説明

ガス絶縁機器

【課題】絶縁スペーサの表面に残留直流電圧を放電可能な膜を形成することにより、絶縁スペーサの抵抗率分布を容易且つ確実に制御可能とし、直流耐電圧特性とコンパクト性に優れ、しかも絶縁分解ガスに対する耐性が良好で、且つ金属異物が付着し難い、信頼性の高いガス絶縁機器を提供する。
【解決手段】絶縁スペーサ4の表面に、抵抗率が1E9〜1E12Ω・cm範囲のダイヤモンドライクカーボン膜5が、厚さ10〜100μmの範囲でコーティングされて形成されている点にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁スペーサを備えたガス絶縁機器に係り、特に、直流耐電圧特性の向上を図ったガス絶縁機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、高電圧機器は、高電圧の印加される金属製の通電用導体が、絶縁スペーサによって支持されることにより、接地金属容器と絶縁されて構成されている。この高電圧機器における絶縁信頼性を確保するためには、絶縁スペーサに対する印加電界を、絶縁スペーサが絶縁破壊を生じる電界以下に抑える必要がある。絶縁スペーサへの印加電界は、印加される電圧の大きさに加えて、絶縁スペーサの形状、材質及び絶縁スペーサ周辺の電極配置といった複数の要素から決定される。
【0003】
近年では、高電圧機器としてガス絶縁機器が多用されている。ガス絶縁機器とは、密閉された接地金属容器内に絶縁ガスが封入されており、交流電圧送電系統と直流電圧送電系統の両系統に適用されている。そのため、直流系統に用いられる場合にはもちろんのこと、交流系統に用いられる場合も、開閉装置開放操作後の残留直流電圧が印加されることがある。
【0004】
ここで、残留直流電圧が印加されるガス絶縁機器について、図9、図10を用いて具体的に説明する。図9は、開放状態にある遮断器13に断路器14が隣接しており、断路器14と遮断器13との間に回路15が配置した状態を示している。
【0005】
ここで、断路器14を開放すると、回路15には図10に示すような残留直流電圧16が発生する。ガス絶縁機器においては、金属容器内に封入された絶縁ガスが優秀な絶縁性能を有しているため、残留直流電圧16の減衰が小さい。したがって、ガス絶縁機器では、交流系統に使用される電圧機器においても直流耐電圧特性が重要となっている。
【0006】
通常、体積抵抗率が一様な物体の抵抗は、断面積を大きくすることによって小さくなる。そこで、直流電圧に対して耐電圧特性を向上させるためには、絶縁スペーサの断面積を大きくするという対応が取られることが多い。すなわち、絶縁スペーサの断面積を増やすことによって、直流耐電圧特性を高め、これにより、通電用導体と絶縁スペーサとの接続部の直流電界を制御するようにしている。
【0007】
しかしながら、体積抵抗率の低下を目指して絶縁スペーサの断面積を増大させた場合、当然ながら絶縁スペーサ形状が大きくなるので、結果的にガス絶縁機器の大形化を招くことになる。ガス絶縁機器は地下変電所等への適用によって需要が拡大しており、それに伴って機器に対するコンパクト化の要請は強まっている。したがって、ガス絶縁機器の絶縁スペーサには、単に直流耐電圧特性を高めるだけではなく、コンパクト化の向上といった点も求められている。
【0008】
例えば、直流耐電圧特性とコンパクト化の両立を図る技術として、絶縁スペーサの断面積を増大させるのではなく、絶縁スペーサにおける体積抵抗率分布を変化させることが検討されている。しかしながら現状では、絶縁スペーサの体積抵抗率分布を安定して調節する技術は確立されるに至っていない。そのため、上記の技術を用いることで、機器のコンパクト化と直流耐電圧特性の高性能化を両立させた絶縁スペーサを実現することは困難となっている。
【0009】
そこで、現実性の高い技術として、絶縁スペーサの表面に体積抵抗率の低い低抵抗剤を塗り、低抵抗剤の厚さを変化させることによって、絶縁スペーサ全体の電位分布を調節する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。この従来技術では、低抵抗剤を塗布することで絶縁スペーサの抵抗率分布を変化させている。
【特許文献1】特開2003−23725号公報(第3頁(段落0017)、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1のように、低抵抗剤を絶縁スペーサに塗布したガス絶縁機器には下記の問題点が指摘されていた。すなわち、低抵抗剤は絶縁スペーサの表面に刷毛やスプレーで塗布されるのが一般的である。しかしながら、このような塗布方法では、塗りムラが発生し易く、低抵抗剤の膜厚を一定に保つことが難しかった。
【0011】
したがって、電界分布の特異点ができ易く、実際には、設計通りに抵抗率分布を制御することが困難であった。したがって、直流耐電圧特性の優れた絶縁スペーサを提供する上での課題となっていた。なお、絶縁スペーサに対する技術的な要請としては、アークにより生じる絶縁分解ガスに対する耐食性を高めることや、導電性の金属異物が付着することを防止するといった点も、課題となっている。
【0012】
本発明は、絶縁スペーサの表面に残留直流電圧を放電可能な膜を形成することにより、絶縁スペーサの抵抗率分布を容易且つ確実に制御可能とし、直流耐電圧特性とコンパクト性に優れ、しかも絶縁分解ガスに対する耐性が良好で、且つ金属異物が付着し難い、信頼性の高いガス絶縁機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、絶縁ガスが封入された接地金属容器内に高電圧が印加される通電用導体を挿入し、この通電用導体を絶縁支持する絶縁スペーサを配置したガス絶縁機器において、前記絶縁スペーサの表面に、導電特性を有するダイヤモンドライクカーボン膜を形成したことを特徴とするものである。
【0014】
ダイヤモンドライクカーボン膜とは、非晶質(アモルファス)構造で、ダイヤモンド結合やグラファイト結合を持つカーボン薄膜である。本発明において、絶縁スペーサに形成されたダイヤモンドライクカーボン膜は、通電状態では絶縁体として作用するが、残留直流電圧が印加された場合には絶縁スペーサが局所的な帯電を発生するよりも前に、残留直流電圧を放電させることが可能な放電体となる。
【0015】
しかも、ダイヤモンドライクカーボン膜は、プラズマCVD法やPVD法などにより成膜するため、刷毛やスプレーによる塗布に比べて、均一な膜厚を強固に且つ安定して形成することが可能である。したがって、電界分布の特異点ができ難く、絶縁スペーサの抵抗率分布を容易且つ確実に制御することが可能である。
【0016】
また、ダイヤモンドライクカーボン膜は耐食特性や耐プラズマ特性に優れているので、優れた保護膜となり、ダイヤモンドライクカーボン膜を形成した絶縁スペーサ表面は、絶縁分解ガスに侵食されることがない。さらには、ダイヤモンドライクカーボン膜は静電気が帯電し難く、摩擦係数が小さい。そのため、導電性の金属異物が絶縁スペーサ表面に付着し難いといった利点がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明のガス絶縁機器によれば、絶縁スペーサの表面にダイヤモンドライクカーボン膜を形成することにより、残留直流電圧の印加時には残留直流電圧を放電して局所的な帯電による部分的な高電界部の形成を回避することができ、コンパクト化を維持しつつ直流耐電圧特性を高めることが可能であり、さらには絶縁分解ガスに対する耐性が良好で、且つ金属異物が付着し難くなり、信頼性の向上に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明によるガス絶縁機器の複数の実施形態について、図1〜図8を参照して具体的に説明する。
(1)代表的な実施形態
[構成]
図1に示すように、本実施形態は、接地金属容器1内にSFガスのような絶縁ガス2が封入されている。接地金属容器1内には、高電圧が印加される通電用導体3が挿入されており、該通電用導体3は円錐形状の絶縁スペーサ4および円板形状の絶縁スペーサ6によって絶縁支持されている。本実施形態の構成上の特徴は、絶縁スペーサ4および6の両面全体に、抵抗率が1E9〜1E12Ω・cm範囲のダイヤモンドライクカーボン膜5が、厚さ10〜100μmの範囲でコーティングされて形成されている点にある。
【0019】
[作用効果]
以上のような構成を有する本実施形態の作用効果は次のとおりである。すなわち、抵抗率が1E9〜1E12Ω・cm範囲のダイヤモンドライクカーボン膜5は、通常の通電状態においては絶縁体として作用するが、直流電圧が通電用導体3に残留した場合には放電体として作用する。
【0020】
したがって、残留直流電圧が印加されたガス絶縁機器内において絶縁スペーサ4が局所的な帯電を発生するよりも前に、残留直流電圧を放電させることが可能である。この結果、局所的な帯電による部分的な高電界部が形成されることがなくなり、優れた直流耐電圧特性を得ることができる。
【0021】
このようなダイヤモンドライクカーボン膜5の成膜方法としては、プラズマCVD法やPVD法などが知られている。例えばプラズマアシスト成膜装置を用いてダイヤモンドライクカーボン膜5を成膜した場合、膜質を精密に調節することができ、低温形成も可能である。
【0022】
このため、ダイヤモンドライクカーボン膜5は、刷毛やスプレーによる塗布膜に比べて、はるかに均一・均質な膜を安定して成膜することができる。したがって、絶縁スペーサ4および6の抵抗率分布を設計通りに制御することが可能であり、絶縁スペーサ4の大形化を防いでコンパクト化に寄与することができる。
【0023】
また、ダイヤモンドライクカーボン膜5は耐食特性や耐プラズマ特性に優れている。そのため、絶縁スペーサ4、6の保護膜となり、開閉器動作時に発生するアークによる絶縁分解ガスに、絶縁スペーサ4、6が侵食されることがない。したがって、絶縁分解ガス2による侵食は弱いが耐電圧特性は強い絶縁材料を、絶縁スペーサ4に適用することが可能となる。
【0024】
さらには、ダイヤモンドライクカーボン膜5は、絶縁スペーサ4、6の帯電を除去する働きがあり、摩擦係数も0.05以下と非常に小さい。このため、有害な導電性の金属異物などが絶縁スペーサ4の表面に付着し難い。これらの点は、絶縁スペーサ4の信頼性を大幅に向上させ、ひいてはガス絶縁機器の信頼性を高めることになる。
【0025】
(2)他の実施形態
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、絶縁スペーサの形状やダイヤモンドライクカーボン膜の形成箇所、形状、抵抗率、膜厚並びにその製造方法等は適宜変更可能であり、具体的には以下のような他の実施形態を包含する。なお、下記の他の実施形態において、前記代表的な実施形態と同一の構成については同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0026】
(2−1)ダイヤモンドライクカーボン膜の形成箇所に関する実施形態
[構成]
図2に示すように、絶縁スペーサ4および6の外側の全表面のみに、抵抗率が1E9〜1E12Ω・cm範囲のダイヤモンドライクカーボン膜5が厚さ20〜200μmの範囲で形成してもよい。
【0027】
(2−2)ダイヤモンドライクカーボン膜の形状に関する実施形態
[構成]
また、図3に示した実施形態では、絶縁スペーサ4または6表面の一部分として、絶縁スペーサ4または6の中心から接地金属容器1の上部内周面に向かって扇状に、抵抗率が1E9〜1E12Ω・cm範囲のダイヤモンドライクカーボン膜5が厚さ50〜200μmの範囲でコーティングされて形成されている。
【0028】
[作用効果]
図2及び図3に示した実施形態では、ダイヤモンドライクカーボン膜5を絶縁スペーサ4または6の両面に形成しなくても、ダイヤモンドライクカーボン膜5の膜厚を厚くすることによって抵抗率を調節することが可能である。
【0029】
したがって、上記代表的な実施形態と同様、通常の通電状態においては絶縁体として作用し、直流電圧が残留した場合には、残留直流電圧を放電させる放電体として作用することが可能である。これらの実施形態では、ダイヤモンドライクカーボン膜5の成膜面積が少なくて済み、製造コストを低減化できるといった独自の作用効果がある。
【0030】
(2−3)絶縁スペーサの形状に関する実施形態
[構成]
絶縁スペーサの形状に関しても適宜選択可能である。例えば、円筒形状や円錐形状だけでなく、円柱状、角柱状や板状であっても構わない。図4に示す実施形態では、いわゆるポストタイプである円柱形状の絶縁スペーサ8によって接地金属容器1の上部から通電用導体3を吊り下げて支持するように構成されている。そして、絶縁スペーサ8の表面に、抵抗率が1E9〜1E12Ω・cm範囲のダイヤモンドライクカーボン膜5が厚さ10〜100μmの範囲で形成されている。
【0031】
[構成]
図5に示す実施形態では、通電用導体3を絶縁支持する三脚タイプの絶縁スペーサ9の上部1脚のみ表面に、抵抗率が1E9〜1E12Ω・cm範囲のダイヤモンドライクカーボン膜5が厚さ10〜100μmの範囲でコーティングされて構成されている。
【0032】
[作用効果]
これら図4及び図5に示した絶縁スペーサ8、9を有する実施形態においても、抵抗率が1E9〜1E12Ω・cm範囲のダイヤモンドライクカーボン膜5は、通常の通電状態においては絶縁体として作用し、直流電圧が残留した場合には残留直流電圧が印加されたガス絶縁機器内の絶縁物が局所帯電を起こす前に、残留直流電圧を放電させる放電体として作用する。これにより、上記代表的な実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0033】
(2−4)ダイヤモンドライクカーボン膜を多層とした実施形態
[構成]
また、ダイヤモンドライクカーボン膜を複数層重ねて形成してもよい。例えば、図6に示す実施形態では、ダイヤモンドライクカーボン膜を2層形成している。すなわち、通電用導体3を絶縁支持する絶縁スペーサ4の表面には、抵抗率が1E9〜1E12Ω・cm範囲のダイヤモンドライクカーボン膜5が厚さ10〜100μmの範囲で形成され、さらに、その上部に抵抗率が1E12Ω・cmよりも高いダイヤモンドライクカーボン膜10を厚さ1〜100μmの範囲で形成されている。
【0034】
[作用効果]
このような図6の実施形態によれば、ダイヤモンドライクカーボン膜5を形成した絶縁スペーサ4表面の最外層に、さらに高い絶縁特性を有するダイヤモンドライクカーボン膜10を形成したので、導電性異物などで絶縁スペーサ4の表面が多少汚損された場合でも、下層側のダイヤモンドライクカーボン膜5にて調節した抵抗値を維持することができる。したがって、このような実施形態は、汚損の可能性の高い断路器や遮断器などのガス絶縁機器に好適である。
【0035】
さらに2層のダイヤモンドライクカーボン膜5、10を形成した分だけ、強い保護膜を確保することができる。したがって、絶縁分解ガスには弱くとも耐電圧特性に優れた絶縁材料を絶縁スペーサ4に適用することが可能となり、ガス絶縁機器の信頼性が向上する。
【0036】
(2−5)絶縁スペーサを断路器と遮断器に適用した実施形態
[構成]
図7に示した実施形態では、円錐形状の絶縁スペーサ4が、開閉部12を有する断路器や遮断器の両端部に取り付けて構成されており、2つの絶縁スペーサ4の向かい合う面にのみダイヤモンドライクカーボン膜5が形成されている。
【0037】
[作用効果]
図7の実施形態では、開閉部12を開閉動作した場合に直流電圧が残留する可能性がある。そのため、開閉部12に近接してダイヤモンドライクカーボン膜5を形成した絶縁スペーサ4を配置することで、開閉機器を複数台接続してガス絶縁機器を構成した場合に、どのように回路が断路されたとしても残留直流電圧を、ダイヤモンドライクカーボン膜5にて必ず放電させることができる。
【0038】
つまり、複数台の開閉機器をどのような組み合わせで開閉操作しても、遮断された回路に残留する電圧は、ダイヤモンドライクカーボン膜5によって放電させることができ、局所的な高電界形成を確実に回避することができる。したがって、優れた直流耐電圧特性を得ることが可能である。
【0039】
(2−6)絶縁スペーサの表裏に導電特性の異なるダイヤモンドライクカーボン膜を形成した実施形態
[構成]
図8を示した実施形態は、(2−5)の実施形態の改良に係わるもで、開閉部12の
両側に配置された絶縁スペーサの表側の面と裏側の面に、導電特性の異なるダイヤモンドライクカーボン膜を形成したものである。
【0040】
より詳しくは、円錐形状の絶縁スペーサ4および円板形状の絶縁スペーサ6のうち、開閉部12を挟むように互いに向かい合う面側には、抵抗率が1E9〜1E12Ω・cm範囲であるダイヤモンドライクカーボン膜5よりも、抵抗率が高いダイヤモンドライクカーボン膜10が形成され、その反対側の面にはダイヤモンドライクカーボン膜5が形成されている。なお、ダイヤモンドライクカーボン膜10の抵抗率の最大値は1E16Ω・cm程度である。また、ここでは、絶縁スペーサ4、6において開閉部12を挟むように互いに向かい合う面を裏面、その反対側を表面と呼ぶことにする。
【0041】
[作用効果]
図8に示した実施形態は次のような独自の作用効果を有している。すなわち、絶縁スペーサ4、6の開閉部12に向き合わない側の面は導電性の金属異物の影響がないので、この面に、抵抗率が1E9〜1E12Ω・cm範囲のダイヤモンドライクカーボン膜5を形成することで、より効果的な残留電圧放電が実現する。
【0042】
また、絶縁スペーサ4、6の開閉部12に向き合う側の面は導電性の金属異物が発生しやすいので、この面に、抵抗率が1E9〜1E12Ω・cmより高いダイヤモンドライクカーボン膜10を形成することで導電性異物の影響が小さくするといった作用効果が得られる。
【0043】
このような実施形態によれば、導電性の金属異物の発生し易さに合わせて、導電特性の異なるダイヤモンドライクカーボン膜5を形成することで、絶縁スペーサ4、6を介して効率よく残留電圧を放電させると同時に、金属異物の影響を受けにくくすることができる。これにより、いっそう高い信頼性のガス絶縁機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の代表的な実施形態の構造を示す側面断面図。
【図2】本発明の他の実施形態の構造を示す側面断面図。
【図3】本発明の他の実施形態の構造を示す正面断面図。
【図4】本発明の他の実施形態においてポストタイプの絶縁スペーサに適用した場合の正面断面図。
【図5】本発明の他の実施形態において三脚タイプの絶縁スペーサに適用した場合の正面断面図。
【図6】本発明の他の実施形態において導電特性の異なるダイヤモンドライクカーボン膜を2層形成した場合の側面断面図。
【図7】本発明の他の実施形態において絶縁スペーサを開閉機器に適用した場合の側面断面図。
【図8】本発明の他の実施形態において絶縁スペーサの表面と裏面で異なる導電特性のダイヤモンドライクカーボン膜を形成した場合の側面断面図。
【図9】従来のガス絶縁機器において残留直流電圧が発生する回路を示す図。
【図10】残留直流電圧を示すグラフ。
【符号の説明】
【0045】
1…接地金属容器
2…絶縁ガス
3…通電用導体
4…円錐状絶縁スペーサ
5、10…ダイヤモンドライクカーボン膜
6…円板状絶縁スペーサ
8…円柱状絶縁スペーサ
9…三脚形状絶縁スペーサ
12…開閉部
13…開放遮断器
14…開放操作断路器
15…遮断器と断路器間の回路
16…残留直流電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ガスが封入された接地金属容器内に高電圧が印加される通電用導体を挿入し、この通電用導体を絶縁支持する絶縁スペーサを配置したガス絶縁機器において、
前記絶縁スペーサの表面に、導電特性を有するダイヤモンドライクカーボン膜を形成したことを特徴とするガス絶縁機器。
【請求項2】
前記ダイヤモンドライクカーボン膜は、膜厚の調整により抵抗率1E9〜1E12Ω・cm範囲の導電特性を有するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁機器。
【請求項3】
前記絶縁スペーサは円板形状又は円錐形状の部材からなり、
前記ダイヤモンドライクカーボン膜を、前記絶縁スペーサの片面にのみ形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のガス絶縁機器。
【請求項4】
前記絶縁スペーサは円板形状又は円錐形状の部材からなり、
前記絶縁スペーサの一方の片面と、他方の片面とで、導電特性の異なる前記ダイヤモンドライクカーボン膜を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のガス絶縁機器。
【請求項5】
前記通電用導体と前記接地金属容器の内壁面との間に位置する前記絶縁スペーサの表面の一部にのみ、前記ダイヤモンドライクカーボン膜を形成したことを特徴とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス絶縁機器。
【請求項6】
前記絶縁スペーサは前記通電用導体を吊り上げてこれを絶縁支持するように配置したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス絶縁機器。
【請求項7】
前記絶縁スペーサは前記通電用導体を絶縁支持するための脚部を複数有しており、
前記絶縁スペーサの脚部のうち、上部に位置する部分にのみ前記ダイヤモンドライクカーボン膜を形成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス絶縁機器。
【請求項8】
前記絶縁スペーサの表面に、導電特性の異なる前記ダイヤモンドライクカーボン膜を複数層重ねて形成し、
外側に形成した前記ダイヤモンドライクカーボン膜の抵抗率を、内側に形成したダイヤモンドカーボン膜の抵抗率よりも高くしたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のガス絶縁機器。
【請求項9】
前記絶縁スペーサを断路器と遮断器に適用したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のガス絶縁機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−22081(P2010−22081A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177833(P2008−177833)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】