説明

キャスタブル耐火物及びその製造方法

【課題】 耐熱的スポーリング性と耐食性とを兼ね備えたキャスタブル耐火物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 粒径75μm未満の微粒の含有量が35質量%以下で、粒径1mm以上の粗粒の含有量が50質量%以上の耐火性粉体、結合剤、及び分散剤を含む粉体組成物を外かけ6質量%以下の施工水と共に内外二重攪拌子構造をもつミキサー10で混練することにより、振動フロー値Dが150mm以上、かつ拡がり厚さTが30mm以下である流動性を示すキャスタブル耐火物と成す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火性粉体、結合剤、及び分散剤を含む粉体組成物に、施工水を加えて混練して成るキャスタブル耐火物とその製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
キャスタブル耐火物は、耐火性粉体、結合剤、及び分散剤を含む粉体組成物に、施工水を加えて混練して成る泥しょう物であり、例えば、溶融金属容器の内面と型枠との間に流し込み施工される。流し込み施工の際、充填を促進するためにキャスタブル耐火物に振動を与える場合がある。流し込まれて得られた施工体が、養生、脱枠、及び乾燥を経て溶融金属容器の内張りと成る。
【0003】
キャスタブル耐火物の流し込み施工のし易さを示す指標の一つであるJIS‐R2521に規定のフロー値は、施工水の添加量を増す程向上する。一方、得られる内張りの耐食性は、施工水の添加量が多い程低下する。そこで、出来るだけ少ない施工水で所望のフロー値を達成できる混練技術が望まれる。
【0004】
特許文献1及び2は、少ない施工水で所望のフロー値を達成するために、内外二重攪拌子構造をもつ特殊ミキサーの使用を提案している。
【0005】
図6に、特許文献1及び2に開示されたミキサーを再現する。このミキサー10は、逆円錐台形状の容器1と、この容器1中心の鉛直軸まわりに回転する螺旋状の内側攪拌子2と、この内側攪拌子2と同軸に容器1内面に沿って回転する外側攪拌子3とを備える。外側攪拌子3は、アーム6にスクレイパー機能をもつ板状部材が取り付けられて成る。
【0006】
容器1内の被混練物は、内側攪拌子2によって容器1の下部中央から上方に掻き揚げられ、遠心力によって容器1内面に投射される。投射された被混練物は、外側攪拌子3によって剥ぎ取られ、下方に押し込まれる。容器1の下方に押し込まれた被混練物は、再び内側攪拌子2によって掻き揚げられ、同じ動作を繰り返す。
【0007】
このミキサーによると、被混練物の掻き揚げや遠心投射を伴うため、ターボミキサー等の一般的な平型ミキサーに比べて、被混練物にあらゆる方向から大きなせん断力及び動圧を与えることができ、施工水を強い力で粉体組成物中に押し込むことができる。即ち、図6のミキサーは、一般の平型ミキサーに比べて混練能力が高いため、少量の施工水でも高い流動性を得ることができる。
【0008】
ところで、特許文献1及び2は、キャスタブル耐火物の粒度構成を緻密化したことに伴う混練の困難さを解消することを目的としている。即ち、特許文献1及び2で混練の対象としているのは、超微粉を多用し、しかも耐火性粉体に占める粒径1mm以上の粗粒の割合が高々40質量%程度と少ない緻密な粒度構成をもつキャスタブル耐火物である(特許文献1の段落0046参照)。
【0009】
しかし、キャスタブル耐火物の粒度構成の緻密化は、耐食性の向上に寄与する反面、内張りの過焼結ひいては耐熱的スポーリング性の低下をもたらす原因ともなる。内張りに熱的スポーリングが発生すると、溶損による寿命の到来をまたずして、内張りの張替えが必要となる。
【0010】
そこで、耐熱的スポーリング性が特に重視される用途においては、耐火性粉体を意図的に粗く粒度構成することが望まれる。粗く粒度構成すると、熱応力を緩和する気孔の存在を内張りの組織内に増やすことができるため、耐熱的スポーリング性が向上する。耐熱的スポーリング性を重視する場合の具体的な粒度構成の検討は、下記特許文献3及び4においてなされている。
【0011】
特許文献3は、耐熱的スポーリング性を高めるために、耐火性粉体に占める粒径75μm未満の微粒の割合を35質量%未満に抑えることを提案している(特許文献3の段落0028参照)。
【0012】
特許文献4も同様に、耐火性粉体に占める微粒の割合を35質量%未満に抑えたキャスタブル耐火物を開示している(特許文献4の表2参照)。また、特許文献4においては、耐火性粉体中に粗粒を最大で48質量%と多く配合している(特許文献4の請求項1参照)。
【0013】
なお、このように微粒の割合を抑え、粗粒の割合を高めることで、粗く粒度構成したキャスタブル耐火物の混練には、図6に示す特殊ミキサーの使用は不要であり、例えばターボミキサー等の通常の平型ミキサーで充分と考えられている。
【0014】
即ち、微粒を多く含む場合に限り、多くの微粒を分散させることが困難で施工水が増大しがちであるため、上記特殊ミキサーの使用が求められる(特許文献1の段落0008参照)。微粒が少なく、粗粒が多い場合は、微粒の分散が容易であるため、あえて混練能力の高い特殊ミキサーを使用する必要性はないと考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2008−173861号公報
【特許文献2】特開2007−145706号公報
【特許文献3】特開2009−91204号公報
【特許文献4】特開平11−199336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
耐熱的スポーリング性のさらなる向上を図るためには、キャスタブル耐火物の粒度構成をさらに粗くすることが必要である。しかし、キャスタブル耐火物の粒度構成が粗すぎると、流し込み施工時に振動を与えた場合に、粗粒と微粒あるいは耐火性粉体と施工水が分離しやすくなる。キャスタブル耐火物に分離が生じると、得られる内張りの組織が不均一となる。また、分離した微粒及び施工水が型枠から流出することで、型枠内の組織が粗雑化する問題が生じやすい。この結果、充分な耐食性が得られない。
【0017】
従来は、特許文献4に開示されるように、耐火性粉体に占める微粒の割合を35質量%未満に抑えた場合、耐火性粉体に占める粗粒の割合が50質量%以上だと分離が生じるため好ましくなく、耐火性粉体に占める粗粒の割合は48質量%以下に抑えることが必要と考えられている(特許文献4の請求項1、段落0024、及び0025参照)。
【0018】
施工水を減らせば、分離の問題を緩和しうるが、粗く粒度構成した場合は、施工水を減らすとキャスタブル耐火物がざくざくした性状となりがちであり、たとえ振動を与えても流れにくくなるため流し込み施工ができないか、又は流し込み施工できたとしても、未充填部、即ち空隙が多く残りやすい。この結果、得られる内張りの耐食性が著しく低下する。以上の次第で、内張りの耐熱的スポーリング性の向上に限界が生じていた。
【0019】
本発明の目的は、耐熱的スポーリング性と耐食性とを兼ね備えたキャスタブル耐火物及びその製造方法を提供することである。本発明の他の目的は、従来よりも粗く粒度構成されているにも関らず、支障なく流し込み施工することができるキャスタブル耐火物及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
粗く粒度構成し、施工水を低減したキャスタブル耐火物は、たとえ微粒と分散剤とを含んでいても、殆ど自己流動性を示さない。このため、JIS‐R2521に規定のフロー値によっては、その流れやすさを適切に評価することができない。JIS‐R2521では、キャスタブル耐火物を、底面半径100mm、上面半径70mm、高さ60mmで上下端が開口したフローコーン(以下、JISコーンという。)に充填し、JISコーンを上方に抜き取って、テーブルに15回の落下衝撃を付与した場合の、キャスタブル耐火物の拡がり直径をフロー値とするが、キャスタブル耐火物が自己流動性を殆どもたない場合、落下衝撃を付与してもキャスタブル耐火物が殆ど拡がらないからである。
【0021】
そこで、本発明では、キャスタブル耐火物を、JISコーンに充填し、JISコーンを上方に抜き取ってテーブルに3Gの振動を30秒間付与した場合の、キャスタブル耐火物の拡がり直径をもってそのキャスタブル耐火物の流れやすさの一評価指標とする。たとえキャスタブル耐火物が自己流動性を殆どもたなくても、振動の付与でキャスタブル耐火物にチクソトロピーによる変形が生じるため、キャスタブル耐火物が拡がる。このため、キャスタブル耐火物の流れやすさを適切に評価することができる。また、実際の流し込み施工もキャスタブル耐火物に振動を付与しつつ行なうことが多いため、本評価方法は実際の施工条件ともよく整合する。
【0022】
図1(a)に、上記振動で拡がったキャスタブル耐火物の平面図を示す。本明細書において、拡がり直径Dとは、キャスタブル耐火物の拡がり領域Sの、直交する2方向についての直径D及びDの平均値を指す。支障なく流し込み施工できるためには、拡がり直径Dが150mm以上であることが必要である。以下、拡がり直径Dを振動フロー値Dと呼ぶことにする。
【0023】
図1(b)及び(c)に、上記振動で拡がったキャスタブル耐火物の断面図を示す。図1(b)は分離せず拡がった好ましい場合を示し、図1(c)は分離が生じた好ましくない場合を示す。分離が生じた場合、たとえ振動フロー値Dが150mm以上であっても、粗粒が殆ど拡がらずに中央部分に残留するため、断面凸状をなす。このような場合は、流し込み施工に支障をきたし、組織の均一な施工体が得られがたい。
【0024】
そこで、本発明では、キャスタブル耐火物の分離しにくさの程度を、拡がり領域Sの中央Cの厚み(以下、拡がり厚さという。)Tによって評価する。ここで、拡がり領域Sの中央Cとは、図1(a)に示すように、平面視において、拡がり領域Sの直交する2方向についての直径D及びDを表す線分の交点を指す概念とする。支障なく流し込み施工できるためには、拡がり厚さTが30mm以下であることが必要である。
【0025】
本発明の一観点によれば、微粒の含有量が35質量%以下で粗粒の含有量が50質量%以上の耐火性粉体、結合剤、及び分散剤を含む粉体組成物と、この粉体組成物に対する外かけ6質量%以下の施工水とから成り、振動フロー値Dが150mm以上、かつ拡がり厚さTが30mm以下である流動性を示すキャスタブル耐火物が提供される。
【0026】
本発明の他の観点によれば、微粒の含有量が35質量%以下で粗粒の含有量が50質量%以上の耐火性粉体、結合剤、及び分散剤を含む粉体組成物を準備する工程と、容器、この容器中心の鉛直軸まわりに回転する螺旋状の内側攪拌子、及びこの内側攪拌子と同軸に容器内面に沿って回転する外側攪拌子を備えたミキサーを用いて、粉体組成物を外かけ6質量%以下の施工水と共に混練することにより、振動フロー値Dが150mm以上、かつ拡がり厚さTが30mm以下である流動性を示すキャスタブル耐火物と成す工程とを有するキャスタブル耐火物の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0027】
上記のように従来よりも粗く粒度構成した粉体組成物であっても、例えば図6のミキサーを使用すること等によって高い混練エネルギーが付与される条件で混練することで、振動フロー値Dが150mm以上、かつ拡がり厚さTが30mm以下であるような支障なく流し込み施工することができるキャスタブル耐火物が得られうることが判った。耐火性粉体を粗く粒度構成したことで耐熱的スポーリング性に優れ、また、施工水が6質量%以下であり、かつ分離が生じにくく均一な組織が得られるため、粗く粒度構成したことに伴う耐食性の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(a)は振動によって拡がったキャスタブル耐火物の平面図、(b)及び(c)は同キャスタブル耐火物の断面図である。
【図2】混練時間と振動フロー値Dとの関係を示すグラフである。
【図3】微粒の含有量と振動フロー値Dとの関係を示すグラフである。
【図4】微粒の含有量と拡がり厚さTとの関係を示すグラフである。
【図5】耐火性粉体の粒度構成を示す三角ダイヤグラムである。
【図6】HFミキサーを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書において、粒子の粒径がd以上とは、粒子がJIS‐Z8801に規定する目開きdの篩上に残る粒度であることを意味し、粒子の粒径がd未満とは、粒子が同篩を通過する粒度であることを意味する。粗粒とは粒径1mm以上の粒子をいい、中粒とは粒径75μm以上1mm未満の粒子をいい、微粒とは粒径75μm未満の粒子をいう。本明細書において、平均粒径とは、レーザ回折散乱式粒度分布計で測定された累積曲線の中央累積値(D50)にあたる体積平均粒径をいう。
【0030】
まず、本発明の基礎となった第1の実験について説明する。
【0031】
表1に、混練対象とした粉体組成物の構成を示す。
【0032】
【表1】

【0033】
表1の粉体組成物を、粉体組成物に対する外かけ4.7質量%の施工水と共にミキサーで混練し、キャスタブル耐火物と成す。混練の過程で、振動フロー値Dを測定する。ミキサーとして、図6の特殊ミキサー(以下、HFミキサーという。)を用いた場合と、一般的な平型ミキサーであるターボミキサー(以下、TBミキサーという。)を用いた場合とで、振動フロー値Dを個別に測定する。
【0034】
HFミキサーには容器半径0.5mのものを用い、内側攪拌子の周速を2.5m/s、外側攪拌子の周速を1.3m/sとした。TBミキサーには容器半径0.5mのものを用い、攪拌羽根の周速は2.5m/sとした。
【0035】
図2に、振動フロー値Dの測定結果のグラフを示す。横軸が混練時間を示し、縦軸が振動フロー値Dを示す。
【0036】
折線aが、TBミキサーを用いた場合の振動フロー値Dの時間変化を示す。約3分で振動フロー値Dが定常値(約145mm)に達する。3分以上混練しても、混練効果が飽和状態にあるため、振動フロー値Dの向上は期待できず、混練時間の無駄になる。10分以上混練した場合は、摩擦によるスリップ温度の上昇とともに結合剤(アルミナセメント)の硬化が始まるため、振動フロー値Dが次第に低下することは明らかである。従って、TBミキサーを用いる場合は、振動フロー値Dは約145mmが限界と考えられる。
【0037】
折線bが、HFミキサーを用いた場合の振動フロー値Dの時間変化を示す。TBミキサーの場合よりも早い2分程度で上記定常値に安定するようにみえるが、2分以降さらに振動フロー値Dの向上がみられ、150mm以上、最終的には160mm以上の振動フロー値Dを達成した。この理由は定かでないが、TBミキサーを用いた場合は、微粒が充分にほぐしきれていなかったものと思われる。HFミキサーを用いた場合は、その高い混練能力によって微粒の凝集体を充分にほぐすことができたため、良好な振動フロー値Dが得られたのであろう。
【0038】
即ち、粗粒を50質量%以上に増やした場合、HFミキサーによる高い混練効果が与えられる条件下では、粗粒によって微粒がすり潰されるようにほぐされる効果が特に顕著となり、微粒を殆ど凝集粒を残すことなく充分に分散させうるため、微粒を35質量%以下に低減したにも関らず、高い振動フロー値Dを達成したものと考えられる。
【0039】
従来、折線aが示す定常値に達するまでの混練時間、即ち混練効果が飽和するまでの時間はミキサーによって異なるが、折線aが示す定常値そのものは、どのようなミキサーを用いた場合でも概ね同じと考えられていた。しかし、本実験において、HFミキサーの使用によって、振動フロー値Dのさらなる向上が図られることが判った。
【0040】
HFミキサーは、緻密な粒度構成をもつ材料の混練に適することで知られる。即ち、緻密で粘い材料を混練する場合に限り、混練能力の高いHFミキサーが必要と考えられていた。本実験によると、従来であれば簡易な平型ミキサーによる混練で充分速やかに混練効果が飽和すると考えられる表1の粗い粉体組成物であっても、あえて混練能力の高いHFミキサーを適用することが有効であることが判った。
【0041】
次に、第2の実験について説明する。
【0042】
キャスタブル耐火物の粒度構成と、得られるキャスタブル耐火物の振動フロー値D及び拡がり厚さT(図1参照)の関係を調べた。
【0043】
キャスタブル耐火物を構成する粉体組成物には、表1の材料をベースとし、中粒の割合を15質量%に固定し、微粒と粗粒の割合を、両者の合量が85質量%になる条件で変えた。施工水の添加量は、粉体組成物に対する外かけ4.7質量%とした。
【0044】
ミキサーとして、HFミキサーを用いた場合と、TBミキサーを用いた場合とで、振動フロー値D及び拡がり厚さTを個別に測定した。HFミキサーには容器半径0.5mのものを用い、内側攪拌子の周速を2.5m/s、外側攪拌子の周速を1.3m/sとした。TBミキサーには容器半径0.5mのものを用い、攪拌羽根の周速は2.5m/sとした。いずれの場合も、混練時間は6分とした。
【0045】
図3に、振動フロー値Dの測定結果のグラフを示す。
【0046】
折線cが、TBミキサーを用いた場合の振動フロー値Dを示す。折線cは、微粒が40質量%(粗粒が45質量%)のときを最大値とする上に凸の形状をなしている。微粒が40質量%未満(粗粒が45質量%超)の場合に振動フロー値Dが低下するのは、流動性に寄与するマトリックスが減少したためである。微粒が40質量%超(粗粒が45質量%未満)の場合に振動フロー値Dが低下するのは、施工水の添加量が微粉の増量にみあう量とならなかったためである。
【0047】
曲線dが、HFミキサーを用いた場合の振動フロー値Dを示す。折線cと同様に上に凸をなすが、折線cよりも上方にシフトしているとともに、最適範囲が拡大し、微粒が35質量%以下(粗粒が50質量%以上)の範囲でも、良好な振動フロー値Dが得られている。
【0048】
図4に、拡がり厚さTの測定結果のグラフを示す。
【0049】
折線eが、TBミキサーを用いた場合の拡がり厚さTを示す。微粒が35質量%以下(粗粒が50質量%以上)の場合に、特に拡がり厚さTが大きくなる。微粒が25質量%未満(粗粒が60質量%)の場合は、キャスタブル耐火物が完全に分離し、図1(c)に示す状態となった。
【0050】
曲線fが、HFミキサーを用いた場合の拡がり厚さTを示す。HFミキサーを用いると、微粒が35質量%以下(粗粒が50質量%以上)の領域においても、拡がり厚さT≦30mm、特に拡がり厚さT≦25mmを達成しうる。この結果から、キャスタブル耐火物を粗く粒度構成する場合であっても、HFミキサーで混練することにより、分離抵抗性が損なわれにくいことが分かる。
【0051】
次に、第3の実験について説明する。
【0052】
図5は、耐火性粉体の粒度構成を示す三角ダイヤグラムである。プロットa〜oの各々が示す粒度構成をもつ電融アルミナからなる耐火性粉体に、アルミナセメントを外かけ6質量%、トリポリリン酸ソーダを外かけ0.5質量%それぞれ加えたものを粉体組成物とする。なお、本実験では粗粒の最大粒径は8mm未満とした。この粉体組成物を外かけ4.7質量%の施工水と共にHFミキサーで混練し、キャスタブル耐火物と成す。
【0053】
HFミキサーには容器半径0.5mのものを用い、内側攪拌子の周速を2.5m/s、外側攪拌子の周速を1.3m/sとした。混練時間は3分とした。得られたキャスタブル耐火物につき、振動フロー値D、拡がり厚さT、及び耐熱的スポーリング性を評価した。
【0054】
振動フロー値Dは、150mm未満を×、150mm以上155mm未満を△、155mm以上160mm未満を○、160mm以上を◎として4段階評価した。
【0055】
拡がり厚さTは、30mm超を×、30mm以下で25mm超を○、25mm以下を◎として3段階評価した。
【0056】
施工性は、棒状バイブレータによってキャスタブル耐火物に3Gの振動を与えつつ所定の型枠への流し込みを実際に行い、分離の程度及び充填のしやすさの観点から総合評価した。「良」は、支障なく流し込み施工ができたことを示す。「充填困難」は、充填性が悪く、型枠内に未充填部、即ち空隙が残りやすいことを示す。「分離発生」は、流し込みは可能だが表層に施工水及び微粒が浮上し、分離が生じたことを示す。
【0057】
耐熱的スポーリング性は、キャスタブル耐火物の乾燥成形体に対し、所定の熱衝撃付与処理を繰り返し行い、乾燥成形体が崩壊に至るまでの熱衝撃付与処理のサイクル数によって、◎、○、△、×の4段階で相対評価した。
【0058】
耐食性は、キャスタブル耐火物の乾燥成形体に対し、鋼片と取鍋スラグとを1:1の質量比で組み合わせたものを侵食剤として用いた1600℃×3時間の回転侵食試験を行い、溶損寸法によって◎、○、△、×の4段階で相対評価した。
【0059】
表2に、粒度構成別にキャスタブル耐火物の評価結果を示す。なお、表2に記載の各符号は、図5にプロットした符号と対応する。
【0060】
【表2】

【0061】
例n及びoは、振動フロー値Dが高く、拡がり厚さTが小さいことで流動性に優れ、また耐食性も許容できるが、粗粒が少なく、粒度構成が本発明規定を満たさない緻密な材料であるため、耐熱的スポーリング性に劣る。
【0062】
例kは、中粒が少なすぎたためか、拡がり厚さTが本発明規定を満たさない比較例となった。実際、施工性の評価において、粗粒と微粒とに分離が生じたことが確認された。
【0063】
例lは、粒度構成が粗すぎたため、たとえHFミキサーを用いた混練によっても、振動フロー値D及び拡がり厚さTの点で本発明規定を満たさない比較例となった。実際、施工性の評価において、型枠への充填が困難であることが確認された。
【0064】
例mは、微粒が少なすぎたため、たとえHFミキサーを用いた混練によっても、振動フロー値Dの点で本発明規定を満たさない比較例となった。実際、施工性の評価において、型枠への充填が困難であることが確認された。
【0065】
例a〜jは、粒度構成、振動フロー値D、及び拡がり厚さTのいずれの点においても本発明規定を満たしており、耐熱的スポーリング性と耐食性とを兼ね備える。また、施工性の評価においても、支障なく流し込み施工ができることが確認された。この結果から、少なくとも、図5で、プロットa〜gで囲まれた領域、即ち、微粒:20〜35質量%、中粒:10〜30質量%、粗粒:50〜65質量%の範囲は、好ましいと言える。
【0066】
また、表2で例b、c、i、h、jは◎の評価が多いことから、図5でプロットb、c、i、hで囲まれた領域、即ち、微粒:25〜30質量%、中粒:15〜25質量%、粗粒:50〜60質量%の範囲が、より好ましいと言える。
【0067】
本実施例によると、従来よりも粗く粒度構成したことで、良好な耐熱的スポーリング性が得られる。また、粗く粒度構成したにも関らず、拡がり厚Tさが小さい、即ち分離抵抗性が良好であり、組織の均質化が図られるため、粗く粒度構成したことによる耐食性及び強度の低下を抑えることができる。即ち、耐熱的スポーリング性と耐食性及び強度とを兼ね備えることができる。
【0068】
また、本実施例によると、粒度構成を粗くしたことにより、加熱乾燥時に施工体の内部から施工水が蒸発しやすくなるため、施工体内部における水蒸気圧の急激な上昇が起こりにくく、爆裂の発生率を低減することができる。
【0069】
なお、本実験では施工水の添加量を4.7質量%としたが、耐火性粉体に用いる原料の種類に応じて施工水の添加量を適宜調整することにより、表2と同様の結果が得られるであろう。例えば、ばん土頁岩やシャモット等の施工水を吸収しやすい原料を主体とする場合は、施工水の添加量を最大で6質量%まで増量することができる。
【0070】
次に、第4の実験について説明する。
【0071】
表3に、混練対象とした粉体組成物の構成を示す。本実験では、耐火性粉体は、施工水を吸収しやすい原料であるばん土頁岩より主に構成される。
【0072】
【表3】

【0073】
表4に、表3の粉体組成物を混練する場合の施工水の添加量及び使用したミキサーの種別と、得られるキャスタブル耐火物の評価結果とを示す。HFミキサーには容器半径0.5mのものを用い、内側攪拌子の周速を2.5m/s、外側攪拌子の周速を1.3m/sとした。TBミキサーには容器半径0.5mmのものを用い、攪拌羽根の周速は2.5m/sとした。いずれのミキサーを用いる場合も混練時間は3分とした。
【0074】
振動フロー値Dは、155mm以上160mm未満を△、160mm以上170mm未満を○、170以上を◎として3段階で相対評価した。
【0075】
拡がり厚さTは、30mm超を×、30mm以下で27mm超を△、28mm以下で25mm超を○、25mm以下を◎として4段階で相対評価した。
【0076】
【表4】

【0077】
表4の結果から、TBミキサーを用いた場合の混練条件だと、施工水の添加量が6質量%の場合に、キャスタブル耐火物に分離が生じるが、HFミキサーを用いた場合の混練条件だと、施工水の添加量が6質量%でもキャスタブル耐火物に分離が生じにくいことが分かる。但し、HFミキサーを用いる場合であっても、施工水の添加量が6質量%を超えると、キャスタブル耐火物に分離が生じやすくなる。
【0078】
HFミキサーを用いる場合、施工水の添加量が6質量%超であっても、振動フロー値D及び拡がり厚さTが本発明の規定を満たしうるが、できるだけ分離しにくくすると共に、できるだけ良好な耐食性を備える観点から、施工水は6質量%以下に抑えることが必要である。
【0079】
なお、施工水の添加量の下限は特に規定しないが、本発明規定の振動フロー値D及び拡がり厚さTを達成するためには、自ずと所定量の施工水が必要であることは当業者に自明であろう。施工水の添加量は、例えば3.5質量%以上であることが好ましい。
【0080】
次に、第5の実験について説明する。
【0081】
図6に戻って、HFミキサーの構成の説明を補足する。HFミキサー10においては、第1のモータ8が、外側攪拌子3を構成する外側回転軸5を回転させ、第2のモータ9が、内側攪拌子2を構成する内側回転軸7を回転させる。内側回転軸7は、外側回転軸5と共通の中心軸を有するように外側回転軸5に挿通している。このため、内側攪拌子2と外側攪拌子3との回転数を独立に設定することができる。
【0082】
表5に、HFミキサーの容器半径並びに内側攪拌子及び外側攪拌子の周速の別に、得られるキャスタブル耐火物の振動フロー値D及び拡がり厚さTの評価結果を示す。なお、HFミキサーの容器半径とは、図6の容器1の中心軸から、容器内面までの距離のうち最大値、即ち容器1の上端の位置における半径をいう。
【0083】
粉体組成物には、表2の例jを用い、表2の場合と同じ条件で振動フロー値D及び拡がり厚さTを評価した。
【0084】
【表5】

【0085】
表5の結果から、少なくとも、内側攪拌子の周速が2.4m/s以上、外側攪拌子の周速が1.3m/s以上の条件下において、本発明規定の振動フロー値D及び拡がり厚さTを満たすキャスタブル耐火物が得られることが分かる。但し、内外側攪拌子の周速は早い程好ましい。
【0086】
また、容器半径が大きい方が、内外攪拌子の周速が小さくても、良好な振動フロー値Dが得られやすいことが分かる。ミキサーの容器半径は、0.5m以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましい。
【0087】
以上、本発明に係る実験結果について説明したが、本発明はこれに限られない。
【0088】
耐火性粉体としては、上述したものに限らず、例えば、電融アルミナ、焼結アルミナ、ボーキサイト、ダイアスポア、ばん土頁岩、及び仮焼アルミナ等のアルミナ質原料、珪石、珪砂、無定形シリカ(例えば、マイクロシリカ、シリカフラワー、ヒュームドシリカ、ホワイトカーボン)等のシリカ質原料、蝋石、シャモット、粘土、焦宝石、アンダリュサイト、シリマナイト、カイヤナイト、ムライト等のアルミナシリカ質原料、石炭、コークス、ピッチ、人造黒鉛、天然黒鉛(例えば、鱗状黒鉛、土状黒鉛)、カーボンブラック等の炭素質原料、電融スピネル、焼結スピネル等のスピネル質原料、マグネシアクリンカー等のマグネシア質原料、ドロマイトクリンカー等のドロマイト質原料、電融ジルコニア等のジルコニア質原料、ジルコンサンド等のジルコン質原料、窒化珪素質原料、窒化アルミニウム質原料、炭化珪素質原料、炭化硼素質原料、硼化チタン質原料、及び硼化ジルコニウム質原料等から選択される一種以上を用いることができる。
【0089】
耐火性粉体の粒径は、得られる内張りの組織が粗雑になりすぎないようにするために、8mm未満であることが好ましい。最大でも一般には10mm未満である。この範囲で、粒径75μm未満の微粒の含有量が35質量%以下で、粒径1mm以上の粗粒の含有量が50質量%以上であるように粒度調整する。
【0090】
結合剤としては、アルミナセメントに限らず、水硬性遷移アルミナ等の水硬性物質、ケイ酸塩、及びリン酸塩等から選択される1種以上を用いることができる。結合剤の添加量は、耐火性粉体100質量%に対する外掛けで、例えば、0.5〜25質量%が好ましい。0.5質量%未満だと施工体に充分な強度を付与しがたく、25質量%超だと、低融点物質の形成による耐食性の低下を招く。
【0091】
分散剤としては、例えば、トリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、ウルトラポリリン酸ソーダ、酸性ヘキサメタリン酸ソーダ等のアルカリ金属リン酸塩、ポリカルボン酸ソーダ等のポリカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩、ポリアクリル酸ソーダ、及びスルホン酸ソーダ等から選択される一種以上を用いることができる。分散剤の添加量は、耐火性粉体100質量%に対する外掛けで、例えば、0.01〜1質量%が好ましい。
【0092】
粉体組成物は、以上の耐火性粉体、結合剤、及び分散剤の他、耐火粗大粒、繊維類、硬化時間調整剤、増粘剤等の添加剤を含んでもよい。粉体組成物と施工水とからキャスタブル耐火物が構成される。
【0093】
耐火粗大粒とは、粒径10mm以上の粒子をいい、熱衝撃等によって本耐火物の組織に亀裂が生じた場合に、その亀裂の伸展を抑制する効果をもつ。粒径10mm未満の粒子は亀裂の伸展を抑制する効果に乏しい。耐火粗大粒の素材としては、耐火性粉体に用いうるものを用いることができる。耐火粗大粒の粒径が大き過ぎると、狭い箇所に施工できなくなるため、耐火粗大粒の粒径は50mm未満が好ましい。耐火粗大粒を用いる場合、その添加量は、耐火性粉体100質量%に対する外かけで20質量%以下が好ましい。この程度の添加量だと、キャスタブル耐火物の流動特性に殆ど影響を与えない。即ち、耐火粗大粒を用いる場合であっても、耐火性粉体が基質のように振る舞うことでキャスタブル耐火物の流動特性を決定する。
【0094】
繊維類としては、例えば、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、SML繊維等の有機繊維、セラミック繊維や金属繊維等の無機繊維が挙げられる。
【0095】
硬化時間調整剤には、硬化促進剤と硬化遅延剤とがある。硬化促進剤としては、例えば、消石灰、塩化カルシウム、アルミン酸ソーダ、及び炭酸リチウム等から選択される一種以上を用いることができる。硬化遅延剤としては、例えば、ホウ酸、クエン酸、炭酸ソーダ、及び砂糖等から選択される一種以上を用いることができる。
【0096】
増粘剤としては、分離抑制効果を発揮するもの、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、リグニンスルホン酸、無水マレイン酸−イソブチレンコポリマー、アルギン酸、山芋澱粉やタロ芋澱粉等の澱粉、デキストリン、サンザンガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ウェラガム、及びアラビヤゴム等の水溶性高分子から選択される一種以上の粉末を用いることができる。増粘剤を用いる場合、その分離抑制効果を顕著に得るために、耐火性粉体100質量%に対する外かけで0.03質量%以上添加することが好ましい。
【0097】
なお、本発明では、キャスタブル耐火物が、微粒が35質量%以下で粗粒が50質量%以上の耐火性粉体、結合剤、及び分散剤を含む粉体組成物と、この粉体組成物に対する外かけ6質量%以下の施工水とから成る旨を規定するが、この規定を満たしても、振動フロー値D150mm以上かつ拡がり厚さT30mm以下を達成できない場合がありうる。その場合に、振動フロー値D及び拡がり厚さTの規定を満たすために、以下の対策を採るとよいことは、本明細書の記載及び技術常識に照らして、当業者に理解できるであろう。
【0098】
(1)より高い混練エネルギーが付与されるように混練条件を見直すこと。混練には必ずしもHFミキサーを用いなくてよいが、使用するミキサーの羽根の回転数を高めたり、混練時間をより長く確保したり、容器半径の大きなミキサーに変更することで、被混練物に付与される混練エネルギーを高めることができる。高い混練エネルギーを付与することで、粗粒によって微粒がすり潰されるようにほぐされる効果が特に顕著となり、微粒を殆ど凝集粒を残すことなく充分に分散させうるため、振動フロー値Dの向上及び拡がり厚さTの低下に寄与する。HFミキサーを用いる場合は、第5の実験結果から分かるように、内側攪拌子又は外側攪拌子の周速を高めたり、容器半径の大きなHFミキサーに変更することが有効である。
【0099】
(2)耐火性粉体中の微粉の含有量を35質量%以下の範囲内で増やすこと。表2の例mと例a〜jとの比較や、図3の結果からも分かるように、微粒を増やすことは振動フロー値Dの向上に寄与する。
【0100】
(3)耐火性粉体中の中粒の含有量を増やすこと。表2の例mと、例a〜jとの比較からも分かるように、微粒の増加は、振動フロー値Dの向上に寄与する。表2の例kと、例a〜jとの比較からも分かるように、中粒の増加は特に拡がり厚さTの低減に寄与する。
【0101】
(4)施工水の添加量を6質量%以下の範囲内で調整すること。第4の実験からも分かるように、施工水の増加は振動フロー値Dの向上に寄与する。また、施工水が過剰である場合、施工水の低減は、拡がり厚さTの低減に寄与する。
【0102】
(5)分散剤の添加量を増やすこと。これにより、微粒を構成する粒子間の静電反発力や立体障害効果が高まり、特に振動フロー値Dの向上に寄与する。
【0103】
(6)増粘剤や繊維類を使用すること。これにより、粉体組成物の分離を防止する効果が向上し、特に拡がり厚さTの低減に寄与する。
【0104】
以上の他、種々の組み合わせ及び改良が可能なことは当業者に自明であろう。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明のキャスタブル耐火物は、特に製鉄プロセスで使用される各種窯炉に使用することができ、キャスタブル耐火物でライニングされる取鍋やタンディッシュ等の溶融金属容器、各種樋やパイプ等に好適で、特に耐熱的スポーリング性が要求される取鍋の湯当たり部、ウエア、若しくは羽口、脱ガス設備の浸漬管若しくは下部槽、又は各種ランス等に好適である。この他、本発明のキャスタブル耐火物は、ガラス、セメント、非鉄で使用される各種窯炉にも広く使用されうる。
【符号の説明】
【0106】
S…拡がり領域、C…拡がり領域の中央、D,D…拡がり領域の直径、T…キャスタブル耐火物の厚さ、1…容器、2…内側攪拌子、3…外側攪拌子、4…材料排出ゲート、5…外側回転軸、6…アーム、7…内側回転軸、8…第1のモータ、9…第2のモータ、10…HFミキサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒径75μm未満の微粒の含有量が35質量%以下であり、粒径1mm以上の粗粒の含有量が50質量%以上の耐火性粉体、結合剤、及び分散剤を含む粉体組成物と、この粉体組成物に対する外かけ6質量%以下の施工水とから成り、テーブルに置かれたJIS‐R2521に規定するフローコーンに充填し、フローコーンを上方に抜き取ってテーブルに3Gの振動を30秒間付与した場合の拡がり直径Dが150mm以上、かつその拡がり領域の中央の厚みが30mm以下である流動性を示すキャスタブル耐火物。
【請求項2】
粒径75μm未満の微粒の含有量が35質量%以下であり、粒径1mm以上の粗粒の含有量が50質量%以上の耐火性粉体、結合剤、及び分散剤を含む粉体組成物を準備する工程と、容器、この容器中心の鉛直軸まわりに回転する螺旋状の内側攪拌子、及びこの内側攪拌子と同軸に容器内面に沿って回転する外側攪拌子を備えたミキサーを用いて、前記粉体組成物を外かけ6質量%以下の施工水と共に混練することにより、テーブルに置かれたJIS‐R2521に規定するフローコーンに充填し、フローコーンを上方に抜き取ってテーブルに3Gの振動を30秒間付与した場合の拡がり直径Dが150mm以上、かつその拡がり領域の中央の厚みが30mm以下である流動性を示すキャスタブル耐火物と成す工程とを有するキャスタブル耐火物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−213521(P2011−213521A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81991(P2010−81991)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000170716)黒崎播磨株式会社 (314)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】