説明

ガス発生内容物収容容器

【課題】 ガスの発生を伴って劣化する内容物を収容した可撓性の容器における、該内容物の劣化を遅延させ得る容器を提供する。
【解決手段】 本発明のガス発生内容物収容容器は、例えば化学反応によりガスの発生を伴って分解されて劣化する内容物を収容した可撓性のチューブ容器10であって、発生するガスにより、内圧を大気圧より常時所定圧高めに保持するガス排気機構20を具備する。内容物としては、例えば過酸化水素を含む染毛剤が収容される。ガス排気機構20は、カシメ部16と押圧変形部17とによって構成される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内容物の劣化を遅延させるガス発生内容物収容容器に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】チューブ容器等の可撓性の容器には、化学反応によって酸素ガスや炭酸ガス等のガスを発生する染毛剤や脱色剤等の内容物を収容するものがある。これらの容器は、内部で発生したガスをそのまま放置しておくと膨張による変形や破損を生じるため、リリース弁等のガス抜き機構を設けて、発生したガスを外部に排出するように構成されている。
【0003】しかし、ガス抜き機構を備えた従来の内容物収容容器によれば、単に発生したガスを排出するのみで、内容物の劣化を遅延させる機構を備えていなかった。
【0004】本発明の目的は、ガスの発生を伴って劣化する内容物を収容した可撓性の容器における、該内容物の劣化を遅延させ得る容器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記内容物を収容した可撓性の容器の内圧を大気圧より常時所定圧高めに保持することにより、上記目的を達成し得ることを知見した。本発明は、ガスの発生を伴って劣化する内容物を収容した可撓性の容器であって、発生するガスにより、内圧を大気圧より常時所定圧高めに保持するガス排気機構を具備するガス発生内容物収容容器を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい本実施形態に係るガス発生内容物収容容器は、例えば化学反応によりガスの発生を伴って分解されて劣化する内容物を収容した可撓性のチューブ容器10であって、図1に示すように、発生するガスにより、内圧を大気圧より常時所定圧高めに保持するガス排気機構20を具備する。
【0007】チューブ容器10に収容される内容物は、過酸化水素や、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を含む染毛剤、脱色剤、パーマ剤等であって、過酸化水素は経時的な分解によって酸素ガスを発生し、炭酸プロピレンや炭酸エチレンは加水分解によって炭酸ガスを発生する。
【0008】チューブ容器10は、筒状材11によって形成され、また筒状材11の内側には、その内周面を覆うようにして合成樹脂製の筒状材からなる成形チューブが配設され、二重構造のチューブ容器10を構成する。
【0009】筒状材11の端縁重合部12は、例えば5〜8mm程度の幅で3重に折り返して形成され、この端縁重合部12を公知のカシメ治具を用いてカシメることにより、ガスが通過可能なエンドシール部としてのカシメ部16が形成される。またこのカシメ部16においても、筒状材11の内側を覆って成形チューブが一部介在し、発生したガスの滑らかな排出経路を形成する。
【0010】また本実施形態によれは、端縁重合部12から他端注出ノズル側に数mm程度離間して形成された押圧変形部17を備える。この押圧変形部17は、端縁重合部12に沿ってこれと略平行に延長形成される。押圧変形部17は、押圧部が破線状となったカシメ治具13を用いてカシメ作業を行うことにより形成される。
【0011】カシメ部16及び押圧変形部17によって、ガス排気機構20が構成される。すなわち、カシメ部16及び押圧変形部17により筒状材11の端部の隙間を小さくして、チューブ容器10に収容された内容物のカシメ部16への侵入を防止すると共に、内部に発生したガスの一部を押圧変形部17を経てカシメ部16から排出して、チューブ容器10の内圧を大気圧より1〜10kPa高い圧力に保持する。
【0012】なお、常時大気圧より高く保持しておくべきチューブ容器10内の所定の圧力は、筒状材11の強度や収容する内容物の種類に応じて適宜設定することができ、また設定された所定圧にチューブ容器10の内圧を保持しておくための、カシメ部16や押圧変形部17の大きさ、形状、カシメ時の押圧力等も適宜設定することができる。
【0013】本実施形態では、破線状の押圧変形部17は、個々の単位カシメ18の長さが5mm程度、幅が1mm程度で、単位カシメ18間の間隔が3mm程度となっている。また、押圧変形部17のカシメ厚さが2mm程度以下とされていることにより、この厚さから筒状材11及び成形チューブの厚さを引いた押圧変形部17のカシメ隙間は、0.6mm程度以下となる。この押圧変形部17によれば、内容物の通過は遮断され、余分なガスのみが通過可能な構成となる。
【0014】本実施形態によれば、所定圧以上になったときにのみ発生したガスの一部をガス排気機構20から排出しつつ、上記チューブ容器10の内圧を、常時大気圧より所定圧高めに保持することで化学反応を抑制して、チューブ容器10内に収容された内容物の劣化を遅延させことが可能になる。
【0015】なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、ガス排気機構20は、キャップや容器本体の素材を改良して構成することもでき、またガス発生内容物収容容器は、必ずしもチューブ容器である必要はなく、スクイズ容器等の他の可撓性を備える容器でもよい。
【0016】
【発明の効果】本発明のガス発生内容物収容容器によれば、ガスの発生を伴って劣化する内容物を収容した可撓性の容器における、該内容物の劣化を遅延させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るガス発生内容物収容容器を示す正面図である。
【符号の説明】
10 チューブ容器(ガス発生内容物収容容器)
11 筒状材
12 端縁重合部
16 カシメ部(排気機構)
17 押圧変形部(排気機構)
18 単位カシメ
20 排気機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガスの発生を伴って劣化する内容物を収容した可撓性の容器であって、発生するガスにより、内圧を大気圧より常時高めに保持するガス排気機構を具備するガス発生内容物収容容器。

【図1】
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