説明

キャビネットボックス

【課題】筐体表面からリベットの頭部が突出することがなく、併せて筐体の補強が出来るキャビネットボックスを提供する。
【解決手段】天板、側板3、背面板、底板6のうちの少なくとも何れか1つの表面側にリベットの頭部の高さに対応する凹部9aが複数形成されると共に、凹部9aにリベット挿通孔9cが形成され、凹部9aのキャビネットボックス1の内側に突出する凸部9bの形状に対応した断面形状を有すると共に、複数の凹部9aに亘って連続され、該凹部9aに形成されたリベット挿通孔9cに対応する位置にリベット挿通孔10aが形成された長尺状の補強接合部材10を有し、凹部9aのキャビネットボックス1の内側に突出する凸部9bに沿って補強接合部材10の溝部10dを被せ、互いのリベット挿通孔9c,10aにリベットを挿通してリベット止めした構成であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板と側板と背面板と底板とを有し、前面側が開口した略矩形箱状に形成されたパチンコ台やスロット台等の遊戯機の筐体として使用されるキャビネットボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ台やスロット台等の遊戯機の筐体として軽量化と製造コストの観点から木版合成板等の筐体が使用されていた。しかしながら、木製の筐体を廃棄処分する場合に、焼却処理では、この木版合成板に接着剤等が使用されているために、ダイオキシンが発生するという問題があり、大きな環境問題となってきていることから筐体をリサイクル可能な金属材料で構成することが望まれている。例えば、特開2002−065945号公報(特許文献1)には金属板筐体の組み付けにおける側板の接合をリベット接合したものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−065945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の金属板の板厚は0.8mm程度の薄板で構成され、前面側が開口した構造の筐体で、且つその開口部にヒンジ部材により比較的重量のあるフロントパネルを開閉可能に取り付ける必要があることから筐体の強度の確保が要求されていた。また、パチンコ店ホールに設けられる遊戯機設置棚は、一般に遊技機の底板、天板の高さに合わせた隙間に遊技機を挿入する構成とされているため底板及び天板もリベット止めすると筐体表面から突出するリベットの頭部が支障となって遊技機設置棚に遊技機が挿入できないといった問題があった。
【0005】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、筐体表面からリベットの頭部が突出することがなく、併せて筐体の補強が出来るキャビネットボックスを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明に係るキャビネットボックスの第1の構成は、天板と側板と背面板と底板とを有し、前面側が開口した略矩形箱状に形成されたキャビネットボックスであって、前記天板、前記側板、前記背面板、前記底板のうちの少なくとも何れか1つの表面側にリベットの頭部高さに対応する凹部が複数形成されると共に、該凹部にリベット挿通孔が形成され、前記凹部の前記キャビネットボックスの内側に突出する凸部形状に対応した断面形状を有すると共に、前記複数の凹部に亘って連続され、該凹部に形成されたリベット挿通孔に対応する位置にリベット挿通孔が形成された長尺状の補強接合部材を有し、前記凹部の前記キャビネットボックスの内側に突出する凸部に沿って前記補強接合部材を被せ、互いの前記リベット挿通孔にリベットを挿通してリベット止めしたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るキャビネットボックスの第2の構成は、前記第1の構成において、前記補強接合部材の一部が該補強接合部材がリベット止めされた部材以外の部材に接合されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るキャビネットボックスの第1の構成によれば、キャビネットボックスの筐体となる天板、側板、背面板、底板の表面側にリベットの頭部高さに対応する凹部を形成したことで該凹部内にリベットの頭部を収容した状態でリベット止めが出来、筐体表面からリベットの頭部が突出することがない。また、複数の凹部のキャビネットボックスの内側に突出する凸部に沿って長尺状の補強接合部材を被せ、筐体の凹部に設けられたリベット挿通孔と該補強接合部材に設けられたリベット挿通孔にリベットを挿通してリベット止めすることで、筐体が補強接合部材により補強される。
【0009】
また、本発明に係るキャビネットボックスの第2の構成によれば、補強接合部材がリベット止めされた部材以外の部材に該補強接合部材の一部が接合されたことで、筐体を構成する部材同士、或いは筐体と他の部材とを補強接合部材を介して強固に接合することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るキャビネットボックスの構成を示す斜視図である。
【図2】(a),(b)は底板に設けたリベットの頭部が収容される複数の凹部に対応するキャビネットボックスの筐体内側の凸部に亘って補強接合部材を被せて配置する様子を示す分解斜視図である。
【図3】本発明に係るキャビネットボックスを底板側から天板の内面側を見た様子を示す斜視説明図である。
【図4】(a)〜(d)はキャビネットボックスの底板に接合される補強接合部材の構成を示す平面図、正面図、左側面図及び右側面図、(e)は(a)のA−A断面図である。
【図5】キャビネットボックスの底板に接合される補強接合部材の構成を示す斜視図である。
【図6】(a)〜(d)はキャビネットボックスの天板に接合される補強接合部材の構成を示す平面図、正面図、左側面図及び右側面図、(e)は(a)のB−B断面図である。
【図7】キャビネットボックスの天板に接合される補強接合部材の構成を示す斜視図である。
【図8】(a),(b)はリベット止めを行う様子を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図により本発明に係るキャビネットボックスの一実施形態を具体的に説明する。
【0012】
図1及び図3において、1はパチンコ台やスロット台等の遊戯機の筐体として使用され、例えば厚さ0.8mm程度のメッキ鋼板やアルミニウム板等の金属板をプレス成形により作成されたキャビネットボックスであり、天板2と側板3,4と背面板5と底板6とを有し、前面側が開口した略矩形箱状に形成される。尚、本実施形態では、天板2と左右側板3,4とは連続した金属板をコの字形状に折り曲げて構成された一例である。キャビネットボックス1の開口した前面側には図示しないヒンジ部材により開閉可能な図示しないフロントパネルが取り付けられる。
【0013】
筐体となる天板2、側板3,4、背面板5、底板6のうちの少なくとも何れか1つの表面側にはリベット8の頭部8aの高さに対応する凹部9aが複数形成され、該凹部9aにはリベット挿通孔9cが形成されている。
【0014】
一方、図4及び図5に示す補強接合部材10は筐体となる底板6の内面にリベット止めにより接合され、図6及び図7に示す補強接合部材10は筐体となる天板2の内面にリベット止めにより接合される。図4〜図7に示す補強接合部材10は、キャビネットボックス1の筐体表面に設けられた凹部9aの該キャビネットボックス1の内側に突出する凸部9bの形状に対応した断面形状の溝部10dを有する。補強接合部材10はキャビネットボックス1の筐体表面に設けられた複数の凹部9aに亘って連続される長尺状で構成され、補強接合部材10の溝部10dには凹部9aに形成されたリベット挿通孔9cに対応する位置にリベット挿通孔10aがそれぞれ形成されている。
【0015】
また、補強接合部材10の一部としての両端部には該補強接合部材10本体となる第1の接合片10eから垂直に起立した略三角形状の第2の接合片10bが設けられ、該第2の接合片10bにはリベット挿通孔10cが設けられている。第2の接合片10bは、図4(b)及び図6(b)に示すように、第1の接合片10eとの接合部の両端部10b1,10b2と頂点部10b3とが略三角形状に形成されている。
【0016】
図2に示すように、キャビネットボックス1の筐体表面に設けられた凹部9aの該キャビネットボックス1の内側に突出する凸部9bに沿って補強接合部材10の溝部10dを嵌合して被せ、互いのリベット挿通孔9c,10aにリベット8を挿通してリベット止めする。
【0017】
ここで、図8を用いてリベット止めを行う様子について説明する。本実施形態に用いられるリベット8はブラインドリベットと言われるもので、該リベット8内には貫通路8bが形成されており、該貫通路8b内には引きピン11が挿通可能とされている。引きピン11の一端部には、貫通路8bの内径よりも大径の拡径部11aが形成されており、該拡径部11aの基部には貫通路8bの内径よりも小径の折曲部11bが形成されている。尚、リベット8はアルミニウム製、鉄製、ステンレス製等の種々の材質のものが適用可能である。
【0018】
そして、図8(a)に示されるように、キャビネットボックス1の筐体表面に設けられた凹部9aに形成されたリベット挿通孔9cに、補強接合部材10の溝部10dに形成されたリベット挿通孔10aを合致させた後にキャビネットボックス1の筐体表面に設けられた凹部9a側からリベット8を差し込む。そのとき、凹部9a内にリベット8の頭部8a全体が突出することなく収容される。その状態で図示しない所定の工具を使用して引きピン11を図8(a)の矢印a方向に引くと、引き込まれた拡径部11aが図8(b)に示すようにリベット8の端部8cに係止され、リベット8の端部8cが変形される。さらに引き込まれた拡径部11aの移動が貫通路8bにおける補強接合部材10のリベット挿通孔10a近傍位置にて規制された時点で、リベット8の変形した端部8cとリベット8の頭部8aとによりキャビネットボックス1の筐体と補強接合部材10とが挟持された状態となり、その後、引きピン11をさらに強く引っ張ることにより、折曲部11bから先端部11cが折れて分離する。
【0019】
図4及び図5に示す補強接合部材10の第2の接合片10bは、図1及び図2に示すように、該補強接合部材10がリベット止めされた部材となる底板6以外の部材となる左右側板3,4の一部となる筐体の前面側の開口内側に向かって張り出した張出部3a,4aの表面に設けられた凹部9aのリベット挿通孔9cと第2の接合片10bのリベット挿通孔10c内に該凹部9a側からリベット8を挿入すると共に、該凹部9a内にリベット8の頭部8aが収容されて前述したと同様にリベット止めにより接合される。一方、図6及び図7に示す補強接合部材10の第2の接合片10bは、図3に示すように、該補強接合部材10がリベット止めされた部材となる天板2以外の部材となる左右側板3,4の一部となる筐体の前面側の開口内側に向かって張り出した張出部3a,4aの表面に設けられた凹部9aのリベット挿通孔9cと第2の接合片10bのリベット挿通孔10c内に該凹部9a側からリベット8を挿入すると共に、該凹部9a内にリベット8の頭部8aが収容されて前述したと同様にリベット止めにより接合される。
【0020】
上記構成によれば、キャビネットボックス1の筐体となる天板2、側板3,4、背面板5、底板6の表面側にリベット8の頭部8aの高さに対応する凹部9aを形成したことで該凹部9a内にリベット8の頭部8aを収容した状態でリベット止めが出来、筐体表面からリベット8の頭部8aが突出することがない。また、複数の凹部9aのキャビネットボックス1の内側に突出する凸部9bに沿って長尺状の補強接合部材10を被せ、筐体の凹部9aに設けられたリベット挿通孔9cと該補強接合部材10に設けられたリベット挿通孔10aにリベット8を挿通してリベット止めすることで、筐体が補強接合部材10により補強される。
【0021】
また、補強接合部材10がリベット止めされた部材以外の部材に該補強接合部材10の一部が接合されたことで、筐体を構成する部材同士、或いは筐体と他の部材とを補強接合部材10を介して強固に接合することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の活用例として、天板と側板と背面板と底板とを有し、前面側が開口した略矩形箱状に形成されたパチンコ台やスロット台等の遊戯機の筐体として使用されるキャビネットボックスに適用出来る。
【符号の説明】
【0023】
1 …キャビネットボックス
2 …天板
3,4 …側板
3a,4a…張出部
5 …背面板
6 …底板
8 …リベット
8a …頭部
8b …貫通路
8c …端部
9a …凹部
9b …凸部
9c …リベット挿通孔
10 …補強接合部材
10a …リベット挿通孔
10b …第2の接合片
10b1,10b2…接合部の両端部
10b3…頂点部
10c …リベット挿通孔
10d …溝部
10e…第1の接合片
11 …引きピン
11a …拡径部
11b …折曲部
11c …先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と側板と背面板と底板とを有し、前面側が開口した略矩形箱状に形成されたキャビネットボックスであって、
前記天板、前記側板、前記背面板、前記底板のうちの少なくとも何れか1つの表面側にリベットの頭部高さに対応する凹部が複数形成されると共に、該凹部にリベット挿通孔が形成され、
前記凹部の前記キャビネットボックスの内側に突出する凸部形状に対応した断面形状を有すると共に、前記複数の凹部に亘って連続され、該凹部に形成されたリベット挿通孔に対応する位置にリベット挿通孔が形成された長尺状の補強接合部材を有し、
前記凹部の前記キャビネットボックスの内側に突出する凸部に沿って前記補強接合部材を被せ、互いの前記リベット挿通孔にリベットを挿通してリベット止めしたことを特徴とするキャビネットボックス。
【請求項2】
前記補強接合部材の一部が該補強接合部材がリベット止めされた部材以外の部材に接合されたことを特徴とする請求項1に記載のキャビネットボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−85912(P2012−85912A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236661(P2010−236661)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(310021342)
【Fターム(参考)】