説明

ガントリシステム

医療イメージングにおける使用に特に適した装置が、検査領域30における放射性核種崩壊を示すガンマ放射線を検出する放射線感知検出器40,50を含む。その検出器40,50は、検出器回転軸35の周りを回転する一般にC型の支持部70により支持される。その支持部70は更に検出器回転軸35の調整を可能にするピボット結合部77に付けられる。支持部70は自由度2で平行移動されることもでき、その結果、検出器40,50が非円形軌道を描くよう検査領域20の周りで移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書は、核イメージングの分野に関する。特に、本書は、医療イメージングにおいて使用される放射線検出器の位置決めのためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、陽電子放出断層撮影(PET)システム及び単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)システムといった核イメージングシステムは、一般に、その患者の生体構造及び生体機能に関するデータを収集する目的で患者の周りに配置される1つ又は複数の検出器を利用する。収集されたデータは、医師が診断目的に使用することができる画像を再構成するのに使用されることができる。
【0003】
単光子イメージングにおいて、画像化される対象物を含む検査領域を表示するため、移動可能なガントリ上に1つ又は複数の検出器が取り付けられる。その対象物は通常、人間の患者又は実験動物である。通例、放出放射線を生成することができる1つ又は複数の放射線医薬品が対象物に注入される。その放射線医薬品は好ましくは対象物内で医師が検査したい注目臓器を巡回する。検出器は、選択された経路又はスキャニング軌跡に沿って対象物をスキャンし、放射線イベントが検出器により検出される。
【0004】
通常の検出器は、コリメータと光電子増倍管の配列によって見られるシンチレーション結晶とを含む。光電子増倍管の相対出力は通常、第1に各放射線イベントが検出される検出器での位置座標と、第2に各イベントのエネルギーとを示す出力信号を生成するよう処理及び訂正される。そのイベントのエネルギーは、複数の放射線エミッション源、迷放射線、2次放射線、透過放射線及びノイズ源といった様々なタイプの放射線を区別するのに使用される。その後、その放射線データは注目領域を表す画像へと再構成される。
【0005】
陽電子放出イメージングにおいて、消滅(annihilation)イベントが結果として、特定のエネルギーレベルを備える光子のペアの放出を生じさせる。放出された光子は、消滅場所から正反対の方向に飛ぶ。通常、陽電子放出検出器は、各検出器が他の検出器と向き合う放射線受信面を備える正反対に位置するペアで配置される。そのペアにおける第1の検出器で検出される光子は、様々な指示係数に基づき、そのペアの第2の検出器により検出される光子とマッチされる。そして、そのシステムは検出された光子の相対位置に基づき飛行線を取得し、注目領域の画像表現を再構成するのにその情報を用いる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
好ましい検出器構成は、しばしば、行われる検査のタイプに応じて決まる。例えば、心臓イメージングシステムは、しばしば、互いに直交して配置される2つの検出器を用いる。この方向は、対象物の周りに90度だけ検出器のペアを回転することにより、完全な180度データセットが収集されることを可能にする。コリメータぼけが原因による空間分解能における損失を最小化する平行イメージング(collimated imaging)のため、診断スキャンの間、検出器の放射線受信面ができるだけ対象物に近いことが望ましい。結果として、検出器を対象物にできるだけ近く配置するガントリシステムに対する必要性が存在する。更に、医師は、対象物における注目領域へのアクセス又は検査の間の対象物の快適性を含む様々な理由から、対象物を様々な方向に配置したい場合がある。従って、広範な位置オプションを提供するガントリシステムへの必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の側面はこうした問題その他に対処する。
【0008】
本発明の第1の側面によれば、装置が、検査領域における放射性核種崩壊を示すガンマ放射線を検出する第1の放射線感知検出器と、その検査領域に対してその検出器を移動可能に支持するガントリとを含む。非円形状の軌道で動くよう、その第1の検出器は、検査領域の周りを選択的に平行移動及び回転可能である。その軌道の平面は、少なくとも第1の方向と第2の方向との間で調節可能である。
【0009】
本発明のより限定された側面によれば、検査領域は人間の患者を受けるよう適合される。軌道の平面は、リクライニング状態にある患者の長手軸にその軌道の平面が実質的に直交する第1の位置と、少なくとも座っているか横になった状態の患者の長手軸にその軌道の平面が実質的に直交する第2の位置との間で調整可能である。
【0010】
本発明の更に限定された側面によれば、その軌道の平面は90度の範囲を超えて調整可能である。
【0011】
本発明の別の更に限定された側面によれば、その装置は、第1の支持部とアーチ形の支持部とを含む。そのアーチ形の支持部は、検出器回転軸の周りでの回転のために第1の検出器を支持する。ピボット軸の周りの旋回的な動きのためそのアーチ形の支持部は第1の支持部に作動的に接続され、その結果、アーチ形の支持部を旋回すると、その軌道の平面が調整される。
【0012】
本発明の更に追加的な限定された側面によれば、ピボット軸は、その検出器回転軸に対して直角である。
【0013】
更に追加的な限定された側面によれば、第1の支持部は、ピボット軸に平行な第1の方向に平行移動可能である。第1の支持部はそのピボット軸に直角な第2の方向にも平行移動可能である。
【0014】
更に追加的な限定された側面によれば、その装置は、第1の支持部に作動的に接続される垂直駆動部を含む。垂直駆動部は、第1の支持部を垂直方向に選択的に平行移動させる。その装置は、第1の支持部に作動的に接続される水平駆動部も含む。その水平駆動部は、第1の支持部を水平方向に選択的に平行移動させる。
【0015】
本発明の別の一層限定された側面によれば、その装置は第2のアーチ形支持部を含む。第1の検出器は、第2の支持部に固定的に取り付けられる。第2のアーチ形支持部は、検出器回転軸の周りでの回転のため第1のアーチ形支持部に作動的に接続される。
【0016】
別のより限定された側面によれば、その装置は、第1及び第2のアーチ形支持部に作動的に接続されるカーブした(curved:弧状の)ラックアンドピニオンも含む。
【0017】
本発明の更に別のより限定された側面によれば、その装置は、検査領域における放射線崩壊を示すガンマ放射線を検出する第2の放射線感知検出器を含む。アーチ形の支持部は、検出器の回転軸の周りの回転のため第2の検出器を支持する。第1の検出器及び第2の検出器は、直交する構成で配置される。
【0018】
本発明のより限定された側面によれば、その装置は、第1の検出器に作動的に接続される画像再構成システムと、第1の検出器の平行移動及び回転を選択的に制御する駆動システムとを含む。
【0019】
更に一層限定された側面によれば、その軌道は実質的には楕円である。
【0020】
その装置は、検査領域の周りに弧状に配置される複数の放射線感知検出器、例えば、60度構成で配置される3つの検出器を含むこともできる。
【0021】
本発明の別の側面によれば、ある装置は、第1の支持部、一般にC型の支持部、ピボット結合部、並びに検査領域に生じる放射性核種崩壊を示すガンマ放射線を検出する第1及び第2の放射線感知検出器を含む。ピボット結合部は、水平ピボット軸を持ち、C型支持部と第1の支持部とに対して作動的に接続される。第1及び第2の検出器は、直交する構成で配置され、検出器回転軸の周りでの回転のため一般的なC型支持部に作動的に接続される。その検出器回転軸は、ピボット軸に直交する。C型支持部は、リクライニング状態にある検査領域に配置される人間対象物の長手軸に検出器回転軸が平行となる第1の位置と、横になった又は垂直な状態のいずれかにある検査領域に配置される人間対象物の長手軸に検出器回転軸が平行になる第2の位置との間で旋回可能である。
【0022】
本発明のより限定された側面によれば、C型支持部は、その検出器回転軸が水平である第1の位置と検出器回転軸が垂直である第2の位置とを含む範囲にわたり旋回可能である。
【0023】
更に一層限定された側面によれば、その装置は、検出器が検出器回転軸の周りを回転することをもたらす駆動部、第1の支持部をピボット軸に平行な方向へ平行移動させる駆動部、及び第1の支持部を垂直方向に平行移動させる駆動部も含むことができる。
【0024】
本発明の更に一層限定された側面によれば、その装置は、その検出器が検査領域の周りを非円形軌道で移動するよう、その駆動部の動きを調整する制御システムを含む。
【0025】
その軌道は、実質的に楕円であり、およそ90度の範囲を持つことができる。
【0026】
別のより限定された側面によれば、その装置は、床面取り付けのために適合されることができる。
【0027】
その装置は、第2のC型支持部も含むことができる。その第2のC型支持部において、第1及び第2の検出器が、共に動くその第2のC型支持部によって支持される。検出器が検出器回転軸の周りを回転することをもたらす駆動部は、第1のC型支持部と第2のC型支持部とに作動的に接続される弧状のラックアンドピニオンを含む。
【0028】
本発明の別のより限定された側面によれば、その装置は、リクライニング位置にある対象物、並びに横になった及び座った位置の少なくとも一方にある対象物を支持するよう構成される対象物支持部を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
当業者であれば、以下の説明を読み理解することで、本発明の更に他の側面を理解することになるであろう。
【0030】
図1Aを参照すれば、イメージングシステムが、ガントリ10、患者支持部20及びイメージングシステム12を含む。
【0031】
ガントリ10は、検査領域30内に生じる放射線核種崩壊を示す放射線を検出する第1及び第2の放射線感知検出器40、50を支持する。
【0032】
検出器40、50は、直交する構成でそれらが検査領域に向き合うよう、アーチ形の検出器支持部60に取り付けられる。斯かる直交構成は、正確に90度に限定されず、他の直交構成(例えば、102度構成)が、特定のイメージング用途に応じて実現されることもできる。
【0033】
図1A及び1Bを参照して、検出器支持部60は、クラシックな弧状ラックアンドピニオン機構といった駆動部を用いる検出器回転軸35の周りでの回転のため、順に検出器支持部キャリア70に移動可能に取り付けられる。キャリア70は、検出器支持部60がスライドすることができる場所に沿って円形状のガイド74a、74bを含む。
【0034】
モータ駆動のピニオンが、検出器支持部60に付けられる。そのピニオンは、モータに電源が入れられるとき、弧状のガイド74a、74bに沿って検出器支持部60を駆動するよう、キャリア70に配置される弧状ラック75と係合する。ラックアンドピニオンシステムに変わる適切な代替物が使用されることもできる。
【0035】
SPECT画像を生成するのに必要なデータを収集するために、直交する検出器40、50が、約90度又は軸35の周りの完全な1回転のおよそ4分の1だけ弧に沿って移動する。もちろん、他の角度範囲が実現されることもできる。
【0036】
引き続き図1A及び図1Bを参照して、ガントリ10は、移動可能な嵌め込み部80と固定嵌め込み部90とを含む支持部82も含む。キャリア70は、ピボット軸85の周りの旋回移動のためピボット結合部77を介して移動可能部80に取り付けられる。ピボット軸85は、検出器回転軸35に直交する。ピボット結合部77は好ましくは、キャリア70の角度位置が約90度の範囲にわたり調整されることを可能にする。その結果、検出器回転軸35は、水平(図示済み)及び垂直位置の間の範囲にわたるものとして視覚化されることができる。言い換えると、検出器40、50は、垂直(図示済み)及び水平位置の間で変化する平面において検査領域の周りを移動する(orbit)ものとして表示されることができる。もちろん、90度より大きい又は小さい角度範囲もまた実現されることができる。
【0037】
ユーザ又は操作者は、キャリア70を、そしてピボット軸77の周りの検出器40、50を手動で配置する。ロック機構により、ユーザは、キャリア70が所望の角度位置にあるときの位置にピボット結合部77を固定することができる。ピボット結合部77は、所定の角度位置にキャリア70が位置することを容易にする1つ又は複数の戻り止めも含むことができる。また、ピボット結合部77の周りでキャリア70を旋回駆動させるのに、電気モータといった駆動部が使用されることができる。モータ駆動と手動駆動との組み合わせが実現されることもできる。
【0038】
図示されるように、支持部82は、実質的に垂直な嵌め込みアームとして実現され、その長さは、ピボット軸85に直交する軸87に沿って調整可能である。適切なギアに結合される電気モータ等の駆動部は、支持部80が軸87に沿って平行移動することをもたらす。
【0039】
支持部82は、ピボット軸85方向の線形的な動きのために固定フレーム95に順に移動可能に取り付けられる。図示される実施形態において、固定フレーム95は、天井又は他の適切なオーバヘッド支持部に付けられる。また、固定フレームは、床、壁又は他の支持部に付けられることができる。
【0040】
適切なギアに結合される電気モータ等の駆動部は、支持部90がピボット軸85方向に沿って平行移動することをもたらす。また、操作者又はユーザは、支持部90を手動で配置することもできる。モータ駆動と手動駆動との組み合わせが実現されることもできる。斯かるオーバヘッド支持システムの詳細は、Hug等による米国特許第6,150,662号に記載されており、ここでは明示的に参照により本書に含まれる。
【0041】
患者支持部20は、検査領域30における、例えば人間の患者といった画像化される対象物を支持する。図示されるように、支持部20は、患者の胴体が実質的に水平位置に配置される患者ソファ又はベッドの形態をしている。また、支持部20は、患者の胴体が水平以外の位置に置かれること、例えば、実質的に垂直又はリクライニング状態になることを容易にする椅子又は座席を含むことができる。更に、患者支持部20は、1つ以上の斯かる位置に置かれることを容易にするよう調整可能であり、リクライニング可能にすることができる。特に、患者が立位であることが望ましい場合には、患者支持部20は、省略されることもできる。
【0042】
イメージングシステム12は、再構成システム14、ガントリ制御システム16及び操作者インタフェース18を含む。再構成システム14は、従来技術同様、検出される放射線を示す画像を再構成するため、検出器40、50からの信号を処理する。検出器40、50が検査領域及び患者の周りで所望の軌跡に沿って移動する(orbit)よう、ガントリ制御器16は、ガントリにおける様々な結合部に関連付けられる駆動部を制御する。操作者インタフェース18は、例えばモニタ、フィルム又はプリンタに人間が読むことのできる形式でその生成された画像を表示する。データは、電子形式で格納され、離れた位置における再構成及び/又は表示のため通信ネットワークを介して送信されることもできる。操作者インタフェース18は、スキャンプロトコルを指定するため、及び他にはシステム処理を制御するため、操作者からの入力も受け入れる。
【0043】
図2A、図2B及び図2Cは、ガントリ10の別の実施形態を示す。図1A及び図1Bに関して上述されたように、ガントリ10は、第1の放射線感知検出器40及び第2の放射線感知検出器50と、検出器支持部60と、検出器支持部キャリア70と、関連する駆動機構と、ピボット結合部77とを含む。同様に上述されたように、検出器40、50は、検出器回転軸35の周りを回転可能である。同様に、キャリア70、従って検出器40、50は、ピボット軸85の周りを旋回する。
【0044】
ピボット結合部77は、垂直な軸87に沿った平行移動のためベース取り付け部210に対して移動可能に取り付けられる。同様に、ベース取り付け部210は、ピボット軸85に平行な方向への平行移動のため、床又は他の支持部に対して移動可能に取り付けられる。まっすぐなラックアンドピニオン又はリードスクリューシステムといった適切な線形駆動部が、適切な線形ガイドと共に、こうした所望の動きを生成するため使用されることができる。
【0045】
図2Aは、検出器回転軸35が実質的に水平であるよう配置されたキャリア70を備えるガントリ10を示す。言い換えると、検出器40、50は、実質的に垂直な平面内に検査領域の軌道を乗せる(orbit)。図2Bは、検出器回転軸35が実質的に垂直であるよう、90度分ピボット結合部の周りで回転されたキャリア70を備えるガントリ10を示す。言い換えると、検出器40、50は、実質的に水平な平面内に検査領域の軌道を乗せる。図2Cは、検出器回転軸35が垂直から約45度であるよう、ピボット結合部の周りで回転されたキャリア70を備えるガントリ10を示す。言い換えると、検出器40、50は、水平から約45度の平面内に検査領域の軌道を乗せる。
【0046】
図2Dは、検出器支持部60を備えるガントリ10を示し、図2Aと比較して約90度分検出器回転軸35の周りで回転された検出器40、50を示す。両方の図において、検出器回転軸35は、水平を向くものとして描かれる。図から分かるように、データ収集の間、第1及び第2の検出器40、50を90度分回転することは、結果として、完全なSPECTデータセットの取得を生じさせる。これもまた図から分かるように、検出器支持部60及び検出器40、50の同様な回転が、例えば、図2B及び図2Cに示される位置のような他の位置を向く検出器回転軸35でも実現されることができる。
【0047】
動作中において、画像化される患者又は他の対象物は、支持部20において所望の位置に置かれる。操作者は、検出器回転軸35が適切に配置されるまでピボット軸85の周りで検出器支持部キャリア70を旋回することにより、検出器40、50の位置を動かす。
【0048】
心臓イメージングにおいて、例えば、患者を座らせた状態に配置することはしばしば利点である。座らせた状態では、患者の胴体又は長手方向の軸が実質的に垂直な軸に沿って配置される。この場合、操作者は、検出器回転軸35が実質的に垂直であるよう、キャリア70を旋回させる。言い換えると、操作者は、検出器40、50により辿られる軌道の平面が実質的に水平であるよう、キャリア70を旋回させる。他の用途においては、例えばうつ伏せ又は仰向けといった、患者を横にした状態に配置することが有利な場合がある。横にした状態では、患者の胴体が、実質的に水平な軸に沿って配置される。この場合、操作者は、検出器回転軸35が実質的に水平であるよう、キャリア70を旋回する。言い換えると、操作者は、検出器40、50により辿られる軌道の平面が実質的に垂直であるよう、キャリア70を旋回する。更に別の用途においては、彼又は彼女が横になってもいないし座ってもいないよう、例えば、患者の胴体が垂直に対して角度を持つリクライニング状態にあるよう患者を配置することが望ましい場合がある。この場合、操作者は、検出器回転軸35が、垂直に対してある対応角度に位置するよう、キャリア70を旋回する。言い換えると、操作者は、検出器40、50により辿られる軌道の平面が垂直に対して角度をなすよう、キャリア70を旋回する。この場合、操作者は、検出器回転軸35が実質的に患者の長手軸に平行であるよう、キャリア70を旋回する。言い換えると、操作者は、検出器40、50により辿られる軌道が患者の胴体に実質的に垂直である平面内にあるよう、キャリア70を旋回する。
【0049】
更に他の用途においては、例えば、心臓、肝臓、膀胱又は他の内部臓器を画像化する場合、検出器回転軸85が患者の胴体と揃うことがないよう、キャリア70を旋回することが望ましい場合がある。このようにしてキャリア70を配置することは、斜めのデータセットの収集を容易にする。例えば、患者に対する尾側又は頭部の関係にあるものである。
【0050】
いずれにせよ、一旦キャリア70が所望の位置に置かれると、操作者はピボット結合部77を平面内に固定する。
【0051】
操作者は、イメージングプロトコルを特定するのに、及び患者に対するデフォルト又は初期位置にキャリア70が配置されるよう、ピボット軸85と軸87とに沿って平行移動駆動部を位置決めするのにも、操作者インタフェースを使用する。イメージングの間、検出器40、50は、検査領域30に生じる放射線核種崩壊を示すガンマ放射線を検出する。検出器40、50が患者の周りで所望の軌道を描くよう、ガントリ制御システム16は、検出器回転軸35の周りの検出器40、50の回転とピボット軸85及び垂直軸87に沿った平行移動とを調整する。斯かる1つの軌道において、検出器40、50が患者の体にできるだけ近い位置にあるような実質的な楕円軌道を、検出器40、50は描く。言い換えると、ガントリ制御システム16は、検出器回転軸35の周りの検出器40、50の回転とキャリア70の平行移動とを調整し、こうして、検出器が所望の軌道を移動するよう検出器回転軸35を調整する。検出器40、50が、必ずしも検査領域の周りの完全な360度軌道内を移動する必要がないことに留意されたい。図1及び図2に表される2つの検出器の実施形態において、例えば、検出器40、50はそれぞれ、およそ90度の弧に沿って軌道を描く。図示される実施形態において、比較的わずかな平行移動だけで人間の画像化に適した楕円軌道を生成することが可能であることにも留意されたい。
【0052】
画像再構成システム14は、放射線核種崩壊を示す画像を生成するために、検出器40、50により収集されるデータを用いる。その画像は、操作者インタフェース18を介して操作者に与えられる。
【0053】
そのシステムは、検査領域30に向き合うよう垂直に配置される第1及び第2の放射線感知検出器40、50を含むものとして上述される。また、そのシステムは、単一の放射線感知検出器を含むこともできる。この場合、検出器支持部60、キャリア70及び関連する駆動部は、好ましくは、完全なSPECTデータセットを収集するため、検出器がおよそ180度の弧を通り回転する又は軌道を描くことを可能にするよう修正される。そのシステムは、互いに60度の角度関係を保つ3つの検出器を含むこともできる。より一般には、そのシステムは、イメージング領域に関して角度的に間隔を空けられた追加的な検出器を含むことができる。それぞれの場合で、回転の範囲は、適切に修正されることができる。
【0054】
そのシステムは、従来のシンチレータ/光電子増倍管検出器に関して説明されてきたが、他の検出器技術も使用されることができる。例えば、別のフォトセンサが使用されることができる。入射放射線を直接電気エネルギーに変換する半導体又は他の検出器とすることもできる。更に、そのシステムは、患者の周りの弧の部分に内在する弧状の検出器を用いて実現されることもできる。ガントリは、陽電子放出断層撮影(PET)システムでの動作のための適切な検出器及び一致論理と共に使用されることができることも留意されたい。
【0055】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明されてきた。明らかに、前述の詳細な説明を読み理解すれば、第三者は、修正及び変形を思いつくであろう。本発明は、こうした修正及び変形を、それらが添付された請求項又はその均等物の範囲に含まれる限りにおいて含むものであると解釈されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1A】オーバヘッド支持される医療イメージングシステムの透視図である。
【図1B】ガントリの検出器支持部キャリアを説明する透視図である。
【図2A】ガントリ及び検出器を伴う検出器アセンブリの第2の透視図である。
【図2B】ガントリ及び検出器アセンブリの第3の透視図である。
【図2C】ガントリ及び検出器アセンブリの第4の透視図である。
【図2D】検出器を伴うガントリを説明する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査領域における放射線核種崩壊を示すガンマ放射線を検出する第1の放射線感知検出器と、
前記検査領域に対して前記検出器を移動可能に支持するガントリとを有し、非円形軌道で動くよう、前記第1の検出器が、前記検査領域の周りを選択的に平行移動可能及び回転可能であり、前記軌道の平面は、少なくとも第1及び第2の方向の間で調整可能である、装置。
【請求項2】
前記検査領域が、人間の患者を受けるよう構成され、前記軌道の平面は、リクライニング状態にある患者の長手軸に前記軌道の平面が実質的に直交する第1の位置と、座った状態又は横になった状態の少なくとも一方にある患者の長手軸に前記軌道の平面が実質的に直交する第2の位置との間で調整可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記軌道の平面が、90度の範囲にわたり調整可能である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
第1の支持部と、
アーチ形支持部とを更に有し、前記アーチ形支持部が、検出器回転軸の周りの回転のため前記第1の検出器を支持し、前記アーチ形支持部は、ピボット軸の周りの旋回動のため前記第1の支持部に作動的に接続され、前記アーチ形支持部を旋回させることにより前記軌道の平面が調整される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ピボット軸が、前記検出器回転軸に垂直である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の支持部が、前記ピボット軸に平行な第1の方向及び前記ピボット軸に垂直な第2の方向に平行移動可能である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の支持部を垂直方向に選択的に平行移動する前記第1の支持部に作動的に接続される垂直駆動部と、
前記第1の支持部を水平方向に選択的に平行移動する前記第1の支持部に作動的に接続される水平駆動部とを更に有する、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
第2のアーチ形支持部を更に有し、前記第1の検出器が、前記第2の支持部に固定的に取り付けられ、前記第2のアーチ形支持部は、前記検出器回転軸の周りの回転のため前記第1のアーチ形支持部に作動的に接続される、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記第1及び第2のアーチ形支持部に作動的に接続される弧状のラックアンドピニオンを更に有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記検査領域における放射線崩壊を示すガンマ放射線を検出する第2の放射線感知検出器を更に有し、前記アーチ形支持部が、前記検出器回転軸の周りの回転のため前記第2の検出器を支持し、前記第1の検出器及び前記第2の検出器は、垂直構成で配置される、請求項4に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の検出器に作動的に接続される画像再構成システムと、
前記第1の検出器の平行移動及び回転を選択的に制御する駆動システムとを更に有する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記軌道が実質的に楕円である、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記検査領域の周りに弧状に配置される複数の放射線感知検出器を更に有する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
60度構成で配置される3つの検出器を有する、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
第1の支持部と、
一般的なC型支持部と、
水平ピボット軸を持ち、前記C型支持部と前記第1の支持部とに作動的に接続されるピボット結合部と、
検査領域に生じる放射線核種崩壊を示すガンマ放射線を検出する第1及び第2の放射線感知検出器であって、垂直構成で配置され、前記ピボット軸に垂直な検出器回転軸の周りの回転のため前記一般的なC型支持部に作動的に接続される第1及び第2の放射線感知検出器とを有し、
前記C型支持部が、前記検査領域に配置されリクライニング状態にある人間対象物の長手軸に前記検出器回転軸が平行となる第1の位置と、前記検査領域に配置され横になった状態又は垂直な状態のいずれかにある人間対象物の長手軸に前記検出器回転軸が平行となる第2の位置との間で旋回可能である、装置。
【請求項16】
前記C型支持部が、前記検出器回転軸が水平である第1の位置と前記検出器回転軸が垂直である第2の位置とを含む範囲にわたり旋回可能である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記検出器が前記検出器回転軸の周りを回転することをもたらす駆動部と、
前記ピボット軸に平行な方向に前記第1の支持部を平行移動させる駆動部と、
前記第1の支持部を垂直方向に平行移動させる駆動部とを更に有する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前器検出器が前記検査領域の周りで非円形軌道を移動するよう、前記駆動部の動きを調整する制御システムを更に含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記軌道が、実質的に楕円であり、およそ90度の範囲を持つ、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記装置が床取り付けに適応している、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
第2のC型支持部を更に有し、前記第1及び第2の検出器が、共に動く前記第2のC型支持部により支持され、前記検出器が前記検出器回転軸の周りを回転することをもたらす前記駆動部は、前記第1のC型支持部及び前記第2のC型支持部に作動的に接続される弧状のラックアンドピニオンを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項22】
リクライニング状態と、横になった及び座った状態の少なくとも一方の状態とにある前記対象物を支持する対象物支持部を更に有する、請求項15に記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【公表番号】特表2008−524574(P2008−524574A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546237(P2007−546237)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【国際出願番号】PCT/IB2005/054068
【国際公開番号】WO2006/064402
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】