説明

ガラス間仕切りの天井構造及びガラスパネル上端と天井を連結する突っ張り金具

【課題】 複数枚のガラス板を四方枠体に嵌めたガラスパネルをアジャスターによって適当な高さに支持した巾木上に載置し、ガラスパネルの上端を天井に安定して連結するガラス間仕切りの天井構造の提供。
【解決手段】 ガラスパネル1の上端と天井とを連結する為の突っ張り金具20を間に介在し、突っ張り金具20は天井レール内に収容すると共に基台21に設けた止着片27,27を天井にネジ止めし、基台21のネジ穴に螺合したアジャスターネジ23を下方へ延ばし、該アジャスターネジ下端の頭部24には円盤25を取付け、ガラスパネル1の上桟4を該円盤25にネジ止めしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラス間仕切りの天井構造及びガラスパネル上端と天井を連結する突っ張り金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9はガラス間仕切り装置の一部を表しているが、ガラスパネル(イ)は上桟(ロ)、下桟(ハ)、及び両縦桟(ニ)、(ニ)によって枠組みした四方枠体にガラス板(ホ)が嵌って構成している。そして、このガラスパネル(イ)は床面に敷設した床レール(ヘ)の所々に配置したアジャスター(ト)、(ト)・・・に支持された巾木(チ)に載って支持され、上端は天井レール(リ)と連結し、隣合うガラスパネル(イ)、(イ)の側端は間に介在しているスタッド(ヌ)と連結している。
【0003】
図10はガラス間仕切りの横断面と縦断面を示す具体例であるが、四方枠体には1枚のガラス板(ホ)が嵌っていて、このガラスパネル(イ)、(イ)・・・はスタッド(ヌ)、(ヌ)・・・を介して連結している。スタッド(ヌ)は透明でなく、その為にガラス間仕切りに数多くのスタッド(ヌ)、(ヌ)・・・が起立することは外観が損なわれ、好ましくない。勿論、大きな四方枠体を組み立て、これに大きなガラス板(ホ)を嵌めることも可能であるが、ガラス板(ホ)の重量は重たくて、枠体に嵌めることは容易でない。
【0004】
ペーパーコアを充填材(芯材)とし、その両面に金属製の表面材を貼着したパネルであれば、該パネル下端を巾木に載置し、パネル上端は天井に固定した天井レールに係合して据付け、パネル両側は起立するスタッドに連結することが出来る。しかし、非常に重いガラスパネルの場合、金属製表面材を貼着したパネルと同じ据付け構造とすることは出来ない。
【0005】
そこで、パネル上端と天井との間に突っ張り金具を介在し、この突っ張り金具を突っ張ることにより、パネルを押下げて巾木上に安定して載置すると共に、パネル上端を天井と連結するように構成した間仕切りが知られている。
特開2001−90233号に係る「間仕切パネルの固定構造」は、住宅等の躯体のバラツキを調整しつつ間仕切パネルを簡単、確実に建て込んで固定するものであり、間仕切パネルの上端部に昇降自在に装着せるアジャスターボルトの頭部を天井レールの溝幅方向に拡開自在に形成せしめ、天井レールの溝内に拡開密着させて間仕切パネルを突張り固定することが出来る。
【0006】
ところで、上記アジャスターボルトを突っ張り金具として使用し、このアジャスターボルトを回転することで天井とパネル上端とが連結固定される。その為にパネル上端部にはアジャスターボルトが嵌るネジ穴を設ける必要があり、その為に、本発明が対象とするガラスパネルに適用することは出来ない。また、アジャスターネジを用いた突っ張り金具の場合にはパネルを下方へ押圧することでパネル上端を固定するように機能するが、大きなガラスパネルの場合には単に下方へ押圧するだけでは十分でない。
【特許文献1】特開2001−90233号に係る「間仕切パネルの固定構造」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、アジャスターネジで構成した突っ張り金具を用いた間仕切り装置には上記のごとき問題がある。本発明では重量が非常に大きなガラスパネルを使用したガラス間仕切りを対象とし、その上端を安定して天井に固定することが出来る突っ張り金具及び該突っ張り金具を用いたガラス間仕切りの天井構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のガラス間仕切りは、四方枠体に複数枚のガラス板を嵌めてガラスパネルを構成し、このガラスパネルの下端はアジャスターにて適度な高さに支持された巾木の上に載置され、ガラスパネルの上端は天井に固定した天井レールに係合している。しかも、パネル上端と天井との間には突っ張り金具が介在してガラスパネル上端を天井に連結固定した構造と成っている。
【0009】
ところで、突っ張り金具は基台にアジャスターネジを螺合して設け、該アジャスターネジの下端頭部には当接板を取付け、そしてアジャスターネジを回転することで降下してガラスパネルの上桟に当接板が当接する。そこで、該基台は天井レールの内側から天井にネジ止めされ、その為に基台の両側にはネジ止めする為の止着片を設けている。そして、基台内部にはナットが固定され、このナットのネジ穴にアジャスターネジが螺合している。また、基台そのものにネジ穴を形成する場合もある。
【0010】
アジャスターネジは下方へ延びて下端の頭部には当接板が取付けられ、アジャスターネジを回転して降下させるならば、ガラスパネルの上桟に上記当接板が当接することが出来る。ここで、アジャスターネジを回転することが出来るように、ガラスパネルの上桟のガラス溝底には穴が形成され、この穴に工具を挿入してアジャスターネジの頭部を回転する。また、ガラス溝底には工具挿入穴を中心として外方向に別の穴が貫通し、この穴にネジを挿入して当接板と上桟をネジ止めすることもある。ここで、上記当接板の形状を円盤としたり、角板とすることもあり、円盤の場合にはアジャスターネジの頭部に溶接し、角板の場合にはアジャスターネジのみが回って該角板は回転しない取付け構造とすることも可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のガラス間仕切りは、ガラスパネルの下端を巾木に載置すると共に、上端を天井レールに係合し、さらにガラスパネル上端と天井間には突っ張り金具を介在している。この突っ張り金具に設けたアジャスターネジを回転することで下方へ延び、アジャスターネジ下端の頭部に固定した当接板はガラスパネル上桟に当接し、ガラスパネル上桟は当接板にネジ止めされる。
【0012】
従って、ガラスパネル上端は天井レールに係合すると共に突っ張り金具を介して天井と連結されることで、非常に重いガラスパネルを安定して据付けることが出来る。ここで、複数枚のガラス板が嵌った四方枠体は大きくなり、上桟の中央部は自重によって撓み変形するが、当接板に上桟をネジ止めすることでこの撓みが防止される。また、当接板にネジ止めしない場合にも、当接板を上桟に係合することでガラスパネル上端の位置決めをすることが可能である。
【0013】
本発明の突っ張り金具はアジャスターネジを備えているが、このアジャスターネジは基台に設けたネジ穴に螺合し、下方へ降下して延びるアジャスターネジの下端頭部に当接板を設け、この当接板を介してガラスパネル上桟とネジ止めする連結構造である。従って、ガラスパネルには特開2001−90233号に係る「間仕切パネルの固定構造」のように、アジャスターネジが螺合して嵌るネジ穴は不要となり、深いネジ穴を設けることが出来ないガラスパネルに適している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ガラス間仕切りの正面図で、(a)四方枠体に2枚のガラス板を嵌めた場合、(b)は四方枠体に3枚のガラス板を嵌めた場合。
【図2】図1のA−A断面拡大図。
【図3】図1のB−B断面拡大図。
【図4】図3の上部拡大図で、突っ張り金具を介してガラスパネル上端と天井を連結する構造。
【図5】突っ張り金具の具体例で、正面図、底面図、及び側面図を示す。
【図6】突っ張り金具の他の具体例で、正面図、底面図、及び側面図を示す。
【図7】突っ張り金具を介してガラスパネル上端と天井を連結する構造。
【図8】突っ張り金具を介してガラスパネル上端の上桟に形成した溝に当接板を嵌めて天井と連結する他の連結構造。
【図9】従来のガラス間仕切りを示す正面図。
【図10】従来のガラス間仕切りの横断面図と縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1はガラスパネル1を示す実施例であり、(a)は2枚のガラス板2,2が四方枠体3に嵌っている。四方枠体3は上桟4、下桟5、及び両縦桟6,6を枠組みして構成している。同じく(b)は3枚のガラス板2,2,2が四方枠体3に嵌っている。ところで、このガラスパネル1は床レールの所々に配置したアジャスターに支持されている巾木7に載置され、ガラスパネル1の上端は天井に固定した天井レール8に係合している。
【0016】
図2は図1のA−A断面拡大図であり、ガラスパネル1,1・・・の間にはスタッド9,9・・・が介在している。また、壁面側には壁レール10が上下に延び、該壁レール内に起立したスタッド9にガラスパネル1の側端が連結している。そして、ガラス板2,2の間には樹脂製のジョイント材11が介在して両ガラス板2,2を繋いでいる。ジョイント材11はその断面を概略H型とし、ジョイント片12a,12bにてガラス板2,2の側端を挟み込んでいる。両ジョイント片12a,12bは中央に連結部位を設け、ガラス板2,2間の隙間に位置する連結部位を介して両ジョイント片12a,12bは繋がっている。
【0017】
四方枠体の縦桟6,6にはガラス溝13,13が設けられ、このガラス溝13,13にガラス板2,2の側端が嵌り、ビード14,14・・・を介して固定されている。図3は図1のB−B断面拡大図を示している。床面15には床レール16が敷設され、該床レール16の所々にアジャスター17,17・・・を配置し、このアジャスター17,17・・・にて巾木7を適当な高さに支持し、そして巾木7にはガラスパネル1の下端が載置されている。重いガラス板2は下桟5のガラス溝13に嵌ると共に該下桟5にその重量を負荷している。
【0018】
ガラスパネル1の下桟5はガラス溝13から挿通したネジを巾木7にネジ止めしている。勿論、ネジ止めは四方枠体にガラス板2を嵌める前に行い、ガラスパネル1の下端を安定した状態で固定している。そして、天井面18には天井レール8が固定され、この天井レール8の両側片19a,19bの間にガラスパネル1の上端部が嵌って拘束されている。
【0019】
表面材を貼着した一般的なパネルであれば、天井に天井レールを固定し、この天井レールにパネル上端を係合する構造で十分であるが、重量が非常に大きな本発明のガラスパネルでは、突っ張り金具20を設けている。すなわち、天井とガラスパネル1の上桟4を突っ張り金具20を介して連結した構造と成っている。
【0020】
図4はガラスパネル1の上端と天井の間に突っ張り金具20を介在して連結する構造を示す図3の拡大図である。突っ張り金具20はコ型をした基台21が天井にネジ止めされ、そして基台21に溶接したナット22にはアジャスターネジ23が螺合して下方へ延びている。アジャスターネジ23の下端に設けている頭部24には当接板として機能する円盤25が溶接にて固定され、該アジャスターネジ23を回転するならば、円盤25も回転して上下動することが出来る。
【0021】
円盤25はガラスパネル1の上桟4に当接し、この状態で上桟4はネジ26にて該円盤25に連結・固定されている。従って、ガラスパネル1の上端は突っ張り金具20を介して天井に連結される。ところで、アジャスターネジ23の調整はガラス板2が嵌っていない状態で、ガラス溝13の底から操作する。すなわち、ガラス溝底に穴を設け、この穴に工具を挿入して頭部24を回転する。また、 別の穴にネジ26を挿入して円盤25にネジ止めする。すなわち、頭部24を工具で回転して降下し、円盤25を上桟4に近接したところで上桟4を円盤25にネジ26にてネジ止めする。
【0022】
図5は突っ張り金具20を示す具体例であり、正面図、底面図、側面図をそれぞれ表している。コ型をした基台21には止着片27,27が両側へ延び、該止着片27,27には長穴が形成されている。この長穴27,27に前記図4に示すようにネジ28,28を挿入して天井に固定される。ナット22は基台21に溶接され、ナット22のネジ穴に上記アジャスターネジ23が螺合している。
【0023】
ナット22は長く、従ってアジャスターネジ23も長くして基台21から下方へ大きく延びることが出来る。そして、下端に位置する頭部24に平座金を介して円盤25が載って溶接されている。上桟4にはネジを締付けるための穴があいていて、円盤25に上桟4のガラス溝13から挿入したネジ26,26が締付けられ、上桟4は円盤25と連結する。ここで、基台21はコ型に限るものではなくブロック状として構成することも可能であり、ブロック状の基台21とした場合、その中央にアジャスターネジ23が螺合するネジ穴を設けることが出来る。
【0024】
大きなガラスパネル1の上桟4は長くなり、上桟4に形成したガラス溝13にガラス板2が嵌っているが、ガラス溝底との間には隙間が形成され、その為に長い上桟4はその自重の作用で撓み変形する。突っ張り金具20は図1において、一般にガラス板2,2の間に配置される。そこで、(a)のガラス間仕切りの場合には中間部位に1個、(b)に示すガラス間仕切りの場合には2個の突っ張り金具20,20が配置されて、上桟3と天井を連結している。
【0025】
図6は突っ張り金具20を示す別形態であり、正面図、底面図、及び側面図をそれぞれ表している。基本的な形態は前記図5の突っ張り金具20と同じであるが、同図の基台21の高さ寸法が大きくなり、その為に、ナット22は丸パイプ29に嵌って互いに溶接されている。
【0026】
勿論、丸パイプ29を用いることなく、基台21の高さに適合したナット22を使用して該基台21に溶接してもよい。図7は図6に示す突っ張り金具20を使用してガラスパネル1の上端と天井を連結した連結構造を示している。基本構造は前記図4にて説明した連結構造と同じであるが、天井に固定した天井レール8はその幅寸法が狭く、ガラスパネル1の上桟に形成している上部開口に嵌っている。
【0027】
突っ張り金具20の基台21は天井レール8に嵌り、ネジ28,28にて天井に固定され、そしてアジャスターネジ23は下方へ延び、該アジャスターネジ下端の頭部に溶接した円盤25に上桟4がネジ26にてネジ止めされている。
【0028】
図8は突っ張り金具20を使用してガラスパネル1の上端と天井を連結した連結構造を示す他の実施例である。同図に示す突っ張り金具20は基台21から下方へ延びるアジャスターネジ23の下端に当接板30を取付けているが、該当接板30は頭部24に溶接されていない。従って、当接板30は回転することが出来るが、上昇しないように該アジャスターネジ23にはスナップリング(止め輪)33を嵌めている。
【0029】
そして上記当接板30は上桟4に設けている両凸片31,31の間に形成した溝32に嵌っている。前記図4、図7に示した構造とは異なり、上桟4と当接板30を連結する為のネジ26,26は用いていないが、該当接板30が溝32に嵌ることでガラスパネル1の上端は位置決めされる。そこで、該当接板30は円盤でなく四角形板とする方が好ましい。
【符号の説明】
【0030】
1 ガラスパネル
2 ガラス板
3 四方枠体
4 上桟
5 下桟
6 縦桟
7 巾木
8 天井レール
9 スタッド
10 壁レール
11 ジョイント材
12 ジョイント片
13 ガラス溝
14 ビード
15 床面
16 床レール
17 アジャスター
18 天井面
19 側片
20 突っ張り金具
21 基台
22 ナット
23 アジャスターネジ
24 頭部
25 円盤
26 ネジ
27 止着片
28 ネジ
29 丸パイプ
30 当接板
31 凸片
32 溝
33 スナップリング


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス間仕切りの上端と天井との間に介在してガラスパネル上端と天井を連結する突っ張り金具において、該突っ張り金具はネジ穴を設けた基台と該基台には天井にネジ止めする止着片を有し、上記ネジ穴にはアジャスターネジを螺合すると共に回転することで上下方向に移動し、アジャスターネジの下端頭部にはガラスパネルの上桟に当接して連結する当接板を取付けたことを特徴とするガラスパネル上端と天井を連結する突っ張り金具。
【請求項2】
上記当接板を円盤としてアジャスターネジの頭部に溶接した請求項1記載のガラスパネル上端と天井を連結する突っ張り金具。
【請求項3】
上記当接板を上桟に係合する大きさの角形とし、中央に設けた穴にアジャスターネジを嵌めて回転自在とし、しかも上方への移動を阻止する為の止め輪をアジャスターネジに嵌めた請求項1記載のガラスパネル上端と天井を連結する突っ張り金具。
【請求項4】
上記基台をブロック状とし、中央上下方向にネジ穴を形成してアジャスターネジを螺合した請求項1、請求項2、又は請求項3記載のガラスパネル上端と天井を連結する突っ張り金具。
【請求項5】
上記基台をコ型とし、その内部にネジ穴を有すナットを溶接してアジャスターネジを螺合した請求項1、請求項2、又は請求項3記載のガラスパネル上端と天井を連結する突っ張り金具。
【請求項6】
複数枚のガラス板を四方枠体に嵌めたガラスパネルを床レールに配置したアジャスターによって適当な高さに支持した巾木上に載置し、ガラスパネルの上端は天井に固定した天井レールと係合して構成されるガラス間仕切りの天井構造において、上記ガラスパネルの上端と天井とを連結する為の突っ張り金具を間に介在し、突っ張り金具は天井レール内に収容すると共に基台に設けた止着片を天井にネジ止めし、基台のネジ穴に螺合したアジャスターネジを下方へ延ばし、該アジャスターネジ下端の頭部には当接板を取付け、ガラスパネルの上桟に該当接板を当接・係合したことを特徴とするガラス間仕切りの天井構造。
【請求項7】
上記ガラスパネルの上桟に形成したガラス溝底の穴からネジを挿入し、上記当接板に上桟をネジ止めした請求項6記載のガラス間仕切りの天井構造。


















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−28920(P2013−28920A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164411(P2011−164411)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000105693)コマニー株式会社 (105)