される147nmの紫外光で蛍光体を励起して発光させる。そのセル空間は、重ね合わせた2枚の平板のガラスの間に形成される。一方、例えば特開2003−92085号公報(A)(特許文献1)に記載されているようなプラズマ・チューブ・アレイ(PTA)では、細長いガラス・チューブ内に蛍光体層を形成し、そのチューブ内に多数のセル空間を形成する。そのようなプラズマ・チューブを多数並置したプラズマ・チューブ・アレイを縦横に組み立てることによって、例えば6m×3mの大型の表示画面を形成することができる。
【特許文献1】特開2003−92085号公報
【0003】
特開2006−164635号公報(特許文献2)には、ガス放電管の製造方法および表示装置が記載されている。そのガス放電管の製造方法によれば、低融点ガラス粉末とバインダ樹脂とを含む軟性体たる乾燥膜が支持体に配置される。ガラス管の開口した端面を乾燥膜に圧接し、外周形状がガラス管の外周形状と一致する乾燥膜と乾燥膜とに分断する。次に、ガラス管を引き上げることにより、ガラス管の端面側に、管口を閉塞する乾燥膜が転写形成される。乾燥膜を転写形成した端面の反対側から、蛍光体支持部材をガラス管の内部へ挿入し、蛍光体支持部材の端部を乾燥膜に粘着する。高温炉内で乾燥膜を焼成することによってバインダ樹脂を焼失させてガラス化し、低融点ガラス層とする。
【特許文献2】特開2006−164635号公報
【0004】
特開2006−140075号公報(特許文献3)には、ガス放電管の製造方法および表示装置が記載されている。ガス放電管は、放電空間を形成する細管の内部に電子放出膜が形成され、その細管の表示面に表示電極対が配置され、その細管の背面に信号電極が配置される。その表示面とその背面の間の中央よりその表示面寄りの位置にその表示面を向き電子放出膜が形成された面部分が設けられている。それによって、ガス放電管の放電開始電圧を低減できる。
【特許文献3】特開2006−140075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プラズマ・チューブの大型の表示装置を前面側および背面側の支持基板の間に配置された大きいサイズの1つのプラズマ・チューブ・アレイだけで作製するのは、表示装置の製造上実際的でない。表示装置の組立が容易なプラズマ・チューブ・アレイの分割された複数のユニットまたはモジュールを製作し、それらのユニットを隣接配置することによって1つの大型の表示装置を有利に形成することができる。
【0006】
発明者たちは、隣接するプラズマ・チューブ・アレイの間の継ぎ目付近の放電管の端部において画像の明るさまたは輝度が低くなることを認識した。
【0007】
本発明の目的は、ガス放電管の端部付近における明るさの低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴によれば、ガス放電管は、細管の内部に電子放出膜及び蛍光体層が形成されかつ放電ガスが封入され、表示面側に複数対の表示電極が配置され、背面側に信号電極が配置される。その細管の内部にその細管の長手方向に伸びる細長い支持部材が挿入されている。その支持部材は内側に放電空間を形成するように湾曲した形状を有し、その支持部材はその長手方向に伸びる両端縁を有し、その支持部材の内面にその蛍光体層が形成されている。その支持部材はその長手方向の両端部にそれぞれ端部壁を有し、その端部壁およびその湾曲した形状によってその支持部材の内側に細長い凹所が形成される。
【0009】
また、本発明は、複数の上述のようなガス放電管を具えた表示装置に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガス放電管の端部付近における明るさの低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
【0012】
図1は、通常のカラー表示装置10のプラズマ・チューブまたはガス放電管11R、11Gおよび11Bのアレイの概略的な部分的構造を例示している。図1において、表示装置10は、互いに平行に配置された透明な細長いカラー・プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bのアレイ、透明な前面側の支持シートまたは薄い基板からなる前面側支持基板31、透明なまたは不透明な背面側の支持シートまたは薄い基板からなる背面側支持基板32、複数の表示電極対または主電極対2、および複数の信号電極またはアドレス電極3を含んでいる。図1において、Xは表示電極2のうちの維持電極またはX電極を示し、Yは表示電極2のうちの走査電極またはY電極を示している。R,GおよびBは蛍光体の発光色である赤、緑および青を示している。支持基板31および32は、例えば可撓性のPETフィルム、ガラス等で作られている。
【0013】
細長いプラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの細管20は、例えばホウケイ酸ガラス、パイレックス(登録商標)、ソーダガラス、石英ガラスまたはゼロデュアのような透明な絶縁体で作製され、典型的には、管径が2mm以下であり、例えば、管の断面の幅約1mmおよび高さ約0.6mmであり、長さが300mm以上であり、管壁の厚さ約0.1mmの寸法を有する。
【0014】
プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの内部の背面側には、赤、緑、青(R、G、B)の蛍光体層4をそれぞれ形成した支持部材6がそれぞれ挿入されて配置され、放電ガスが導入されて、両端が封止されている。プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの内面にはMgOからなる電子放出膜5が形成されている。蛍光体層R、G、Bは、典型的には、約10μm〜約30μmの範囲の厚さを有する。
【0015】
支持部材6は、長手方向に垂直な断面が概ねU字状またはC字状の形状である全体的に樋状またはボート状の形状を有する。支持部材6は、プラズマ・チューブ11R、11G、11Bと同様に、例えばホウケイ酸ガラス、パイレックス(登録商標)、石英ガラス、ソーダガラス、鉛ガラスのような絶縁体で作製され、この支持部材6上に蛍光体層4が形成されている。支持部材6は、ガラス管の外部で、支持部材6上に蛍光体ペーストを塗布し、それを焼成して支持部材6上に蛍光体層4を形成した後、その支持部材6をガラス管内に挿入して配置することができる。蛍光体ペーストは、当該分野で公知の各種の蛍光体ペーストを利用することができる。
【0016】
電子放出膜5は、イオンとの衝突により電子を発生する。表示電極対2に電圧を印加すると、管内に封入された放電ガスが励起され、その励起希ガス原子の脱励起過程で発生する真空紫外光によって、蛍光体層4が可視光を発生する。
【0017】
図2Aは、透明な複数の表示電極対2が形成された前面側支持基板31を示している。図2Bは、複数の信号電極3が形成された背面側支持基板32を示している。
【0018】
信号電極3は、背面側支持基板32の前面すなわち内面上に形成され、プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの長手方向に沿って設けられている。隣接する信号電極3間のピッチは、プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの各々の幅と同じであり、例えば1mmである。複数の表示電極対2は、周知の形態で前面側支持基板31の背面すなわち内面上に形成され、信号電極3と直角に交差する方向に配置されている。表示電極2の幅は例えば0.75mmであり、各1対の表示電極2の端縁間の距離は例えば0.4mmである。表示電極対2と隣の表示電極対2の間には、非放電領域となる距離または非放電ギャップが確保され、その距離は例えば1.1mmである。
【0019】
信号電極3と表示電極対2は、表示装置10の組み立て時にプラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの下側の外周面部分と上側の外周面部分にそれぞれ密着するように接触させる。その密着性を良くするために、それぞれの電極とプラズマ・チューブ面との間に接着剤を介在させて接着してもよい。
【0020】
この表示装置10を正面から平面的にみた場合、信号電極3と表示電極対2との交差部が単位発光領域となる。表示は、表示電極対2のいずれか1本を走査電極として用い、その走査電極と信号電極3との交差部で選択放電を発生させて発光領域を選択し、その放電により当該領域の管内面に形成された壁電荷を利用して、表示電極対2で表示放電を発生させ、蛍光体層を発光させることによって行う。選択放電は、垂直方向に対向する走査Y電極と信号電極3との間のプラズマ・チューブ11R、11Gおよび11B内で発生される対向放電である。表示放電は、平面上に平行に配置された1対の表示電極間のプラズマ・チューブ11R、11Gおよび11B内で発生される面放電である。
【0021】
表示電極対2と信号電極3は、電圧を印加することによって管内部の放電ガスに放電を発生させることが可能である。図1では、プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの電極構造は、1つの発光部位に3つの電極が配置された構成であり、表示電極対によって表示放電が発生される構造であるが、これに限定されるものではなく、表示電極2と信号電極3の間で表示放電が発生される構造であってもよい。即ち、表示電極対2を1本とし、この表示電極2を走査電極として用いて信号電極3との間に選択放電と表示放電(対向放電)を発生させる形式の電極構造であってもよい。
【0022】
図3は、表示装置10のプラズマ・チューブ・アレイ11の管の長手方向に垂直な断面の構造を示している。表示装置10において、プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bは、その中の背面側の支持部材6R、6Gおよび6Bの内面に蛍光体層4R、4Gおよび4Bが形成されており、断面幅1.0mm、断面高さ0.6mm、管壁の厚さ0.1mm、および長さ1m〜3mの細管からなる。一実施例として、赤の蛍光体4Rはイットリア系((Y.Ga)BO3:Eu)の材料を含み、緑の蛍光体4Gはジンクシリケート系(Zn2SiO4:Mn)の材料を含み、青の蛍光体4BはBAM系(BaMgAl10O17:Eu)の材料を含む。
【0023】
図3において、プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの底面には、粘着剤層34を介して背面側支持基板32が接着されている。プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの底面に、および背面側支持基板32の上面に信号電極3R、3Gおよび3Bが配置されている。
【0024】
図4は、プラズマ・チューブ・アレイ(PTA)ユニット300、アドレス(A)電極ドライバ装置400、X電極ドライバ装置500およびY電極ドライバ装置600を具える通常のプラズマ・チューブ・アレイ型の表示装置100を示している。PTAユニット300において、n対の表示電極2(X1,Y1)、...、(Xj,Yj)、...(Xn,Yn)の中のX電極は、X電極ドライバ装置500のX電極用の維持電圧パルス回路(SST)50に接続され、その中のY電極はY電極ドライバ装置600の走査パルス回路(SCN)70に接続される。m本の信号電極3A1、...、Ai、...Amは、A電極ドライバ装置400に接続される。X電極ドライバ装置500はさらにリセット回路51を含んでいる。Y電極ドライバ装置600はさらに維持電圧パルス回路60およびリセット回路61を含んでいる。ドライバ制御回路(CTRL)42が、A電極ドライバ装置400、X電極ドライバ装置500およびY電極ドライバ装置600に接続される。
【0025】
次に、一般的なプラズマ・チューブ・アレイ型のAC型ガス放電表示装置の駆動法の一例について説明する。1つのピクチャ(映像)は典型的には1フレーム期間で構成されており、インターレース型走査では1フレームが2つのフィールドで構成され、プログレッシブ型走査では1フレームが1つのフィールドで構成されている。また、通常のテレビジョン方式による動画表示のためには1秒間に30または60フレームの表示が必要である。そこでこの種ガス放電表示装置10による表示では、2値の発光制御によって階調を持ったカラー再現を行うために、典型的にはそのような1フィールドFをq個のサブフィールドSFの集合に置き換える。しばしば、これらサブフィールドSFに順に20,21,22,...2q−1等の異なる重みを付けて各サブフィールドSFの表示放電の回数を設定する。サブフィールド単位の発光/非発光の組合せでR,GおよびBの各色毎にN(=1+21+22+...+2q−1 )段階の輝度設定を行うことができる。このようなフィールド構成に合わせてフィールド転送周期であるフィールド期間Tfをq個のサブフィールド期間Tsfに分割し、各サブフィールドSFに1つのサブフィールド期間Tsfを割り当てる。さらに、サブフィールド期間Tsfを、初期化のためのリセット期間TR、アドレッシングのためのアドレス期間TA、および維持放電による発光のための表示期間TSに分ける。典型的には、リセット期間TRおよびアドレス期間TAの長さが重みに係わらず一定であるのに対し、表示期間TSにおけるパルス数は重みが大きいほど多く、表示期間TSの長さは重みが大きいほど長い。この場合、サブフィールド期間Tsfの長さも、該当するサブフィールドSFの重みが大きいほど長い。
【0026】
図5は、通常の表示装置の組み立てに用いられる2つのプラズマ・チューブ・アレイ(PTA)ユニット300および302を示している。PTAユニット300と302は、PTAユニット300の垂直方向に配置されたプラズマ・チューブ110の下端とPTAユニット302の垂直方向に配置された対応するプラズマ・チューブ112上端とが互いに接触するように配置される。
【0027】
発明者たちは、プラズマ・チューブまたはガス放電管11、110、112の端部において明るさが低くなることを発見した。発明者たちは、ガス放電管の端部における明るさの低下を防止することによって、隣接するPTAユニット300と302の上下のプラズマ・チューブ・アレイ11、110、112の継ぎ目付近における明るさの低下または画像の不自然さ(アーティファクト)を抑制することができる、と認識した。
【0028】
発明者たちは、プラズマ・チューブまたはPTAユニットの製造工程および運搬においてそれを扱っているときに、そのプラズマ・チューブの各端部において、支持部材に形成された蛍光体が、別の部材との接触、擦れまたはその衝撃によって部分的に剥がれ落ちることがあることを発見した。発明者たちは、そのような蛍光体が部分的に欠落した端部の放電セルでは、内部の放電空間において放電が生じても発光量が少なくまたは殆どないことがある、と認識した。
【0029】
また、発明者たちは、そのような蛍光体が部分的に欠落した端部の放電セルでは、例えば帯電特性および線間容量(キャパシタンス)のような放電条件が変化して、放電開始電圧が上昇することがある、と認識した。発明者たちは、プラズマ・チューブの端部の放電セルの放電開始電圧がその他の放電セルより高いと、端部の放電セルが放電し損ないまたは弱い発光しか生じさせないことがある、と認識した。
【0030】
図6は、本発明の実施形態による、図3のものに対応するプラズマ・チューブ・アレイ11(11R、11G、11B)の底側面図を示している。この図において、説明のために、プラズマ・チューブ・アレイ11の底端部の外壁を切り欠いて示している。この図における各プラズマ・チューブ11は、図7Aおよび7Bのプラズマ・チューブ11の線VI−VIに沿った断面図である。
【0031】
プラズマ・チューブ11内の支持部材6(6R、6G、6B)の長手方向の両方の端部には、概ねU字状若しくはC字状または概ね半円状若しくは半楕円状の端部壁602が設けられている。
【0032】
図7Aは、本発明の実施形態による、図6のプラズマ・チューブまたはガス放電管11(11R、11G、11B)の線VIIA−VIIAに沿った部分断面図を示している。図7Bは、図7Aのプラズマ・チューブ11の長手方向の線VIIB−VIIBに沿った部分断面図を示している。
【0033】
支持部材6は、内側に放電空間を形成するようにプラズマ・チューブ11の内面形状と概ね整合する湾曲した面形状または輪郭(contour)を有する。支持部材6の湾曲した形状およびその両端部壁602によって支持部材6の内側に細長い凹所または放電空間が形成される。
【0034】
プラズマ・チューブ11は、長手方向の両端部に外壁112を有する。外壁112の厚さは、プラズマ・チューブ11の細管200(図1)の管壁の厚さと概して同じかまたはそれより幾分か厚くてもよく、例えば0.1mm〜0.15mmである。支持部材6の端部壁602の厚さTwは、支持部材6の他の部分の厚さと概して同じかまたはそれより幾分か厚くてもよく、例えば0.1mm〜0.15mmである。
【0035】
各端部壁602の上端縁602teは、図9Aにおいて支持部材6の長手方向に伸びる上端縁6teと概して同じ垂直方向の位置または高さ(レベル)にある。
【0036】
端部壁602の存在によって、支持部材6の端部または端部壁602が例えばプラズマ・チューブ11の内面または外壁112のような別の部材と接触、擦れまたは衝突しても、それによって支持部材6の端部付近の蛍光体層4が剥落するのを防ぐことができる。また、端部壁602によって、蛍光体層4の部分的な欠落によって生じる端部壁602付近の放電セルの放電開始電圧の上昇を防止または抑制することができる。それによって、支持部材6の端部における蛍光体層4の部分的欠落によるプラズマ・チューブ11の端部付近における明るさの低下が防止できる。
【0037】
端部壁602は、支持部材6と同じ材料または低融点のガラス材料でできており、端部壁602の形状を有する別個のガラス・チップを支持部材6の端部の内面に直接または低融点ガラス材料を介して融着することによって取り付けられる。端部壁602が取り付けられた支持部材6の内面全体に通常の方法で蛍光体層4が形成される。
【0038】
図8Aは、図7Aおよび7Bのプラズマ・チューブ11の変形形態であり、本発明の別の実施形態による、図8Bのプラズマ・チューブ11の長手方向の線VIIIA−VIIIAに沿った部分断面図を示している。図8Bは、図7Aのプラズマ・チューブ11の長手方向の線VIIIB−VIIIBに沿った部分断面図を示している。
【0039】
プラズマ・チューブ11内の支持部材64の両端部には、図6、7Aおよび7Bの端部壁602と概ね類似した形状の端部壁604が設けられている。但し、図7Aにおける端部壁604の上端縁604teの垂直方向の位置または高さは、支持部材62の上端縁6teの垂直方向の位置または高さより差Dd(例えば、0.1mm)だけ低くなるように寸法が調整されている。それによって、端部壁604の寸法形状(dimensions)が支持部材64の両端部の寸法形状に与える影響が小さくなる。支持部材64の全体の寸法形状は、プラズマ・チューブ11の内部寸法形状に適合するよう寸法が調整されているので、端部壁604の寸法形状が部分的にでも大きいことは、プラズマ・チューブ1の構造上望ましくない。図6において、端部壁602の上端縁602teと比較した、プラズマ・チューブ・アレイ11の底側面図における端部壁604の上端縁604teの位置が破線で示されている。支持部材64のその他の構成は、図6、7Aおよび7Bの支持部材6のものと同様である。
【0040】
端部壁604の存在によって、支持部材64の端部または端部壁604が例えばプラズマ・チューブ11の内面または外壁112のような別の部材と接触、擦れまたは衝突しても、それによって支持部材64の端部付近の蛍光体4が剥落するのを防ぐことができる。また、端部壁604によって、蛍光体層4の部分的な欠落によって生じる端部壁604付近の放電セルの放電開始電圧の上昇を防止または抑制することができる。それによって、支持部材64の端部における蛍光体層4の部分的欠落によるプラズマ・チューブ11の端部付近における明るさの低下が防止できる。
【0041】
図9Aは、図7Aおよび7Bのプラズマ・チューブ11の別の変形形態であり、本発明のさらに別の実施形態による、図9Bのプラズマ・チューブ11の長手方向の線IXA−IXAに沿った部分断面図を示している。図9Bは、図9Aのプラズマ・チューブ11の長手方向の線IXB−IXBに沿った部分断面図を示している。
【0042】
プラズマ・チューブ11内の支持部材62の両端には、図6、7Aおよび7Bのものと同様の端部壁602が設けられている。この場合、端部壁602の内面には、支持部材6の内面の蛍光体4の厚さと概ね同じ厚さの蛍光体層402が形成されている。蛍光体層402は、支持部材6の内面への蛍光体4の形成と同時に、端部壁602の内側に形成すればよい。
【0043】
端部壁602の存在によって、支持部材62の端部または端部壁602が別の部材と接触、擦れまたは衝突しても、それによって端部壁602の内面の蛍光体層402および支持部材6の端部付近の蛍光体4が剥落するのを防ぐことができる。また、端部壁602によって、蛍光体層4の部分的な欠落によって生じる端部壁602付近の放電セルの放電開始電圧の上昇を防止または抑制することができる。それによって、支持部材62の端部における蛍光体層4および蛍光体層602の部分的欠落によるプラズマ・チューブ11の端部付近における明るさの低下が防止できる。
【0044】
図6、7Aおよび7Bの支持部材6の端部付近では、プラズマ・チューブ11の外壁112および端部壁602の存在によって内部の放電空間が小さくなり、最も端部に近い表示電極2の外側に蛍光体層4の広がりがなく、従って放電による発光が少なく明るさが低下する傾向がある。これに対して、図9Aおよび9Bの支持部材62では、端部壁602の内側の蛍光体層602によって、端部壁602付近の蛍光体面積を増やすことができ、それによって、支持部材62の端部付近の内部空間における放電による充分な発光が確保され、その端部付近の明るさの低下が充分に抑制され補償される。
【0045】
図10Aは、図8Aおよび8Bおよび9Aおよび9Bのプラズマ・チューブ11の変形形態であり、本発明のさらに別の実施形態による、図10Bのプラズマ・チューブ11の長手方向の線XA−XAに沿った部分断面図を示している。図10Bは、図10Aのプラズマ・チューブ11の長手方向の線XB−XBに沿った部分断面図を示している。
【0046】
プラズマ・チューブ11内の支持部材64の両端には、図8Aおよび8Bのものと同様の寸法形状の端部壁604が設けられている。それによって、端部壁604の寸法形状が支持部材64の両端部の寸法形状に与える影響が小さくなる。この場合、図9Aおよび9Bの蛍光体層402と同様に、端部壁604の内面には、支持部材6の内面の蛍光体4の厚さと概ね同じ厚さの蛍光体層404が形成されている。蛍光体層404は、支持部材6の内面への蛍光体4の形成と同時に、端部壁604の内側に形成すればよい。
【0047】
端部壁604の存在によって、支持部材64の端部または端部壁604が別の部材と接触、擦れまたは衝突しても、それによって支持部材64の端部付近の蛍光体4が剥落するのを防ぐことができる。また、端部壁604によって、蛍光体層4の部分的な欠落によって生じる放電開始電圧の上昇を防止または抑制することができる。それによって、支持部材64の端部における蛍光体層4および蛍光体層604の部分的欠落によるプラズマ・チューブ11の端部付近における明るさの低下が防止できる。
【0048】
図8Aおよび8Bの支持部材6の端部付近では、プラズマ・チューブ11の外壁112および端部壁602の存在によって内部の放電空間が小さくなり、最も端部に近い表示電極2の外側に蛍光体層4の広がりがなく、従って放電による発光が少なく明るさが低下する傾向がある。これに対して、図10Aおよび10Bの支持部材64では、端部壁604の内側の蛍光体層604によって、端部壁604付近の蛍光体面積を増やすことができ、それによって、支持部材64の端部付近の内部空間における放電による充分な発光が確保され、その端部付近の明るさの低下が充分に抑制され補償される。
【0049】
図11Aは、本発明の実施形態による、プラズマ・チューブまたはガス放電管11のアレイの概略的な部分的構造の平面図を示している。図11Bは、図11Aのプラズマ・チューブまたはガス放電管11のアレイの線XIB−XIBに沿った断面図を示している。
【0050】
プラズマ・チューブ11内の支持部材64の両端部には、図10Aおよび10Bのものと同様の寸法形状の端部壁604および蛍光体層404が、設けられている。
【0051】
代替構成として、図11Aおよび11Bのプラズマ・チューブ11として、図7Aおよび7B、図8Aおよび8B、または図9Aおよび9Bのものを使用してもよい。
【0052】
端部壁604と外壁112の合計の厚さは、例えば0.2〜0.6mmの厚さを有する。従って、図5の隣接する2つのPTAユニット300および302の間の継ぎ目付近の2つの端部壁604と2つの外壁112の合計の厚さは、例えば0.4〜1.2mmの厚さを有する。
【0053】
プラズマ・チューブ11の外壁112および支持部材64の端部壁604の付近の領域BR(例えば、BR=0.5mmの距離)は、表示のための放電に寄与しない。
【0054】
プラズマ・チューブ11内の支持部材6の内側に放電空間を形成し良好な空間電荷を形成するために、表示電極2の外側端縁は、端部壁604(602)の内面より少なくとも僅かな距離Dsw(例えば、約10μm〜約50μm)だけ長手方向の内側に位置することが好ましい。それによって、充分な放電空間が確保される。
【0055】
プラズマ・チューブ11の外壁112の外面とプラズマ・チューブ11の端部付近の表示電極2の外側端縁との間の端部非放電領域の距離Desは、表示電極対2の間の逆スリット幅または非放電領域の距離Dsより小さいことが好ましく、例えば0.4mm〜6mmである。端部非放電領域の距離Desは、非放電領域の距離Ds(例えば、0.9mm〜1.5mm)の概して2分の1またはそれより僅かに小さいことが好ましい。それによって、隣接するPTAユニット300と302のプラズマ・チューブ・アレイ11または110と102の継ぎ目における画像の歪みが防止される。
【0056】
長手方向に隣接する2つのプラズマ・チューブ11のアレイの間の継ぎ目に最も近いそれぞれの表示電極2の間の距離Ds’は、各プラズマ・チューブ11における表示電極対2の間の非放電領域の距離Dsと実質的に同じであることが好ましい。それによって、隣接するPTAユニット300と302の継ぎ目における画像の歪みが防止される。
【0057】
図11Aおよび11Bに示したような複数のガス放電管11を用いて、図5のPTAユニット300および302を構成する場合、隣接する2つのPTAユニット300および302のうちの一方のユニット300に配置された第1グループのガス放電管110の第1の端部110eが、他方のユニット302に配置された第2グループのガス放電管112の第2の端部112eと接触するように配置される。
【0058】
第1グループのガス放電管110の第1の端部110eの近傍にある表示電極2と第2グループのガス放電管112の第2の端部112eの近傍にある表示電極2の間の距離Ds’は、第1グループまたは第2のグループのガス放電管110または112の各ガス放電管11における隣接する2対の表示電極2の間の距離Dsと実質的に等しい。それによって、隣接するPTAユニット300および302の継ぎ目における画像の歪みが防止される。
【0059】
プラズマ・チューブ11の外壁112および支持部材64の端部壁604の付近の領域BR(例えばBR=0.5mmの距離)は、表示のための発光に寄与しない。しかし、端部壁604の内面の蛍光体層404の存在によって、支持部材64の端部壁604の付近の放電セルCeは、他の放電セルCcと概して同様の明るさを有することができる。図9Aおよび9Bの支持部材62の端部壁602の蛍光体層402でも同様である。
【0060】
以上説明した実施形態は典型例として挙げたに過ぎず、その各実施形態の構成要素を組み合わせること、その変形およびバリエーションは当業者にとって明らかであり、当業者であれば本発明の原理および請求の範囲に記載した発明の範囲を逸脱することなく、実施形態の種々の変形を行えることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、通常のカラー表示装置のプラズマ・チューブまたはガス放電管のアレイの概略的な部分的構造を例示している。
【図2】図2Aは、透明な複数の表示電極対が形成された前面側支持基板を示している。図2Bは、複数の信号電極または信号電極が形成された背面側支持基板を示している。
【図3】図3は、PTAユニットのプラズマ・チューブ・アレイの管の長手方向に垂直な断面の構造を示している。
【図4】図4は、PTAユニット、アドレス(A)電極ドライバ装置、X電極ドライバ装置およびY電極ドライバ装置を具える通常のプラズマ・チューブ・アレイ型の表示装置を示している。
【図5】図5は、通常の表示装置の組み立てに用いられる2つのPTAユニットを示している。
【図6】図6は、本発明の実施形態による、図3のものに対応するプラズマ・チューブ・アレイの底側面図を示している。
【図7】図7Aは、本発明の実施形態による、図6のプラズマ・チューブまたはガス放電管の線VIIA−VIIAに沿った部分断面図を示している。図7Bは、図7Aのプラズマ・チューブの長手方向の線VIIB−VIIBに沿った部分断面図を示している。
【図8】図8Aは、図7Aおよび7Bのプラズマ・チューブの変形形態であり、本発明の別の実施形態による、図8Bのプラズマ・チューブの長手方向の線VIIIA−VIIIAに沿った部分断面図を示している。図8Bは、図7Aのプラズマ・チューブの長手方向の線VIIIB−VIIIBに沿った部分断面図を示している。
【図9】図9Aは、図7Aおよび7Bのプラズマ・チューブの別の変形形態であり、本発明の別の実施形態による、図9Bのプラズマ・チューブの長手方向の線IXA−IXAに沿った部分断面図を示している。図9Bは、図9Aのプラズマ・チューブの長手方向の線IXB−IXBに沿った部分断面図を示している。
【図10】図10Aは、図8Aおよび8Bおよび9Aおよび9Bのプラズマ・チューブの変形形態であり、本発明のさらに別の実施形態による、図10Bのプラズマ・チューブの長手方向の線XA−XAに沿った部分断面図を示している。図10Bは、図10Aのプラズマ・チューブの長手方向の線XB−XBに沿った部分断面図を示している。
【図11】図11Aは、本発明の実施形態による、プラズマ・チューブまたはガス放電管のアレイの概略的な部分的構造の平面図を示している。図11Bは、図11Aのプラズマ・チューブまたはガス放電管のアレイの線XB−XBに沿った断面図を示している。
【符号の説明】
【0062】
11 プラズマ・チューブ
4 蛍光体層
6 支持部材
602 支持部材の端部壁
6te 支持部材の上端縁
602te 端部壁の上端縁
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示用のガス放電管に関し、特に、端部における発光低下を抑制した表示用ガス放電管に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)は、縦横の多数の小セルの閉じた放電空間内でプラズマ放電を生じさせ、放電プラズマから放出される147nmの紫外光で蛍光体を励起して発光させる。そのセル空間は、重ね合わせた2枚の平板のガラスの間に形成される。一方、例えば特開2003−92085号公報(A)(特許文献1)に記載されているようなプラズマ・チューブ・アレイ(PTA)では、細長いガラス・チューブ内に蛍光体層を形成し、そのチューブ内に多数のセル空間を形成する。そのようなプラズマ・チューブを多数並置したプラズマ・チューブ・アレイを縦横に組み立てることによって、例えば6m×3mの大型の表示画面を形成することができる。
【特許文献1】特開2003−92085号公報
【0003】
特開2006−164635号公報(特許文献2)には、ガス放電管の製造方法および表示装置が記載されている。そのガス放電管の製造方法によれば、低融点ガラス粉末とバインダ樹脂とを含む軟性体たる乾燥膜が支持体に配置される。ガラス管の開口した端面を乾燥膜に圧接し、外周形状がガラス管の外周形状と一致する乾燥膜と乾燥膜とに分断する。次に、ガラス管を引き上げることにより、ガラス管の端面側に、管口を閉塞する乾燥膜が転写形成される。乾燥膜を転写形成した端面の反対側から、蛍光体支持部材をガラス管の内部へ挿入し、蛍光体支持部材の端部を乾燥膜に粘着する。高温炉内で乾燥膜を焼成することによってバインダ樹脂を焼失させてガラス化し、低融点ガラス層とする。
【特許文献2】特開2006−164635号公報
【0004】
特開2006−140075号公報(特許文献3)には、ガス放電管の製造方法および表示装置が記載されている。ガス放電管は、放電空間を形成する細管の内部に電子放出膜が形成され、その細管の表示面に表示電極対が配置され、その細管の背面に信号電極が配置される。その表示面とその背面の間の中央よりその表示面寄りの位置にその表示面を向き電子放出膜が形成された面部分が設けられている。それによって、ガス放電管の放電開始電圧を低減できる。
【特許文献3】特開2006−140075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プラズマ・チューブの大型の表示装置を前面側および背面側の支持基板の間に配置された大きいサイズの1つのプラズマ・チューブ・アレイだけで作製するのは、表示装置の製造上実際的でない。表示装置の組立が容易なプラズマ・チューブ・アレイの分割された複数のユニットまたはモジュールを製作し、それらのユニットを隣接配置することによって1つの大型の表示装置を有利に形成することができる。
【0006】
発明者たちは、隣接するプラズマ・チューブ・アレイの間の継ぎ目付近の放電管の端部において画像の明るさまたは輝度が低くなることを認識した。
【0007】
本発明の目的は、ガス放電管の端部付近における明るさの低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴によれば、ガス放電管は、細管の内部に電子放出膜及び蛍光体層が形成されかつ放電ガスが封入され、表示面側に複数対の表示電極が配置され、背面側に信号電極が配置される。その細管の内部にその細管の長手方向に伸びる細長い支持部材が挿入されている。その支持部材は内側に放電空間を形成するように湾曲した形状を有し、その支持部材はその長手方向に伸びる両端縁を有し、その支持部材の内面にその蛍光体層が形成されている。その支持部材はその長手方向の両端部にそれぞれ端部壁を有し、その端部壁およびその湾曲した形状によってその支持部材の内側に細長い凹所が形成される。
【0009】
また、本発明は、複数の上述のようなガス放電管を具えた表示装置に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガス放電管の端部付近における明るさの低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
【0012】
図1は、通常のカラー表示装置10のプラズマ・チューブまたはガス放電管11R、11Gおよび11Bのアレイの概略的な部分的構造を例示している。図1において、表示装置10は、互いに平行に配置された透明な細長いカラー・プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bのアレイ、透明な前面側の支持シートまたは薄い基板からなる前面側支持基板31、透明なまたは不透明な背面側の支持シートまたは薄い基板からなる背面側支持基板32、複数の表示電極対または主電極対2、および複数の信号電極またはアドレス電極3を含んでいる。図1において、Xは表示電極2のうちの維持電極またはX電極を示し、Yは表示電極2のうちの走査電極またはY電極を示している。R,GおよびBは蛍光体の発光色である赤、緑および青を示している。支持基板31および32は、例えば可撓性のPETフィルム、ガラス等で作られている。
【0013】
細長いプラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの細管20は、例えばホウケイ酸ガラス、パイレックス(登録商標)、ソーダガラス、石英ガラスまたはゼロデュアのような透明な絶縁体で作製され、典型的には、管径が2mm以下であり、例えば、管の断面の幅約1mmおよび高さ約0.6mmであり、長さが300mm以上であり、管壁の厚さ約0.1mmの寸法を有する。
【0014】
プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの内部の背面側には、赤、緑、青(R、G、B)の蛍光体層4をそれぞれ形成した支持部材6がそれぞれ挿入されて配置され、放電ガスが導入されて、両端が封止されている。プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの内面にはMgOからなる電子放出膜5が形成されている。蛍光体層R、G、Bは、典型的には、約10μm〜約30μmの範囲の厚さを有する。
【0015】
支持部材6は、長手方向に垂直な断面が概ねU字状またはC字状の形状である全体的に樋状またはボート状の形状を有する。支持部材6は、プラズマ・チューブ11R、11G、11Bと同様に、例えばホウケイ酸ガラス、パイレックス(登録商標)、石英ガラス、ソーダガラス、鉛ガラスのような絶縁体で作製され、この支持部材6上に蛍光体層4が形成されている。支持部材6は、ガラス管の外部で、支持部材6上に蛍光体ペーストを塗布し、それを焼成して支持部材6上に蛍光体層4を形成した後、その支持部材6をガラス管内に挿入して配置することができる。蛍光体ペーストは、当該分野で公知の各種の蛍光体ペーストを利用することができる。
【0016】
電子放出膜5は、イオンとの衝突により電子を発生する。表示電極対2に電圧を印加すると、管内に封入された放電ガスが励起され、その励起希ガス原子の脱励起過程で発生する真空紫外光によって、蛍光体層4が可視光を発生する。
【0017】
図2Aは、透明な複数の表示電極対2が形成された前面側支持基板31を示している。図2Bは、複数の信号電極3が形成された背面側支持基板32を示している。
【0018】
信号電極3は、背面側支持基板32の前面すなわち内面上に形成され、プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの長手方向に沿って設けられている。隣接する信号電極3間のピッチは、プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの各々の幅と同じであり、例えば1mmである。複数の表示電極対2は、周知の形態で前面側支持基板31の背面すなわち内面上に形成され、信号電極3と直角に交差する方向に配置されている。表示電極2の幅は例えば0.75mmであり、各1対の表示電極2の端縁間の距離は例えば0.4mmである。表示電極対2と隣の表示電極対2の間には、非放電領域となる距離または非放電ギャップが確保され、その距離は例えば1.1mmである。
【0019】
信号電極3と表示電極対2は、表示装置10の組み立て時にプラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの下側の外周面部分と上側の外周面部分にそれぞれ密着するように接触させる。その密着性を良くするために、それぞれの電極とプラズマ・チューブ面との間に接着剤を介在させて接着してもよい。
【0020】
この表示装置10を正面から平面的にみた場合、信号電極3と表示電極対2との交差部が単位発光領域となる。表示は、表示電極対2のいずれか1本を走査電極として用い、その走査電極と信号電極3との交差部で選択放電を発生させて発光領域を選択し、その放電により当該領域の管内面に形成された壁電荷を利用して、表示電極対2で表示放電を発生させ、蛍光体層を発光させることによって行う。選択放電は、垂直方向に対向する走査Y電極と信号電極3との間のプラズマ・チューブ11R、11Gおよび11B内で発生される対向放電である。表示放電は、平面上に平行に配置された1対の表示電極間のプラズマ・チューブ11R、11Gおよび11B内で発生される面放電である。
【0021】
表示電極対2と信号電極3は、電圧を印加することによって管内部の放電ガスに放電を発生させることが可能である。図1では、プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの電極構造は、1つの発光部位に3つの電極が配置された構成であり、表示電極対によって表示放電が発生される構造であるが、これに限定されるものではなく、表示電極2と信号電極3の間で表示放電が発生される構造であってもよい。即ち、表示電極対2を1本とし、この表示電極2を走査電極として用いて信号電極3との間に選択放電と表示放電(対向放電)を発生させる形式の電極構造であってもよい。
【0022】
図3は、表示装置10のプラズマ・チューブ・アレイ11の管の長手方向に垂直な断面の構造を示している。表示装置10において、プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bは、その中の背面側の支持部材6R、6Gおよび6Bの内面に蛍光体層4R、4Gおよび4Bが形成されており、断面幅1.0mm、断面高さ0.6mm、管壁の厚さ0.1mm、および長さ1m〜3mの細管からなる。一実施例として、赤の蛍光体4Rはイットリア系((Y.Ga)BO3:Eu)の材料を含み、緑の蛍光体4Gはジンクシリケート系(Zn2SiO4:Mn)の材料を含み、青の蛍光体4BはBAM系(BaMgAl10O17:Eu)の材料を含む。
【0023】
図3において、プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの底面には、粘着剤層34を介して背面側支持基板32が接着されている。プラズマ・チューブ11R、11Gおよび11Bの底面に、および背面側支持基板32の上面に信号電極3R、3Gおよび3Bが配置されている。
【0024】
図4は、プラズマ・チューブ・アレイ(PTA)ユニット300、アドレス(A)電極ドライバ装置400、X電極ドライバ装置500およびY電極ドライバ装置600を具える通常のプラズマ・チューブ・アレイ型の表示装置100を示している。PTAユニット300において、n対の表示電極2(X1,Y1)、...、(Xj,Yj)、...(Xn,Yn)の中のX電極は、X電極ドライバ装置500のX電極用の維持電圧パルス回路(SST)50に接続され、その中のY電極はY電極ドライバ装置600の走査パルス回路(SCN)70に接続される。m本の信号電極3A1、...、Ai、...Amは、A電極ドライバ装置400に接続される。X電極ドライバ装置500はさらにリセット回路51を含んでいる。Y電極ドライバ装置600はさらに維持電圧パルス回路60およびリセット回路61を含んでいる。ドライバ制御回路(CTRL)42が、A電極ドライバ装置400、X電極ドライバ装置500およびY電極ドライバ装置600に接続される。
【0025】
次に、一般的なプラズマ・チューブ・アレイ型のAC型ガス放電表示装置の駆動法の一例について説明する。1つのピクチャ(映像)は典型的には1フレーム期間で構成されており、インターレース型走査では1フレームが2つのフィールドで構成され、プログレッシブ型走査では1フレームが1つのフィールドで構成されている。また、通常のテレビジョン方式による動画表示のためには1秒間に30または60フレームの表示が必要である。そこでこの種ガス放電表示装置10による表示では、2値の発光制御によって階調を持ったカラー再現を行うために、典型的にはそのような1フィールドFをq個のサブフィールドSFの集合に置き換える。しばしば、これらサブフィールドSFに順に20,21,22,...2q−1等の異なる重みを付けて各サブフィールドSFの表示放電の回数を設定する。サブフィールド単位の発光/非発光の組合せでR,GおよびBの各色毎にN(=1+21+22+...+2q−1 )段階の輝度設定を行うことができる。このようなフィールド構成に合わせてフィールド転送周期であるフィールド期間Tfをq個のサブフィールド期間Tsfに分割し、各サブフィールドSFに1つのサブフィールド期間Tsfを割り当てる。さらに、サブフィールド期間Tsfを、初期化のためのリセット期間TR、アドレッシングのためのアドレス期間TA、および維持放電による発光のための表示期間TSに分ける。典型的には、リセット期間TRおよびアドレス期間TAの長さが重みに係わらず一定であるのに対し、表示期間TSにおけるパルス数は重みが大きいほど多く、表示期間TSの長さは重みが大きいほど長い。この場合、サブフィールド期間Tsfの長さも、該当するサブフィールドSFの重みが大きいほど長い。
【0026】
図5は、通常の表示装置の組み立てに用いられる2つのプラズマ・チューブ・アレイ(PTA)ユニット300および302を示している。PTAユニット300と302は、PTAユニット300の垂直方向に配置されたプラズマ・チューブ110の下端とPTAユニット302の垂直方向に配置された対応するプラズマ・チューブ112上端とが互いに接触するように配置される。
【0027】
発明者たちは、プラズマ・チューブまたはガス放電管11、110、112の端部において明るさが低くなることを発見した。発明者たちは、ガス放電管の端部における明るさの低下を防止することによって、隣接するPTAユニット300と302の上下のプラズマ・チューブ・アレイ11、110、112の継ぎ目付近における明るさの低下または画像の不自然さ(アーティファクト)を抑制することができる、と認識した。
【0028】
発明者たちは、プラズマ・チューブまたはPTAユニットの製造工程および運搬においてそれを扱っているときに、そのプラズマ・チューブの各端部において、支持部材に形成された蛍光体が、別の部材との接触、擦れまたはその衝撃によって部分的に剥がれ落ちることがあることを発見した。発明者たちは、そのような蛍光体が部分的に欠落した端部の放電セルでは、内部の放電空間において放電が生じても発光量が少なくまたは殆どないことがある、と認識した。
【0029】
また、発明者たちは、そのような蛍光体が部分的に欠落した端部の放電セルでは、例えば帯電特性および線間容量(キャパシタンス)のような放電条件が変化して、放電開始電圧が上昇することがある、と認識した。発明者たちは、プラズマ・チューブの端部の放電セルの放電開始電圧がその他の放電セルより高いと、端部の放電セルが放電し損ないまたは弱い発光しか生じさせないことがある、と認識した。
【0030】
図6は、本発明の実施形態による、図3のものに対応するプラズマ・チューブ・アレイ11(11R、11G、11B)の底側面図を示している。この図において、説明のために、プラズマ・チューブ・アレイ11の底端部の外壁を切り欠いて示している。この図における各プラズマ・チューブ11は、図7Aおよび7Bのプラズマ・チューブ11の線VI−VIに沿った断面図である。
【0031】
プラズマ・チューブ11内の支持部材6(6R、6G、6B)の長手方向の両方の端部には、概ねU字状若しくはC字状または概ね半円状若しくは半楕円状の端部壁602が設けられている。
【0032】
図7Aは、本発明の実施形態による、図6のプラズマ・チューブまたはガス放電管11(11R、11G、11B)の線VIIA−VIIAに沿った部分断面図を示している。図7Bは、図7Aのプラズマ・チューブ11の長手方向の線VIIB−VIIBに沿った部分断面図を示している。
【0033】
支持部材6は、内側に放電空間を形成するようにプラズマ・チューブ11の内面形状と概ね整合する湾曲した面形状または輪郭(contour)を有する。支持部材6の湾曲した形状およびその両端部壁602によって支持部材6の内側に細長い凹所または放電空間が形成される。
【0034】
プラズマ・チューブ11は、長手方向の両端部に外壁112を有する。外壁112の厚さは、プラズマ・チューブ11の細管200(図1)の管壁の厚さと概して同じかまたはそれより幾分か厚くてもよく、例えば0.1mm〜0.15mmである。支持部材6の端部壁602の厚さTwは、支持部材6の他の部分の厚さと概して同じかまたはそれより幾分か厚くてもよく、例えば0.1mm〜0.15mmである。
【0035】
各端部壁602の上端縁602teは、図9Aにおいて支持部材6の長手方向に伸びる上端縁6teと概して同じ垂直方向の位置または高さ(レベル)にある。
【0036】
端部壁602の存在によって、支持部材6の端部または端部壁602が例えばプラズマ・チューブ11の内面または外壁112のような別の部材と接触、擦れまたは衝突しても、それによって支持部材6の端部付近の蛍光体層4が剥落するのを防ぐことができる。また、端部壁602によって、蛍光体層4の部分的な欠落によって生じる端部壁602付近の放電セルの放電開始電圧の上昇を防止または抑制することができる。それによって、支持部材6の端部における蛍光体層4の部分的欠落によるプラズマ・チューブ11の端部付近における明るさの低下が防止できる。
【0037】
端部壁602は、支持部材6と同じ材料または低融点のガラス材料でできており、端部壁602の形状を有する別個のガラス・チップを支持部材6の端部の内面に直接または低融点ガラス材料を介して融着することによって取り付けられる。端部壁602が取り付けられた支持部材6の内面全体に通常の方法で蛍光体層4が形成される。
【0038】
図8Aは、図7Aおよび7Bのプラズマ・チューブ11の変形形態であり、本発明の別の実施形態による、図8Bのプラズマ・チューブ11の長手方向の線VIIIA−VIIIAに沿った部分断面図を示している。図8Bは、図7Aのプラズマ・チューブ11の長手方向の線VIIIB−VIIIBに沿った部分断面図を示している。
【0039】
プラズマ・チューブ11内の支持部材64の両端部には、図6、7Aおよび7Bの端部壁602と概ね類似した形状の端部壁604が設けられている。但し、図7Aにおける端部壁604の上端縁604teの垂直方向の位置または高さは、支持部材62の上端縁6teの垂直方向の位置または高さより差Dd(例えば、0.1mm)だけ低くなるように寸法が調整されている。それによって、端部壁604の寸法形状(dimensions)が支持部材64の両端部の寸法形状に与える影響が小さくなる。支持部材64の全体の寸法形状は、プラズマ・チューブ11の内部寸法形状に適合するよう寸法が調整されているので、端部壁604の寸法形状が部分的にでも大きいことは、プラズマ・チューブ1の構造上望ましくない。図6において、端部壁602の上端縁602teと比較した、プラズマ・チューブ・アレイ11の底側面図における端部壁604の上端縁604teの位置が破線で示されている。支持部材64のその他の構成は、図6、7Aおよび7Bの支持部材6のものと同様である。
【0040】
端部壁604の存在によって、支持部材64の端部または端部壁604が例えばプラズマ・チューブ11の内面または外壁112のような別の部材と接触、擦れまたは衝突しても、それによって支持部材64の端部付近の蛍光体4が剥落するのを防ぐことができる。また、端部壁604によって、蛍光体層4の部分的な欠落によって生じる端部壁604付近の放電セルの放電開始電圧の上昇を防止または抑制することができる。それによって、支持部材64の端部における蛍光体層4の部分的欠落によるプラズマ・チューブ11の端部付近における明るさの低下が防止できる。
【0041】
図9Aは、図7Aおよび7Bのプラズマ・チューブ11の別の変形形態であり、本発明のさらに別の実施形態による、図9Bのプラズマ・チューブ11の長手方向の線IXA−IXAに沿った部分断面図を示している。図9Bは、図9Aのプラズマ・チューブ11の長手方向の線IXB−IXBに沿った部分断面図を示している。
【0042】
プラズマ・チューブ11内の支持部材62の両端には、図6、7Aおよび7Bのものと同様の端部壁602が設けられている。この場合、端部壁602の内面には、支持部材6の内面の蛍光体4の厚さと概ね同じ厚さの蛍光体層402が形成されている。蛍光体層402は、支持部材6の内面への蛍光体4の形成と同時に、端部壁602の内側に形成すればよい。
【0043】
端部壁602の存在によって、支持部材62の端部または端部壁602が別の部材と接触、擦れまたは衝突しても、それによって端部壁602の内面の蛍光体層402および支持部材6の端部付近の蛍光体4が剥落するのを防ぐことができる。また、端部壁602によって、蛍光体層4の部分的な欠落によって生じる端部壁602付近の放電セルの放電開始電圧の上昇を防止または抑制することができる。それによって、支持部材62の端部における蛍光体層4および蛍光体層602の部分的欠落によるプラズマ・チューブ11の端部付近における明るさの低下が防止できる。
【0044】
図6、7Aおよび7Bの支持部材6の端部付近では、プラズマ・チューブ11の外壁112および端部壁602の存在によって内部の放電空間が小さくなり、最も端部に近い表示電極2の外側に蛍光体層4の広がりがなく、従って放電による発光が少なく明るさが低下する傾向がある。これに対して、図9Aおよび9Bの支持部材62では、端部壁602の内側の蛍光体層602によって、端部壁602付近の蛍光体面積を増やすことができ、それによって、支持部材62の端部付近の内部空間における放電による充分な発光が確保され、その端部付近の明るさの低下が充分に抑制され補償される。
【0045】
図10Aは、図8Aおよび8Bおよび9Aおよび9Bのプラズマ・チューブ11の変形形態であり、本発明のさらに別の実施形態による、図10Bのプラズマ・チューブ11の長手方向の線XA−XAに沿った部分断面図を示している。図10Bは、図10Aのプラズマ・チューブ11の長手方向の線XB−XBに沿った部分断面図を示している。
【0046】
プラズマ・チューブ11内の支持部材64の両端には、図8Aおよび8Bのものと同様の寸法形状の端部壁604が設けられている。それによって、端部壁604の寸法形状が支持部材64の両端部の寸法形状に与える影響が小さくなる。この場合、図9Aおよび9Bの蛍光体層402と同様に、端部壁604の内面には、支持部材6の内面の蛍光体4の厚さと概ね同じ厚さの蛍光体層404が形成されている。蛍光体層404は、支持部材6の内面への蛍光体4の形成と同時に、端部壁604の内側に形成すればよい。
【0047】
端部壁604の存在によって、支持部材64の端部または端部壁604が別の部材と接触、擦れまたは衝突しても、それによって支持部材64の端部付近の蛍光体4が剥落するのを防ぐことができる。また、端部壁604によって、蛍光体層4の部分的な欠落によって生じる放電開始電圧の上昇を防止または抑制することができる。それによって、支持部材64の端部における蛍光体層4および蛍光体層604の部分的欠落によるプラズマ・チューブ11の端部付近における明るさの低下が防止できる。
【0048】
図8Aおよび8Bの支持部材6の端部付近では、プラズマ・チューブ11の外壁112および端部壁602の存在によって内部の放電空間が小さくなり、最も端部に近い表示電極2の外側に蛍光体層4の広がりがなく、従って放電による発光が少なく明るさが低下する傾向がある。これに対して、図10Aおよび10Bの支持部材64では、端部壁604の内側の蛍光体層604によって、端部壁604付近の蛍光体面積を増やすことができ、それによって、支持部材64の端部付近の内部空間における放電による充分な発光が確保され、その端部付近の明るさの低下が充分に抑制され補償される。
【0049】
図11Aは、本発明の実施形態による、プラズマ・チューブまたはガス放電管11のアレイの概略的な部分的構造の平面図を示している。図11Bは、図11Aのプラズマ・チューブまたはガス放電管11のアレイの線XIB−XIBに沿った断面図を示している。
【0050】
プラズマ・チューブ11内の支持部材64の両端部には、図10Aおよび10Bのものと同様の寸法形状の端部壁604および蛍光体層404が、設けられている。
【0051】
代替構成として、図11Aおよび11Bのプラズマ・チューブ11として、図7Aおよび7B、図8Aおよび8B、または図9Aおよび9Bのものを使用してもよい。
【0052】
端部壁604と外壁112の合計の厚さは、例えば0.2〜0.6mmの厚さを有する。従って、図5の隣接する2つのPTAユニット300および302の間の継ぎ目付近の2つの端部壁604と2つの外壁112の合計の厚さは、例えば0.4〜1.2mmの厚さを有する。
【0053】
プラズマ・チューブ11の外壁112および支持部材64の端部壁604の付近の領域BR(例えば、BR=0.5mmの距離)は、表示のための放電に寄与しない。
【0054】
プラズマ・チューブ11内の支持部材6の内側に放電空間を形成し良好な空間電荷を形成するために、表示電極2の外側端縁は、端部壁604(602)の内面より少なくとも僅かな距離Dsw(例えば、約10μm〜約50μm)だけ長手方向の内側に位置することが好ましい。それによって、充分な放電空間が確保される。
【0055】
プラズマ・チューブ11の外壁112の外面とプラズマ・チューブ11の端部付近の表示電極2の外側端縁との間の端部非放電領域の距離Desは、表示電極対2の間の逆スリット幅または非放電領域の距離Dsより小さいことが好ましく、例えば0.4mm〜6mmである。端部非放電領域の距離Desは、非放電領域の距離Ds(例えば、0.9mm〜1.5mm)の概して2分の1またはそれより僅かに小さいことが好ましい。それによって、隣接するPTAユニット300と302のプラズマ・チューブ・アレイ11または110と102の継ぎ目における画像の歪みが防止される。
【0056】
長手方向に隣接する2つのプラズマ・チューブ11のアレイの間の継ぎ目に最も近いそれぞれの表示電極2の間の距離Ds’は、各プラズマ・チューブ11における表示電極対2の間の非放電領域の距離Dsと実質的に同じであることが好ましい。それによって、隣接するPTAユニット300と302の継ぎ目における画像の歪みが防止される。
【0057】
図11Aおよび11Bに示したような複数のガス放電管11を用いて、図5のPTAユニット300および302を構成する場合、隣接する2つのPTAユニット300および302のうちの一方のユニット300に配置された第1グループのガス放電管110の第1の端部110eが、他方のユニット302に配置された第2グループのガス放電管112の第2の端部112eと接触するように配置される。
【0058】
第1グループのガス放電管110の第1の端部110eの近傍にある表示電極2と第2グループのガス放電管112の第2の端部112eの近傍にある表示電極2の間の距離Ds’は、第1グループまたは第2のグループのガス放電管110または112の各ガス放電管11における隣接する2対の表示電極2の間の距離Dsと実質的に等しい。それによって、隣接するPTAユニット300および302の継ぎ目における画像の歪みが防止される。
【0059】
プラズマ・チューブ11の外壁112および支持部材64の端部壁604の付近の領域BR(例えばBR=0.5mmの距離)は、表示のための発光に寄与しない。しかし、端部壁604の内面の蛍光体層404の存在によって、支持部材64の端部壁604の付近の放電セルCeは、他の放電セルCcと概して同様の明るさを有することができる。図9Aおよび9Bの支持部材62の端部壁602の蛍光体層402でも同様である。
【0060】
以上説明した実施形態は典型例として挙げたに過ぎず、その各実施形態の構成要素を組み合わせること、その変形およびバリエーションは当業者にとって明らかであり、当業者であれば本発明の原理および請求の範囲に記載した発明の範囲を逸脱することなく、実施形態の種々の変形を行えることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、通常のカラー表示装置のプラズマ・チューブまたはガス放電管のアレイの概略的な部分的構造を例示している。
【図2】図2Aは、透明な複数の表示電極対が形成された前面側支持基板を示している。図2Bは、複数の信号電極または信号電極が形成された背面側支持基板を示している。
【図3】図3は、PTAユニットのプラズマ・チューブ・アレイの管の長手方向に垂直な断面の構造を示している。
【図4】図4は、PTAユニット、アドレス(A)電極ドライバ装置、X電極ドライバ装置およびY電極ドライバ装置を具える通常のプラズマ・チューブ・アレイ型の表示装置を示している。
【図5】図5は、通常の表示装置の組み立てに用いられる2つのPTAユニットを示している。
【図6】図6は、本発明の実施形態による、図3のものに対応するプラズマ・チューブ・アレイの底側面図を示している。
【図7】図7Aは、本発明の実施形態による、図6のプラズマ・チューブまたはガス放電管の線VIIA−VIIAに沿った部分断面図を示している。図7Bは、図7Aのプラズマ・チューブの長手方向の線VIIB−VIIBに沿った部分断面図を示している。
【図8】図8Aは、図7Aおよび7Bのプラズマ・チューブの変形形態であり、本発明の別の実施形態による、図8Bのプラズマ・チューブの長手方向の線VIIIA−VIIIAに沿った部分断面図を示している。図8Bは、図7Aのプラズマ・チューブの長手方向の線VIIIB−VIIIBに沿った部分断面図を示している。
【図9】図9Aは、図7Aおよび7Bのプラズマ・チューブの別の変形形態であり、本発明の別の実施形態による、図9Bのプラズマ・チューブの長手方向の線IXA−IXAに沿った部分断面図を示している。図9Bは、図9Aのプラズマ・チューブの長手方向の線IXB−IXBに沿った部分断面図を示している。
【図10】図10Aは、図8Aおよび8Bおよび9Aおよび9Bのプラズマ・チューブの変形形態であり、本発明のさらに別の実施形態による、図10Bのプラズマ・チューブの長手方向の線XA−XAに沿った部分断面図を示している。図10Bは、図10Aのプラズマ・チューブの長手方向の線XB−XBに沿った部分断面図を示している。
【図11】図11Aは、本発明の実施形態による、プラズマ・チューブまたはガス放電管のアレイの概略的な部分的構造の平面図を示している。図11Bは、図11Aのプラズマ・チューブまたはガス放電管のアレイの線XB−XBに沿った断面図を示している。
【符号の説明】
【0062】
11 プラズマ・チューブ
4 蛍光体層
6 支持部材
602 支持部材の端部壁
6te 支持部材の上端縁
602te 端部壁の上端縁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細管の内部に電子放出膜及び蛍光体層が形成されかつ放電ガスが封入され、表示面側に複数対の表示電極が配置され、背面側に信号電極が配置されるガス放電管であって、
前記細管の内部に前記細管の長手方向に伸びる細長い支持部材が挿入され、
前記支持部材は内側に放電空間を形成するように湾曲した形状を有し、前記支持部材はその長手方向に伸びる両端縁を有し、前記支持部材の内面に前記蛍光体層が形成され、
前記支持部材はその長手方向の両端部にそれぞれ端部壁を有し、前記端部壁および前記湾曲した形状によって前記支持部材の内側に細長い凹所が形成されるものであること
を特徴とする、ガス放電管。
【請求項2】
前記支持部材の前記長手方向に垂直な方向の前記端部壁の高さは、前記長手方向に垂直な方向の前記湾曲した形状の前記両端縁の高さより低いことを特徴とする、請求項1に記載のガス放電管。
【請求項3】
前記端部壁の内面に蛍光体層が形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のガス放電管。
【請求項4】
前記端部壁の近傍にある前記複数対の表示電極の中の1つの表示電極は、前記端部壁の内面よりも前記支持部材の長手方向の内側に位置するよう構成されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のガス放電管。
【請求項5】
前記ガス放電管は、さらに、前記細管のその長手方向の両端部にそれぞれ外壁を具え、
前記両外壁のうちの1つの外壁の近傍にある前記複数対の表示電極の中の1つの表示電極と前記1つの外壁の外面と間の距離は、前記複数対の表示電極の中の隣接する2対の表示電極の間の距離より小さいことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載のガス放電管。
【請求項6】
前記1つの表示電極と前記1つの外壁の外面と間の距離は、前記隣接する2対の表示電極の間の距離の2分の1以下であることを特徴とする、請求項5に記載のガス放電管。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のガス放電管を複数並置したガス放電管アレイと、前記ガス放電管アレイを表示面側と背面側から挟持するとともに、前記ガス放電管に電圧を印加するための前記表示電極対及び信号電極が前記ガス放電管アレイとの対向面に夫々形成された一対の支持体と、を備えてなる表示装置。
【請求項8】
複数のユニットからなる表示装置であって、
前記複数のユニットの各ユニットは、内部に、蛍光体層が形成されかつ放電ガスが封入され、長手方向に複数の発光点をそれぞれ有する複数のガス放電管が並置され、前記複数のガス放電管の表示面側に複数対の表示電極が配置され、前記複数のガス放電管の背面側に複数の信号電極が配置されており、
前記複数のユニットの中の隣接する2つのユニットのうちの一方のユニットに配置された第1グループのガス放電管の第1の端部は、前記2つのユニットのうちの他方のユニットに配置された第2グループのガス放電管の第2の端部と接触し、
前記複数のガス放電管の各ガス放電管は、内部に長手方向に伸びる細長い支持部材が挿入されており、
前記支持部材は内側に放電空間を形成するように湾曲した形状を有し、前記支持部材はその長手方向に伸びる両端縁を有し、前記支持部材の内面に前記蛍光体層が形成されており、
前記支持部材はその長手方向の両端部にそれぞれ端部壁を有し、前記端部壁および前記湾曲した形状によって前記支持部材の内側に細長い凹所が形成されており、
前記第1グループのガス放電管の前記第1の端部の近傍にある表示電極と前記第2グループのガス放電管の前記第2の端部の近傍にある表示電極の間の距離は、前記第1グループまたは第2のグループのガス放電管における隣接する2対の表示電極の間の距離と実質的に等しいものであることを特徴とする、表示装置。
【請求項1】
細管の内部に電子放出膜及び蛍光体層が形成されかつ放電ガスが封入され、表示面側に複数対の表示電極が配置され、背面側に信号電極が配置されるガス放電管であって、
前記細管の内部に前記細管の長手方向に伸びる細長い支持部材が挿入され、
前記支持部材は内側に放電空間を形成するように湾曲した形状を有し、前記支持部材はその長手方向に伸びる両端縁を有し、前記支持部材の内面に前記蛍光体層が形成され、
前記支持部材はその長手方向の両端部にそれぞれ端部壁を有し、前記端部壁および前記湾曲した形状によって前記支持部材の内側に細長い凹所が形成されるものであること
を特徴とする、ガス放電管。
【請求項2】
前記支持部材の前記長手方向に垂直な方向の前記端部壁の高さは、前記長手方向に垂直な方向の前記湾曲した形状の前記両端縁の高さより低いことを特徴とする、請求項1に記載のガス放電管。
【請求項3】
前記端部壁の内面に蛍光体層が形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のガス放電管。
【請求項4】
前記端部壁の近傍にある前記複数対の表示電極の中の1つの表示電極は、前記端部壁の内面よりも前記支持部材の長手方向の内側に位置するよう構成されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のガス放電管。
【請求項5】
前記ガス放電管は、さらに、前記細管のその長手方向の両端部にそれぞれ外壁を具え、
前記両外壁のうちの1つの外壁の近傍にある前記複数対の表示電極の中の1つの表示電極と前記1つの外壁の外面と間の距離は、前記複数対の表示電極の中の隣接する2対の表示電極の間の距離より小さいことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載のガス放電管。
【請求項6】
前記1つの表示電極と前記1つの外壁の外面と間の距離は、前記隣接する2対の表示電極の間の距離の2分の1以下であることを特徴とする、請求項5に記載のガス放電管。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のガス放電管を複数並置したガス放電管アレイと、前記ガス放電管アレイを表示面側と背面側から挟持するとともに、前記ガス放電管に電圧を印加するための前記表示電極対及び信号電極が前記ガス放電管アレイとの対向面に夫々形成された一対の支持体と、を備えてなる表示装置。
【請求項8】
複数のユニットからなる表示装置であって、
前記複数のユニットの各ユニットは、内部に、蛍光体層が形成されかつ放電ガスが封入され、長手方向に複数の発光点をそれぞれ有する複数のガス放電管が並置され、前記複数のガス放電管の表示面側に複数対の表示電極が配置され、前記複数のガス放電管の背面側に複数の信号電極が配置されており、
前記複数のユニットの中の隣接する2つのユニットのうちの一方のユニットに配置された第1グループのガス放電管の第1の端部は、前記2つのユニットのうちの他方のユニットに配置された第2グループのガス放電管の第2の端部と接触し、
前記複数のガス放電管の各ガス放電管は、内部に長手方向に伸びる細長い支持部材が挿入されており、
前記支持部材は内側に放電空間を形成するように湾曲した形状を有し、前記支持部材はその長手方向に伸びる両端縁を有し、前記支持部材の内面に前記蛍光体層が形成されており、
前記支持部材はその長手方向の両端部にそれぞれ端部壁を有し、前記端部壁および前記湾曲した形状によって前記支持部材の内側に細長い凹所が形成されており、
前記第1グループのガス放電管の前記第1の端部の近傍にある表示電極と前記第2グループのガス放電管の前記第2の端部の近傍にある表示電極の間の距離は、前記第1グループまたは第2のグループのガス放電管における隣接する2対の表示電極の間の距離と実質的に等しいものであることを特徴とする、表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−272045(P2009−272045A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118661(P2008−118661)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(506025648)篠田プラズマ株式会社 (29)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(506025648)篠田プラズマ株式会社 (29)
【Fターム(参考)】
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