説明

キャップの分離供給装置

【課題】 キャップを供給元から落下させて搬送コンベアに供給するに際し、一群をなすキャップの各個を搬送コンベアの上で互いに離隔させることを簡易に実現すること。
【解決手段】 キャップ1を供給元10から落下させて搬送コンベア20に供給するキャップ1の分離供給装置40であって、供給元10から搬送コンベア20へのキャップ1の落下領域に複数の分離体41を設置し、各分離体41は、供給元10から落下して一群をなすキャップ1の各個が当たり、それらキャップ1の落下経路を搬送コンベア20の搬送幅方向に沿う左右に振り分け、それらキャップ1を搬送コンベア20の左右に分散させて互いに分離可能にするもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャップの分離供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の如く、キャップの供給装置として、キャップを供給ホッパや供給コンベアである供給元から落下させて搬送コンベアに供給し、搬送コンベアの上のキャップをロボットハンドによりピックアップして整列するものが考えられる。
【特許文献1】特開平6-298333
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のキャップの供給装置では、キャップを供給元から直に搬送コンベアに供給しており、供給元から落下して一群をなすキャップの各個が搬送コンベアの上で互いに重なったり、近接し易い。この場合には、1つのキャップをピックアップしようとするロボットハンドがそのピッキング位置で他のキャップと干渉し易く、キャップのピックアップを困難にする。
【0004】
本発明の課題は、キャップを供給元から落下させて搬送コンベアに供給するに際し、一群をなすキャップの各個を搬送コンベアの上で互いに離隔させることを簡易に実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、キャップを供給元から落下させて搬送コンベアに供給するキャップの分離供給装置であって、供給元から搬送コンベアへのキャップの落下領域に複数の分離体を設置し、各分離体は、供給元から落下して一群をなすキャップの各個が当たり、それらキャップの落下経路を搬送コンベアの搬送幅方向に沿う左右に振り分け、それらキャップを搬送コンベアの左右に分散させて互いに分離可能にするようにしたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(実施例1)(図1〜図19)
図1、図2のキャップ整列装置100は、シャンプーなどを内容物とする容器に用いるキャップ1を所定の姿勢に整列する。キャップ整列装置100は、図3に示す楕円形状キャップ1や、図4に示す円筒状キャップ1の他に、図5に示すポンプキャップ1も整列できる。
【0007】
図1、図2のキャップ整列装置100は、キャップ1を所定の姿勢に整列する。キャップ整列装置100は、図3に示す楕円形状キャップ1や、図4に示す円筒状キャップ1の他に、図5に示すポンプキャップ1も整列できる。
【0008】
キャップ整列装置100は、供給元としての供給コンベア10、搬送コンベア20、排出コンベア30を順に並べ、供給コンベア10と搬送コンベア20の間に分離供給装置40を配置し、搬送コンベア20と排出コンベア30の間にロボット50を配置し、ロボット50に画像処理装置60を付帯的に備える。
【0009】
供給コンベア10は、所定個数のキャップ1を搬送コンベア20の搬入端に落として供給する。供給コンベア10はベルトコンベアの他に振動コンベアとすることもできるしホッパに代えることもできる。搬送コンベア20、排出コンベア30もベルトコンベアの他、振動コンベアでも良い。
【0010】
供給コンベア10、搬送コンベア20は、通常は、ロボット50が搬送コンベア20の搬出端でキャップ1をピックアップし、搬送コンベア20の搬出端に設けてあるキャップ搬出確認センサ23が検知する範囲内のキャップ1がなくなったときに始動し、センサ23がキャップ1を検知したときに停止させれば良い。
【0011】
ところが、供給コンベア10から落下したキャップ1が到達する搬送コンベア20の搬入端にキャップ1が残存している場合に、供給コンベア10を動かすと、搬送コンベア20の上のキャップ1に新たなキャップ1が近接したり、はなはだしい場合は重なったりして、これが搬送コンベア20の搬出端でのロボット50によるピックアップを阻害する。そこで、キャップ整列装置100にあっては、搬送コンベア20を搬入端側の第1搬送コンベア20Aと、搬出端側の第2搬送コンベア20Bに分け、第1搬送コンベア20Aの上の全域を検知範囲とするエリアセンサ21と、第2搬送コンベア20Bの始端(第1搬送コンベア20Aと第2搬送コンベア20Bをつなぐつなぎガイド20Cの側傍)に設けたキャップ搬入確認センサ22の検知結果により、供給コンベア10、搬送コンベア20の動作をオン/オフする。供給コンベア10、搬送コンベア20の制御例を表1に示す。供給コンベア10は、エリアセンサ21とキャップ搬入確認センサ22の検知範囲内にキャップ1がなくなったときにだけ動作するように制御される。
【0012】
【表1】

【0013】
キャップ整列装置100は、キャップ1を供給コンベア10から落下させて搬送コンベア20に供給するに際し、一群をなすキャップ1の各個を搬送コンベア20の上で互いに離隔させ、搬送コンベア20の搬出端でのロボット50によるキャップ1のピックアップを円滑ならしめるため、供給コンベア10から搬送コンベア20へのキャップ1の落下領域の途中に分離供給装置40を配置している。
【0014】
分離供給装置40は、図6に示す如く、キャップ1の落下領域内で、搬送コンベア20の搬送幅方向に沿う左右に複数列、上下に複数段をなす複数の分離体41を設置している。各分離体41は、供給コンベア10から落下して一群をなすキャップ1の各個が当たり、それらキャップ1の落下経路を搬送コンベア20の搬送幅方向に沿う左右に振り分け、それらキャップ1を搬送コンベア20(20A)の左右に分散させて互いに分離、離隔する。
【0015】
このとき、分離供給装置40は、複数の分離体41を、搬送コンベア20の搬送巾方向の中心に対し左右非対称に配置する。これにより、各分離体41に当たったキャップ1の落下経路長を変え、それらキャップ1の供給コンベア10から搬送コンベア20への到達時間を変える。このとき、搬送コンベア20はオン動作しており、搬送コンベア20に到達したキャップ1は順に搬送方向(搬送コンベア20の長手方向)に切離されて分離、離隔される。
【0016】
尚、分離供給装置40は、各分離体41を搬送コンベア20の搬送幅方向の中心に対し全体として左右非対称になるように配した。即ち、各分離体41の形状を左右非対称としたり、各分離体41の位置を左右非対称としたり、分離体41が左右対称の位置にある場合、対応する分離体41のお互いの傾き角度を異ならせる等して配していることにより、キャップ1を搬送コンベア20の上で離隔させる作用を促進する。具体的には、例えば下記(A)、(B)を採用できる。
【0017】
(A)図7の例
分離体41を左右の互いに逆V字をなす振分け部41A、41Bからなるものにし、各振分け部41A、41Bの水平に対する傾斜角を独立に可変とする。
【0018】
各振分け部41A、41Bは、例えば各1片の平板状体からなり、それらの一端に設けた支軸42をベース板40Aにナット止めして回転自在に枢支し、それらの他端に設けたストッパ軸43をベース板40Aに形成してある円弧溝40Bに沿って移動可能にし、円弧溝40Bに沿う任意の位置にこのストッパ軸43をナット止めして固定する。これにより、各振分け部41A、41Bは、それらの傾斜角を互いに独立に設定可能としてある。
【0019】
(B)図8の例
分離体41を左右の互いに逆V字をなす振分け部41A、41Bからなるものにし、両振分け部41A、41Bの水平に対する傾斜角を一体で可変とする。
【0020】
両振分け部41A、41Bは、例えば1個のL字体からなり、L字体の交差角部に設けた支軸42をベース板40Aにナット止めして回転自在に枢支し、L字体の一端43をベース板40Aに形成してある円弧溝40Bに沿って移動可能にし、円弧溝40Bに沿う任意の位置に設けた挟み具44で一端43を挟んで固定する。これにより、両振分け部41A、41Bは、それらの傾斜角を一体で設定される。
【0021】
また、分離供給装置40は、分離体41の変形例として、図9に示す如く、ローラー(又は丸棒材)からなる分離体45を用いることもできる。分離体45は、ベース板40Aにナット止めされた中心軸45Aに、円筒カラー45Bを回転自在に装填して構成される。分離体45も、分離体41と同様に、キャップ1の落下領域内で、搬送コンベア20の搬送幅方向に沿う左右に複数列、上下に複数段をなす複数位置のそれぞれに設置され、かつ搬送コンベア20の搬送幅方向の中心に対し互いに左右非対称に配置されることが好ましい。
【0022】
ロボット50は、搬送コンベア20で搬送されてくるキャップ1を所定の姿勢にして排出コンベア30の上に整列するものであり、搬送コンベア20の上にある整列前のキャップ1の位置座標、角度、裏表等を測定するための画像処理装置60を付帯して備える。
【0023】
画像処理装置60は、図10に示す如く、画像カメラ61と画像処理回路62からなり、搬送コンベア20の上方に画像カメラ61、照明装置63を配置し、照明装置63の照明器具63Aで照らされたキャップ1を画像カメラ61で撮像し、この撮像結果を画像処理回路62で画像処理し、この画像処理結果(位置座標、角度、裏表等)をロボットコントローラ64に転送する。同時に、ロボットコントローラ64では、搬送コンベア20(20B)の駆動系に接続したエンコーダ65の出力を得て、画像カメラ61により撮像されたキャップ1が、カメラ設置位置から離れているロボット50のピッキング位置に到達するタイミングを演算する。キャップ搬出確認センサ23は、キャップ1が実際にロボット50によるピッキング位置に到達したことを検知して確認する。従って、ロボットコントローラ64は、ロボット50によるピッキング位置に到達したキャップ1の位置座標、角度、裏表等に基づき、該ロボット50を制御し、当該キャップ位置を所定の姿勢にして排出コンベア30の上の所定位置に移載して整列可能にする。
【0024】
尚、キャップ整列装置100は、搬送コンベア20(20B)の搬送面を構成する搬送ベルト等として、粘着性を有するものが好ましい。画像カメラ61で撮像されたキャップ1が搬送コンベア20の上でその後転がると、ロボット50による当該キャップ1のピッキングが困難になる。搬送コンベア20の搬送面を構成するに有用な粘着体としては、ゴム系樹脂やゴム系混合物が使用できる。例えば、エーテル系ポリウレタン樹脂、ポリアミド系樹脂、スチレン−エチレン系樹脂、ブチレン−スチレン系樹脂、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体とナフテン系の混合物等が採用でき、常温粘着性を有する溶液タイプ、エマルジョンタイプ、ホットメルトタイプの粘着材や、アクリル系、ゴム系、ウレタン系、シリコン系の粘着体も採用できる。これらのものは、(半)透明のものが多く、バックライト照明の場合にも対応することができる。
【0025】
搬送コンベア20の搬送面にこれらの粘着体を貼付けることで、画像カメラ61で撮像されたキャップ1が搬送コンベア20の搬送面上で転がることを防止できる。
【0026】
また、キャップ整列装置100は、図11、図12に示す如く、搬送コンベア20(20B)を構成するチェーン24に多数の透明(又は半透明)樹脂板25(塩ビ、アクリル等)を互いに屈曲自在に取付けて搬送面を形成し、この搬送面たる樹脂板25の下方に照明器具63Aを配置することにてバックライト照明装置63を構成することもできる。搬送コンベア20(20B)の搬送面として透明又は半透明の搬送ベルトを用いるものでも良い。
【0027】
即ち、照明装置63は、キャップ1を搬送コンベア20の搬送面の上方から照らすものに限らず、下方から照らすものでも良い。図3、図4のキャップ1に対しては、裏返しになったキャップ1(図3(D)、図4(D))のねじ部1Aを検出容易にする、上方からの照明の方が好ましい。図5のチューブ付きのポンプキャップ1に対しては、下方からのバックライト照明の方が、チューブ1Bを検出する点で好ましい。この場合も、樹脂板25の表面に上記粘着体を貼付けることで、画像カメラ61で撮像されたキャップ1が搬送コンベア20の搬送面上で転がることを防止できる。
【0028】
キャップ整列装置100は、搬送コンベア20(20B)の搬出端の近傍、本実施例では搬出端の面前、即ち搬送方向の搬出端より更に先、及び排出コンベア30の搬送面の側傍に、ロボット50及びそのロボットハンド51を配置してある。ロボット50は、前述の如くにロボットコントローラ64により制御され、搬送コンベア20の上のピッキング位置に到達したキャップ1をロボットハンド51によりピッキングし、当該キャップ1を所定の姿勢にして排出コンベア30の上の所定位置に移載して整列する。
【0029】
ロボット50は、ロボットハンド51のアーム52の先端にキャップ保持具53を備える。ロボットハンド51は、アーム52及びキャップ保持具53をX軸、Y軸、Z軸に沿って移動可能にし、かつそれらの各軸まわりに回転可能にする。キャップ保持具53としては、チャック爪54又は真空吸着パッド55(図18)を採用でき、同一のキャップ保持具53を用いながら図3〜図5等に示した各種形状寸法のキャップ1をピックアップできる。
【0030】
ロボット50は、アーム52の先端にキャップ保持具回転装置52Aを介してキャップ保持具53を備える。キャップ保持具回転装置52Aは、図1(B)に示す如く、キャップ保持具53を自軸Aまわりに任意の角度で回転させることができ、結果、チャック爪54が把持したキャップ1を反転させることができる。
【0031】
ロボット50は、搬送コンベア20(20B)の搬出端の面前及び排出コンベア30の搬送面の側傍に配置され、搬送コンベア20の搬出端の搬送幅方向の全域において搬送コンベア20(20B)の搬出端より、それら搬送コンベア20(20B)の搬送面の上に向かってロボットハンド51(アーム52、キャップ保持具53)を移動させ、キャップ保持具53を搬送コンベア20(20B)の搬送面の上に進入させることができ、結果として搬送コンベア20上の他のキャップ1に干渉することなく搬送コンベア20の搬送面上からピッキング対象キャップ1をピックアップする。ピックアップしたキャップ1は、これを転回等することにより排出コンベア30の搬送面上に整列される。
【0032】
ここでは、キャップ保持具53をロボットハンドに設けたが、例えば天井走行式のクレーンなどの2次元走行機に、垂直(鉛直)下方に伸び、搬送コンベア20(20B)の搬送面と垂直な垂直軸周りにモータによって回転可能な棒を取り付け、その先端にキャップ保持具53を水平軸周り(搬送コンベア20(20B)の搬送面と平行な軸)に回転するモータを介して取り付けるようにしても良い。このようにすることでも搬送コンベア20(20B)の搬送端に向かって外部領域からキャップ保持具53を移動させることができるので、結果として搬送コンベア20上の他のキャップ1に干渉することなく搬送コンベア20の搬送面上からピッキング対象キャップ1をピックアップできる。
【0033】
キャップ整列装置100は、搬送コンベア20(20B)が搬送してくるキャップ1を搬送コンベア20の幅方向に一定のピッチで仕分ける仕分けガイド70を、搬送コンベア20の搬送面に僅かな隙間を介して相対する上部に設置している。仕分けガイド70は、図1、図2、図13に示す如く、搬送コンベア20の長手方向に延在される複数のガイドバー71を左右平行をなすように並列配置してなり、仕分けガイド70に入ってくるキャップ1を搬送コンベア20の幅方向にピッチ分けし、ロボット50によるピッキング位置に到達したキャップ1をピッキングする該ロボット50のキャップ保持具53が相隣る他のキャップ1と干渉しないようにする。図13に示す如く、仕分けガイド70において相隣るガイドバー71のガイドピッチP、キャップ保持具53の爪54の幅a、キャップ1の長軸長さbとするとき、「P≧2a+b」とすることにより、ロボット50のキャップ保持具53と相隣る他のキャップ1との上述の干渉を回避できる。
【0034】
ロボット50のロボットハンド51によるキャップ1の整列動作について説明する(図14〜図17)。
【0035】
図14は、ロボットハンド51により排出コンベア30の上に移載されて所定の縦向き(キャップ1の長軸が排出コンベア30の長手方向に沿う向き)正立姿勢にて整列されたキャップ1を示す。
【0036】
図15は、裏返し(倒立)状態で供給された搬送コンベア20の上のキャップ1をキャップ保持具53により、面前、即ち搬送方向の搬出端より更に先から保持した状態で、キャップ保持具53を水平軸周り(搬送コンベア20(20B)の搬送面と平行な軸)に180度回転させることにて、キャップ1を180度転回し、排出コンベア30の上に所定の縦向き正立姿勢にて整列する整列動作を示す。
【0037】
図16は、横転状態で供給された搬送コンベア20の上のキャップ1をキャップ保持具53により上から保持した状態で、アーム52を90度揺動(アーム52の自軸を鉛直状態から水平状態に傾動)させることにて、その先端に設けられたキャップ保持具53を90度揺動させ、結果として、キャップ1を90度転回し、排出コンベア30の上に所定の縦向き正立姿勢にて整列する整列動作を示す。
【0038】
図17は、横向き(キャップ1の長軸が搬送コンベア20の長手方向に直交する向き)状態で供給された搬送コンベア20の上のキャップ1をキャップ保持具53により上から保持した状態で、アーム52を自軸まわりに90度回転させることにて、キャップ1を縦向きにし、排出コンベア30の上に所定の縦向き正立姿勢にて整列する整列動作を示す。
【0039】
ここで、90度としたのは一例である。実際は90度に限定されず、画像処理回路62により算出された角度に従って、アーム52を自軸まわりに所定角度回転させることによって、キャップ1を縦向きにする。
【0040】
キャップ保持具53をアーム52(棒)の先端に設け、図16の如くアーム52自体が揺動することと併せアーム52を自軸周りに図17の如く回転させ、キャップ保持具53が回転するようにすることでキャップ1を所望の向きに転回することをより簡便に行なえる。
【0041】
ロボット50のキャップ保持具53として、真空吸着パッド55を用いる場合には、図18に示す如く、真空吸着パッド55の真空状態にした吸盤55Aにより搬送コンベア20の上のピッキング位置にあるキャップ1を吸着保持して、ロボットハンド51に真空吸着パッド55を連結している軸55Bを180度回転させることでキャップ1の上下を反転させることができる。
【0042】
その後、上下を反転させたキャップ1を排出コンベア30の上の所定位置へ移動する。排出コンベア30の上の所定位置で真空吸着パッド55の吸盤55の真空状態を解除することで吸盤55からキャップ1が解放され排出コンベア30の上に移載される。
【0043】
尚、図19の様に、横転状態で供給された搬送コンベア20の上のキャップ1を真空吸着パッド55により保持した状態で、軸55Bを90度揺動させることで、キャップ1を90度転回し、排出コンベア30の上に所定の正立姿勢にて整列することもできる。
【0044】
真空吸着パッド55にあっては、キャップ1を排出コンベア30の上に移載する際に、吸盤55Aの真空状態を解除すると、真空状態にあったときに変形していた吸盤55Aが復元する復元力によりキャップ1が弾き飛ばされ、排出コンベア30の上におけるキャップ1の移載位置、姿勢に乱れを生ずるおそれがある(図25)。これを防止するため、本実施例では、図18に示すように吸盤55Aの真空状態を解除する前に、吸盤55Aが保持しているキャップ1を所定位置、即ちキャップを置く位置に所定の姿勢、即ち置かれた姿勢で仮固定する手段を設けるものとした。本実施例においては、仮固定する手段として、排出コンベア30の搬送面を構成する搬送ベルト等を粘着体31にて構成したものを採用した。粘着体31としては、ゴム系樹脂やゴム系混合物が使用できる。例えば、エーテル系ポリウレタン樹脂、ポリアミド系樹脂、スチレン−エチレン系樹脂、ブチレン−スチレン系樹脂、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体とナフテン系の混合物等が採用でき、常温粘着性を有する溶液タイプ、エマルジョンタイプ、ホットメルトタイプの粘着材や、アクリル系、ゴム系、ウレタン系、シリコン系の粘着体が採用できる。
【0045】
尚、排出コンベア30の上にキャップ1を仮固定する上述の手段としては、粘着体31の他に、排出コンベア30の搬送面を構成する搬送ベルト等を吸着体とし、吸引装置に連通させた多数の吸着孔を吸着体の表面に開口したものを採用することもできる。
【0046】
搬送コンベア20(20B)の搬出端の下方にはロボットハンド51によりピッキングされなかったキャップ1を回収する回収装置80が配置され、回収装置80に回収されたキャップ1は供給コンベア10に返送される。
【0047】
本実施形態によれば以下の作用効果を奏する。
i)キャップ1を一定の方向に整列させるキャップ整列装置100の構造に関する効果
(a)ロボットハンド51をコンベア20の搬送端の近傍に配置したから、ロボットハンド51は搬送コンベア20の搬送方向の他のキャップ1に干渉することなく、コンベア20の上のキャップ1をピックアップしてこれを転回する等して整列できる。
【0048】
(b)ロボットハンド51は同一のキャップ保持具53により、各種形状寸法のキャップ1をピックアップできる。
【0049】
(c)ロボットハンド51のキャップ保持具53によりキャップ1を横から保持した状態で、アーム52を自軸まわりに回転させることにてキャップ1を180度転回できる。
【0050】
(d)ロボットハンド51のキャップ保持具53によりキャップ1を上から保持した状態で、アーム52を揺動させることにてキャップ1を90度転回できる。
【0051】
(e)仕分けガイド70により、コンベア20の搬送端に達する複数のキャップ1同士の間隔を一定のピッチに拡げる。これにより、ロボットハンド51のアーム52やキャップ保持具53等が搬送コンベア20の搬送幅方向の他のキャップ1に干渉することを確実に回避でき、ロボットハンド51はコンベア20の上のキャップ1をピックアップできる。
【0052】
ii)分離供給装置40による効果
(a)キャップ1を供給元(供給コンベア10)から搬送コンベア20に供給するに際し、供給元10から落下して一群をなすキャップ1の各個が複数の分離体41のいずれかに当たり、それらキャップ1の落下経路が搬送コンベア20の左右に振り分けられる。これにより、キャップ1は搬送コンベア20の上で左右に分散し互いに離隔するものになる。搬送コンベア20の上の1つのキャップ1をピックアップしようとするロボットハンド51が、他のキャップ1に干渉してピックアップを困難にする等がない。
【0053】
(b)分離体41が全体として左右非対称に配されたから、各キャップ1の落下経路長を変え、それらキャップ1の搬送コンベア20への到達時間を変える。従って、移動中の搬送コンベア20に到達した各キャップ1は、搬送コンベア20の上で左右に分散するだけでなく、到達した順に搬送方向(コンベア長手方向)に切り離されて分離され、搬送コンベア20の上での互いの離隔をより確実にされる。
【0054】
(c)分離体41が左右の逆V字をなす各振り分け部41A、41Bの傾斜角を独立に可変とすることにより(図7)、分離体41の左右非対称配置を多様に設定替えできる。
【0055】
(d)分離体41が左右の逆V字をなす両振り分け部41A、41Bの傾斜角を一体で可変とすることにより(図8)、分離体41の左右非対称配置を簡易に設定替えできる。
【0056】
(e)分離体45をローラー又は丸棒材からなるものとすることにより、分離体45を簡易に構成できる。
【0057】
(f)分離体41(45)の下方の搬送コンベア20(20A)にキャップ1が存在しない場合にのみ供給元10をオン動作させることにより、供給元10から供給されるキャップ1を搬送コンベア20(20A)の上の既存のキャップ1に重ねる等がなく、搬送コンベア20(20A)の上に供給されるキャップ1の離隔の確実を図ることができる。
【0058】
iii)真空吸着パッド55に関する効果
(a)真空吸着パッド55の吸盤55Aの真空状態を解除してキャップ1を吸盤55Aから解放するに先立ち、吸盤55Aが保持しているキャップ1を所定の姿勢で所定位置に仮固定する。従って、真空状態にあるときに変形していた吸盤55Aが復元しても、この復元力が仮固定状態にあるキャップ1を弾き飛ばすことはなく、キャップ1は所定位置に所定の姿勢で乱れなく解放されて整列される。
【0059】
(b)キャップ1は排出コンベア30の粘着体31により簡易確実に仮固定される。
(c)キャップ1は排出コンベア30の吸着体により簡易確実に仮固定される。
【0060】
ここで、仮固定とは、真空吸着パッド55の真空状態の解除時に、真空状態にあったときに変形していた吸盤55Aが復元する復元力によりキャップ1が弾き飛ばされることなく、キャップ1の姿勢を保持し、一方、排出コンベア30が複数の上流〜下流のコンベアを直列接続し、それらのコンベアの継目につなぎガイド(図1、図2のつなぎガイド20Cと同じ)を設けたものであるとき、当該つなぎガイドに達したキャップ1が容易に上流側コンベアから分離してつなぎガイドの側に乗り移り可能になる程度の固定をいう。即ち、ここでの仮固定は、コンベア30上にキャップが置かれた後、次の工程に移るまでの間の一時的な固定である。
【0061】
(実施例2)(図20〜図22)
実施例2が実施例1と異なる点は、仕分けガイド70の各ガイドバー71を千鳥状に配置したことにある。
【0062】
各ガイドバー71を左右平行に並列配置した図22(C)の場合には、搬送コンベア20の長手方向の同一位置で相並ぶガイドバー71同士の間隔が狭目になり、それらガイドバー71の間に入ってくるキャップ1の姿勢によっては詰まりを生ずるおそれがある。
【0063】
各ガイドバー71を千鳥状に配置した図22(A)、(B)によれば、搬送コンベア20の長手方向の同一位置で相並ぶガイドバー71同士の間隔が広目になり、それらガイドバー71の間に入ってくるキャップ1の詰まりを生じない。
【0064】
(実施例3)(図23)
実施例3が実施例1と異なる点は、ロボット50を搬送コンベア20(20B)の搬出端の左右一方側に配置したことにある。ロボットハンド51は、搬送コンベア20の搬出端の面前、及び排出コンベア30の搬送面の側傍に配置される。
【0065】
尚、ロボット50は、図24(A)に示す天井吊りタイプにより、又は図24(B)に示す床置きタイプにより設置される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は実施例1のキャップ整列装置を示す平面図である。
【図2】図2は図1の側面図である。
【図3】図3はキャップの一例を示し、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図、(D)は底面図、(E)は断面図である。
【図4】図4はキャップの他の例を示し、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図、(D)は底面図、(E)は断面図である。
【図5】図5はキャップの他の例を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図6】図6は分離供給装置を示す正面図である。
【図7】図7は分離供給装置の傾斜角調整機構を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図8】図8は分離供給装置の傾斜角調整機構の他の例を示す正面図である。
【図9】図9は分離供給装置の他の例を示し、(A)は正面図、(B)は断面図である。
【図10】図10はロボットの制御系統を示すブロック図である。
【図11】図11は画像カメラと照明装置を示す正面図である。
【図12】図12は照明装置を示す平面図である。
【図13】図13は仕分けガイドとロボットハンドを示す平面図である。
【図14】図14はキャップの整列状態を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図15】図15はロボットハンドによるキャップの整列動作を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図16】図16はロボットハンドによるキャップの他の整列動作を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図17】図17はロボットハンドによるキャップの他の整列動作を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図18】図18は真空吸着パッドによるキャップの整列動作を示す正面図である。
【図19】図19は真空吸着パッドによるキャップの他の整列動作を示す正面図である。
【図20】図20は実施例2のキャップ整列装置を示す平面図である。
【図21】図21は図20の側面図である。
【図22】図22は仕分けガイドを示し、(A)は仕分け状態を示す平面図、(B)は他の仕分け状態を示す平面図、(C)は仕分け不具合状態を示す平面図である。
【図23】図23は実施例3のキャップ整列装置を示す平面図である。
【図24】図24はロボットの設置例を示し、(A)は天井吊りタイプを示す正面図、(B)は床置きタイプを示す正面図である。
【図25】図25は真空吸着パッドから開放したときの従来装置におけるキャップの動きを説明する図である。
【符号の説明】
【0067】
1 キャップ
10 供給コンベア(供給元)
20 搬送コンベア
40 分離供給装置
41 分離体
41A、41B 振り分け部
45 分離体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップを供給元から落下させて搬送コンベアに供給するキャップの分離供給装置であって、
供給元から搬送コンベアへのキャップの落下領域に複数の分離体を設置し、各分離体は、供給元から落下して一群をなすキャップの各個が当たり、それらキャップの落下経路を搬送コンベアの搬送幅方向に沿う左右に振り分け、それらキャップを搬送コンベアの左右に分散させて互いに分離可能にするキャップの分離供給装置。
【請求項2】
前記複数の分離体が、搬送コンベアの搬送幅方向の中心に対し全体として左右非対称に配されている請求項1に記載のキャップの分離供給装置。
【請求項3】
前記分離体が左右の互いに逆V字をなす振り分け部を有し、各振り分け部の傾斜角を独立に可変とする請求項1又は2に記載のキャップの分離供給装置。
【請求項4】
前記分離体が左右の互いに逆V字をなす振り分け部を有し、両振り分け部の傾斜角を一体で可変とする請求項1又は2に記載のキャップの分離供給装置。
【請求項5】
前記分離体がローラー又は丸棒材からなる請求項1又は2に記載のキャップの分離供給装置。
【請求項6】
前記供給元が、前記分離体の下方の搬送コンベアにキャップが存在しない場合にのみオン動作される請求項1〜5のいずれかに記載のキャップの分離供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−89234(P2006−89234A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277587(P2004−277587)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】