説明

キャスタ付支持脚装置

【課題】支持脚の一部をアジャスタとして機能させながらも、装置全体の大型化、及びキャスタの旋回半径の増大を抑制することが可能なキャスタ付支持脚装置を提供する。
【解決手段】ハウジング3から垂下された支持脚本体4と、支持脚本体4に回転可能に外嵌された筒体32を有するキャスタ5と、上昇位置と下降位置との間で回動可能なペダル6と、ペダル6の底面から突出する突出片47と、車輪34を浮かせて重量物の移動を阻止するストッパ部材8と、ストッパ部材8の上面から延設され開口部27aを通して支持脚本体4内に挿入された支持棒材60と、ストッパ部材8及び支持棒材60をペダル6の回動に従って昇降させる連結部材61と、支持棒材60の周囲に配置され連結部材61の底面を上方に付勢するスプリング62と、支持棒材60の先端側周面に形成された雄ネジ部64と、連結部材61に形成され雄ネジ部64が螺合する雌ネジ部65とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャスタ付支持脚装置に関し、特に、重量物の支持脚として機能し、重量物を任意の方向に移動させることを可能にするキャスタと、ペダルの踏み込み操作によって重量物の移動を阻止するストッパ部材とを備えたキャスタ付支持脚装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テーブルや工作機械等の重量物には、支持脚にキャスタが取付けられており、容易に移動させ得るようになっている。また、重量物を任意の場所で固定できるように、ストッパを備えたものもある。この種の支持脚装置の一例として特許文献1に示すものが提案されている。図7に基づき具体的に説明すると、この支持脚装置100は、重量物Wの下部に取付けられた台座101と、台座101から垂下された円筒状のシリンダ102と、シリンダ102に旋回可能に取付けられたキャスタ103とを備えている。このキャスタ103は、シリンダ102に対して回転可能に外嵌された筒体104と、筒体104の周面から外方向に延設された延設部105と、延設部105に軸支された車輪106とから構成されており、シリンダ102の軸心が旋回軸となるように車輪106を旋回可能に取付けることで、車輪106の転動方向を容易に変化させ、任意の方向に移動させることが可能になっている。また、この支持脚装置100には、シリンダ102の内部に昇降可能に嵌入された固定用支持脚107と、固定用支持脚107を上方に付勢するスプリング108と、固定用支持脚107に連結され踏み込み操作されることで固定用支持脚107をスプリング108に抗して下方に移動させるペダル109(固定用レバー)とを備えており、ペダル109を踏み込むと、固定用支持脚107の下端が車輪106の接地部分A(下端)よりも下側に移動することで、車輪106を設置面Sから浮かしてキャスタ103による移動を阻止するようになっている。なお、ペダル109には、係合部(図示しない)が設けられており、ペダル109を踏み込んだ位置(下降位置)で係止すること、及びその係止状態を解除することが可能になっている。
【0003】
ところで、上記の構成を採用した場合、固定用支持脚107はペダル109に連結されており、ペダル109の下降位置は常に一定となるため、仮に、固定用支持脚107を単なる棒状のピストンで構成したとすると、下降位置における固定用支持脚107の下端の位置は常に一定となり、重量物Wが設置される設置面Sの状態(例えば傾斜や段差)に対応することができなくなる。そこで、特許文献1に示すものでは、ピストン112の下端部に雌ネジ部110を有するとともに、その雌ネジ部110に雄ネジ棒111を螺合させることで固定用支持脚107全体の長さを調節可能としている。つまり、ピストン112に対して雄ネジ棒111を回すことによって、ピストン112から下方に突出する雄ネジ棒111の突出量を変化させるものである。
【0004】
【特許文献1】特開平9−329293号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の支持脚装置100によれば、シリンダ102における径方向の大きさが増大し、装置全体が大型化するとともに、キャスタ103の旋回半径の増大により、重量物の移動方向を小さな回転半径で変化させることが困難になっていた。
【0006】
詳しく説明すると、ピストン112の下端部に雄ネジ棒111が螺合され、この雄ネジ棒111によって重量物Wを支えることから、重量物Wによる荷重を考慮してある程度大きな径の雄ネジ棒111を採用しなければならず、それを支えるピストン112の径を大きくする必要があった。このように、シリンダ102の内部には、中心から遠心方向に向って、雄ネジ棒111、ピストン112、及びスプリング108が順に配設され、しかも雄ネジ棒111及びピストン112における径方向の大きさが大きくなることから、シリンダ102の外径がかなり大きくなり、ひいてはキャスタ103の旋回半径が大きくなっていた。
【0007】
なお、ピストン112を上方に付勢するためのスプリング108を、ピストン112と直列に配置することも考えられるが、雄ネジ棒111はピストン112に形成された雌ネジ部110のみによって立設状態に支持されるため、雌ネジ部110の長さ、ひいてはピストン112の長さを比較的長く形成しなければならず、スプリング108を、ピストン112と直列に配置することは極めて困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、支持脚の一部をアジャスタとして機能させながらも、装置全体の大型化、及びキャスタの旋回半径の増大を抑制することが可能なキャスタ付支持脚装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかるキャスタ付支持脚装置は、「重量物の脚台に装着されるハウジングと、
該ハウジングから下方に垂設され、内部に収容空間を有する有底略円筒状の支持脚本体と、
軸心方向が鉛直方向になるように前記支持脚本体に対し回転可能に外嵌された筒体、該筒体の外周面から外方向に延設された延設部、及び該延設部に軸支された車輪、を備えて構成されるキャスタと、
一端側に設けられた軸部を中心として前記ハウジングに対し回動可能に支持され、前記ハウジングから跳ね上がった状態となる上昇位置と前記ハウジング側に踏み込まれた状態となる下降位置との間で変位可能なペダルと、
該ペダルの底面に形成され、前記支持脚本体の前記収容空間に向って突出する突出片と、
前記ペダルが前記上昇位置から前記下降位置側に踏み込まれると、前記ペダルに設けられた被係止部が前記ハウジングに設けられた係止部に係止されることで前記ペダルを前記下降位置に保持し、前記ペダルが前記下降位置から再度踏み込まれると、前記係止部に対する前記被係止部の係止状態が解除され、前記ペダルを前記上昇位置に変位させることが可能になるロック装置と、
前記支持脚本体の下方に配設され、底面が前記車輪の接地部分よりも高くなることにより前記車輪による前記重量物の移動を可能にし、前記底面が前記車輪の接地部分よりも低くなることにより前記車輪を浮かせて前記重量物の移動を阻止するストッパ部材と、
該ストッパ部材の上面から鉛直方向に延設されるとともに、前記支持脚本体の底面に形成された開口部を通して前記収容空間に挿入された略棒状の支持棒材と、
該支持棒材の上端側に連結されるとともに、上面が前記突出片の下端に当接して配置され、前記ストッパ部材及び前記支持棒材を前記ペダルの回動に従って昇降させる連結部材と、
前記収容空間における前記支持棒材の周囲に配置され、前記連結部材の底面を上方に付勢するスプリングと、
前記支持棒材の少なくとも先端側周面に形成された雄ネジ部と、
前記連結部材に穿設された孔部内に形成され、前記雄ネジ部に螺合可能な雌ネジ部と
を具備する」ことを特徴とするものである。
【0010】
ここで、「重量物」としては、テーブル、イス、ロッカー、またはテレビ台等の家具、あるいはコンベア、工作機械、台車等を例示することができる。また、「脚台」とは、キャスタ付支持脚装置を取付けるためのベース部材であり、重量物と一体に形成してもよく、別部材で構成し重量物の底面に取付けるようにしてもよい。また、「脚台」の形状は特に限定されるものではないが、板状、ブロック状、または水平方向に延びる筒状等の形状を例示することができる。
【0011】
また、「有底略円筒状」とは、略円筒状で且つ底面に壁を有する形状であり、底面の中心に開口を有するものも含まれる。また、「キャスタの車輪」は一輪で構成してもよく、一対の車輪を並設して構成してもよい。また、「突出片」はペダルと一体に成形してもよく、別部材で構成し組付けるようにしてもよい。また、「ロック装置」における「被係止部及び係止部」の構成としては特に限定されるものではないが、ペダルの昇降に応じて変位するロックピンと、ロックピンの変位方向を案内するとともに下降位置でロックピンを係止するガイド溝とから構成することもできる。
【0012】
また、「車輪の接地部分」とは、重量物の設置面に接する車輪の外周面である。つまり、車輪の下端に相当する部分である。また、「ストッパ部材」及び「支持棒材」の材質は特に限定されるものではないが、ストッパ部材は設置面に対しての摩擦抵抗が大きくなるようゴムまたは樹脂で形成することが好ましく、支持棒材は重量物による荷重を考慮して金属製とすることが好ましい。なお、この場合、金属製の支持棒材をインサート成形によってストッパ部材と一体に成形するようにしてもよい。
【0013】
本発明のキャスタ付支持脚装置によれば、重量物に対して三つの作用、すなわち(1)重量物の移動を容易にさせる作用、(2)重量物を任意の場所で支持する作用、(3)重量物の高さ(支持脚の長さ)を変化させる作用、を生じさせることが可能である。以下、詳細に説明する。
【0014】
(1)重量物の移動を容易にさせる構成及びその作用
ハウジングが重量物の脚台に装着され、そのハウジングから下方に支持脚本体が垂設されている。そして、支持脚本体には車輪を有するキャスタが取付けられているため、車輪を設置面上で転動させることにより、重量物を容易に移動させることが可能になる。なお、この際、ペダルは上昇位置にあり、連結部材はスプリングの付勢力によって上方に移動している。そして、連結部材に連結された支持棒材及びストッパ部材も上方に位置し、ストッパ部材の底面が車輪の接地部分よりも高くなっている。したがって、ストッパ部材を接地させることなく、キャスタによって重量物を移動させることが可能になる。
【0015】
また、キャスタは、支持脚本体に対し回転可能に外嵌された筒体と、筒体の外周面から延設され車輪を支持する延設部とを備えて構成されている。このため、支持脚本体の中心軸を軸心として、延設部及び車輪を旋回させることが可能になり、車輪の転動方向を容易に変化させ、重量物を任意の方向に移動させることが可能になる。
【0016】
特に本発明では、支持脚本体における径方向の長さを比較的小さくすることが可能であり、これによれば、キャスタの旋回半径を小さくし、重量物の移動方向を小さな回転半径で変化させることが可能になる。詳しく説明すると、本発明の支持棒材は、支持脚本体の収容空間に挿入され、その上端側は連結部材によって支持され、下端側(ストッパ部材側)は支持脚本体の底面に穿設された開口部によって支持されている。このため、従来の装置で必要とされていた「長尺のピストン」を用いることなく、支持棒材を立設状態で保持することが可能となり、ピストンの周囲に配置されていたスプリングを支持棒材の周囲の空間に配置し連結部材の底面を付勢することが可能になる。したがって、この構成を採用すれば、連結部材とスプリングとが直列状態に配置され、支持脚本体の径を比較的小さくすることができ、ひいてはキャスタの旋回半径を小さくすることが可能になる。
【0017】
(2)重量物を任意の場所で支持する構成及びその作用
ペダルがハウジングに対して回動可能に支持されているため、ペダルを踏み込むと、ペダルは上昇位置から下降位置に変化する。そして、この際、ロック装置を構成するペダル側の被係止部がハウジング側の係止部に係止されるため、ペダルは下降位置で保持される。この状態では、ペダルの底面に形成された突出片が連結部材の上面を押圧するので、連結部材はスプリングの付勢力に抗して下方に移動する。すると、連結部材に連結された支持棒材及びその下端に接続されたストッパ部材も下降し、ストッパ部材の底面が車輪の接地部分よりも低くなる。これによれば、ストッパ部材の底面が設置面に接し、キャスタの車輪が設置面から浮いた状態となるため、車輪の転動が阻止され、重量物を安定した状態で支持することが可能になる。なお、この状態からペダルを再び踏み込むと、被係止部の係止状態が解除され、連結部材及びペダルはスプリングの付勢力によって上昇することになり、ストッパ部材の底面が車輪の接地部分よりも高くなる。すなわち、車輪が設置面に接し重量物を容易に移動させることが可能になる。
【0018】
(3)重量物の高さ(支持脚の長さ)を変化させる構成とその作用
連結部材の孔部には雌ネジ部が形成されている。一方、支持棒材には、先端側周面に雄ネジ部が形成され、雌ネジ部に対して螺合されている。このため、ペダルを下降位置に位置させた状態(すなわちストッパ部材の底面を車輪よりも低くした状態)で、支持棒材の軸心を中心としてストッパ部材を回転させると、連結部材に対し支持棒材が回転し、雄ネジ部と雌ネジ部との関係により支持脚本体の底面からの支持棒材の突出長さが変化する。つまり、ストッパ部材の回転操作によって支持脚全体の長さを調節することが可能になる。
【0019】
ところで、本発明のキャスタ付支持脚装置において、「前記連結部材の少なくとも一部は、前記収容空間に遊嵌状態で挿入されており、
前記突出片は、前記ペダルが前記下降位置のときには、前記連結部材の略中心位置に相当する部分を鉛直下方向に押圧し、一方前記ペダルが前記上昇位置のときには、前記中心位置から離れた部分を斜め下方向に押圧するように、前記連結部材の上面に接している」構成とすることができる。
【0020】
これによれば、ペダルが下降位置のとき(すなわちストッパ部材の底面が車輪よりも低くなり設置面に接地した状態のとき)には、ペダルに形成された突出片は、連結部材の略中心位置に相当する部分を鉛直下方向に押圧する。これにより、連結部材には、鉛直下方向にまっすぐ圧力が加えられ、連結部材は傾くことなく支持される。このため、連結部材の雌ネジ部は、支持棒材の軸心方向に沿って真直ぐ配置されることになり、支持棒材の雄ネジ部を雌ネジ部に滑らかに螺合させることが可能になる。したがって、重力物を少し持ち上げ、ストッパ部材を浮かした状態とすれば、比較的軽い操作力でストッパ部材を回転操作することができる。なお、ストッパ部材が設置面に接地された状態では、重力物が振動してもストッパ部材が自然に回転するようなことはないため、重量物の高さを調節された高さに保持することができる。
【0021】
一方、ペダルが上昇位置のとき(すなわち車輪が接地しストッパ部材が浮いた状態のとき)には、ペダルに形成された突出片は、中心位置から離れた部分を斜め下方向に押圧する。これにより、連結部材には斜め下方に向って圧力が加えられることになるが、連結部材の下部側構成部は収容空間に遊嵌状態で挿入されているため、連結部材は僅かに傾いた状態で支持される。これに対し支持棒材は、下部側における水平方向への動きが支持脚本体の底面によって規制されているため、連結部材に対して逆向きに傾くように力を受けることになる。このため、連結部材の雌ネジ部は支持棒材の軸心方向に対して傾いた状態となり、雌ネジ部と雄ネジ部との間の摺動抵抗が大きくなる。すなわち、連結部材に対してストッパ部材及び支持棒材を回転させるには比較的大きな力が必要となる。したがって、例えば重量物の移動中に支持棒材に振動が加わっても支持棒材が自然に回転してしまうことを抑制でき、移動後、重量物の高さを変えることなく設置させることが可能になる。
【0022】
また、本発明のキャスタ付支持脚装置において、「前記連結部材は、前記支持脚本体の前記収容空間に挿入された下部側構成部と、前記支持脚本体の上方に配置され前記下部側構成部よりも断面積の大きな上部側構成部とからなり、正面視略T字形の形状を呈している」構成とすることができる。
【0023】
ところで、ペダルを上昇位置から下降位置側に踏み込んだ際、ペダルに形成された突出片は連結部材の上面を押圧することになるが、ペダルは一端側を軸として回動するのに対し連結部材は鉛直下方向に直線運動するため、突出片の下端は連結部材の上面に対して水平方向に摺動することになる。このため、支持脚本体の内径を小さくするために連結部材の断面積を小さくすると、突出片の下端が連結部材の上面から逸脱したり、円滑に摺動させることが困難になったりする虞がある。
【0024】
これに対し、本願発明では、連結部材の一部である上部側構成部が下部側構成部よりも断面積が大きくなっている(すなわち正面視が略T字形の形状となっている)ため、突出片の下端を受け止める部分の面積を十分な広さとすることができ、ペダルの回動を連結部材の直線運動へと円滑に変換することが可能になる。しかも、下部側構成部のみが支持脚本体の収容空間に挿入され、上部側構成部は支持脚本体の上方(すなわち収容空間の外)に配置されているため、支持脚本体の内径を大きくすることなく、連結部材を収容空間の内周面に沿って案内することが可能になる。
【発明の効果】
【0025】
支持脚本体における径方向の大きさを比較的小さくすることができ、装置全体の大型化を抑制するとともに、重量物の移動方向を小さな回転半径で変化させることが可能になる。したがって、重量物を移動させる際の作業性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態であるキャスタ付支持脚装置(以下、単に「支持脚装置」という)について、図1乃至図6に基づき説明する。図1は脚台に装着された支持脚装置の構成を示す斜視図であり、図2は脚台から支持脚装置を取外した状態を示す斜視図であり、図3は支持脚装置の構成を示す分解斜視図である。また、図4は支持脚装置における幅方向の縦断面図、図5は前後方向の縦断面図であり、図6はアジャスタ機構部の作用を示す説明図である。
【0027】
本例の支持脚装置1は、テーブル等の重量物(図示しない)の支持脚として設けられることで重量物を容易に移動させ得るものであり、図1及び図2に示すように、重量物の下部に設けられた脚台2に装着されるようになっている。なお、脚台2の構成は特に限定されるものではないが、本例では断面が略台形である筒状の部材を水平方向に配設したものが用いられている。この脚台2には、支持脚装置1を挿入させるための挿入口15が左右両端に設けられるとともに、この挿入口15に連通する上面切欠16及び下面切欠17が夫々、脚台2の上面及び下面に形成されている。なお、支持脚装置1が脚台2に装着された状態では、ペダル6(詳細は後述する)が上面切欠16を通して上方に突出し、支持脚本体4(詳細は後述する)が下面切欠17を通して下方に突出するようになっている。
【0028】
支持脚装置1は、図2及び図3に示すように、脚台2に差し込まれるハウジング3と、ハウジング3から下方に垂設された支持脚本体4と、設置面に対して転動するとともに支持脚本体4を中心として旋回可能なキャスタ5と、ハウジング3に対して回動可能に取付けられたペダル6と、ペダル6を上昇位置及び下降位置で保持するロック装置7と、設置面に接することでキャスタ5を浮かした状態に保持するストッパ部材8と、ペダル6の操作に応じてストッパ部材8を昇降させる昇降装置9と、ストッパ部材8の突出長さを調節可能とするアジャスタ機構部10と、を主な構成として具備している。以下、各構成について詳細に説明する。
【0029】
ハウジング3は、図3及び図4(a)に示すように、底板部20と、底板部20における幅方向の左右両縁付近から立設された一対の側壁部21と、底板部20の後縁から立設された後壁部22とを備えて構成されており、前面及び上面が開放された箱状の形状を呈している。また、両側壁部21の先端部分には、側面視が略三角形状である軸受壁部23が一体に形成されており、一対の軸受壁部23によって、後述するペダル6の支持部42を回動可能に支持している。なお、互いに対峙する一対の側壁部21の外寸は、脚台2(図2参照)の幅方向内寸よりも僅かに短くなっており、脚台2の挿入口15から脚台2内に挿入することが可能となっているが、一対の軸受壁部23の外寸は、脚台2の内寸よりも大きくなっており、ハウジング3を脚台2に装着した際、脚台2の挿入口15から外部に突出するようになっている(図1参照)。これにより、脚台2における挿入口15の端面が軸受壁部23によって覆われ、意匠性が高められている。
【0030】
また、ハウジング3の内部は、前側空間24と後側空間25とに大別されており、前側空間24には昇降装置9及びアジャスタ機構部10が配設され、後側空間25にはロック装置7が配設されている。また、前側空間24では、側壁部21の内側に、互いに対峙する一対のガイド壁部26が一体的に形成されており、当該ガイド壁部26によって連結部材61(後述する)の移動方向を規制している(図5(a)参照)。
【0031】
図4(a)に示すように、支持脚本体4は、ハウジング3の底板部20と一体に成形されており、内部に収容空間27を有する有底略円筒形状の外観を呈している。つまり、底面に底部31が形成されるとともに、内部には上面が開放された円柱状の収容空間27を有している。なお、底部31の中心には、後述する支持棒材60が嵌挿される大きさの開口部27aが穿設されている。また、支持脚本体4の下部外周面には、環状の嵌合溝29が形成されている。
【0032】
一方、キャスタ5は、軸心方向が鉛直方向になるように支持脚本体4に対し回転可能に外嵌された略円筒状の筒体32と、筒体32の外周面から外方向(水平方向)に延出された延設部33と、延設部33に軸支された一対の車輪34と、を具備して構成されている。さらに詳しく説明すると、筒体32の内径は支持脚本体4の外径と略一致しており、筒体32下部側の内周面には、嵌合溝29内に挿入されることで筒体32における上下方向への移動を阻止する環状の嵌合突部35が形成されている。つまり、筒体32は、嵌合溝29と嵌合突部35との協働によって上下方向に移動することなく、支持脚本体4に対して回動可能に保持されている。なお、筒体32の上面は径大部30の下面に突き合わせられており、これにより重量物による荷重が嵌合突部35に対して集中的に加わることを抑制し、ひいては嵌合突部35の破損を防止することが可能となっている。また、延設部33には、一対の車輪34の回転軸36を軸支する軸受部37と、一対の車輪34及び軸受部37の上方を覆う半円弧状の上面覆い部38とが、一体的に形成されている。
【0033】
ペダル6は、樹脂製であり、使用者が足裏で踏み込み可能な踏込操作部41と、踏込操作部41の前側から斜め下方に折曲がった支持部42とを備えて構成されている。そして、支持部42の先端部分(下端部分)には、左右外方向に突出する回動軸43が設けられており、回動軸43が軸受壁部23に支持されることで、回動軸43を中心としてペダル6を所定範囲内で回動させることが可能になっている。具体的に、ペダル6は、図4(a)及び図5(a)に示すようにハウジング3から跳ね上がった状態となる上昇位置と、図4(b)及び図5(b)に示すようにハウジング3側に踏み込まれた状態となる下降位置との間で変位させることが可能になっている。なお、踏込操作部41の後部側上面には、踏み込みの際、足裏が滑らないように、細長い突条を前後方向に所定の間隔で並設してなる凹凸部44が形成されている。また、凹凸部44の下方に位置する踏込操作部41の底面には、後述するリンク部51の上端部を支持するための支持台46と、支持台46及びリンク部51を囲むように踏込操作部41の底面から下方に突出しリンク部51の可動範囲を規制する囲み部45が形成されている。
【0034】
さらに、ペダル6の中央底面には、支持脚本体4の収容空間27に向って突出する突出片47が形成されている。突出片47は、後述する連結部材61の上面68を押圧する部材であり、前後方向の厚み(図4(a)参照)を約5mmとし、幅方向の長さ(図5(b)参照)を約20mmとした直方体の形状を呈している。なお、突出片47の下端面である押圧面48は後端側が低くなるように傾斜している。
【0035】
ロック装置7は、ペダル6が上昇位置(図4(a)参照)から下降位置(図4(b)参照)側に向って踏み込まれると、ペダル6を下降位置に保持し、そのペダル6が下降位置から再度踏み込まれると保持状態を解除し、ペダル6を上昇位置に変位させることを可能にするものである。具体的に、ロック装置7は、ペダル6の支持台46に軸部50を介して揺動可能に支持されたリンク部51と、リンク部51の下端部分に設けられ左右方向に突出する係止ピン52と、係止ピン52の移動方向を案内する一対の案内部材54とから構成されている。一対の案内部材54は、図3に示すように、ハウジング3の後側空間25に左右対峙して配置され、揺動するリンク部51を両側から挟むように設けられている。案内部材54の外形は扁平な直方体形状となっているが、対向する内面には係止ピン52が挿入されるとともに係止ピン52の動きを規制する倒立「ハート形」のガイド溝53が形成されている。特に、このガイド溝53には、ペダル6が上昇位置の際に係止ピン52を係止する上昇位置係止部55(図4(a)参照)と、ペダル6が下降位置の際に係止ピン52を係止する下降位置係止部56(図4(b)参照)とが設けられている。換言すれば、係止ピン52と上昇位置係止部55との協働によってペダル6が上昇位置に保持され、係止ピン52と下降位置係止部56との協働によってペダル6が下降位置に保持されるようになっている。ここで、係止ピン52が本発明の被係止部に相当し、下降位置係止部56が本発明の係止部に相当する。
【0036】
一方、昇降装置9は、図4(b)に示すように、ストッパ部材8の上面から鉛直方向に延設された支持棒材60と、支持棒材60に連結されペダル6の動きを支持棒材60に伝達する連結部材61と、連結部材61を上方に付勢するスプリング62とから構成されている。また、アジャスタ機構部10は、連結部材61の内部に設けられたナット63と、支持棒材60の上部に形成された雄ネジ部64とから構成されている。
【0037】
さらに詳しく説明すると、支持棒材60は金属製の円柱部材であり、支持脚本体4の底部31に穿設された開口部27aを通して収容空間27に挿入されている。また、支持棒材60の上部側の周面には雄ネジ部64が形成されており、連結部材61の内部に設けられたナット63の雌ネジ部65に螺合することによって連結部材61に連結されている。
【0038】
連結部材61は、図4(b)に示すように、支持棒材60の上端側に連結されるとともに、上面68が突出片47の押圧面48に当接して配置されており、ストッパ部材8及び支持棒材60をペダル6の回動に従って昇降させることが可能になっている。また、連結部材61は、樹脂で形成されており、上下方向に貫通する孔部69を有するとともに、下端部分にナット63がインサート成形されている。また、連結部材61は支持脚本体4の収容空間27に挿入される下部側構成部66と、支持脚本体4の上方に配置され下部側構成部66よりも断面積の大きな上部側構成部67とからなり、正面視が略T字形の形状を呈している。なお、図3に示すように、下部側構成部66は円筒状であり、上部側構成部67は中央に透孔を有する略正方形の板状に形成されている。
【0039】
スプリング62は、コイル状のバネからなり、支持脚本体4の収容空間27における、支持棒材60の周囲に配置され、下端が支持脚本体4の底部31に当接し上端が連結部材61の底面に当接することで、連結部材61の底面を上方に付勢している。
【0040】
次に、本例の支持脚装置1の作用について説明する。
まず、重量物を移動させる際には、図4(a)及び図5(a)に示すように、ペダル6を上昇位置で保持させる。つまり、係止ピン52とガイド溝53の下降位置係止部56との係合状態を解消させることにより、スプリング62の付勢力によってペダル6を跳ね上げた状態とする。なお、この場合、係止ピン52が上昇位置係止部55に係合することでペダル6は上昇位置で保持されることになる。
【0041】
この状態では、連結部材61が上昇するとともに、連結部材61に連結された支持棒材60及びストッパ部材8も上方に位置し、ストッパ部材8の底面が車輪34の接地部分Aよりも高くなる。したがって、ストッパ部材8を接地させることなく、キャスタ5によって重量物を移動させることが可能になる。
【0042】
また、キャスタ5は、支持脚本体4に対し回転可能に外嵌された筒体32と、筒体32の外周面から延設され車輪34を支持する延設部33とを備えて構成されているため、支持脚本体4の中心軸を軸心として、延設部33及び車輪34を旋回させることが可能になり、車輪34の転動方向を容易に変化させ、重量物を任意の方向に移動させることが可能になる。特に本例では、支持脚本体4における径方向の長さを比較的小さくすることが可能であり、これによれば、キャスタ5の旋回半径を小さくし、重量物の移動方向を小さな回転半径で変化させることが可能になる。なぜなら、図4(b)に示すように、本例の支持棒材60は、支持脚本体4の収容空間27に挿入され、その上端側は連結部材61によって支持され、下端側は底部31に穿設された開口部27aによって支持されていることから、従来の装置で必要とされていた「長尺のピストン」を用いることなく、支持棒材60を立設状態で保持することが可能になるためである。つまり、ピストンの周囲に配置されていたスプリング62を支持棒材60の周囲の空間に配置し連結部材61の底面を付勢することが可能になるためである。そして、このように連結部材61とスプリング62とを直列状態に配置することにより、支持脚本体4の内径を比較的小さくすることができ、ひいてはキャスタ5の旋回半径を小さくすることが可能になる。
【0043】
一方、重量物を任意の場所で固定させる際には、ペダル6を足で踏み込み、図4(b)及び図5(b)に示すように、ペダル6を上昇位置から下降位置側に変化させる。すると、係止ピン52がガイド溝53に沿って移動し下降位置係止部56と係合するようになる。この状態では、ペダル6から足を離しても、係止ピン52と下降位置係止部56との係合によってペダル6は下降位置に保持される。また、この際、ペダル6の底面に形成された突出片47が連結部材61の上面68を押圧するので、連結部材61はスプリング62の付勢力に抗して下方に移動する。すると、連結部材61に連結された支持棒材60及びその下端に接続されたストッパ部材8も下降し、ストッパ部材8の底面が車輪34の接地部分Aよりも低くなる。つまり、ストッパ部材8の底面が設置面Sに接し、キャスタ5の車輪34が設置面Sから浮いた状態となる。これにより、車輪34の転動が阻止され、重量物を安定した状態で支持することが可能になる。なお、この状態からペダル6を再び踏み込むと、係止ピン52と下降位置係止部56との係合状態が解除され、連結部材61及びペダル6をスプリング62の付勢力によって上昇させることが可能になる。つまり、ペダル6を踏み操作する毎に、ペダル6の保持位置が交互に切替えられ、ペダル6が上昇位置に保持された状態になるとキャスタ5の車輪34が設置面Sに接地されることで重量物を容易に移動させることが可能になり、一方、ペダル6が下降位置で保持された状態になるとストッパ部材8が接地し重量物が固定状態に支持される。
【0044】
一方、支持脚全体の長さを調節し重量物の高さを変化させる際には、ペダル6を下降位置に保持させた状態で、支持棒材60の軸心を中心としてストッパ部材8を回転させる。すると、図6に示すように、連結部材61内に設けられたナット63に対し支持棒材60が回転し、支持棒材60の雄ネジ部64とナット63の雌ネジ部65との関係により支持脚本体4の底面からの支持棒材60の突出長さが変化する。つまり、ストッパ部材8の回転操作によって支持脚全体の長さを調節することが可能になる。
【0045】
ところで、本例の支持脚装置1では、ペダル6が下降位置のとき、ペダル6に形成された突出片47は、連結部材61の略中心位置に相当する部分を鉛直下方向に押圧するようになっている(図4(b)参照)。このため、連結部材61には、鉛直下方向にまっすぐ圧力が加えられ、連結部材61は傾くことなく支持される。これにより、連結部材61のナット63は、支持棒材60の軸心方向に沿って真直ぐ配置されることになり、支持棒材60の雄ネジ部64をナット63の雌ネジ部65に滑らかに螺合させることが可能になる。したがって、重力物を少し持ち上げ、ストッパ部材8を浮かした状態とすれば、比較的軽い操作力でストッパ部材8を回転操作することが可能になる。なお、ストッパ部材8が設置面Sに接地された状態では、重力物が振動してもストッパ部材8が自然に回転してしまうことがないため、重量物の高さを調節された高さに保持することができる。
【0046】
一方、ペダル6が上昇位置のときには、ペダル6に形成された突出片47は、中心位置から離れた部分を斜め下方向に押圧するようになっている(図4(a)参照)ため、連結部材61には斜め下方に向って圧力が加えられることになる。しかも、連結部材61の下部側構成部66は収容空間27に遊嵌状態で挿入されているため、連結部材61は僅かに傾いた状態で支持されることになる。これに対し支持棒材60は、下部側における水平方向への動きが支持脚本体4の底面に形成された開口部27aによって規制されているため、連結部材61に対して逆向きに傾くように力を受けることになる。これにより、連結部材61のナット63は支持棒材60の軸心方向に対して傾いた状態となり、支持棒材60の雄ネジ部64とナット63の雌ネジ部65との間の摩擦が大きくなる。すなわち、連結部材61に対してストッパ部材8及び支持棒材60を回転させるのに比較的大きな力が必要となる。このため、例えば重量物の移動中に支持棒材60に振動が加わっても支持棒材60が自然に回転してしまうことを抑制できる。
【0047】
このように、本実施形態の支持脚装置1によれば、支持脚本体4における径方向の大きさを比較的小さくすることができ、装置全体の大型化を抑制するとともに、重量物の移動方向を小さな回転半径で変化させることができる。したがって、重量物を移動させる際の作業性を大幅に向上することが可能になる。
【0048】
また、本実施形態の支持脚装置1によれば、雌ネジ部65が金属製のナット63で構成されているため、連結部材61をプラスチック等で形成した場合でも、連結部位における強度を高めることが可能になる。特に、金属製のナット63が連結部材61の下端部分にインサート成形されているため、連結部材61の底面の強度が高められ、その部分にスプリング62の付勢力が集中的に加わっても、連結部材61の破損を抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態の支持脚装置1によれば、連結部材61の一部である上部側構成部67が下部側構成部66よりも断面積が大きくなっているため、突出片47の押圧面48を受ける部分の面積を十分な広さとすることができ、ペダル6の回動を連結部材61の直線運動へと円滑に変換することが可能になる。しかも、下部側構成部66のみが支持脚本体4の収容空間27に挿入され、上部側構成部67は支持脚本体4の上方(すなわち収容空間27の外)に配置されているため、支持脚本体4の内径を大きくすることなく、連結部材61を収容空間27の内周面に沿って案内することが可能になる。また、ハウジング3に形成された一対のガイド壁部26によって上部側構成部67における左右方向の動きを規制するため、連結部材61を一層円滑に昇降させることが可能になる。
【0050】
さらに、本実施形態の支持脚装置1によれば、ストッパ部材8を下降させた状態ではストッパ部材8を軽い操作力で回転させることができ、一方、ストッパ部材8を上昇させた状態では雄ネジ部64と雌ネジ部65との間の摩擦を大きくすることができるため、支持脚の長さを調節する際の作業性を高めることができるとともに、支持脚の長さが自然に変化してしまうことを防止することができる。
【0051】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0052】
すなわち、上記実施形態では、支持脚本体4とハウジング3とを樹脂で一体に形成するものを示したが、夫々別々の部材で構成し組付けるようにしてもよい。また突出片47をペダル6の底面に一体成形するものを示したが、突出片47とは別の部材で形成し組付けるようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、連結部材61の下部にナット63をインサート成形するものを示したが、孔部69の内周面に雌ネジ部を形成するようにしてもよい。
【0054】
さらに、上記実施形態では、支持棒材60の上端部分に対して雄ネジ部64を形成するものを示したが、支持棒材60の外周面全体に雄ネジ部を形成するようにしてもよい。但し、上記実施形態のように雄ネジ部64を支持棒材60の上端部分のみとし、他の部分は丸棒状に形成するようにすれば、支持棒材60の丸棒状の部分(すなわち連結部材61の内部に挿入されない部分)を比較的太く形成することができ、支持棒材60の強度をさらに高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】脚台に装着されたキャスタ付支持脚装置の構成を示す斜視図である。
【図2】脚台からキャスタ付支持脚装置を取外した状態を示す斜視図である。
【図3】キャスタ付支持脚装置の構成を示す分解斜視図である。
【図4】キャスタ付支持脚装置における幅方向の縦断面図であり、(a)はキャスタによって移動可能である状態を示し、(b)はストッパ部材によって固定された状態を示す。
【図5】キャスタ付支持脚装置における前後方向の縦断面図であり、(a)は移動可能な状態を示し、(b)は固定された状態を示す。
【図6】キャスタ付支持脚装置におけるアジャスタ機構部の作用を示す説明図である。
【図7】従来の支持脚装置の概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1 キャスタ付支持脚装置
2 脚台
3 ハウジング
4 支持脚本体
5 キャスタ
6 ペダル
7 ロック装置
8 ストッパ部材
27 収容空間
27a 開口部
32 筒体
33 延設部
34 車輪
47 突出片
52 係止ピン(被係止部)
56 下降位置係止部(係止部)
60 支持棒材
61 連結部材
62 スプリング
64 雄ネジ部
65 雌ネジ部
66 下部側構成部
67 上部側構成部
68 上面
69 孔部
A 接地部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量物の脚台に装着されるハウジングと、
該ハウジングから下方に垂設され、内部に収容空間を有する有底略円筒状の支持脚本体と、
軸心方向が鉛直方向になるように前記支持脚本体に対し回転可能に外嵌された筒体、該筒体の外周面から外方向に延設された延設部、及び該延設部に軸支された車輪、を備えて構成されるキャスタと、
一端側に設けられた軸部を中心として前記ハウジングに対し回動可能に支持され、前記ハウジングから跳ね上がった状態となる上昇位置と前記ハウジング側に踏み込まれた状態となる下降位置との間で変位可能なペダルと、
該ペダルの底面に形成され、前記支持脚本体の前記収容空間に向って突出する突出片と、
前記ペダルが前記上昇位置から前記下降位置側に踏み込まれると、前記ペダルに設けられた被係止部が前記ハウジングに設けられた係止部に係止されることで前記ペダルを前記下降位置に保持し、前記ペダルが前記下降位置から再度踏み込まれると、前記係止部に対する前記被係止部の係止状態が解除され、前記ペダルを前記上昇位置に変位させることが可能になるロック装置と、
前記支持脚本体の下方に配設され、底面が前記車輪の接地部分よりも高くなることにより前記車輪による前記重量物の移動を可能にし、前記底面が前記車輪の接地部分よりも低くなることにより前記車輪を浮かせて前記重量物の移動を阻止するストッパ部材と、
該ストッパ部材の上面から鉛直方向に延設されるとともに、前記支持脚本体の底面に形成された開口部を通して前記収容空間に挿入された略棒状の支持棒材と、
該支持棒材の上端側に連結されるとともに、上面が前記突出片の下端に当接して配置され、前記ストッパ部材及び前記支持棒材を前記ペダルの回動に従って昇降させる連結部材と、
前記収容空間における前記支持棒材の周囲に配置され、前記連結部材の底面を上方に付勢するスプリングと、
前記支持棒材の少なくとも先端側周面に形成された雄ネジ部と、
前記連結部材に穿設された孔部内に形成され、前記雄ネジ部に螺合可能な雌ネジ部と
を具備することを特徴とするキャスタ付支持脚装置。
【請求項2】
前記連結部材の少なくとも一部は、前記収容空間に遊嵌状態で挿入されており、
前記突出片は、前記ペダルが前記下降位置のときには、前記連結部材の略中心位置に相当する部分を鉛直下方向に押圧し、一方前記ペダルが前記上昇位置のときには、前記中心位置から離れた部分を斜め下方向に押圧するように、前記連結部材の上面に接している
ことを特徴とする請求項1に記載のキャスタ付支持脚装置。
【請求項3】
前記連結部材は、前記支持脚本体の前記収容空間に挿入された下部側構成部と、前記支持脚本体の上方に配置され前記下部側構成部よりも断面積の大きな上部側構成部とからなり、正面視略T字形の形状を呈していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャスタ付支持脚装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−76471(P2010−76471A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243707(P2008−243707)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(391034488)イビケン株式会社 (29)