説明

キャビネット

【課題】隣り合う両開閉前面板の間に大きな隙間が形成されずに見栄えが良く、ホコリ等が溜まり難くて衛生的でもある把手を備え、この把手に支障なく指を引っ掛けることができるキャビネットを提供する。
【解決手段】隣り合う対の開閉前面板3を有するキャビネットであって、この両開閉前面板3の互いに隣り合う両縁部から相互に対向するようにかつ近接するように把手片4を突出させ、両把手片4を開閉前面板3の縁部を軸にして後側に回動可能となした。更に、後側に回動されていない通常時において、両把手片4の先端部分が互いに係合するようになした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、隣り合う対の扉板や引出しの前面板等である開閉前面板を有し、この開閉前面板の縁部に把手を設けたキャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特開2000−93243号公報(特許文献1)に示されるように、断面コ字状の把手を設けた引出しは知られている。
【0003】
この引出しには、図5に示すように、引出しの開閉前面板3の縁に沿って、断面コ字状の把手41が設けられている。この把手41の上横片7の先端部には、指掛かり突起8が突設してある。使用者はこの指掛かり突起8に指を引っ掛けて、引出しを手前に引出す。このような把手41や指掛かり突起8を設けることで、使用者の引出しの引出し操作はより効率的になる。
【特許文献1】特開2000−93243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特開2000−93243号公報に示される上記従来例の引出しにあっては、把手41が断面コ字状であり、開閉前面板3に凹凸部が形成されてしまう。このため、外観を損なうこととなり、使用者に不満が生じていた。又、開閉前面板3に形成された凹部にホコリ等が溜まりやすく、外観を損なうと共に不衛生であるという問題も生じていた。
【0005】
本願発明は上記背景技術に鑑みて発明されたものであり、その課題は、隣り合う両開閉前面板の間に大きな隙間が形成されずに見栄えが良く、ホコリ等が溜まり難くて衛生的でもある把手を備え、この把手に支障なく指を引っ掛けることができるキャビネットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明では、隣り合う対の開閉前面板を有するキャビネットであって、この両開閉前面板の互いに隣り合う両縁部から相互に対向するようにかつ近接するように把手片を突出させ、両把手片を開閉前面板の縁部を軸にして後側に回動可能となした。
【0007】
又、本願請求項2記載の発明では、上記請求項1記載のキャビネットにおいて、後側に回動されていない通常時において、両把手片の先端部分が互いに係合するようになしたことを特徴としている。
【0008】
又、本願請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2記載のキャビネットにおいて、両開閉前面板が上下に隣り合っていることを特徴としている。
【0009】
又、本願請求項4記載の発明では、上記請求項1〜3のいずれか1項記載のキャビネットにおいて、開閉前面板が引出しの前面板であることを特徴としている。
【0010】
又、本願請求項5記載の発明では、上記請求項1〜4のいずれか1項記載のキャビネットにおいて、両開閉前面板と両把手片とが各前側表面間で全て略面一に連続するよう構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本願請求項1記載の発明のキャビネットにおいては、両開閉前面板の互いに隣り合う両縁部から相互に対向するようにかつ近接するように把手片を突出させ、両把手片を開閉前面板の縁部を軸にして後側に回動可能となしているため、一方の把手片を後側に回動させると、両把手片間に隙間ができ、そこから手を差し込むことで、他方の把手片に手を掛けることができ、把手として機能させられる。これにより、開閉前面板の開閉時はこの把手片を使用することで、開閉前面板の開閉操作を容易に安定して行うことができる。又、両把手片が後側に回動されていない通常時においては、両開閉前面板の間に大きな隙間が形成されずに見栄えが良くなる。そして、大きな隙間が形成されないことにより、ホコリ等が溜まり難くなり、衛生的である。
【0012】
本願請求項2記載の発明のキャビネットにおいては、特に、後側に回動されていない通常時において、両把手片の先端部分が互いに係合するようになしているため、隣り合う両開閉前面板の間に隙間が形成されなくなり、更に見栄えが良くなる。又、ホコリ等が更に溜まり難くなることで一層衛生的になる。
【0013】
本願請求項3記載の発明のキャビネットにおいては、特に、両開閉前面板が上下に隣り合っているため、上下の開閉前面板を容易に開閉することができる。
【0014】
本願請求項4記載の発明のキャビネットにおいては、特に、開閉前面板が引出しの前面板であるため、開閉前面板を開閉操作することで引出しを出し入れすることができる。
【0015】
本願請求項5記載の発明のキャビネットにおいては、特に、両開閉前面板と両把手片とが各前側表面間で全て略面一に連続するよう構成しているため、両把手片が後側に回動されていない通常時の各前側表面間において、凹凸部が形成されなくなり、更に見栄えが良くなる。又、ホコリ等が更に溜まり難くなることで一層衛生的になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本願発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0017】
図1〜4は、本願請求項1〜5全てに対応した第一の実施形態であるキャビネットを示している。
【0018】
このキャビネットは、隣り合う対の開閉前面板3を有し、この両開閉前面板3の互いに隣り合う両縁部から相互に対向するようにかつ近接するように把手片4を突出させ、両把手片4を開閉前面板3の縁部を軸にして後側に回動可能となしたものである。そして、後側に回動されていない通常時において、両把手片4の先端部分が互いに係合する。そして、開閉前面板3が引出し2の前面板であり、この両開閉前面板3が上下に隣り合っている。そして、両開閉前面板3と両把手片4とが各前側表面間で全て略面一に連続するよう構成されている。
【0019】
以下、この実施形態のキャビネットをより具体的詳細に説明する。
【0020】
このキャビネットは図1〜3で示すように、キャビネット本体部1と、引出し2と、開閉前面板3と、把手片4と、からなる。
【0021】
キャビネット本体部1は略直方体状で木材等からなり、前側の面には開口を有する。このキャビネット本体部1は大きさの異なる2つの引出し2を上下に備えている。この引出し2は木材等からなり、キャビネット本体部1に対して出し入れ自在になっており、前方に引出すことで物品の出し入れを可能とし、後方に押し込むことでキャビネット本体部1に収納される。上下の引出し2の前側端部にはキャビネット前側の面の開口を塞ぐための開閉前面板3が備えられている。この開閉前面板3は略長方形状で木材等からなる。上下の開閉前面板3の互いに隣り合う両縁部からは、相互に対向するように、把手としての機能を有する把手片4が突出している。この両把手片4は金属等からなり、開閉前面板3の縁部を軸にして後側に回動可能である。なお、前側に回動しないようにするため、開閉前面板3の前側縁部に、垂直状態時の把手片4の前側に隣接するように止め具5が設けられている。又、把手片4が後側に回動した後、自動的に把手片4が垂直状態になるようにするため、開閉前面板3の端部と把手片4の後側にL字バネ6を設けている。
【0022】
そして、後側に回動されていない通常時において、両開閉前面板3と両把手片4とは各前側表面間で全て略面一に連続するよう構成されており、両把手片4の先端部分が互いに係合する。よって、両把手片4が後側に回動されていない通常時においては、両把手片4が互いに係合しているため、両把手片4に手を掛けることができず、把手として機能することはない。しかし、図4で示すように下の把手片4を後側に回動させると、両把手片4間に隙間ができ、そこから手を差し込むことで、上の把手片4に手を掛けることができ、把手として機能することになる。なお、上の把手片4を後側に回動させて、下の把手片4に手を掛けることも当然に可能である。
【0023】
したがって、この実施形態のキャビネットにおいては、両開閉前面板3の互いに隣り合う両縁部から相互に対向するようにかつ近接するように把手片4を突出させ、両把手片4を開閉前面板3の縁部を軸にして後側に回動可能としているため、上下いずれか一方の把手片4を後側に回動させると、両把手片4間に隙間ができ、そこから手を差し込むことで他方の把手片4に手を掛けることができ、把手として機能させられ、開閉前面板3の開閉時はこの把手片4を使用することで、開閉前面板3の開閉操作を容易に安定して行うことができる。又、両把手片4が後側に回動されていない通常時においては、両開閉前面板3の間に大きな隙間が形成されずに見栄えが良くなる。そして、大きな隙間が形成されないことにより、ホコリ等が溜まり難くなり、衛生的である。
【0024】
又、後側に回動されていない通常時において、両把手片4の先端部分が互いに係合するようになしているため、隣り合う両開閉前面板3の間に隙間が形成されなくなり、更に見栄えが良くなる。又、ホコリ等が更に溜まり難くなることで一層衛生的になる。
【0025】
又、両開閉前面板3が上下に隣り合っているため、上下の開閉前面板3を容易に開閉することができる。
【0026】
又、開閉前面板3が引出し2の前面板であるため、開閉前面板3を開閉操作することで引出し2を出し入れすることができる。
【0027】
又、両開閉前面板3と両把手片4とが各前側表面間で全て略面一に連続するよう構成しているため、両把手片4が後側に回動されていない通常時の各前側表面間において、凹凸部が形成されなくなり、更に見栄えが良くなる。又、ホコリ等が更に溜まり難くなることで一層衛生的になる。
【0028】
図5、6は、本願請求項1〜5全てに対応した第二の実施形態であるキャビネットを示している。
【0029】
なお、ここでは、上記第一の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第一の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0030】
図5、6に示すように、このキャビネットは両把手片4の先端部分に段部が設けられ、両把手片4が後側に回動されていない通常時において、両把手片4の前側表面間が面一になるように互いの先端部分が係合する。
【0031】
したがって、両開閉前面板3と両把手片4とは各前側表面間で全てが、より面一に連続するよう構成され、隣り合う両開閉前面板3の間に隙間がより形成されなくなり、一層見栄えが良くなる。又、ホコリ等が更に溜まり難くなることで一層衛生的になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本願発明の第一の実施形態であるキャビネットを示す縦断面図。
【図2】同キャビネットを示す要部縦断面図。
【図3】同キャビネットを示す要部斜視図。
【図4】同キャビネットの上の引出しを引出す時の使用状態を示す縦断面図。
【図5】本願発明の第二の実施形態であるキャビネットを示す縦断面図。
【図6】同キャビネットを示す要部縦断面図。
【図7】従来例であるキャビネットを示す要部縦断面図。
【符号の説明】
【0033】
1 キャビネット本体部
2 引出し
3 開閉前面板
4 把手片
5 止め具
6 L字バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う対の開閉前面板を有するキャビネットであって、この両開閉前面板の互いに隣り合う両縁部から相互に対向するようにかつ近接するように把手片を突出させ、両把手片を開閉前面板の縁部を軸にして後側に回動可能となしたキャビネット。
【請求項2】
後側に回動されていない通常時において、両把手片の先端部分が互いに係合するようになしたことを特徴とする請求項1記載のキャビネット。
【請求項3】
両開閉前面板が上下に隣り合っていることを特徴とする請求項1又は2記載のキャビネット。
【請求項4】
開閉前面板が引出しの前面板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のキャビネット。
【請求項5】
両開閉前面板と両把手片とが各前側表面間で全て略面一に連続するよう構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のキャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−195603(P2007−195603A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−14800(P2006−14800)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)