説明

キャスタ及び搬送装置

【課題】 搬送体とキャスタの脱着作業を容易にする。
【解決手段】 搬送体102に固定されるキャスタ104を有し、搬送体102とキャスタ104の一方に設けられ固定孔部106が形成された板部108と、搬送体102とキャスタ104の他方に設けられ板部108を挿抜自在に受容し、板部108の両面にそれぞれ摺接し板部108の挿抜方向へ延びる一対の摺接部112及び各摺接部112を接続し板部108の挿入方向端部と当接する挿入規制部114を有する受容部110と、板部108と垂直な方向へ移動し固定孔部106に対して挿脱自在の軸部材116と、軸部材116を固定孔部106への挿入方向へ付勢する付勢部材118と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャスタ及び搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場内における物品の搬送には、搬送体の下部に複数のキャスタが固定された搬送装置が用いられる。この搬送装置としては、筐体状に形成された搬送体に搬送品が収容されるものや、荷台状に形成された搬送体に搬送品が載置されるものがある。
【0003】
キャスタは搬送体に対して、ボルト、ナット等の締結部品により締結固定される(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、キャスタの取付軸に螺合し搬送体の下面と当接する手回しナットを備え、手回しナットをばねにより搬送体へ付勢するよう構成した搬送装置が開示されている。
【特許文献1】実開平6−52583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記搬送装置では、キャスタと搬送体の脱着機構にボルト及びナットを用いているため、脱着に際してボルトまたはナットを回動させる必要があり、作業者は煩雑な作業を強いられることとなる。
また、作業者個人の感覚でボルトとナットを締結するので、締結トルクの管理をすることはできない。この結果、締結トルクが高い場合は、ボルトとナットの締結の解除が困難となり、作業者が無理に締結の解除を試みてボルトまたはナットを損傷してしまうことがあった。また、逆に締結トルクが低い場合は、搬送時に締結が解除されてキャスタが搬送体から外れるおそれがある。この問題点を解決すべく、締結時にトルクレンチ等を用いるようにすると、キャスタの取り付け作業はさらに煩雑となる。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、搬送体に対する脱着作業が容易なキャスタを提供するものである。また、搬送体とキャスタの脱着作業が容易な搬送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決する本発明では、搬送体に設けられた板部を挿抜自在に受容し、前記板部の両面に摺接し前記板部の挿抜方向へ延びる一対の摺接部と、各摺接部を接続し前記板部の挿入方向端部と当接する挿入規制部と、を有する受容部と、前記板部と垂直な方向へ移動し、前記板部に形成された固定孔部に対して挿脱自在の軸部材と、前記軸部材を前記固定孔部への挿入方向へ付勢する付勢部材と、を備えたことを特徴とするキャスタが提供される。
また、搬送体に固定されるキャスタを有し、前記搬送体と前記キャスタの一方に設けられ、固定孔部が形成された板部と、前記搬送体と前記キャスタの他方に設けられ、前記板部を挿抜自在に受容し、前記板部の両面にそれぞれ摺接し前記板部の挿抜方向へ延びる一対の摺接部と、各摺接部を接続し前記板部の挿入方向端部と当接する挿入規制部と、を有する受容部と、前記板部と垂直な方向へ移動し、前記固定孔部に対して挿脱自在の軸部材と、前記軸部材を前記固定孔部への挿入方向へ付勢する付勢部材と、を備えたことを特徴とする搬送装置が提供される。
【0007】
本発明によれば、このキャスタを搬送体へ取り付ける際には、予め付勢部材の付勢力に抗して軸部材を移動させておき、受容部内への板部の進入時に軸部材と板部とが干渉しないようにしておく。この状態で、受容部の各摺接部の隙間に搬送体の板部を挿入し、板部の両面を各摺接部に摺接させながら、板部が挿入規制部と当接するまで板部と受容部を相対的に移動させる。これにより、板部が受容部に対して所定の固定位置で位置決めされる。板部が位置決めされた状態で、軸部材を付勢部材の付勢力を利用して板部と垂直な方向へ移動させると、軸部材が板部の固定孔部へ挿入され、キャスタが搬送体に対して固定される。
【0008】
また、キャスタを搬送体から取り外す際には、付勢部材の付勢力に抗して軸部材を移動させて、軸部材を板部の固定孔部から抜脱し、板部と受容部とが相対的に移動可能な状態とする。この状態で、搬送体の板部を受容部に対して相対的に移動させ、板部を各摺接部から抜脱させることにより、キャスタが搬送体から分離する。
【0009】
このように、軸部材を付勢部材の付勢力に抗して板部と垂直な方向へ移動させることにより搬送体に対する固定及び固定解除を行うことができ、作業者は簡単容易にキャスタを搬送体に対して脱着することができる。また、脱着作業が単純であることから、作業者がキャスタの脱着作業に習熟せずとも、短時間で作業を行うことができる。
【0010】
また、搬送体に固定されるキャスタの換装を短時間で行うことができることから、搬送体の重量、接地する床面の状況等に応じて異なる仕様のキャスタに交換することができ、実用に際して極めて便利である。すなわち、従来は搬送体にキャスタを固定したまま使用していたところ、複数種類の搬送体及びキャスタについて互いに着脱可能とすると搬送体及びキャスタの運用性が向上する。
【0011】
また、キャスタを搬送体から取り外して搬送体及びキャスタを別個に収納することができる。これにより、キャスタが固定されたまま搬送体が床面から浮いた状態で収納する従来のものに比べ、各搬送体及び各キャスタを密着させて収納することができ、収納スペースを飛躍的に減じることができる。
【0012】
また、付勢部材の付勢力が一定であることから、キャスタと搬送体は安定的に固定される。すなわち、ボルト、ナット等の締結部材を用いたもののように、締結力のばらつきによりキャスタ側と搬送体側の固定解除が困難となったり、搬送中に固定が解除されるおそれはない。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明のキャスタによれば、搬送体に対する脱着作業が容易である。また、本発明の搬送装置によれば、搬送体とキャスタの脱着作業が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図面を参照しつつ、本発明による搬送装置の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は本発明の一実施形態を示す搬送装置の外観斜視図である。
図1に示すように、この搬送装置100は、搬送体102に固定されるキャスタ104を有する。また、搬送装置100は、搬送体102とキャスタ104の一方に設けられ固定孔部106が形成された板部108と、搬送体102とキャスタ104の他方に設けられ板部108を挿抜自在に受容する受容部110と、を備えている。受容部110は、板部108の両面にそれぞれ摺接し板部108の挿抜方向へ延びる一対の摺接部112と、各摺接部112を接続し板部108の挿入方向端部と当接する挿入規制部114と、を有する。また、搬送装置100は、板部108と垂直な方向へ移動し、固定孔部106に対して挿脱自在の軸部材116と、軸部材116を固定孔部106への挿入方向へ付勢する付勢部材(例えば、コイルばね118等)と、を備えている。
本実施形態においては、キャスタ104が、受容部110と、軸部材116と、付勢部材(例えば、コイルばね118等)と、を備えている。
【0016】
図1に示すように、搬送体102は、内部に搬送品が収容される筐体部120を有する。搬送体102の下部には、筐体部120の左右の側壁とそれぞれ連続的に形成された左右一対の側壁部122が形成される。各側壁部122はそれぞれ左右に両壁面を向け、筐体部120から下方へ突出して形成される。各側壁部122の下端には、左右内側へ延びる板部108がそれぞれ形成される。筐体部120と、各側壁部122と、板部108とは、前後方向寸法が同一となっている。
【0017】
図1に示すように、板部108は水平方向へ延び、前端側及び後端側に形成された固定孔部106を有する。すなわち、一の搬送装置100について、計4つの固定孔部106が搬送体102の角部に形成される。本実施形態においては、各固定孔部106は円形に形成されている。図2に示すように、各板部108の前端側及び後端側は、それぞれ水平方向へ延びるキャスタ104の各摺接部112に挟挿される。
【0018】
図3に示すように、各キャスタ104は、床面と接地する転動自在の車輪124と、この車輪124を軸支する軸支部126と、を有し、搬送体102の平面視における四隅に取り付けられる。軸支部126の上部に受容部110の下側の摺接部112が接続される。
【0019】
図1に示すように、受容部110の各摺接部112及び挿入規制部114はそれぞれ板部108と左右方向寸法がほぼ同じ板状に連続的に形成され、受容部110は板を屈曲した形状を呈する。すなわち、図3に示すように、挿入規制部114は、各摺接部112の前後方向一端を接続するように上下に延びている。
【0020】
また、図2に示すように、各摺接部112の左右外側の端部は、側壁部122の壁面と摺接する。本実施形態においては、図3に示すように、下側の摺接部112は上側の摺接部112よりも前後に長く形成され、下側の摺接部112の前後方向他端が上側の摺接部112に対して前後方向に突出している。
【0021】
また、図3に示すように、各摺接部112には、軸部材116が板部108の固定孔部106を挿通した状態で、軸部材116が挿通する挿通孔部128がそれぞれ形成される。各挿通孔部128は、固定孔部106とほぼ同径の円形に形成されている。
【0022】
図3に示すように、軸部材116は、受容部110に設けられたブラケット材130により、受容部110から離れた位置で移動自在に支持される。本実施形態においては、ブラケット材130は、左右方向に一定の寸法で形成され、上側の摺接部112の上面に固定される固定フランジ部132と、固定フランジ部132の前端から上方へ延びる上下延在部134と、上下延在部134の上端から水平方向へ延び軸部材116を摺接部112から上方へ離間した位置で支持する支持部136と、を有する。支持部136に軸部材116が挿通することにより、図4に示すように軸部材116が上下に移動自在となっている。
【0023】
図3に示すように、軸部材116には、付勢部材としてのコイルばね118が係止する。コイルばね118は、一端がブラケット材130に係止するとともに、他端が軸部材116に係止する。ここで、軸部材116は、下側部分138と上側部分140とで径を異にする円柱状に形成される。板部108の固定孔部106及び各摺接部112の挿通孔部128を挿通する下側部分138は、ブラケット材130の支持部136を挿通する上側部分140に比して大径に形成されている。
【0024】
図3に示すように、コイルばね118は、上側部分140を巻回し、下端が下側部分138と上側部分140の段部に当接する。また、コイルばね118の上端はブラケット材130の支持部136の下面に当接する。これにより、軸部材116にはコイルばね118から下方へ付勢力が加わることとなる。
【0025】
また、軸部材116における受容部110と反対側の端部にノブ142が形成される。本実施形態においては、受容部110と反対側の端部は上端部である。把持部としてのノブ142は水平な円盤状に形成されている。軸部材116の下端は面取りされ、軸部材116の最下方位置で軸支部126と当接する。
【0026】
以上のように構成された搬送装置100のキャスタ104は、筐体状の搬送体102と、上面に搬送品が載置される荷台状の搬送体202とで共用となっている。図5に示すように、この搬送体202は、前面及び後面を開口した平坦な箱状に形成される。この搬送体202は、一般的にパレットと呼ばれるものであり、通常は下面を床面に接地させている。搬送に際しては、フォークリフト等により懸架され、床面から離隔した状態となる。
【0027】
搬送体202においては、前述の搬送体102のように板部108を突出形成するわけでなく、箱状部分の下壁208が板部をなす。すなわち、図6に示すように、下壁208の四隅に固定孔部206が形成され、キャスタ104の各摺接部112で下壁208を挟装する。このとき、各摺接部112の左右外側端部は、側壁部をなす箱状部分の側壁222と摺接する。そして、図5に示すように、搬送体202の四隅にキャスタを取り付けると、フォークリフト等を用いることなく、搬送体202単独で移動可能となる。
【0028】
以上のように構成された搬送装置100におけるキャスタ104の筐体状の搬送体102に対する着脱作業について説明する。尚、キャスタ104の荷台状の搬送体202に対する着脱作業も同様である。
【0029】
まず、キャスタ104を搬送体102へ取り付ける際には、図4に示すように、予めコイルばね118の付勢力に抗して軸部材116を移動させておき、受容部110内への板部108の進入時に軸部材116と板部108とが干渉しないようにしておく。すなわち、作業者はノブ142を把持して軸部材116を上方へ移動させることにより、受容部110に板部108を進入可能な状態とすることができる。
【0030】
この状態で、図4に示すように、受容部110の各摺接部112の隙間に搬送体102の板部108を挿入し、板部108の両面を各摺接部112に摺接させながら、板部108が挿入規制部114と当接するまで板部108と受容部110を相対的に移動させる。これにより、板部108が受容部110に対して所定の固定位置で位置決めされる。
【0031】
すなわち、作業者は、キャスタ104を搬送体102に対して水平方向に移動させることにより、板部108の挿入及び板部108と受容部110の相対移動を行うことができる。このとき、板部108の挿入口をなす各摺接部112の前後方向他端がずらして形成されていることから、作業者は、板部108の下面を下側の摺接部112の上面に当接させ、そのままキャスタ104を搬送体102の内側へ押し込むことにより、板部108を各摺接部112の隙間に速やかに挿入することができる。
【0032】
そして、板部108と各摺接部112を相対移動させる際、これらが摺接することから板部108と各摺接部112は上下方向に相対的に位置決めされ、各摺接部112の左右外側の端部が側壁部122の壁面と摺接することから板部108と各摺接部112は左右方向に相対的に位置決めされる。この結果、板部108は前後方向、すなわち挿抜方向のみの相対移動が許容され、板部108と挿入規制部114が当接したところで前後方向にも相対的に位置決めされる。
【0033】
このように、板部108が位置決めされた状態で、作業者はノブ142を手放し、軸部材116をコイルばね118の付勢力を利用して板部108と垂直な方向へ移動させると、軸部材116が板部108の固定孔部106へ挿入され、キャスタ104が搬送体102に対して固定される(図3参照)。このとき、軸部材116の下部には面取り処理が施されているので、軸部材116は各挿通孔部128及び固定孔部106に滑らかに挿入される。また、板部108と各摺接部112の相対位置が正規の位置から僅かにずれていたとしても、軸部材116の挿通により板部108及び各摺接部112は自動的に正規の相対位置へ移動する。
【0034】
また、キャスタ104を搬送体102から取り外す際には、コイルばね118の付勢力に抗して軸部材116を移動させて、軸部材116を板部108の固定孔部106から抜脱し、板部108と受容部110とが相対的に移動可能な状態とする(図4参照)。この状態で、搬送体102の板部108を受容部110に対して相対的に移動させ、板部108を各摺接部112から抜脱させることにより、キャスタ104が搬送体102から分離する。
【0035】
このように、軸部材116をコイルばね118の付勢力に抗して板部108と垂直な方向へ移動させることにより、キャスタ104の搬送体102,202に対する固定及び固定解除を行うことができ、作業者は簡単容易にキャスタ104を搬送体102,202に対して脱着することができる。また、脱着作業が単純であることから、作業者がキャスタ104の脱着作業に習熟せずとも、短時間で作業を行うことができる。
【0036】
また、搬送体102,202に固定されるキャスタ104の換装を短時間で行うことができることから、搬送体102,202の重量、接地する床面の状況等に応じて異なる仕様のキャスタ104に交換することができ、実用に際して極めて便利である。すなわち、従来は搬送体102にキャスタ104を固定したまま使用していたところ、本実施形態のように複数種類の搬送体102,202及びキャスタ104について互いに着脱可能とすると搬送体102,202及びキャスタ104の運用性が向上する。
特に本実施形態においては、キャスタ104を筐体状の搬送体102と荷台状の搬送体202で共用としたので、搬送体202をフォークリフト等に搬送することが困難な狭い通路や、床面が荒れた通路などは、キャスタ104を搬送体202に取り付けて搬送品の搬送を行うことができる。
【0037】
また、キャスタ104を搬送体102,202から取り外して搬送体102,202及びキャスタ104を別個に収納することができる。これにより、キャスタ104が固定されたまま搬送体102が床面から浮いた状態で収納する従来のものに比べ、各搬送体102,202及び各キャスタ104を密着させて収納することができ、収納スペースを飛躍的に減じることができる。
【0038】
また、コイルばね118の付勢力が一定であることから、キャスタ104と搬送体102,202は安定的に固定される。すなわち、ボルト、ナット等の締結部材を用いたもののように、締結力のばらつきによりキャスタ104側と搬送体102,202側の固定解除が困難となったり、搬送中に固定が解除されるおそれはない。
【0039】
また、各摺接部112に軸部材116が挿通する挿通孔部128を形成したので、ブラケット材130における支持部136に加えて各摺接部112によっても軸部材116が案内されることとなる。本実施形態においては、ブラケット材130が受容部110から離隔した位置で軸部材116を支持しているので、軸部材116が比較的離隔した2箇所で支持されることとなり、軸部材116の精度を確保することができるし、軸部材116が安定的に移動する。
さらに、軸部材116が板部108と摺接部112の両方を挿通するので、板部108と摺接部112の最終的な位置決めを行うことができる。
【0040】
また、軸部材116の付勢を軸部材116を巻回するコイルばね118により行うようにしたので、付勢部材の設置スペースを小さくすることができる。本実施形態においては、軸部材116の下側部分138に比して径の小さな上側部分140にコイルばね118を巻回したので、下側部分138における軸部材116の強度を確保しつつ、軸部材116からコイルばね118の突出量を小さくすることができる。さらに、コイルばね118をブラケット材130を利用して係止するようにしたので、コイルばね118を規制する部品等を設ける必要がない。
【0041】
尚、前記実施形態においては、板部108を搬送体102に設け、受容部110をキャスタ104に設けたものを示したが、受容部110を搬送体102に設け、板部108をキャスタ104に設けてもよい。
また、前記実施形態においては、軸部材116をキャスタ104側に設けたものを示したが、軸部材116は搬送体102側に設けられていてもよい。
【0042】
また、前記実施形態においては、軸部材116の端部に形成されたノブ142を用いて軸部材116を移動させるものを示したが、例えば、軸部材116にリンク機構等を介して接続され回動移動するレバーにより軸部材116を移動させるようにしてもよい。すなわち、軸部材116が板部108に対して垂直に移動すればよく、把持部のような操作部が軸部材116とともに板部に対して垂直に移動する構成とする必要はない。
【0043】
また、前記実施形態においては、板部108の挿抜方向を前後方向とし、板部108及び各摺接部112が上下に板面を向くよう形成されたものを示したが、板部の挿抜方向を前後方向とし、板部及び各摺接部が左右に板面を向くよう形成してもよい。この場合も、キャスタにおいて車輪及び軸支部が下部中央に位置する構成が好ましい。さらには、板部108の挿抜方向を上下方向としてもよい。
【0044】
また、前記実施形態においては、各摺接部112が側壁部122と摺接するものを示したが、いずれか一方の摺接部112が側壁部122と摺接すれば、板部108と受容部110とが左右方向に位置決めされる。すなわち、少なくとも一方の摺接部112が側壁部122と摺接していればよい。また、側壁部122以外で位置決めを行うようにしてもよい。
【0045】
また、前記実施形態においては、軸部材116が上下にわたって断面円形の円柱状に形成されたものを示したが、例えば、図7に示すように、軸部材116の下部における板部108の挿入方向と反対側に、挿入方向へ向かって下るよう傾斜するテーパ部144を形成してもよい。
この場合、板部108が各摺接部112間に進入して軸部材116のテーパ部144と当接すると、図8に示すように板部108を挿入規制部114側へ押し込むことにより付勢力及び自重に抗して軸部材116が自動的に上方へ移動する。そして、板部108が所定の固定位置に到達して、軸部材116と固定孔部106が平面視で一致すると、軸部材116が付勢力及び自重により固定孔部106へ入り込む(図7参照)。従って、キャスタ104を搬送体102に取り付ける際に軸部材116を操作する必要はなく、キャスタ104を搬送体102から取り外すときにのみ軸部材116を操作することとなる。
【0046】
また、前記実施形態においては、付勢部材としてコイルばね18を用いたものを示したが、例えば、皿ばねや板ばねを用いて軸部材を付勢するようにしてもよい。また、ブラケット材130の形状は任意であるし、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態を示すキャスタと搬送体を分離した状態の搬送装置の外観斜視図である。
【図2】搬送装置の外観斜視図である。
【図3】キャスタの側面図である。
【図4】キャスタを搬送体に取り付ける動作を示す説明図である。
【図5】キャスタが取り付けられた状態を示す荷台状の搬送体の外観斜視図である。
【図6】キャスタと分離した状態を示す荷台状の搬送体の外観斜視図である。
【図7】変形例を示すキャスタの側面図である。
【図8】変形例を示すキャスタを搬送体に取り付ける動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0048】
100 搬送装置
102 搬送体
104 キャスタ
106 固定孔部
108 板部
110 受容部
112 摺接部
114 挿入規制部
116 軸部材
118 コイルばね
120 筐体部
122 側壁部
124 車輪
126 軸支部
128 挿通孔部
130 ブラケット材
132 固定フランジ部
134 上下延在部
136 支持部
138 下側部分
140 上側部分
142 ノブ
144 テーパ部
202 搬送体
206 固定孔部
208 下壁
222 側壁



【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送体に設けられた板部を挿抜自在に受容し、前記板部の両面にそれぞれ摺接し前記板部の挿抜方向へ延びる一対の摺接部と、各摺接部を接続し前記板部の挿入方向端部と当接する挿入規制部と、を有する受容部と、
前記板部と垂直な方向へ移動し、前記板部に形成された固定孔部に対して挿脱自在の軸部材と、
前記軸部材を前記固定孔部への挿入方向へ付勢する付勢部材と、を備えたことを特徴とするキャスタ。
【請求項2】
前記各摺接部は、それぞれ水平方向へ延び、それぞれ水平方向へ延びる前記板部と摺接することを特徴とする請求項1に記載のキャスタ。
【請求項3】
前記搬送体は左右に両壁面を向けた側壁部を有し、前記板部は前記側壁部に前後方向を前記挿抜方向として連続的に形成され、
前記各摺接部の少なくとも一方を、前記側壁部の壁面と摺接するよう構成したことを特徴とする請求項2に記載のキャスタ。
【請求項4】
前記各摺接部はそれぞれ板状に形成され、
前記各摺接部に、前記軸部材が挿通する挿通孔部を形成したことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のキャスタ。
【請求項5】
前記付勢部材は、前記軸部材を巻回するコイルばねであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のキャスタ。
【請求項6】
前記受容部から離れた位置で前記軸部材を移動自在に支持するブラケット材を該受容部に設け、
前記コイルばねの一端を前記ブラケット材に係止させるとともに、他端を前記軸部材に係止したことを特徴とする請求項5に記載のキャスタ。
【請求項7】
前記軸部材における前記受容部と反対側の端部に把持部を形成したことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のキャスタ。
【請求項8】
内部に搬送品が収容される筐体状の搬送体と、上面に搬送品が載置される荷台状の搬送体と、で共用としたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のキャスタ。
【請求項9】
搬送体に固定されるキャスタを有し、
前記搬送体と前記キャスタの一方に設けられ、固定孔部が形成された板部と、
前記搬送体と前記キャスタの他方に設けられ、前記板部を挿抜自在に受容し、前記板部の両面にそれぞれ摺接し前記板部の挿抜方向へ延びる一対の摺接部と、各摺接部を接続し前記板部の挿入方向端部と当接する挿入規制部と、を有する受容部と、
前記板部と垂直な方向へ移動し、前記固定孔部に対して挿脱自在の軸部材と、
前記軸部材を前記固定孔部への挿入方向へ付勢する付勢部材と、を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項10】
前記各摺接部は、それぞれ水平方向へ延び、それぞれ水平方向へ延びる前記板部と摺接することを特徴とする請求項9に記載の搬送装置。
【請求項11】
前記搬送体は左右に両壁面を向けた側壁部を有し、前記板部は前記側壁部に前後方向を前記挿抜方向として連続的に形成され、
前記各摺接部の少なくとも一方を、前記側壁部の壁面と摺接するよう構成したことを特徴とする請求項10に記載の搬送装置。
【請求項12】
前記各摺接部はそれぞれ板状に形成され、
前記各摺接部に、前記軸部材が挿通する挿通孔部を形成したことを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項13】
前記付勢部材は、前記軸部材を巻回するコイルばねであることを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項14】
前記受容部から離れた位置で前記軸部材を移動自在に支持するブラケット材を該受容部に設け、
前記コイルばねの一端を前記ブラケット材に係止させるとともに、他端を前記軸部材に係止したことを特徴とする請求項13に記載の搬送装置。
【請求項15】
前記軸部材における前記受容部と反対側の端部に把持部を形成したことを特徴とする請求項9から14のいずれか一項に記載の搬送装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−224707(P2006−224707A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37677(P2005−37677)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)