キッチンユニット
【課題】キッチンのフレーム部下部のオープンスペースに使用者の使い勝手の良いワゴン、キャビネット等を自由に選択、変更できるキッチンユニットを提供すること。
【解決手段】本発明に係るキッチンユニットは、表面に所定間隔でビス孔が穿設された複数のパネルで形成され、少なくとも流し台もしくはレンジ台を備えた枠組みと、前記枠組みで区画される複数のキャビネット空間と、前記枠組みとは独立して形成され、前記キャビネット空間内にインセット式で着脱可能なキャビネットとを具備し、前記キャビネットには前記所定間隔と等しい間隔でビス孔が穿設され、このビス孔を通じたビス接合により該キャビネットは前記枠組みのパネルと接続され、前記キャビネットは、少なくとも調理器具の収容に用いられる物品収納ユニット体、ワイヤーシェルフを含む所望の機能ユニットに対応することを特徴とする。
【解決手段】本発明に係るキッチンユニットは、表面に所定間隔でビス孔が穿設された複数のパネルで形成され、少なくとも流し台もしくはレンジ台を備えた枠組みと、前記枠組みで区画される複数のキャビネット空間と、前記枠組みとは独立して形成され、前記キャビネット空間内にインセット式で着脱可能なキャビネットとを具備し、前記キャビネットには前記所定間隔と等しい間隔でビス孔が穿設され、このビス孔を通じたビス接合により該キャビネットは前記枠組みのパネルと接続され、前記キャビネットは、少なくとも調理器具の収容に用いられる物品収納ユニット体、ワイヤーシェルフを含む所望の機能ユニットに対応することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキッチンユニットに係り、特に、所望のユニットを交換可能なキッチンユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシステムキッチンは、フレーム部とキャビネット部とが一体的に造り付けられているものが支配的であった。また、キャビネット部がフレーム部から分離独立しているシステムキッチンであっても、機能的な種類は限定されるため、一定の選択肢のうちに収まるしかなく、そのため、家族構成や住環境の変化に合わせてキッチンの機能構成を変更したいときには、キッチンユニットごと変更せざるを得ず、高価なものにつく上、廃材を多く発生させてしまっていた。
【特許文献1】特開2007−506号公報
【特許文献2】特開2007−20982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のシステムキッチンは、引出しや開き戸タイプの各種キャビネットが、システムキッチンのフレーム枠組み内に造り付けられたものであるから、キャビネットの広さやその取り付けられる位置により、物品収納箇所が実質的に固定されていた。様々な物品をどの場所にどのようなスタイルで収納するかは個人による使い勝手面、美的なセンス面での差があり、この点、造り付けのキャビネットでは物品の入れ替えが自由にならず、必ずしも使い勝手の良くないユニットでも、使用者側で耐え忍んで使用を継続することを余儀なくされていた。
【0004】
また、フレーム部とキャビネット部とが分離独立している構造で、キャビネット部を入れ替えられるシステムキッチンであっても、後からキャビネット部のみを新品なものに入れ替えた際には、フレーム部は時間経過に伴う使用による歪みが自然発生するのが通常であるため、フレーム部と新品のキャビネット部との一体感がなくなるという問題があった。このため、使用者は違和感を覚え、そのシステムキッチン自体の商品価値がなくなる、もしくは激減してしまうという問題があった。さらにフレーム部とキャビネット部が分離独立している構造において、フレーム部下部の物品を収納する箇所の材質は、キャビネットの扉、引き出し等とは材質が異なり、キャスター付ワゴン等を出し入れする際、見栄えが悪かった。
【0005】
本発明は、このような従来技術上の課題を解決するためになされたもので、キッチンのフレーム部下部のオープンスペースに使用者の使い勝手の良いワゴン・キャビネット等を自由に選択、変更できるキッチンユニットを提供することを目的とする。さらに本発明は、フレーム部とフレーム部下部のスペースにキャビネット等を組み込んでも違和感なく、またこの組込み・取り外しを容易にできるキッチンユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係るキッチンユニットは、表面に所定間隔でビス孔が穿設された複数のパネルで形成され、少なくとも流し台もしくはレンジ台を備えた枠組みと、前記枠組みで区画される複数のキャビネット空間と、前記枠組みとは独立して形成され、前記キャビネット空間内にインセット式で着脱可能なキャビネットとを具備し、前記キャビネットには前記所定間隔と等しい間隔でビス孔が穿設され、このビス孔を通じたビス接合により該キャビネットは前記枠組みのパネルと接続され、前記キャビネットは、少なくとも調理器具の収容に用いられる物品収納ユニット体、ワイヤーシェルフを含む所望の機能ユニットに対応することを特徴とする。
【0007】
本発明のキッチンは、流し台・コンロ等が設けられているフレーム部たる枠組みを有し、このフレーム部下部のオープンスペースたるキャビネット空間には、使用者が好みの機能を有するキャビネットであって、上記枠組みとは独立・別個に形成されるものとして、たとえば引き出し式食器棚、調理器具収容室、ワゴン、ワイヤーシェルフ等を選択し配設することができるように構成される。
【0008】
フレーム部下部には、使用者が好みの場所に収納スペースを造ることができるよう、前記パネルの表面の各一定箇所に所定の間隔、たとえば32mm間隔でビス穴が設けられている。
【0009】
こうした構成を備える本キッチンユニットによれば、フレーム部下部のオープンスペースに、使用者の状況・希望・好み等に合わせたキャビネットを随時、ビス孔を介したビス接合により装着できる。また、あるキャビネットが古くなったり、故障したりした場合には、キッチンユニット全体ではなく、当該キャビネットのみを個別的に枠組みから離脱させ、別のキャビネットユニットを装着することが容易にできるようになる。したがって、経済的に使用者に便宜をもたらすのみならず、環境的、社会的な意味においても、廃材を少なくし、資源を有効に使うということを可能とするものである。
【0010】
上記おいて、インセット式とは、元来、ボックス自体が中に収容・収納されることを意味し、より顕在化された状態としては、キャビネット空間に挿入されるキャビネットの前面が枠組みの面よりも内側に入るようにしたことをいう。かかるインセット式構造とすることにより、キャビネットの当該空間内での密閉性を確保し、本体の歪みの発生を最小化することができる。
【0011】
さらに上記構成においては、好適には、前記キャビネットと、前記枠組みに係るパネルとはスライド構造を形成するように構成する。かかる構成をとることにより、キャビネットは使用者にとって一段と利便性の高いものとなる。
【0012】
また、上記構成においては、好適には、前記枠組みの前記キャビネット空間内に前記各キャビネットを組み合わせたときに、該キャビネットの見付面が該枠組みの見付面より奥に収まるように配設されるように構成する。かかる構成をとることにより、キャビネットユニットの交換ごとに、キャビネット空間への納まりの際の面あわせの不具合の発生を防止し、これにより追加、変更、取り外し、交換等をよりスムーズに、かつ、仕上げの美観を損なうことなく進めることが可能となる。
【0013】
また、上記構成においては、前記枠組みは前記キャビネットの面材と同じ材質の化粧パネルで構成されるように構成してもよい。かかる構成により、キッチンユニットは全体としての一体感を醸造でき、見た目のデザイン性、美観を重視する使用者の要望にも応えられるキッチンユニットが実現される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フレーム部が造る空間内に使用者が選択したキャビネット、ワゴン、ワイヤーシェルフ等を自由に配設することで、収納空間を有効利用でき、しかも使用者の使い勝手のよいように収納位置を設定、変更することが可能となる。さらには、後から使用者の好みの機能やオプションを付加することを許容し実現するキッチンを提供することが可能となる。
【0015】
また、しばらくキッチンを使った後、使用者がフレーム部は従来のものを使用し、フレーム部下部の物品収納用キャビネット等のみを新品に変更、追加した場合、フレーム部の歪みと新たに配設したフレーム下のキャビネット部との違和感が目立たなくなり、新たな商品価値を生み出すことができる。
【0016】
さらに、フレーム部全体は扉と同じ材質の化粧パネルで構成されていることにより、フレーム部をオープンとして使用しても、ワゴン等を出し入れしても見栄えがよいキッチンになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、キャビネット、ワゴン、ワイヤーシェルフ等の物品収納ユニットをフレーム部に収納する前の本発明に係るキッチンユニットの概観斜視図であり、図2は二段組の物品収納ユニットの一つをフレーム部に配設した際の本発明のキッチンユニットの概観図である。
【0019】
図3は、図2の二点鎖線で囲った部分である二段組の物品収納ユニットの上段引き出し部分の断面図、図4は、図2の二点鎖線で囲った部分である二段組の物品収納ユニット上段引き出し部分の拡大図である。
【0020】
図1を用いて、本発明のキッチンの概要について説明する。
【0021】
キッチンフレーム部100は、上面にコンロ部110、シンク部111、水栓部112等を具備して構成されている。このキッチンフレーム部100はたとえば、面材であるパネル構造により構成され、かかるパネルの両面もしくは単面(内側)には、各キャビネットを螺結するためのビス孔102が所定の間隔で穿設されている。この所定間隔は、たとえば20mm〜100mm、より好適には25mm〜50mmの中の一つの値をとった規格とする。最適には、32mm(DIN規格)とする。この理由は、32=2×2×2×2×2であることから、半分ずつの分割が容易にでき、様々な展開に有効であるためである。さらに、無駄を省き、基準をはっきり定めることにより、生産能率の向上を実現するのみならず、部品の取替えのみで長期間にわたる、本キッチンユニットの使用に堪えうる家具作りにも繋がる。
【0022】
また、パネルのみならず、金物、丁番のビス穴の間隔も、たとえば32mmの倍数で統一されている。これにより、棚板・引き出し・扉の取り付け位置が容易に変更可能となる。このような数値を採用することにより、現況で棚や引き出しの取り付けがなく、オープンであっても、収納量の変化による棚引き出しの取付が容易に行えることになり、便宜である。
【0023】
キッチンフレーム部100の下部は、該フレーム部100と分離独立されている物品収納アイテム120、例えばキャスター付ゴミ箱収納ワゴン105、スライドレール付ワイヤーシェルフ106、107、キャスター付キャビネット108を適宜選択して納めるためのオープンスペース100e、が形成されている。また、この枠組みに係るパネルとキャビネットとはスライド構造を形成するようにしてもよい。このようにすれば、本キャビネットは使用者にとって一段と利便性の高いものとなる。
【0024】
本キッチンユニットはパネルで構成されているので、パネル内の空間へのキャビネットの追加交換が容易なだけでなく、パネルに対してインセットボックスの部品を組み合わせて固定することで、造りつけのキッチンキャビネットと同じような形状への変更もでき、更にその後の追加、変更、取り外しへの対応が容易にできる。ここでインセット式とは、元来、ボックス自体が中に収容・収納されることを意味し、より顕在化された状態としては、キャビネット空間に挿入されるキャビネットの前面が枠組みの面よりも内側に入るようにしたことをいう。インセットボックスとは、このようなインセット式で、キャビネットユニットのボックスとして取り付けられるものをいう。かかるインセット式構造とすることにより、キャビネットの当該空間内での密閉性を確保し、本体の歪みの発生を最小化することができる。
【0025】
本願では基本構成をボックスでなく、また支柱、架構構造でもなく、木構造によるパネル(面)構成としている。したがって、垂直方向の加重のみならず、横からの加重やねじりへの対応策として、シンク下や調理機器下へパネルを入れることで解消できるとともに、デザイン的な特徴を持たせるもとともなっている。
【0026】
従来は、一般的なシステムキッチンはボックス構成となっており(アウトセット)、設置後の変更はボックスごと取り外し交換を行うため、周辺部材への影響もあるなど大掛かりな工事となっていたが、本願におけるシステムキッチンは基本の構造がパネルで構成されており、それぞれが独立した構成となっているため、特に利便性が高い。
【0027】
キッチンの使用者は自分の使いやすい物品収納アイテム、例えばキャスター付ゴミ箱収納ワゴン105、スライドレール付ワイヤーシェルフ106、107、キャスター付キャビネット108を自由に選択し、その位置を設定して、フレーム部100の下部に形成されているオープンスペース100eに納める。
【0028】
その際、ビス穴102を活用し、使用者は自分の好みの位置にスライドレール付ワイヤーシェルフ106等を設置することができる。また、使用者がキッチンのレイアウトを当初のものと変更もしくは物品収納アイテムを追加する際も容易に変更することができる。
【0029】
次に、物品収納ユニットの一つ115をフレーム部に配設した際の上段の引き出し部分について、図2、図3、図4により説明する。
【0030】
図2は本発明のキッチンのフレーム部100に二段組の物品収納ユニット115を配設した際の斜視図であり、図3はフレーム部100と引き出し部分101の断面図であり、引き出し部分101がフレーム部より中に入っている状態を示し、図4は上段の引き出し部分の拡大図である。
【0031】
図3及び図4に示されるように、フレーム部100より引き出し部分101が面一となっておらず、奥に入る構成となっている。このようにフレーム部100と物品収納ユニット115が面一にならないことにより、フレーム部100は変更せず、物品収納ユニットだけを新たなものに追加、変更するに当たっては、フレーム部100の長年の使用からくる歪みと新品の物品収納ユニットとの違和感がなく、取り合いを綺麗に自然に見せることができるため、見栄えもよくなる。
【0032】
フレーム部100全体の材質は、好適には、物品収納ユニットの扉と同じ材質の化粧パネルで構成される。これにより、使用者がフレーム部下部のオープンスペースに物品収納ユニットを配設しなくとも、またはキャスター付ワゴン等を常時出し入れしても、見栄えが悪くなることなくスタイリッシュにキッチンを使用することができる(図示しない)。
【0033】
以上詳細に説明したように、本願のキッチンユニットによれば、フレーム部が造る空間内に使用者が選択したキャビネット、ワゴン、ワイヤーシェルフ等を自由に配設することを可能としたことで、収納空間を有効利用でき、しかも使用者の使い勝手の良いように収納位置を設定、変更することが可能となる。さらには、後から使用者の好みの機能やオプションを付加することを許容し実現するキッチンを提供することが可能となる。
【0034】
また、しばらくキッチンを使った後、使用者がフレーム部は従来のものを使用し、フレーム部下部の物品を収納するキャビネット等のみを新品に変更、追加した場合、フレーム部の歪みと新たに配設したフレーム下のキャビネット部との違和感が目立たなくなり、新たな商品価値を生み出すことができる。
【0035】
さらに、フレーム部全体は扉と同じ材質の化粧パネルで構成されていることにより、フレーム部をオープンとして使用しても、ワゴン等を出し入れしても見栄えがよいキッチンになる。
【0036】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
【0037】
さらにまた、上述したものは本願に係る技術思想を具現化するための実施形態の一例を示したにすぎないものであり、他の実施形態でも本願に係る技術思想を適用することが可能である。
【0038】
また、本願発明を用いて生産される装置、方法、システムが、その2次的生産品に登載されて商品化された場合であっても、本願発明の価値は何ら減ずるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係るキッチンユニットによれば、フレーム部が造る空間内に使用者が選択したキャビネット、ワゴン、ワイヤーシェルフ等を自由に配設することで、収納空間を有効利用でき、しかも使用者の使い勝手の良いように収納位置を設定、変更することが可能となるため、住宅産業、建設産業のみならず、施設、ホテル、事務所等キッチンを必要とするあらゆる空間・機会に、さらに宇宙空間等においてさえ有用性を発揮することとなり、各種産業に非常な有益性をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る物品収納ユニット体をフレーム部に収納する前の本発明のキッチンの概観図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る物品収納ユニット体の一つをフレームに収納した際の本発明のキッチンの概観図である。
【図3】図2の引き出し部分の断面図である。
【図4】図2の引き出し部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0041】
100 フレーム部
100a〜100d フレーム部
100e オープンスペース
101 物品収納ユニットの引き出し
102 ビス穴
105 キャスター付ゴミ箱収納ワゴン
106,107 スライドレール付ワイヤーシェルフ
108 キャスター付キャビネット
110 コンロ
111 シンク
112 水栓
115 物品収納ユニット
120 物品収納アイテム
【技術分野】
【0001】
本発明はキッチンユニットに係り、特に、所望のユニットを交換可能なキッチンユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシステムキッチンは、フレーム部とキャビネット部とが一体的に造り付けられているものが支配的であった。また、キャビネット部がフレーム部から分離独立しているシステムキッチンであっても、機能的な種類は限定されるため、一定の選択肢のうちに収まるしかなく、そのため、家族構成や住環境の変化に合わせてキッチンの機能構成を変更したいときには、キッチンユニットごと変更せざるを得ず、高価なものにつく上、廃材を多く発生させてしまっていた。
【特許文献1】特開2007−506号公報
【特許文献2】特開2007−20982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のシステムキッチンは、引出しや開き戸タイプの各種キャビネットが、システムキッチンのフレーム枠組み内に造り付けられたものであるから、キャビネットの広さやその取り付けられる位置により、物品収納箇所が実質的に固定されていた。様々な物品をどの場所にどのようなスタイルで収納するかは個人による使い勝手面、美的なセンス面での差があり、この点、造り付けのキャビネットでは物品の入れ替えが自由にならず、必ずしも使い勝手の良くないユニットでも、使用者側で耐え忍んで使用を継続することを余儀なくされていた。
【0004】
また、フレーム部とキャビネット部とが分離独立している構造で、キャビネット部を入れ替えられるシステムキッチンであっても、後からキャビネット部のみを新品なものに入れ替えた際には、フレーム部は時間経過に伴う使用による歪みが自然発生するのが通常であるため、フレーム部と新品のキャビネット部との一体感がなくなるという問題があった。このため、使用者は違和感を覚え、そのシステムキッチン自体の商品価値がなくなる、もしくは激減してしまうという問題があった。さらにフレーム部とキャビネット部が分離独立している構造において、フレーム部下部の物品を収納する箇所の材質は、キャビネットの扉、引き出し等とは材質が異なり、キャスター付ワゴン等を出し入れする際、見栄えが悪かった。
【0005】
本発明は、このような従来技術上の課題を解決するためになされたもので、キッチンのフレーム部下部のオープンスペースに使用者の使い勝手の良いワゴン・キャビネット等を自由に選択、変更できるキッチンユニットを提供することを目的とする。さらに本発明は、フレーム部とフレーム部下部のスペースにキャビネット等を組み込んでも違和感なく、またこの組込み・取り外しを容易にできるキッチンユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係るキッチンユニットは、表面に所定間隔でビス孔が穿設された複数のパネルで形成され、少なくとも流し台もしくはレンジ台を備えた枠組みと、前記枠組みで区画される複数のキャビネット空間と、前記枠組みとは独立して形成され、前記キャビネット空間内にインセット式で着脱可能なキャビネットとを具備し、前記キャビネットには前記所定間隔と等しい間隔でビス孔が穿設され、このビス孔を通じたビス接合により該キャビネットは前記枠組みのパネルと接続され、前記キャビネットは、少なくとも調理器具の収容に用いられる物品収納ユニット体、ワイヤーシェルフを含む所望の機能ユニットに対応することを特徴とする。
【0007】
本発明のキッチンは、流し台・コンロ等が設けられているフレーム部たる枠組みを有し、このフレーム部下部のオープンスペースたるキャビネット空間には、使用者が好みの機能を有するキャビネットであって、上記枠組みとは独立・別個に形成されるものとして、たとえば引き出し式食器棚、調理器具収容室、ワゴン、ワイヤーシェルフ等を選択し配設することができるように構成される。
【0008】
フレーム部下部には、使用者が好みの場所に収納スペースを造ることができるよう、前記パネルの表面の各一定箇所に所定の間隔、たとえば32mm間隔でビス穴が設けられている。
【0009】
こうした構成を備える本キッチンユニットによれば、フレーム部下部のオープンスペースに、使用者の状況・希望・好み等に合わせたキャビネットを随時、ビス孔を介したビス接合により装着できる。また、あるキャビネットが古くなったり、故障したりした場合には、キッチンユニット全体ではなく、当該キャビネットのみを個別的に枠組みから離脱させ、別のキャビネットユニットを装着することが容易にできるようになる。したがって、経済的に使用者に便宜をもたらすのみならず、環境的、社会的な意味においても、廃材を少なくし、資源を有効に使うということを可能とするものである。
【0010】
上記おいて、インセット式とは、元来、ボックス自体が中に収容・収納されることを意味し、より顕在化された状態としては、キャビネット空間に挿入されるキャビネットの前面が枠組みの面よりも内側に入るようにしたことをいう。かかるインセット式構造とすることにより、キャビネットの当該空間内での密閉性を確保し、本体の歪みの発生を最小化することができる。
【0011】
さらに上記構成においては、好適には、前記キャビネットと、前記枠組みに係るパネルとはスライド構造を形成するように構成する。かかる構成をとることにより、キャビネットは使用者にとって一段と利便性の高いものとなる。
【0012】
また、上記構成においては、好適には、前記枠組みの前記キャビネット空間内に前記各キャビネットを組み合わせたときに、該キャビネットの見付面が該枠組みの見付面より奥に収まるように配設されるように構成する。かかる構成をとることにより、キャビネットユニットの交換ごとに、キャビネット空間への納まりの際の面あわせの不具合の発生を防止し、これにより追加、変更、取り外し、交換等をよりスムーズに、かつ、仕上げの美観を損なうことなく進めることが可能となる。
【0013】
また、上記構成においては、前記枠組みは前記キャビネットの面材と同じ材質の化粧パネルで構成されるように構成してもよい。かかる構成により、キッチンユニットは全体としての一体感を醸造でき、見た目のデザイン性、美観を重視する使用者の要望にも応えられるキッチンユニットが実現される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フレーム部が造る空間内に使用者が選択したキャビネット、ワゴン、ワイヤーシェルフ等を自由に配設することで、収納空間を有効利用でき、しかも使用者の使い勝手のよいように収納位置を設定、変更することが可能となる。さらには、後から使用者の好みの機能やオプションを付加することを許容し実現するキッチンを提供することが可能となる。
【0015】
また、しばらくキッチンを使った後、使用者がフレーム部は従来のものを使用し、フレーム部下部の物品収納用キャビネット等のみを新品に変更、追加した場合、フレーム部の歪みと新たに配設したフレーム下のキャビネット部との違和感が目立たなくなり、新たな商品価値を生み出すことができる。
【0016】
さらに、フレーム部全体は扉と同じ材質の化粧パネルで構成されていることにより、フレーム部をオープンとして使用しても、ワゴン等を出し入れしても見栄えがよいキッチンになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、キャビネット、ワゴン、ワイヤーシェルフ等の物品収納ユニットをフレーム部に収納する前の本発明に係るキッチンユニットの概観斜視図であり、図2は二段組の物品収納ユニットの一つをフレーム部に配設した際の本発明のキッチンユニットの概観図である。
【0019】
図3は、図2の二点鎖線で囲った部分である二段組の物品収納ユニットの上段引き出し部分の断面図、図4は、図2の二点鎖線で囲った部分である二段組の物品収納ユニット上段引き出し部分の拡大図である。
【0020】
図1を用いて、本発明のキッチンの概要について説明する。
【0021】
キッチンフレーム部100は、上面にコンロ部110、シンク部111、水栓部112等を具備して構成されている。このキッチンフレーム部100はたとえば、面材であるパネル構造により構成され、かかるパネルの両面もしくは単面(内側)には、各キャビネットを螺結するためのビス孔102が所定の間隔で穿設されている。この所定間隔は、たとえば20mm〜100mm、より好適には25mm〜50mmの中の一つの値をとった規格とする。最適には、32mm(DIN規格)とする。この理由は、32=2×2×2×2×2であることから、半分ずつの分割が容易にでき、様々な展開に有効であるためである。さらに、無駄を省き、基準をはっきり定めることにより、生産能率の向上を実現するのみならず、部品の取替えのみで長期間にわたる、本キッチンユニットの使用に堪えうる家具作りにも繋がる。
【0022】
また、パネルのみならず、金物、丁番のビス穴の間隔も、たとえば32mmの倍数で統一されている。これにより、棚板・引き出し・扉の取り付け位置が容易に変更可能となる。このような数値を採用することにより、現況で棚や引き出しの取り付けがなく、オープンであっても、収納量の変化による棚引き出しの取付が容易に行えることになり、便宜である。
【0023】
キッチンフレーム部100の下部は、該フレーム部100と分離独立されている物品収納アイテム120、例えばキャスター付ゴミ箱収納ワゴン105、スライドレール付ワイヤーシェルフ106、107、キャスター付キャビネット108を適宜選択して納めるためのオープンスペース100e、が形成されている。また、この枠組みに係るパネルとキャビネットとはスライド構造を形成するようにしてもよい。このようにすれば、本キャビネットは使用者にとって一段と利便性の高いものとなる。
【0024】
本キッチンユニットはパネルで構成されているので、パネル内の空間へのキャビネットの追加交換が容易なだけでなく、パネルに対してインセットボックスの部品を組み合わせて固定することで、造りつけのキッチンキャビネットと同じような形状への変更もでき、更にその後の追加、変更、取り外しへの対応が容易にできる。ここでインセット式とは、元来、ボックス自体が中に収容・収納されることを意味し、より顕在化された状態としては、キャビネット空間に挿入されるキャビネットの前面が枠組みの面よりも内側に入るようにしたことをいう。インセットボックスとは、このようなインセット式で、キャビネットユニットのボックスとして取り付けられるものをいう。かかるインセット式構造とすることにより、キャビネットの当該空間内での密閉性を確保し、本体の歪みの発生を最小化することができる。
【0025】
本願では基本構成をボックスでなく、また支柱、架構構造でもなく、木構造によるパネル(面)構成としている。したがって、垂直方向の加重のみならず、横からの加重やねじりへの対応策として、シンク下や調理機器下へパネルを入れることで解消できるとともに、デザイン的な特徴を持たせるもとともなっている。
【0026】
従来は、一般的なシステムキッチンはボックス構成となっており(アウトセット)、設置後の変更はボックスごと取り外し交換を行うため、周辺部材への影響もあるなど大掛かりな工事となっていたが、本願におけるシステムキッチンは基本の構造がパネルで構成されており、それぞれが独立した構成となっているため、特に利便性が高い。
【0027】
キッチンの使用者は自分の使いやすい物品収納アイテム、例えばキャスター付ゴミ箱収納ワゴン105、スライドレール付ワイヤーシェルフ106、107、キャスター付キャビネット108を自由に選択し、その位置を設定して、フレーム部100の下部に形成されているオープンスペース100eに納める。
【0028】
その際、ビス穴102を活用し、使用者は自分の好みの位置にスライドレール付ワイヤーシェルフ106等を設置することができる。また、使用者がキッチンのレイアウトを当初のものと変更もしくは物品収納アイテムを追加する際も容易に変更することができる。
【0029】
次に、物品収納ユニットの一つ115をフレーム部に配設した際の上段の引き出し部分について、図2、図3、図4により説明する。
【0030】
図2は本発明のキッチンのフレーム部100に二段組の物品収納ユニット115を配設した際の斜視図であり、図3はフレーム部100と引き出し部分101の断面図であり、引き出し部分101がフレーム部より中に入っている状態を示し、図4は上段の引き出し部分の拡大図である。
【0031】
図3及び図4に示されるように、フレーム部100より引き出し部分101が面一となっておらず、奥に入る構成となっている。このようにフレーム部100と物品収納ユニット115が面一にならないことにより、フレーム部100は変更せず、物品収納ユニットだけを新たなものに追加、変更するに当たっては、フレーム部100の長年の使用からくる歪みと新品の物品収納ユニットとの違和感がなく、取り合いを綺麗に自然に見せることができるため、見栄えもよくなる。
【0032】
フレーム部100全体の材質は、好適には、物品収納ユニットの扉と同じ材質の化粧パネルで構成される。これにより、使用者がフレーム部下部のオープンスペースに物品収納ユニットを配設しなくとも、またはキャスター付ワゴン等を常時出し入れしても、見栄えが悪くなることなくスタイリッシュにキッチンを使用することができる(図示しない)。
【0033】
以上詳細に説明したように、本願のキッチンユニットによれば、フレーム部が造る空間内に使用者が選択したキャビネット、ワゴン、ワイヤーシェルフ等を自由に配設することを可能としたことで、収納空間を有効利用でき、しかも使用者の使い勝手の良いように収納位置を設定、変更することが可能となる。さらには、後から使用者の好みの機能やオプションを付加することを許容し実現するキッチンを提供することが可能となる。
【0034】
また、しばらくキッチンを使った後、使用者がフレーム部は従来のものを使用し、フレーム部下部の物品を収納するキャビネット等のみを新品に変更、追加した場合、フレーム部の歪みと新たに配設したフレーム下のキャビネット部との違和感が目立たなくなり、新たな商品価値を生み出すことができる。
【0035】
さらに、フレーム部全体は扉と同じ材質の化粧パネルで構成されていることにより、フレーム部をオープンとして使用しても、ワゴン等を出し入れしても見栄えがよいキッチンになる。
【0036】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
【0037】
さらにまた、上述したものは本願に係る技術思想を具現化するための実施形態の一例を示したにすぎないものであり、他の実施形態でも本願に係る技術思想を適用することが可能である。
【0038】
また、本願発明を用いて生産される装置、方法、システムが、その2次的生産品に登載されて商品化された場合であっても、本願発明の価値は何ら減ずるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係るキッチンユニットによれば、フレーム部が造る空間内に使用者が選択したキャビネット、ワゴン、ワイヤーシェルフ等を自由に配設することで、収納空間を有効利用でき、しかも使用者の使い勝手の良いように収納位置を設定、変更することが可能となるため、住宅産業、建設産業のみならず、施設、ホテル、事務所等キッチンを必要とするあらゆる空間・機会に、さらに宇宙空間等においてさえ有用性を発揮することとなり、各種産業に非常な有益性をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る物品収納ユニット体をフレーム部に収納する前の本発明のキッチンの概観図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る物品収納ユニット体の一つをフレームに収納した際の本発明のキッチンの概観図である。
【図3】図2の引き出し部分の断面図である。
【図4】図2の引き出し部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0041】
100 フレーム部
100a〜100d フレーム部
100e オープンスペース
101 物品収納ユニットの引き出し
102 ビス穴
105 キャスター付ゴミ箱収納ワゴン
106,107 スライドレール付ワイヤーシェルフ
108 キャスター付キャビネット
110 コンロ
111 シンク
112 水栓
115 物品収納ユニット
120 物品収納アイテム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に所定間隔でビス孔が穿設された複数のパネルで形成され、少なくとも流し台もしくはレンジ台を備えた枠組みと、
前記枠組みで区画される複数のキャビネット空間と、
前記枠組みとは独立して形成され、前記キャビネット空間内にインセット式で着脱可能なキャビネットと
を具備し、
前記キャビネットには前記所定間隔と等しい間隔でビス孔が穿設され、このビス孔を通じたビス接合により該キャビネットは前記枠組みのパネルと接続され、
前記キャビネットは、少なくとも調理器具の収容に用いられる物品収納ユニット体、ワイヤーシェルフを含む所望の機能ユニットに対応することを特徴とするキッチンユニット。
【請求項2】
前記キャビネットと、前記枠組みに係るパネルとはスライド構造を形成することを特徴とする請求項1記載のキッチンユニット。
【請求項3】
前記枠組みの前記キャビネット空間内に前記各キャビネットを組み合わせたときに、該キャビネットの見付面が該枠組みの見付面より奥に収まるように配設されることを特徴とする請求項1記載のキッチンユニット。
【請求項4】
前記枠組みは前記キャビネットの面材と同じ材質の化粧パネルで構成されていることを特徴とする請求項1記載のキッチンユニット。
【請求項1】
表面に所定間隔でビス孔が穿設された複数のパネルで形成され、少なくとも流し台もしくはレンジ台を備えた枠組みと、
前記枠組みで区画される複数のキャビネット空間と、
前記枠組みとは独立して形成され、前記キャビネット空間内にインセット式で着脱可能なキャビネットと
を具備し、
前記キャビネットには前記所定間隔と等しい間隔でビス孔が穿設され、このビス孔を通じたビス接合により該キャビネットは前記枠組みのパネルと接続され、
前記キャビネットは、少なくとも調理器具の収容に用いられる物品収納ユニット体、ワイヤーシェルフを含む所望の機能ユニットに対応することを特徴とするキッチンユニット。
【請求項2】
前記キャビネットと、前記枠組みに係るパネルとはスライド構造を形成することを特徴とする請求項1記載のキッチンユニット。
【請求項3】
前記枠組みの前記キャビネット空間内に前記各キャビネットを組み合わせたときに、該キャビネットの見付面が該枠組みの見付面より奥に収まるように配設されることを特徴とする請求項1記載のキッチンユニット。
【請求項4】
前記枠組みは前記キャビネットの面材と同じ材質の化粧パネルで構成されていることを特徴とする請求項1記載のキッチンユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2008−279079(P2008−279079A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126151(P2007−126151)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(503123934)株式会社ベルクハウス (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(503123934)株式会社ベルクハウス (2)
【Fターム(参考)】
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