説明

キャスター

【課題】
移動の際に発生する振動の発生源に近い位置で振動を吸収し、騒音の発生を大幅に抑制でき、キャスターに作用するあらゆる方向での振動を有効に吸収でき、さらにサスペンション機能に優れたキャスターを提供する。
【解決手段】
キャスター1のキャスター本体3の脚部6,7に形成した取付け穴8,9に車輪17を取付ける。車輪を支持する軸22の両端を軸受け15,16で支承する。軸受けの外周と穴8,9の内周との間に画成されるスペースを、ゴム弾性を有する例えばゴム或いはエラストマーで形成された緩衝部材で満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャスターに関する。さらに詳細に言えば、移動時における振動、衝撃に対する緩衝性に優れ、騒音をきわめて低く抑えることのでき、さらにサスペンション機能を備えたキャスターに関する。
【背景技術】
【0002】
キャスターは台車、テーブル、椅子、カバン、スーツケースなど、移動を容易にするために各種の品物に幅広く使用されている。ところで、例えばスーツケースを手で引きながら路上を移動する際、車輪の回転によって振動が生じ、それがスーツケース本体に伝わって大きな騒音を発する。また、車輪が物に当たった場合には衝撃が加わる。
このような振動や衝撃はタイヤのクッション性により多少は吸収、減衰させることができるが、それだけでは対応しきれず、このような振動或いは騒音を抑止するための緩衝装置が各種提案されている。
例えば、特開平8−282203号では車輪を支持する支持具を板バネに取り付け、この板バネの両端部をキャスターカバーの支持部で受け止め、さらに板バネとカバンとの間の空間をゴムなどの弾性片で満たし、これにより振動を減衰させるとしている。
また、実願昭60−51995号では、バッグの底とキャスターの台底との間に弾性材を配置して振動を吸収するようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−282203号公報
【特許文献2】実願昭60−51995号マイクロフィルム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1の場合、上記のような構成をとるところから構造が複雑になっている。また、このキャスターでは、板バネの両端部をキャスターカバーの支持部に取付ける位置においては剛的な接続となっており、板バネの振動がこの部分を介してケースに伝わるので、騒音防止は十分とはいえない。また、この構成で吸収できる衝撃或いは振動は、車輪支持具の軸方向すなわち板バネの面に垂直な方向でのものであり、車輪支持具の軸方向からずれた方向での衝撃、振動の吸収はほとんどできない。したがって取っ手を掴んで旅行ケースを傾けて移動させる場合には充分な緩衝機能を発揮できない。
また、特許文献2のばあいは、リベットを用いて弾性材を間に挟んだ状態でバッグの底とキャスターの台底とを結合しているので、このリベットを介して振動が伝わることは避けられない。また、この場合も抑制できるのは垂直方向での振動のみであり、先の特許文献1と同様に、スーツケースを傾けて引っ張るような場合には充分機能しない。
【0005】
本願発明は上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、移動の際に発生する振動の発生源により近い位置具体的には軸もしくは軸受け部で振動を吸収し、騒音の発生を大幅に抑制できるようにしたキャスターを提供することをその課題とする。また、キャスターの姿勢に関わらずに、キャスターに作用するあらゆる方向での振動をも有効に吸収できるキャスターを提供することもその目的である。さらに、サスペンション機能に優れ、キャスターが支持する例えばスーツケースの移動中の姿勢を安定させることのできるキャスターを提供することもその目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、キャスター本体と、該キャスター本体に設けられた軸取付け部に取付けられる軸と、該軸の軸心周りに回転可能に取付けられる車輪とを備えたキャスターにおいて、その軸が、該軸もしくは該軸を支承する軸受けの円周方向全周に亘って配設された、弾性変形可能な緩衝部材を介して、キャスター本体の取付け部に取付けられるように構成した。
より具体的な構成においては、そのキャスター本体の軸取付け部は穴であり、緩衝部材は、軸もしくは軸受けの周方向全周に亘って穴の内周と軸もしくは軸受けの外周との間を埋めるように配置された、ゴム弾性を有する素材で形成されている。
より具体的な他の構成においては、キャスター本体の軸取付け部は穴であり、軸は軸受けにより支承され、緩衝部材は、軸受けの外周全周に亘って所定の間隔で配置された、両端において穴の内周と軸受けの外周とに一体的につながる弾性変形可能な複数の連結体により構成されている。この構成に加えて、隣合う連結体と軸受けの外周と穴の内周とにより囲まれるスペースが、ゴム弾性を有する素材により満たされるようにしてもよい。そして、その連結体は、その連結体が軸受け外周につながる位置を通る軸受けの直径に対して傾斜した方向に伸びている。
より具体的なさらなる構成においては、キャスターの軸取付け部は穴であり、軸もしくは軸受けはその外周全周にわたってゴム弾性を有する素材からなる第1の緩衝部材により囲繞され、さらに、第1の緩衝部材の外周を囲繞する円環部と、該円環部の外周全周に亘って所定の間隔で配置され、両端において穴の内周と円環部の外周とに一体的につながる弾性変形可能な複数の連結体からなる第2の緩衝部材とを備える。
本発明は、キャスター本体が互いに平行に配置された一対の脚部を備え、車輪がその間に配置されるタイプのキャスターと、キャスター本体は1つの脚部を備え、車輪がその両側に装着されるタイプの何れにも適用可能である。
本発明のキャスターではさらに、キャスター本体を、取付け部材に取付けられる取付け部と、軸取付け部を備えた本体とに分割し、この取付け部と本体とに間に、ゴム弾性を有する素材で構成された第3の緩衝部材を配置する構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0007】
上記のとおり本発明では、車輪を支持する軸もしくは軸受けという振動発生源にきわめて近い位置において振動を吸収するようにして他の部材への振動の伝達を防止するようにした。これにより従前キャスター本体或いはスーツケース本体など他の部材が共振するなどして発生していた騒音を大幅に抑制することができる。
また、軸或いは軸受けを弾性変形可能な緩衝部材で支持するようにしたので、軸がキャスター本体に対して変位でき、サスペンション機能をも発揮するので、キャスターを取付けた例えばスーツケースを移動する際にその姿勢を安定的に維持しておくことができる。
また、軸或いは軸受けの周方向全周に亘って緩衝部材を配置したので、あらゆる方向に作用する振動、衝撃にも対処できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。先ず図1乃至5を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は、第1の実施の形態に係るキャスター1の分解斜視図、図2は正面図、図3は左側面図、図4は右側面図、図5は図2におけるA−A線による断面図である。
【0009】
図において符号3はキャスター本体であり、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂などの合成樹脂或いはアルミなどの金属製とすることができる。キャスター本体3は本実施の形態では上部の取付け部4と該取付け部4から本実施の形態では斜め下方へ、互いに平行に延びる板状の脚部6、7とを備えている。取付け部4の上面には凹所4aが形成され、その中央に上方へ伸びる短い軸5が設けられている。これについては後述する。
【0010】
脚部6、7には同じ形状の軸取付け部である緩衝部材収納部としての穴8、9が向い合った状態で形成され、この穴8,9には、その機能については後に詳述する緩衝部材11,12が固着して配置されている。この緩衝部材11,12は弾性変形可能すなわちゴム弾性を有する素材であればよく、ゴム、エラストマーなど各種材料を使用できる。なお、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系など熱可塑性のエラストマーを使用し、キャスター本体3を樹脂製とすれば、キャスター本体3と緩衝部材11,12とを二色成形で同時に成形することができる。本実施の形態では後述する理由から衝撃吸収性に優れているポリエステル系或いはポリアミド系の熱可塑性ポリマーを採用することとした。
【0011】
緩衝部材11、12には同心状に貫通穴13、14が形成されており、この貫通穴13、14には鍔付きの軸受け15,16が同心となるように固定して配置されている。この軸受け15,16は、材料として例えばキャスター本体3と同じ樹脂を採用するならば前述の緩衝部材11、12との二色成形の際に同時に成形でき、また、金属製とする場合にはインサートモールドにより緩衝部材11,12と一体化することができる。
【0012】
符号17は車輪であり、貫通穴20を備えて両端に短い外方フランジ19,19が形成された円筒状の芯金18と、該芯金18と一体化されたタイヤ21とで構成されている。一般的に芯金18には剛性のある素材が、タイヤ21には弾性のある素材が使用されるが、それらは公知であり、本発明においてもそれら公知の材料を使用するので、これ以上の説明は省略する。
【0013】
符号22は車輪17を回転自在に支承する軸である。軸22には、一端側に径の大きな頭部23を供え、他端24側には浅い有底穴が設けられているチューブラーリベットが用いられ、車輪17の芯金18を軸受け13,14に心合わせをした状態で他端24側から挿通し、他端24側をかしめることにより拡径して抜け止めをしている。
【0014】
符号26はキャスター1を例えばスーツケースなどに取付けるための取付け板であり、その下面側中央に詳細の図示は省略してあるが、ベアリング27が取付けられており、このベアリング27に前述のキャスター本体3の取付け部4の凹所4a中央に立設して設けられた軸5が嵌り、これによりキャスター本体3は軸5の中心軸線周りに回転することができる。すなわち回転自在型となっている。この構成は公知であるからこれ以上詳細な説明は省略する。なお、この例ではキャスター1は回転自在型としてあるが、本発明の適用に当たってはそれに限定はされず、固定型のものにも適用可能である。キャスター1は、取付け板26の四隅に設けられた穴28を使用して、例えば螺子などを用いてスーツケースなどに取付けられる。
【0015】
また、本実施の形態ではキャスター本体3をスーツケースなどに取付けるのにプレート型の取付け板26を使用しているが、この取付け方法もこれに限定されるものではなく、螺子式或いは差し込み式など他の公知の構成を採用することが可能である。また、本実施の形態では二股状のキャスター本体3を使用し、両脚部6,7の間に車輪16を配置するタイプとして説明したが、一枚の脚部の両側に二個の車輪を配置するタイプのキャスターにも本発明は適用可能である。
【0016】
また、本実施の形態では軸受け15、16を用いたが、これは必須ではなく、軸22を緩衝部材11、12で直接受けるようにしてもよい。但しこの場合には、軸の頭を異形とするなどして回り止めを施すことが望ましい。
【0017】
上記のとおり、本実施の形態では車輪が取付けられている軸或いは軸受けをゴム弾性を有する緩衝部材で支持するようにした。すなわち、キャスター付きの例えばスーツケース等を移動させる場合、車輪の転動によって車輪、軸或いは軸受けに振動、騒音が発生するが、その振動、騒音の発生源である軸或いは軸受けの周囲を緩衝材で保持することとしたので、その振動がキャスター本体、さらにはスーツケース本体へと伝達されるのを防止し、きわめて効果的に振動を吸収でき、騒音を大幅に減少することができる。
また、路面の変化に応じて軸或いは軸受けに掛かる外力を緩衝部材により吸収し、さらに緩衝部材の弾性変形によって軸が変位できるので、例えば左右のキャスターのバランスをとり、サスペンションとして充分な機能を果たし、スーツケースの姿勢を安定的に維持できる。
また、落下等により車輪に過大な衝撃が作用しても、緩衝部材によってその衝撃を緩和でき、キャスター本体の破損を防止できる。
さらに着目すべき効果として以下の点がある。例えば、同じスーツケースを手で引いて移動させる場合、引く人の身長により、或いは引き手を短くした場合と長くした場合とで、スーツケースの傾きが変わり、キャスターの路面に対する相対位置関係が変化する。したがって路面側から見ると変わらないが、キャスター側から見ると、それに作用する振動や衝撃の方向が変化することとなる。しかし本実施の形態の場合は、軸或いは軸受けの周囲全周にわたって緩衝部材を配置しているので、あらゆる方向での振動、衝撃を吸収、緩和できる。さらには、この緩衝部材の場合はゴム弾性を有するので、軸の軸方向に作用する振動、衝撃も吸収することができる。
【0018】
図6は第1の実施形態の変形例であり、図の(イ)は正面図、(ロ)は右側面図である。第1の実施形態と同じ部材については同じ参照番号で示す。このキャスター31の構成において第1の実施形態と異なる点は、緩衝部材32である。すなわちこの緩衝部材32は第1の実施形態での緩衝部材11,12に対応する部分33と34を、キャスター本体3の図(イ)において右側の側面上を覆うように延長する被覆部35によって繋ぎ、一体化している。この被覆部35によって、キャスター31が路面の段差部分を引き上げられるとき、或いは落下する際に段差の角部分がキャスター本体32に直接当たるのを防止し、キャスター本体32が破損するのを防止する。
【0019】
図7は第1の実施の形態の第2の変形例である。図の(イ)は正面図、(ロ)は右側面図である。第1の実施形態と同じ部材については同じ参照番号で示す。このキャスター41の構成において第1の実施形態と異なる点は、キャスター本体42を上側の取付け部43と下側の二つの脚部を有する二股部44とに分割し、その間に緩衝部材45の一部を配置したことである。すなわち、緩衝部材45は第1の変形例での緩衝部材32に境界緩衝部46を付加した形状となっている。キャスター本体42の取付け部43と二股部44との間に境界緩衝部46が配置されることにより、振動、騒音、衝撃等に対する効果がさらに増すこととなる。
【0020】
図8は本発明の第2の実施形態に係るキャスターに使用するキャスター本体51を取付け板67に取付けた状態を示す図で、(イ)は正面図、(ロ)は(イ)のB−B線断面図である。このキャスター本体51への軸及び車輪の取付け方は前述の実施形態1の説明から明らかなので、軸及び車輪の図示は省略している。
【0021】
このキャスター本体51も第1の実施形態でのそれと概略同じ形状をしており、上側の取付け部52とその下側の二股になった二つの脚部53,54を備えている。そして取付け部52において前述した第1の実施形態と同じように取付け板67にベアリング68を介して回転可能に取付けられている。
【0022】
脚部53,54のそれぞれ下側の部分において、外側面側に円形の浅い窪み55,56が形成されている。そして肉の残った内側面側において、窪み55,56とそれぞれ同心状に中心穴57,58と、それらと同心の円環状の穴59,60が明けられて、中央にそれぞれ軸受け部61,62を形成している。そして両端において軸受け部61,62の外周面と円環状の穴59,60の内周とに一体的に繋がる形で、円周方向所定の間隔で複数の連結部材、すなわち薄板状のスポーク63、64が伸びている。スポーク63、64の向きは、図示のとおりその延長線が軸受け部61、62の中心から外れた位置を通り、軸受け部61,62の外周を一部切り取るような方向になっている。なお、スポーク63,64自体を湾曲した形に形成してもよい。
【0023】
図示しない軸は軸受け部61,62に挿通されて同じく図示しない車輪を回転可能に支承する。この実施の形態ではこのキャスター本体51はナイロン樹脂などで成形され、その薄肉にされたスポーク63,64は柔軟な可撓性を備え、緩衝部材として機能し、振動を吸収して騒音を防止する。そしてこのスポークの形態をとった緩衝部材ではクッション性がよいので、サスペンションとしての機能が優れる。なお、本実施の形態ではキャスター本体部53の取付け部52、脚部53,54、軸受け部61,62、スポーク63,64を一体的に形成することができるので好都合である。その際、スポーク63,64が脚部53,54と軸受け部61,62を繋いでいるので成形の安定性も優れる。なお、スポーク63,64は要求される可撓性を備えていればよいので、アルミなど金属製とすることも可能である。また、スポーク63、64は薄板状のものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば断面円形の細長い棒の形でもよい。
【0024】
次に、同じく図8を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。すなわち、第2の実施形態では、緩衝部材としてはスポーク63,64だけであるが、第3の実施の形態では、隣り合うスポーク63(64)と軸受け部61(62)の外周と円環穴59(60)の内周とで囲まれたスペースを満たすように、第1の実施の形態で使用された、ゴム弾性を有する、例えば熱可塑性のエラストマーが第2の緩衝部材70として充填されている。緩衝部材としては各種のものが想定されるが、振動の減衰特性と音の吸収特性とは必ずしも一致しないので、このように異なる緩衝部材を適宜組合わせることにより、両方の特性に優れた結果を得ることができる。
【0025】
図9は第4の実施形態に係るキャスター本体81の一部拡大正面図であり、一方の脚部82のみを図示している。脚部82の外側面には円形の浅い窪み83が設けられており、その中央に穴84が開いている。そしてその穴84と同心状に円環部85が配置され、複数のスポーク86がその両端において円環部85の外周と穴84の内周とに一体的に繋がっている。以上の構成は第2及び第3の実施の形態と同様である。そして円環部85の中央には軸受け87が配置され、軸受け87と円環部85との間は、第1の実施形態で使用したようなエラストマーなどの、ゴム弾性を有する素材からなる緩衝部材88により満たされている。この実施の形態でもスポーク86と緩衝材88とを組合わせて使用し、それぞれの特性を生かして、振動吸収、騒音抑制、耐衝撃性、さらにサスペンション機能などにおいて良好な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るキャスターの分解斜視図である。
【図2】図1のキャスターの正面図である。
【図3】図1のキャスターの左側面図である。
【図4】図1のキャスターの右側面図である。
【図5】図2のA−A線での断面図である。
【図6】第1の実施形態の第1変形例に係るキャスターを示し、(イ)は正面図、(ロ)は右側面図である。
【図7】第1の実施形態の第2変形例に係るキャスターを示し、(イ)は正面図、(ロ)は右側面図である。
【図8】第2及び第3の実施形態を示す図で、イ)は正面図、(ロ)は(イ)のB−B線断面図である。
【図9】第4の実施形態を示す部分拡大正面図である。
【符号の説明】
【0027】
1:キャスター 3:キャスター本体 4:取付け部 6,7:脚部 8,9:穴 11、12:緩衝部材 15,16:軸受け 17:車輪 26:取付け板 27:ベアリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスター本体と、該キャスター本体に設けられた軸取付け部に取付けられる軸と、該軸の軸心周りに回転可能に取付けられる車輪とを備えたキャスターにおいて、前記軸が、該軸もしくは該軸を支承する軸受けの円周方向全周に亘って配設された、弾性変形可能な緩衝部材を介して、前記キャスター本体の取付け部に取付けられていることを特徴とする、キャスター。
【請求項2】
請求請1記載のキャスターにおいて、前記キャスター本体の軸取付け部は穴であり、前記緩衝部材は、前記軸もしくは前記軸受けの周方向全周に亘って前記穴の内周と前記軸もしくは軸受けの外周との間を埋めるように配置された、ゴム弾性を有する素材で形成されていることを特徴とする、キャスター。
【請求項3】
請求項1記載のキャスターにおいて、前記キャスター本体の軸取付け部は穴であり、前記軸は軸受けにより支承され、前記緩衝部材は、前記軸受けの外周全周に亘って所定の間隔で配置された、両端において前記穴の内周と前記軸受けの外周とに一体的につながる弾性変形可能な複数の連結体であることを特徴とする、キャスター。
【請求項4】
請求項3記載のキャスターにおいて、隣合う前記連結体と前記軸受けの外周と前記穴の内周とにより囲まれるスペースが、ゴム弾性を有する素材により満たされていることを特徴とする、キャスター。
【請求項5】
請求項3又は4記載のキャスターにおいて、前記連結体は、該連結体が前記軸受けの外周につながる位置を通る前記軸受けの直径に対して傾斜する方向に伸びていることを特徴とする、キャスター。
【請求項6】
請求項1記載のキャスターにおいて、前記キャスターの軸取付け部は穴であり、前記軸もしくは軸受けはその外周全周にわたってゴム弾性を有する素材からなる第1の緩衝部材により囲繞され、前記キャスターはさらに、前記第1の緩衝部材の外周を囲繞する円環部と、該円環部の外周全周に亘って所定の間隔で配置され、両端において前記穴の内周と前記円環部の外周とに一体的につながる弾性変形可能な複数の連結体からなる第2の緩衝部材とを備えることを特徴とする、キャスター。
【請求項7】
請求項6記載のキャスターにおいて、前記連結体は、該連結体が前記円環部外周につながる位置を通る前記円環部の直径に対して傾斜する方向に伸びていることを特徴とする、キャスター。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1に記載のキャスターにおいて、前記キャスター本体は、互いに平行に配置された一対の脚部を備え、前記軸はその両端をそれぞれ前記一対の脚部に取付けられ、前記車輪は前記一対の脚部の間に配置されることを特徴とする、キャスター。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1に記載のキャスターにおいて、前記キャスター本体は、1つの脚部を備え、前記軸は前記脚部を貫いて伸び、該軸の両端にそれぞれ車輪が装着されることを特徴とする、キャスター。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1に記載のキャスターにおいて、該キャスターは、該キャスターをスーツケースなどに取付けるための取付け部材を備え、前記キャスター本体は、該取付け部材に取付けられる取付け部と、前記軸取付け部を備えた本体とに分割され、前記取付け部と本体とに間に、ゴム弾性を有する素材で構成された第3の緩衝部材が配置されていることを特徴とする、キャスター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−254565(P2008−254565A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−98396(P2007−98396)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(399070044)株式会社ヤマニ (7)