説明

キャビネットボックス

【課題】キャビネットボックス(遊技機)を遊技島に固定する際に、固定用ねじの太さの自由度を向上させる。
【解決手段】天板1と側板2、3と底板4と背面板5とを有し、前面側が開口した略矩形箱状に形成されたキャビネットボックスAであって、天板1と底板4の所定位置に、予め設定された径を有する穴10aと、該穴10aの周囲に形成された複数の片持ち状片10bと、からなる複数の固定穴10を形成し、固定穴10を選択して固定用ねじを挿通すると共に該固定用ねじを固定用フレームに締結して固定し得るように構成する。複数の固定穴10をマトリックス状に形成した板状のアタッチメントBを形成すると共に、天板1と底板4の所定位置に夫々開口1a、4aを形成し、個々のアタッチメントBを夫々の開口1a、4aに配置してマトリックス状に形成された複数の固定穴10を臨ませて固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ台やスロット台等の遊技機の筐体として使用されるキャビネットボックスに関し、特に、遊技施設の遊技島に取り付ける際に用いる固定用ねじの太さの自由度を向上させたキャビネットボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ台やスロット台等の遊技機を木材によって構成された遊技島に取り付ける場合、筐体の底板を遊技島を構成する下部枠に載置し、これらの遊技機の筐体の機内側から、底板に木ねじを挿通して下部枠に締結すると共に天板に木ねじを挿通して上部枠に締結している。このとき、筐体が木材によって構成されている場合には、天板や底板に木ねじを誘導するために特別な穴等を形成することなく施工できる。
【0003】
最近になって、遊技機の筐体として、鋼板やアルミニウム板等をプレス成形した板金部材を組み合わせたキャビネットボックスを使用することがある。この場合でも、機内側から遊技島に取り付ける構造に変化はない。特に、遊技島を構成する上部枠と下部枠との間の寸法は、キャビネットボックスの天板と底板との間の寸法よりも大きいのが一般的であり、キャビネットボックスを下部枠に載置したとき、天板と上部枠との間に隙間が構成されることが多い。そして、このようなキャビネットボックスを遊技島を構成する上部枠に取り付けるための構造として、特許文献1、2に記載された技術が提案されている。
【0004】
特許文献1に記載された技術は、天板に貫通孔を形成し、この貫通孔を貫通して上面に出没可能な係合部材を設け、この係合部材に取り付けたラックと、ラックと噛合するピニオン及びピニオンを駆動するレバーを設けて構成したものである。この技術では、レバーを回動させてラックを昇降させ、係合部材を貫通孔から突出させて上部枠に係合させることでキャビネットボックスを固定し、或いは係合部材を上部枠から離脱させることでキャビネットボックスの固定を解除することができる。
【0005】
また、特許文献2に記載された技術は、天板に貫通孔を形成し、この貫通孔を貫通して上面に出没可能な係合部材を設け、この係合部材に一端を引っ掛けたバネと、このバネを付勢する操作部材とを設けたものである。この技術では、操作部材を操作することによってバネを付勢し、この付勢力に応じて係合部材を突出させて上部枠に係合させ、バネによる付勢力を付与することで、キャビネットボックスを固定することができる。そして、操作部材を前記方向とは反対方向に操作することで、バネによる係合部材の上部枠に対する係合を解除してキャビネットボックスの固定を解除することができる。
【0006】
一方、上記技術を採用することなく、キャビネットボックスの天板及び底板を木ねじを用いて遊技島の上下枠に固定する構造も採用されている。一つの構造例として、天板及び底板の所定位置に木ねじを挿通するためのねじ穴を形成したものがある。また、他の構造例として、天板及び底板の所定位置に比較的大きい寸法を持った開口を形成すると共に、該開口の機内側に木材を配置しておき、この木材に挿通した木ねじを上下の枠に締結して固定し得るようにしたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−220172号公報
【特許文献2】特開2004−041690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1、2に記載された技術ではキャビネットボックスを確実に遊技島の上部枠に固定することができる。しかし、このキャビネットボックスでは、部品点数が多くなり且つ構造が複雑になるという問題が生じる虞がある。
【0009】
また、従来の木製の筐体を有するパチンコ台やスロット台等の遊技機の場合、木ねじを使用して遊技島に固定するが、筐体が木製であるため木ねじの太さは規定されず、施工業者毎に異なる太さの木ねじが使用されることがある。キャビネットボックスの天板や底板に木ねじを挿通するためのねじ穴を形成する場合、このねじ穴によって木ねじの径が決まることになるが、施工業者がねじ穴にあった木ねじを持たない場合、このねじ穴の径を大きくしたり、座金を介在させることが必要となり、作業性の劣化を招く虞がある。
【0010】
また、キャビネットボックスの機内側に木材を配置して固定する場合、如何なる太さの木ねじも使用し得るものの、機内の容積が小さくなる、という問題がある。
【0011】
本発明の目的は、遊技島に固定する際に、固定用ねじの太さの自由度を向上させることができるキャビネットボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明に係るキャビネットボックスは、天板と側板と背面板と底板とを有し、前面側が開口した略矩形箱状に形成されたキャビネットボックスであって、前記天板と底板の所定位置に、予め設定された径を有する穴と、該穴の周囲に形成された複数の片持ち状片と、からなる複数の固定穴を形成し、前記固定穴を選択して固定用ねじを挿通すると共に該固定用ねじを固定用フレームに締結して固定し得るように構成したものである。
【0013】
上記キャビネットボックスに於いて、前記複数の固定穴をマトリックス状に形成した板状のアタッチメントを形成すると共に、前記天板と底板の所定位置に夫々開口を形成し、個々のアタッチメントを夫々の開口に配置してマトリックス状に形成された複数の固定穴を臨ませて各アタッチメントを夫々天板と底板に固定したことが好ましい。
【0014】
また、上記キャビネットボックスに於いて、前記アタッチメントは、複数の固定穴をマトリックス状に形成した固定穴領域を有すると共に、該固定穴領域の周囲に形成され取付ボルトを挿通するための複数のボルト穴を有し、且つ前記天板と底板の所定位置には、前記アタッチメントの固定穴領域に対応して複数の固定穴が臨む開口が形成されると共に、前記アタッチメントのボルト穴に対応して取付ボルトが、一端が天板又は底板の外面と同一面に配置され、他端が天板又は底板の内面側に起立した状態で配置されており、前記取付ボルトに前記ボルト穴を挿通させてナットを締結することで、アタッチメントを天板と底板に着脱可能に取り付けたことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るキャビネットボックスでは、天板と底板の所定位置に、穴と該穴の周囲に複数の片持ち状片と、からなる複数の固定穴を形成したので、固定用ねじの太さが固定穴を構成する穴の径よりも大きく且つ片持ち状片の長さと略等しいか小さい場合、該固定用ねじを固定穴に挿通して進入させることで、片持ち状片を変形させて遊技島の上下の枠に締結することで、キャビネットボックスを固定することができる。
【0016】
従って、固定穴を構成する穴の径と片持ち状片の長さの範囲内で、太さの異なる固定用ねじを使用することが可能となり、固定用ねじの太さの自由度を向上させることができる。
【0017】
また、遊技島を構成する下部枠に凹凸が生じているような場合、固定用ねじの進入に伴って片持ち状片が凹凸に応じて変形する。このため、下部枠に生じた凹凸を吸収することが可能となり、キャビネットボックスの変形を防ぐことができる。同様にして、天板と上部枠との間に形成された隙間を吸収することができる。
【0018】
また、複数の固定穴をマトリックス状に形成したアタッチメントを形成すると共に、天板と底板の所定位置に開口を形成したことによって、遊技島に固定したキャビネットボックスから固定用ねじを取り外した後、このキャビネットボックスを同位置、或いは他の位置に取り付ける際に、未使用の固定穴を使用して固定することができる。
【0019】
また、アタッチメントをキャビネットボックスの天板、底板に着脱可能に構成したので、固定用ねじの挿通数が増加して未使用状態の固定穴がなくなったような場合、簡単に使用済のアタッチメントを新たなアタッチメントに交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】キャビネットボックスの構成を説明する天板側からの斜視図である。
【図2】キャビネットボックスの構成を説明する底板側からの斜視図である。
【図3】天板部分の構成を説明する図である。
【図4】底板の構成を説明する図である。
【図5】アタッチメントの構成を説明する図である。
【図6】アタッチメントをキャビネットボックスに取り付ける際の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るキャビネットボックスについて説明する。本発明のキャビネットボックスは、鋼板やアルミニウム板等の金属板をプレス加工により、打ち抜き、折り曲げ、膨出等の精鋭を行った複数種の板金部材を組み合わせ、リベットやスポット溶接等の手段で接合することによって構成されている。
【0022】
特に、キャビネットボックスを遊技島に固定する際に、使用すべき固定用ねじの太さを一種類に規定することなく、いくつかの異なる太さを持った固定用ねじであっても適用し得るようにしたものである。従って、キャビネットボックス(遊技機)を遊技島に固定する際に、施工業者毎に異なる太さの固定用ねじを保有していても使用し得る範囲が広くなる。即ち、固定用ねじの太さの自由度を向上させることが可能である。
【0023】
本発明に係るキャビネットボックスに於いて、天板と底板の所定位置には複数の固定穴が形成される。この固定穴は、予め設定された径を有する穴と、該穴の周囲に形成された複数の片持ち状片と、を有して構成されている。固定穴を構成する穴の径は特に限定するものではなく、キャビネットボックスを遊技島に固定する際に使用する最も細い固定用ねじの径よりも僅かに大きい径であることが好ましい。
【0024】
固定穴を構成する片持ち状片の長さも特に限定するものではなく、キャビネットボックスを遊技島に固定する際に使用する最も太い固定用ねじの径よりも僅かに大きい径であることが好ましい。また、片持ち状片の数は特に限定するものではなく、2片であっても良いが、3片〜6片程度であることが好ましい。片の数が多くなると個々の片の強度が低下することとなり、好ましいことではない。
【0025】
固定用ねじは、キャビネットボックスを固定する遊技島の構造に対応して最適なねじが選択的に用いられる。即ち、遊技島の枠が木材によって構成されている場合、固定用ねじとして木ねじを用いることが好ましく、また遊技島の枠が金属によって構成されている場合、タッピングねじを用いることが好ましい。一般的に、遊技島の枠は木材によって構成されることが多いため、木ねじが好ましく用いられる。
【0026】
固定穴は、天板、底板を構成する金属板に直接形成されていて良い。しかし、キャビネットボックスを構成する金属板は約0.8mmの厚さがあるため、固定用ねじが固定穴を構成する穴の径よりも大きく、片持ち状片を変形させる必要がある場合、この片持ち状片を変形させる際に大きな抵抗を受けて作業性が劣化する虞がある。このため、遊技機を遊技島に固定しておくのに必要な強度と剛性を有し、且つ片持ち状片が変形する際の抵抗が小さくなるような板材に固定穴を形成して天板、底板に取り付けるようにすることが好ましい。
【0027】
このため、本発明では、複数の固定穴をマトリックス状に形成した板状のアタッチメントを形成すると共に、天板と底板の所定位置に夫々開口を形成し、各開口毎にアタッチメントを配置してマトリックス状に形成された複数の固定穴を臨ませた状態で夫々天板と底板に固定している。アタッチメントを天板、底板に固定したとき、マトリックス状に形成した固定穴の配置位置は限定するものではない。即ち、遊技島に配置される上下の枠の位置は必ずしも一定とはいえないため、固定用ねじを挿通する位置の自由度を高めておくことが好ましい。
【0028】
板状のアタッチメントを天板、底板に固定する手段は特に限定するものではなく、リベットやスポット溶接等の手段であって良い。しかし、数度にわたる遊技島への固定、及び固定の解除を想定すると、アタッチメントを天板、底板に対し着脱可能に構成しておくことが好ましい。このように、アタッチメントを着脱可能とすることによって、遊技島に対する着脱回数が増加したときでも、新たなアタッチメントを取り付けることで、安定した固定を保持することが可能となる。
【0029】
上記の如く、アタッチメントは、天板や底板に形成された開口に配置されるものであり、マトリックス状に複数の固定穴が形成された固定穴領域と、該固定穴領域の周囲に形成されたボルト穴を有している。また、天板や底板に形成された開口はアタッチメントの固定穴領域と対応しており、ボルト穴と対応する位置には取付ボルトが配置されている。そして、アタッチメントのボルト穴を取付ボルトに挿通して固定することで、固定穴領域に形成されたマトリックス状に形成された複数の固定穴が天板や底板に形成された開口と対向する。従って、マトリックス状に形成された複数の固定穴を天板や底板に配置することが可能となる。
【0030】
特に、天板、底板に形成された開口の周囲に配置された取付ボルトは、一端が天板、底板の外面と同一面となるように形成されてキャビネットボックスの機内側に突出している。このため、キャビネットボックスの外面には何らの突起物も存在せず、該キャビネットボックスを遊技島に固定する際の作業を円滑に行うことが可能である。
【0031】
上記の如く構成された本発明に係るキャビネットボックスでは、固定用ねじの太さが固定穴を構成する穴の径よりも小さい場合、この固定用ねじは片持ち状片による抵抗を受けることなく固定穴に挿通され、遊技島の枠に締結される。このとき、片持ち状片は固定用ねじの頭部と接触して該固定用ねじによる締結力を支持する。
【0032】
また、固定用ねじの太さが固定穴の穴径よりも大きく且つ片持ち状片の長さよりも小さい場合、固定用ねじは先端から固定穴の穴に挿通され、外周部分が片持ち状片の先端と接触する。その後の固定用ねじの進入に伴って片持ち状片に撓みが生じ、頭部が直接、天板や底板に接触したとき、固定用ねじの進入が停止し、キャビネットボックスは遊技島の枠に固定される。
【0033】
次に、図により本実施例に係るキャビネットボックスの構成を説明する。
【0034】
図1〜図4に於いて、キャビネットボックスAは、パチンコ台やスロット台等の遊戯機の筐体として使用されるものであり、厚さ0.8mm程度のメッキ鋼板やアルミニウム板等の金属板をプレス加工により作成された複数の成形部材を組み合わせて構成されている。このキャビネットボックスAは、天板1と、該天板1と一体的に形成された側板2、3と、底板4と、背面板5とを有し、前面側が開口した略矩形箱状に形成されている。
【0035】
天板1の所定位置及び底板4の所定位置には、複数の固定穴10をマトリックス状に形成した板状のアタッチメントBが取り付けられている。また、キャビネットボックスAの開口した前面側には図示しないヒンジ部材により開閉可能な図示しないフロントパネルが取り付けられる。
【0036】
天板1の所定位置及び底板4の所定位置には、夫々アタッチメントBを取り付けるための複数の開口1a、4aが形成されている。開口1aは、天板1に於けるキャビネットボックスAの幅方向の略中心位置、及び該中心位置から左右方向に等間隔の位置の3箇所であって、奥行き方向の2箇所の合計6箇所に形成されている。また、開口4aは、底板4に於ける幅方向の略中心位置、及び該中心位置から幅方向の一方側に離隔した位置の2箇所であって、奥行き方向の2箇所の合計4箇所に形成されている。各開口1a、4aの位置及び寸法は、図示しない遊技島を構成する上下の枠体の位置と寸法を想定して設定されている。
【0037】
各開口1a、4aの周囲には複数の取付ボルト1b、4bが配置されている。この取付ボルト1b、4bは、天板1、底板4の奥行き方向に直列に配置された開口1a、4aの幅方向の略中心に奥行き方向の3箇所に直列に配置されている。即ち、天板、底板の奥行き方向に直列に配置された二つの開口に於ける奥行き方向手前側と奥側及び二つの開口の間の3箇所に夫々取付ボルト1b、4bが配置されている。
【0038】
特に、各取付ボルト1b、4bは一端が天板1、底板4を貫通してキャビネットボックスAの外側に配置されると共に外面と同一面内に存在するように構成され、他端はキャビネットボックスAの機内側に起立している。このため、キャビネットボックスAの外面に取付ボルト1b、4bが突出することがなく、該キャビネットボックスAを遊技島に設置する際の作業に支障を与えることはない。
【0039】
また、各開口1a、4aの周囲であって幅方向両側の所定位置には、夫々突起部1c、4cが形成されている。この突起部1c、4cは、天板1、底板4にアタッチメントBを取り付ける際の位置決め機能を有するものであり、天板1、底板4の一部に平行な切り込みを入れて外面側から機内側に突出させて形成されている。
【0040】
アタッチメントBは板状に形成されており、図5に示すように、複数の固定穴10がマトリックス状に形成された固定穴領域11と、固定穴領域11の周囲に形成された複数のボルト穴12と、固定穴領域11の周囲に形成された複数の位置決め穴13が、を有して構成されている。
【0041】
アタッチメントBは、天板1、底板4を構成する素材よりも薄い金属板(例えば厚さ約0.5mmのステンレス鋼板)を、プレス成形加工或いはレーザ切断加工、プラズマ切断加工等の方法を選択的に採用して加工することによって構成されている。
【0042】
固定穴10は、穴10aと、該穴10aの周囲に形成された片持ち状片10bと、を有して構成されている。穴10aの径は、キャビネットボックスAを遊技島に固定する際に最も多用される固定用ねじ(本実施例では木ねじ)の太さに対応した寸法に設定されている。また片持ち状片10bは、穴10aの中心から放射状にスリット10cを形成することによって形成されており、該片持ち状片10aの長さ(スリット10cの深さ)は、キャビネットボックスAを遊技島に固定する際に想定される最も太い固定用ねじに対応して寸法に設定されている。
【0043】
本実施例に於いて、固定穴10を構成する穴10aは直径が約2mmの円として形成され、幅約0.5mmのスリット10cを穴10aを中心として約4.5mm形成することで長さが約1.25mmの片持ち状片10bを4片形成している。
【0044】
また、固定穴10は各固定穴領域11に千鳥状に9個配置されている。前述したように、アタッチメントBに固定穴10をいくつ形成するかは限定されず、キャビネットボックスAを固定する遊技島の構造や寸法を想定して設定される。特に、キャビネットボックスAを如何なる遊技島にも固定し得るようにするために、想定し得る遊技島の全てに適用し得るような配置位置とピッチ及び数の固定穴10を形成しておくことが好ましい。
【0045】
固定穴領域11は、天板1、底板4に形成された開口1a、4aよりも僅かに小さい寸法を有しており、アタッチメントBの一方側の面に膨出して成形されている。また、固定穴領域11の周囲は平坦面14が形成されている。固定穴領域11の平坦面14からの膨出寸法は、天板1、底板4を構成する素材の厚さよりも小さい寸法に設定されている。
【0046】
上記の如く構成されたアタッチメントBでは、該アタッチメントBをキャビネットボックスAの天板1、底板4の開口1a、4aに機内側から取り付けたとき、固定穴領域11は各開口1a、4aの中に入り込み、膨出側の面と天板1、底板4の外面との間に僅かな間隙が形成される。そして、固定穴領域11の膨出側の面と、天板1、底板4の外面との間に前記間隙が形成されることによって、固定穴10に穴10aの径よりも太い固定用ねじを挿通して進入させたとき、固定用ねじの進入に伴う片持ち状片10bの変形を許容することが可能となる。
【0047】
固定穴領域11の周囲に形成された平坦面14に、複数のボルト穴12が形成されている。ボルト穴12は、天板1、底板4に設けた取付ボルト1b、4bと対向する位置に形成されており、アタッチメントBをキャビネットボックスAに取り付ける際に、取付ボルト1bを嵌合するものである。
【0048】
また、上記平坦面14には複数の位置決め穴13が形成されている。この位置決め穴13は、天板1、底板4に形成した突起部1c、4cと対向する位置に形成されており、アタッチメントBをキャビネットボックスAに取り付ける際に、該突起部1c、4cを嵌合するものである。
【0049】
次に、上記の如く構成されたアタッチメントBをキャビネットボックスAに取り付ける際の手順について図6により簡単に説明する。
【0050】
複数のアタッチメントBを天板1、底板4に形成した各開口1a、4a毎に1枚配り、固定穴領域11の膨出側が天板1、底板4の外面側に位置するようにしてキャビネットボックスAの機内側に配置する。次に、各アタッチメントBに形成されたボルト穴12を夫々天板1に設けた取付ボルト1bに対向させると共に、位置決め穴13を突起部1cに対向させ、取付ボルト1bをボルト穴12に嵌合させる。
【0051】
各取付ボルト1bに図示しないナットを螺合して締結することで、位置決め穴13に突起部1cを嵌合させて位置決めを行い、固定穴領域11の膨出部分を各開口1a、4aに入り込ませることで、複数のアタッチメントBをキャビネットボックスAの各開口1a、4aに取り付けることが可能である。従って、取付ボルト1bに締結されたナットを緩めることで、アタッチメントBをキャビネットボックスAから取り外すことも可能である。即ち、アタッチメントBはキャビネットボックスAに対して着脱可能である。
【0052】
上記の如くして天板1、底板4にアタッチメントBを取り付けたキャビネットボックスAを遊技島に固定する際には、この遊技島を構成する上部枠、下部枠に対応する固定穴10を選択し、選択された固定穴10に固定用ねじとしての木ねじ15を挿通し、対応する上部枠或いは下部枠に締結することで、キャビネットボックスAを固定する。
【0053】
木ねじ15を固定穴10に挿通する際に、この木ねじ15の太さが穴10aの径よりも大きい場合、木ねじ15が固定穴10に対して進入するのに従って片持ち状片10bが変形する。即ち、穴10aの径よりも太い木ねじ15であっても、キャビネットボックスAを固定するための固定用ねじとして利用することが可能となる。そして、片持ち状片10bの変形は、アタッチメントBの固定穴領域11の膨出側の面と天板1、底板4の外面との間に形成された間隙によって許容される。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係るキャビネットボックスAは、遊技機を固定する遊技島の構造や寸法の如何に関わらず固定することが可能であり、金属板の成形部材を組み合わせて筐体とする遊技機に利用して有利である。
【符号の説明】
【0055】
A キャビネットボックス
B アタッチメント
1 天板
1a、4a 開口
1b、4b 取付ボルト
1c、4c 突起部
2、3 側板
4 底板
5 背面板
10 固定穴
10a 穴
10b 片持ち状片
10c スリット
11 固定穴領域
12 ボルト穴
13 位置決め穴
14 平坦面
15 木ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と側板と背面板と底板とを有し、前面側が開口した略矩形箱状に形成されたキャビネットボックスであって、
前記天板と底板の所定位置に、予め設定された径を有する穴と、該穴の周囲に形成された複数の片持ち状片と、からなる複数の固定穴を形成し、
前記固定穴を選択して固定用ねじを挿通すると共に該固定用ねじを固定用フレームに締結して固定し得るように構成したことを特徴とするキャビネットボックス。
【請求項2】
前記複数の固定穴をマトリックス状に形成した板状のアタッチメントを形成すると共に、前記天板と底板の所定位置に夫々開口を形成し、
個々のアタッチメントを夫々の開口に配置してマトリックス状に形成された複数の固定穴を臨ませて各アタッチメントを夫々天板と底板に固定したことを特徴とする請求項1に記載のキャビネットボックス。
【請求項3】
前記アタッチメントは、複数の固定穴をマトリックス状に形成した固定穴領域を有すると共に、該固定穴領域の周囲に形成され取付ボルトを挿通するための複数のボルト穴を有し、
且つ前記天板と底板の所定位置には、前記アタッチメントの固定穴領域に対応して複数の固定穴が臨む開口が形成されると共に、前記アタッチメントのボルト穴に対応して取付ボルトが、一端が天板又は底板の外面と同一面に配置され、他端が天板又は底板の内面側に起立した状態で配置されており、
前記取付ボルトに前記ボルト穴を挿通させてナットを締結することで、アタッチメントを天板と底板に着脱可能に取り付けたことを特徴とする請求項2に記載のキャビネットボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−85914(P2012−85914A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236663(P2010−236663)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(310021342)
【Fターム(参考)】