説明

ガス絶縁開閉装置

【課題】据付敷地面積がより一層縮小できて保守点検の作業用空間も十分に確保できる1・1/2遮断器方式のGISを提供する。
【解決手段】3台の横置き形遮断器CB1〜CB3は、遮断部21を収納する密閉容器20に上方に向けた接続用開口22a、22bを設けており、三相分を一組にして並設している。主母線Bus1、Bus2は、横置き形遮断器CB1〜CB3における軸方向の一方端側部の上方空間に上下2段に配置し、また接続母線11、12は、横置き形遮断器CB1〜CB3における軸方向の他方端側部の上方空間に上下2段に配置している。主母線Bus1、Bus2及び横置き形遮断器CB1〜CB3間は、断路器DS1〜DS6を介在させて接続母線11、12により接続し、分岐母線15、16は接続母線11、12の上方に配置して両者間を接続して1・1/2遮断器方式のガス絶縁開閉装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス絶縁開閉装置に係り、特に3台の横置き形遮断器を直列に接続すると共に、これを2つの主母線間に接続して構成する1・1/2遮断器方式のガス絶縁開閉装置(以下、「GIS」と略称する。)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、GISは据付面積を大幅に縮小できて信頼性が高いことから、現在では多くの送配電系統の変電所に使用されている。GISを構成する各機器は、それぞれSF等の絶縁ガスを封入する密閉容器を使用している。例えば、遮断器は密閉容器内に遮断部を配置し、断路器は密閉容器内に断路部を配置し、また主母線等の各母線等は密閉容器内に母線導体を配置しており、変流器や接地開閉器や避雷器等のその他の機器も同様に構成されている。
【0003】
変電所に使用するGISについて図5の簡略化した単線結線図を用いて説明すると、2つの主母線Bus1,Bus2間を、順に接続母線11と12にて直列に接続する3台の遮断器CB1、CB2、CB3を、接続母線13と14で電気的に接続している。そして、遮断器CB1、CB2、CB3は、それぞれ両側に接地開閉器付の断路器DS1、DS2と、DS3、DS4と、DS5、DS6等を介在させて直列に接続している。また、2つの遮断器CB1とCB2間及びCB2、CB3間の接続母線11及び12に分岐母線15及び16を連結し、分岐母線15及び16に、ケーブルヘッドやブッシング等の絶縁端子Bg1及びBg2を設けている。これによって、所謂1・1/2遮断器方式のGISを構成している。
【0004】
上記の1・1/2遮断器方式のGISの場合、各機器は実質的に単線結線図に相当する配置にして構成される。即ち、軸方向に延びる2つの主母線は据付面に所定距離隔てて略平行に配置されており、この主母線間の空間部に3台の横置き形遮断器を直線状に配置し、かつ接続母線を用いて直列接続している。
【0005】
そして、遮断器間の接続母線に連結した各分岐母線は、一方の主母線及び他方の主母線の上方空間を利用して配設することで絶縁端子に至るようにしている。この配置構成では、各主母線と3台の横置き形遮断器の配置及び各分岐母線は、これらを上方から見ると双方の軸線が交差するようになっている。これにより、図5の単線結線図に示した1・1/2遮断器方式で1回線分のダイヤメータとも称されるGISユニットを構成し、2つの主母線間に多回線分のGISユニットが配置できるようにしている。
【0006】
しかし、上記したGISユニットの配置で構成する1・1/2遮断器方式のGISは、2つの主母線間は3台の横置き形遮断器の配置できる距離が必要なため、1回線のGISユニット当りでは長方形の面積分の敷地を確保せねばならない。このことから、主母線の軸方向に順に配置する多回線のGISユニットで構成する超高圧の変電所では、極めて大きな据付面積となる問題がある。
【0007】
このため、1・1/2遮断器方式のGISであっても、据付面積をより縮小できると共に横置き形遮断器の保守点検作業を容易に行える配置構成が、例えば特許文献1で提案されている。特許文献1のGISは、並列接続する2回線分のGISユニットを構成するため、2つの主母線間にはこの長手方向と平行に横置き形遮断器の3台を直列接続する直列接続体の2組を配置し、それぞれ上方に配置する接続母線で直列接続し、しかも各接続母線の上部に接続した各分岐母線を、主母線と上方で交差する方向に引き出す配置にして構成している。この2回線分のGISユニットの双方は、各主母線と3台の横置き形遮断器の各直列接続体が平行な配置にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−202390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1のGISの配置構成では、2回線分のGISユニットを構成する横置き形遮断器の保守点検作業を容易にする空間を確保する必要上、一方の横置き形遮断器間の間隔を広くして、広い間隔から各回線分の分岐母線を引き出す構造にすると共に、横置き形遮断器の直列接続体の両端にそれぞれ補助母線を配置して主母線と並列接続する構成としている。
【0010】
このため、GIS全体の据付面積は依然として大きくなってしまい、大きなGIS用建屋や変電所敷地を確保せねばならない欠点がある。また、もし遮断器の大掛かりな補修が必要となった場合、直列接続体の両端側に位置する遮断器の取り外し搬出作業は比較的容易に行えるが、直列接続体の中央に位置する遮断器の取り外し搬出作業は大掛かりとなってしまう問題がある。
【0011】
本発明の目的は、据付敷地面積がより一層縮小できて保守点検の作業用空間も十分に確保できる1・1/2遮断器方式のGISを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、軸方向に延びる2つの主母線と、前記各主母線と接続する直列接続構成の3台の横置き形遮断器と、前記各横置き形遮断器の両側に設ける断路器と、前記断路器を介在させて前記各主母線及び前記横置き形遮断器間を接続する接続母線と、前記各接続母線に一端側を接続すると共に他端側に絶縁端子を設ける分岐母線と、を少なくとも備えた1・1/2遮断器方式のガス絶縁開閉装置であって、前記各横置き形遮断器は上方に向けた接続用開口を設けた密閉容器を用いて並設し、前記主母線は前記各横置き形遮断器における軸方向の一方端側部の上方空間に上下2段に配置すると共に、前記接続母線は前記横置き形遮断器における軸方向の他方端側部の上方空間に上下2段に配置し、前記分岐母線は前記接続母線の上方に配置して接続して構成したことを特徴としている。
【0013】
好ましくは、前記各母線と前記各接続母線の双方は、前記横置き形遮断器を中心にして対称となる同一高さに略平行に配置して構成したことを特徴としている。
【0014】
また好ましくは、前記各分岐母線は前記横置き形遮断器の上方空間に配置して前記主母線側に引き出して構成、或いは前記各分岐母線は前記接続母線の上方空間に配置して前記主母線側とは反対側に引き出して構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明のGISのように構成すれば、上方に向けた接続用開口を設けた密封容器を用いた各横置き形遮断器を併設し、これらの一方端側部及び他方端側部の上方空間に、各主母線及び接続母線をそれぞれ上下2段に配置し、また各分岐母線も各接続母線の上方に配置したので、主母線から接続母線間での距離を従来よりも短縮できるから、従来のGISの配置面積と比較すると本発明の配置は約65%程度にできるため、GISの据付敷地面積がより一層縮小できる。
【0016】
また、各主母線及び接続母線の下方にある各横置き形遮断器の各端側部には大きな空間が形成されているから、この部分を横置き形遮断器や主母線等の作業用空間として確保できるため、各機器の解体や保守点検時に有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例である1・1/2遮断器方式のGISの概略平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿った概略側面図である。
【図3】図1のB−B線に沿った概略側面図である。
【図4】図1のC−C線に沿った概略側面図である。
【図5】1・1/2遮断器方式のGISの簡略化した単線結線図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の1・1/2遮断器方式のGISは、軸方向に延びる2つの主母線と、前記各主母線と接続する直列接続構成の3台の横置き形遮断器と、各横置き形遮断器の両側に設ける断路器と、前記断路器を介在させて前記各主母線及び前記横置き形遮断器間を接続する接続母線と、前記各接続母線に一端側を接続すると共に他端側に絶縁端子を設ける分岐母線とを少なくとも備えている。上部に接続用開口を設けた密封容器を用いる各横置き形遮断器は並設しており、これら各横置き形遮断器における軸方向の一方端側部の上方空間に各主母線を上下2段に配置すると共に、各横置き形遮断器における軸方向の他方端側部の上方空間に各接続母線を上下2段に配置している。また、分岐母線は各接続母線の上方に配置して接続して構成している。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明の1・1/2遮断器方式のGISを、図5の結線図と同符号で示している図1から図4を用いて説明する。本発明のGISに用いる横置き形遮断器CB1〜CB3は、上方に向けた接続用開口22a、22bを設けた軸方向に長い密閉容器20を使用し、この密閉容器20の内部に遮断部21を収納し、かつ絶縁ガスを充填した構造である。図1の例では相分離型であるため、横置き形遮断器CB1、CB2、CB3はそれぞれ三相分を一つの組にして並設している。なお、上方に向けた接続用開口22a、22bは、密閉容器20の軸方向の各端部に設けて使用することができる。
【0020】
これら並設する横置き形遮断器CB1〜CB3は、この軸方向の一方端側部の上方空間に、軸方向に延びる2つの主母線Bus1、Bus2を上下2段に配置しており、また同様に横置き形遮断器CB1〜CB3の軸方向の他方端側部の上方空間に、遮断器間を接続する接続母線11、12を上下2段に配置している。
【0021】
横置き形遮断器CB1〜CB3のそれぞれは、上方の両側に断路器DS1、DS2と、DS3、DS4と、DS5、DS6を設置し、密閉容器20の接続用開口22a、22b側に直接或いは図2から図4に示す如く接続長さ調節用の補助母線11c、11d、14aを用いて連結している。
【0022】
横置き形遮断器CB1とCB2間及びCB2とCB3間は、図2及び図3に示す如く上側に配置した接続母線11及び接続長さ調節用の補助母線11a、11bを用いて、断路器DS2とDS3を介在させて接続している。また、横置き形遮断器CB2とCB3間は、図3及び図4に示す如く下側に配置した接続母線12及び接続長さ調節用の補助母線12a、12bを用いて、断路器DS4とDS5を介在させて接続している。更に、主母線Bus1と横置き形遮断器CB1間及び主母線Bus2と横置き形遮断器CB3間は、図2及び図4に示す如くそれぞれ接続母線13と14を用いて接続している。
【0023】
各接続母線11、12の上方には分岐母線15、16を配置しており、これら双方間を直接或いは必要に応じて断路器を介在させて接続している。これら分岐母線15及び16は、図1、図3及び図4にそれぞれ示す如く横置き形遮断器CB2やCB3の上方を軸線に沿って延びて、主母線Bus1、Bus2と上方から見て交差、言い換えれば略直交させて引き出している。これら分岐母線15、16が引き出し方向に長くなる場合は、当然のことながら輸送や組立作業を考慮して所定の軸方向寸法に製作し、連結して使用する。
【0024】
このように、分岐母線15、16の引き出し配置のために、横置き形遮断器CB2、CB3の上方を活用すると、GISは主母線の軸方向に縮小した装置構成にすることができる。なお、分岐母線15、16は主母線Bus1、Bus2側に引き出すばかりでなく、GISの設置条件に応じて図3及び図4の左方である主母線Bus1、Bus2と反対側に引き出すこともできる。
【0025】
本発明のGISは、上記の配置と各接続によって1・1/2遮断器方式の1回線分のGISユニットを構成している。これにより、上下2段に配置する主母線Bus1、Bus2及び接続母線11、12の下側、つまり横置き形遮断器CB1の一方及び他方端側部に作業用空間S1とS4を形成している。同様に横置き形遮断器CB2の一方及び他方端側部に作業用空間S2とS5を、また横置き形遮断器CB3の一方及び他方端側部に作業用空間S3とS6をそれぞれ形成している。これらの作業用空間S1〜S6は、各横置き形遮断器等の保守点検や解体等の作業の際に活用することができる。なお、各作業用空間S1〜S6は、各横置き形遮断器CB1〜CB3の密閉容器20の軸方向寸法より大きくすれば、より一層作業性を向上させることができる。
【0026】
本発明の図1から図4に示すGISユニットの例では、主母線Bus1、Bus2及び接続母線11、12は、横置き形遮断器CB1〜CB3を中心とした位置から見て同一高さの上下2段に対称となるように略平行に配置している。このように配置すると、各断路器や各接続母線や各補助母線等の部品を共通化できるので、GISを経済的に容易に製作することができる。また、上下2段の配置である主母線Bus1、Bus2間及び接続母線11、12間、更には分岐母線15、16をも含めて構造材により機械的に結合すれば、耐震性も損なうことなく構成することができる。
【0027】
本発明の1・1/2遮断器方式の1回線分のGISは、横置き形遮断器CB1〜CB3と、対称で上下2段配置の主母線Bus1、Bus2及び接続母線11、12と分岐母線15、16を適切に配置して接続した構成としたので、GISの据付面積を縮小することができる。具体的には1回線分のGISユニット構成で、従来のものと据付面積で比較すると約65%程度にできるし、容積比で比較すると約80%程度に抑えることができる。したがって、GISを建屋内に配置する際にはより一層効果的である。
【0028】
なお、並列接続して使用する2回線分のGISユニットでGISを構成する場合は、図1のGISユニットと同一構成のものを軸方向に伸びる主母線の左右のいずれか一方側に配置し、各GISユニット双方の主母線間を接続することで構成することができる。また、4回線分のGISユニットでGISを構成する場合は、例えば並列接続する2回線分のGISユニットずつ対称配置にすると、より縮小した配置にできる。
【符号の説明】
【0029】
Bus1、Bus2…主母線、CB1、CB2、CB3…横置き形遮断器、DS1、DS2、DS3、DS4、DS5、DS6…断路器、11、12…接続母線、15、16…分岐母線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる2つの主母線と、前記各主母線と接続する直列接続構成の3台の横置き形遮断器と、前記各横置き形遮断器の両側に設ける断路器と、前記断路器を介在させて前記各主母線及び前記横置き形遮断器間を接続する接続母線と、前記各接続母線に一端側を接続すると共に他端側に絶縁端子を設ける分岐母線と、を少なくとも備えた1・1/2遮断器方式のガス絶縁開閉装置において、前記各横置き形遮断器は上方に向けた接続用開口を設けた密閉容器を用いて並設し、前記主母線は前記各横置き形遮断器における軸方向の一方端側部の上方空間に上下2段に配置すると共に、前記接続母線は前記横置き形遮断器における軸方向の他方端側部の上方空間に上下2段に配置し、前記分岐母線は前記接続母線の上方に配置して接続して構成したことを特徴とするガス絶縁開閉装置。
【請求項2】
請求項1において、前記各母線と前記各接続母線の双方は、前記横置き形遮断器を中心にして対称となる同一高さに略平行に配置して構成したことを特徴とするガス絶縁開閉装置。
【請求項3】
請求項1において、前記各分岐母線は前記横置き形遮断器の上方空間に配置して前記主母線側に引き出して構成したことを特徴とするガス絶縁開閉装置。
【請求項4】
請求項1において、前記各分岐母線は前記接続母線の上方空間に配置して前記主母線側とは反対側に引き出して構成したことを特徴とするガス絶縁開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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