説明

キャスター付き家具の固定装置

【課題】 キャスター付き家具を、容易な作業により安定固定できるとともに移動可能な状態に復帰できるようにする。
【解決手段】 キャスター付き家具Fの底面2に下降可能に設けられて下降位置においてキャスター付き家具Fの底面2に相対する床面に当接する当接部20と、当接部20を上昇、下降させる作動部と、作動部を下降作動させるロック操作部9と、作動部を上昇作動させるロック解除操作部11とを備えるキャスター付き家具の固定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、キャスター付き家具の固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、病院でベットの枕元に配置される床頭台には底面にキャスターが取り付けられており、これにより配置位置や配置方向が容易に変えられることで便利に使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、一方では配置状態が安定しないという問題があり、とくに、地震が発生した場合には大きく移動して危険な状態が発生する。例えば、キャスターそのものに回転ロック機構を持たせたものが提供されているが、通常キャスター自身が家具に対してその進行方向を任意とするように回転可能に取り付けられているのでその方向における回転が阻止されず、やはり、安定しなかった。
【0004】
この発明では、キャスター付き家具を、容易な作業により安定固定できるとともに移動可能な状態に復帰できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明では、キャスター付き家具の底面に下降可能に設けられ、下降位置において前記キャスター付き家具の底面に相対する床面に当接する当接部と、前記当接部を上昇、下降させる作動部と、前記作動部を前記下降のために作動させるロック操作部と、前記作動部を前記上昇のために作動させるロック解除操作部とを備えることを特徴とするキャスター付き家具の固定装置を提供する。
【0006】
この発明の構成によれば、ロック操作部の操作により当接部が下降してキャスター付き家具の底面に相対する床面に当接することで家具をロック状態とでき、ロック解除操作部を操作することで当接部が上昇してロック状態が解除される。これにより、キャスター付き家具を必要に応じ所望位置に固定配置でき、かつ、容易に移動可能状態に復帰できる。
【0007】
当接部がシリコン樹脂やテフロン樹脂等の密着性樹脂材よりなる面体により構成されることで、床面に密着してロック状態が安定する。また、ロック操作部及びロック解除操作部が足踏み動作により操作される構成とすることで、操作者は立った状態で大きな力をかけられることで容易に操作が行える。また、当接部、作動部、ロック操作部、ロック解除操作部の全ての要素がキャスター付き家具の底面に取り付けられるベースプレート上に一体に配置される構成とすることで、全ての要素を予め装着したベースプレートを家具の底面に取り付けるようにすることで容易に固定装置の取り付けがなされ、これにより既存の家具への装置の取り付けも可能となる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、キャスター付き家具が容易な作業により安定固定できるとともに移動可能な状態に復帰できるようになり、これによりキャスター付き家具を安全に使用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】 この発明のキャスター付き家具の固定装置が使用されたキャスター付き家具の斜視図
【図2】 この発明のキャスター付き家具の固定装置の使用状態斜視図
【図3】 この発明のキャスター付き家具の固定装置の操作部の作動説明構成図
【図4】 この発明のキャスター付き家具の固定装置の操作部の作動説明構成図
【図5】 この発明のキャスター付き家具の固定装置の操作部の部品図
【図6】 この発明のキャスター付き家具の固定装置の固定部の作動説明構成図
【図7】 この発明のキャスター付き家具の固定装置の固定部の作動説明構成図
【図8】 この発明のキャスター付き家具の固定装置の固定部の部品図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1はこの発明のキャスター付き家具の固定装置が使用されたキャスター付き家具の斜視図、図2はキャスター付き家具の固定装置の使用状態斜視図である。
【0011】
キャスター付き家具Fは床頭台であり、固定装置1はキャスター4が取り付けられた家具Fの底面2に装着使用されている。3はベースプレートでその前端面上に操作部5が配置され後部両端面上に固定部7のそれぞれが配置される。操作部5にはロックレバー(ロック操作部)9とロック解除レバー(ロック解除操作部)11とが設けられ、ロックレバー9の踏み込み(矢印A)に連動して第1作動プレート13が前進し(矢印B)、この第1プレート13に連動して第2プレート15が前進し(矢印C)、この第2プレート15に連動して第3プレート17のそれぞれが内側に進み(矢印D)、この第3プレート17のそれぞれに連動して固定部7それぞれの当接部20のそれぞれが下降(矢印E)するようになっている。上記ロックレバー9及びロック解除レバー11と当接部20との間の連動構造がこの発明の作動部を構成する。
【0012】
第1プレート13の後端は第2プレート15の前側中央に固定され、第2プレート15はコイルバネ16により後方に付勢されている。第2プレート15には一対のガイド孔18が斜め方向に設けられており、これらガイド孔18それぞれに第3プレート17の端部に立設されたガイドピン19のそれぞれが差し入れられており、第2プレート15の前後の移動に対応してガイド孔18内をガイドピン19が移動することで第3プレート17それぞれが内外方向に移動するようになっている。21は第1プレート13の移動ガイドカバー、22のそれぞれは第3プレート17それぞれの移動ガイドカバーである。
【0013】
次に、図3、図4の固定装置1の操作部5の作動説明構成図と図5の操作部5の部品図を参照して操作部5の構成及び動作を説明する。30は取り付け台であり、その内側にロック操作レバー9が、外側の一方にロック解除レバー11が回転可能に軸支持されて取り付けられている。それぞれの軸支は、GにHが、IにJが、KにLがそれぞれ対応するようになされる。ロック操作レバー9の相対する軸支片32間には水平にガイドピン33が設けられ、一方の軸支片32の外周にはロック用ギヤ34が設けられている。ロック解除操作レバー11は基部片35に端部片36が互いにM、N位置で回転可能に軸支持されて連結され、基部片35のM位置の軸支持孔は長穴とされている。端部片36の上部には水平方向に係合部37が設けられており、この係合部37は上記ロック用ギヤ34に係合する。なお、図示していないが、ロック解除レバー11は端部片36において取り付け台30に、係合部37がロック用ギヤ34に係合する方向に付勢されるようにバネを介して取り付けられている。第1プレート13の前端には係止長孔40を備える一対の係止部41が一体に下方に突出して設けられ、その係止長孔40それぞれに上記ガイドピン33の両端部分が挿通され、これによりロック操作レバー9と第1プレート13とは連動する構成となっている。操作部5の実際の組み立ては、第1プレート13の端部にガイドピン33を介してロック操作レバー9を組み付けたものを取り付け台30内に取り付け、その外側面にロック解除レバー11を取り付けて行う。
【0014】
図3は非ロック時の状態(図2の状態)を示し、ロック操作レバー9は傾斜状態に位置しており、係合部37はロック用ギヤ34のガイドピン33に近い位置に係合している。この状態においては当接部20それぞれは上昇した位置である床面から浮いた位置にあり、キャスター4が床面に接することで家具Fは移動可能となっている(図6参照)。図3に示す状態においてロック操作レバー9を踏み込むと、図4に示すように、ロック操作レバー9は回転することでそのガイドピン33が前方に移動し、これに伴って第1プレート13は前方に移動される。また、ロック操作レバー9の回転により係合部37はロック用ギヤ34のガイドピン33から遠い位置に係合し、これにより第1プレート13は前方に移動された位置に固定される。
【0015】
次に、図6、図7の固定装置1の固定部7の作動説明構成図と図8の固定部7の部品図を参照して固定部7の構成及び動作を説明する。50は取り付け台であり、その内側に回転レバー52が回転可能に軸支持されて取り付けられ、その回転レバー52下端に回転可能にシリコン樹脂プレートよりなる当接部20が取り付けられている。回転レバー52の相対する軸支片54間には水平にガイドピン55が設けられている。第3プレート17のそれぞれの外端には係止長孔57を備える一対の係止部58が一体に下方に突出して設けられ、その係止長孔57に上記ガイドピン55の両端部分が挿通され、これにより回転レバー52と第3プレート17のそれぞれとは連動する構成となっている。固定部7の実際の組み立ては、第3プレート17の端部にガイドピン55を介して回転レバー52を組み付けたものを取り付け台50内に取り付けて行う。
【0016】
図6は非ロック時の状態(図2、図3の状態)を示し、回転レバー52は傾斜状態に位置しており、当接部20は上昇して床面Xから浮いた位置にあり、キャスター4が直接に床面Xに接することで家具Fは移動可能となっている。キャスター4の高さ位置を点線により図示している。図4に示すように、ロック操作レバー9が踏み込まれ第1プレート13が前方に移動されると、それに一体の第2プレート15が前方に移動され、そのガイド孔18それぞれに沿ってガイドピン19それぞれが移動することで第3プレート17のそれぞれは内側に移動する。この第3プレート17の移動に連動して回転レバー52は回転し、これにより直立状態となることで当接部20は下降される。当接部20はその下面がキャスター4の下端の位置より若干下方の位置まで下降され、これにより当接部20の下面が床面Xに当接して家具Fがロック(所定位置に固定)される。その際、当接部20がシリコン樹脂よりなり密着性が優れることで床面Xに密着し、その固定が安定してなされる。
【0017】
ロックの解除は、図4の状態において、ロック解除レバー11を踏み込むことで行われ、踏み込により基部片35が回転してその端部片36との軸支持部39位置が上昇すると、基部片35と端部片36とはその軸支持部39位置で折れ曲がり状態となり、これにより係合部37が開くように変位(矢印M)することでロック用ギヤ34から外れる。これにより第1プレート13はコイルバネ16で付勢されていることで後方に移動され、これに伴って第2プレート15、第3プレート17がロック時と逆方向に移動されて当接部20は上昇してロックが解除される。
【符号の説明】
【0018】
1 固定装置
4 キャスター
9 ロック操作レバー(ロック操作部)
11 ロック解除操作レバー(ロック解除操作部)
20 当接部
F キャスター付き家具
X 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスター付き家具の底面に下降可能に設けられ、下降位置において前記キャスター付き家具の底面に相対する床面に当接する当接部と、
前記当接部を上昇、下降させる作動部と、
前記作動部を前記下降のために作動させるロック操作部と、
前記作動部を前記上昇のために作動させるロック解除操作部と、
を備えることを特徴とするキャスター付き家具の固定装置。
【請求項2】
前記当接部が密着性樹脂材よりなる面体により構成される請求項1記載のキャスター付き家具の固定装置。
【請求項3】
前記ロック操作部及び前記ロック解除操作部が、足踏み動作により操作される請求項1記載のキャスター付き家具の固定装置。
【請求項4】
前記当接部、前記作動部、前記ロック操作部、前記ロック解除操作部のそれぞれが前記キャスター付き家具の底面に取り付けられるベースプレート上に一体に配置されて構成されるキャスター付き家具の固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−232082(P2012−232082A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114141(P2011−114141)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(597122921)株式会社ライズ (11)
【Fターム(参考)】